世界の医療事情

ウクライナ

平成28年10月1日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 ウクライナ(国際電話国番号380) キエフ市(044)

2 公館の住所・電話番号

在ウクライナ日本国大使館(毎週土日休館)
住所:Business Centre Europe, 7th & 8th Floor, 4, Muzeiny Lane, 01901 Kyiv, Ukraine
電話:(380-44)490-5500(代表)
490-5501(領事班直通:勤務時間中のみ)
ホームページ:http://www.ua.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(注)土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので,ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

 西欧化が進む中で,医療面については西欧諸国と比較して依然として立ち後れています。特に国公立病院については予算不足等の影響があり十分な医療機器が整備されていないこともあります。欧米で教育を受けた医師や英語を話す医療関係者は少ないのが現状です。

 医療制度:医療は憲法上保証された基本権利とされ,ウクライナ国民は原則無料にて医療を受けることができます。しかし,予算不足などで十分なサービスが提供できておらず,国民健康保険制度導入に向けて政府は作業中です。外国人患者は基本的には医療費全額を負担しなければなりません。交通事故・けが・急病の場合には市の救急車により救急センターに運ばれます。その場合において最低限の治療は確保されますが,予算不足によりウクライナ国民でさえも注射・薬・フィルム・手術代等の費用を自己負担しているのが現状です。診療の際は,ほとんどの場合でウクライナ語かロシア語しか通用しません。

 外国人の受診:前述の通り国公立病院の医療水準や言語・サービス面への不安から,外国人の多くは私立医療機関を受診することが多いようです。キエフ市内には欧米型の私立医療機関が数カ所開設され,ウクライナの富裕層や欧米人を中心に利用されています。医療費は,1回の診察,簡単な検査で,数百米ドル以上となります。そういった欧米型私立医療機関では,英語でコミュニケーション可能な医師や通訳を備えているところが多くなりました。

 2007年には入院可能な私立総合病院がキエフで開院し,医療設備・従事者・言葉・サービス・術後管理などの点から,一般診断・小手術・緊急入院・内科的な治療・国外搬送までの待機入院等に利用可能となりました。その後も新たな医療機関が開院しています。しかし,設備面やサービス面では欧米型でも, 医療内容が追いついていない例も散見されますので, 専門的な診断・精密検査・予定手術など時間に余裕のある場合は,西欧諸国へ行くか,日本へ帰国することをお勧めします。歯科治療については比較的進んでおり,一般的な歯科治療に加え矯正やインプラント等も可能です。医科,歯科ともに,外国人の場合は当国の医療保険が適用されないので,費用はすべて自己負担,原則として全額現金払いです。一部の医療機関ではクレジットカードでの支払いが可能となっています。私立医療機関受診による高額な医療費,緊急移送費を考慮して,可能な限り十分な補償額の海外旅行傷害保険に加入することを強く勧めます。歯科についても,旅行・赴任前に健診と治療を受けておくことをお勧めします。

(注)医薬品:一般的に使用される薬は,処方箋なしで販売されていますが,カウンターで欲しい薬を告げて出してもらうという方式ですので,言語と医薬品名に精通していないと購入はハードルが高いでしょう。新薬等入手が困難なものもあり,また,偽薬(約20%といわれています)や期限切れの薬品も出回っていますので注意が必要です。常用薬や常備薬は日本から十分量を持ち込むことをお勧めします。

(注)水道水:キエフ市内に限り上下水道は,かなりの範囲で普及していますが,保健省は煮沸などの処理をしない水道水は飲用しないようにと警告しています。また,オデッサなどのドナウ川に近い地域では飲用水からのA型肝炎感染が報告されているようです。50年以上経過した水道管が多く,水質基準値を越える一般細菌が認められることがあります。鉄さびや砂のようなゴミ,薄緑色や赤茶色に濁った水が出ることも日常的で,白い衣類が洗濯によって黒ずんでくることがあります。また,超硬水ですので, そのままの成分で飲むと下痢をしやすくなります。

5 かかり易い病気・怪我

(1)春から秋に食中毒(キノコ中毒を含む)の症例が発生し,また,秋から冬にかけてはノロウイルスなどが原因の感染性胃腸炎(下痢)が見られます。

(2)冬期(10-4月)には,スパイクタイヤから出る粉塵,重油暖房による大気汚染などが原因で呼吸器感染症(頑固な咳)が見られます。

(3)抑うつ状態:冬期の日照時間減少やロシア語(またはウクライナ語)しか通じないコミュニケーション不足による引きこもり傾向などが原因です。

(4)冬は雪や凍結で路面が滑りやすく,転倒にはくれぐれも注意が必要です。また屋根から落下した雪や氷による外傷により,ケガをしたり死亡したりする例が毎年報告されています。

6 健康上心がける事

(1)食料品

 1年を通じて食中毒を含む胃腸炎の症例が発生していますので,生ものや,サラダなど水洗いしたものに注意してください。ウクライナ料理,ロシア料理はこってりした物が多く,肉やチーズなどの動物性蛋白質,油,塩分の摂り過ぎは,日本人の胃腸には負担となります。

 また、ウクライナの食中毒の特徴として自家製ソーセージを原因とするボツリヌス中毒,初夏のキノコ狩りシーズンにおける毒キノコ中毒が多数報告されています。正式な流通経路に乗った食品は概ね安全と考えますが,道ばたの露天で販売されているこれら食品は避けたほうが無難でしょう。

 放射能汚染の影響はずいぶん減少したと発表されていますが,汚染が蓄積ないし濃縮されやすい野生のキノコ類,野イチゴ,畜産製品を購入する際は生産地を考慮した方が良いと言われています。

(2)飲料水

 水道水については,一般細菌の混入,配管の老朽化による鉄・鉛・アルミニウム等の金属類の混入が認められます。特別な浄水器を利用するか,市販のミネラルウォーターを飲用することを勧めます。放射能汚染が不安な方はRO浄水器を設置してください。

(3)大気汚染

 急激な自動車の増加による慢性的な渋滞等に伴い大気汚染も深刻な状態が続いています。異臭・目の痛みを感じることがあります。

(4)長い冬

 冬季(5ヶ月),外気温は零度以下で寒くなる反面,室内は暖房により20度前後と暖かく,かなり乾燥(湿度30-40%)しています。そのため,呼吸器感染症・インフルエンザ等が流行し易くなります。外出時は防寒服を着用し,室内では加湿器を使用したり,外出後はうがいや手洗いを行うほうがよいでしょう。また,長く陰鬱な気候が続くため,気が滅入り抑うつ状態になりやすいので,上手に気分転換を図る工夫が必要です。

(5)その他

  • 結核感染蔓延率は日本の6倍です。人混みや咳をする人を避けてください。
  • HIVの蔓延率は日本の20倍です。不特定多数との性交渉はリスクがあるとお考えください。
  • 交通ルールを無視する車が多いので,交通事故に注意してください。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)

 赴任者にお勧めする任意の予防接種はA型・B型肝炎,破傷風です。長期滞在者や地方滞在者,または中欧や中央アジア方面へ出かける機会が多い方は,狂犬病,腸チフス,ダニ脳炎も考慮した方が良いでしょう。当国では定期予防接種率が低く,ポリオの再興が危惧されています。麻疹・風疹・水痘の散発的な流行も見られますので, 成人でも最後接種から20年以上経っている方はこれらの疾患に対するワクチン再接種もご検討ください。ジフテリア・破傷風についても, 最後の予防接種から10年を経過しているのであれば再接種をご検討ください。

(2)小児の定期予防接種一覧

小児の定期予防接種一覧
予防接種の種類 初回 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目 7回目
BCG 3-5日 7歳          
B型肝炎 1日 1ヶ月 6ヶ月        
DTP 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 18ヶ月      
DT         6歳    
Td           14歳 18歳
ポリオ(OPV) 5ヶ月 18ヶ月 6歳 14歳      
MMR 1歳 6歳          
DTwP・Hib・IPV 3ヶ月 4ヶ月          
DTwP 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 18ヶ月      
Hib 18ヶ月            

(注)BCG:結核菌, DTP:ジフテリア・破傷風・百日咳混合, DT / Td:ジフテリア・破傷風混合, MMR:麻疹・流行性耳下腺炎・風疹混合, Hib:ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型, ポリオ:3・4ヶ月は不活化ワクチン注射。5ヶ月以降は経口生ワクチン, DTwP・Hib・IPV:ジフテリア・破傷風トキソイド・百日咳・Hib・ポリオ混合, DTwP:ジフテリア・破傷風トキソイド・百日咳混合

(3)

 現地校入学に際しては,接種証明書の提出が必要です。

 インターナショナルスクールについても同様の書類が必要です。

8 病気になった場合(医療機関等)

 ウクライナには日本語で診察を受けられる病院,診療所はありません。

 公的救急車の要請や救急当番病院を教えてもらう電話番号:「103」

キエフ市内の主な私立病院・診療所・歯科診療所

 次の全ての施設(歯科を除く)では,24時間救急受付可能です。電話をして症状を伝えてから(専門医の呼び出しのため)受診してください。医療機関所有の救急車(有料,約100 US$)の手配も可能です。

 受診には,最低100-200 US$相当のグリブナ現金が必要です。海外旅行傷害保険などを使う場合でも,キャッシュレス対応可能な医療機関は無く,立て替え払いになります。私立医療機関では一般にVISAカードとMasterカードが使用可能です。

(1)BorisБорис
ホームページ:http://www.boris.kiev.ua別ウィンドウで開く
予約の電話は(ア),(イ)とも共通。
診察料金:診察と簡単な血液検査で数百米ドル程度。
(ア)病院(内科,外科,その他専門科目)

住所:12-A, Prospekt Bazhana
(Київ пр. Бажана, 12 А
電話:(044) 238-0000(代表電話),(044)502-8040(病院受付)

概要: CT,MRI等の検査設備を完備した総合病院。外科手術も可能です。ボリスピル空港へ行く高速道路の南側,市内中心部より約20分。入院料金:室料250 US$/日,(例)虫垂切除:手術前に3,000 US$の保証金必要。
(イ)診療所(内科,小児科,外科,眼科)

住所:55-A, Bolshaya Vasilkivska Str.
(ул. В.Васильківська, 55 А
電話:(044) 238-0000(代表電話)

概要:旧オリンピックホテルの1,2階に併設された私立診療所です。内科,小児科診療が中心。予防接種可能。英語通訳が2,3人います。市内の比較的中心部,オリンピックスタジアムの近くにあります。
(2)Medikom ClinicКлиника '' Медиком''
ホームページ:http://www.medikom.ua/別ウィンドウで開く
(ア)外来診療(内科,外科,専門科),入院治療

住所:8, Kondratiuka Str. Kiev 
(Київ Ул. Кондратюка, 8)

電話:(044) 503-7777,(044) 503-0000 救急部門 24時間対応
概要:公立病院(第8病院)に併設された私立診療所です。入院施設あり。個室病床が20床程度あります。内科,外科,その他専門科も揃っています。英語通訳が数人います。
(イ)外来診療(内科,小児科)

住所:6-D Gheroev Stalinghrada Avenue, Kiev
(Просп. Героев Сталинграда, 12-г)

電話:(044) 503-7777

概要:2011年に外来クリニックとして開設されました。一般的な内科および小児科の診
療を行っています。キエフ中心から車で約20分。
(3)American Medical Centers
ホームページ:http://www.amcenters.com別ウィンドウで開く
住所:1 Berdychivska Str, Kiev
(Київ, вул. Бердичівська 1
電話:(044) 490-7600
概要:欧米系の外来診療所で英語が通じます。入院治療も可能です。英国人総合診療医(GP)や臨床心理士も勤務しています。一般診療を主に,内科,小児科,予防接種などの診療を行っています。専門外来は,他院の専門医の呼び出しあるいは紹介になります。
(4)Oberig Clinic
ホームページ:http://www.oberigclinic.com別ウィンドウで開く
住所:. 3 Zoologicheskaya Str, Kiev 
(вул. Зоологічна, 3
電話:(044) 390-0303
概要:2009年にオープンしたCT,MRI等の検査設備も完備した総合病院。特に小児科に力を入れています。
(5)Isida Hospital(産婦人科)
ホームページ:http://www.isida.ua別ウィンドウで開く
住所:. 65 Ivana Lepse Boulevard kiev
(Київ Бульв. Ивана Лепсе, 65
電話:(044) 251-8080
概要:体外受精などの最先端医療も行っている産婦人科専門病院。個室もきれいで,外国から人工授精を希望して来る患者も多くいます。邦人の出産例もあります。医療費の詳細はホームページ上に記載があります。
(6)Kiev Heart Center(心疾患)
ホームページ:http://www.heart.kiev.ua別ウィンドウで開く
住所:5A Bratyslavska Str.
電話:+38(044) 291-61-01
概要:国立循環器病センター。4台の血管造影装置に加え,MRIやCTを備えてます。心筋梗塞など急性冠症候群時には緊急カテーテル治療(ステント留置を含む)が可能で す。
(7)LISOD(腫瘍科)
ホームページ:http://www.lisod.com別ウィンドウで開く
住所:27 Malyshko Str. Pliuty village, Obuhovskiy district, Kiev
電話:(044) 277-8-277
概要:腫瘍治療を主体とした,イスラエル系の病院。PETやCTによる診断,摘出術,放射線治療,化学療法などが可能です。
(8)Porcelain Dental Clinic(歯科)
(Порцелян на Воздвиженській
ホームページ:http://porcelain-dent.com.ua別ウィンドウで開く
住所:26-B Otto Shmidta Str, kiev
電話:(044) 593-7787
概要:清潔な歯科クリニックで,技術・価格とも先進国並です。インプラントも行っています。

9 その他の詳細情報入手先

(1)在ウクライナ日本国大使館 ホームページ:http://www.ua.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

10 現地語・一口メモ

 私立医療機関では英語通訳を準備してくれるときがありますが,国公立医療機関ではウクライナ語,ロシア語以外はほとんど通じません。

ウクライナ語

  • 医師: лікар(リーカル)
  • 飲み薬: ліки для внутрішнього прийому
(リーキ ドリャ ブヌトリシニョホ プリヨム)
  • 注射: уколи(ウコーリ)
  • 頭痛: головний біль(ホロブニー ビーリ)
  • 腹痛: біль в животі(ビーリ ウ ジボチ)
  • 下痢: діарея(ディアレア)
  • 発熱: жар(ジャル)
  • 吐き気: відчуття нудоти(ビドゥチュッチャ ヌドティ)
  • 傷: рана(ラーナ)
  • 私は具合が悪い。: Я погано себе почуваю.
(ヤ ポハノ セベ ポチュワユ)
  • 私を病院へ連れて行ってください。: Відвезіть мене до лікарні.
(ウィドベジッチ メネ ド リーカルニ)

11 ウクライナ語医療問診票

 下記問診票をあらかじめ記載し,医療機関受診時に医師に手渡すと医師に誤解なく症状を伝えることができます。必要に応じ,プリントアウトしてご利用ください。

 なお,本問診票は、NPO法人国際交流ハーティ港南台と公益財団法人かながわ国際交流財団が協働し運営するウェブサイトである「多言語医療問診票別ウィンドウで開く)」に掲載されている問診票をもとに,在ウクライナ日本国大使館が制作したものです。営利での利用を禁じます。メンテナンスは在ウクライナ日本国大使館が行っています。


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