世界の医療事情

ホンジュラス

令和3年7月

1 国名・都市名(国際電話国番号)

 ホンジュラス共和国(テグシガルパ、サンペドロスーラ)(国際電話国番号504)

2 公館の住所・電話番号

○ 在ホンジュラス日本国大使館 (毎週土日休館)
住所:Col. San Carlos, Calzada Rep. Paraguay, Tegucigalpa, M.D.C., Honduras, C.A.
電話:2236-5511
ホームページ:https://www.hn.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(注)土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

 ホンジュラスは赤道と北回帰線の間に位置し基本的に熱帯性気候で、サンペドロスーラなどカリブ海岸低地域及び太平洋沿岸地域は高温多湿気候です。しかし国土の80%弱を占める山岳地帯、特に国土主要部の標高1,000メートル前後の高原地域では、温帯夏雨気候を示します。高温多湿地帯は年間を通して最高気温30℃以上、湿度80%以上となりますが、首都テグシガルパが位置する温帯夏雨地帯は、日中最高気温30℃前後であり湿度もそれ程高くありません。

 衛生事情は不良で、公衆衛生知識の浸透、啓蒙も不十分なため、家庭内、食料品販売店、レストラン等の食品及び衛生管理も不十分な可能性があります。市中の街路、路肩、空き地、川岸にはゴミが散乱し極めて不衛生です。都市部のごく一部では公共のゴミ収集システムはあるものの、最終処理場の管理が不十分で、多くのゴミが近隣の山間に放置されています。

 水道水は、不純物が混入しているため飲用には適しません。一般的に邦人家庭では、浄水フィルターを通した水を台所での洗浄用として使用しています。飲用、調理用としては市販のミネラルウォーターを使用することをお勧めします。

 WHOの統計によれば、ホンジュラスの平均寿命は75.2歳、新生児死亡率は1%、5歳未満死亡率は1.8%、周産期死亡率は0.1%です。

 政府機関の給与未払いや失業者の増加、貧困による社会不安要素が長年蓄積され、様々な社会システムの混乱を引き起こしており、その影響は医療面にも及び、医療事情は劣悪になっています。国公立病院は、職員不足、技量の低下、医療機器の老朽化及び故障、医薬品払底等により、もはや健全な病院機能を果たしているとはいえません。かろうじて私立病院がある程度の内科疾患に対応していますが、外科的処置や輸血は可能な限り避け、先進国に搬送することをお勧めします。このため、高額補償の海外旅行傷害保険等に加入されることを、強くお勧めします。一般診療は予約制ですが、私立病院の救急外来は、予約なしに受診可能です。診察前に、支払いあるいは支払い保証を求められる事がありますが、多くはクレジットカードでの支払いが可能です。日本語での受診はできません。一部の医師は英語での受診が可能ですが、受付を含む医療従事者はスペイン語のみ話します。

5 かかり易い病気・怪我

(1)感染性胃腸炎

 下痢を主症状とし、嘔気、嘔吐、発熱、腹痛等の症状を呈する感染性疾患です。起炎菌は、細菌、ウイルス、原虫を含む寄生虫と多岐にわたります。食品衛生に関する知識、食料品を販売する販売員の清潔概念、食料品店の商品管理・衛生管理などの問題も多く、家庭での調理には細心の注意が必要です。時に出血性胃腸炎の病態を呈し重篤化する症例もあります。外食の際にも、十分に加熱された食品を食すること、氷は避けるなどの一般的注意を怠らないようにしてください。

(2)急性呼吸器感染症

 いわゆる「風邪、上気道炎」に代表される疾患です。高原地帯では気温の日内変動が大きく、湿度が40%を下回ることもあること、また首都テグシガルパでは、地形的に盆地であるため低空に漂う空気の循環が弱く、車の排気ガス、野焼きの煙等の影響も加わり、急性気管支炎を呈する患者が2~5月に多発する傾向にあります。同時期には小児の喘息様気管支炎も多くみられます。成人では急性症状軽快後の遷延性咳嗽も多く認められます。マスク、手洗い、うがい等の標準予防策励行が基本となります。

(3)デング熱

 デングウイルスに感染したヤブカ(ネッタイシマカやヒトスジシマカ等)に吸血されることで感染します。潜伏期の後、高熱で発症し、二峰性発熱、筋肉痛、関節痛、皮疹等の症状を呈し、およそ発症後1週間程度で回復に向かいます。通常は後遺症なく回復しますが、一部の患者で皮膚粘膜からの出血、肝腫脹、血圧低下等を伴う、重篤なデング出血熱となります。特異的治療薬は存在しないため、対症療法のみとなります。また、ワクチンも存在しないため、感染を避けるには、皮膚の露出を避ける、虫よけスプレーの塗布、蚊帳・蚊取り線香・防虫剤の使用、網戸の使用等の防蚊対策が基本となります。ホンジュラスでは、毎年約44,000人がデング熱に感染しています。WHOの統計によれば、2017年は5,217人、2018年は7,942人と比較的少なかったものの、2019年には大流行し、112,708人が感染し、180人が亡くなりました。

(4)マラリア

 マラリア原虫に感染したハマダラカに吸血されることで感染します。潜伏期の後、高熱で発症します。4種類のマラリア亜系それぞれで発熱周期が異なることも特徴です。その他の症状は悪寒、戦慄、頭痛、全身倦怠感等です。ホンジュラスのマラリアは、その90%が三日熱マラリア、10%が熱帯熱マラリアで、WHOによれば薬剤耐性は報告されておらず、熱帯熱マラリアを含めて、治療薬はクロロキンが第一選択薬になっています。ワクチンは存在しないため、感染を避けるには、防蚊対策が基本となります。WHOの統計によれば、ホンジュラスでは、2017年は1,287人が感染しました。

(5)チクングニア熱

 チクングニアウイルスに感染したヤブカ(ネッタイシマカやヒトスジシマカ等)に吸血されることで感染します。潜伏期の後、高熱、斑状丘疹、関節痛が出現します。その他、頭痛、結膜炎などを伴うこともあります。特異的治療薬は存在しないため、対症療法のみとなります。また、ワクチンも存在しないため、防蚊対策が基本となります。WHOの統計によれば、2019年には219人が感染しました。

(6)ジカウイルス感染症

 ジカウイルスに感染したヤブカ(ネッタイシマカやヒトスジシマカ等)に吸血されることで感染する他、性行為によっても感染します。臨床症状は、デング熱やチクングニア熱に比べて軽症例が多いですが、ギランバレー症候群を発症するリスクが高いと報告されています。また、妊娠中に感染すると胎児に小頭症等の先天奇形がみられると報告されています。特異的治療薬は存在しないため、対症療法のみとなります。また、ワクチンも存在しないため、防蚊対策が基本となります。WHOの統計によれば、2019年には240人が感染しました。

6 健康上心がけること

(1)急性呼吸器感染症、感染性胃腸炎が疫学的に高頻度の疾患となっているので、手洗い・うがいを中心とした標準予防策の徹底を心がけてください。使用人(メイド等)を雇う場合には、食品衛生、公衆衛生に関する教育が大切です。

(2)蚊を代表とする各種昆虫が媒介する感染性疾患に対して、長袖・長ズボンの着用にて肌の露出避ける、虫よけスプレーの塗布、蚊帳の使用、蚊取り線香の使用、防虫剤の使用、網戸の設置等の防蚊対策を徹底してください。

(3)紫外線量が多く日焼けを起こしやすいため、日焼け止めの使用、帽子の着用、サングラスの着用、肌の露出を避けるなどに心がけてください。

(4)標高の高い地域では、気温がそれ程高くないので、脱水症に対する注意がおろそかになることがあります。一方で、紫外線量は多いので、想像以上に体力を消耗し、水分を喪失します。特に屋外にて各種スポーツを行っている際には、こまめな水分補給を忘れないようにしてください。また疲労の蓄積も想像以上ですので、こまめに休息をとるように心がけてください。

(5)劣悪な治安状況の中で外出の頻度が減り、屋内に閉じこもりがちになり、運動不足や心的ストレスの原因になりますので、機会を見つけて体を動かすように心がけてください。

7 予防接種

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種

  • 成人:入国に際し法的に要求される予防接種はありません。接種をお勧めするワクチンとしては、A型肝炎、破傷風、B型肝炎、腸チフス等が挙げられます。
  • 小児:入国に際し法的に要求される予防接種はありません。接種をお勧めするワクチンとしては、BCG、ポリオ、破傷風、ジフテリア、百日咳、麻疹、風疹、流行性耳下腺炎、インフルエンザ桿菌b型(Hib)等が挙げられます。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

予防接種名 初回 2回目 3回目 4回目とそれ以降
BCG 出生時      
ポリオ (注)1 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 18ヶ月
5種混合ワクチン (注)2 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 18ヶ月、4歳 (注)3
B型肝炎 出生時      
MMR (注)4 12ヶ月 1~4歳    
肺炎球菌 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月  
ロタウイルス 2ヶ月 4ヶ月    

(注)1 初回は不活化ワクチン、2回目、3回目、4回目は生ワクチンを使用。

(注)2 5種混合ワクチン:3種混合(DPT: ジフテリア、破傷風、百日咳)およびB型肝炎、インフルエンザ菌b型のこと。

(注)3 4回目以降はジフテリア、百日咳、破傷風の3種混合ワクチン(DPT)を接種。

(注)4 MMR:麻疹、流行性耳下腺炎、風疹のことで、当地ではSRP (Sarampión, Rubéola, Paperas)と記載する。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 統一された規則は存在しません。同一校であっても要求されたり、必要なかったりとその都度対応が異なりますので、学校側に確認することが必要です。

8 病気になった場合(医療機関)

◎ テグシガルパ

(1)Honduras Medical Center(ホンジュラス メディカル センター)
所在地:Colonia Las Minitas, Ave. Juan Lindo, Tegucigalpa
電話:2280-1500
ホームページ:https://hmc.com.hn/別ウィンドウで開く
概要:テグシガルパにおいて最も信頼のおける総合病院で、邦人の入院治療実績もあります。内科、外科、小児科、産婦人科、循環器科、呼吸器科、消化器科、腎臓内科、内分泌科、血液内科、リウマチ科、感染症科、脳神経外科、整形外科、泌尿器科、形成外科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、腫瘍科、精神科、人間ドック、歯科を標榜しています。
(2)Hospital y Clinicas DIME(ホスピタル イ クリニカス ディメ)
所在地:2901 Ave. Ucrania, Col. Humuya, Tegucigalpa
電話:2239-9628、2239-9629
ホームページ:http://hospitaldime.com別ウィンドウで開く
概要:かつては邦人の利用頻度の多い病院でしたが、最近は、施設の老朽化や立地場所の治安上の不安等から邦人の利用は減少しています。内科、外科、小児科、産婦人科、循環器科、消化器科、神経内科、内分泌科、脳神経外科、整形外科、泌尿器科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、腫瘍科、精神科、遺伝診療科、麻酔科、家庭医学、歯科を標榜しています。なお、日本への留学経験のある内科医が勤務していますが、日本語での受診はできません。
(3)Hospital y Clínicas Viera (オスピタル イ クリニカス ビエラ)
所在地:Brrio La Ronda, Tegucigalpa
電話:2237-3160、2262-1243
ホームページ:http://hospitalyclinicasviera.hn/別ウィンドウで開く
概要:1935年、ピカチョの丘に開設された後、1970年に、現在の場所に移設されました。内科、外科、小児科、産婦人科、循環器科、呼吸器科、消化器科、神経内科、腎臓内科、内分泌科、リウマチ科、脳神経外科、整形外科、泌尿器科、乳腺科、形成外科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、腫瘍科、精神科、麻酔科、性病科、病理学、歯科を標榜しています。
(4)Centro de Implantes Dentales(セントロ デ インプランテス デンタレス)
所在地:4402 Col. Florencia Sur, Blvd. Suyapa, Tegucigapla
電話:2239-1331、2239-9761、2235-4434、9451-6961
ホームページ:https://www.centrodeimplantesdentales.com/別ウィンドウで開く
概要:インプラントのみで月間約120例の実績を持つ歯科クリニックです。虫歯などの一般歯科治療も行っており、患者の評判もおおむね良好で、設備も清潔です。診療は予約制ですが、緊急の治療には応じてくれます。邦人の受診実績(インプラント、虫歯)もあり、小児歯科では第一選択です。
(5)Centro de Endodoncias y Emergencias Dentales (CEED) (セントロ デ エンドドンシアス イ エメルヘンシアス デンタレス)
所在地:Bo. San Carlos, Centro Comercial Los Próceres, Tercer Nivel Local #102, Tegucigalpa
電話:9954-9062
ホームページ:https://m.facebook.com/ceedhn/別ウィンドウで開く
概要:大使館近傍の安全な商業エリア内にあり、各種歯科治療の専門医が多く在籍しています。虫歯やその他一般歯科治療も行っています。診療は予約制ですが、緊急の治療には応じてくれます。設備は清潔で邦人の受診実績もあり、評判は良好です。

○ サンペドロスーラ

(1)Hospital CEMESA(ホスピタル セメサ)
所在地:Col. Altamira, 21 Calle, Bulevar del Sur, San Pedro Sula 21102
電話:2516-0174、2556-7401
ホームページ:http://www.hcemesa.com別ウィンドウで開く
概要:サンペドロスーラの南部に位置する総合病院で、邦人の入院治療実績もあります。ロアタン島に関連施設(CEMESA Roatán)があります。内科、外科、小児科、産婦人科、循環器科、呼吸器科、消化器科、神経内科、腎臓内科、内分泌科、リウマチ科、血液内科、アレルギー科、脳神経外科、整形外科、泌尿器科、形成外科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、腫瘍科、精神科、感染症科、遺伝診療科、歯科を標榜しています。
(2)Hospital del Valle(ホスピタル デル バジェ)
所在地:Bulevar del Norte, 8 Calle NE, San Pedro Sula 21101
電話:2527-8400
ホームページ:http://www.hospitaldelvalle.com別ウィンドウで開く
概要:サンペドロスーラ北部に位置する総合病院で、専門医が数多く勤務しています。特に、小児科が充実しています。臨床検査室は、品質マネジメントに関する国際認証規格であるISO 9001:2015版を取得しています。内科、外科、小児科、産婦人科、循環器科、呼吸器科、消化器科、神経内科、腎臓内科、血液内科、内分泌科、リウマチ科、アレルギー科、感染症科、老年科、脳神経外科、整形外科、泌尿器科、乳腺科、形成外科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、腫瘍科、精神科、麻酔科、産業医学、歯科を標榜しています。

9 その他の詳細情報入手先

(1)在ホンジュラス日本国大使館 ホームページ:
https://www.hn.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

10 一口メモ

 下記以外に「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療スペイン語)も参照願います。

医学用語スペイン語訳

  • 医師: médico(メディコ)
  • 飲み薬: medecina(メディシーナ)
  • 注射: inyección(インジェクシオン)
  • 頭痛: dolor de cabeza(ドロール デ カベサ)
  • 腹痛: dolor de vientre(ドロール デ ビエントレ)
  • 下痢: diarrea(ディアレア)
  • 発熱: fiebre(フィエブレ)
  • 嘔気: náusea(ナウセア)
  • 傷: herida(エリダ)
  • ワクチン: vacuna(バクナ)
  • デング熱: dengue(デンゲ)
  • 具合が悪い。: Me siento mal.(メ シエント マル)
  • 病院へ連れて行ってほしい。: Lleveme al hospital, por favor.(ジェベメ アル オスピタル ポルファボール)

11 新型コロナウイルス関連情報

 2020年3月11日に第一例が確認されました。医療体制が発達していないため感染が広がっていますが、マスクやアルコールジェルなどの衛生材料は、市場で購入可能です。感染を疑った場合は、本ページに紹介されている病院などに、受診の可否につき確認の上、受診をしてください。

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