世界の医療事情

令和6年10月1日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 フランス共和国(パリ市)(国際電話番号33)

2 公館の住所・電話番号

在フランス日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
住所:7 AVENUE HOCHE 75008 PARIS
電話:01.48.88.62.00(代表)
在フランス日本国大使館別ウィンドウで開く

(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

 フランスの衛生事情は概して良好な状態を維持しており、医療水準は日本や他の欧米諸国とならび世界的にもトップレベルです。

  1. 救急車の利用、医療機関の受診手続き等には日本と異なる点も多く、利用に際してそれらの特徴を予め十分に理解しておく必要があります。例えば、直ちに治療が必要な場合は、フランスでは重症度によらず、また昼夜の別なく救急外来を受診して相談します。他方、緊急でない通常の診察は事前に予約が必要です。クリニックや個人開業医においては、血液検査やレントゲン検査等の諸検査を外部の検査機関で受けることがほとんどです。この場合、医師より指示された検査を受けるため各検査機関に別途予約が必要となります。薬が処方された場合は処方箋を持って薬局で購入します(日本の院外薬局と同様ですが、薬局が病院に隣接しているとは限りません。ただし都市部であれば薬局はそこここに存在していますので探すのに苦労することはありません。在庫が無く複数の薬局を廻ることもあります)。
  2. 医師の予約をとるには、医療機関に直接連絡するか、Doctolibというサイトを使います。バカンスやクリスマスの期間は予約を取りにくい傾向があります。
  3. 診察料、検査代、薬代など治療費は非常な高額になる可能性があります。医療費は原則として自己負担となりますので、十分な補償額の海外旅行傷害保険等への加入をお勧めします
  4. 2024年から、溶連菌咽頭炎(angines)と膀胱炎(cystites)については、一部の薬局で検査と治療(抗生物質の処方)を受けられるようになりました。
  5. 当地の薬局で処方薬を購入するためには、当地の医療機関を受診し、処方箋の発行を受ける必要があります。ただし、日本の医師が作成した処方箋については、必要事項(患者の氏名・生年月日、医師の施設名・診療科・住所・連絡先、処方した日付など)が記載された判読可能なものについては、薬剤師が緊急の必要性があると認める場合に限り、フランスの医療機関を受診するまでの繋ぎとして処方を受けられることもあるようです。
  6. 日本からの医薬品持ち込みについては、医師による有効な処方箋(英語またはフランス語)があれば処方箋に記載されている期間相当の医薬品を、処方箋がない場合には個人で使用する場合に限り最大3か月分の医薬品を持ち込むことが可能です。なお、麻薬成分を含む医薬品についてはこの限りではありません。詳しくはフランス税関サイト(Private individuals carrying medicinal products in France(フランス語)別ウィンドウで開く)をご覧下さい。

5 かかり易い病気・怪我

(1)呼吸器感染症

 日本と同様、季節の変わり目や冬季に風邪、インフルエンザなどが流行します。手洗いやうがいの励行、さらにはインフルエンザ等の予防接種をお勧めします。インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の予防接種を行っている薬局もあります。

(2)花粉症等のアレルギー

 春先から秋にかけて花粉症の症状を訴える方も少なくありません。花粉症や喘息などのアレルギーの既往のある方は、日本で使い慣れた薬を持参されることをお勧めします。

(3)交通事故

  他の先進国同様に、交通事故は大きな社会問題となっています。

6 健康上心がけること

  1. 日本に比べ一年を通じて湿度が低く、特に冬季には暖房により屋内はさらに乾燥します。居室の加湿や保湿クリーム等で乾燥対策を心がけてください。夏は30℃を超える日がありますので、熱中症に注意して下さい。
  2. 日本とは夏は7時間、冬は8時間の時差があります。時差ぼけや長旅の疲れで体調を崩すことも珍しくありません。旅行中はスケジュールを詰めすぎることなく、ある程度のゆとりをもって行動するよう心がけてください。
  3. パリは公園の多い街で、茂みに入ってマダニに咬まれる事例もあります。地方によってはライム病やダニ媒介性脳炎の発生もあります。フランス南部では極少数ですがデング熱の国内感染が報告されています。

7 予防接種(ワクチン接種機関含む)

 黄熱ワクチンについては、Liste des centres de vaccination habilités à effectuer la vaccination contre la fièvre jaune (anti-amarile)(フランス語)別ウィンドウで開くをご覧下さい。
 エムポックスについては、Mpox Info Service(英語)別ウィンドウで開くをご覧下さい。

(1)赴任者に必要な予防接種

 入国に際し、予防接種証明書が必要な特定の感染症はありません。

 小児は、日本の予防接種法で決められたワクチンを済ませておき、到着後に幼稚園や学校の指示に従って追加の接種を受けると良いでしょう。成人は破傷風、百日咳、A型肝炎、B型肝炎、麻疹の予防接種を受けておくと無難です。

(2)現地の小児定期予防接種一覧(毎年更新されます)

  初回 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目
BCG 1か月(注1)          
ジフテリア、破傷風、ポリオ、百日咳(注2 2か月 4か月 11か月 6歳 11から13歳 25歳
B型肝炎 2か月 4か月 11か月      
Hib 2か月 4か月 11か月      
肺炎球菌 2か月 4か月 11か月      
髄膜炎C 5か月 12か月        
麻疹、風疹、おたふく風邪(MMR) 12か月 16から18か月            
  1. (注1)BCGは生後から15歳まで結核菌に感染する危険の高い場合に限って接種が行われます。
  2. (注2)4種混合(ジフテリア+破傷風+ポリオ+百日咳)、5種混合(4種混合+Hib)、6種混合(5種混合+B型肝炎)が広く使われています。

 このほかに、ロタウイルス(2か月から4か月)、髄膜炎B(3か月・5か月・12か月、HPV(11から14歳に2回)が推奨されています。また2025年1月以降に4価(ACWY)の髄膜炎ワクチンの導入が予定されています。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 現地校に(編)入学(園)する際、特に公立の場合は、上記の小児定期予防接種の接種証明(certificat de vaccination)の提出を求められますので、日本の母子健康手帳を必ず持参してください。日本大使館の領事部で予防接種のフランス語書簡の作成が可能です(必要書類等詳細は在フランス日本国大使館ホームページの当該箇所(予防接種歴別ウィンドウで開く)を参照してください)。未接種のワクチンについては、当地で接種することになりますが、ワクチンの接種はCentre de Vaccination Internationale ELSAN Paris République、Institut Pasteur、総合病院、一部のクリニックや個人開業医の外来でも受けることができます。

8 病気になった場合(医療機関等)

緊急時の対応について

 海外旅行傷害保険に加入している場合は、提携しているアシスタンス会社に電話すると全て日本語でサービスが受けられますので、保険契約書をご参照ください。通常、緊急の場合は全国共通の救急医療サービス、電話「15」、S.A.M.U.(サミュ)にかけてください。S.A.M.U.はフランスの緊急医療援助体制(Service d' Aide Médicale Urgente=公営)の略で、フランス全土をネットワークで結んでいます。必要と判断されれば緊急対応車両(SMUR)や搬送車が出動します。SMURには救命救急機器が装備され、医師が同乗していますので、救急車内で必要な治療を開始することが可能です。民間の救急車や患者搬送車の利用は有料となります。歯科については、パリの場合、SOS Dentaireへ必ず予約(電話:01 43 37 51 00、または01 43 36 36 00)をした上で受診してください(住所 87, boulevard de Port-Royal, 75013)。休日でも受け付けています。

往診などについて

 往診を依頼する時は、SOS Médecins(SOS メドゥサン、電話:36 24、または01 47 07 77 77、パリは75 92 93 94)に連絡してください。夜間・休日の往診にも応じています。パリ市内でしたら、Urgences Médicales de Paris(電話:01 53 94 94 94)でも受け付けます。眼科は、SOS Ophthalmologie(電話:01 42 46 14 00)が受け付けています。

 歯科の往診システムはありません。

医療機関

(首都)パリ及び近郊

救急施設(24時間対応、順不同)
(1)American Hospital of Paris(アメリカンホスピタル)
所在地:63, boulevard Victor Hugo, 92200 Neuilly sur Seine
電話:01 46 41 25 25(代表24時間:仏英語)
概要:総合病院。但し、小児科救急はありません。日本語通訳が必要な場合は要予約(インターナショナルセクション、月曜日から金曜日9時から18時、電話01 46 41 25 15)。
(2)Necker-Enfants Malades病院(オピタル ネッケール・アンファン・マラドゥ)
所在地:149, rue de Sévres, 75015
電話:01 44 49 40 00
概要:小児科の総合病院で24時間体制の救急部門(Service d’urgences)があります。
外来・診療所(日本語で受診が可能な施設。順不同)

 在フランス日本国大使館のホームページにて情報更新を行っています。
 医療情報別ウィンドウで開く

 受診する際は、必ず電話予約してください。

(1)American Hospital of Paris(入院設備あり)
所在地:63, boulevard Victor Hugo, 92200 Neuilly sur Seine
電話:01 46 41 25 15
概要:総合病院。日本人医師(山田佳奈医師、総合内科・感染症科、予約直通電話:01 46 41 26 16)が診療を行っています。また、健診センターでは日本語による健康診断を受けることができます(月曜日から金曜日、eds.japon@ahparis.org)。
(2)ドウィエブ医師 Dr. Patrick DOUIEB
産婦人科
所在地:65, bis, Avenue Victor Hugo 92100 Boulogne-Billancourt
電話:01 46 03 37 24
(3)近藤毅医師 Dr. Takeshi KONDO
循環器内科
所在地:55, Avenue du Maine 75014 Paris
電話:01 42 79 03 81
(4)谷村レミー医師 Dr. Remy TANIMURA
歯科(インプラントの症例数多数)
(注)予約受付の秘書は仏語と英語。電話番号を伝えれば医師が折り返し連絡。
所在地:8, Place du Général Catroux 75017 Paris
電話:01 56 33 39 00
診察時間:月曜日から金曜日9時から13時、14時から19時
空港クリニック
(1)シャルルドゴール空港 Roissy-Charles de Gaulle Centre Médical
所在地:Terminal 2F, niveau 0 (Arrivées)(到着階), porte 17
年中無休。一般診療8時から20時(予約不要)、それ以外の時間帯は急患のみ。
電話:01 74 25 12 12
(注)黄熱ワクチンが接種可能。
(2)オルリー空港 Orly Ouest Centre Médical
所在地:Orly 1, porte 10a
電話:01 49 75 45 12
年中無休。一般診療8時から20時(予約不要)、それ以外の時間帯は急患のみ。

9 その他の詳細情報入手先

10 一口メモ

 「世界の医療事情」の冒頭ページの一口メモ(もしもの時のフランス語)をご参照ください。

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