世界の医療事情

フィジー

平成30年10月

1 国名・都市名(国際電話番号)

 フィジー共和国(国際電話国番号679)

2 公館の住所・電話番号

在フィジー日本国大使館 (毎週土日休館)
住所:Embassy of Japan, Level 2, BSP Life Centre, Suva, Fiji
電話:330-4633
ホームページ:https://www.fj.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(注)土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので,ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

(1)気候

 熱帯性気候で,気温は最も涼しい7~8月で約18~28度。最も暑い1~2月で約23~31度です。雨は概して暑い時期に多く降ります(雨季)。南東の海上から湿った貿易風が中央の山にぶつかり雨を降らせるため,山間部では年間降雨量が8,000ミリ近くに達する所もあります。首都スバは,ヴィティ・レヴ島の南東に位置し,年間降雨量が約3,000ミリと多雨で,日本の梅雨のような気候が一年中続く高温多湿の気候です。一方,国際空港や多くのリゾートホテルが集まるナンディ方面は,ヴィティ・レヴ島の西部にあり,年間降雨量は1,800ミリ以下で比較的乾燥しています。

(2)医療水準

 自国で医師や看護師を養成していますが海外転出者も多く,慢性的に医療従事者が不足しています。専門医の養成が困難で,専門医のいない診療科もあります。病状によってはオーストラリア,ニュージーランド等に出向いたり,救急搬送の必要があります。これらの国での医療費は高額で,支払いの保証がないと診療が受けられない可能性があり,フィジーを訪問する時は万一の場合に備えて,必ず十分な額の海外旅行傷害保険等に事前に加入してください。

(3)医療制度

 公的医療機関では,外国人でも比較的少額で診療を受けることが出来ますが,多くの患者が集まり,雑然とした環境で長時間待たなければなりません。必要な医薬品も常に在庫があるわけではありません。外国人や裕福なフィジー国民は,私立のクリニックや病院を受診することが通常です。

(4)水質・食品衛生

 上水道供給経路などに老朽化等の問題があり,水道水をそのまま飲用することは避けるべきです。ミネラルウォーターか,水道水を煮沸して飲用してください。高温多湿の気候なので食べ物は腐りやすく,細菌が繁殖しやすいので,食中毒に十分注意してください。

5 かかり易い病気・怪我

(1)消化器感染症・食中毒

 ウイルス性感染性胃腸炎や細菌性消化器伝染病(腸チフス・細菌性赤痢など)や原虫・寄生虫(ランブル鞭毛虫症・アメーバ赤痢など)など,年中感染する危険性があります。ウイルス感染症の場合は脱水等の合併症を起こさないように注意するしかありませんが,細菌性感染症には抗生物質,原虫・寄生虫には駆虫剤などそれぞれ適切な治療が必要です。

(2)感冒など呼吸器感染症

 日中と夜間の気温差がかなり大きく,就寝時はタオルケット1枚で暑くても,朝方は寒さで眼が覚めることがあります。この気温差のため,年中風邪をひく方が見られます。特に,季節の変わり目(雨季から乾季,乾季から雨季)に多く見られ,合併症や重症化を防ぐためにも無理をせず,身体を休めるようにしてください。

(3)デング熱

 デングウイルスを持つネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊に刺されることによって感染します。潜伏期間は2日から1週間で,インフルエンザ様の症状(頭痛,高熱,関節・筋肉痛)に加えて赤い皮疹が出現します。重症化する(デング出血熱:全身から出血し易くなります) ことがありますので,疑わしい時は必ず病院等を受診してください。治療は対症療法のみです。

(4)レプトスピラ症

 ネズミなどの野生動物,犬などのペット,ブタなどの家畜(哺乳動物)の腎臓に保菌され,尿とともに排出されて淡水を汚染します。この汚染された淡水に接触することで,皮膚や粘膜を通して感染します。重症化例では,黄疸や出血が見られます。早期に抗生物質による治療が必要です。フィジーの人達は,淡水で水遊びを良くしますが,感染の原因となりますので真似をしないでください。

(5)皮膚疾患

 高温多湿なため,湿疹や真菌症(カンジダや糸状菌など)を起こし,さらに細菌感染を合併して皮下膿瘍を生じます。治療は抗生物質(内服・外用)を用いたり,切開して排膿することもあります。また,陸上ではアリやムカデのような虫に噛まれて,発疹を生じることがあります。海では動物性プランクトンに噛まれ,強い痒みを伴う発疹を生じることがあります。遊泳中にクラゲに刺されて,重症皮膚炎を起こすこともありますので注意して下さい。

(6)シガテラ中毒

 珊瑚に共生している海藻に付くプランクトンの一種が作るシガトキシンなどの複数の毒が,食物連鎖で魚の肉や内臓に蓄積し,それを食べた人に起こる中毒です。このプランクトンは,珊瑚が死滅した後に大量に発生することが知られていますので,海が荒れて珊瑚礁が破壊される雨季(10月~4月)に多く発生します。 症状は神経症状,胃腸症状,関節・筋肉痛や痒みなどです。死亡率は低いのですが,「ドライアイスセンセーション」と呼ばれる神経症状(冷たいものに触ったり,冷たいものを飲んだりすると感電したような痛みを感じます)に数ヶ月に渡り苦しめられることがあります。この毒素は加熱処理でも分解されません。治療も対症療法しかありません。

(7)犬咬傷

 犬が放し飼いにされている場合が多く,しばしば犬に咬まれる事故が発生します。現在のところ,フィジーでは狂犬病の心配はありませんが,不用意に犬に近づかないようにしてください。また,破傷風を発症する恐れがありますので,予防注射を受けておいてください。万一,犬に咬まれたら,破傷風トキソイドの追加接種をすぐに受けてください。場合により,破傷風免疫ヒトグロブリンの接種も必要になります。

6 健康上心がける事

(1)気温が高く発汗しやすい気候ですので,水分や電解質をスポーツドリンク等で意識して多めに補給して脱水にならないように注意してください。熱中症を避けるため長時間炎天下で行動することは避けてください。

(2)蚊を媒介とするデング熱,チクングニア熱,ジカウイルス感染症が発生しています。外出する際には長袖シャツ,長ズボンなどの着用により肌の露出を少なくする,昆虫忌避剤(虫除けスプレー等)を使用する等,蚊に刺されないための対策を行ってください。

(3)紫外線が非常に強いため,日焼け止めクリームを使用し,直射日光に素肌をさらさないようにしてください。また,目の保護のためにサングラスなどを着用するようにしてください。

(4)フィジーで減圧症に対する治療機器は首都スバに一カ所のみありますが,現在修理中です(2019年3月再開予定)。ダイビングは無理をせず,十分に注意して楽しんでください。

(5)交通事故:道路は左側通行ですが,市街地はロータリー(円形)交差点が多く,右折優先で注意が必要です。郊外は道が空いていてスピードを出しがちですが,見通しが悪いカーブが多く,街灯がなく悪路が多く,犬や家畜(牛・豚など)が道路を歩いていたり,マングースが突然飛び出したりするため,運転には注意が必要です。特に夜間の運転には気を付けてください。また,自動車を運転する際には飲酒運転禁止は勿論のこと,必ずシートベルトを着用して安全運転に努めてください。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種

  • 成人:A型肝炎,B型肝炎,破傷風など。
  • 小児:就学に必要なワクチン(3)参照。
  • 2018年の流行及び死亡事例(5名)を機に,10代の全ての居住者を対象に保健当局による髄膜炎菌性髄膜炎のワクチン接種が実施されています。法令等で義務づけられてはおりませんが,長期滞在予定の若年者はワクチン接種を検討して下さい。

(2)小児の予防接種スケジュール

小児の予防接種スケジュール
出生時 6週 10週 14週 1 18ヶ月 6歳 12歳 14歳
BCG
B型肝炎
DPT
B型肝炎
Hib
ポリオ
肺炎球菌
ロタ
DPT
B型肝炎
Hib
ポリオ
肺炎球菌
DPT
B型肝炎
Hib
ポリオ
肺炎球菌
ロタ
IPV
MR ポリオ
MR
破傷風
MR(注)
破傷風 HPV 2回

DPT:ジフテリア・百日咳・破傷風,Hib:インフルエンザ菌b型,HPV:ヒトパピローマウイルス

(注1)ポリオは経口ワクチン,IPV(不活化ポリオ)は接種ワクチンです。

(注2)MMR(麻疹・流行性耳下腺炎・風疹)は行われず,MR(麻疹・風疹)ワクチンを接種しています。

(注3)18ヶ月に2回目MRワクチンを接種しなかった場合に,6歳で接種します。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 上記(2)の予防接種すべての接種証明が必要ですが,あまり厳密ではなく,未接種でも入学が許可されることがあります。しかしながら,当地の医療事情を考慮しますと,予防接種を受けることをお勧めいたします。なお当国にはワクチン接種による副作用に対する補償制度はありませんので,ワクチン接種は本邦で全て済ませて来られる方が賢明です。

8 病気になった場合(医療機関等)

 フィジーには公立総合病院が3ヶ所,比較的大きな私立総合病院が1ヶ所あり,緊急の場合は基本的には24時間診察してくれます。救急車を呼ぶ電話番号は「911」で,消防と同じ番号です。呼んでから救急車が実際に患者を迎えに来るまでに時間が掛かる場合も多いため,直接病院に行かれた方が早い場合もあります。西部地区の観光地にある大抵のホテルには,指定のクリニックがあります。 フィジーでは全ての病院で英語が通じますが,日本語で受診できる医療機関はありません。

スバ市

(1)CWM (Colonial War Memorial) Hospital
所在地:Waimanu Rd
電話 :331-3444(24時間対応)
概要:国立の総合病院で24時間緊急対応しています。基本的に国民は無料で受診できるため,常に混雑しています。医師・看護師不足のため,トリアージ(患者の重症度に応じて分類)して診察が行われます。軽症と判断されると,長時間待たされることもあります。ダイビングで減圧症になった場合の再圧治療は休止中です。
(2)MIOT Pacific Hospital
所在地:120 Amy St.,Toorak
電話:330-3404(24時間対応)
概要:私立の病院で総合診療科の他,一般外科,整形外科,循環器内科,麻酔科,産婦人科,小児科,放射線科,皮膚科,眼科の専門科があります。治療費は高額で,専門科の受診は待ち時間が長いことが多いです。主として一般医が診療に当たります。多くの場合,専門医は決められた曜日・時間に病院内で診察をするか,必要時に外部から呼ばれます。専門医受診の際は,事前に診察日・診察時間を確認してから受診する必要があります。
(3)Nasese Medical Centre
所在地:62 Ratu Sukuna Rd.,
電話:331-9233
概要:フィリピン人の医師を中心とした医師数人の私立診療所ですが,慢性疾患や軽度外傷の治療などであれば対応がスムーズで,受診しやすい医療機関です。

歯科

(注)いずれも「すぐに治療してほしい」という予約は非常に困難です。

(1)Steward Street Dental Practice
所在地:Vino patel Bldg.,10 Steward St.,Suva
電話:330-8882
(2)Sahu Khan Dental Surgery
所在地:Ratu Sukuna house, Victoria Parade, Suva
電話:331-1423

ラウトカ市

(1)Lautoka Hospital
所在地:Hospital Rd.,Lautoka
電話:666-0399
概要:公立の地域中核病院です。

ランバサ町(バヌアレブ島)

(1)Labasa Hospital(公立)
所在地:Hospital Rd., Labasa
電話:881-1444
概要:公立の地域中核病院です。

9 その他の詳細情報入手先

(1)在フィジー日本国大使館ホームページ:https://www.fj.emb-japan.go.jp別ウィンドウで開く

10 現地語・一口メモ

 フィジーでは英語が公用語で,病院でも英語が通じます。「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療英語)を参照願います。


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