世界の医療事情

令和6年10月1日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 トルコ共和国(アンカラ、イスタンブール)(国際電話番号90)

2 公館の住所・電話番号

Japonya Büyükelçiliği Türkiye
Reşit Galip Caddesi No.81, G.O.P., Çankaya, Ankara, Türkiye(毎週土曜日、日曜日休館)
電話:0312-446-0500
Japonya Başkonsolosluğu
Esentepe Mah. Buyukdere Cad. No:209, Tekfen Tower Kat:10, Sisli, 34394 Istanbul, Türkiye(毎週土曜日、日曜日休館)
電話:0212-317-4600

(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

 トルコは日本の東北地方とおよそ同じ緯度に位置しますが、気候は地域によって特徴があります。イスタンブールが位置するエーゲ海、地中海沿岸地域では夏は暑く冬は温暖な地中海性気候、アンカラが位置する中央アナトリア地域は一日の気温差が大きく冬は寒い大陸性気候です。東部の黒海沿岸地域は穏やかな気温で湿気の多い温暖湿潤気候、東部の山岳地帯は積雪が多く冬の寒さは厳しいものとなります。

 主要な観光地には外国人患者を対象とする私立総合病院があり、24時間救急受診が可能な病院もありますが、状況によっては医療設備の整ったイスタンブール又はアンカラの私立総合病院への移送を考える必要があります。私立病院の医療費は高額ですので、十分な補償額の海外旅行保険への加入が必要です。外国人が公立病院を受診することは一般的でなく、英語を理解する医療従事者は少ないです。

 大都市には多くの薬局があり、基本的な医薬品は処方箋なしで購入が可能ですが、向精神薬や抗生剤は医師の処方箋が必要です。日本で一般的な薬が入手できない、同一成分の薬でも日本とは用量が異なる場合があるため注意が必要です。持病のある方は日本から常用薬を持参することをお勧めします。

5 かかり易い病気・怪我

(1)感染性胃腸炎

 汚染された食品や水の摂取による胃腸炎はしばしば見られます。生野菜のサラダ、フレッシュジュース、路上販売の食品は感染の原因になりやすく注意が必要です。肉、魚は十分加熱されたものを選びましょう。飲料水は市販のボトル入りミネラルウォーターをお勧めします。多くの感染性胃腸炎は、十分な水分の摂取と休養で改善しますが、水分摂取が困難、高熱や血便、強い腹痛などがあれば医療機関を受診してください。

(2)ウイルス性肝炎

 A型肝炎は主に汚染された食品や水の摂取によって感染します。潜伏期間は2から6週間で、発熱、倦怠感、食欲不振、吐き気や嘔吐が見られ、その後黄疸が現れます。B型肝炎は感染している人の体液、血液を介して感染します。性行為、輸血、注射針などの使い回し(刺青・ピアスなど)により感染する可能性があります。感染しても症状が現れない人が多いですが、一部の人では数か月の潜伏期間ののち、急性B型肝炎を発症し、倦怠感、食欲不振、吐き気や嘔吐、黄疸が現れます。ほとんどは一過性の感染として回復しますが、慢性化する場合もあります。いずれも劇症化すると命に関わる場合があり、予防にはワクチンの接種が有効です。

(3)クリミア・コンゴ出血熱

 マダニに咬まれることによりクリミア・コンゴ出血熱ウイルスに感染して発症します。例年春から夏にかけて、中央アナトリア、東アナトリア、黒海沿岸の農村地域を中心に発生しています。潜伏期間は2から9日で発熱、頭痛、筋肉痛、腰痛、関節痛がみられ、重症化すると種々の程度の出血がみられます。不顕性感染が多いですが、発症した場合の致死率は30%前後でワクチンや特効薬はありません。森林、藪、農村などに立ち入るときは、昆虫忌避剤の使用や肌を露出しない服装を心がけてください。

(4)狂犬病

 都市部の路上には大型の野犬や野良猫が多く徘徊しています。トルコは狂犬病の高リスク国であり、特に南部、東部を中心に狂犬病による死者が毎年数名報告されており、動物では多くの症例がみられます。犬・猫も含め野生動物には近寄らないようにしましょう。狂犬病の予防には、直ちに傷を十分洗浄し、速やかに狂犬病ワクチンを接種することが大切です。咬まれた後に適切な処置を受けず、狂犬病を発症した場合の致死率はほぼ100%です。

6 健康上心がけること

(1)食品や水

 水道水は飲用に適しませんが、うがいや歯磨きには使用できます。日本と比べてカルシウムやマグネシウムを多く含む硬水で、煮沸して飲用しても下痢を起こすことがあります。飲用水はミネラルウォーターが安全で、スーパーで容易に入手できます。衛生状態の悪いレストランや加熱していない食品の摂取は食中毒のリスクがあり、避けた方が安全です。

(2)乾燥、日焼け、熱中症対策

 乾燥した日が多く、日差しが強いためサングラスや日焼け止めなどの紫外線対策、保湿剤など皮膚のケアが必要です。保湿剤、日焼け止めは当地でも入手可能ですが、使い慣れたものを十分量持参されることをお勧めします。夏は暑くなりますので熱中症にも注意が必要です。

7 予防接種(ワクチン接種機関含む)

(1)赴任者に必要な予防接種(成人、小児)

 入国時に法的に求められる予防接種はありませんが、A型肝炎、B型肝炎、破傷風トキソイドの(追加)接種が推奨されます。狂犬病については、赴任者の職場環境や行動様式を考慮して実施の要否を検討ください。麻疹の散発的な流行も見られますので、成人で2回の接種を受けていない方はワクチンの接種をご検討ください。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

トルコ共和国の小児の定期予防接種
  初回 2回目 3回目 4回目
B型肝炎 出生時 1か月 6か月  
BCG 2か月      
ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ・Hib(DPT-IPV-Hib) 2か月 4か月 6か月 18か月
肺炎球菌(PCV13) 2か月 4か月 12か月  
ポリオ(経口生ワクチン) 6か月 18か月    
水痘 12か月      
麻疹・ムンプス・風疹(MMR) 12か月 4歳    
A型肝炎 18か月 24か月    
ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ(DPT-IPV) 4歳      
破傷風・ジフテリアトキソイド(Td) 13歳      

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 上記の接種証明が求められることがありますので、詳細については希望する学校に予め問い合わせてください。

8 病気になった場合(医療機関等)

 トルコには日本語が通じる病院はありません。公立病院は原則としてトルコ人を対象としており、外来の待ち時間が非常に長くトルコ語しか通じないため、日本人を含む外国人は私立病院を受診しています。近年の著しいインフレを受け、医療費も非常に高額となっていますので、渡航前に十分な補償金額の海外旅行保険へ加入することをお勧めします。

 アンカラやイスタンブールの主要な私立総合病院は外国人患者の受け入れに習熟しています。ほとんどの病院でクレジットカードを使用できます。受診時はパスポート等の身分証明書を持参してください。キャッシュレスサービスに対応している病院もありますので、加入している保険会社へ確認してください。

 医薬品は院内では処方されず、街中の薬局(ECZANE)で購入します。一般的な医薬品は処方箋なしで購入が可能ですが、睡眠薬や向精神薬、抗生剤は医師の処方箋が必要です。ほとんどの薬局は週末休業(特に日曜日)です。

 緊急時は公的な救急車(電話112:警察・消防共通、英語対応可)の利用が可能です。原則的に最寄りの公立病院に搬送されます。

(首都)アンカラ

(1)Güven Hastanesi
所在地:Şimşek Sokak No.29, Kavaklidere, Ankara
電話:(0312)-444-9494
外国人担当デスク:(0312)-457-2978、(0312)-457-2983
ホームページ:Güven Hastanesi(トルコ語)別ウィンドウで開く
概要:私立総合病院。救急受付24時間(内科、外科、小児科含)。外国人専用の受付・支払い窓口あり。英語通訳常駐。
(2)Memorial Ankara Hastanesi
所在地:Balgat, Balgat Mah. Mevlana Bulv, 1422. Sk. No. 4, Çankaya, Ankara
電話:(0312)-253-6666
ホームページ:Memorial Ankara Hastanesi(トルコ語)別ウィンドウで開く
概要:私立総合病院。救急受付24時間。歯科あり。英語通訳常駐。
(3)TOBB ETÜ Hastanesi
所在地:Yesam Caddesi No.5, Söğütözü, Ankara, Armadaモール隣
電話:(0312)-292-9900
ホームページ:TOBB ETÜ Hastanesi(トルコ語)別ウィンドウで開く
概要:私立総合病院。救急受付24時間(内科、外科、小児科 含)。歯科あり。英語可。
(4)Bayındır Hastanesi Söğütözü
所在地:Kizilirmak Mahallesi 1443 Caddesi No.17, Söğütözü, Ankara(Next Levelモール隣)
電話:(0312)-287-9000
ホームページ:Bayındır Hastanesi Söğütözü(トルコ語)別ウィンドウで開く
概要:私立総合病院。救急受付24時間。歯科あり。英語可。
(5)Ankara Eğitim Ve Araştirma Hastanesi, Enfeksiyon Hastaliklari ve Klinik Mikrobiyoloji Klinigi, Kuduz Asi Merkezi ve Seyahat Iliskili Enfeksiyonlar Danisma Merkezi
(Ankara Training Research Hospital, Infectious Diseases and Clinical Microbiology, Rabies Vaccine and Travelers Health Center)
所在地:Ulucanlar Caddesi, No.89, Altindag, Ankara
電話:(0312)-595-3506
概要:アンカラ国立病院感染症科狂犬病予防接種センター。狂犬病の暴露後接種を行っており、夜間休日は救急室で対応可。予約不要で予防接種自体は無料だが、救急外来で診察を受けた場合は診察料が発生する。
(6)Ankara Seyahat Sağlığı Merkezi(Ankara Travelers Health Center)
所在地:Yucetepe Mahallesi, Ordular Sokak No.25, Anittepe, Ankara
電話:(0312)-431-0727
概要:公立のトラベルヘルスセンター。黄熱、腸チフスの予防接種が可能。事前予約要。英語不可。
(7)PortClinic, Ankara Esenboğa Havalimanı, International Flights Building
所在地:Esenboğa Havalimanı, Dış Hatlar, Ankara, アンカラ・エセンボア空港内
電話:(0312)-398-2201
ホームページ:PortClinic, Ankara Esenboğa Havalimanı, International Flights Building(英語)別ウィンドウで開く
概要:アンカラ・エセンボア空港の国際線ターミナルの空港診療所。24時間対応。国内線ターミナル出発ロビーには24時間営業の薬局あり。
(8)Medikodent
所在地:Beyaz Zambaklar Sok No.6,Kat:1 Daire:3-4, GOP, Çankaya Ankara
電話:(0312)-467-0901、3454
ホームページ:Medikodent(トルコ語)別ウィンドウで開く
概要:歯科医院。一般歯科、小児歯科、矯正歯科、審美歯科があり、歯石除去、義歯作成、インプラント可。3D撮影のX線検査あり。外国人対応に習熟しており英語の話せる歯科医が在籍。要予約。クレジットカード使用可。

イスタンブール

(1)Acıbadem Maslak Hastanesi
所在地:Büyükdere Caddesi No.40, Maslak, İstanbul
電話:(0212)-304-4444
ホームページ:Acıbadem Maslak Hastanesi(トルコ語)別ウィンドウで開く
概要:私立総合病院。医師は英語可で外国人担当デスクあり。救急外来は24時間対応(内科、外科、整形外科、小児科含)。病院の救急車あり。地下鉄Darüşşafaka駅と地階で直結する。
(2)Amerikan Hastanesi
所在地:Güzelbahçe Sokak, No.20, Nişantaşı, İstanbul
電話:(0212)-444-3777
ホームページ:Amerikan Hastanesi(英語)別ウィンドウで開く
概要:私立総合病院。医師は英語可で外国人担当デスクあり。救急受付24時間(内科、外科、小児科、婦人科含)。病院の救急車あり。病院周辺の道路は細く慢性的に渋滞が発生しておりアクセスに時間を要する。
(3)Acıbadem Etiler Tıp Merkezi
所在地:Nispetiye Caddesi No.40/8, Levent, İstanbul
電話:(0212)-283-0333
ホームページ:Acıbadem Etiler Tıp Merkezi(トルコ語)別ウィンドウで開く
概要:外来診療のみのクリニック。内科、外科、整形外科、耳鼻科、産婦人科、小児科、皮膚科、歯科あり。軽症疾患や生活習慣病の外来受診に利用しやすい。英語可。
(4)Bayındır Levent Tıp Merkezi
所在地:Nispetiye Mah Aytar Cad Aydın Sk.No:8 Levent Istanbul
電話:(0212)-279-6060
ホームページ:Bayındır Levent Tıp Merkezi(トルコ語)別ウィンドウで開く
概要:総病床数4床の小規模私立総合病院。救急受付24時間。外国人専用受付窓口、通訳サービス(要予約)あり。内科、外科、産婦人科、小児科、整形外科、耳鼻科、眼科、皮膚科、歯科あり。軽症疾患や生活習慣病の外来受診に利用しやすい。
(5)İSTANBUL ŞİŞLİ HAMİDİYE ETFAL EĞİTİM VE ARAŞTIRMA HASTANESİ(SEYRANTEPE YERLEŞKESİ)
所在地:Huzur Mah. Cumhuriyet ve Demokrasi Cad.No:1 Sarıyer / İstanbul
電話:(0212)-373-5000
概要:旧市街にある公立病院で、犬に咬まれた際に狂犬病の予防接種が可能。ワクチンは無料だが診察料がかかる場合ある。救急は24時間対応。
(6)KARAKÖY SAHİL SAĞLIK DENETLEME MERKEZİ(KARAKOY CENTRAL COAST HEALTH INSPECTION)
所在地:Rıhtım Caddesi No.31, Karaköy, İstanbul
電話:(0212)-251-2966
概要:ガラタ橋近くにある検疫所。腸チフス、黄熱の予防接種が可能。要予約、事前に銀行送金が必要(予約申し込み時に振込先口座を確認)。
(7)Medicana Airport Medical Center
所在地:イスタンブール国際空港出発階
電話:444-1-442(24時間サポートセンター)
ホームページ:Medicana Airport Medical Center(英語)別ウィンドウで開く
概要:私立MEDICANA Groupのイスタンブール国際空港分院。救急診療に必要な設備は一通り備えており、急病人への初期対応、市内の総合病院への救急搬送を行う。診療費は高額である。

アンタルヤ

(1)Akdeniz Üniversitesi Hastanesi
所在地:Dumlupınar Bulvarı Akdeniz Üniversitesi Hastanesi, Kampüs, Antalya
電話:(0242)-249-6000
外来予約:(0850)-259-0707
ホームページ:Akdeniz Üniversitesi Hastanesi(トルコ語)別ウィンドウで開く
概要:私立大学総合病院。救急受付24時間(内科、外科、整形外科、小児科含)。救急車あり。院内に英語表記なし。医療職は英語一部可。成人にも小児にも利用しやすい(時間外含)。カード使用可。

10 一口メモ(もしもの時のトルコ語)

  • 医師:doktor(ドクトル)
  • 飲み薬:ilaç(イラッチ)
  • 注射:İğne yaptırmak, enjeksiyon(イーネ ヤプトゥルマック、エンジェクシヨン)
  • 頭痛:başım ağrıyor(バシュム アールヨル)
  • 腹痛:karın ağrıyor(カルン アールヨル)
  • 傷:yara(ヤラ)
  • (痛い場所を指で指して)ここが痛い:Buram ağrıyor(ブラム アールヨル)
  • 下痢をしています:ishal oldum(イスハル オルドゥム)
  • 熱がある:ateşim var(アテシム ヴァル)
  • 吐き気:bulantı(ブラントゥ)
  • 気分が悪い:kendimi kötü hissediyorum(ケンディミ キョトゥ ヒッセディヨルム)
  • 一番近い私立病院へ連れて行ってください:Beni en yakın özel hastaneye götürün, Lütfen(ベニ エン ヤクン オゼル ハスターネイェ ギョトゥルン リュトフェン)

 「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモを参照ください。

世界の医療事情へ戻る