世界の医療事情
ギリシャ
1 国名・都市名(国際電話番号)
ギリシャ共和国(国際電話番号30)
2 公館の住所・電話番号
- 在ギリシャ日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
- 住所:Embassy of Japan, 46, Ethnikis Antistasseos St., 152 31 Halandri Athens
- 電話:(+30-)210 670 9900(代表)
- ホームページ:在ギリシャ日本国大使館
(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。
3 医務官駐在公館ではありません
在レバノン日本国大使館医務官が担当
4 衛生・医療事情一般
(1)はじめに
ギリシャはヨーロッパの東南端に位置し、首都アテネが所在するバルカン半島の最南部をはじめ、ペロポネソス半島や周辺の地中海・エーゲ海・イオニア海に点在する約3,000もの島々から構成されています。首都アテネ付近では、夏は乾燥し40度近くまで気温が上がり、冬は雨が多く稀に0度以下まで気温が下がることもあるが、典型的な地中海性気候です。
(2)衛生・医療事情
上下水道などの衛生状態は良好で、水道水は飲用可能です。
医療機関も整備されていますが、特に公立の医療機関では一部物資や薬剤などが不足したり、診察まで長時間待たされたりすることがあります。また、都市から離れた島嶼部などの地域では、人材も設備も整わない地域病院があり、専門的な医療を求めアテネなどに移動しなければならない場合があります。
ギリシャには国民皆保険制度があり、基本的に全てのギリシャ居住者に対して無料で公的医療が提供されています。(EU 市民と非EU市民に対しても、多国間または2国間協定に基づいて適用されます。つまり、ギリシャに居住する外国人も社会保険(Idrima Kinonikon Asfaliseon(IKA)やOAEE(Fund for Merchants, Manufacturers and Small Businessmen)など複数の社会保険機関が存在し、Ethnikos Foreas Kinonikon Asfaliseon(EFKA)が統括している)を支払っている限り、医療カード(E111)が支給され、入院を含む一般診療、眼科診療や歯科治療なども無料です。
これらに加えて、ギリシャ人の約半数は私立病院にかかるための民間医療保険に加入しています。保険の種類にもよりますが、通常は歯科治療をのぞく全ての診療科にこの保険が適用され、迅速かつ専門的な診療を受けられます。
ギリシャの医療機関では、ギリシャ語で医療が行われますが、都市部ではかなり英語が通じます。緊急時はダイヤル「166」番で救急車を要請します。これで駆けつけるのは、公営救急車(黄色地にオレンジのラインが入った車輌)で、最寄り公立病院へ無料搬送してくれます。他にも、私立病院固有の救急車と、希望病院へ搬送してくれる民間救急車があり(下記)、こちらはいずれも有料です。ときに救急車の到着には時間がかかることがあるので、自力移動が可能ならタクシーなどを利用した方が速い場合もあります。
医療費は通常、診療当日に精算します。(一定期間の通院が必要な場合は窓口で相談し、事後精算することも可能です)。病院の場合は、公立・私立を問わずクレジットカード利用可能な場合が多いのですが、開業医の場合は現金払いが基本です。保険に加入していない場合、特に入院が必要になった場合などかなり高額な医療費を請求されることになります(医師との面談のみで100ユーロなど)。
また、都市部から離れた島嶼部などで重篤な病気や怪我をした場合、ヘリコプターや航空機による移送が必要になることがあり、その費用は高額となるため、渡航前に海外旅行傷害保険に加入しておくことを強くお勧めします。
薬局には、医師の処方箋が必要な薬とそうでない薬があります。ギリシャ製およびヨーロッパ製の薬が手に入ります。かゆみ止め、風邪薬、サプリメント、鎮痛剤等、基本的な薬の入手には困りません。保険基金の医療カードがある場合、処方薬は値引きされて、後日還付されることになっています。各地域には当番制で24時間オープンの薬局があり、ウェブサイトにて調べることが可能です
(薬局当番が掲載されているホームページ:Greek Pharmacies on Duty(英語))。
5 かかり易い病気・怪我
春先にはマツの花粉症、ポプラの綿毛アレルギーがみられます。また近年夏から秋にかけて西ナイル熱(蚊が媒介するインフルエンザ様の感染症)の流行がみられます。2018年には麻疹(はしか)の流行もみられました。
6 健康上心がけること
夏のシーズンは、高温と強い日射しのために熱中症、脱水症、日焼けなどにも注意が必要です。日焼け止めクリーム、サングラス、帽子の着用をお勧めします。
魚介類が食べられるレストランがたくさんありますが、不衛生なお店は避け、食事前の手洗いを心がけてください。サルモネラ菌による食中毒も散見しますので、生卵は食べないようにしてください。旅行者に多い症状としては、下痢があげられます。ギリシャ料理はオリーブ油を多く使っているのでメニューを選ぶ時に注意しましょう。
島嶼部ではバイク、バギーのレンタルが人気ですが、転倒して負傷し入院を余儀なくされる事例があるので、十分注意してください。
またアテネ市内には野犬や野良猫が放置されています。噛まれるなどの被害を受けないようにむやみに近づかないようにして下さい。
7 予防接種(ワクチン接種機関含む)
(1)赴任者に必要な予防接種
入国のために求められる予防接種は特にありませんが、A型・B型肝炎と、破傷風やジフテリアの追加接種を受けると安心です。
(2)現地の小児定期予防接種一覧
髄膜炎菌ワクチンなど日本では定期に組み込まれていないワクチンがあります。下記一覧表に示したスケジュールは一例で適切な接種時期には幅がありますので、現地小児科医とご相談ください。ポリオワクチンは注射の不活化ワクチンのみとなっています。
初回 | 2回目 | 3日目 | 4回目 | 5回目 | 6回目 | |
---|---|---|---|---|---|---|
B型肝炎 | 2か月 | 4か月 | 6から18か月 | |||
Hib | 2か月 | 4か月 | 6か月 | 15から18か月 | ||
DTP | 2か月 | 4か月 | 6か月 | 15から18か月 | 4から6歳 | 11から12歳 |
ポリオ(IVP) | 2か月 | 4か月 | 6から18か月 | 4から6歳 | ||
肺炎球菌(PCV13) | 2か月 | 4か月 | 6か月 | 8から15か月 | ||
ロタウイルス | 2か月 | 4か月 | 6か月 | |||
髄膜炎菌C | 12か月 | |||||
髄膜炎菌ACWY | 11から12歳 | |||||
MMR | 12から15か月 | 4から6歳 | ||||
水痘 | 12から15か月 | 4から6歳 | ||||
A型肝炎 | 12か月以後 | |||||
HPV | 11から15歳 | |||||
季節性インフルエンザ(注) | 6か月以後 |
(注)インフルエンザは感染高リスク児にのみ
- BCGは出生時に感染の高リスク児にのみ接種。
- Hib(ヒブ):ヘモフィルスインフルエンザB
- DPT:D(ジフテリア)、P(百日咳)、T(破傷風)。11から12歳へのDPTは青少年用製剤。
- MMR:おたふくかぜ、麻疹、風疹
- HPV:ヒトパピローマウイルス(製剤により2回接種と3回接種とがある)
- B型肝炎:母親がB型肝炎に感染している可能性がある場合は、出生時に初回投与される
等追加プランがある。 - A型肝炎:12か月以後で2回接種。
(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明
現地校(幼稚園を含む)に入る際、予防接種証明は特に要求されません。インターナショナル・スクールへの入学やスポーツクラブへの入会時に、予防接種記録の提出を求められる場合があります。母子手帳や予防接種記録を持参されるとよいでしょう。
8 病気になった場合(医療機関等)
基本的に全ての医療機関が外国人を受け入れています。通常は診療の予約をとってから受診しますが、救急の場合、以下の私立総合病院では24時間体制で診療を受け付けています。
- (1)Athens Medical Center(Ιατρικό Κέντρο Αθηνών)
- 総合病院
- 住所:5-7, Distomou Str., Marousi(5-7, Διστόμου, Μαρούσι)
- 電話:210 6198100、-120
- FAX:210 6198555
- 月曜日から金曜日:7時30分から16時(注)緊急は24時間対応
英語可 - (2)Hygeia Hospital(ΥΓΕΙΑ)
- 総合病院
- 住所:4, Erithrou Stavrou Str., Marousi(4, Ερυθρού Σταυρού , Μαρούσι)
- 電話:210 6867000
- FAX:210 6845089
- メール:info@hygeia.gr
- 月曜日から金曜日:8時から16時(注)緊急は24時間対応
英語可 - (3)Mitera Clinic(ΜΗΤΕΡΑ)
- 産婦人科・小児科
- 住所:6, Erythrou Stavrou Str., Marousi(6, Ερυθρού Σταυρού, Μαρούσι)
- 電話:210 6869000
- FAX:210 6869926
- メール:info@mitera.gr
- 月曜日から金曜日:9時から17時(注)緊急は24時間対応
英語可 - (4)Iasso Hospital(ΙΑΣΩ )
- 総合病院
- 住所:Leof. Kifisias 37-39 Marousi(Λεωφ. Κιφισιας 37-39, Μαρούσι)
- 電話:210 6184000
- メール:info@iaso.gr
- 月曜日から金曜日:8時から16時(注)緊急は24時間対応
英語可 - (5)Metropolitan Hospital
- 総合病院
- 住所:9, Ethnarchou Makariou Str. & 1, El. Venizelou Str., Neo Faliro(Εθνάρχου Μακαρίου 9 & Ελ. Βενιζέλου 1, Νέο Φάληρο)
- 緊急は24時間対応
英語可、日本語通訳可能な医師 - (6)Athenofora Express
- 民間救急業者
- 電話:6980 356 356
- アテネ市内なら約50ユーロ
英語可 - (7)Athens Ambulance
- 民間救急業者
- 電話:2107 299 000
- アテネ市内なら約50ユーロ
英語可
9 その他の詳細情報入手先
- ホームページ:在ギリシャ日本国大使館
(注)ギリシャで生活する上で必要な情報を詳しく掲載しています。
10 一口メモ
【助けを求める際の一般的な表現】
- 英語を話すことができる人はいますか?
- ミライ カピオス アングリカ?(MILAI KAPIOS AGLIKA?)
- 助けてください。
- ヴォイシステ メ パラカロ(VOITHISTE ME PARAKALO.)
- すぐ来てください。
- エラテ アメソス(ELATE AMESOS.)
- 私の名前は・・です。
- オノマゾメ・・(ONOMAZOME・・.)
- 住所は・・です。
- イ ディエフシンシ ム イネ・・(I DIEFTHINSI MU INE・・.)
- 電話番号は・・です。
- オ アリスモス ティレフォヌ イネ・・(O ARITHMOS TILEFONU INE・・.)
(1 エナ、2 ディオ、3 トゥリア、4 テッセラ、5 ペンデ、6 エクシ、7 エプタ、8 オクト、9 エネア、0 ミゼン) - 事件(事故)の場所は・・です。
- ト メロス(トゥ アティヒマトス)イネ・・(TO MEROS (TU ATIHIMATOS) INE・・)
- 警察(救急車)を呼んでください。
- パラカロ カレセテ ティン アスティノミア(ト アスセノフォロ)(PARAKALO KALESETE TIN ASTINOMIA (TO ASTHENOFORO))
【病院で】
- 病気です。(本人の場合)
- イメ アロストス(男性)/アロスティ(女性)(IME AROSTOS / AROSTI.)
- 病気です。(家族の場合)
- エホ エナン アロスト(男性)/ミア アロスティ(女性)(EHO ENAN AROSTO / MIA AROSTI / DIO AROSTUS、複数)
- 頭を怪我しました。
- クティピサ(本人)スト ケファリ/クティピセ(彼・彼女)(KTIPISA / KTIPISE STO KEFALI)
(顔プロソポ、腕ブラツォ、足ポディ、手ヒェリ、胸スティソス、腹キリア、背中プラティ、肩オモ) - 出血しています。
- エモラゴ(本人)/エモラギ(彼・彼女)(EMORAGO / EMORAGI.)
- 意識がありません。
- リポシミセ(彼・彼女)(LIPOTHIMISE.)
- とても痛いです。
- ポナオ ポリ(本人)/ポナイ ポリ(彼・彼女)(PONAO POLI / PONAI POLI.)