世界の医療事情

イスラエル

平成30年10月

1 国名・都市名(国際電話番号)

 イスラエル国(国際電話国番号972)

2 公館の住所・電話番号

在イスラエル日本国大使館(毎週土日休館)
Museum Tower 19th & 20th Floor, 4 Berkowitz Street, Tel-Aviv 6423806;
電話:03-695-7292
在ラマッラ出張駐在官事務所(対パレスチナ日本政府代表事務所)(毎週金土休館)
Abraji House 8rd Floor, 15 Tokyo Street, Al-Masyoun, Ramallah;
電話:02-298-3370

4 衛生・医療事情一般

 国土面積は四国と同程度ですが,南北に400キロメートルと細長く,ビルが林立する都市部,岩だらけの土地が広がる地方,地中海や紅海に面した沿岸部,緑豊かな北部,砂漠地帯の南部など,変化に富んでいます。

 気候は地中海性気候で,夏季は日差しが強く,テルアビブでは最高気温が30℃を越え,冬季は最低気温が10℃前後となります。標高800メートルのエルサレムでは5℃以下まで下がり,寒暖の差が激しくなります。12月から2月は毎月10日程度雨が降り,年間降水量は500ミリを越えますが,南部の砂漠では100ミリ未満で,ほとんど雨が降りません。

 都市部は医療水準が高く,外国からのメディカル・ツーリズムに対応しています。医療費は私立病院を中心に高額で,旅行者や短期滞在者は治療・救援費を補償する海外旅行者保険等に加入しておく必要があります。救急外来の受診は4万円程度ですが,入院すると1日あたり一般病棟で15万円以上,集中治療室で50万円以上かかります。一般外来は,各病院のメディカル・ツーリズム部門などを介して予約が必要ですが,金・土・祝日は休診なので,緊急の場合は救急外来を受診します。救急医療体制は整備されており,24時間365日対応していますが,医師や看護師の不足が顕著で,救急外来では数時間以上待たされることがよくあります。電話の101番通報で救急車を呼べば,救急隊員が病状を判断して近隣の救急外来に搬送してくれます。市内の救急搬送は1.2万円程度ですが,ヘリコプターで救急搬送するときは150万円以上かかります。ほとんどの医師は英語も話しますが,受付,技師,看護師はヘブライ語またはロシア語しか話さないことがあり,意思の疎通にしばしば苦労します。受診の際は,必ずパスポートを持参してください。

 上水道は,淡水化海水と地下水を水源としており飲用可能ですが,時折汚染があり,地域ごとに使用の中止が保健省から警告されます。硬水に調整されているため,飲用すると下痢傾向になるため,浄水器やボトル水の利用を勧めます。

 感染症については定点報告で集計されており,全数把握は困難ですが,水痘,消化器感染症,クラミジア症の流行が認められます。暑気にもかかわらず食品衛生管理が厳しくないので,加工食品へのサルモネラ菌やリステリア菌の混入がしばしば報告されます。

5 かかり易い病気・怪我

(ア)日射病・熱中症

 夏季,特に6~8月は日射しが強く気温も高いので,午前9時~午後4時は野外活動を控え,喉の渇きに関わらず,少なくとも2.2Lの水分を摂ることを,保健省が勧告しています。外出には飲料水を携行し,帽子,日焼け止め,サングラスなどを使用してください。日焼け止めは薬局で購入できますが,持続時間は2~3時間なので,繰り返し使用してください。

(イ)交通事故

 高速道路網が整備されていますが,当地の運転は荒く,車線の逸脱や急な車線変更がよくあります。通勤時間帯の幹線道路は渋滞しますが,割り込みや連節バスの幅寄せがあります。運転時だけでなく,歩行時も十分に注意してください。

(ウ)旅行者下痢

 飲料水の違いによる軽症のものから,消化管感染症によるものまで起こります。赤痢やジアルジア症の流行や,サルモネラ菌やカンピロバクター菌による食中毒も起こっています。鶏卵の約30%はサルモネラ菌で汚染されているので,生で食べることは勧めません。夏季は30℃を越える日が続くので,食品衛生には特に注意してください。

(エ)花粉症,結膜炎

 杉の自生は少ないですが,春にはオリーブ,秋にはブタクサの花粉が飛散し,結膜炎・鼻炎などの花粉症が起こります。乾燥する時期には細かい砂や粉じんが空中を舞い,2月~4月頃にはハムシーンと呼ばれる砂嵐が来襲することがあります。これらに加えて,排気ガスなどによる大気汚染もあり,コンタクトレンズ使用者は結膜炎が起こりやすいので,眼鏡も持参することを勧めます。

(オ)頭シラミ

 子供の75%以上が経験するので,子供が頭皮を常に痒がっている場合は,よく観察して,髪の毛についた卵を探してください。診断は皮膚科で受けますが,治療のための漉き櫛と薬用シャンプーは当地の薬局で購入できます。

(カ)毒蛇,サソリ

 毒蛇はIsrael viper,Black adder, Israel mole viperに咬まれることが多く,毒サソリはイエロースコーピオンがもっとも危険です。毒蛇や毒サソリは北部の高原からネゲヴ砂漠まで全域に生息しており,初夏に活動性が高くなります。日中は岩陰や藪に潜んでいるので,不用意に手足を突っ込んだり,地面に座ったりしないようにしてください。咬まれたり,刺されたりした場合は,できるだけ受傷部位を安静にしたまま,すぐに救急外来を受診してください。症状により,抗毒素などの治療が受けられます。

6 健康上心がける事

(ア)水難事故

 地中海沿岸および紅海沿岸では海水浴が楽しめますが,離岸流による事故だけでなく,死海では高濃度塩水の嚥下による事故が起こっているので,監視員のいない所や,飲酒後の遊泳はしないでください。北部河川の水浴でレプトスピラ症の感染報告がありました。

(イ)性感染症

 旅行中の身軽さや海外生活の寂しさが感染に繋がります。HIVの感染は多くありませんが,梅毒,淋病,クラミジア感染症が問題になっています。性行為以外にも,刺青やピアス処置などでB型肝炎に感染することがあります。

(ウ)蚊媒介感染症

 夏には蚊が増加し,西ナイル熱が散発しますが,脳炎を起こすと死亡することがあります。輸入感染症としてマラリア,デング熱,ジカ熱があり,持ち込まれる可能性もあります。薬局で殺虫剤やDEETなどの蚊忌避剤を購入し,使用してください。

(エ)皮膚リーシュマニア症

 ハイラックスと野ねずみを宿主とする原虫のL. TropicaとL. Majorを持ったサシチョウバエに刺されて感染し,数週間後に虫刺され部に難治性の潰瘍ができます。サシチョウバエの活動が活発な6月から10月の夕方以降は,特に気をつけてください。

(オ)狂犬病

 犬,牛,ジャッカルなどの感染が北部で報告されています。発症すれば死亡するので,むやみに哺乳類に手を出さず,もし咬まれた場合はすぐに救急外来を受診して,発症予防処置を受けてください。

(カ)鳥インフルエンザ(H5N1),中東呼吸器症候群(MERS)

 H5N1の流行が隣国エジプトで報告されていますが,国内でも養鶏への感染が報告されています。ヒトへの感染報告はありませんが,ペットを含め家禽への接触は避けてください。また,MERSの感染がヨルダン,レバノン,エジプトなどの周辺国で報告されています。病人やラクダとの接触や,ラクダのミルクの食用は避けてください。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(ア)赴任者に必要な予防接種(成人,小児)

 入国に際して義務づけられた予防接種はありませんが,不要な医療機関の受診を減らすために,成人はA型肝炎・B型肝炎・破傷風の接種を勧めます。小児は,日本脳炎以外の日本の定期予防接種に加えて,A型肝炎,おたふくかぜの接種を勧めます。

(イ)現地の小児定期予防接種一覧

現地の小児定期予防接種一覧
  初回 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目
ポリオ(IPV)(注1) 2か月 4か月 6か月 12か月 7歳  
ポリオ(OPV)(注1) 6か月 18か月        
DPT(注2) 2か月 4か月 6か月 12か月 7歳 13歳
MMRV(注3) 12か月 6歳        
A型肝炎 18か月 24か月        
B型肝炎 出生時 1か月 6か月      
肺炎球菌 2か月 4か月 12か月      
ロタウイルス 2か月 4か月 6か月      
インフルエンザ菌b型 2か月 4か月 6か月 12か月    
パピローマ 13歳 13歳        

(注1)ポリオ:不活化ワクチン(IPV)に加えて経口ワクチン(OPV)を接種

(注2)DPT:ジフテリア+百日咳+破傷風

(注3)MMRV:麻疹+ムンプス(おたふく風邪)+風疹+水痘

 生後6か月以上の全年齢でインフルエンザウイルスの予防注射が推奨されており,7歳と8歳は学校で接種

(ウ)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 現地校の場合はワクチン接種証明の提出は不要ですが,インターナショナル・スクールでは,ワクチン接種証明書と健康診断書の提出が必要です。

8 病気になった場合(医療機関等)

テルアビブ地区 Tel-Aviv District

(1)Ichilov Hospital, Tel-Aviv Sourasky Medical Center(イヒロフ病院)
所在地:6 Weitzman Street, Tel-Aviv 64239
電話:(代表)03-697-4444 (救急外来)03-697-3232
Web:http://www.tasmc.org.il/sites/en/別ウィンドウで開く
概要:国内2番目の規模の国立総合病院(1200床)で,レベルIの外傷センターです。救急外来は,成人,小児,産科が別の場所に分かれています。CT,MRI,PET,核医学などの検査施設もそろっていますが,一般CTは3日待ちで,頭部MRIは4週間待ちです。
(2)Tel Hashomer Hospital, Chaim Sheba Medical Center(テル・ハショメール病院)
所在地:2 Sheba Road, Tel Hashomer, Ramat Gan 52621
電話:(代表)03-530-3030 (救急外来)03-530-3101
Web:http://eng.sheba.co.il/別ウィンドウで開く
概要:国内最大の国立総合病院(1600床)で,レベルIの外傷センターです。広い敷地内に,各科の建物が林立しており,救急外来は,敷地の奥にあります。
(3)Herzliya Medical Center(ヘルツェリア・メディカル・センター)
所在地:7 Ramat Yam Street, Herzliya 4685107
電話:09-959-4888
Web:(代表)https://hmcisrael.com/別ウィンドウで開く
概要:富裕層を対象にした私立総合病院(85床)で,救急疾患には対応しませんが,VIPサービスを受けることができます。1989年設立で,2001年からメディカル・ツーリズムを実施しており,CT,MRI,PET,核医学,内視鏡検査などの設備が整っているます。本院は海岸沿いにありますが,ヘルツェリア市内にも専門外来の診療所があります。
(4)Ben Gurion Airport Clinic(ベン・グリオン国際空港クリニック)
所在地:Terminal 3, Ben Gurion Airport
電話:03-9752625
Web:http://www.iaa.gov.il/en-US/airports/bengurion/別ウィンドウで開く
概要:国際空港にある救急診療所で,ターミナル3のレベル2の21番通路脇にある。救命救急士と看護師が24時間常駐しており,初期治療が無料で受けられます。
(5)Kaplan Dental
所在地:25 Zeitlen Street, Tel Aviv
電話:03-69560650
Web:http://kaplandental.co.il/en/別ウィンドウで開く
概要:私立歯科診療所で,成人の歯科治療一般が受けられます。

エルサレム Jerusalem

(1)Hadassah Hospital, Ein Kerem(ハダッサ・エインケレム病院)
所在地:Ein Kerem, Jerusalem 91120
電話:(代表)02-677-7111 (救急外来)02-677-7222
Web:http://www.hadassah-med.com/別ウィンドウで開く
概要:NPOが運営する公立総合病院(800床)で,市内からは車で20分程度離れていますが,設備が整っており,救急外来があります。Mt. Scopeにも300床の同系列病院があります。
(2)Shaare Zedek Hospital(シャーレ・ツェデク病院)
所在地:12 Shumuel Bait Street, Jerusalem
電話:(代表)02-655-6111 (救急外来)02-655-5509
Web:https://www.szmc.org.il/eng/home/別ウィンドウで開く
概要:NPOが運営する公立総合病院(800床)で,市内にあり,混雑しています。救急外来は,成人と小児が分かれています。

ラマッラ Ramallah

(1)Palestinian Medical Complex
所在地:Al-Ahli Hospital Street, Ramallah
電話:(代表)02-298-2222
概要:パレスチナ当局が運営する公立総合病院群(300床)で,市内にあり,混雑しています。救急外来は,成人と小児が分かれています。
(2)Istishari Arab Hospital
所在地:Al-Rayhan, Ramallah
電話:(代表)02-294-3200
Web:http://www.iah.ps/welcome/index/en/別ウィンドウで開く
概要:ラマッラ郊外にある私立総合病院(150床)で,高度医療機器も備えています,救急外来がありますが,救急車はないので,搬送は赤新月社に依頼します。

9 その他の詳細情報入手先

(ア)在イスラエル日本国大使館(日本語)https://www.israel.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(イ)イスラエル保健省(英語)https://www.health.gov.il/English/別ウィンドウで開く

(ウ)在イスラエル米国大使館 医療情報(英語)https://il.usembassy.gov/u-s-citizen-services/doctors/別ウィンドウで開く

10 現地語・一口メモ

もしもの時の医療ヘブライ語

医師(Medical doctor):ロフェ(רופא

看護師(Nurse):アホト(אחות

のみ薬(Pill):カドゥール(כדור

注射(Injection):ズリカ(זריקה

頭痛(Headache):ケェベイ・ローシュ(כאב ראש

腹痛(Stomachache):ケェベイ・ベテン(כאב בטן

下痢(Diarrhea):シルシュール(שלשול

発熱(Fever):ホム(חום

吐き気(Nausea):ブヒラ(בחילה

ケガ(傷)(Wound):ペツァ(פצע

病気(Illness):マハラ(מחלה

病院(Hospital):ベイト・ホリム(בית חולים

具合が悪い(I don’t feel well):アニ・ロ・マルギッシャ・トーヴ(אני לא מרגיש טוב

病院へ連れて行って下さい(Take me to a hospital):カハ・オティ・レ・ベイト・ホリム(קח אותי לבית חולים


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