世界の医療事情
北マケドニア共和国
1 国名・都市名(国際電話番号)
北マケドニア共和国(国際電話番号389)
2 公館の住所・電話番号
- 在北マケドニア共和国日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
- 住所:Embassy of Japan in North Macedonia
Filip Vtori Makedonski 3, Soravia Center 6F, Skopje 1000, North Macedonia - 電話:02 3118-063
- Fax:02 3117-440
- ホームページ:在北マケドニア日本国大使館
(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。
3 医務官駐在公館ではありません
在セルビア日本国大使館医務官が担当
4 衛生・医療事情一般
北マケドニアはバルカン半島にある内陸国で、国土の大部分が山地です。人口は約183万人(2023年)。気候は地中海性気候と高山性気候の中間にあり、冬季は高山地方で相当量の積雪がある一方、夏季は最高気温が40度に達することもあります。医療事情は首都スコピエに関しては近隣国よりも良好ですが、地方では決して良好とはいえません。感染症治療や予防接種は指定された医療機関でのみ行われています。ほとんどの医師は英語を話しますが、他の医療従事者ではマケドニア語が必要な場合があります。国民健康保険に加入できない外国人の医療費は非常に高額なので、海外旅行傷害保険等に必ず加入しておきましょう。
5 かかり易い病気・怪我
(1)大気汚染による呼吸器疾患・眼疾患
首都スコピエは、欧州の中で最も大気汚染指数が高い都市のひとつであり、気象条件や暖房の利用率が増加する冬季は特に注意が必要です。
風邪による咳が長引いたり、目の痛みが生じたりし、心血管系へのリスクがあるため、汚染の強い日は窓を閉め、うがい等を心がけてください。また、臨時休校や外出禁止令が出ることもあるため、ニュース等で最新情報を確認してください。
(2)感染症・感染性胃腸炎
夏季にはアイスクリームやサンドイッチ(卵やマヨネーズ)からサルモネラ腸炎に感染することがありますので、きちんと保冷されている店で購入するようにしてください。一般的に路上の屋台での飲食などは大腸菌、カンピロバクターなどの感染リスクを高めます。
(3)脱水症・熱中症
年間を通して乾燥が強いので、汗をかかなくても身体から水分が奪われて脱水を起こしやすいです。のどが渇いたと思う前に、少しずつ水分補給を心がけてください。また夏季は高温のため、年配者や妊婦は外出を控えるように政府通告が出ることもあります。通告が出なくとも、日焼け止め、帽子、サングラスをつけ、日差しの強い10時から15時まではなるべく外出を控えるようにしてください。
(4)交通事故
道路インフラや運転マナー、交通ルールの徹底が日本に比べて劣るとされています。事故に巻き込まれないよう注意する必要があります。
(5)動物咬傷
スコピエ中心部は野犬が多く、ほとんどの個体は狂犬病予防接種済みですが、野生動物まで含めた場合、狂犬病ウイルスの根絶は確認できていません。野犬・野生動物に咬まれた場合、清潔な流水で洗浄後、病医院受診を強くお勧めいたします。リスクに応じて破傷風などの予防接種が行われますが、狂犬病の暴露後ワクチンは当地では摂取できないことから、動物との接触には細心の注意を払ってください。
6 健康上心がけること
夏は日照時間が長いので睡眠時間が短くなってとかく疲れやすく、逆に冬は日照時間が短くなり寒く暗いので抑うつ状態になりがちです。環境に自分の生活を上手に適応させることが大切です。
7 予防接種(ワクチン接種機関含む)
(1)赴任者に推奨する予防接種
A型肝炎、B型肝炎、狂犬病、腸チフスの予防接種を薦めます。
対象の感染症 | 結核 | B型肝炎 | DTP(ジフテリア、破傷風、百日咳) | ポリオ | ヘモフィルス・インフルエンザb型 | ロタウイルス | 肺炎球菌ワクチン | 麻疹、流行性耳下腺炎、風疹 | ヒトパピローマウイルス |
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出生時 | BCG | Hep B | |||||||
2か月 | HepB | DTaP | IPV | Hib | Rota | PCV | |||
4か月 | DTaP | IPV | Hib | Rota | PCV | ||||
6か月 | HepB | DTaP | IPV | Hib | Rota | ||||
12か月 | PCV | MMR | |||||||
18か月 | DTaP | IPV | Hib | ||||||
6歳 | MMR | ||||||||
7歳 | DTaP | IPV | |||||||
12歳 | |||||||||
14歳 | dT | IPV | HPV | ||||||
18歳 | TT | HPV |
(注)DPT(ジフテリア・破傷風・百日咳ワクチン)、Hib(インフルエンザ菌b型ワクチン)、ポリオ及びB型肝炎の6種混合ワクチンとして、あるいは個々に接種される。
DPT(ジフテリア・破傷風・百日咳ワクチン)、Hib(インフルエンザ菌b型ワクチン)、ポリオの5種混合ワクチンとして、あるいは個々に接種される。
定期予防接種に関しては公立病院ならどこでも接種を受けることができますが、カルテは病院に保管されるので、途中で病院を変わることはできません。外国人もそれまでに接種したワクチン記録(英語)を持参すれば、マケドニアの公的スケジュールに則った予防接種を受けられますが、有料になる可能性があります。
8 病気になった場合(医療機関等)
感染症はすべて公立病院で診察・治療することになっています。公立病院でも外国人は有料で、私立とほぼ同じ治療費がかかりますが、サービスはあまり良いとはいえません。感染症以外は救急も含めて私立病院が利用可能です。私立病院では受診は予約が原則ですが、救急は24時間受け入れています。診察料、治療費等は病院によって違いますが、通常は高額ですので、必ず海外旅行傷害保険に加入しておくか、または別途個人保険に加入することを勧めます。日本語の通じる病院はありませんが、英語が通じます。
(首都)スコピエ
- (1)ACIBADEM SISTINA(アシバデム システィーナ)私立
- 所在地:Skupi 5A 1000 Skopje
- 電話:(コールセンター)02 3099 500
- ホームページ:ACIBADEM SISTINA(英語)
- 概要:300床の全科の総合病院です。眼科と歯科は経営が異なりますが、病院内にあります。国際基準(JCI)認定病院で、日本や他のEU先進国と同等の医療レベルです。最新のMRIやPETなどが配備されています。特に産婦人科、小児科、心臓外科、胸部外科等は近隣国から患者も来院しています。COVID流行後、感染症病棟も新設されました。夜間救急も受け入れています。各種保険会社連携病院でもあり、国外緊急移送アレンジも可能です。治療費はかなり高額なので、海外旅行傷害保険の加入が必要です。
- (2)Re medika(レメディカ)私立
- 所在地:XVI Mekedonska brigade 18 1000 Skopje
- 電話:02 2603 100
- ホームページ:Re medika(マケドニア語)
- 概要:64床の総合病院で、大使館員がよく利用しています。産婦人科、外科の病院として開設され、現在はほぼ全科の総合病院となっています。産婦人科は不妊治療なども行っており、近隣国からの受診も多いです。胸部外科、泌尿器科、耳鼻科、頭頸部外科、形成外科、小児外科なども充実していますが、手術に関しては定型的なものに限定しておこなっています。小児科も専門医が常勤しています。24時間の救急医療も行っています。治療費は上記(1)のアジバデム・システィーナ病院よりかなり廉価ですが、やはり高額なので、海外旅行傷害保険の加入が必要です。
- (3)Zan Mitrev Clinic(ジャン・ミトレフ)私立
- 所在地:Bledski dogovor 8, 1000 Skopie
- 電話:02 3091 484
- ホームページ:Zan Mitrev Clinic(英語)
- 概要:外科系私立病院ですが、280病床、医師40名で検査・手術・受診は24時間受け入れています。特に心臓手術・検査が得意で多くの患者が国内外から受診しています。他に産婦人科、外科、胸部外科、小児外科、泌尿器科など。各種保険会社の提携病院で、スタッフも全員英語を話します。治療費はかなり高額なので、海外旅行傷害保険の加入が必要です。
- (4)University Clinic For Infectious Diseases and Febrile Condition
- 所在地:st. Mother Teresa Br. 17, 1000 Skopje
- 電話:02 3228 224
- ホームページ:Zan Mitrev Clinic(英語)
- 概要:大学病院の感染症部門です。65室129床の規模の病棟を有し結核以外の感染症患者(新型コロナウイルス感染症を含む)を受け入れ、北マケドニアでの感染症治療で指導的役割を果たしています。臨床だけではなく研究施設、教育施設としての役割もあります。
9 その他の詳細情報入手先
10 一口メモ(もしもの時の現地語)
- 医師:лекар(レカル)
- 飲み薬:лек(レク)таблета(タブレタ)апче(アプチェ)
- 座薬:супозиторија(スポジトリヤ)
- 注射:инекција(イネクツィア)
- 頭痛:главоболка(グラヴォボルカ)
- 腹痛:болка во стомак(ボルカ・ヴォ・ストマク)
- 下痢:дијареа(ディヤレア)
- 発熱:висока температура(ヴィソカ・テムペラトゥラ)
- 吐気:повраќање(ポヴラキャニェ)
- 傷:рана(ラナ)
- 気分が悪い:Не се чувствувам добро.(ネ・セ・チュフストヴヴァム・ドブロ)Лошо ми е.(ロショ・ミ・エ)
- 病院へ連れて行って下さい:Ве молам однесете ме во болница.(ヴェ・モラム・オドネセテ・メ・ヴォ・ボルニツァ)
- 風邪をひいた:Настинат/-та сум.(ナスティナト(男性の場合)/ナスティナタ(女性の場合)・スム)
- 下痢をした:Имам/в дијареа.(イマム(現在形)/フ(過去形)・ディヤレア)
- めまいがする:Зашеметен/-на сум.(ザシェメテン(男性の場合)/ザシェメテナ(女性の場合)・スム)
- ここが痛い:Тука ме боли.(トゥカ・メ・ボリ)