世界の医療事情

ウズベキスタン

平成28年10月

1 国名・都市名(国際電話番号)

 ウズベキスタン共和国(国際電話国番号998)

2 公館の住所・電話番号

在ウズベキスタン日本国大使館 (毎週土日休館)
住所:Embassy of Japan, 1-28, Sadyk Azimov St., Tashkent, 100047, Republic of Uzbekistan
電話:(8371) 120-8060~63,Fax:(8371) 120-8077
ホームページ:http://www.uz.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(注)土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので,ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

 ウズベキスタンは二重内陸国(国境を2回越えないと海に出られない国)で,国土は北西から東に細長く延びており,西側は比較的平坦ですが東側は起伏に富み,山地・丘陵・盆地があります。

 首都タシケントは,北緯41度20分(青森県津軽半島付近),標高420~500メートルに位置し,典型的な大陸性気候で1日の寒暖の気温差も激しく,夏は40℃前後の気温となり,冬はマイナス10℃程度となることがあります。

 保健・医療は,独立後の経済困難のため最も整備の遅れている分野の一つで,医療器材・医薬品・衛生用品・医療情報などの医療資源全般が恒常的に不足しています。一般に提供される医療サービスの質は先進国と比較してかなり低く,SOSインターナショナルのヘルスマップ2016でも医療レベル危険地域とされています。日本人が安心して手術・出産などが行える入院可能な医療施設はないのが実情です。また,救急システムも遅れており,救急コールをしても実際に救急車が現地に到着するまでにタシケント市内でも1時間以上かかることがあると言われています。

 したがって,旅行や滞在に際しては海外旅行傷害保険に加入し,万一の受傷・発病の際に受けられるサービス(高額な緊急移送を含む)や手続き方法を予め確認しておくことが必要です。

 市内の薬局では医薬品の購入は可能ですが,西欧の医薬品の入手は難しく,インド,ロシア,中国で製造された医薬品がほとんどです。医師の処方箋なしで抗生物質を購入できることから多剤耐性結核などの耐性菌発生が問題となっています。また,偽薬の横行も指摘されています。

 なお,世界保健機構(WHO)の統計によると,死亡原因の第1位に心臓循環器系(54%),第2位は感染症・母子関連疾患・栄養失調疾患(14%),第3位は生活習慣病以外の疾患(12%)であり,そのうち非感染性疾患が全体の約8割をしめています。平均余命は男性67歳,女性72歳です。

 また,安全で安定した水道水の完備および下水道の完備や食品の衛生管理,トイレの衛生管理が不十分であり,咳エチケットの文化の普及も不十分なので注意をする必要があります。

5 かかり易い病気・怪我

 ウズベキスタン保健省あるいは地域の保健所は,どの地域でどのような感染症が流行しているかなどの正確な医療情報を一般市民に提供していません。

(ア)下痢症

 上下水道設備が不十分であり食品衛生管理が十分に徹底されていないため,いわゆる「食あたり」の他,感染性(細菌性・ウイルス性あるいは寄生虫)胃腸炎には一年を通して十分に注意する必要があります。これらの感染症はヒトの糞便などで汚染された食物や水を媒介として感染します。外食時,特に屋台での飲食は十分注意をしてください。また生肉の摂取はやめてください。製造月日が不明な,冷蔵管理状況の不良な食品の摂取にも十分注意をしてください。細菌性赤痢・腸チフス・サルモネラ菌を原因とする下痢症あるいはジアルジア(寄生虫)症に罹患する可能性もあり,以下に簡単に説明します。

 細菌性赤痢は1~3日の潜伏期の後に,悪寒を伴う急激な発熱,水溶性下痢を呈し,脱水を引き起こします。対症療法としての強力な止痢剤は除菌を遅らせる危険性があるため,使用しないでください。乳酸菌,ビフィズス菌などの生菌整腸薬を併用し,脱水が強い場合は静脈内あるいは経口輸液(スポーツ飲料でよい)を行います。成人にはニューキノロン系抗生剤を使います。

 腸チフスは10~14日の潜伏期の後に,40℃まで達する高熱で発症します。その他徐脈・バラ疹・脾臓が腫れるなどの3主徴に下痢・下血がみられます。ニューキノロン系抗生剤が第1選択薬です。

 サルモネラ菌は鶏・豚・牛などの動物の腸管,下水など自然界に広く分布しています。8~48時間の潜伏期の後に,腹痛,水様性下痢,発熱などの症状を呈します。基本的には赤痢と同様の治療を行います。

 ジアルジア症の病原体はランブル鞭毛虫です。下痢は必発で,発熱は多くの場合見られません。治療にはニトロイミダゾール系抗原虫薬が用いられます。

(イ)熱中症・日焼け

 夏季は気温が40℃前後となり,また雨は降らず湿度が低いため,熱中症にかかりやすい状況です。こまめに水分補給を行ってください。また,日焼けにも十分な対策と注意が必要です。

(ウ)交通事故

 道路整備および交通安全対策施設などが不十分な上,交通ルールを順守するという概念が希薄ですので,交通事故には十分注意する必要があります。日本では大事に至らないような外傷でも,当地の医療事情では不測の事態になる可能性があります。

 また輸血製剤の安全性も確立されていないため,緊急時に安全な輸血を受けることは難しいです。

(エ)上気道炎

 冬期は暖房使用により室内が乾燥するため,上気道炎などに罹ると,咳などの症状が長引くことがあります。

(オ)その他の細菌感染

 ブルセラ症・炭疽など,日本ではほとんどみられない感染症も報告されています。ブルセラ症や炭疽は感染動物の肉・乳製品などを介して感染します。

 ブルセラ症は1~3週間の潜伏期の後に,発熱,全身の疼痛感などで発症します。テトラサイクリン系の抗生剤が有効とされています。また炭疽については,2014年7月にシルダリア州,6月にサマルカンド州で集団感染が発生しています。

(カ)寄生虫感染

 エキノコックス症はウズベキスタンの風土病です。虫卵を含む水,食物を経口摂取することで感染します。感染から10年以内は無症状で経過します。その後,肝腫大による腹痛などの症状が突然出現し,外科的手術が唯一の根治治療です。当地では年間約5,000例の手術が行われています。シャシリクの生焼きには注意をしてください。

 また,リーシュマニア症がナマンガン,ブハラ,ナボイ,カシカダリア,スルハンダリア各州,及びカラカルパクスタン共和国で報告されています。体長が2~3ミリメートルのサシチョウバエの刺咬により原虫が体内に入り感染します。したがって,長袖・長ズボンを着用するなど防虫対策の工夫をしてください。

(キ)ウイルス性肝炎・その他のウイルス疾患

 A型肝炎,B型肝炎,C型肝炎の発生が報告されています。A型肝炎はヒトの糞便で汚染された食物を摂取することで感染します。2~6週間の潜伏期の後に,発熱,倦怠感,食欲不振を訴え典型的な症例では黄疸を認めます。

 当国では小児に対しA型肝炎ワクチン接種が勧奨されています。また,ウズベキスタンでは,使い捨て注射針の適正な使用方法の不徹底がB型肝炎,C型肝炎の感染蔓延の原因として懸念されています。当国ではB型肝炎ワクチンは小児の定期予防接種の一つとなっています。さらに,ウズベキスタンはマダニの刺咬で発症するクリミア・コンゴ出血熱の発生地域です。

(ク)結核

 ウズベキスタン国立結核センターの報告によると,2015年の結核罹患率は46人/人口10万人です。また,WHO(世界保健機関)の報告では,ウズベキスタンでは治療が困難である多剤耐性結核患者が新規患者のうち23%を占め,多剤耐性結核罹患率の高さでは世界のトップ20に入っています。特にカラカルパクスタン共和国地域に多剤耐性結核患者が多く発生しています。一方で,病院における結核診断能力は高くなく,さらに医療機関内での結核に対する感染予防対策は不十分です。

(ケ)狂犬病

 ウズベキスタンは狂犬病の発生地域です。タシケント市内では野良イヌや野良ネコを頻繁に見かけ,狂犬病ウイルスを保有している可能性もあるため,注意してください。狂犬病の潜伏期間は1~2ヶ月で,狂犬病を発病した場合,ほぼ100%死亡します。

 イヌやネコなど哺乳動物に咬まれたり,ひっかかれた場合は早めに病院を受診し狂犬病ワクチンの接種を受けてください。

(コ)HIV感染

 共和国AIDSセンターの報告によると,現時点での国内HIV感染者登録数は約33,000人で,HIV感染者数は人口10万人あたり13人と推定されています。使い捨て注射針の適正な使用方法の不徹底が原因のHIV院内感染も問題となっていますので,病院で採血を行う際は未使用針であることの確認を患者自身が行う必要があります。

(サ)有害虫による刺咬傷

 南京虫(トコジラミ)は吸血性の昆虫でウズベキスタンでは珍しくありません。夜間に室内に出没し,眠っているヒトの露出している肌を刺します。刺咬する際に唾液を体内に注入するため,アレルギー反応を引き起こし,激しいかゆみを伴う発疹を引き起こします。病気を媒介することはありません。

 南京虫はカバンなどに潜み,旅行者とともに移動することもありますので注意が必要です。ホテルに着いたら,南京虫のサイン(壁,ベッドシーツの裏,枕の中などに茶色あるいは赤黒い小さな染みの存在)を確認することをお勧めします。サインを認めた場合は部屋を変えてもらうなどの対処が必要です。駆除には,専門業者に依頼するしか対処法はありません。

 その他,屋内ではダニ,ノミ,サソリ(猛毒ではない)による刺咬にも注意が必要です。また当地は猛毒のクロゴケグモの生息地ですので,山林を歩く際は注意をしてください。

6 健康上心がける事

(ア)洗浄不十分な生野菜,調理不十分な魚介類・肉類の喫食は避けてください。食物内の昆虫の混入にも注意してください。屋台での外食は避けてください。

(イ)水道水をそのまま飲用水として用いることは避け,浄水器を通し,さらに煮沸して使用してください。

(ウ)夏期には熱中症・日焼けなどに注意が必要です。日傘の使用,帽子の着用,水分の携帯をこころがけてください。外出時は日焼け止めを使用してください。

(エ)冬期には主に室内での生活となるため運動不足となり,また野菜・果物などの食料品は限られたものしか入手できないことがあり,不健康になりがちです。健康維持のために工夫が必要となります。また室内の乾燥に気をつけてください。

(オ)運転中,歩行中ともに交通事故にご注意ください。また交通事故が多発していますので,シートベルトのない車両には乗らないようにしましょう。

(カ)公共施設のトイレは衛生環境が不十分なところが多く見受けられます。紙や手ふきの携帯をお勧めします。

(キ)マスクやバンドエイドなどの機能性の高い衛生用品の購入は困難ですので,日本製品の持ち込みをお勧めします。

(ク)外国で生活をしていると様々な精神的ストレスを感じます。身体の健康ばかりでなく心の健康にも気を配る必要があります。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(ア)赴任者に必要な予防接種(成人,小児)

 入国時に法的に求められる予防接種はありませんが,A型およびB型肝炎,破傷風トキソイドの(追加)接種は当地で生活していく上で最低限必要と思われます。狂犬病については,赴任者の職場環境や行動地域を考慮して,実施の要否を検討ください。

(イ)ウズベキスタンの定期小児予防接種一覧

ウズベキスタンの定期小児予防接種一覧
  初回 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目
BCG 生後2~5日 7歳 14歳~15歳      
ポリオ(OPV) 生後2~5日 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 16ヶ月 7歳
DPT 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 16ヶ月    
DT 7歳 16歳        
MMR(風疹・麻疹・ムンプス混合) 12ヶ月 6歳        
麻疹(はしか) 実施されていない          
ムンプス(おたふく風邪) 実施されていない          
風疹(ふうしん) 実施されていない          
B型肝炎 生後1日 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月    
インフルエンザ菌b型(Hib) 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月      

(注)その他の情報:現地第1診療所(ポリクリニカ)で使用されている無償ワクチンの多くはインド製です。ロタウイルス・5種混合ワクチンも接種可能。BCGは日本では1回ですが,当国では3回。日本ではMRワクチンを使用していますが,当国ではMMRを使用しています。ポリオは,日本と違い経口ワクチンで計6回。日本と異なり,日本脳炎,肺炎球菌やHPVワクチンは定期接種ではありません。

(ウ)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 インターナショナルスクールに入学・編入する時は,予防接種および接種証明書が求められますので,詳細については希望する学校に予め問い合わせてください。その上で,日本の母子手帳に記載されている接種済みのワクチン名と接種時年齢を確認し,必要があれば下記のTIC(タシケント国際クリニック)などで予防接種を受け,接種証明書を書いてもらうことになります。なお,乳幼児健診については,外国人子弟に対し日本で行われているような健診はありません。下記のTICで乳幼児健診(有料)を受けることができます。

8 病気になった場合(医療機関等)

タシケント市

(1)Tashkent International Clinic (TIC) Ташкентская международная клиника
住所:38, Sarikul street, Tashkent 100105, Uzbekistan
ул. Сарыкуль 38, г. Ташкент, 100105, Республика Узбекистан
電話:午前8時30分-午後5時(99871)291-0142,291-0726,120-1120,120-1144
上記診療時間以外の救急(99871)327-3378,291-0142,291-0726
FAX:(8371)291-2246
ホームページ:http://www.tashclinic.org別ウィンドウで開く
E-mailtic@tashclinic.org
診療時間:月から金曜日 午前8時半から午後5時まで。土日曜日休診。
概要:原則として,外国人のみ利用できるクリニックで,英語での受診が可能です。 歯科もあります。現在2名の米国人医師(総合内科医・小児科医)が在籍。入院施設はなく,出産・外科手術などは行っていません。日本の診療所程度で,家庭医的な一次的検査治療が行えるのみです。レントゲン検査, エコー検査が可能で,医療機器の多くは西欧製です。西欧製ワクチンの接種が可能ですが,事前に確認する必要があります。抗狂犬病ウイルス免疫グロブリンも常備しています。なお,査証が失効した場合は診療を受けることはできません。支払い方法はクレジットカードのみです。
(2)VITAMED
住所:109 A, Sh. Rustaveli street, Tashkent Uzbekistan
ул. Ш. Руставели, 109 А, Ташкент, Узбекистан
電話:(99871)129-8181,129-8282,
救急車依頼:(99871) 125-0003
ホームページ:http://vitamed.uz/ru/別ウィンドウで開く
E-mailinfo@vitamed.uz
診療時間:月から土曜日 午前8時から17時半まで。日曜日休診。
概要:私立総合病院。インドにあるMedanta病院のブランチです。医師はウズベク人です。基本,ロシア語あるいはウズベク語対応ですが,英語の通訳がいます。診療科目は内科,神経内科,外科,小児科,産婦人科,歯科等です。重症に対応する大きな手術はできません。ドイツ製Ford社の高機能救急車を所有しており,依頼可能です。MRI,CT,超音波装置(ドイツ製),内視鏡(日本製)など高度検査医療器機が揃っています。ICU 4床と一般病床18床があり入院可能です。支払いは現地通貨(スム)払いです。

9 その他の詳細情報入手先

(1)在ウズベキスタン日本国大使館 ホームページ:
http://www.uz.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

10 現地語・一口メモ

 医療用語についてはロシア語圏の医療事情或いは「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療ロシア語)をご参照願います。


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