世界の医療事情

ジャマイカ

2022年10月

1.国名・都市名(国際電話国番号)

 ジャマイカ共和国(キングストン市)(国際電話国番号1-876)

2.公館の住所・電話番号

○ 在ジャマイカ日本国大使館(毎週土日休館)
住所:Embassy of Japan in Jamaica, NCB Towers, North Tower, 6th Floor 2 Oxford Road, Kingston 5, Jamaica, W.I.
電話:929-3338 / 3339、FAX:968-1373
ホームページ:https://www.jamaica.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

※土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

3.医務官駐在公館ではありません

 在ハイチ日本国大使館 医務官が担当

4.衛生・医療事情一般

 ジャマイカ(首都キングストン)はキューバを北、ハイチを東に望み、カリブ海のほぼ中央に位置する、人口297万3千人(2021年世銀)、面積は11,424平方キロメートルで秋田県とほぼ同じ大きさの島国です。熱帯性気候ですが、有名なブルーマウンテンをはじめとする山の多い国土のため、標高によって気温の差が大きくなります。平野部の平均気温は年間を通じて25~33℃と暑い日が続きますが、11月から2月の朝晩は比較的しのぎやすくなります。降水量は年間740 mm程度で、5月から11月初めまでが雨期にあたりますが、年間を通して極端に降水量の少ない年もあり、数ヶ月に及ぶ渇水状態が続き、断水となって衛生状態が悪くなることがあります。また停電が断続的に起こることもあり、冷蔵保存状態に問題がみられる場合もあります。食物および飲み水を介した胃腸炎やA型肝炎など感染症の予防には、煮沸した水、ペットボトルの水を飲むようにする、加熱の十分でない食事や皮の着いたままの果物、飲み物の中の氷、道端で販売されているようなアイスクリームなどを口にしないようにすることが大切です。

 旅行中の個人安全対策(海外旅行傷害保険などへの十分な額の加入、過度な不摂生や危険な行動を避けるなど)は非常に重要です。キングストンを中心として殺人、強盗等の凶悪事件が多発傾向にありますので、犯罪に巻き込まれやすい行動を慎むなど事件、事故に巻き込まれないよう十分注意しましょう。

 途上国に特有の感染症などの病気は、地域によりまた時期によっても罹りやすさに違いがあることが普通です。渡航者は出発の4から8週間前までに専門医(トラベル・クリニックなど)を受診し、健康カウンセリングや予防接種などに関する十分な検討と実施を済ませてから入国されることをお勧めします。当地医師のレベルは学歴などの面においては一定の臨床診断の質は保たれていると思われますが、交通事故での受傷をはじめ大きな傷病、疾病の治療を熟練した医療チームが瞬時に行うといった先進国と同じような高度の医療技術と医療体制が整っている訳ではないので、何かあった場合には米国などへの緊急移送費用を含め、高額になりうる医療費の保障を行ってくれる海外保険に事前加入されておくことを強くお勧めします。

5.かかりやすい病気・怪我

(1)熱中症、脱水症

 年間平均気温は26~29℃で熱帯性海洋気候に属し、乾期には比較的過ごしやすいのですが、年間を通して直射日光が強く5~11月の雨期には高温多湿となるので熱中症(日射病)、日焼けに注意が必要です。帽子をかぶる、日陰に入って休む、必要な水分・電解質を十分に取るなどの予防策をとることが重要となります。日常生活範囲内でも熱中症は発生します。高齢者、基礎疾患のある方は特にご注意ください。

(2)旅行者下痢症

 旅行者下痢症の予防として、皮のむかれていない果物、あるいは十分加熱調理されていない野菜を摂取するのは避けましょう。低温殺菌されていない牛乳やそれを用いた乳製品、アイスクリームなどの摂取は控えましょう。また酢漬けの魚も含め未調理や十分加熱調理されていない肉、魚の摂取も控えましょう。生水、氷などの摂取はさけて濾過されて化学的殺菌処理の行われたものか、一度沸騰させた水またはペットボトルの水を飲みましょう。

(3)食中毒

 シガテラ毒(シガトキシン、マイトトキシンなど)によるシガテラ中毒は、熱帯及び亜熱帯の主としてサンゴ礁の周囲に生息する、シガテラ毒素に汚染された魚を摂取することによって起こる食中毒の総称で、世界中で毎年約2万人もの人が中毒を起こしています。カリブ諸国でも(特にバラクーダなどの大型魚)魚食後、カリブ海型シガトキシンという毒素による食中毒を起こすことが報告されています。中毒症状は多彩で潜伏時間は平均1~8時間程度ですが、時に48時間以上のこともあります。嘔吐、下痢や腹痛などの消化器系症状、血圧降下や心拍数の低下などの循環器系症状、温度感覚異常、筋肉痛・関節痛、しびれ・痒みなどの知覚異常等の神経系症状が見られます。重症になると全般的な筋肉運動調節異常、麻痺、けいれんが現れ、希に昏睡に至ることがあります。軽症例では1週間程度で治まることもありますが、回復に時間を要し数ヶ月~1年程度症状が継続することもあります。

(4)スポーツ事故による外傷

 棘皮動物(イソギンチャク)の幼生、指ぬき型クラゲによる刺傷(サーフィン、海上での遊技、シュノーケリング、海岸線での遊泳中など)は激しい痛みを伴った広範な皮膚炎を起こします。場合によってはショック状態になる可能性もあり十分注意が必要です。

 その他珊瑚、鮫、ウニなどによる受傷が報告されています。また決められた区域以外、見張りのいない海岸での海水浴は水深や潮の流れが不明なため大変危険です。

(5)HIV感染/エイズ

 2021年の新規HIV感染者数は1,400人(世界保健機構)で、2006年の2,100人余りをピークとして漸減傾向にありますが、2021年のHIV感染者数は約30,000人(全人口の1.0%)と推定されており(ジャマイカ保健省)、サハラ以南アフリカ以外で高い陽性率を示す国の一つになっています。日頃から節度のある行動をし、十分な安全対策を講じてください。

(6)蚊の媒介する感染症

 マラリアやデング熱、チクングニア熱、ジカウイルス感染症(ジカ熱)など蚊を介した感染症では、蚊に刺されるのを避ける(デング熱などを媒介する蚊は日中に活動し、マラリア媒介蚊は夕刻から明け方に活動する)よう蚊の生態を知り、長袖長ズボンを着用したり、夜間の不要な外出を避けたり、虫除けスプレー・クリームなどを活用することが薦められます。

 マラリアは2006-2007年382例の熱帯熱マラリアの小流行がありましたが、その際媒介蚊の制圧プロジェクト等が実施されたため、それ以後流行は起こっていません。現在はすべて輸入例と考えられています。

 デング熱は最近では2019年に比較的大きな流行があり、7,555人の患者が報告されました(汎米保健機構)が、その後2021年は60人、2022年も32週までで41人と大幅に減少しています。2022年8月にインドネシアにおいてデングウイルスに対するワクチン使用が承認されましたが、同ワクチンの他の地域での使用はまだ審査段階中です(2022年8月現在)。現在のところ特効薬はなく、症状を軽減するための対症療法が中心となっています。感染予防は、デング熱の媒介蚊(ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ)に刺されないようにすることが最も大切です。屋外に出るときは虫よけスプレーの使用やできる限り長袖、長ズボンを着用すること、蚊の活動が活発な日の出や夕暮れ時の外出を避けること、居住空間近辺の蚊の発生しそうな下水、水回りの清掃をお勧めします。

 チクングニア熱は、デング熱同様に蚊によって媒介される熱性疾患です。急な発熱と激しい関節痛が起こります。2013年末よりカリブ海諸国で流行するようになりました。ジャマイカでも2014年7月に初めての患者が報告され、同年の感染者は疑い例を含めると1,500人を超える患者が出ましたが、2015年には300人程度と減少しています。それ以後流行は起きておらず、特に2020年以降は患者の発生を認めていません。

 2015年にブラジルでの流行が確認されたジカウイルス感染症は、2016年にはカリブ海諸国でも流行するようになりました。ジャマイカでは2016年に6,974人の感染が報告されました。その後流行は起きておらず、2019年以降は患者の発生はありませんが、現在も一部地域ではジカウイルスに感染するリスクはあります。その他細菌性髄膜炎、サルモネラ症、細菌性赤痢、腸チフス、インフルエンザ、急性出血性結膜炎、レプトスピラ症(2007年10月ハリケーンDeanの起こした洪水のあとに大発生した)、ヒストプラズマ症などが報告されたことがあります。

6.健康上心がける事

(1)屋外で活動する際には、脱水症や熱中症にならないように十分な水分・電解質の補給し、直射日光に対する防護(帽子、長袖、サングラス・日焼け止めクリームを使用するなど)に気をつけましょう。時には木陰や涼しい場所で休養することも大切です。地方、森林その他の自然環境地域を訪問する際には、虫に刺されないように防御対策(長袖長ズボンを着用し虫除けスプレー・クリームを使用するなど)をとりましょう。

(2)野生の小動物に遭遇した場合、狂犬病や特に鳥の死骸の場合は鳥インフルエンザなどの感染の恐れがありますので、決して触らないようにしましょう。

(3)旅行者は事前に専門医を受診するなどして、予防に関する十分な知識と対策(予防接種を含む)を備え、無理のない余裕のある旅行を行い健康、安全に十分留意しましょう。海外旅行傷害保険などに加入して高額医療費が発生する事態に備えておくことが賢明です。さらに基礎疾患のある方は、事前にかかりつけの医師、専門医などを受診し処方箋や病気の状態、経過などを英訳した診断書などを書いてもらい、何かあった場合に備えて旅行中携帯しておくと良いでしょう。

7.予防接種(ワクチン接種機関を含む)

(ア)赴任者に必要な予防接種

 ジャマイカにおける黄熱の症例報告はありませんが、黄熱流行地域からジャマイカへの入国者、あるいは黄熱流行地域の空港にトランジットで滞在しただけでもそれが12時間以上であれば予防接種を義務付けられています。1歳以下の乳児には接種の必要はありません。

 A型肝炎は食事、水を介する経口感染で、衛生状況の悪い地域に行かれる方や長期滞在者の感染リスクは比較的高いため、全ての渡航者に予防接種が推奨されます。

 B型肝炎の感染率は中等度で人口の2%余り(データ:英国NaTHNaC)です。感染者の体液、血液によって感染します。旅行者、長期滞在者は当地での防御のない性交渉、接触を伴うスポーツ、針の共有などの他に医学、歯学的治療によっても感染の可能性が指摘されていますので、危険が高いと考えられる旅行者にはワクチン接種による予防免疫の獲得をお勧めします。

 腸チフスは小都市、地方における飲水、食事からの感染の危険があります。

 狂犬病はウイルスに感染したコウモリを含めた野生動物(ほ乳類)、飼い犬などの唾液から感染しますが、その危険は比較的少ないです。活動の程度によって長期滞在者、子供、ジョギング、サイクリングをする方や家畜動物飼育者などは接触の機会が増えるため、相対的な危険度が高くなることが考えられます。治療に用いられるワクチンや免疫グロブリン製剤などがいつもすぐに使用できる医療環境ではないため、渡航前の予防接種が薦められます。

 破傷風は土壌や肥料の中に存在する菌が刺し傷、ひっかき傷、火傷などの傷口から侵入する病気で、医療機関を利用できない僻地を訪れる場合や前回接種から10年以上経っている者には追加接種が推奨されます。

(イ)ジャマイカの小児の定期予防接種スケジュール(2022年)

初回 2回目 3回目 4回目 5回目
BCG(結核ワクチン) 出生時        
ポリオ(IPV) 6週 6ヶ月      
ポリオ(OPV) 3ヶ月 18ヶ月 4~6歳    
5種混合(ジフテリア・破傷風・百日咳・インフルエンザ菌b型・B型肝炎) 6週 3ヶ月 6ヶ月    
3種混合(ジフテリア・破傷風・百日咳) 18ヶ月 4~6歳      
2種混合(ジフテリア・破傷風)   初回から1か月後 初回から6か月後    
MMR(麻疹・おたふく風邪・風疹) 12ヶ月 18ヶ月      
HPV(ヒトパピローマウイルス)、女児のみ 11~12歳 初回から6か月後      

参照:https://immunizationdata.who.int/pages/schedule-by-country/jam.html別ウィンドウで開く

 ポリオの予防接種は5回行います。生後6週時と6ヶ月時の接種は注射型の不活化ワクチン(IPV)、その他3回の接種は経口型の生ワクチン(OPV)になります。その他季節性インフルエンザワクチンや13価肺炎球菌ワクチンはリスクの高い小児に施行されます。また黄熱病ワクチンは、生後12ヶ月を過ぎて以降黄熱病流行地域へ行く場合に接種が必要です。国公立病院では外国人であっても予防接種は無料ですが、スケジュール管理のずさんさや待ち時間の長さ、立地条件として危険な地区にあることなどいくつか注意点があります。

(ウ)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 ジャマイカ教育省によると、麻疹・おたふく風邪・風疹・ジフテリア・百日咳・ポリオ・結核・破傷風・インフルエンザ桿菌b型・B型肝炎に対する予防接種が行われていることの証明書ないしImmunization Cardの提出が必要です。ただし変更される場合がありますので、ホームページなどで最新の情報を確認するようにして下さい。

8.病気になった場合(医療機関等)

◎キングストン

(1)University Hospital of the West Indies(西インド諸島大学病院)
所在地:Mona, Kingston 7
電話:927-1621~9
ホームページ:http://uhwi.gov.jm/別ウィンドウで開く
医務官視察済みの大学付属総合病院。比較的医療設備が整っています。公立総合病院であるがPrivateセクター(Tony Thwaites Wing)が併設されています。特にPrivateセクターは環境が整っています。24時間救急外来受付。
(2)Andrews Memorial Hospital(私立)
所在地:27 Hope Road, Kingston 10
電話:926-7401~3 または618-1810
ホームページ:https://amhosp.org/別ウィンドウで開く
医務官視察済みの中規模総合病院。キングストンの中心部にあります。365日24時間救急外来受付。病棟、病室の照度はやや低いですが清潔感はあります。CT、単純X線装置、超音波装置を備えています。近年カテーテルインターベンションを実施できる設備が整うなど、循環器系に強みがあると言われています。手術室も備えており、虫垂炎(いわゆる盲腸)や胆石胆嚢炎に対しては腹腔鏡下での手術も行っているとのことです。ICU(集中治療室)はありますが、スタッフ不足で稼働していないこともあります。中等症までの症例に対しては対応できる診療能力は備わっていますが、重症疾患に対しては対応が難しいのではないかと思われます。
(3)Medical Associates Hospital(私立)
所在地:18 Tangerine Place, Kingston 10
電話:926-1400~4
24時間救急外来受付。受診費用は上記(2)の病院と比べ、全般的に安価。

 当地医療機関受診の際は日本の保険会社の立て替え払いは受け付けられず、一旦現金かクレジットカードによる医療費の前払いが必要です。病院により高額の医療費を請求されることがあり、また米国等への緊急移送費は非常に高額となりますので、それに見合った海外旅行傷害保険に加入することを強くお勧めします。

9.その他の詳細情報入手先

(1)ジャマイカ保健省:http://moh.gov.jm/別ウィンドウで開く

(2)米国疾病予防管理センター(CDC):http://wwwnc.cdc.gov/travel別ウィンドウで開く

(3)世界保健機関(WHO):http://www.who.int/countries/jam/en/別ウィンドウで開く

(4) 英国旅行医学ネットワーク・センター NaTHNaC (National Travel Health Network and Centre):https://travelhealthpro.org.uk/country/113/jamaica別ウィンドウで開く

(5)海外で健康に過ごすために FORTH(厚生労働省検疫所)中米・カリブ海地域:http://www.forth.go.jp/destinations/region/cac.html別ウィンドウで開く

(6)在ジャマイカ日本国大使館 ホームページ:https://www.jamaica.emb-japan.go.jp/jp/index.html別ウィンドウで開く

 ホームページには最新の医療情報が更新されていますのでご確認ください。

10.一口メモ(もしもの時の医療英語)

 「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療英語)を参照願います。

11.新型コロナウイルス関連情報

2020年3月に最初の感染例が確認されて以降、これまで何回か感染の波を認めましたが、最近(2022年9月現在)は感染増大の局面には入っていないと言えます。しかし事態はいまだ流動的で、入国時に必要とされる要件や措置等が変更される場合がありますので、大使館ホームページなどで最新情報を確認するようにして下さい。また公共の場(閉鎖空間)でのマスク着用義務の廃止、ソ-シャルディスタンシング保持の義務から推奨への変更など各種規制の緩和措置が行われていますが、引き続き基本的な感染予防対策には注意するようにして下さい。感染を疑った場合は、本ページに紹介されている病院等に受診の可否を確認のうえ、受診をして下さい。

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