東アジア首脳会議(EAS)
第5回東アジア首脳会議(EAS)参加国外相会議
1 EAS協力のレビューとEASの将来の方向性
(1)EASの強化
岸田大臣から、日本はEASを重視しており、EAS設立10周年はEAS強化にとってまたとない機会であり、EASを地域のプレミア・フォーラムとして強化すべく各国が一体となって取り組んでいくべき旨述べた。また、マレーシアのリーダーシップを高く評価するとともに、本年のEAS首脳会議における10周年記念宣言の発出への支持を表明。日本は、(1)政治・安全保障の扱いの強化及び(2)EASの機構強化を重視しており、そのために、EAS各国常駐代表による定期会合の開催、ASEAN事務局へのEASユニットの設置、EASとADMM+との連携強化が重要である点を指摘。これに対し、多くの国から、EAS強化の重要性やそのための具体的提案が出されるとともに、10周年記念宣言の発出を支持する旨の発言があった。
(2)質の高いインフラ投資
岸田大臣から、アジアの膨大なインフラ需要に効果的に応えることは重要な課題であり、「質の高いインフラ・パートナーシップ」に基づく今後5年間で約1100億ドルの「質の高いインフラ投資」のアジアへの提供及び3年間で7500億円規模の日メコン協力を通じて、本年のASEAN共同体構築及び来年以降の統合の努力を力強く支援していく旨述べた。
(3)防災
岸田大臣から、日本はASEAN防災人道支援調整センターに対しICTシステムの導入等を支援してきたこと、今後も人材育成支援を中心に支援を継続していくことを発言。
2 地域・国際情勢
(1)平和安全法制
岸田大臣から、「平和安全法制」につき、日本が地域と国際社会の平和と安定に一層貢献するためのものであるとして説明。
(2)南シナ海
- ア 岸田大臣より、太平洋から東シナ海、南シナ海を経てインド洋に至るアジアの広大な海における公海の自由を基本的価値として今後も擁護していくべきであり、そのためにも「海における法の支配の3原則」を徹底するべき、特に、沿岸国は、境界未画定海域において、海洋環境に恒常的な物理的変更を与える一方的行動を自制するべきと指摘。
- イ また、岸田大臣から、南シナ海で大規模な埋立てや拠点構築、その軍事目的での利用等、現状を変更し緊張を高める一方的行為が継続していることを深刻に懸念しており、埋立ての「完了」を既成事実化することは認められないことを指摘。沿岸国は、DOCの精神と規定に立ち返り、境界未画定海域において、軍事、民生利用を問わず、海洋環境に恒常的な物理的変更を与える一方的行動を自制することを改めてコミットすべき旨発言。また、フィリピンの仲裁手続への支持を改めて表明。さらに、DOCの完全な実施及びCOCに関する協議の早期妥結への強い期待を表明。
- ウ これに対し、複数の国から、南シナ海における埋立て、施設建設、軍事拠点化の動きに言及しつつ、最近の情勢に関する懸念が表明されるととともに、多くの国が、航行・上空飛行の自由、国連海洋法条約をはじめとする国際法の遵守、自制と平和的解決の重要性を強調し、DOCの完全な実施及びCOCに関する協議の早期妥結を求める旨発言した。
(3)北朝鮮
- ア 岸田大臣から、日本として、核、ミサイル、拉致等の諸懸案の包括的解決を目指す方針は不変である旨述べ、北朝鮮による核・ミサイル開発の継続は地域・国際社会の重大な脅威であると指摘。国際社会として北朝鮮に対し、(1)核保有を断じて認めない、(2)挑発行動を自制し安保理決議や六者会合共同声明を誠実かつ完全に実施すべきとの強いメッセージを送り続けることが重要であり、同時に、各国による輸出管理を含めた安保理決議の厳格な履行が重要であると述べた。
- イ 拉致問題について、岸田大臣から、日本の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であるとともに、国際社会の普遍的問題であり、各国の理解・協力への期待を表明。また、拉致問題の解決を含む北朝鮮の人権状況の改善に向け、各国と協力していきたいと述べた。
- ウ これに対し、多くの国から、北朝鮮の核・ミサイル開発に懸念を表明し、北朝鮮に対して関連安保理決議や2005年の六者会合共同声明の履行を求める発言があった他、複数の国から人権状況に対する懸念が表明された。
(4)平和構築
岸田大臣から、6月に東京で「アジアにおける平和構築と国民和解、民主化に関するハイレベル・セミナー」を開催し、この中で参加者から、アジアの多くの国々における平和、経済開発、国民和解及び民主化の面での発展を高く評価する声が上がったこと、議論を通じて(1)平和構築、国民和解、経済復興、民主化の包括的な促進、(2)多様性に対する寛容、(3)穏健派のエンパワーメントが重要であること等の見解が共有されたことを報告し、各国の貢献への感謝を述べた。
(5)イランの核問題
岸田大臣から、日本はイランの核問題に関する包括的共同作業計画を歓迎しており、合意の履行プロセスにおいて積極的な役割を果たしていくこと、また、同作業計画の合意を受けたEAS外相声明を支持する旨述べた。多くの国が、日本と同様に作業計画を歓迎する旨表明し、結果、「イランの核計画に対処する包括的共同作業計画に関するEAS外相声明」が採択された。
- 議長声明(骨子)(PDF)(75KB)
- 議長声明(英文)(PDF)(401KB)