世界の医療事情

令和6年10月1日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 アルメニア共和国(国際電話番号374)

2 公館の住所・電話番号

在アルメニア日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
住所:23/4 Babayan St., Yerevan, 0010, Republic of Armenia
電話:(011)523010
ホームページ:在アルメニア日本国大使館別ウィンドウで開く

(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内しています

3 医務官駐在公館ではありません

 在ロシア日本国大使館医務官が担当

4 医療・衛生事情一般

 アルメニアは大陸性気候に属し、年間の気温差が大きく、夏は40度以上、冬は氷点下20度以下となることがあります。エレバン市内は、交通量が多い上に再開発の工事現場が多く排気ガスや埃がひどいことがあります。

 人口およそ300万人のアルメニアで、110万人が集中する(2020年)首都エレバン市内には質の高い医療機関が存在し、公立の救急車サービス(電話番号103)もありますが、到着までに時間がかかることがあります。一方、地方都市ではエレバンと同様の医療サービスは期待出来ません。多くの医薬品は処方箋無しで市中の薬局で購入が可能です。

 エレバン市内都心部では上下水道が整備されています。水道水は歯磨きや調理には使えますが、飲用にはミネラルウオーターが無難です。なお、外食産業の食品衛生については一定していません。

5 かかり易い病気・怪我

(1)交通事故

 交通事故死者数は378人(2023年)でおよそ12.8人/10万人と、ここ数年増加傾向にあります(日本:2.14人/10万人、2023年)。運転マナーが悪く、歩道の整備も不十分な場所があるため、交通事故に注意してください。冬季は、路面の除雪が不十分なため、車両のスリップに注意が必要です。

(2)乾燥に伴うトラブル

 空気の乾燥と埃のため、鼻やのど、眼のトラブルを起こしやすいです。コンタクトレンズを使う方は眼鏡も持参しましょう。

(3)高地による症状

 エレバンは標高約1,000mの高地に位置します。そのため晴天時には紫外線が強くなります。肌の弱い方は、つばの広い帽子や日焼け止めの使用をお勧めします。観光地のセバン湖は海抜1,900mの高地で空気が薄い(海上の8割)です。高地環境に身体を慣らしながら行動しましょう。

6  健康上心がけること

  1. 湿度が低く埃がひどいため、加湿器・空気洗浄機を利用し、保湿を心がけてください。
  2. 食品の安全に留意してください。加熱処理していないウシやヤギのミルク、それらの乳製品は避けてください。診断・治療が困難な細菌感染症であるブルセラ症のリスクが指摘されています。
  3. 結核、中でも多剤耐性結核(MDR)が問題となっています。運転手・メイドなどを雇う場合は結核に罹患していないかどうか確認しましょう。近年は罹患率、死亡率とも減少傾向にあり、人口10万人あたりの新規発症率は12.6(2020年)と2010年と比べて37%減少しています(日本:8.1、2022年)。
  4. エレバン郊外や地方での屋外活動時にはヘビに注意してください。アルメニアには数種類の毒蛇が生息しています。万一咬まれた場合は速やかに保健省のホットライン(8003)に連絡して抗蛇毒血清のある病院で手当を受けてください。
  5. 狂犬病については、国内どこでもリスクがあると考えてください。エレバン市内を歩く際には、野犬に注意が必要です。
  6. アルメニアは過去に大地震(1988年、死者約25,000名)を経験しています。日本も同様ですが、長期滞在する場合は、数日分の水と食料を備蓄しておきましょう。
  7. マラリアについては、2011年にWHO(世界保健機関)によってアルメニアは非流行地域と宣言されています。

7 予防接種(ワクチン接種機関含む)

(1)赴任者に必要な予防接種

 入国にあたり日本人に義務づけられている予防接種はありません。成人については、A型肝炎、B型肝炎、破傷風に加えて、麻疹・風疹・水痘の予防接種が勧められます。長期滞在者は腸チフスや狂犬病の予防接種も検討しましょう。小児については、日本で行われている定期接種に加え、A型肝炎の予防接種を済ませておくと安心です。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

  初回 2回目 3回目 4回目 5回目
B型肝炎 出生時 6週(5価) 12週(5価) 18週(5価)  
BCG(結核) 出生時 6週(5価) 12週(5価) 18週(5価)  
ロタウイルス 6週 12週      
DTwP/Hib/HB
5価ワクチン
6週 12週 18週 18か月
DTaP
6歳後は10年毎にTd
ポリオ(経口) 6週 12週 18週 18か月 6歳
肺炎球菌 6週 12週 18週    
MMR 1歳 6歳 16歳    
ポリオ(注射) 2歳        
ヒトパピローマウイルス(子宮頸がん) 13歳        
髄膜炎菌(A、C、W、Y) 16歳        
A型肝炎 16歳        
野兎病 17歳        

DTwP/DTaP:ジフテリア(D)・破傷風(T)・百日咳(wP/aP)、Td:破傷風(T)・ジフテリア(d)

Hib:インフルエンザ桿菌b型、HB:B型肝炎、MMR:麻疹・おたふく風邪・風疹、HPV:子宮頸がん

(3)小児が現地校に入園・入学する際に必要な予防接種・接種証明

 現時点はありません。

8 病気になった場合(医療機関等)

(首都)エレバン市(順不同)

(1)Nairi Medical Center
所在地:21 Paronyan Str, Yerevan
電話:(010)537500, 520099
概要:循環器科を除く各科が揃った総合私立病院。CTやMRIなどの医療設備も整う。英語を解する職員が勤務し、外国人の利用実績あり。
ホームページ:Nairi Medical Center(アルメニア語)別ウィンドウで開く
(2)Erebouni Medical Center
所在地:14 Titogradyan Str, Yerevan
電話:(010)471100、救急サービス:8119
概要:アルメニア最大の医療機関(総合病院)。各診療科が揃い、病院専用の救急車も常時待機。エレバン中心部からは約6km。
ホームページ:Erebouni Medical Center(アルメニア語)別ウィンドウで開く
(3)Medical Center Surb Astvatsamayr
所在地:46a Artashesyan Str, Yerevan
電話:(010)464115
概要:小児科分野が充実した総合病院で、プライマリヘルスケアから高次医療まで提供。外国人の利用実績あり。
(4)ASTGHIK MEDICAL CENTER
所在地:Daniel Varuzhan Str, House 28A, Yerevan
電話番号:(060)651219、(011)667788
概要:全科、特に循環器科、放射線科(画像診断)に重点を置く。
24時間対応の救急部を併設
ホームページ:ASTGHIK MEDICAL CENTER(アルメニア語)別ウィンドウで開く
(5)Avanta Dental Clinic
所在地:1/1 Heratsi, Yerevan 0010
電話:(012)323232
概要:市内に6か所ある歯科クリニック。各クリニックでは英語が通じる。
ホームページ:Avanta Dental Clinic(アルメニア語)別ウィンドウで開く

9 その他の詳細情報入手先

10 一口メモ

 アルメニア語は表記・発音が独特です。英語、ロシア語も通じますので、「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療英語/ロシア語)を参照願います。

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