世界の医療事情
ニカラグア
1 国名・都市名(国際電話番号)
ニカラグア共和国(国際電話番号505)
2 公館の住所・電話番号
- 在ニカラグア日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
- 住所:Plaza España 1 cuadra abajo y 1 cuadra al lago, Bolonia, Managua
- 電話(代表):2266-8668
- ホームページ:在ニカラグア日本国大使館
(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。
4 衛生・医療事情一般
ニカラグアの地理は、太平洋低地、中央高地、カリブ海低地にわけられます。太平洋側は火山帯で人口の大部分が集中しています。全土が熱帯に区分され4月が最も暑く、5月から10月頃が雨期となります。こうした地理的事情から熱帯特有の病気に注意が必要です。脆弱なインフラのため、強い降雨の後河川の氾濫がみられる他、地震、噴火、津波、ハリケーンといった自然災害のリスクがあります。
人口約685万人、平均寿命男性72.1歳、女性77.9歳。各地に保健所、公立病院が整備され、国民は所属する社会保険システムに応じて無料で診療を受けることができます。死因1位は急性心筋梗塞、2位は悪性腫瘍です。病院で出産する女性が増え、帝王切開が増加しています。人工妊娠中絶は理由の如何によらず違法になります。人口1万人あたり医師6名、看護師15名、ベッド数9です。アルコールは18歳、タバコは18歳、運転免許は16歳からで、麻薬、大麻については国民、外国人ともに栽培、取引、使用すべて違法になります。
マナグア市の軍病院と私立病院では緊急時に必要な初期治療、手術を受けることが可能です。地方都市では公立病院を受診できます。しかし、専門的な治療には限界があり重篤な状況では初期治療を終えた後、国外に移送し、治療することが望ましい場合があります。私立病院の受診には高額の費用がかかるため、渡航前に十分な治療、緊急移送費用をカバーする海外旅行傷害保険に加入することをおすすめします。英語で医療サービスを受けることは一部のドクターのみ可能で、スペイン語が必要です。
薬局では処方箋なく購入できるさまざまな基礎的医薬品が販売されています。救急搬送サービスは保健省が担当するものが無料、私立病院の救急車は有料です。
5 かかり易い病気・怪我
(1)交通事故
交通マナー及び道路状況が悪く、日常的に事故が発生しています。歩行者用の横断歩道はほとんどありません。
(2)暴行事件など
ニカラグアは銃器の所持は許可制で、殺人は中米でも少ない国の1つです。しかし、性犯罪を筆頭に、犯罪認知件数は近年増加し続けています。
(3)ジカ熱、デング熱、チクングニア熱
それぞれ蚊を媒介にする感染症です。年間を通して地域に偏りなく感染します。症状は発熱、関節痛などですが、ジカ熱は全く症状がでないことが多いとされます。ジカ熱は母体感染によって胎児小頭症となることがあり、性行為によって感染する可能性が指摘されています。デング熱はまれに重症化することがあります。
(4)マラリア
カリブ海側は汚染地域で約90%が三日熱、10%は熱帯熱です。予防内服は不要ですが、危険地域を訪問し高熱がみられた場合に疑う必要があります。三日熱型の潜伏期は10日程度ですが、長期間の潜伏のあと発症することもあるので、別の地域に移動した後でもマラリア発症の可能性を考慮する必要があります。
(5)感染性胃腸炎、肝炎
数日で回復する急性下痢症の他、発熱を伴う下痢や慢性的な下痢症にかかるリスクがあります。原因はウイルスの他、病原性の細菌、原虫、寄生虫と多様です。激しい下痢が続く、下血が見られるといった症状があれば検査を受けてください。A型肝炎、腸チフスはワクチンにより予防することが可能です。
(6)レプトスピラ症
ネズミの尿などで汚染された水との接触により感染します。未治療で治癒するケースが大部分ですが、重症化して死亡するケースが稀にあります。雨期に感染者が増加する傾向があり、特に河川の氾濫があるとその後感染者が急増する傾向があります。
(7)リーシュマニア症
サシチョウバエという昆虫に刺されて起こる皮膚粘膜リーシュマニア症は1か月程度の潜伏期間を経て発症し、主に皮膚に潰瘍を作ります。
(8)シャーガス病
中米地域特有の感染症で、サシガメという昆虫に刺されて発症します。母子感染、輸血によって感染することもあります。
(9)結核、HIV/AIDS
結核は日本と比較すると約4倍の罹患率が報告されています。2週間以上続く咳、微熱、寝汗、血痰などがある場合は、医療機関を受診ください。HIV/AIDS新規患者は未感染人口10万人あたり8人と報告されています。
(10)狂犬病
犬、コウモリ等に咬まれることによって感染します。発症すれば致死率は100%です。人の発症は1999年以降報告されていません。しかし、人以外の発症は報告されており潜在的なリスクは継続しています。予防接種によりリスクを下げることが可能です。動物に咬まれた場合、暴露後の処置が必要になることがあります。
(11)インフルエンザ
年に数回流行時期があります。基本的な感染対策が重要です。
6 健康上心がけること
(1)暑さ、環境対策
気温と湿度が高く日差しが強いので、日焼け、熱中症対策が必要です。
(2)暴力、犯罪対策
暴力犯罪に巻き込まれないよう、デモ、集会には近づかず、SNS等を利用し最新の安全情報の把握に努めてください。特に道路の横断、夜間の移動には細心の注意と警戒が必要です。
(3)自然災害対策
地震や噴火が発生したときの連絡先、避難方法を考えておく必要があります。
(4)防虫、防蚊対策
昆虫を媒介にする感染症を予防するため、防虫対策が重要です。薬局や商店にさまざまな防虫剤、駆虫剤が売られています。網戸や蚊帳の利用も有効です。
(5)その他感染症対策
食中毒対策として、衛生状態の良い食堂を利用し、火の通ったものをすぐに食べ、作り置きのものを避けてください。日本と同等の衛生状況は望めないので、ミネラルウォーターを利用することをおすすめします。
(6)精神衛生対策
当地滞在の日本人は少なく、国内外で相談できる相手を作ることが対策の一つになります。
7 予防接種(ワクチン接種機関含む)
(1)赴任者に必要な予防接種
渡航者は、A型肝炎、B型肝炎、腸チフス、破傷風の予防接種を検討してください。黄熱に感染する危険のある国ではないので、黄熱の予防接種は推奨されていません。入国時、WHOの指定する黄熱に感染する危険のある国からの渡航者は黄熱予防接種証明書(イエローカード)の提示が必要です。「WHOの指定する黄熱に感染の危険のある国」については、黄熱に注意しましょう!(厚生労働省検疫所FORTH)をご参照ください。運用が変わる可能性があるので、渡航前に確認してください。
(2)現地の小児定期予防接種一覧
ワクチン | 予防接種の内容 | 接種する時期 | 追加接種 | 備考 |
---|---|---|---|---|
BCG | 結核 | 出生後 | なし | |
ポリオ(注射) | ポリオ | 2、4か月 | なし | 不活化ワクチン |
ポリオ(経口) | ポリオ | 4、6か月 | 18か月 | 生ワクチン |
5種混合 |
ジフテリア、百日咳、 |
2、4、6か月 | なし | |
ロタ | ロタウイルス | 2、4か月 | なし | 経口 |
肺炎球菌 | 肺炎球菌 | 2、4、6か月 | なし | |
MMR | 麻疹、風疹、流行性耳下腺炎 | 12、18か月 | なし | |
DPT | ジフテリア、百日咳、破傷風 | 18か月、6歳 | なし | |
dT | 破傷風 | 10歳、20歳 | 接種記録がない場合は、4週間後に2回目、6か月後に3回目、3回目から1年後に4回目、4回目から1年後に5回目 | 20歳前に妊娠した女性はそのとき |
(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明
予防接種証明が求められます。日本で受けた予防接種履歴を持参してください。
(4)乳児健診
保健省で検診を行っていますが、加入している保険により制度が異なり、一律の乳児健診はありません。
8 病気になった場合(医療機関等)
(首都)マナグア
- (1)Hospital Vivian Pellas
- 所在地:Carretera a Masaya, Km 9.8, 200mts, al oeste, Managua
- 電話(代表):2255-6900
- ホームページ:Hospital Vivian Pellas(スペイン語)
- 概要:24時間体制で緊急対応可能。手術、集中治療対応設備あり。救急車要請可能。クレジットカード可。
- (2)Hospital Bautista
- 所在地:Barrio Largaespada, costado sur del recinto universitario RUCFA, Managua
- 電話(代表):2264-9020
- ホームページ:Hospital Bautista(スペイン語)
- 概要:24時間体制で緊急対応可能。手術、集中治療対応設備あり。救急車要請可能。クレジットカード可。
- (3)Hospital Militar
- 所在地:Rotonda el Guegüense 400mts, al Este & 300mts, al Sur, Managua
- 電話(代表):1801-1000
- ホームページ:Hospital Militar(スペイン語)
- 概要:国軍管轄。24時間体制で救急対応可能。救急車要請可能。クレジットカード可。
歯科医院
- (1)Sakura Dental & Implant Center
- 所在地:Centro Commercial Managua, Módulo-C57 Paseo Momotombo, Managua
- 電話(代表):2277-0298
- ホームページ:Sakura Dental & Implant Center(Facecbook)(英語)
- 概要:日本へ留学経験のある歯科医師。簡単な日本語が通じる。
10 一口メモ
「世界の医療事情」の一口メモ(もしもの時のスペイン語)を参照願います。