世界の医療事情

令和6年10月1日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 アメリカ合衆国・マイアミ市(国際電話番号1)

2 公館の住所・電話番号

在マイアミ日本国総領事館(毎週土曜日、日曜日休館)
住所:Consulate General of Japan in Miami 80 S.W. 8th Street, Suite 3200 Miami, Florida, USA 33130
電話:305-530-9090
FAX:305-530-0950
ホームページ:在マイアミ日本国総領事館別ウィンドウで開く

(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

 フロリダ州は、米国の南東部に位置し1,900kmの海岸線を有し、人口は約2,200万人です。州中部から南部にはオーランド、マイアミビーチやキーウェストなど国際的観光地が多く、世界中から旅行客が訪れます。マイアミは亜熱帯地域に属し、11月から4月頃までは気温・湿度ともに比較的過ごしやすい時期ですが、5月から10月は雨(時に集中豪雨)が多く、高温多湿でハリケーンも来襲します。年間を通して晴天が多く日中の直射日光も強いため、紫外線対策を心がける必要があります。マイアミは中南米の玄関口として人や物資の往来も盛んなため、犯罪に巻き込まれるケースも考えられます。さらには中南米地域からの輸入感染症に罹患する危険性もありますので、来訪に際しては事前に十分な情報収集をお願いします。また、フロリダには湿地帯が多く、時期により蚊の媒介する感染症が増加します。長袖長ズボンの着用や、虫除けスプレーを使用するなどの防蚊対策を心がけてください。交通事故も多く、邦人の死亡事故も発生しています。当地でレンタカーなどを運転する際は、事故に巻き込まれないように十分注意する必要があります。マイアミを含めフロリダ州は最新医療設備と技術を有する医療機関が多く、海外から最新の医療サービスを求め来訪する外国人も見られます。しかし、医療費は米国の中でも高額で、医療保険の有無により受けられる医療に格差が生じています。来訪に際しては、海外旅行傷害保険の加入を強く推奨します。

5 かかり易い病気・怪我

(1)熱中症、脱水症

 年間を通して直射日光が強く、また特に夏期は高温多湿となるので熱中症、日焼けに注意が必要です。フロリダ州には、世界有数の観光施設が数多くあり、その規模も大きいことから、知らず知らずのうちに脱水から熱中症にかかってしまう方もいます。帽子をかぶる、日陰に入って時々休む、必要な水分と塩分を十分に取るなどの予防策をとることが重要です。日常生活の範囲内でも熱中症は発生します。高齢者、基礎疾患のある方は特にご注意ください。

(2)下痢症、食中毒

 年間を通じてレストラン等の飲食施設での食事由来と推察される感染性胃腸炎(食中毒)の発生が報告されており、原因は細菌、ウイルス、寄生虫等多岐にわたります。外食の際にはしっかりと調理された料理を食するようにして下さい。マイアミを含む熱帯地方ではシガテラ毒による食中毒というものがあり、熱帯及び亜熱帯の主としてサンゴ礁の周囲に生息するシガテラ毒魚を摂取することによって発生します。腹痛、下痢などの食中毒症状に加え、ドライアイスセンセーションと呼ばれる口周囲や手足のしびれが発生することが特徴的です。世界中で毎年約2万人もの人が中毒を起こしており、米国ではほとんどが、フロリダ州とハワイ州で報告されています。

 当地のような暖かい地域の海中に常在し、経口、経皮感染をおこす、ビブリオ・バルニフィカス菌感染症は、いわゆる『人食いバクテリア』の原因の一つとして近年認知されるようになりました。患者の多くは、何らかの原因で免疫力の低下している方、特に慢性の肝疾患を患っている方が発病しやすい傾向があります。症状は四肢や体幹に紅斑が出現、皮疹、発熱、吐気、嘔吐、下痢、血圧低下などが起こります。感染様式は、菌に汚染した甲殻類(貝や海老、カニなど)を生で、もしくは十分加熱せずに摂取して感染する、海水中の菌が外傷から浸入する、または貝殻などで足を怪我して感染する等です。予防には、魚介類の生食を避け、加熱調理した食品を食べるようにする、傷口や擦り傷がある人は海水に入らない、ほか、岩場で素足になることは避けるようにするなどです。

(3)スポーツ事故による外傷など

 マリンスポーツの盛んなフロリダでは、毎年多くの水難事故やマリンスポーツに関わる怪我が発生しています。ダイビング、ジェットスキーなどのマリンスポーツを予定されている方は、十分ご注意下さい。海外旅行保険の契約によっては、一部のマリンスポーツに関わる事故や怪我が保証対象外となる場合もありますので、各自で契約されている保険定款を事前にご確認下さい。

 ワニによる咬傷事故については、湖沼の多いフロリダ州で多数報告されています。遊泳場所に指定されていないところで泳がない、餌を与えない、遊んだり、傷つけたりしない、同行するペットを池の水辺に近づけない、ワニの大きさにかかわらず、命を脅かす危険性があるため、出会った場合には専門家に通報して対応を任せて自分で排除しようとしない等を守るようにしてください。

(4)自然災害(ハリケーン、竜巻、落雷)

 フロリダは、落雷による死亡者数と単位面積あたりの落雷数が全米一多い州です。例年多くの落雷による死亡例が発生しています。季節的には5月から9月に多く、ゴルフやボート遊びなどの屋外活動を行う際は天気予報などを参考に、急激な天候の変化等に気を付けてください。

 毎年6月から11月はハリケーン・シーズンです。ハリケーンやその他の自然災害情報は随時公共の報道機関からの正確な情報を注意深く追うようにして、総領事館などの情報源も逐次確認するようにしてください。水、食品などの備蓄品は定期的に備蓄状況を確認し、管理には十分ご注意ください。

(国立ハリケーンセンター:NATIONAL HURRICANE CENTER and CENTRAL PACIFIC HURRICANE CENTER別ウィンドウで開く

(5)蚊の媒介する感染症など

 ウエストナイル熱は、イエカやヤブカが媒介するウエストナイルウイルスによる感染症で、脳炎を併発し、場合によっては死に至ります。2003年の大流行では全米で約1万人の患者が出て以来、漸減傾向にありましたが、2012年にはフロリダ州でも73人の患者が確認され、内3人が死亡しています。2013年以降は大きな流行はなく、フロリダ州の患者数は数名から10数名で推移しています。

 デング熱やチクングニア熱は、フロリダ州でも毎年地域性に小流行が認められます。デング熱に関しては、フロリダ州において2024年10月時点で例年の2倍の患者が発生しており、そのほとんどが中南米やカリブ諸国からの輸入感染例とされています。現在マイアミは、米国におけるデング熱のホットスポットとなっています。デング熱ウイルスを媒介するネッタイシマカはフロリダ州全域に生息しているため、今後も渡航者を介してウイルスが持ち込まれ散発的な流行が続く恐れがあります。渡航に際しては、最新の情報を得るように心がけてください。デング熱のほとんどは重症化することなく回復しますが、一部で出血傾向を伴うデング出血熱やショック状態になる場合があり、死亡することもあります。

 蚊媒介疾患の予防策としては、蚊に刺されないようにすることが最も大切です。戸外に出るときは、虫よけスプレーの使用や、できる限り長袖、長ズボンを着用すること、蚊の活動が活発な日の出や夕暮れ時の外出を避けること、居住空間近辺の蚊の発生しそうな下水、水回りの清掃をお勧めします。なお、マラリアは米国内ではほとんど感染のリスクはありません。

 その他、フロリダ州の中央から南部にかけての湿地帯においては、アブ、ブヨなどによる刺傷例が毎年報告されています。

6 健康上心がけること

  1. 屋外で活動する際には、十分な水分を摂取し直射日光に対する防護策(適宜、水分・塩分を補給すること、帽子、長袖、サングラス、日焼け止めクリームを使用するなど)を講じてください。また適度な休息をはさむことも重要です。
     エバー・グレーズ(フロリダ州中心から南部を占める湿地帯)、その他の自然環境地域を訪問する際には、虫(蚊、アブなど)に刺されないように防御策(長袖長ズボンを着用し、虫除けスプレー・クリームを使用するなど)をお願いします。
  2. 公園、ゴルフ場などでは、小動物(リス、野ネズミ、アライグマ、野鳥など)がよく見られますが、狂犬病や鳥インフルエンザなどの感染の恐れがありますので、安易に触らないようにしてください。
  3. 当地渡航の際は、海外旅行傷害保険などに加入して高額医療費が発生する事態に備えてください。さらに基礎疾患のある方は、事前にかかりつけの医師、専門医などを受診し、処方箋や病気の状態、経過などを英訳した診断書などを書いてもらい、旅行中は携帯しておくことをお勧めします。

7 予防接種(ワクチン接種機関含む)

(1)赴任者に必要な予防接種

 日本からの旅行者は、入国に際し法的に必要な予防接種はありません。

(2)現地の小児定期予防接種一覧(2024年)

接種時期 予防接種の種類等
出生時 Hep B(B型肝炎ワクチン)
1から2か月 Hep B(2回目)
2か月 DTaP(ジフテリア・破傷風・百日咳ワクチン:1回目)
Hib(インフルエンザ桿菌b型ワクチン:1回目)
IPV(不活化ポリオワクチン:1回目)
PCV13(肺炎球菌ワクチン:1回目)
Rotavirus(ロタウイルスワクチン:1回目)
4か月 DTaP(2回目)、Hib(2回目)、IPV(2回目)
PCV13(2回目)、Rotavirus(2回目)
6か月 DTaP(3回目)、Hib(3回目)、PCV13(3回目)
Rotavirus(3回目:ワクチンのブランドにより不要なことあり)
6から18か月 Hep B(3回目)、IPV(3回目)
12から15か月 MMR(麻疹・流行性耳下腺炎・風疹ワクチン:1回目)
VAR(水痘ワクチン:1回目)、PCV13(4回目)、
Hib(4回目:ワクチンのブランドにより不要なことあり)
12から23か月 Hep A(A型肝炎ワクチン:1回目、2回目は6から18か月後)
15から18か月 DTaP(4回目)
4から6歳 DTaP(5回目)、IPV(4回目)、MMR(2回目)、VAR(2回目)
11から12歳 Tdap(思春期以後用の破傷風・ジフテリア・百日咳ワクチン)
HPV(パピローマウイルスワクチン:年齢により男女共2から3回接種)
MCV(髄膜炎菌ワクチン:1回目)
16歳 MCV(2回目)
参照:

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 入学・入園に際しては、(2)の定期予防接種が年齢相応に終了していなければならず、それを示す予防接種証明書(ブルーフォーム)を提出する必要があります。不足がある場合には、小児の予防接種を実施している施設(小児科クリニックや郡の保健センターなど)にて追加接種を受け、そこでブルーフォームを発行してもらいます。この際、日本などで受けた過去の予防接種記録を参照・転記する必要があるため、母子手帳の予防接種欄の英訳版を事前に作成しておいて下さい。

各郡の最寄りの保健センターの検索
County Health Departments - Location Finder (Florida Health)(英語)別ウィンドウで開く
住所、郡名を入力して検索。
郡保健センターでは6か月から18歳までの子供の予防接種はすべて無料で受けられます。
学齢に応じた入学時予防接種の一覧や、入学時に必要な書式の紹介(Miami-Dade郡)
Immunization and Record Requirements (Florida Health)(英語)別ウィンドウで開く

 また予防接種以外に、ツベルクリン反応は入学時に必須の検査です。陰性の場合問題ありませんが、日本人ではBCG接種によって陽性になることがあります。この場合、胸部レントゲン検査や血液検査(QuantiFERON-TB Gold Plusなど)を受け、感染の有無の確認を要求されます。これらの検査は郡保健センターでも受けられます。

(4)乳児健診

 必要な乳幼児定期予防接種を小児科等で接種する際に、同時に健診が行われています。必要があれば専門医に紹介されます。

8 病気になった場合(医療機関等)

マイアミ

(1)Mount Sinai Medical Center
所在地:4300 Alton Road, Miami Beach Miami, FL 33140
電話:305-674-2121
国道(インター・ステート)195号線沿い。マイアミビーチ市にあります。サウスビーチを訪れる多くの観光客が傷病の際には、最も近い私立総合病院です。24時間救急対応可能。
ホームページ:Mount Sinai Medical Center(英語)別ウィンドウで開く
(2)Jackson Memorial Hospital
所在地:1611 NW 12th Ave, Miami, FL 33136
電話:305-585-1111
ダウンダウン北部のマイアミ中心部に位置する、Miami-Dade郡最大の公立総合病院です。
マイアミ周辺エリアの成人緊急傷病事例、交通外傷、銃創などは、救急車やヘリコプターなどの緊急搬送システムにより同病院の外傷センターに搬送されます。24時間救急対応可能。
ホームページ:Jackson Memorial Hospital(英語)別ウィンドウで開く
(3)HCA Florida Mercy Hospital
所在地:3663 South Miami Ave Miami, FL 33133
電話:305-854-4400
ブリッケルの南、ビスカヤ博物館となりに位置し、市内中心部より無料トローリーバスで移動可能です。
私立の総合病院で、ダイビング等による潜水病治療施設があり、カリブ諸国からも患者が搬送されてきます。24時間救急対応可能。
ホームページ:HCA Florida Mercy Hospital(英語)別ウィンドウで開く
(4)Baptist Hospital in Miami
所在地:8900 N. Kendall Dr. Miami, FL 33176
電話:786-596-1960
マイアミ南部にある私立の総合病院です。設備は最新式のものが多く、南フロリダに展開するBaptist系列病院の中核病院です。心臓血管研究所が併設されています。24時間救急対応可能。小児救急受け入れ可能。
ホームページ:Baptist Hospital in Miami(英語)別ウィンドウで開く
(5)Nicklaus Children's Hospital
所在地:3100 SW 62 Ave, Miami, FL 33155
電話:305-666-6511
小児の専門病院で、私立総合病院です。24時間救急対応可能。
ホームページ:Nicklaus Children's Hospital(英語)別ウィンドウで開く

以下、マイアミ及びマイアミ周辺の日本語受診可能な医療関係者(一部)

(6)Dr. Marisela S. Watanabe:D.O.家庭医、ホームドクター
(Care Resource in little Havanaに勤務)
所在地:1901 SW 1st St, Miami, FL 33135
電話:305-576-1234
(7)浅井 由美子:鍼灸治療・漢方治療医
(DAOM:Doctor of Acupuncture and Oriental Medicine)
所在地:501 SE 2nd St, Fort Lauderdale, FL 33301
電話:786-859-6170
(8)水原 きょうこ(開業名Dr. Kyung-ja Baek):一般歯科
所在地:50 NE 26th Ave Suite 403 Pompano Beach FL 33062
電話:954-946-6626
(9)日暮 沙織:音楽療法士(MM、MT-BC)
所在地:12864 Biscayne Blvd. Suite 297, North Miami, FL 33181-2007
電話:305-202-0224
ホームページ:Playful Notes(英語)別ウィンドウで開く
(10)Dr. Kaori Kato Friess, P.H.D.:臨床心理学者
(オンラインでのカウンセリング専門)
所在地:5633 Strand Blvd. #317 Naples, FL 34110
電話:239-566-7717

 旅行保険に加入されている場合は、どの病院を受診できるのか、どのような治療が可能なのか、ご加入の保険で細かく規定されています。病院受診の前に、まずご加入の保険会社にお問い合わせて下さい。旅行保険に加入していない場合には、現金またはクレジットカードによる医療費の支払いが必要となります。米国の医療費は高額で、入院を必要とする際には数万ドルの保証金を請求されることがあり、クレジットカードの支払い上限額を超えることが多々ありますのでご注意下さい。

域内に展開する大手簡易クリニックなど

 軽い症状の疾病(かぜ、胃腸炎など)、新型コロナウイルス感染症抗原検査、予防接種など:24時間対応ではありませんが、比較的気軽に受診可能なクリニックで、比較的安価に受診可能です。

10 一口メモ(もしもの時の医療英語)

 「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療英語)を参照願います。

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