世界の医療事情

マーシャル

2022年10月

1. 国名・都市名(国際電話番号)

 マーシャル諸島共和国(首都マジュロ)(国際電話国番号692)

2. 公館の住所・電話番号

○ 在マーシャル日本国大使館 (毎週土日休館)
住所:Embassy of Japan in the Republic of the Marshall Islands
AC Building, Jebel Weto, Delap, Majuro, Republic of the Marshall Islands
(Postal Address: P.O.Box 300, Majuro, MH96960, Republic of the Marshall Islands)
電話:(692)625-3311
ホームページ:https://www.mh.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

 ※土日以外の休館日は以下をご覧ください。

 (https://www.mh.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/embassy_j.html別ウィンドウで開く

3. 医務官駐在公館ではありません

 在ミクロネシア日本国大使館 医務官が担当

4. 衛生・医療事情一般

 マーシャル諸島共和国は北太平洋のオーストラリアとハワイ諸島の間に位置し、29の環礁と5つの島からなる国家です。首都はマジュロ環礁のマジュロにあり、人口は4万3千人で、国民の多くはミクロネシア系です。

 気候は海洋性熱帯気候で、日中の日差しは強烈ですが、海からの貿易風で朝夕は比較的過ごしやすく、年間平均気温は28℃です。1月~3月が乾期、10月~11月が雨期となります。海抜からの平均標高が約2m、海抜最高地点が10mです。そのため近年問題となっている温暖化に伴う海面上昇により首都マジュロの既存の建築物の40%が危険にさらされているとも言われています。

 医療施設は、首都マジュロには国立マジュロ病院がありますが、入院できる医療機関はマジュロにはこの医療機関のみです。胃カメラや大腸ファイバー、CT検査等は可能ですが、MRIや血管造影といった検査はできません。手術も一般的な開腹手術は可能ですが、腹腔鏡下の手術はできません。そのため高度医療は提供できず、当国の医療レベルは低いと言わざるを得ません。重症例では、日本への帰国、ハワイへの移送を考慮することになるため海外旅行傷害保険に加入しておくことは必須です。

 医師養成施設は当国には無く、米国、フィジー、パプア・ニューギニア、台湾、キューバ等に留学して医師になっています。医療現場では当国人以外にもフィジー人やフィリピン人医師が働いています。

 水道水及び多くの一般家庭で利用される雨水は飲用には適さず、必ずボトルド・ウォーターを飲料水として使って下さい。

5. かかり易い病気・怪我

(1)消化器感染症

 腸管感染症、A型肝炎、腸チフス、細菌性赤痢、アメーバー赤痢などがあり、生水や加熱不十分な食事が感染源となりますので注意が必要です。

(2)デング熱

 デングウイルスを持つシマカ(ヤブ蚊)に刺されることによって発症します。2019年、2020年、2021年とほぼ毎年流行しています。潜伏期間は約1週間で、インフルエンザ様の症状(頭痛、高熱、関節・筋肉痛)に加えて赤い皮疹が出ます。重症化(デング出血熱:全身から出血し易くなります)することがありますので、必ず病院等を受診してください。治療は対症療法のみです。

(3)ジカ熱

 デング熱と同様、蚊によって媒介される感染症で、発熱、頭痛、眼球結膜充血、皮疹、筋肉痛、関節痛などを生じます。2015年から2016年にかけてと2017年に流行しました。治療は対症療法のみで、発症を防ぐワクチンや治療薬はありません。

(4)結膜炎

 現地でピンクアイと呼ばれている結膜炎は、汚れた手で目を触ることにより罹りやすく、治療に抗生物質の点眼薬が用いられることがあります。

(5)皮膚感染症

 湿疹や虫刺され部分を掻いて細菌感染を合併することがあります。現地ではボイル(Boils)と呼ばれ、多くの現地の方がかかっています。

(6)レプトスピラ症

 病原性レプトスピラを保有しているネズミ、犬、牛、豚などの尿で汚染された河川や泥などにより経皮的、または経口感染します。雨にて冠水した道路を歩いたり、水たまりに入ったりすると感染の危険性がありますので、そのような場所は避けて下さい。

(7)犬咬傷

 飼い犬を放し飼いにする習慣があり、また野犬も多い為、彼らのテリトリーに入ると噛まれることがあります。破傷風等の感染リスクもありますので、破傷風の予防注射を受けておく必要があります。

(8)シガテラ毒による食中毒

 ある特定の魚や巻貝を食べることによって起こる食中毒です。シガテラ毒を産生する藻を食べた魚の体内に毒素が蓄積され、その魚を肉食魚が食べるとさらに体内に毒素が蓄積され、その肉食魚を人間が食べることにより、食中毒を発症します。毒素は熱処理にて不活化されません。摂取後、早期には嘔気、下痢、腹痛といった消化器症状や血圧低下、筋肉痛、麻痺といった症状が出現します。特に特徴的な症状としてドライアイスセンセーションというものがあります。これは常温以下の物に触れた時に、ドライアイスに触れた時のような温度感覚異常をきたします。効果的な治療法は確立されておらず、症状が半年以上続くこともありますが、死亡することは稀と言われています。オニカマスやフエダイ、ウツボといった大型魚は危険性が高いと言われています。

(9) 結核・ハンセン病

 結核とハンセン病の有病率は太平洋地域の中でも高く、注意を要します。

(10)癌・甲状腺疾患

 当地での癌や甲状腺疾患の発症率が高く、これは以前に米軍がビキニ環礁で行った核実験の影響と言われています。

6. 健康上心がける事

(1)水道水及び多くの一般家庭で利用される雨水は飲用には適さず、必ずボトルド・ウォーターを飲料水として使って下さい。

(2)高温多湿の気候なので、食べ物の管理には十分注意してください。

(3)高温多湿で発汗量が多くなりますので、熱中症や脱水症状には十分気を付け、水分や電解質をスポーツドリンク等で補給してください。

(4)直射日光、紫外線が非常に強いので日焼けに注意すると共に、目の保護のために、帽子やサングラスを着用するようにしてください。

(5)蚊を媒介して感染する病気がいくつかあります。また蚊などの虫に刺された部位が細菌感染を起こすことが少なくありません。蚊などの虫に刺されないよう注意しましょう。

(6)マーシャル諸島ではスキューバーダイビング中に減圧症に罹患した場合、再圧治療ができる施設がクワジュリン環礁の米軍病院施設しかありません。十分に注意して下さい。

7. 予防接種

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種(任意)

  • 成人:A型肝炎、B型肝炎、破傷風、腸チフスなどが勧められます(任意)
  • 小児:定期予防接種

 ※予防接種は本邦で済ませてくることが勧められます。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

ワクチン名 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目
BCG 出生時        
B型肝炎 出生時 2ヶ月 6ヶ月    
DTaP ※1 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 12ヶ月 4~6歳
不活化ポリオ 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 4~6歳  
ロタウイルス 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月    
肺炎球菌(PCV13) 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 12ヶ月  
インフルエンザ菌b型(Hib) 2ヶ月 4ヶ月 12ヶ月    
MMR ※2 12ヶ月 15ヶ月      
Td※3/TDaP 11~12歳 以後10年ごと      
ヒトパピローマウイルス(女性のみ) 11~12歳        
髄膜炎菌4価 11~12歳        

 ※1:DTaP(ジフテリア・無菌性百日咳・破傷風の3種混合ワクチン)

 ※2:MMR(麻疹・おたふく風邪・風疹の混合ワクチン)

 ※3:Td(破傷風疹・ジフテリアの混合ワクチン)

(3)現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 特に決めたれた予防接種の接種証明(英文)は必要ありません。

 ※予防接種は本邦で済ませてくることが勧められます。なお、当国にはワクチン接種の副作用に対する補償制度はありません。

 ※乳児検診の為の特別な日程は組まれていません。マジュロ病院で健診がなされています。

 マーシャルで労働査証等を取得する際は、健康診断書(英文)の提出が求められます。当地の医療機関は、非常に手続が遅いだけでなく、医師が不在の場合も少なくないこと、常時混雑しているため、予定のある方は日本で健康診断書(英文)を作成することをお勧めします。

8. 病気になった場合(医療機関等)

 首都マジュロには、マジュロ病院がありますが、慢性的に医師が不足しています。また、X線撮影、超音波などの医療機器はありますが、読影のできる専門医が少なく十分な設備も無いため、専門的な治療は望めません。救急車を呼ぶ場合、マジュロでは625-4144に電話します。ダイビングによる減圧症になった場合、クワジェリン環礁の米軍基地内の病院は再圧治療が可能です。

◎首都マジュロ

(1)Majuro Public Hospital
住所:Adjacent to Capitol Building, Delap, Majuro, Republic of the Marshall Islands
電話:+692 625 3632
概要:Majuro環礁で唯一の病院。病床数120床で、内科、外科、小児科、産婦人科、眼科、耳鼻科、整形外科、泌尿器科、歯科の診療科があり、検査もCTや上部内視鏡、下部内視鏡が可能で、ICUでは人工呼吸器管理もできます。しかしMRIは無く、病理検査は検体をハワイに送って診断しています。
(2)Majuro Clinic
住所:P.O. Box 79, Majuro, Delap, Majuro, Republic of the Marshall Islands
電話番号:+692 625-6455
概要:フィリピン人医師が運営している無床診療所です。

9. その他の詳細情報入手先

(1)在マーシャル日本国大使館 ホームページ:https://www.mh.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

10. 一口メモ

 当地の医療機関は英語が標準語です。

11. 新型コロナウイルス関連

 2020年、世界における新型コロナウイルスの感染を踏まえ、当国は2020年3月8日より原則として自国民を含む全ての入境を禁止することにより、ゼロコロナを維持していました。2022年8月11日に初めて市中感染が確認された後、マジュロ環礁、クワジェリン環礁で一気に感染が広がりました(約1ヶ月で人口の3分の1を超える約15,000人が感染)が、ワクチンや治療薬の効果もあり、新規感染者の殆どない状態となり、政府は9月8日より国境を開放しています。

 ワクチン接種は5歳以上の国民及び居住者(この数約4万人)を対象として2020年12月29日に開始され、COVID-19 二価ワクチン(モデルナ社製及びファイザー・ビオンテック社製)の接種も2022年9月8日に開始されています。

 2022年12月28日現在、当地で確認された感染事例は15,528名、死者数17名です。

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