世界の医療事情

オマーン

2022年10月

1. 国名・都市名

 オマーン国(マスカット)(国際電話国番号968)

2. 公館の住所・電話番号

在オマーン日本国大使館(毎週金土休館)
住所:Villa No.760, Way No. 3011, Jamiat Al-Duwal Al-Arabiya Street, Shati Al-Qurum
電話:(+968)24601028、ファックス:(+968)24698720
ホームページ:http://www.oman.emb-japan.go.jp別ウィンドウで開く
(注)金土以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内しています。

3. 医務官駐在公館ではありません。

 在アラブ首長国連邦日本国大使館医務官が担当

4. 衛生・医療事情一般

(1)気候条件

 オマーンの気候は基本的に砂漠気候であり、10月から4月にかけては比較的過ごしやすい温暖な気候ですが、5月から9月にかけては日中の最高気温が50℃以上になる日もあります。沿岸部では海洋性気候が加わり、湿度も高くなります。南部はモンスーン気候で時としてインド洋で発達したサイクロンが上陸します。従って降水量については地域により差異が見られます。南部のサラーラに比べてマスカットは比較的乾燥していますが、それでも時に予想を越えた降雨に見舞われることがあり、注意が必要です。

(2)水質、食品、衛生環境など

 都市部の水道水は海水を脱塩化処理して真水(蒸留水)を精製し、それに電解質を加え殺菌処理をし、家庭へ供給しています。理論上は無菌ですが、供給用パイプや貯水槽が原因で鉄錆や微生物の混入を認めることがあるので、水道水を直接飲料には使用しない方が無難です。

 また、モンスーンによる豪雨によって水害が発生することがあり、その際には感染症の流行に注意する必要があります。

(3)医療水準、制度

 医療機関は国立病院と私立病院に分けられますが、国立病院には外国人に対する受診制限が一部存在するため、緊急に搬送された場合を除いて外国人は私立病院を受診するのが一般的です。

 救急車両依頼システムは、制度上は整備されていることになっていますが、実際にはスムーズに稼動していないこともあり、移動可能な状態であれば自家用車、タクシーなどで病院を受診するのが現実的です。

 医療施設面については、特に最近は私立の医療機関において整備が進み、それなりの水準にあります。従って一般的な呼吸器感染症(風邪)、消化器感染症(急性胃腸炎)なども含めた軽症例・中等度までの疾病や外傷の診療は、当地でも可能と考えられます。しかし急性の循環器疾患、悪性腫瘍手術、複雑外傷などに対する治療の場合は、本邦への帰国あるいは医療先進国への移送を考慮するのも選択枝の一つになります。輸血については、一応他の先進国と同様に照射処理が施されています。

 医療費の支払いについて、キャッシュレスサービスを受けられる病院は原則としてなく、いったん現金もしくはカードで支払う必要があります。従って後日海外旅行障害保険による還付を受けるために必ず診断書と領収書を受け取ってください。

 医薬品はほとんどが国外からの輸入品です。薬局には処方箋がなくても購入できる解熱剤や鎮痛剤もあり、薬の服用法なども教えてくれます。薬局は輪番性で24時間営業の義務が課せられており、その日の輪番薬局を新聞で知ることができます。

5. かかり易い病気・怪我

(1)紫外線による障害

 太陽光線が強く、紫外線による皮膚や眼の障害には注意が必要です。

(2)熱中症及び脱水症

 夏季は大変暑く、湿度も高いため熱中症の危険性があります。酷暑の時間帯は外出を避け、外出の際には帽子等を被り、十分に水分補給をするといった配慮が必要です。

(3)急性胃腸炎

 過酷な気候環境の中で、時に食物や飲料水が体に合わず、非特異的な胃腸炎を起こすこともあります(必ずしも細菌性やウイルス性とは限りません)。この場合暑さによる影響も加わり、想像以上に体から水分が急速に失われることがあります。点滴加療が必要な場合もあり、症状が続く際には速やかに医療機関を受診されることをお勧めします。

(4)花粉症

 都市整備の一環として盛んに植樹が行なわれており、外来庭園樹(インド原産ジュリスフローラ等)の花粉によるアレルギーが報告されています。

(5)有害動物

 地方都市もしくは砂漠では、サソリや毒蛇が庭、河川、窪地などで見られることがあります。幼児の砂遊び場での蟻による被害も報告されていますので注意してください。

6. 健康上心がける事

(1)衛生状態は比較的良好ですが、温度・湿度共に高い国ですので食品の衛生管理には充分な注意が必要です。使用人(メイド、運転手)を雇う場合には、衛生面での教育を徹底することが必要です。

(2)水道水は家庭に届くまでに汚染される場合がありますので、そのままでは飲用に適していません。飲料水としてはミネラルウオーターをお勧めします。

(3)紫外線対策として、肌を露出しない、日焼け止めを使用する、サングラスをかける、帽子を被るなどの対策を取ってください。

(4)熱中症予防のため暑さ対策と水分補給は重要です。屋外に出る場合は上記の紫外線対策と共に、水分を十分に摂るようにしてください。

(5)日中は暑いため外へ出る機会が少なく、室内に閉じこもりがちになり、運動不足やストレスの原因になる可能性もあります。

(6)2012年9月以降、中東呼吸器症候群(MERSコロナウイルス感染症)が中東で流行を繰り返しています。オマーンにおいて現在までにMERS感染が確定したケースは20例を越えています。感染経路としては、ウイルスを保持するラクダとの接触、その肉・乳製品の生あるいは加熱不十分な調理品の摂取とされています。当地滞在中はラクダへの接触やその肉・乳製品の生での摂取を避け、十分に加熱・調理したものを摂取することが重要です。ラクダへの接触等、MERSコロナウイルスへの暴露の可能性がある場合、日本帰国後に検疫所による2週間(ラクダ接触から)の観察検疫の対象になりますので、ご注意ください。MERS感染での致死率は高く、一度その症状(発熱と強い呼吸器症状など)が発生した場合、可及的速やかに保健当局に通報し、適切な治療を開始することが重要です。

7. 予防接種

(1)赴任者に必要な予防接種(成人、小児)

 入国・在留にあたり義務付けられている予防接種はありません。

 成人の場合、破傷風とA型肝炎が推奨されます。

 小児は、日本の予防接種法・結核予防法で定められたものを確実に接種しておいてください。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

オマーン定期予防接種
出生時 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 12ヶ月 1歳半 就学時 12歳 15歳
BCG 5種混合 5種混合 5種混合 MMR MMR OPV dT dT
DTP IPV OPV OPV OPV OPV DTP    
  PCV PCV   PCV DTP      

注1)5種混合ワクチン(DTP+Hib+HBV)

注2)PCV:肺炎球菌ワクチン

注3)IPV:不活化ポリオワクチン、OPV:経口ポリオ生ワクチン

注4)dT:減価ジフテリア+破傷風

(3)

 小児が現地校に入園・入学する際に必要な予防接種・接種証明等について、オマーンでは公立私立を問わず、就学時には保健省の予防接種プログラム(上記7(2)参照)で指定されたものを接種していることが求められます。日本で接種しないものについては、オマーン到着後就学前に接種を開始すれば問題はないとのことです。

 しかし、各インターナショナルスクールでは独自のワクチンプログラムを推奨しているところもありますので、事前に確認することをお勧めします。

8. 病気になった場合(医療機関等)

 多くの外国人は私立病院を利用しています。国立病院は原則として救急外来のみ受診が可能ですが、それでも時に診療を拒否される場合もありますので、国立病院は避けた方が無難です。以下に記した私立病院では救急患者は24時間受付可能です。一般外来は通常9時00分~13時00分、16時00分~20時00分の診療時間ですが、専門外来は担当する専門医の都合で必ずしも診療時間が決まっていませんので、事前予約を必要とします。

 マスカット国際空港には24時間の空港クリニックがありますが、時にスタッフがいないこともあり、やや信頼性に欠けます。

◎マスカット

(1)Muscat Private Hospital(マスカット・プライベート・ホスピタル)
所在地:Bausher Street
電話:24583600
ホームページ:http://muscatprivatehospital.com別ウィンドウで開く
概要:日本人がよく利用するベッド数70床の私立総合病院。マスカット市内でも高い質を保っており、64列のCTと1.5テスラのMRIを備えている。小児の診療も可能。救急は24時間受付可。
(2)Burjeel Hospital(ブルジール病院)
所在地:3521 Way Muscat
電話:24399777
ホームページ:http://burjeelhospitaloman.com/bh-oman/別ウィンドウで開く
概要:2016年に開院した新しい病院、中東アフリカに展開しているVPS病院グループのオマーンでの基幹病院であり、124列のCTと1.5テスラのMRIを備えている。小児科歯科も診療可能、救急に関しては無休24時間対応である。
(3)Al Raffah Hospital(アル・ラファ・ホスピタル)
所在地:Al Ghubra地区
電話:24497290
概要:2009年に開設した私立総合病院。小児の診療も可能。救急は24時間受付可。
(4)Khoula Hospital(コウラ・ホスピタル)
所在地:Mina Al Fahal
電話:24563625
概要:外傷治療を中心とする国立病院。整形外科・脳外科・形成外科が協力して外傷や熱傷を診療。その他に消化器科、泌尿器科、産婦人科等。
(5)Kims Oman Hospital(キムス・オマーン・ホスピタル)
所在地:Jibroo地区
電話:24760100
ホームページ:http://www.kimsoman.com別ウィンドウで開く
概要:2009年設立のベッド数65床の私立総合病院。小児の診療も可能。救急は24時間受付可。
(6)Oman Internatinal Hospital(オマーン インターナショナル ホスピタル)
所在地:Al Dhayafa St
電話:24930500
概要:2022年1月にオープンしたオマーンで最大の民間総合病院。24時間救急対応可能。

9. その他の詳細情報入手先

(1)在オマーン日本国大使館
電話:24601028(大使館代表)
ホームページ:http://www.oman.emb-japan.go.jp別ウィンドウで開く

(2)オマーン国保健省
ホームページ:https://www.moh.gov.om/en/home別ウィンドウで開く

10. 現地語・一口メモ

 アラビア語の発音は必ずしも日本語カタカナ表記で表せないものもあることを御理解の上、参考としてください。当国のほとんどの病院は英語(主要言語英語をご参照ください)での会話が可能ですので、無理にアラビア語を使用する必要はありません。

 医師:タビーブ

 薬:ドワ

 注射:オブラ

 下痢:イスハール

 発熱:ハラーラ

 嘔気:タルジーア

 嘔吐:ゾゥワ

 ジュルハン

 頭が痛い:ラーシィ・ヤウールニ

 腹が痛い:ボトニ・ヤウールニ

 具合が悪い:アナ・ターバーン(男性の場合)、アナ・ターバーナ(女性の場合)

 病院へ連れて行ってほしい:ワッドニ・イラ・ムスタシュファ

11. 新型コロナウイルス関連情報

 2022年5月22日にオマーン国内での新型コロナウイルス予防措置の撤廃等の措置が発表されました。ただし、今後も入国に関する措置、隔離に関することなどは状況に応じて変更がなされる可能性があり、大使館ホームページ、旅レジ、オマーン国保健省ホームページ (https://www.moh.gov.om/en/corona別ウィンドウで開く)、マスカット国際空港のホームページ (https://www.omanairports.co.om/news/en/別ウィンドウで開く) を適宜ご参照ください。

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