世界の医療事情

ベネズエラ

平成28年10月

1 国名・都市名(国際電話番号)

 ベネズエラ・ボリバル共和国・カラカス市・国際電話国番号(58)

2 公館の住所・電話番号

在ベネズエラ日本国大使館 (毎週土日休館)
住所:Torre Digitel, Piso 9 Av. Don Eugenio Mendoza con Esquina Calle Miranda Urb. La Castellana, Chacao, Miranda 1.
電話:0212- 262 -3435
ホームページ:http://www.ve.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(注)土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので,ご覧ください。

3 医務官駐在公館ではありません

 在コロンビア日本国大使館 医務官が担当

4 衛生・医療事情一般

 首都カラカス市(Caracas)は標高900メートルにあり,熱帯地域にありながら,一年中,日本の初夏を思わせる快適な気候です。カラカス市内の衛生状態は,それほど悪くはありませんが,スラム(貧民街)が取り囲むように広がっており,これらの地域では衛生状態が悪く,コレラなどが発生することがあります。罹患しないためには,水道水は飲まない,手洗いを励行する等に留意する必要があります。

 カラカス市内には,海外で研修を受けた医師が勤務する私立総合病院がいくつかあり,設備はそれなりに整備されていますが,緊急性のない外科手術などはなるべく避けるのが無難でしょう。なお,国立病院の医療水準は低く,衛生的でなく,低所得者層が利用しているのが実態です。

 昨今の石油価格の下落により,べネズエラの経済は悪化しています。当国では多くの日常品を輸入に頼っており、外貨不足によりミネラルウォーター,乳製品,小麦,米等が不足しています。さらに,各種ワクチン,医薬品の入手も困難であるため,渡航前に本邦にてワクチン接種を受けておく,さらに持病があれば医薬品を持参する等ご検討ください。

5 かかり易い病気・怪我

 マラリア,デング熱,ジカ熱,チクングニア熱,黄熱等の蚊によって媒介される感染症が全国に拡がっているため,防蚊対策として長袖・長ズボンの着用,虫除け剤の利用が望まれます。また狂犬病,破傷風,ジフテリアも発生しています。(2016年10月現在)

(ア)マラリア

 2016年に爆発的に感染が広がり,9月末までに,180,000件が発生しています(2014年の発生件数は90,708件,2015年は136,402件)。マラリアのタイプは三日熱マラリアが69%,熱帯熱マラリアが31%(2014年)です。(WHO World malaria report 2015)。特にアマゾンに接するアマソナス州(Amazonas),ボリバル州(Bolívar)において,全体の80%を超えるケースが発生しています。これらの地域に立ち入る場合には,抗マラリア予防薬を内服し,38度以上の高熱を発した場合には,直ちにマラリア検査(血液検査)を受け,陽性の場合は抗マラリア治療薬内服を早急に開始することが望まれます。マラリア迅速診断キット(Binax Now等),抗マラリア治療薬(RiametCoartem等)は同国内で不足しているため,持参することをお勧めします。また,マラロン,メフロキンなどの抗マラリア予防薬内服の要否については旅行前に本邦医療機関(渡航外来或いはトラベルクリニック)で相談するとよいでしょう。

(イ)デング熱

 アマソナス州(Amazonas),ボリバル州(Bolívar)等,国内東部を中心に感染が拡大しています。保健省の発表によると,2015年には51,711件が発生しています(2012年は46,708件,2013年は75,000件)。デング熱は多くは軽症ですが,重症化することがあり,場合により死亡することもあります。体中に出血斑を認めた場合は,早めに医療機関を受診ください。

(ウ)黄熱

 2014年に2例の黄熱患者が報告されています。ボリバル州(Bolívar),アマソナス州(Amazonas)等,アマゾンに接する地域では黄熱感染の危険があるため,これらの地域を訪れる場合は黄熱ワクチンを接種することを強くお勧めします。また,当国への入国に際し,黄熱ワクチン接種記録(イエローカード)の提示は求められませんが,ベネズエラから他国に入国する際に,提示を求められる可能性があるため,周辺国も訪れる予定のある方は,接種することをお勧めします。なお、同ワクチン1回の接種で,生涯免疫が持続するとWHO(世界保健機関)から報告されていますが,国により解釈が異なるため,訪れる国に確認してください。

(エ)ジカ熱

 政府発表では,3,700人が感染しているとされています。一方,国内衛生団体によると,40万~100万人余りの感染者が出ていると疑っている報告もあります。ジカ熱は基本的には軽症ですが,ギランバレー症候群(末梢運動神経麻痺)との関連も示唆されています。また,妊婦が感染すると,胎児の先天性奇形や小頭症の発生が危惧されています。ジカ熱はウイルス感染症で根本的な治療法はなく,予防することが重要です。蚊媒介性疾患であり,防蚊対策が欠かせません。

(オ)狂犬病

 2002年から2008年にかけて,犬やコウモリから感染した狂犬病患者が約500症例発生し,多数の死者が出ています。最近では2015年から2016年にかけて,コロンビアに接するスリア州(Zulia)において,狂犬病による死亡者が少なくとも2件の発生しています。また,2012年までのWHOによる報告において,アマソナス州(Amazonas)で狂犬病にかかった犬が存在することが指摘されています。当国では全国で,犬やコウモリ等から狂犬病に感染する可能性があり,動物に噛まれた場合は直ちに医療機関を受診し,ワクチン接種を受けてください。ただし,当国では現在,狂犬病ワクチンが不足しており,迅速な対応を受けることができるかどうかは不明であるため,事前に予防接種(暴露前接種)を受けておくことが推奨されます。

(カ)破傷風

 破傷風は外傷,犬や猫による咬傷などが原因で発症します。当国では,年間40~80人の破傷風患者が出ており,数名が死亡しています。事前に予防接種を受けることをお勧めします。

(キ)ジフテリア

 2016年10月にボリバル州(Bolívar)において,ジフテリアにより21人が亡くなっています。さらに,カラカスでもジフテリアと思われる症例が発生しています。予防接種を受けることを推奨します。また,幼少期に予防接種を受けた30歳以上の方で,10年以上,ジフテリアのワクチン接種を受けていない方は追加接種を考えてください。

(ク)交通事故

 2014年,交通事故による死亡者は総計12,112人で,人口10万人当たり41.06人です(日本の10倍超)。当国は車優先社会であり,運転手の交通マナーも非常に悪いため,道路横断の際は安全確認を十分行ってください。また,ご自分が運転する場合も,スピードの出し過ぎや夜間の運転に注意する等,個人の自覚が大事です。

(ケ)暴力

 ベネズエラにおける死因の第3位は暴力によるもので,2014年には24,980人が他殺で亡くなっています。人口10万人当たりの件数は62人で,ホンジュラス(74.55人),エルサルバドル(64.19人)に次ぐ世界第3番目の多さです(日本は0.3人)。メキシコのNGOの都市別統計によると(2015年),カラカスが世界一殺人率の高い都市となっています。さらに、最近の政治・経済のますますの悪化に伴う社会不安の高まりから,暴力事件が多発しています。夜間の外出を控え,貴重品は見えないようにする等,暴力事件に巻き込まれないような行動を行ってください。

出典:国連の犯罪調査統計、ICPO,WHOから

(コ)その他の熱帯疾患

 リーシュマニア症,シャーガス病の流行地域は,その多くが,都会から離れた地域です。リーシュマニア症はサシチョウバエ,シャーガス病はサシガメ(カメムシの一種)の刺咬によって感染します。宿泊施設は虫の入ってこないしっかりしたホテルを選んでください。

(サ)食中毒など

 不衛生なレストランも多く,食品衛生には十分注意を要します。生水を避ける,肉類中心の食事を改める,非衛生的な食品を摂らない等の注意が必要になります。

(シ)甲状腺機能低下症

 カラカス市などの内陸都市では,海産物の摂取不足からヨード摂取不足が起こり,甲状腺機能低下症を発症することが多いです。その対策として当地ではヨード入りの塩が販売されているので,調理に際し,ヨード入りの塩を使用したらよいでしょう。

6 健康上心がける事

(1)当地の治安は悪化しており,行動範囲が限られています。このような状況でストレスが溜まりやすいことから,室内でできる趣味を持つことが大切です。

(2)腸管感染症を防ぐために,食事や水は衛生的なレストランでのみ摂取してください。

(3)海岸地区や森林地区には熱帯感染症を媒介するさまざまな昆虫が存在するため,防虫対策を厳重に行ってください。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

(ア)赴任者に必要な予防接種

成人

 黄熱,A型肝炎,B型肝炎,腸チフスの接種をお勧めします。また,3種混合Tdap(破傷風,ジフテリア,百日咳)は10年ごとに追加接種をお勧めします。

(注)日本から当国に入国の際に,黄熱予防接種証明書(イエローカード)の提示は必要ありません。しかし,黄熱汚染国から当国に入国する場合には,イエローカードの提示を求められることがあります。

小児

 日本の定期接種ワクチンと任意接種ワクチンについては,年齢的に可能なものは全て接種した上で当国に赴任することをお勧めします。加えて,黄熱,腸チフスのワクチン接種もお勧めします。

(イ)現地の小児定期予防接種一覧

現地の小児定期予防接種一覧(WHO調査2014年)
ワクチンの種類 初回 2回目 3回目 4回目 5回目
BCG 出生時
ポリオ(OPV) 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 18ヶ月 5歳
B型肝炎 出生時
DTP 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 18ヶ月 5歳
肺炎球菌 2ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 1歳
Hib(インフルエンザ菌b型) 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 18ヶ月 5歳
MMR 1歳 5歳
黄熱 1歳
ロタウイルス 2ヶ月 4ヶ月
季節性インフルエンザ 6ヶ月 7ヶ月

(ウ)

 小児が現地校に入園・入学する際は,原則,予防接種証明書の提出を求められます。提出を要する予防接種の種類は学校によって異なるようで,赴任前に,あらかじめ確認し,準備しておくことをお勧めします。

(注)乳児健診について:強制健診はなく,任意に行われています。出生後7ヶ月は毎月検診があり,その後は2ヶ月に1回あります。健診の内容は,体重・身長・頭囲の測定,心音の確認,耳や鼻のチェック等です。

8 病気になった場合(医療機関等)

カラカス市(Caracas

(1)Clinica el Avila
住所:6ta Transversal, con Av. San Juan Bosco, Altamira, Caracas
電話:0212-276-1111 / 1052
概要:日本人がよく利用します。
(2)Policlinica Metropolitana
住所:Calle A1, Urb. Caurimare, Caracas
電話:0212-908-0100 / 0140
概要:Dr. Miguel Aparceroが午前中のみ勤務しています。日本において,消化器内視鏡の研修を受けた経験があります。また夫人が日本人であり,ご本人も多少日本語が話せます。

9 その他の詳細情報入手先

(1)在ベネズエラ日本国大使館 メールアドレス:consul@cr.mofa.go.jp

(2)厚生労働省検疫所 国・地域別情報(ベネズエラ):http://www.forth.go.jp/destinations/country/venezuela.html別ウィンドウで開く

10 現地語・一口メモ

 「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療スペイン語)をご参照ください。

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