世界の医療事情

令和6年10月1日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 オマーン国(国際電話番号968)

2 公館の住所・電話番号

在オマーン日本国大使館(毎週金曜日、土曜日休館)
住所:Villa No.760, Way No. 3011, Jamiat Al-Duwal Al-Arabiya Street, Shati Al-Qurum
電話:(+968)24601028
FAX:(+968)24698720
ホームページ:在オマーン日本国大使館(英語)別ウィンドウで開く
(注)金曜日、土曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内しています。

3 医務官駐在公館ではありません。

 在アラブ首長国連邦日本国大使館医務官が担当

4 衛生・医療事情一般

(1)気候条件

 オマーンの首都マスカットは砂漠気候に属しており、10月から4月は比較的過ごしやすいものの、5月から9月にかけては最高気温が40℃を超える日も多くなります。沿岸部は湿度が高く、南部にはインド洋で発達したサイクロンが上陸することもあります。降水量は地域により差があり、南部のサラーラに比べてマスカットは比較的乾燥していますが、降雨時には容易に水害が発生することもあるため注意が必要です。

(2)水質、食品、衛生環境など

 都市部の水道水は海水を脱塩化処理して真水(蒸留水)にし、それに電解質を加えて殺菌処理をした上で家庭に供給しています。理論上は無菌ですが、供給用パイプや貯水槽で鉄錆や微生物が混入することもあるので、水道水は直接飲まない方が無難です。

 また、水害が発生した際には感染症の流行に注意する必要があります。

(3)医療水準、制度

 医療機関は国立病院と私立病院に分けられますが、国立病院では外国人の受診を一部制限することがあるため、外国人は私立病院を受診するのが一般的です。

 公的な救急車を派遣するシステムはありますが、派遣を要請しても救急車が来ないことがあるため、移動可能な状態であれば自家用車やタクシーで病院を受診する方が確実です。自力での移動が難しい場合は、救急車を所有している私立病院に派遣を要請することもできます。

 医療施設については、近年整備が進みつつあり、診断に必要な検査機器はかなり配備されていますが、医療従事者の水準が追いついていないため、手術を要しない軽症例や中等度までの疾病や外傷の診療は可能と考えますが、難病や高度な治療、手術を要する場合は本邦に帰国する、あるいは本邦への移送を考慮することが望ましいです。輸血用血液製剤については、医療先進国と同等の照射処理が施されています。

 医療費は、海外旅行保険のキャッシュレスサービスがほとんど利用できないため、現金ないしクレジットカードで支払うことになります。入院や手術が必要になった場合は、事前に高額の保証金を求められることもあるため、カードの利用上限額を確認、必要に応じて増額しておくことをお勧めします。

 薬局は病院のほかショッピングモールなどでも容易に見つけることができます。本来は医師の処方箋を必要とする処方薬も、処方箋なしに購入できることがあります。なお、流通している医薬品の多くは国外からの輸入製品です。薬局は輪番性で24時間営業の義務が課せられており、その日の輪番薬局を新聞で知ることができます。

5 かかり易い病気・怪我

(1)紫外線による障害

 日差しが強く、紫外線による皮膚や眼の障害には注意が必要です。外出時には日焼け止めを使用し、併せて帽子やサングラスを着用するようにしてください。

(2)熱中症及び脱水症

 高温で日差しが強く、場所によっては湿度も高くなるために、熱中症野脱水症には注意が必要です。屋外で活動する際は、こまめに水分や塩分の補給を心掛けてください。

(3)花粉症

 都市整備の一環として盛んに植樹が行なわれており、外来庭園樹(インド原産ジュリスフローラ等)の花粉によるアレルギーが報告されています。

(4)有害動物

 地方都市や砂漠ではサソリや毒蛇を見かけることがあります。砂地では蟻に咬まれる被害も報告されています。

6 健康上心がけること

  1. 衛生事情は比較的良好ですが、高温多湿のため食品の衛生管理には注意が必要です。使用人(メイド、運転手)を雇う場合は衛生面における教育を徹底することが大切です。
  2. 水道水をそのまま飲用することはお勧めしていません。ミネラルウオーターが安全です。
  3. 外出時は紫外線対策をしっかり行ってください。
  4. 屋外では熱中症予防のため水分を十分に取るようにしてください。
  5. 日中は屋外での運動が難しく、運動不足になりがちです。屋内でも可能な運動をする習慣作りを心がけてください。
  6. 2012年9月以降、中東呼吸器症候群(MERSコロナウイルス感染症)が散発的に発生しています。感染経路はウイルスを保有するラクダとの接触や、その肉・乳製品の不適切な摂取と言われています。ラクダとの不必要な接触を避け、肉・乳製品は十分加熱・調理されたものを食するよう心掛けてください。MERS感染による致死率は高いので、ラクダとの接触後に疑わしい症状(発熱、咳、息切れなど)が発生した場合は速やかに保健当局に通報し、適切な検査を受けるようにしてください。

7 予防接種(ワクチン接種機関含む)

(1)赴任者に必要な予防接種

 入国・在留にあたり義務付けられている予防接種はありません。

 成人の場合、破傷風とA型肝炎が推奨されます。

 小児は、日本の予防接種法・結核予防法で定められたものを確実に接種しておいてください。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

オマーン定期予防接種
出生時 2か月 4か月 6か月 12か月 1歳半 就学時 12歳 15歳
BCG 5種混合 5種混合 5種混合 MMR MMR OPV dT dT
DTP IPV OPV OPV OPV OPV DTP    
  PCV PCV   PCV DTP      
  1. (注1)5種混合ワクチン(DTP+Hib+HBV)
  2. (注2)PCV:肺炎球菌ワクチン
  3. (注3)IPV:不活化ポリオワクチン、OPV:経口ポリオ生ワクチン
  4. (注4)dT:減価ジフテリア+破傷風

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 小児が現地校に入園・入学を希望する場合、オマーン保健省の予防接種プログラム(上記7(2)参照)で指定された予防接種を終えていることが求められます。ただし、未接種分については、就学前にオマーンで接種を開始することで入園・入学が許可されることもあります。

 他方、インターナショナルスクールでは独自のワクチンプログラムを推奨しているところもありますので、事前に就学を予定している学校に確認することをお勧めします。

8 病気になった場合(医療機関等)

 以下の病院では救急患者を24時間受け入れています。専門外来は医師の都合により診療時間が限られていることが多いため、事前に確認をし、予約を入れるようにしてください。

(首都)マスカット

(1)Muscat Private Hospital(マスカット・プライベート・ホスピタル)
所在地:Bausher Street
電話:24583600
ホームページ:Muscat Private Hospital(英語)別ウィンドウで開く
概要:日本人がよく利用する私立総合病院。医療水準は比較的高く、CTやMRI検査装置を備えています。救急は24時間受付可。
(2)Burjeel Hospital(ブルジール病院)
所在地:3521 Way Muscat
電話:24399777
ホームページ:Burjeel Hospital(英語)別ウィンドウで開く
概要:2016年に開院した私立総合病院、CTやMRI検査装置を備えています。診療科に小児歯科があり、救急は24時間受付可。
(3)Al Raffah Hospital(アル・ラファ・ホスピタル)
所在地:Al Ghubra地区
電話:24497290
概要:2009年に開設した私立総合病院。救急は24時間受付可。
(4)Khoula Hospital(コウラ・ホスピタル)
所在地:Mina Al Fahal
電話:24563625
概要:外傷治療を得意とする国立病院。
(5)Kims Oman Hospital(キムス・オマーン・ホスピタル)
所在地:Jibroo地区
電話:24760100
ホームページ:Kims Oman Hospital(英語)別ウィンドウで開く
概要:2009年設立の私立総合病院。救急は24時間受付可。
(6)Oman Internatinal Hospital(オマーン インターナショナル ホスピタル)
所在地:Al Dhayafa St
電話:24903500
ホームページ:Oman Internatinal Hospital(英語)別ウィンドウで開く
概要:2022年1月にオープンした私立総合病院。CTやMRI検査装置を備えています。救急は24時間受付可。

9 その他の詳細情報入手先

  1. 在オマーン日本国大使館
    電話:24601028(大使館代表)
    ホームページ:在オマーン日本国大使館(英語)別ウィンドウで開く
  2. オマーン国保健省
    ホームページ:Sultanate of Oman(英語)別ウィンドウで開く

10 一口メモ(もしもの時の医療英語)

 アラビア語の発音は必ずしも日本語カタカナ表記で表せないものもあることを御理解の上、参考としてください。当国のほとんどの病院は英語(主要言語英語をご参照ください)での会話が可能ですので、無理にアラビア語を使用する必要はありません。

  • 医師:タビーブ
  • 薬:ドワ
  • 注射:オブラ
  • 下痢:イスハール
  • 発熱:ハラーラ
  • 嘔気:タルジーア
  • 嘔吐:ゾゥワ
  • ジュルハン
  • 頭が痛い:ラーシィ・ヤウールニ
  • 腹が痛い:ボトニ・ヤウールニ
  • 具合が悪い:アナ・ターバーン(男性の場合)、アナ・ターバーナ(女性の場合)
  • 病院へ連れて行ってほしい:ワッドニ・イラ・ムスタシュファ
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