世界の医療事情

イスラエル

令和2年10月

1 国名・都市名

 イスラエル国(国際電話国番号972)

2 公館の住所・電話番号

○ 在イスラエル日本国大使館(毎週土日休館)
住所:Museum Tower, 19th & 20th Floor, 4 Berkowitz Street, Tel-Aviv 6423806;
電話:03-6957292
ウェブサイト:https://www.israel.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く
 ※土日以外の休館日は暦年ごとにウェブサイトにて案内していますので、ご覧下さい。
○ 在ラマッラ出張駐在官事務所(対パレスチナ日本政府代表事務所)(毎週金土休館)
住所:Abraj House 8rd Floor, 15 Tokyo Street, Al-Masyoun Quarter, Ramallah
電話:02-2983370
ウェブサイト:https://www.ps.emb-japan.go.jp/itprtop_en/index.html別ウィンドウで開く

4 衛生・医療事情一般

 国土面積は四国と同程度ですが、南北に400㎞と細長く、ビルが林立する都市部、岩だらけの土地が広がる地方、地中海や紅海に面した沿岸部、緑豊かな北部、砂漠地帯の南部など、変化に富んでいます。

 気候は地中海性気候で、夏季は日差しが強く、テルアビブでは最高気温が30℃を越える一方、冬季は最低気温が10℃以下まで下がります。また、標高800mのエルサレムでは5℃以下まで下がり、寒暖の差が激しくなります。12月から2月は毎月10日程度雨が降り、年間降水量は500㎜を越えますが、南部の砂漠では100㎜未満で、ほとんど雨が降りません。

 都市部は医療水準が高く、外国からのメディカル・ツーリズムに対応しています。医療費は私立病院を中心に高額で、旅行者や短期滞在者は治療・救援費を補償する海外旅行者保険等に加入しておく必要があります。救急外来の受診料は3~4万円程度ですが、入院すると1日あたり一般病棟で15万円以上、集中治療室で50万円以上かかります。一般外来は、各病院のメディカル・ツーリズム部門などを介して予約が必要です。金・土・祝日は休診なので、緊急の場合は救急外来を受診します。救急医療体制は整備されており、24時間365日対応していますが、医師や看護師の不足が顕著で、救急外来では数時間以上待たされることがよくあります。電話で101番通報し救急車を呼べば、救急隊員が病状を判断して近隣の救急外来に搬送してくれます。市内の救急搬送は1.2万円程度ですが、ヘリコプターで救急搬送する場合は150万円以上かかります。ほとんどの医師は英語を話しますが、受付、技師、看護師はヘブライ語またはロシア語しか話さないことが多く、意思の疎通にしばしば苦労します。受診の際は、必ずパスポートを持参してください。

 上水道は、淡水化海水と地下水を水源としており飲用可能ですが、時折汚染があり、地域ごとに使用の中止が保健省から警告されます。また、硬水に調整されており、飲用すると下痢傾向になるため、浄水器やボトル水の利用をお勧めします。

 感染症については定点報告で集計されており、全数把握は困難ですが、水痘、消化器感染症、クラミジア症の流行が認められます。暑気にもかかわらず食品衛生管理が厳しくないので、加工食品へのサルモネラ菌やリステリア菌の混入がしばしば報告されます。

5 かかり易い病気・怪我

(1)日射病・熱中症

 夏季、特に6~8月は日射しが強く気温も高いので、日中の野外活動は控えめにし、喉の渇きにかかわらず、十分な水分を摂取するように心がけて下さい。外出には飲料水を携行し、帽子、日焼け止め、サングラスなどを使用してください。日焼け止めは薬局で購入できます。数時間おきに塗り直すことが肝要です。

(2)交通事故

 高速道路網が整備されていますが、当地の運転は荒く、車線の逸脱や急な車線変更がよくあります。通勤時間帯の幹線道路は渋滞し、割り込みや連節バスの幅寄せがあります。運転時だけでなく、歩行時も十分に注意してください。

(3)旅行者下痢

 飲料水の違いによる軽症のものから、消化管感染症によるものまで起こります。赤痢やジアルジア症の流行や、サルモネラ菌やカンピロバクター菌による食中毒も起きています。鶏卵はサルモネラ菌で汚染されていることが多いので、生で食べることはお勧めしません。夏季は30℃を越える日が続くので、食品管理には十分注意してください。

(4)花粉症、結膜炎

 杉の自生は少ないですが、春にはオリーブ、秋にはブタクサの花粉が飛散し、結膜炎・鼻炎などの花粉症が起こります。乾燥する時期には細かい砂が空中を舞い、2月~4月頃にはハムシーンと呼ばれる砂嵐が襲来することがあります。これらに加えて、排気ガスなどによる大気汚染もあり、コンタクトレンズ使用者は結膜炎を起こしやすいので、眼鏡も持参することをお勧めします。

(5)頭シラミ

 多くの子供が経験する疾患です。子供が頭皮を常に痒がっている場合は、よく観察して、髪の毛についた卵を探してください。診断は皮膚科で受けますが、治療のための漉き櫛と薬用シャンプーは当地の薬局で購入できます。

(6)毒蛇、サソリ

 毒蛇の種類はIsrael viper, Black adder, Israel mole viperが多く、毒サソリはイエロースコーピオンがもっとも危険です。毒蛇や毒サソリは北部の高原からネゲヴ砂漠までイスラエル全域に生息しており、初夏に活動性が高くなります。日中は岩陰や藪に潜んでいるので、不用意に手足を突っ込んだり、地面に座ったりしないように気をつけてください。咬まれたり刺されたりした場合は、できるだけ受傷部位を安静にし、速やかに救急外来を受診してください。症状により、抗毒素などの治療が受けられます。

6 健康上心がけること

(1)水難事故

 地中海沿岸および紅海沿岸では海水浴が楽しめますが、離岸流による事故だけでなく、死海では高濃度塩水の嚥下による事故が起きているため、監視員のいない場所や、飲酒後の遊泳は避けて下さい。また、北部河川でレプトスピラ症の感染報告がありました。

(2)性感染症

 旅行中の身軽さや海外生活の寂しさが感染に繋がります。HIVの感染は多くありませんが、梅毒、淋病、クラミジア感染症が問題になっています。性行為以外にも、刺青やピアス処置などでB型肝炎に感染することがあります。

(3)蚊媒介感染症

 夏には蚊が増加し、西ナイル熱が散発します。この疾患は、通常は軽いインフルエンザ様症状を呈しますが、まれに脳炎を起こすことがあります。輸入感染症としてはマラリア、デング熱があります。薬局で殺虫剤やDEETなどの蚊忌避剤を購入してください。

(4)皮膚リーシュマニア症

 サシチョウバエにより媒介される寄生虫疾患です。サシチョウバエの活動が活発になる6月~10月の夕暮れ時から夜明けまでの時間帯は感染リスクが高くなります。このハエは蚊の約1/3の大きさしかなく羽音もしないので見つけることは困難です。数週間の潜伏期間の後、虫刺され部に難治性の潰瘍が生じます。

(5)狂犬病

 犬、牛、ジャッカルなどの感染が北部で報告されています。発症すれば死に至りますので、むやみに哺乳類に手を出さず、もし咬まれた場合は速やかに救急外来を受診して、発症予防処置を受けてください。

(6)鳥インフルエンザ、中東呼吸器症候群(MERS)

 以前に国内でH5N1型鳥インフルエンザの感染例があります。最近では北部の七面鳥農場でH5N8型の発生が報告されています。ヒトへの感染報告はありませんが、家禽への接触は避けてください。また、MERSの感染がヨルダン、レバノン、エジプトなどの周辺国で報告されています。ラクダとの接触やミルクの食用は控えてください。

7 予防接種

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種(成人、小児)

 入国に際して義務づけられている予防接種はありませんが、不要な医療機関の受診を減らすために、成人にはA型肝炎・B型肝炎・破傷風の接種をお勧めします。また小児には、日本脳炎以外の日本の定期予防接種に加えて、A型肝炎、おたふくかぜの接種をお勧めします。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

  初回 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目
ポリオ(IPV)† 2か月 4か月 6か月 12か月 7歳  
ポリオ(OPV)† 6か月 18か月        
DPT‡ 2か月 4か月 6か月 12か月 7歳 13歳
MMRV§ 12か月 6歳        
A型肝炎 18か月 24か月        
B型肝炎 出生時 1か月 6か月      
肺炎球菌 2か月 4か月 12か月      
ロタウイルス 2か月 4か月 6か月      
インフルエンザ菌b型 2か月 4か月 6か月 12か月    
パピローマ 13歳 13歳        

†ポリオ:不活化ワクチン(IPV)に加えて経口ワクチン(OPV)を接種

‡DPT:ジフテリア+百日咳+破傷風

§MMRV:麻疹+ムンプス(おたふくかぜ)+風疹+水痘

 生後6か月以上の全年齢でインフルエンザウイルスの予防注射が推奨されており、小学2年生と3年生は学校で接種する。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 現地校の場合は、ワクチン接種証明の提出は不要ですが、インターナショナルスクールに入学する場合は、ワクチン接種証明書と健康診断書の提出が必要です。

8 病気になった場合(医療機関等)

○テルアビブ地区 Tel-Aviv District

(1)Ichilov Hospital, Tel-Aviv Sourasky Medical Center(イヒロフ病院)
所在地:6 Weitzman Street, Tel-Aviv 64239
電話:(代表)03-6974444 (救急外来)03-6973232
ウェブ: https://www.tasmc.org.il/sites/en/Pages/default.aspx別ウィンドウで開く
概要:国内で2番目の規模の国立総合病院(1200床)で、外傷センターを備えています。救急外来は、成人、小児、産科に分かれています。CT、MRI、PET、核医学などの検査施設がそろっていますが、CT、MRIの予約はかなり取りづらい状況です。
(2)Tel Hashomer Hospital, Sheba Medical Center(テル・ハショメール病院)
所在地:2 Sheba Road, Tel Hashomer, Ramat Gan 52621
電話:(代表)03-5303030 (救急外来)03-5303101
ウェブ:https://eng.sheba.co.il/別ウィンドウで開く
概要:国内最大の国立総合病院(1600床)で、外傷センターを備えています。広い敷地内に各科の建物が林立し、救急外来は敷地の奥にあります。
(3)Herzliya Medical Center(ヘルツェリア・メディカルセンター)
所在地:7 Ramat Yam Street, Herzliya 4685107
電話:(International Department) 09-9594888
ウェブ:https://hmcisrael.com/別ウィンドウで開く
概要:富裕層を対象にした私立総合病院(80床)で、救急疾患には対応していません。VIPサービスを受けることができます。1983年に開院し、2001年からメディカル・ツーリズムを実施しており、CT、MRI、PET、核医学、内視鏡検査などの設備が整っています。
(4)Ben Gurion Airport Clinic(ベン・グリオン国際空港クリニック)
所在地:Terminal 3, Ben Gurion Airport
電話:03-9752625
ウェブ:https://www.telaviv-airport.com/services.php別ウィンドウで開く
概要:国際空港にある救急診療所で、ターミナル3のレベル2の21番出入口脇にあります。24時間応急処置に対応しています。
(5)Kaplan Dental
所在地:25 Zeitlen Street, Tel Aviv
電話:03-6960650
Web: http://kaplandental.co.il/en/別ウィンドウで開く
概要:私立歯科診療所で、成人の歯科治療一般が受けられます。

◎エルサレム Jerusalem

(1)Hadassah Hospital, Ein Kerem(ハダッサ・エインケレム病院)
所在地:Ein Kerem, Jerusalem 91120
電話:(予約センター)02-5842111 (救急外来)02-6777222, 02-6777888
ウェブ:https://www.hadassah.org.il/別ウィンドウで開く
概要:NPOが運営する公立総合病院(800床)で、市内からは車で20分程度離れています。設備が整っており、救急外来があります。Mt. Scopusにも300床の同系列病院があります。
(2)Shaare Zedek Medical Center(シャーレ・ツェデクメディカルセンター)
所在地:12 Shmuel Bait Street, Jerusalem
電話:(予約センター)02-6555999 (救急外来)02-6555509
ウェブ:https://www.szmc.org.il/eng/home/別ウィンドウで開く
概要:NPOが運営する公立総合病院(1000床)で、市内にあり混雑しています。救急外来は、成人と小児に分かれています。
(3)Kurer Jackson Dental Office
所在地:Keren HaYesod St. 29, Jerusalem
電話:02-6250870
概要:歯科クリニック。邦人の通院も多く、英語がよく通じます。

○ハイファ Haifa

(1)Rambam Health Care Campus
所在地:HaAliya HaShniya St 8, Haifa, 3109601
電話:(総合案内)04-7772222(救急外来)04-7773300
ウェブ:https://www.rambam.org.il/en/別ウィンドウで開く
概要:創設は1938年。イスラエル北部最大の病院で、病床数は約1000床です。救急外来は24時間対応です。メディカルツーリズムに力を入れています。

○ラマッラ Ramallah

(1)Palestinian Medical Complex
所在地:Al-Ahli Hospital Street, Ramallah
電話:(代表)02-2982222
概要:パレスチナ政府が運営する公立総合病院群(300床)で、市内にあり混雑しています。救急外来は成人と小児に分かれています。
(2)Istishari Arab Hospital
所在地:Al-Rayhan, Ramallah
電話:(代表)02-2943200
ウェブ:http://www.iah.ps/welcome/index/en/別ウィンドウで開く
概要:ラマッラ郊外にある私立総合病院(150床)で、高度医療機器も備えています。救急外来がありますが、救急車はないので搬送は赤新月社に依頼します。

○ジェリコ Jericho

(1)Jericho Governmental Hospital
所在地:Abdul Aziz Saqr Street, New Jericho Quarter, Jericho
電話:(代表)02-2321966~1969
概要:パレスチナ政府系の総合病院です(ただし、眼科はない)。病床数は54床で24時間対応の救急外来があります。

9 その他の詳細情報入手先

(1)在イスラエル日本国大使館(日本語)
 https://www.israel.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(2)イスラエル保健省(英語)
 https://www.health.gov.il/English/Pages/HomePage.aspx別ウィンドウで開く

(3)在イスラエル米国大使館 医療機関、医師リスト2019(英語)
 https://il.usembassy.gov/wp-content/uploads/sites/33/Providers_Feb_2020.pdf別ウィンドウで開く

10 一口メモ(もしもの時の医療ヘブライ語)

もしもの時の医療ヘブライ語

医師(Medical doctor):ロフェ(רופא

看護師(Nurse):アホト(אחות

のみ薬(Pill):カドゥール(כדור

注射(Injection):ズリカ(זריקה

頭痛(Headache):ケェベイ・ローシュ(כאב ראש

腹痛(Stomachache):ケェベイ・ベテン(כאב בטן

下痢(Diarrhea):シルシュール(שלשול

発熱(Fever):ホム(חום

吐き気(Nausea):ブヒラ(בחילה

ケガ/傷(Wound):ペツァ(פצע

病気(Illness):マハラ(מחלה

病院(Hospital):ベイト・ホリム(בית חולים

具合が悪い(I don’t feel well):アニ・ロ・マルギッシャ・トーヴ(אני לא מרגיש טוב

病院へ連れて行って下さい(Take me to a hospital):カハ・オティ・レ・ベイト・ホリム(קח אותי לבית חולים

11 新型コロナウイルス関連情報

 感染者と濃厚接触したことが判明した場合は、速やかに隔離を開始し、保健省に報告することが法的に義務づけられています。また、38℃以上の発熱を生じるなど、感染を疑わせる症状が出現した場合は、保健省のホットライン(*5400)に連絡します。

 2020年3月から4月にかけての第一波襲来時は、マスクやアルコール手指消毒薬の値段が高騰し入手困難になりましたが、それ以降の供給は安定しています。スーパーや薬局で問題なく購入できます。

 医療水準に関しては、医療先進国としてのレベルが維持されています。具体的には、重症患者の受入れを行う病院は、すべて専用の集中治療室を持ち、人工呼吸器とECMO(体外式膜型人工心肺装置)を備えています。一方、懸念される点は、元来、単位人口当たりの病床数が少なく、また医師、看護師数も不足しているため、入院治療を必要とする感染者が急増した際に、医療崩壊を来す不安が払拭されていないことです。


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