ASEAN(東南アジア諸国連合)

平成26年11月13日
(写真提供:内閣広報室)
(写真提供:内閣広報室)
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 11月13日(木曜日)午前9時25分から午前12時15分まで、ミャンマー・ネーピードーにおいて第9回東アジア首脳会議(EAS)が開催されたところ、概要次のとおり(議長:テイン・セイン・ミャンマー大統領)。また、同会議において、4つの独立した声明(エボラ出血熱に関する共同声明、イラク及びシリアにおけるテロ・過激派に関する声明、野生動植物の違法売買への対処に関する宣言及び緊急災害対応のためのガイドラインに関する声明)が採択された。
 
1 EASの取組

(1)喫緊の課題への取組
安倍総理から、EASは、今日世界が直面するISILやエボラ出血熱といった課題に取り組み、地域・世界の平和と繁栄に貢献していくべき旨述べた。
ISILに関して、安倍総理から、ISILは、国際秩序全体に対する重大な脅威であり、アジア地域でも外国人戦闘員問題を始め深刻な問題である、日本は、安保理決議の遵守に加え、人道支援等、軍事的貢献でない形での支援を国際社会と連携して行うところ、各国の協調した対応を期待する旨述べた。
エボラ対策については、安倍総理から、エボラ出血熱の流行は国際の平和と安全に関わる喫緊の課題であり、西アフリカでの流行封じ込めのためには各国による水際措置と国際社会の連携の双方が必要であることを指摘し、日本は今般新たに最大1億ドルの支援を表明したことを説明し、EAS各国と協力して取り組んでいきたい旨述べた。

(2)EASの強化
安倍総理から、ASEANの中心性を尊重しつつ、EASを地域のプレミア・フォーラムとして強化すべきであることを指摘するとともに、ASEANによるEASの現状評価の実施を歓迎する旨述べた。また、来年のEAS10周年に向け、本年の議長国ミャンマーとともに来年の議長国マレーシアを支えていくべきであり、日本も、全面的に支援していくことを強調した。政治・安全保障の扱いを拡大し、機構を一層強化させていくため、来年のEASを特別なサミットと位置づけること、EASの事務局機能を強化することを提案した。

(3) 海洋に関する協力
安倍総理から、法の支配の原則に基づく海洋の秩序を維持・強化する必要性を指摘した。本年のASEAN海洋フォーラム拡大会合(EAMF)第3回会合の開催を評価するとともに、次回会合の主催国が早期に決定されることを期待する旨述べた。また、拡大ASEAN船員訓練(EAST)イニシアティブに海洋環境分野で協力することを説明した。

(4)エネルギー、防災
安倍総理から、地域におけるLNG市場の発展や基幹電源である火力発電を可能な限り高効率化・低炭素化し、経済発展と気候変動対策を両立させることが鍵であり、世界最先端のクリーンエネルギー技術の普及により世界のエネルギー効率改善に貢献していく旨述べた。また、来年3月に仙台市で第3回国連防災世界会議を開催すると述べた。

(5)「質の高い成長」のためのインフラ整備
安倍総理から、アジアにおける膨大なインフラ需要に適切に応えるため、日本はODA等の積極的な活用によるインフラ整備に加え、官民連携を推進して民間資金の効果的な動員のための協力手法の整備に取り組んでいくこと、環境社会配慮やライフサイクルコスト等に優れたインフラの「質」の追求も極めて重要であり、人間中心の投資を実践し、質の高い成長を実現していくことを説明した。
 
2.地域・国際情勢

(1)平和構築・国民和解
安倍総理から、日本の平和国家としての歩みは不変であり,それを基礎に、国際協調主義に基づく「積極的平和主義」を実践していくこと、その具体的取組として、平和構築・国民和解や民主化に資する地域開発等の分野におけるEASでの取組の第一歩として、来年前半に、日本で「アジアの平和構築と国民和解、民主化に関するハイレベルセミナー」を開催したい旨表明した。

(2) 南シナ海
安倍総理から、南シナ海をめぐる問題は、地域の平和と安定に直結し、国際社会全体の関心事項であり、南シナ海の平和と安定を損ねる行為の自制を期待する旨述べた。日本は、シャングリラ・ダイアローグにおいて提唱した「海における法の支配の三原則」にのっとった行動を支持しており、この観点から、2002年の行動宣言(DOC)の完全な実施、及び行動規範(COC)に関する協議の早期妥結を強く期待する旨述べた。また、多くの国が懸念しているとおり、南シナ海で一方的行動が継続されているが、沿岸国は、境界未画定海域では、海洋環境に恒常的な物理的変更を与える一方的行動を自制するとの国際法上の確立された原則を尊重しなければならないことを強調した。さらに、南シナ海で自制すべき具体的行動について共通理解を形成するためのASEANの努力を歓迎し、EASとしても、EAMF等の適切な場を通じて貢献していくべきと呼びかけた。

(3)北朝鮮
安倍総理から、日本は、核、ミサイル、拉致等の諸懸案の包括的解決を目指すとの方針で一貫していることを説明。北朝鮮による核・ミサイル活動や拡散活動は現実の脅威であり、東南アジア地域を通じた拡散活動を今後も許してはならず、国際社会が、輸出管理を含む安保理決議をきちんと履行し、また、核保有は認めないとの一致した確固たる姿勢を明確に示すことが極めて重要であると強調。また、北朝鮮との武器取引は安保理決議違反であり、各国による一層透明性をもった決議の実行を期待する旨述べた。さらに、日本は、北朝鮮の組織的かつ深刻な人権侵害を懸念しており、拉致問題の早期解決を含む北朝鮮の人権状況改善のため、引き続き各国と協力したいと呼びかけた。
 
3 これに対し、ほとんどの首脳が、喫緊のグローバルな課題であるエボラ出血熱やISILの問題に言及し、協力して対処していくことの重要性を強調した。
 また、海洋安全保障・南シナ海についてもほとんどの首脳が言及し、1982年の国連海洋法条約等、法の支配の重要性が強調され、航行の自由・上空飛行の自由、南シナ海における行動宣言(DOC)の完全な実施、南シナ海における行動規範(COC)の早期妥結等に言及があった。
 EASの強化については、来年のEAS10周年に向け、戦略的課題について議論する首脳のプレミア・フォーラムとして一層強化していくことで一致した意見があった。

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