世界の医療事情

令和6年10月1日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 パナマ共和国(国際電話番号507)

2 公館の住所・電話番号

在パナマ日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
住所:Calle 50 y 60E Obarrio, Bella Vista, Apdo. Postal 0816-06807, Panamá, Rep. de Panamá
電話:263-6155
ホームページ:在パナマ日本国大使館別ウィンドウで開く

(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

3 医務官駐在公館ではありません

 在ニカラグア日本国大使館医務官が担当

4 衛生・医療事情一般

 パナマの地理は東西に細長く、中央にパナマ運河があります。西部は髙地で、東部は森林に覆われた地域になっています。全土が熱帯に区分され、5月から10月が雨期となります。熱帯特有の病気に注意が必要です。津波やハリケーンといった自然災害の潜在的なリスクがあります。パナマ市は年間を通して気温、湿度が高くなっています。

 人口は約435万人、平均寿命男性76.6歳、女性82.1歳です。人口がパナマ市に集中し、パナマ市とそれ以外の地域との経済格差や医療・衛生格差が極めて大きくなっています。人口1万人あたり、医師16名、歯科医3人、看護師35名、病床数は19です。パナマ市では高水準の医療が受けられる反面、地方では医療施設が乏しい状況です。国民が加入できる公的な健康保険制度があります。

 設備の整った私立病院の治療には高額の費用がかかります。渡航前に治療、緊急移送費用を含む海外旅行傷害保険に加入することをおすすめします。

5 かかり易い病気・怪我

(1)デング熱

 デングウイルスを保有する蚊に刺されることにより感染します。年間を通して地域に偏りなく感染します。症状は1週間前後の潜伏期の後、発熱、関節痛、頭痛、発疹などの症状が出現します。まれに出血、ショック等を呈して重症化することがあります。防蚊対策が重要です。

(2)ジカ熱、チクングニア熱

 それぞれ蚊を媒介とするウイルス感染症で、発熱、発疹、関節痛などの症状が出現します。ジカウイルス感染症は、妊婦の感染により胎児へ小頭症等の影響を与える可能性があります。チクングニア熱は特に関節痛が強いことがあります。

(3)マラリア

 クナヤラ自治区、パナマ県東側、ダリエン県、ノベ・ブグレ自治区を中心に、パナマ東部、西部に流行地域があります。パナマ市、運河地域、西パナマ県での感染リスクはほぼないとされています。国内感染例の大部分が三日熱マラリアで、熱帯熱マラリアは1%程度です。三日熱型の潜伏期は1週間から1か月程度ですが、より長期間の潜伏ののち、発症することもあります。

(4)感染性胃腸炎、肝炎

 数日で回復する急性下痢症の他、発熱を伴う下痢や慢性的な下痢症にかかるリスクがあります。原因はウイルスの他、病原性の細菌、原虫、寄生虫と多様です。激しい下痢が続く、血便が見られるといった症状があれば診察を受けてください。渡航前にA型肝炎、腸チフスの予防接種をご検討ください。

(5)黄熱

 WHOにより黄熱に感染する危険のある国と指定され、パナマ運河よりも東側の大陸地域への渡航には黄熱の予防接種が推奨されています。

(6)シャーガス病

 中南米地域の主に農村部に蔓延する感染症です。土塀やヤシ葺きの家屋等に潜むサシガメという昆虫に夜間刺されることや、母子感染、輸血により感染することもあります。昆虫に刺されない注意が必要です。

(7)HIV/AIDS、結核

 HIV/AIDSの新規感染者数は年間約1,500人です。若年、男性の比率が多くなっています。結核は日本と比較すると約4倍の罹患率が報告されています。2週間以上続く咳、微熱、寝汗、血痰などがある場合は、医療機関を受診ください。

(8)狂犬病

 人で最後に確認されたのは1970年代です。コウモリや犬等の補乳動物に咬まれることによって感染します。発症すれば致死率100%です。受傷したら傷を石けんと水でよく洗い、直ちに最寄りの医療機関に相談してください。狂犬病ワクチンでリスクを下げることができます。

6 健康上心がけること

  1. 気温と湿度が高く、日差しも強いので、熱中症予防、日焼け対策が必要です。喉の乾きを感じる前にこまめに水分を摂取して脱水を予防してください。
  2. 蚊等を媒介とする感染症を予防するため、防虫対策が重要です。肌の露出を避け、露出部にはディート(DEET)等を含む防虫剤を利用してください。殺虫剤や網戸、蚊帳の利用も有効です。
  3. 食中毒予防に、衛生状態の良い食堂を利用し、火の通ったものをすぐに食べ、作り置きのものを避け、ミネラルウォーターを利用するなど注意が必要です。
  4. パナマ市内では慢性的に渋滞が発生していますが、郊外ではかなりの速度を出しています。交通事故に注意してください。
  5. 体調が悪い時は無理をせず、悪化する前に早めに医療機関を受診してください。
  6. 渡航後に発熱や下痢などがあり医療機関を受診する場合は、適切な検査や治療等の判断ができるよう、渡航歴をお伝えください。

7 予防接種(ワクチン接種機関含む)

(1)赴任者に必要な予防接種

 渡航者は、A型肝炎、B型肝炎、腸チフス、破傷風の予防接種を検討してください。

 WHOにより黄熱に感染する危険のある国と指定されており、パナマ運河よりも東側の大陸地域(ダリエン(Darién)県、コロン(Colón)県とパナマ(Panama)県の運河の東側地域、エンベラ(Emberá)自治区、クナヤラ(Kuna Yala)自治区の全地域)に渡航する生後9か月以上の渡航者に、黄熱の予防接種が推奨されています。

 ただし、渡航が以下の地域に限られる場合は、予防接種は推奨されていません。
 運河の西側地域、パナマ市、運河地域、バルボア(Balboa)諸島、パール(Pearl諸島)、サンブラス諸島(San Blas Islands)。

 入国時、黄熱に感染する危険のある国(注)より来訪する1歳以上の渡航者は、黄熱予防接種証明書(イエローカード)が必要です。またパナマを出国し、他国へ入国する際に同予防接種証明書の提示を求める国があります。
 (注)「WHOにより黄熱に感染する危険のある国」については、黄熱に注意しましょう!(厚生労働省検疫所FORTH)別ウィンドウで開くをご参照ください。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

ワクチン 接種時期 追加 備考
B型肝炎 出生時(12時間以内)    
BCG 出生時    
肺炎球菌 2、4か月 12か月  
6種混合 2、4、6か月   DTP、Hib、HepB、IPV
インフルエンザ 6、11か月    
ロタウイルス 2、4か月    
MMR 12か月 18か月  
A型肝炎 12か月 18か月  
水痘 15か月 4歳  
黄熱 15か月   リスク地域のみ
肺炎球菌多糖類 24か月    
ポリオ(生) 18か月、4歳    
ポリオ注射 18か月 4歳 免疫不全児
4種混合   18か月 DPT、Hib
DPT   6歳以上  
HPV 10歳   6か月あけて2回目

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 予防接種証明が求められます。日本で受けた予防接種履歴を持参してください。

(4)乳児健診

 国で定められた乳児健診制度はありませんが、定期的に小児科を受診することは一般的です。

8 病気になった場合(医療機関等)

(1)Pacífica salud(Hospital Punta Pacífica)
所在地:Boulevard Pacífica y Via Punta Darien, Ciudad de Panamá
電話:(病院代表)204-8000、(緊急時)204-8184、8185
ホームページ:Pacífica salud(英語)別ウィンドウで開く
概要:救急は24時間体制。英語対応可。クレジットカード利用可。
(2)Hospital Paitilla
所在地:Ave. Balboa y Calle 53, Panamá
電話:(病院代表)265-8800、208-8400(緊急時)265-8888
ホームページ:Hospital Paitilla(スペイン語)別ウィンドウで開く
概要:救急は24時間体制。英語対応可。クレジットカード利用可。

歯科医院

(1)Consultorios de Odontologia Integral(Shunek M. Escala A.医師)
所在地:Plaza Aventura Business Center 2nd piso #254, El Dolado
電話:(507)6272-6613(医師個人携帯)
概要:基本的な日本語対応可能。他に英語、スペイン語。小児は4歳ぐらいから対応可能。

10 一口メモ

 「世界の医療事情」の一口メモ(もしもの時のスペイン語)を参照願います。

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