世界の医療事情

ウルグアイ

2022年10月

1.国名

 ウルグアイ東方共和国(モンテビデオ)(国際電話国番号598)

2.公館の住所・電話番号

 Embajada del Japón, Bulevar Artigas 953, Montevideo, Uruguay
 (毎週土日休館) 電話 +598-2418-7645

3.医務官駐在公館ではありません

 在アルゼンチン大使館医務官が担当

4.衛生・医療事情一般

 気候は四季があり温暖で、首都モンテビデオの気温は、夏期(12~3月)の最も暑い1月で平均気温23度前後、冬期(6~9月)の最も寒い7月で平均気温11度前後です。ただしモンテビデオの気候は日内変動が大きく、夏でもセーターを必要とするほど冷え込むことがあります。

 国民人口約350万人のうち約9割はスペイン・イタリア系白人で、インディオや混血の人は少なく、南米にありながら白人の国です。教育水準は高く、文化的にも社会慣習的にもヨーロッパ的です。医療制度は人口350万人のうち、約250万人が国民健康保険に加入しており、加入者は保険の枠組み内で選択した医療機関を受診することができます。非加入の約100万人は公的医療機関を受診します。公立病院の医療レベルは必ずしも高くありませんが、首都の一部の私立総合病院では、欧米諸国と遜色のない医療レベルが期待できます。しかし、脳血管障害や虚血性心疾患など高度な医療技術を要する疾患については、特定の病院に集約して治療を行っているため、総合病院であっても治療できるとは限りません。また、公営の救急車は呼んでもすぐには来ないことがあり、中流層以上は緊急事態に備えて私立の救急搬送会社との契約を結んでいることが多いです。

 首都圏の上水道はほぼ完備しており飲水可能ですが、生水によって下痢を起こすこともあるので、煮沸して飲むか、飲用には市販のミネラルウォーターの方がよいでしょう。一般レストランでの食事は衛生面で特に問題なく、注意すべき事はありません。路上の屋台の食品には非衛生的な物があるので避けましょう。

5.かかり易い病気・怪我

(1)下痢・腹痛

 原因は様々ですが、ウルグアイに到着当初は消化器症状に悩まされることも少なくないようです。生水は飲まない、衛生的に調理されたものを摂取する等の注意が必要です。

(2)寄生虫疾患

 牧畜業の盛んな国ですが、家畜の糞便や犬を介してまれにエキノコッカス(包虫)症に感染することがあります。動物と接した後は、手洗いを十分にしましょう。また、比較的衛生状態のよい国ではありますが、回虫やギョウ虫といった消化器寄生虫疾患もあるため、生野菜などには注意が必要です。

 他の中南米諸国と同様に、ウルグアイはシャーガス病の発生国です。シャーガス病は原虫(トリパノソーマ)による感染症で、主な感染経路はトリパノソーマを持ったサシガメが人を吸血しながら糞をして、排泄物に含まれたその病原体が、刺された傷口などから侵入して感染が成立します。しかし、ウルグアイは2012年に汎アメリカ保健機構(PAHO)からTriatoma infestans(トリパノソーマを媒介するサシガメの一種)がいなくなった国に認定されており、輸血製剤のトリパノソーマのスクリーニングも行われているため、ウルグアイでの感染経路は主に母子感染となっています。

(3)デング熱

 ウルグアイにはネッタイシマカが生息しているため、デング熱が発生する可能性のある国です。ウルグアイのデング熱の症例は、輸入例(他国で感染した症例)がほとんどですが、2016年および2020年には国内発生が報告されています。

(4)ハンタウイルス肺症候群

 野生ネズミの糞尿中に排泄されたウイルスによっておこる感染症で、汚染された土ぼこりを吸い込むことによって感染します。発熱、悪寒、頭痛、嘔気などの後、咳嗽や呼吸困難が出現し、致死率の高い疾患です。年に10~20例程度の報告があり、農村部に滞在される方は、ネズミとの接触を避けるようにしてください。

(5)HIV/AIDS

 ウルグアイ保健省の報告によると、2021年のHIV新規感染者数は人口10万人あたり21人で、そのほとんどが性行為による感染です。

(6)狂犬病

 都市部では防犯用・ペット用の犬が多く飼われていますが、野犬も多く存在し、不用意に接触すると咬まれることがあります。イヌをはじめとする哺乳類に咬まれた場合には、傷口を石鹸と流水で洗浄後、直ちに最寄りの病院を受診してください。事前(曝露前)に狂犬病ワクチン接種をうけていたとしても、哺乳動物による咬傷等を受傷した場合には、曝露後のワクチン接種が必要です。

(7)交通外傷

 ウルグアイの運転はかなり荒く、速度も速いため、歩行時、運転時ともに注意が必要です。

6.健康上心がける事

 首都モンテビデオ市に居住する限りは、一般的な注意事項(手指衛生の励行、飲食物の衛生に気をつける、呼吸器感染症流行時のマスク着用、防虫対策、動物にむやみに近づかないなど)以外に、特別な注意点はありません。しかし、ウルグアイ国内に日本人医師や日本語を理解する医師はいないため、症状を訴えることができるようにスペイン語や英語の準備は必要です。日本並みの医療水準を期待するなら公立病院ではなく私立病院を受診する必要がありますので、海外旅行者傷害保険に加入するか、長期居住の場合は特定の私立病院と契約される事をお勧めします。

 また、日本では処方箋が必要な医薬品が、当地では処方箋なしでも購入できることがありますが、日本の製剤とは含有量などが異なることがあるため注意が必要です。

7.予防接種

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種

 日本からウルグアイに入国する際、検疫上必要な予防接種はありません。
 成人は、A型肝炎、B型肝炎、破傷風の予防接種を推奨します。小児は、日本国内での定期予防接種および推奨されている任意接種を可能な限り受けてください。それらに加えてA型肝炎、B型肝炎(定期接種で受けていない場合)の予防接種を推奨します。また、成人、小児ともに衛生状態の良くない地域に滞在予定がある場合は腸チフスの接種を勧めます。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

ウルグアイの小児定期予防接種一覧
初回 2回目 3回目 4回目
BCG 生直後      
5種混合(DTP+Hib+HB) 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 15ヶ月
ポリオ(IPV) 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 5歳
MMR 12ヶ月 15ヶ月    
水痘 12ヶ月 5歳    
肺炎球菌(13価) 2ヶ月 4ヶ月 12ヶ月  
A型肝炎 15ヶ月 21ヶ月    
3種混合(DTP) 5歳 11歳(Tdap)    
HPV(男女とも) 11歳      

※ 5種混合(ジフテリア+破傷風+百日咳+インフルエンザ菌b+ B型肝炎)、
  MMR(麻疹+ムンプス+風疹)、ポリオ(IPV)(不活化ポリオワクチン)
  3種混合DTP(ジフテリア+破傷風+百日咳)、Tdap(思春期~成人用DTP)
  HPV(ヒトパピローマウイルス)

8.病気になった場合(医療機関等)

◎モンテビデオ

(1)Hospital Británico(オスピタル・ブリタニコ=英国病院)
所在地:Av. Italia 2420
電話:2487-1020(代表)
概要:全科対応(歯科除く)の私立総合病院です。救急外来、集中治療部門の体制も整っています。CT、MRI、内視鏡などの検査設備も充実しており、病院設備も新しいです。一般外来(予約制)は各専門科を受診できます。契約会員の受診が基本のため、会員以外が受診する場合には、支払い能力を示す旅行者保険加入証明書やクレジットカードを提示する必要があります。医師の多くは英語を話します。看護師、検査技師はほぼスペイン語のみですが、英語を話せる職員が常駐しています。
(2)Asociación Española(スペイン病院)
所在地:Av. Rivera 2333(成人救急外来)、Bulevar Artigas 1515(小児救急外来)(成人と小児で救急入口が異なります)
電話:1920-7000(代表)、1920-5050(救急)
概要:私立総合病院で、精神科、歯科を含めて全科に対応可能です。救急部門は多くの救急患者を受け入れており、脳血管障害や虚血性心疾患に対する治療も可能です。保険外で受診する場合には、支払い能力を示すドキュメントを提示する必要があります。医師は英語が話せることが多いですが、看護師、検査技師はほぼスペイン語のみです。

9.その他の詳細情報入手先

10.現地語一口メモ

 「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療スペイン語)を参照願います。

11.新型コロナウイルス関連情報

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、発生状況が変化し、それにより対策も変更されるため、できるだけ最新の情報を入手されるようにしてください。

(1)発生状況

 ウルグアイの発生状況に関して、参考となる情報入手先を示します。

(2)当国への入国制限、入国後の行動制限

 下記サイトのウルグアイの項を参照ください。

(3)医療機関、検査機関の対応状況

 モンテビデオ市には、新型コロナウイルス感染症の入院治療が行える、集中治療室を有する総合病院があります。PCR検査、抗原検査を実施できる検査機関があります。

(4)ワクチン接種状況

 ウルグアイで新型コロナワクチンの接種を希望される方は、下記サイトの情報を参照ください。

(5)医療機関受診時の注意点

 ウルグアイにおける新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の流行状況によって、医療機関の受入れ体制に変更があり得ます。コロナの疑いで受診する場合と、コロナ以外の疾患で受診する場合では、受診時の対応が異なることがあるため、緊急時を除いて、受診前に医療機関へ問い合わせをされることをお勧めします。

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