世界の医療事情

令和6年10月1日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 サウジアラビア王国(国際電話番号966)

2 公館の住所・電話番号

在サウジアラビア日本国大使館(毎週金曜日、土曜日休館)
住所:A-11 Diplomatic Quarter, Riyadh, Saudi Arabia
電話:(011)-488-1100
ホームページ:在サウジアラビア日本国大使館別ウィンドウで開く
在ジッダ日本国総領事館
住所:Al Islam St. 32, Al Hamra District, Jeddah, Saudi Arabia
電話:(012)-667-0674
ホームページ:在ジッダ日本国総領事館別ウィンドウで開く

(注)金曜日、土曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページで案内しています。

4 衛生・医療事情一般

(1)気候・地誌等

 国土のほとんどの地域は高温な砂漠気候に属し降水は冬と春にわずかにあるのみです。南西部山岳地域はステップ気候に属し夏にも雨が降り、西部海岸地域、東部州は年間を通じて湿度が高く、内陸に向かうにつれて乾燥していきます。標高約600メートルに位置する中央部の首都リヤドの気温は冬が9℃(最寒月最低気温の平均)から20℃(最寒月最高気温の平均)、夏が29℃(最暖月最低気温の平均)から44℃(最暖月最高気温の平均)となっています。また乾燥が強く平均湿度は26%で、年間降水量は72ミリです。紅海に面する第二の都市ジッダでは、平均気温は冬が20℃から29℃、夏が28℃から39℃、湿度は平均60%、年間降水量は61ミリです。南西部山岳地域の標高約2,200メートルに位置する高原都市アブバでは冬が8℃から20℃、夏が17℃から31℃、平均湿度は54%、年間降水量は218ミリとなっています。

 国土はアラビア半島の約80%を占めています。総面積215万平方キロメートルは日本の約6倍です。地形は多様で西の紅海側よりティハマ海岸平野、サラワット山脈、ジャザーン・ナジラン等の渓谷地帯、ナジド平原、東部海岸平原と続き、東のペルシャ湾に至ります。国土の中央を北回帰線が通っています。

 メッカとメディナの二大聖地を抱え、イスラム教国の中でも特に厳しい戒律を守っています。1日に5回、礼拝時間が設定されており、小規模な商店やレストランでは礼拝時間帯は閉店しているところが多いです。ただ、近年は首都リヤドを含む大都市のショッピングモール等の大型店舗では礼拝時間中も開店しています。イスラム教の戒律によりアルコールと豚肉の摂取が禁止されています。スーパーで見かけるビールはすべてノンアルコールです。また、近年、女性の行動・服装に関する制約は緩和され、外国人女性に対してアバヤの着用は義務づけられていませんが、サウジ女性は、依然として黒のアバヤとヒシャブ、ニカブで肌を隠し、目元しか見せていない人が多数を占めています。したがって、無用のトラブルを避けるため肌の露出はできる限り控えて下さい。

(2)医療水準・医療制度、病院受診時のアドバイス

 主要都市にはMRI、ICU等の設備を整えJoint Commission International(JCI:米国の病院評価機構)の認証を取得している医療施設が数多くありますが、医師による技量差は大きいとよく言われています。また日本国内では当たり前のように受けられるきめ細やかなサービスは期待できません。

 病院は、保健省管轄病院、大学病院等の教育研究機関、軍病院、王立病院、私立病院の5つのカテゴリーに分類されますが、サウジアラビアの公的病院では、救急時を除いて外国人の診療は行っていませんので、原則的に我々外国人は私立病院を受診することになります。私立病院は、外国人とサウジ人の富裕層を主なターゲットとしています。地方の中小都市において、救急受診できる私立病院が存在しない場合は、保健省が管轄する軽症患者用のプライマリーセンターか中等患者用のセカンダリーセンターを受診せざるを得ませんが、あくまで救急時のみの利用と考えてください。また、私立病院では対応不能な疾患の場合、担当医からの紹介があれば外国人でも教育研究機関で治療を受けられることもあるようです。

 病院を受診する際はパスポートまたはイカーマ(外国人滞在許可証)の提示を求められます。日本の海外旅行保険のキャッシュレスサービスは普及していませんので、これらの利用を希望する場合は、事前に保険会社に問い合わせて使用の可否を確認して下さい。窓口での支払いではリヤル現金の他に主要クレジットカードやデビットカードが利用可能です。診察料や検査料は先に支払うことが原則で、保険がキャッシュレス非対応の場合の診療と支払いの流れは、ア.受付時に診察料を支払う→イ.医師の診察→(ウ.X線撮影や採血などの検査が必要と判断されれば、検査室の受付で検査料を支払う→検査を受ける→再度医師の診察)→エ.薬の処方があれば薬局に行く→オ.代金を支払い薬を受け取る、と考えてください。入院時は預り金を求められる場合があります。ただし緊急時は、医療施設は事前に治療費を徴収することなく必要な緊急医療を提供するよう、法律で義務付けられています。

 金曜日と土曜日は病院によっては休診としたり診療時間を短縮したりしている場合があります。礼拝時間も診療を休止する場合があります。1日に5回ある礼拝時間はスマホアプリで確認できます。ラマダン中は、受診時間が深夜帯などに変更される場合がありますので受診前に確認して下さい。

 病院の救急外来は24時間受診可能ですが、救急外来ではない通常の診療科を受診したい場合は、事前予約した上で受診して下さい。初診であれ多くの病院がウェブでの予約に対応しています。医師の専門分野、取得資格、経歴等を公開されていますので、それをもとに医師を選択することが可能です。私立病院では、受付、医師、看護師ともに英語が通じます。また、病院の待合室が男女別になっているところが多いので注意して下さい。

 緊急時は救急車(電話:997)を利用することも可能です。ただし道路状況により長時間(1時間以上)待たされたることがあります。

 本項冒頭で記したように、日本国内の病院のようなサービスは期待できません。受診の際は患者側から知りたいことを積極的に質問していく姿勢が必要です。黙っていると、医師の説明は最小限で済まされることが多いです。検査結果や治療方針に疑問を感じる場合は進んで質問して下さい。そのために、受診前に信頼できる医療情報サイトなどから情報を得たり、質問事項をメモしておいたりするとよいでしょう。検査結果の判明が後日となる場合や慢性疾患の継続治療で受診した場合などでも、再診日を指示されないことがよくあります。必要に応じて受付で再診日を予約して下さい。院内各科の連携は不十分です。例えば糖尿病など複数科にまたがる管理が必要な疾患などでは、自ら申し出て必要な専門科を受診して下さい。会計・明細書・処方薬の間違い、代金支払い済みの検査や処置が未施行のまま診察が終了になるなどの事例が多く寄せられています。その場でよく確認して下さい。また医療費が二重請求される場合もあるため、領収書などの証拠書類は大切に保管して下さい。

 都市部には多数の薬局があります。医薬品は、OTC医薬品(処方箋不要の医薬品)やサプリメントはもちろんのこと、日本では処方薬に該当する薬剤もある程度処方箋なしで購入可能です。ただし向精神薬、咳止め、抗生物質などは医師の処方箋が必要となるため、病院を受診した上で処方箋を発行してもらう必要があります。大型店では、自動血圧計、パルスオキシメーター、コンタクトレンズケア用品、サポーター類、車イズなども取り扱っています。

(3)水質、食品衛生

 2015年の水道水品質調査では,リヤド中央部のサンプルのうち88%で米国基準を満たし飲用に適すると判断されましたが、残り12%では細菌混入を検出し飲用には不適とされました。僻地などでは衛生管理が不十分な井戸水等を使用している場合があります。後述するような経口感染症が発生していますので、管理のしっかりしたレストランを選ぶ、自炊する場合は生ものを避けしっかり加熱するなどの対策をしてください。

5 かかり易い病気・怪我

(1)交通事故、テロ

 政府の統計によると「交通事故」による死亡者は2016年9,311人、2021年6,651人、負傷者は2013年39,000人以上、2022年24,000人以上と減少傾向にありますが、運転マナーは非常に悪く、危険な車線変更や無謀な割込みは日常茶飯事です。事故は自分が注意するだけでは避けられないため、衝突時に命が助かる確率が高い大型かつ車高の高いSUV車を選択する人が多いです。

 ここ数年、国内でテロ事案は発生していませんが、2020年にはフランスで起きた預言者ムハンマドの風刺画問題をめぐる抗議とみられる外国人襲撃や爆破事件が発生しています。また2022年には指名手配者の自爆事件が起きています。中東情勢が先行き不透明なこともあり、常に最新の治安情報を確認し、危険な場所へは近づかないように気をつけて下さい。

(2)感染性下痢症、腸チフスなどの経口感染症

 サルモネラ、赤痢菌、赤痢アメーバなどによる感染性下痢症が一年中発生しています。多くは汚染された食品や水からの経口感染です。潜伏期はサルモネラや赤痢菌によるものは8時間から3日、赤痢アメーバによるものは2から3週間です。発熱、腹痛、下痢、粘血便等の症状を起こします。一般には自然治癒傾向が強く脱水に対して経口補水や点滴を行うのみですが、赤痢菌や赤痢アメーバによるものでは抗生物質や抗原虫薬による治療が必要となります。

 腸チフス、パラチフスはそれぞれチフス菌とパラチフス菌により発症します。無症候性感染者である料理人が排出した菌に食品が汚染されている場合があります。潜伏期間は2週間前後で高熱が主症状で下痢は必ずしも起こしません。適切に治療しないと腸穿孔を起こす場合があります。抗生物質で治療します。なお、腸チフスにはワクチンがありますが、有効率は7割程度とされており、ワクチンを接種しているからといって安心はできません。

(3)大気汚染による呼吸器疾患や心疾患の悪化

 2023年のサウジアラビアのPM2.5年平均値はWHOのガイドライン値の5.3倍でした。原因物質は重油燃焼物、砂塵、産業によるもの、交通渋滞によるものとされています。暴露により呼吸器や心血管系への悪影響が懸念されています。心肺に持病を持つ人、高齢者、小児は影響を受けやすいとされていますので、各自のリスクに応じて野外活動を控える、マスクを着用するなどの対策を行って下さい。

(4)動物咬傷、有毒生物による被害

 多くの動物咬傷が報告されています。内訳はイヌが50%、ネコが27%などです。動物の唾液から狂犬病ウイルスに感染する可能性があります。幸い、サウジ国内ではヒトの発症例はしばらくありませんが、狂犬病は発病すると有効な治療法はなくほぼ100%死に至ります。2010から2017年に狂犬病様症状で死亡した動物を対象とした調査では79%が実際に狂犬病であったことが確認されました。種類別ではイヌ、ラクダ、ヒツジ、ヤギ、キツネ、ネコ、オオカミ、サル、イワダヌキでした。動物咬傷時はワクチンの暴露後接種や免疫グロブリン治療を行います。

 国内には28種のサソリが生息しています。リヤド在住の邦人宅玄関での目撃情報も寄せられています。2021年の調査では、サウジ全土で年間14,500件の刺傷被害が発生していると推測されています。症状は刺傷部の激しい痛み、著しい血圧上昇、心不全、肺水腫などです。蛇は51種が確認されそのうち9種が毒蛇です。2021年の調査では年間約3,700件の咬傷被害が発生しています。リヤド地域で被害の多い毒蛇はサハラツノクサリヘビです。咬傷部の疼痛、腫脹、壊死や様々な全身症状を引き起こします。サソリや毒蛇の被害にあった場合は、直ちに病院を受診し対症療法や抗毒素血清の注射治療を受ける必要があります。

(5)髄膜炎菌性髄膜炎

 髄膜炎菌によって起こる髄膜炎です。ヒトからヒトへと飛沫感染します。潜伏期間は2から10日です。症状は発熱、頭痛、意識レベルの低下等です。治療は抗菌薬を用いますが、適切な治療を行った場合でも死亡率は10から40%とされています。1987年に最初の大流行が発生しました。これはA型の髄膜炎菌が原因で東南アジアからの巡礼者が持ち込んだとされています。巡礼者への予防接種の義務化、予防的抗生物質内服、国内の定期予防接種導入といった対策が奏功しその後の発生数は減少していましたが、2000年、2001年はW135型による流行が発生しました。2008年以降は10名以下の年間報告数にとどまるようになりましたが、2024年は5月17日時点でメッカ巡礼者の中から12名の感染者が発生(サウジ国外での発症例を含む)しています。巡礼者および巡礼地での労働者は2歳未満を除いて4価ワクチンの接種が義務付けられています。

(6)季節性インフルエンザ

 年間を通じて発生しますが、北半球のため、例年10月頃から3月頃に多発します。1年で複数回罹患する場合もあります。近年では2015/16のシーズンに大発生が見られ約1万人が入院、約300名が死亡しました。コロナ禍の2020年以降は報告数が減少していますが、再度の流行が懸念されます。潜伏期は1から3日で発熱、頭痛、関節痛などの症状が発生し、咳、鼻汁などの上気道炎症状が続きます。幼児などでは脳症を発症する場合があります。重症化リスクは妊婦、小児、高齢者、免疫不全者、基礎疾患を持つ者とされています。治療は抗ウイルス薬や解熱剤を用います。

(7)マラリア(熱帯熱マラリア)

 サウジ政府は2020年までの撲滅を目指していましたがハマダラ蚊の制御に失敗し、また隣国や巡礼者による輸入症例もあり、目標達成はできませんでした。近年はむしろ土着マラリア(indigenous malaria)が増加しており、2010から15年は29から83件で推移していた報告件数が、2016年は272件となりました。種別を検討した2018から19年の南部ジャザーンでの調査では、94.3%が熱帯熱マラリア、5.7%が3日熱マラリアでした。2021年は輸入・土着の総数で1341件のマラリアが報告されました。2022年はマラリアによる死亡者は発生していません。

 マラリア原虫が寄生した雌のハマダラ蚊に刺されることにより感染します。潜伏期は7から14日間です。症状は発熱、意識障害、呼吸障害などで適切に治療を行わないと死に至ることがあります。抗マラリア薬で治療します。報告の多いイエメンとの国境付近のアシールやジャザーンを訪問する際は予防薬内服を検討して下さい。

(8)デング熱

 昼間に吸血するネッタイシマカ又はヒトスジシマカを介しデングウイルスに感染することで発症します。急激な発熱で発症し、頭痛、関節や筋肉痛、発疹などの症状を起こします。2022年は3,647例の報告がありました。主な流行地は紅海に面するジッダです。

 解熱剤の種類によっては症状を悪化させるものもあり、病院を受診し医師に適切な薬剤を処方してもらう必要があります。多くの場合1週間ほどで回復しますが、出血やショック症状などを伴う重症型デング熱に進展することがあります。2度目の感染は重症型のリスクが高いとされています。

 予防は昼間であって長袖長ズボンを着用する、虫除けスプレーを使用するなどの防蚊対策です。近年ワクチンが開発されましたが、当地ではまだ一般的ではありません。

(9)ウイルス性肝炎

 肝炎ウイルスに感染することにより起こります。感染経路はウイルスにより異なり、汚染された食品や水による経口感染や医療事故、性行為、母子間での血液感染などです。潜伏期もウイルスにより異なり、14日から6か月です。急性肝炎の場合は発熱、全身倦怠感、それらに引き続いて起こる黄疸が多いですが、劇症化して死に至ることもあります。また慢性化して、慢性肝炎、肝硬変、肝がんへと進行する場合もあります。治療はウイルスの型に応じて抗ウイルス薬、インターフェロン等で行います。当地では、HBs抗原陽性率は、1980年代は8.3%と高率でしたが、その後の対策が奏功し2020年の報告ではHBs抗原陽性率、HCV抗体陽性率はそれぞれ0.3%と0.2%に減少しています。

(10)その他の人獣感染症、昆虫、げっ歯類等が媒介する感染症、性感染症が疑われるもの

 2000年にはアフリカ以外で初めてリフトバレー熱が流行し、肝不全や腎不全を併発して166名が死亡しました。主に羊とヤギに流行する病気ですが、ヒトにも感染します。サウジアラビアでの媒介昆虫はヤブカとイエカです。網膜症を発症して失明する場合もあります。サシチョウバエによるリーシュマニア症、ヒゼンダニによる疥癬症なども毎年報告されています。エムポックス(サル痘)は国内初の患者が2022年7月に報告されました。

6 健康上心がけること

  1. 入国前に必要な予防接種を済ませて下さい。過去の接種歴や接種ワクチンの種類によって複数回の接種が必要な場合がありますので、渡航が決まれば早めにトラベルクリニックを受診して下さい。季節性インフルエンザも北半球用ワクチンが流通し次第、接種することをお勧めします。
    持病の管理は非常に重要です。主治医と相談し必要量の薬や英文紹介状を持参して下さい。個人用医薬品の持ち込みは向精神薬や医療用麻薬等の規制対象医薬品を除いて、滞在日数分あるいは1か月分のうち少ない方の量が認められています。診断名、処方された医薬品の一般名、使用法が記載された診断書を携行し入国時に申請して下さい。医薬品は医療機関により厳封されている必要があります(official seal)。また、医療保険には必ず加入して下さい。
  2. 怪我をしないように慎重に行動して下さい。自動車の運転に関しては、必要に応じて運転手の雇用を検討して下さい。また、最新の治安情報を入手し、混乱が予想される地域や場所に近づかないようにして下さい。
  3. 人が密集する場所に出かける際は要注意です。麻疹、結核、水痘といった空気感染する病気が多く発生しています。特に大巡礼の時期には世界各地から巡礼者が集まりますので特に注意して下さい。また動物や昆虫との接触も極力避けて下さい。「5 かかり易い病気・怪我」で記載した人獣感染症や昆虫、げっ歯類などに媒介される疾患にかかるリスクがあります。虫に刺されないように野外活動時は長袖長ズボンの着用、虫除けスプレーの使用を検討して下さい。都市部でもサソリ刺傷や蛇咬傷が発生しています。
  4. 水と食品の安全に注意を払って下さい。飲用にはミネラルウオーターを使用するのが安全です。衛生管理が行き届いていないレストランの利用は避けて下さい。自炊の際は食品の鮮度に気を配り、加熱するなど調理法に配慮して下さい。当地の食事は高脂肪高カロリーのものが多く、長期に駐在する場合、生活習慣病が悪化する可能性があります、健康的な食事と運動を心がけて下さい。中長期滞在者は一時帰国時に健康診断を受診して下さい。
  5. 紫外線、高温、乾燥対策を行って下さい。具体的には日中の野外活動を避ける、サングラスを装用する、日焼け止め・リップクリーム・経口補水剤を使用するなどです。コンタクトレンズ使用者は乾燥と砂塵に注意して下さい。乾燥には加湿器が有効です。冬の夜間・早朝は冷え込む日もありますので、渡航時期によっては防寒着を用意して下さい。
  6. 厳しい気候に加えて、日常生活上の制約が多いサウジアラビアでは、強いストレスを感じる方がおられます。中長期滞在者は定期的に国外旅行をするなど、心身のリフレッシュを心がけて下さい。

7 予防接種(ワクチン接種機関含む)

(1)赴任者に必要な予防接種

 黄熱汚染国からの1歳以上の入国者はイエローカード(黄熱予防接種証明)の提示が必要です。危険国で12時間を超える乗継後に入国する場合も同様です。ハッジやウルマ(巡礼)への参加者には査証申請時に5年以内に接種した4価髄膜炎菌予防接種証明の提示が必要です。

 他には接種証明を求められる予防接種はありませんが、感染予防の観点からA型肝炎、B型肝炎、腸チフスの接種を推奨します。麻疹と破傷風の接種歴を確認し、不足している場合は追加接種して下さい。職種により動物咬傷の危険がある場合は狂犬病ワクチンの暴露前接種を行って下さい。小児はさらに定期予防接種歴を確認し、年齢に応じた接種が不足している場合は完了して下さい。通学する学校によっては、髄膜炎菌ワクチンの接種を求められる場合がありますが、要求された時点で当地の医療機関で接種することも可能です。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

  初回 2回目 3回目 4回目 5回目
BCG 6か月        
B型肝炎 出生時 2か月 4か月 6か月  
ロタウイルス 2か月 4か月 6か月    
DTaP(ジフテリア、百日咳、破傷風) 2か月 4か月 6か月 18か月 4から6歳
Tdap(ジフテリア、百日咳、破傷風) 11歳        
Hib(インフルエンザ菌b型) 2か月 4か月 6か月 18か月  
肺炎球菌 2か月 4か月 6か月 12か月  
ポリオ(IPV) 2か月 4か月 6か月    
経口ポリオ(OPV) 6か月 12か月 18か月 4から6歳  
麻疹(はしか) 9か月        
髄膜炎菌 9か月 12か月 18歳    
A型肝炎 18か月 24か月      
水痘(みずぼうそう) 18か月 4から6歳      
HPV(子宮頸がん)(注)女性のみ 11歳 12歳      
MMR(麻疹風疹おたふく) 12か月 18か月 4から6歳    

(注)ポリオは日本と異なり経口ワクチンと不活化ワクチン(注射)の併用方式です。DTaPは5回接種です。麻疹はMMRも含めて4回接種します。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 学校(特にインターナショナルスクール)へ入学・転入する際は、上記ワクチンの接種証明の提出を求められるのが一般的です。

8 病気になった場合(医療機関等)

(首都)リヤド

(1)Specialized Medical Center Hospital - King Fahad
所在地:King Fahad Road - Cairo Square, Al Olaya District.
電話:(011)-434-3800
URL:Specialized Medical Center Hospital(アラビア語)別ウィンドウで開く
概要:1999年に設立されました。3つのビルで構成され600床と150の外来診療室を有します。MRI、CT、集中治療室、熱傷専門治療室、新生児集中治療室等を備えます。アプリやウエブサイトからの予約取得が可能です。歯科を含む全科を備えています。金曜日の一般診療は休診で救急対応となります。
(2)Specialized Medical Center Hospital - King Abdullah
所在地:King Abdullah Road 3110、Al Hamra District.
電話:(011)-470-0700
URL:Specialized Medical Center Hospital(アラビア語)別ウィンドウで開く
概要:上記(1)の分院。
(3)Kingdom Hospital
所在地:Al Thoumamah Road x King Abdulaziz Road, Al Rabi District.
電話:(011)-275-1111
URL:Kingdom Hospital(英語)別ウィンドウで開く
概要:2000年に皇太子の援助を得て設立されました。24時間対応の救急外来があります。一般外来はウェブサイトから予約しますがWhatsAppのレスポンスが今ひとつです。歯科を含む全科を備えています。
(4)Dr Sulaiman Al Habib Hospital
リヤド市内に複数の病院があります。
共通URL:Dr Sulaiman Al Habib Hospital(英語)別ウィンドウで開く
概要:歯科を含む全科を備えています。邦人や当地米国大使館員がよく利用しています。アプリやウェブサイトからの予約が可能です。併設の薬局は健康器具やサポーター類の取り扱いが豊富です。
ア Dr Sulaiman Al Habib Hospital - Al Takhassusi
所在地:Takhassusi Road, Al Rahmaniyyah District.
電話:(011)-283-3333
URL:Al Takhassusi(英語)別ウィンドウで開く
概要:PETを備えており、悪性腫瘍の診断と心臓手術に力を入れています。
イ Dr Sulaiman Al Habib Hospital - Olaya Medical Complex
所在地:King Fahad Road, Al Olaya District.
電話:(011)-525-9999
URL:Olaya Medical Complex(英語)別ウィンドウで開く
ウ Dr Sulaiman Al Habib Hospital - Al Rayan
所在地:Khulais Road, Al Rayyan District.
電話:(011)-490-9999
URL:Al Rayan Hospital(英語)別ウィンドウで開く
概要:360床の病棟を有します。放射線科、NICU、スポーツ医学に特に力を入れています。
エ Dr Sulaiman Al Habib Hospital -Al Suwaidi
所在地:Hamzah Ibn Bin Abd Al Mounttaleb Road, Al Rayyan District.
電話:(011)-475-4444
URL:Al Suwaidi Hospital(英語)別ウィンドウで開く
概要:300床の病棟を有します。感染症治療に特に力をいれており、32床の隔離室を備えます。
オ Dr Sulaiman Al Habib Diplomatic Quarter
所在地: 7163 Altawqi Street, Diplomatic Quarter.
電話:(011)-244-4444
URL:Diplomatic Quarter Medical Center(英語)別ウィンドウで開く
概要:Diplomatic Quarter内にあり、24時間救急を受付けています。専門性を求める場合は、上記アからエの病院を受診することをお勧めします。
(5)Dallah Hospital
共通電話:9200 12222
URL:Dallah Hospital(英語)別ウィンドウで開く
概要:歯科を含む全科を備えています。不妊治療に力を入れています。ウェブサイトから予約できます。アラブ人患者の比率が高いです。
ア Dallah Hospital - Al Nakheel
所在地:Fas Road, Al Nakheel District.
イ Dallah Hospital - Namar
所在地:Dirab Branch Road, Alhazm District.
(6)Al Hammadi Hospital
共通URL:Al Hammadi Hospital(英語)別ウィンドウで開く
概要:歯科を含む全科を備えています。
ア Al Hammadi Hospital - Al Nuzha
所在地:Prince Muqrin Ibn Abdulaziz Street, Al Nuzha District.
電話:(011)-483-7777
イ Al Hammadi Hospital - Al Suwaidi
所在地:Al Suwaidi Al Aam Street, Al Suwaidi District.
電話:(011)-425-0000
(7)Magrabi Eye, Dental & Ear Hospital-Riyadh
所在地:King Fahd Road, Al Mohammadiyyah District.
電話:9200 18000
URL:Magrabi Eye, Dental & Ear Hospital-Riyadh(英語)別ウィンドウで開く
概要:中東とアフリカの9カ国に計32院の専門施設を展開するMagrabi Hospitals & Centersの主要病院です。本院は眼科、耳鼻咽喉科、歯科を備えます。屈折矯正手術(レーシック)やインプラントも行っています。
(8)Maleen Consultant center(Maleen Clinic)
所在地:King Abdullah Rd, Ar Rahmaniyyah
電話:9200 01155
URL:Maleen Consultant center(英語)別ウィンドウで開く
概要:歯科、美容皮膚科、美容外科。歯科の設備は新しいです。治療は矯正、インプラント、口腔外科手術など歯科全般を行っています。
(9)Sigal Dental Clinic
所在地:Prince Abdulaziz Ibn Musaid Ibn Jalawi Street, Sulimaniyah District
電話:9200 02002
URL:Sigal Dental Clinic(英語)別ウィンドウで開く
概要:最新の機材を揃えるサウジ人富裕層に人気の歯科です。金曜日もオープンしています。
(10)Gama Dental Clinic
所在地:Office 5, King Abdulaziz Branch Rd, Al Wurud, Bin Tami Center, 1st floor
電話:(011)-454-2929
URL:Gama Dental Clinic(英語)別ウィンドウで開く
概要:開業して40年近くになる歯科。設備にやや古さが感じられます。金曜日は休診です。

ジッダ

(1)Dr. Soliman Fakeeh Hospital
所在地:Palestine Street, Al Hamrah District.
電話:9200 12777
URL:Dr. Soliman Fakeeh Hospital(英語)別ウィンドウで開く
概要:1978年設立。400床を有する総合病院。敷地内に医学部、看護学部、薬学部を有する。歯科を含む全科を備えています。
(2)International Medical Center
所在地: Hail Street, Al Rowais District.
電話:9200 27778
URL:International Medical Center(英語)別ウィンドウで開く
概要:2006年設立。歯科を含む全科を備えています。欧米の専門医資格を取得した医師が多数在籍しています。
(3)GNP Hospital(Ghassan N. Pharaon Hospital)
所在地:Al Amir Sultan, Al Zahra District.
電話:9200 21518
URL:GNP Hospital(アラビア語)別ウィンドウで開く
概要:1969年に設立された150床を有する総合病院。歯科を含む全科を備えています。
(4)Dr. Samir Abbas Hospital
所在地:3597 Al Kurnaysh Branch Rd, Ash Shati District.
電話:9200 12525
URL:Dr. Samir Abbas Hospital(英語)別ウィンドウで開く
概要:不妊治療で著名なSamir Abbas教授が設立した病院です。歯科を含む全科を備えています。不妊治療と新生児医療に特に力を入れています。
(5)Magrabi Eye, Dental & Ear Hospital -Jeddah
所在地:Khozam Street, Madinnah Road, Al-Mushrifah District.
電話:9200 18000
URL:Magrabi Eye, Dental & Ear Hospital -Jeddah(英語)別ウィンドウで開く
概要:眼科、耳鼻咽喉科、歯科の専門病院です。屈折矯正手術(レーシック)やインプラント手術も行っています。

ダンマン

(1)Almana Hospital - Dammam
所在地:16 Street, Al Shifa District.
電話:(013)-826-2111/9200 33440
URL:Almana Hospital - Dammam(英語)別ウィンドウで開く
概要:歯科を含む全科を備えています。
(2)Mouwasat Hospital - Dammam
所在地: Exit 9, Abi Jafar Al Mansour Street, Uhud District.
電話:9200 04477
URL:Mouwasat Hospital - Dammam(英語)別ウィンドウで開く
概要:歯科を含む全科を備えています。
(3)Magrabi Eye & Dental Hospital - Dammam
所在地:Prince Metib Road
電話:9200 18000
URL:Magrabi Eye & Dental Hospital - Dammam(英語)別ウィンドウで開く
概要:眼科と歯科の専門病院です。

アル・コバール

(1)Almana Hospital - Khobar
所在地:Prince Talal St, Al Khobar
電話:9200 33440
URL:Almana Hospital - Khobar(英語)別ウィンドウで開く
概要:歯科を含む全科を備えています。
(2)Mohammad Dossary Hospital - Khobar
所在地:4th St, Al Khobar Al Janubiyah
電話:(013)-801-1910
URL:Mohammad Dossary Hospital - Khobar(英語)別ウィンドウで開く
概要:歯科を含む全科を備えています。
(3)Dr Sulaiman Al Habib Hospital - Khobar
所在地:King Salman Bin Abdulaziz Rd, Al Bandariyah
電話:(013)-871-1111
URL:Dr Sulaiman Al Habib Hospital - Khobar(英語)別ウィンドウで開く
概要:歯科を含む全科を備えています。
(4)Mouwasat Hospital - Khobar
所在地:3399 Prince Sultan Bin Fahd St, Qurtoba
電話:9200 04477
URL:Mouwasat Hospital - Khobar(英語)別ウィンドウで開く
概要:歯科を含む全科を備えています。ダンマンにも系列病院があります。

ジュバイル

(1)Almana General Hospital - Jubail
所在地:Street Number 113, Huwaylat District.
電話:(013)-341-2000/9200 33440
URL:Almana General Hospital - Jubail(英語)別ウィンドウで開く
概要:150床を有する病院。歯科を含む全科を備えています。
(2)Mouwasat Hospital - Jubail
所在地: 3664 Al-Andalus Rd, Deffi District.
電話:9200 04477
URL:Mouwasat Hospital - Jubail(英語)別ウィンドウで開く
概要:歯科を含む全科を備えています。

ブライダ

(1)Dr Sulaiman Al Habib Hospital - Buraidah -Qassim
所在地:King Abdulaziz Road, Safra' District
電話:(016)-316-6666,
URL:Dr Sulaiman Al Habib Hospital - Buraidah -Qassim(英語)別ウィンドウで開く
概要:歯科を含む全科を備えています。

ウナイザ

(1)Hayat National Hospital
所在地:Munawarah Road
電話:9200 00094
URL:Hayat National Hospital(英語)別ウィンドウで開く
概要:リヤドにあるHayat National Hospitalの系列病院。歯科を含む全科を備えています。

ジャザーン

(1)Hayat National Hospital - Jazan
所在地:Corniche Road, Ash Shati
電話:9200 00094
URL:Hayat National Hospital - Jazan(英語)別ウィンドウで開く
概要:リヤドにあるHayat National Hospitalの系列病院。歯科を含む全科を備えています。
(2)Elite International Medical Center
所在地:Opposite Civil Service, District 5D
電話:(017)-323-6182
URL:なし
概要:個人クリニックの集合体。外来のみ。

ネオム

(1)NEOM Hospital
所在地:along Route55
電話:9200 02770、(014)-434-8911(救急)
URL:NEOM Hospital(英語)別ウィンドウで開く
概要:ジッダにあるDr. Soliman Fakeeh Hospitalの系列病院。

10 一口メモ

 日本人が利用可能な私立病院では一般的に英語が通じます。看護師はインド人やフィリピン人、マレーシア人が多く、むしろアラビア語が通じないケースも多々あります。医療機関で役立つ英語表現として、世界の医療事情の冒頭ページの一口メモ「もしもの時の医療英語」をご活用ください。

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