世界の医療事情

令和6年10月1日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 フィンランド共和国(国際電話番号358)

2 公館の住所・電話番号

在フィンランド日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
住所:Embassy of Japan, Unioninkatu 20-22, 00130 Helsinki
電話:(09)-686-0200
ホームページ:在フィンランド日本国大使館別ウィンドウで開く

(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

3 医務官駐在公館ではありません

 在スウェーデン日本国大使館医務官が担当

4 衛生・医療事情一般

 フィンランドは北緯60度から70度に位置し国土の3分の1が北極圏内にあります。日が長くなる夏は、短い期間ですが30℃を超えることもあります。逆に、冬は日照時間が短くマイナス25℃前後が2週間ほど続くこともあります。衛生事情は他の先進国と同等であり、医療水準も高く医療施設も清潔でよく整備されており、医療事情の悪い国からの緊急移送先の一つとなっています。英語がほぼ完全に通じ、多くの場合において安心して治療を受けることができます。

 国民皆保険制度が維持されており、市民であれば誰でも低額で公的医療機関を利用することができます。外国人であっても当地に1年以上住み続ければ、健康保険カード(Kela Kortti)が発行され、市民と同様の医療サービスを享受することができるようになります。公的医療機関としては、地区ごとに医療センターが整備されていて、その上に総合病院や大学病院などがあり必要に応じて紹介されることになります。しかしながら、地区の医療センターは患者が殺到するため受診までに数時間を要することも多々あり、夜間や休日の緊急診療については待ち時間が長くなることがあります。一定の所得層以上は、割高ではありますが、予約制で待ち時間の少ない私立病院を利用する傾向にあります。

 外国人旅行者や短期滞在者が病院を受診する場合は、基本的に全額私費診療となります。概して医療費は高額で、受診に際してかなり高額の医療費を覚悟しなければなりませんので、渡航前に海外旅行傷害保険への加入を強くお勧めします。緊急時の電話番号は「112」でどんな電話からでも番号112を押すだけでつながり、英語も通じます。

 また医薬分業が進んでおり、処方薬は薬局(Apteekki)で医師の処方箋と引き換えに購入します。なお、ヘルシンキ市内の薬局のほとんどは21時までの営業ですが、24時間営業の薬局もあります(Yliopiston Apteekki住所:Mannerheimintie 96, 00250 Helsinkiこちらは深夜・早朝でも薬剤師がいて、処方薬も入手可能です)。

5 かかり易い病気・怪我

 ヘルシンキ市内で生活する限り、注意すべき風土病や特定の感染症のようなものはありません。しかしながら、冬季は外気がマイナス25℃程度まで下がることから歩道が凍結し、転倒による骨折・怪我が多くなります。室内では空気が非常に乾燥するので、風邪など呼吸器系疾患や皮膚疾患にかかりやすくなります。また日照時間が極端に短くなるので、ビタミンD不足により骨粗鬆症や小児は“くる病”などにかかりやすくなります。逆に夏季は日照時間が長く夜遅くまで明るいため、睡眠不足になったり、紫外線の強さから角膜炎などを起こしやすくなったりします。5月頃には白樺等の花粉飛散による花粉症を発症することがあります。

6 健康上心がけること

(1)飲料水

 水道水(軟水)は安全に飲むことができます。

(2)夏季の注意事項

 森の中や草むらに入る時は、マダニ(プンキ)や蚊に刺されないように長袖シャツ・長ズボンを着用し肌を露出しないようにする、昆虫忌避剤(虫除けスプレー等)を使用するなどの対策が必要になります。これらの昆虫に刺されることでダニ媒介性脳炎を発症したり、野兎病(ツラレミア)に罹患したりする危険性があります。ダニ媒介性脳炎の予防接種は、日本国内のトラベルクリニックでも受けることができます。また、ベリー摘み、きのこ狩りをする際は、毒蛇に咬まれないよう長靴を履くなど注意する必要があります。

(3)冬季の注意事項

 冬季は寒さが厳しいため、外出時には必ず厚手のコート、手袋、マフラー、帽子などの防寒対策が必要です。また、夏に比べ11から1月は天候も悪く日照時間が平均1-2時間と極端に短くなります。長期滞在する場合は、ビタミンDが不足しがちになります。そのためビタミン剤を服用したり、夏季に充分日光を浴びたりしておくことが肝要です。メンタルケアのため、スキー、スケートなどのウインタースポーツや南ヨーロッパなどへ国外旅行をすることも有効です。

7 予防接種(ワクチン接種機関含む)

(1)赴任者に必要な予防接種

 入国時に法的に接種を求められているものはありません。

  • 成人:特にありません。
  • 小児:日本での定期予防接種を行ってください。フィンランドに長期滞在する場合は、現地のスケジュールに従うようにしてください。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

ワクチン名 初回 2回目 3回目 4回目 5回目
DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風) 3か月
5種混合
DTaP+Hib+IPV
5か月
5種混合
DTap+Hib+IPV
12か月
5種混合
DTaP+Hib+IPV
4歳
4種混合
DTaP+IPV
14から15歳
DTap
ポリオ(IPV)  
インフルエンザ菌b型(Hib)    
肺炎球菌 3か月 5か月 12か月    
ロタウイルス 2か月 3か月 5か月    
MMR(麻疹・風疹・ムンプス) 12から18か月 6歳      
水痘 1歳半から11歳 1回目6歳未満は、6歳
1回目6から11歳の間は12歳
     
季節性インフルエンザ 6か月から        
HPV(子宮頸がん) 10から12歳 (2回以上接種)      
  1. (注)D, d:ジフテリア、T, t:破傷風、aP, ap:百日咳(大文字は高用量、小文字は低用量)
  2. (注)上記の他、高リスク者に対してはBCG、A型肝炎、B型肝炎、ダニ媒介性脳炎、肺炎球菌の各予防接種が推奨されています。成人には10年毎にdTの接種が推奨されています。

(3)小児が現地校に入学する際に必要な予防接種・接種証明

 予防接種の義務はありません。また接種証明の提出も求められていません。

8 病気になった場合(医療機関等)

 海外旅行傷害保険に加入している場合は、提携しているアシスタンス会社を通じて全て日本語で緊急アシスタンスサービスが受けられますので、適切な医療機関の紹介を受けてください。また保険会社と契約のある医療施設であれば、キャッシュレスサービスを受けられますので事前に確認することをお勧めします。

(注)公設救急車はダイヤル「112」で呼ぶことができます。

(首都)ヘルシンキ

私立病院

(1)MEHILÄINEN FORUM MEDICAL CENTER
所在地:Mannerheimintie 20 B, 4F Helsinki(ヘルシンキ中心部のショッピングモール内)
電話:(010)-414-00(予約電話)
概要:フィンランド最大の私立病院グループであるMEHILÄINENグループの外来クリニック。
診療科:内科、外科、耳鼻科、眼科、歯科等
診察時間:月曜日から木曜日8時から20時、金曜日8時から18時、土曜日・日曜日10時から15時
医療設備:レントゲン撮影、血液検査等のみ。CT、MR等はなし。
重症例や精密検査が必要と判断される場合には同グループのMEHILÄINEN病院を受診するシステムになっています。
ホームページ:MEHILÄINEN(フィンランド語)別ウィンドウで開く
(2)MEHILÄINEN HELSINKI TÖÖLÖ
所在地:Pohjoinen Hesperiankatu17, Helsinki
電話:(010)-414-00(予約電話)
概要:上記のMEHILÄINENグループの主要病院の一つ。各診療科が揃っており、CT、MR、血管造影装置、血液透析等医療設備も完備しています。
ホームページ:MEHILÄINEN HELSINKI TÖÖLÖ(フィンランド語)別ウィンドウで開く
(3)MEHILÄINEN VANTAA AIRPORT
所在地:Lentäjäntie 1 E, 6. krs, 01530 Vantaa
電話:(010)-414-00(予約電話)
概要:上記のMEHILÄINENグループの空港クリニック。一般診療に加え、婦人科、航空医学、一般外科、整形外科、精神科が含まれます。
(4)TERVEYSTALO 病院(旧Diacor)
所在地:Keskuskatu 7, Helsinki 他
電話:0900-30-000(24時間対応)
ホームページ:TERVEYSTALO 病院(フィンランド語)別ウィンドウで開く

公立病院

(1)Helsinki University Hospital(HUS:ヘルシンキ大学病院)
所在地:専門科により所在地が異なる
電話:116117
概要:ヘルシンキで最大の総合病院。内科、外科を含む全ての診療科が揃っています。24時間対応する救急部門も充実しており、交通外傷、心疾患、脳血管障害含む全ての患者を受け入れ可能です。緊急時の搬送や、専門診療科受診の場合医療機関からの紹介により利用します。
ホームページ:Helsinki University Hospital(フィンランド語)別ウィンドウで開く

9 その他の詳細情報入手先

(1)在フィンランド日本国大使館
ホームページ:在フィンランド日本国大使館別ウィンドウで開く
電話:(09)-686-0200
(2)フィンランド国立保健福祉研究所(THL)
ホームページ:Finnish Institute for Health and Welfare(英語)別ウィンドウで開く
電話:029 524 6000
(3)フィンランド社会保健省
ホームページ:Ministry of Social Affairs and Health(英語)別ウィンドウで開く
電話:0295 16001
(4)ヘルシンキ市
ホームページ:City of Helsinki(英語)別ウィンドウで開く
電話:09 310 10023

10 一口メモ(もしもの時のフィンランド語)

語彙

  • 病院:Sairaala(サイラーラ)
  • 医師:Lääkäri(ラーカリ)
  • 薬:Lääke(ラーケ)
  • 痛い、しんどい:Kipeä(キペア)
  • 下痢:Ripuli(リプリ)
  • 寒い:Kylmä(キュルマ)
  • 暑、熱い:Kuuma(クーマ)
  • 嘔吐:Oksennus(オクセンヌス)
  • 腹痛:Vatsakipu(バッツサキプ)
  • 頭痛:Päänsärky(パーンサリュキュ)
  • 注射:Ruiske(ルイスケ)
  • 発熱:Kuume(クーメ)
  • 傷:Haava(ハーヴァ)

短文

  • 気分が悪い。:Minulla on huono olo.(ミヌッラ オン フオノ オロ)
  • 熱がある。:Minulla on kuumetta.(ミヌッラ オン クーメッタ)
  • 医者を呼んでくれ。:Kutsukaa lääkäri.(クツカー ラーカリ)
  • おなかが痛い。:Minulla on vatsakipuja.(ミヌッラ オン バッツァキプヤ)
  • 助けて:Apua!(アプア)
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