世界の医療事情

令和6年10月1日

1 国名・都市名・国際電話番号

 スウェーデン王国(国際電話番号46)

2 公館の住所・電話番号

在スウェーデン日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
住所:Embassy of Japan, Gärdesgatan 10 SE-115 27 Stockholm SWEDEN
電話:(08)-5793-5300
FAX:(08)-661-8820
ホームページ:在スウェーデン日本国大使館別ウィンドウで開く

(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

 スウェーデンは北緯55度から69度の高緯度に位置しているため、夏は夜が短く、冬は夜が長くなります。昼間の明るい時間の最も長い夏至(6月21日前後)のストックホルムにおける日の出は3時30分頃、日没は22時頃です。夜が最も長い冬至(12月22日前後)には、日の出が8時45分頃、日没が15時頃であり、太陽は地平線を這うように低く昇って沈みます。例年10月中旬頃から2月頃までは曇天が続き太陽光を見ない日が多く、日照時間不足による精神的な健康障害も報告されています。ストックホルムの年間平均気温はおよそ7から8℃、2023年6月の平均気温は18.5℃(最低13.2℃から最高24.5℃)、2024年1月の平均気温はマイナス2.9℃(最低マイナス5.2℃から最高マイナス0.8℃)と高緯度にしては温暖な気候です。

 当地の医療施設や医療技術の水準は一般的に高い一方で、緊急の場合を除き予約受診が必要であり、直ちに診察予約するのは容易ではありません。救急外来診療においても緊急度を考慮の上で公平に優先順位づけされるため、重症者以外は診察まで3から5時間待たされる場合も多くあります。

 当地で病気や怪我をした場合は、医療ガイド電話「1177」(24時間体制の公的サービス、英語対応可)で、医学的アドバイスや病院情報などを入手、必要であれば受診すべき医療機関を指示されます。

 医療費は、多くの場合、内科診察費2,000から5,500クローナ程度(救急外来は高額)、歯科検診・治療で2,000から4,000クローナ程度の経費がかかります。住民登録のある方の医療費は高額になりませんが、旅行者、出張者、留学生等の1年未満の短期滞在者を含む、住民登録のない方は全額自己負担となります。このため、海外旅行保険への加入やクレジットカードの付帯保険の契約内容を必ず確認、把握しておいて下さい。

 頭痛薬等の医薬品は薬局(Apotek)で購入できますが、抗生剤など多くの薬は医師の処方箋がないと購入できません。

5 かかり易い病気・怪我

 ストックホルムなど都市部で生活する限りでは、注意すべき風土病や特定の感染症はありません。

 しかし、冬季は暖房設備の影響も相まって室内が非常に乾燥しますので、呼吸器系疾患や皮膚疾患にかかりやすくなります。また冬季は日照時間が極端に短くなりますので、ビタミンD不足になることがあります。逆に夏季は日照時間が長く夜遅くまで明るいことから、睡眠障害や紫外線による角膜炎などを起こしやすくなります。また、日差しが低く差し込みますので、サングラスの使用も考慮して下さい。1月から10月にかけての期間は花粉症のシーズンです。3月中旬から5月中旬にかけては白樺の花粉が、6から7月は草類の花粉が多く飛散し、症状もひどくなります。

(1)ダニ媒介性脳炎

 ダニ媒介性脳炎はマダニが媒介するウイルス性脳炎で、スウェーデンでは毎年200から300例の症例が報告されています。主な発生地域はスウェーデン南部と中部で、特にウップランド地方とセーデルマンランド地方、メーラレン湖周辺が比較的多いですが、最近はその他の地方にも拡がっていて注意が必要です。春から夏にかけ、森林や草地で散発的に流行がみられます。2023年のダニ媒介性脳炎の国内報告は596件です。

 ダニに咬まれてから2から28日程度の潜伏期間(平均は4から10日間)を経て発症します。第一期では、38度を超える発熱、倦怠感、頭痛などの症状が1から8日ほど続きます。その後症状は改善しますが、3分の1程度の患者は1から20日ほどの一時的な軽快後、第二期に移行します。第二期では40度を超える発熱が見られるほか、中枢神経系の重篤な症状が出現します。

 第一の予防法はマダニに咬まれないようにすることです。散歩やハイキングなどで森林に入る場合は、長袖、長ズボン、帽子などで肌を露出しないよう注意し、防虫剤の使用も検討ください。

 また、山歩きやハイキングなど野外活動が好きな方には予防接種をお勧めします。当国でも接種することが可能ですが、日本のトラベルクリニックでも接種可能です。

(2)ライム病

 ダニはライム病という細菌感染症も媒介します。主に南部と中央部、バルト海とボスニアの海岸沿いで見られます。

 ダニに咬まれた箇所を中心に、痛みや盛り上がりの無いドーナツ状の発疹が現れ、発熱、悪寒、筋肉痛、頭痛など感冒症状が現れます。進行すると、細菌が関節、心臓、中枢神経にまで拡大します。10%の患者において、感染から6から12週以内に中枢神経障害が発生し、顔面麻痺、髄膜炎などが合併します。神経痛や紅斑、関節炎、心臓に炎症を生ずることもあります。

 ワクチンがありませんので、早期発見と治療が必要となります。

6 健康上心がけること

(1)飲料水

 水道水は安全に飲むことができます。

(2)夏季の注意事項

 森の中や草むらに入る時は、マダニや蚊に刺されないように長袖シャツ・長ズボンを着用し肌を露出しない、昆虫忌避剤(虫除けスプレーなど)を使用するなどの対策が必要になります。

(3)冬季の注意事項

 冬季は寒さが厳しいため、外出時には必ず厚手のコート、手袋、マフラー、帽子などの防寒対策が必要です。また、夏に比べ11から1月は天候も悪く日照時間が平均1から2時間と極端に短いため、長期滞在する場合はビタミンDが不足しがちになります。そのためビタミン剤服用や夏季には日光浴する住民が多く見られます。精神衛生上の対策も含めて、スキー、スケートなどのウインタースポーツや南ヨーロッパ地域などへの旅行も選択肢となります。

7 予防接種(ワクチン接種機関含む)

 住民登録のある5歳までの子供は、児童保健センター(Barnavårdscentralen=BVC)で予防接種を受けます。詳細はBVCホームページで確認できます。それ以外の方は民間クリニックで接種します。

(1)赴任者に必要な予防接種

 入国時に法的に接種を求められる予防接種はありません。

  • 成人:特にありません。
  • 小児:日本での定期予防接種を行ってください。長期滞在する場合は、現地のスケジュールに従いましょう。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

ワクチン 初回 2回目 3回目 4回目 5回目
DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風) 3か月
5種混合ワクチン
DTaP+Hib+IPV
5か月
5種混合ワクチン
DTap+Hib+IPV
12か月
5種混合ワクチン
DTaP+Hib+IPV
5歳
4種混合ワクチン
DTaP+IPV
(グレード8から9)14から15歳
Dtap
ポリオ(IPV)  
インフルエンザ菌b型(Hib)    
肺炎球菌 3か月 5か月 12か月    
ロタウイルス 6週 3か月 5か月    
MMR(麻疹・風疹・ムンプス) 12から18か月 (グレード1から2) 7から8歳      
水痘(注)          
季節性インフルエンザ          
HPV(子宮頚がん)
(注)男女とも接種
(グレード5)
11歳
(グレード5)
11歳
     

(注)D,d:ジフテリア、T,t:破傷風、aP,ap:百日咳(大文字は高用量、小文字は低用量)
(注)今後、小児予防接種プログラムに組み込まれる可能性あり。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 義務とされる予防接種はありません。また接種証明の提出も求められていません。

8 病気になった場合(医療機関等)

 緊急の場合は、警察・消防と共通の112番に電話します。

 一次医療機関として公立診療所(Vårdcentral)があります。
 詳細はホームページ(1177)(スウェーデン語)別ウィンドウで開くで検索できます。

 Vårdcentralは総合診療クリニックで、内科や外科などの専門外来はありません。緊急性の低い診察を受けたい場合に電話やインターネット上で予約します。
 総合病院はSjukhusと呼ばれます。24時間対応の緊急外来(Akutmottagning)や専門外来もあります。
 その他に婦人科(Gynekologimottagning)や小児科(Ungdomsmottagning)、リハビリ専門の診療所などあります。詳細は医療ガイド電話:1177(スウェーデン語)別ウィンドウで開くでご確認ください。

 海外旅行傷害保険に加入している場合は、提携しているアシスタンス会社を通じて緊急アシスタンスサービスが受けられますので、適切な医療機関の紹介を受けてください。
 日本の事業所で実施される健康診断制度が当地にはないため、私立医療機関との個別の相談となります。

(首都)ストックホルム

救急対応の総合病院

(1)Danderyds sjukhus(ダンデリュード病院)
所在地:Entrévägen 4
電話:08-123 550 00
概要:北部に位置しています。
ホームページ:Danderyds sjukhus(スウェーデン語)別ウィンドウで開く
(2)Karolinska sjukhus(カロリンスカ〔ソルナ〕病院)
所在地:Eugeniavägen 3
電話:(Solna ソルナ)08-123 700 00
概要:3次救急対応(高度医療)できる病院です。
ホームページ:Karolinska sjukhus(スウェーデン語)別ウィンドウで開く
(3)Karolinska Huddinge sjukhus(カロリンスカ フッディンゲ病院)
所在地:Hälsovägen 13
電話:08-123 800 00
概要:南部に位置し、カロリンスカ大学病院に属する医療機関です。
ホームページ:Karolinska Huddinge sjukhus(スウェーデン語)別ウィンドウで開く
(4)Astrid Lindgrens Barnsjukhus(アストリッドリンドグレン小児病院)
所在地:Eugeniavägen 23, Solna
電話:08-123 700 00 08-123 800 00(上記カロリンスカ大学病院に同じ)
概要:カロリンスカ病院と同じ敷地内にあります。
ホームページ:Astrid Lindgrens Barnsjukhus(スウェーデン語)別ウィンドウで開く
(5)S:t Görans sjukhus(サンクトヨーラン病院)
所在地:Sankt Göransplan 1
電話:08-5870 10 00
概要:中央に位置しています。
ホームページ:S:t Görans sjukhus(スウェーデン語)別ウィンドウで開く
(6)Söder sjukhuset(セーデル病院)
所在地:Sjukhusbacken 10
電話:08-123 610 00
概要:南部にあります。
ホームページ:Söder sjukhuset(スウェーデン語)別ウィンドウで開く
(7)Sachsska Barnsjukhus(サックスカ小児病院)
所在地:Hjalmar Cederströms gata 14
電話:08-123 612 64、08-123 612 74
概要:セーデル病院と同じ敷地内にあります。
ホームページ:Sachsska Barnsjukhus(スウェーデン語)別ウィンドウで開く

その他の医療機関

(1)Sophiahemmet Hospital(ソフィアヘンメット病院)
所在地:Vallhallavägen 91
電話:08-406 20 00
概要:総合病院です。救急外来はありません。
ホームページ:Sophiahemmet Hospital(スウェーデン語)別ウィンドウで開く
(2)Sturebadet Läkarmottagning(スチューレバーデット)
所在地:Humlegårdsgatan 17
電話:08-545 671 30
概要:診療科目が多い外来クリニックです。
ホームページ:Sturebadet Läkarmottagning(スウェーデン語)別ウィンドウで開く
(3)Mamamia(ママミーア)
所在地:スコーネ、ストックホルム、ウプサラ
電話:以下のホームページで確認ください。
概要:妊婦健診、乳児健診などの母子保健にも対応する外来クリニックで、オンライン診療もあります。
ホームページ:Mamamia(スウェーデン語)別ウィンドウで開く
(4)その他の民間クリニック
To Care HusläkarmottagningStockholm Medical Officeなど。

歯科

Folktandvården Akuten(フォークタンドヴォルデン・アクテン)
所在地:Västermalmsgallerian, ingång från Fleminggatan 48.
電話:08-123 156 80
概要:歯科救急。口腔内の怪我の場合も対応します。
ホームページ:Folktandvården Akuten(スウェーデン語)別ウィンドウで開く

Apoteket(薬局)

 市内各所にあり、病院で出された処方箋の薬はどの薬局でも購入できます。薬局では身分証を提示し、Personnummer(当地パーソナルナンバー)を伝えれば薬剤師が処方箋をシステム上で閲覧できるので、書類などを持っていく必要はありません。

(注)住所は以下のホームページなどでご確認ください。

空港クリニック

Airport Sky Vårdcentral, Sigtuna(アーランダ・エアポート スカイメディカルセンター)
所在地:Pelargången 1A, Arlanda Flygplats, Uppgång A Sky City, STOCKHOLM-ARLANDA
電話:08-522 967 30
営業時間:平日8時から17時、土曜日・日曜日休診
概要:家庭医・看護師による一般診療、航空(搭乗)に関する各種証明書発行、予防接種等が可能。欧州健康保険証(EHI)を持たない渡航者等は約2,000SEKの料金が別途かかります。詳細は下記ホームページよりご確認、お問い合わせ下さい。
ホームページ:AIRPORT SKY VÅRDCENTRAL(スウェーデン語)別ウィンドウで開く
1177(スウェーデン語)別ウィンドウで開く

9 その他の詳細情報入手先

10 一口メモ(もしもの時のスウェーデン語)

語彙(症状など)

  • 病院:Sjukhus(シュークフース)
  • 病気:Sjukdom(シュークドム)
  • 薬:Medicin(メディシーン)
  • 医師:Läkare(レーカレ)
  • 医療保険:Sjukförsäkring(シューク・フォシェークリン)
  • 患者:Patient(パスィエント)
  • 予防接種:Vaccin(ヴァクシーン)
  • 注射:Spruta(スプルータ)
  • 現金:Kontanter(コンタンテル)
  • クレジットカード:Kreditkort(クレディートコット)
  • 下痢:Diarré(ディアレー)
  • 暑/熱い:Varmt(ヴァルム)
  • 腹痛:Magont(マーグオント)
  • 痛み:Ont(オント)
  • 寒い:Kallt(カルト)
  • 嘔吐:Kräkning(クレークニン)
  • 頭痛:Huvudvärk(フーヴドヴェルク)
  • 発熱:Feber(フェーベル)
  • 高熱:Hög feber(ヘーグフェーベル)
  • 吐き気:Spyfärdig(スプーファーディグ)
  • 傷:Sår(ソール)

短文

  • 助けてください:Hjälp(イェルプ!)
  • 気分が悪い:Jag mår illa(ヤー モール イッラ)
  • 熱がある:Jag har feber(ヤー ハー フェーべル)
  • 医者を呼んでください:Kalla på en läkare(カッラ ポ エン レーカレ)
  • おなかが痛い:Jag har ont i magen(ヤー ハール オント イ マーゲン)
  • 喉が痛い:Jag har ont i halsen(ヤー ハール オント イ ハルセン)
  • 風邪をひきました:Jag är förkyld(ヤー エ フェシュルド)
  • 胸が痛い:Jag har ont i bröstet(ヤー ハール オント イ ブロステット)
  • 眼が痛い:Jag har ont i ögat(ヤー ハール オント イ エーガット)
  • 耳が痛い:Jag har ont i örat(ヤー ハール オント イ エーラット)
  • 歯が痛い:Jag har ont i tanden(ヤー ハール オント イ タンデン)
  • 全身が痛い:Jag har ont i hela kroppen(ヤー ハール オント イ へーラ クロッペン)
  • 手術が必要ですか?:Behöver jag opereras?(べへーヴェル ヤー オペレーラス?)
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