東アジア首脳会議(EAS)
第16回東アジア首脳会議(EAS)
令和3年10月27日
1 冒頭発言
議長国ブルネイに引き続く各国発言において、岸田総理大臣から、EASの首脳と協働し、「自由で開かれたインド太平洋」を力強く推進していく旨表明しました。また、近年、ルールに基づく秩序が揺らぎ、地域の不安定要素が顕在化する中、ASEANが中心性及び一体性を発揮し、「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」を発出して自らの指針を明確に示したことを心強く思う旨述べました。
2 新型コロナ対策支援
続いて岸田総理大臣から、新型コロナ対策について、ASEAN諸国へのワクチン供与や「ラスト・ワン・マイル支援」、ASEAN感染症対策センター設立に向けた支援等を通じ、有効性、安全性、品質が保証されたワクチンへの公平かつ公正なアクセスの実現、及び強靱かつ包摂的な保健システムの構築に向けて、引き続き協力を強化していく意向を表明しました。
3 インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)
さらに岸田総理大臣から、日本は、開放性、透明性、包摂性、法の支配といった価値を掲げるAOIPを高く評価している旨表明し、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」と本質的原則を共有するAOIPへの全面的な支持を改めて強調しました。 その上で、日本とASEANは、昨年発出したAOIP協力に関する日ASEAN首脳共同声明に基づき、現在、AOIPの諸原則に資する具体的協力を着実に進めており、先ほど、日ASEAN首脳会議で、73件の具体的協力プロジェクトに関するプログレス・レポートを発表した旨述べました。
4 地域・国際情勢
地域・国際情勢について、岸田総理大臣から、概要以下のとおり述べました。
- (1)東シナ海・南シナ海等
インド太平洋を自由で開かれた海とすることは、我々の共通の利益であると述べつつ、東シナ海において日本の主権を侵害する活動が継続しており、南シナ海でも、緊張を高める活動や法の支配に逆行する動きが見られることについて、ASEANを含む各国と深刻な懸念を共有し、強く反対する旨述べました。南シナ海に関する行動規範(COC)は、国連海洋法条約に合致し、南シナ海を利用する全てのステークホルダーの正当な権利や利益を尊重するものとなるべきである旨述べました。また、台湾海峡の平和と安定の重要性について述べました。さらに、経済的威圧にも強く反対する旨述べました。
複数の国からも、南シナ海問題に対する懸念が表明されました。また、各国から、南シナ海における航行・上空飛行の自由の重要性、国連海洋法条約を始めとする国際法に沿った紛争の平和的解決の重要性等について発言がありました。 - (2)香港及び新疆ウイグル自治区
香港情勢及び新疆ウイグル自治区の人権状況に対する深刻な懸念を表明しました。
複数の国からも、香港情勢及び新疆ウイグル自治区等の人権状況に対する懸念が表明されました。 - (3)北朝鮮
北朝鮮について、今月も弾道ミサイルを発射するなど、地域や国際社会の平和と安全を脅かしていると述べた上で、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDの実現に向けて、「瀬取り」対策を含め、安保理決議の完全な履行が不可欠である旨述べました。また、拉致問題の即時解決に向けて、各国の引き続きの理解と協力を求めました。
各国からも、朝鮮半島の非核化及び安保理決議の完全な履行の重要性等に関する発言がありました。 - (4)ミャンマー情勢
ミャンマー問題に関するブルネイをはじめASEANの努力に深い敬意を表し、日本政府として、(1)暴力の停止、(2)被拘束者の解放、及び(3)民主的政体の回復を強く求める立場を再度強調しました。また、エルワン特使が一刻も早くミャンマーを訪問できるよう、ミャンマー側の建設的な対応を求めました。その上で、事態の打開に向けて、日本は関与を基軸にこの問題に取り組み、引き続きASEANの取組への後押しを惜しまず、人道支援も積極的に行っていく旨表明しました。
各国からも、エルワンASEAN特使のミャンマー訪問を始め、「5つのコンセンサス」の迅速な実施に向けて協力していくこと及びミャンマー国民への人道支援の重要性について言及がありました。
5 結語
最後に、岸田総理大臣から、EASは、地域の政治安全保障問題を各国の首脳が率直に話し合うプレミアフォーラムであり、日本は引き続き、EASの枠組みを通じた協力を強化していく意向を表明しました。