ASEAN(東南アジア諸国連合)
第17回日・ASEAN首脳会議
平成26年11月12日
(写真提供:内閣広報室)
(写真提供:内閣広報室)
11月12日、ミャンマー・ネーピードーにおいて、午後3時30分から約1時間(現地時間)にわたり、安倍総理出席の下、第17回日ASEAN首脳会議が開催されたところ、概要以下のとおり(議長:テイン・セイン・ミャンマー大統領)。また、同会議において「テロ及び国境を越える犯罪との闘いにおける協力のための日ASEAN共同宣言(PDF)」が採択された。
1.日ASEAN関係のレビューと将来の方向性
冒頭、安倍総理より、昨年12月の日ASEAN特別首脳会議で採択された「日ASEAN友好協力に関するビジョン・ステートメント」及び「共同声明」を着実に実施に移し、更に協力を深めていきたい旨述べ、ビジョン・ステートメントの4つの柱に沿って議論が行われた。ASEAN側からは、総じて、日ASEAN関係が昨年の特別首脳会議を経て新たな高みへと引き上げられたことを高く評価するとともに、ODA、日ASEAN統合基金(JAIF)、連結性支援プロジェクト等を通じた我が国の協力・支援に深く感謝する旨の発言があった。
(1) 平和と安定のためのパートナー
(ア)安倍総理より、安保法制整備についての閣議決定、日米防衛協力のための指針の見直し等、国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の取組について説明した。ASEAN側の多くの国から、「積極的平和主義」と日本の地域における役割を歓迎する旨の発言があった。
(イ)安倍総理より、日ASEAN間の共同訓練、人材育成、航行の安全等において引き続き協力し、海上保安・安全能力構築のため、今後3年間で700人規模の人材育成を行う旨表明した。
(ウ)安倍総理より、11月19日に行われる予定である日ASEAN防衛担当大臣ラウンドテーブルの開催を歓迎し、防衛当局間の協力も更に深めていきたい旨述べた。ASEAN側の多くの国から、防衛担当大臣ラウンドテーブルの開催を歓迎する旨の発言があった。
(2)繁栄のためのパートナー
(ア)安倍総理より、昨年の特別首脳会議で表明した5年間で2兆円規模のODAのコミットメントは既に約6千億円を達成し、JAIF2.0や連結性支援プロジェクトを含め、ASEAN共同体構築を支援していく旨述べた。
(イ)安倍総理より、膨大なインフラ需要に適切に対応し、「質の高い成長」を実現するためには、「人間中心の投資」の推進が不可欠であり、日本は、(1)効果的な資金動員のための協力手法の整備、(2)被援助国との対話と計画、多様なドナーとのパートナーシップの強化、(3)ライフサイクルコストや環境への配慮、(4)包括的かつきめ細かいアプローチといった手法を通じ、ASEANにおける「質」の高いインフラ整備支援(PDF)を強化していく旨述べ、ASEAN側からはこれを支持する発言があった。
(ウ)安倍総理より、日ASEAN航空協定の当局間協議の開始を歓迎し、また、日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)について、より高いレベルの協定を実現すべく双方が迅速かつ前向きに対応することが重要である旨述べた。
(3)より良い暮らしのためのパートナー
(ア)安倍総理より、日本はASEANにおけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成を重視しており「日ASEAN健康イニシアティブ」として、健康増進、病気の予防及び医療水準の向上に向け、5年間で8千人の人材育成を目指したい旨述べ、ASEAN側からこれを支持する発言があった。
(イ)安倍総理より、昨年の特別首脳会議で表明した「日・ASEAN防災協力強化パッケージ」のうち既に約600億円の支援と約250人の人材育成を達成し、引き続きAHAセンター(ASEAN防災人道支援調整センター)等を通じた支援を行う旨述べるとともに、来年3月の仙台での第3回国連防災世界会議への参加を招請した。
(ウ)安倍総理より、石炭火力発電の高効率化の重要性、「女性が輝く社会」の実現に向けて協力したい旨述べた。
(4)心と心のパートナー
安倍総理より、「JENESYS2.0」、「文化のWA」や「Sport for Tomorrow」といったプロジェクトの下、心と心のパートナーシップが着実に拡大しており、JENESYS2.0については、これまで約6200人のASEANの青少年を招へいし、約350人の日本人学生を派遣するとともに、本年4月、サッカーのユースチームを招へいし活発に交流を行い、文化のWAについては、日本語パートナーズの派遣開始、東京国際映画祭と連携したASEAN地域の映画交流等、双方向の交流が着実に進展している旨述べた。
2.地域・国際情勢
(1)南シナ海問題に関し、安倍総理より、シャングリラ・ダイアローグで訴えた「海における法の支配の三原則」にのっとった行動を期待しており、本件が地域共通の課題であることを明確にすることが重要である旨述べた。
(2)北朝鮮に関し、安倍総理より、北朝鮮の核・ミサイル開発の継続は、アジア地域の平和と安定に対する重大な脅威であり、また拉致問題は、主権及び国民の生命・安全に関わる重大な問題であるとともに、基本的人権の侵害という国際社会全体の問題である旨述べた。
(3)安倍総理より、エボラ出血熱の流行やISIL等の国際的に喫緊の課題に関して、日ASEANで緊密に協力をしていきたい旨述べた。