世界の医療事情
グアテマラ
1 国名・都市名(国際電話番号)
グアテマラ共和国(国際電話番号502)
2 公館の住所・電話番号
- 在グアテマラ日本国大使館(土曜日、日曜日休館)
- 住所:Avenida Reforma 16-85 Zona 10, Torre Internacional Nivel 10, Ciudad de Guatemala, GUATEMALA, C.A.
- 電話:(502)2382-7300
- ホームページ:在グアテマラ日本国大使館
(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内しています。
3 医務官駐在公館ではありません
在メキシコ日本国大使館医務官が担当
4 衛生・医療事情一般
低地及び海岸地域は熱帯性気候で、中央高原地帯は温帯性気候です。1年は乾期(11月から4月)と雨期(5月から10月)に分かれており、特に12月から2月はほとんど雨が降りません。首都グアテマラ市は標高1,502m、年平均気温20℃と快適な気候です。12月から2月は夜間冷え込むことがありますが、10℃以下になることはほとんどありません。3月から5月は一般に暑く日射しが強い一方で、湿度が低いため過ごしやすい季節です。
医療設備は、首都の私立病院ではある程度まで整っていますが、一部の設備が日本と比べると揃っていないことがあります。当地では日本のような医師国家試験制度がなく、大学の医学部を卒業すれば医師免許が与えられます。重病の場合や大手術を要する場合には、日本や米国での治療を検討することが推奨されます。国民健康保険制度は基本的に国民に向けており外国人には適用されませんが、雇用主が社会保障庁(IGSS)の規定に則って正式に加入している場合は、外国人従業員も、IGSSの病院で制度を利用できます。
医師の診察は原則的に予約制です。まず診察を受け、入院等が必要な際は診察した医師が病院を紹介(病室を予約)してくれます。当地の病院では、医師は病院と契約し、病院内に自らの診療室を持ちますが、病院に雇用されていない場合も多いため、主治医に面会できないことがあります。事故等緊急の場合は、救急外来で予約無しで診療を受けることができます。救急電話番号は消防局(122又は123)または125(赤十字:Cruz Roja)です。消防局は特に国民に信頼されています。
私立病院での初診料はおよそ5,000円からです。高額な医療費が発生する可能性が高いため、十分な補償がある海外旅行傷害保険に加入することをおすすめします。診察時に有効なクレジットカードや身分証を携帯するようにしてください。
5 かかり易い病気・怪我
(1)交通事故
近年、市内の交通量が増加し、通勤時や昼休み時は特に混雑します。また、一般に運転マナーが悪く交通事故が多発していますので運転には十分注意してください。
(2)腸管感染症(嘔吐下痢)
ウイルス、細菌や原虫などが原因で腹痛、嘔吐、下痢、発熱などの症状が見られます。1年を通して多くの患者が報告されています。下痢が長引く場合や、血便が見られるなど重症の症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
(3)寄生虫による消化管疾患
水や食品に付着した寄生虫(蟯虫、回虫、条虫など)の虫卵や幼虫を経口摂取することで感染します。内服治療が必要になる場合があります。寄生虫症は全国的にみられます。
(4)A型肝炎
飲食物を介して感染します。子供の時に感染すると無症状あるいは軽症で済むことが多く、一生の間免疫が持続するとされています。免疫を持たない渡航者においてはワクチンで予防可能です。
(5)デング熱、チクングニア熱、ジカウイルス感染症
それぞれのウイルスを保有する蚊(昼行性のネッタイシマカ、ヒトスジシマカ)に刺されることによって感染します。症状はいずれも高熱・関節痛・激しい頭痛・発疹などです。
デング熱は重症化すると死に至ることもある感染症です。感染報告件数:2019年50,449(死亡者数77人)、2020年6,075(死亡者数10人)、2021年2,861(死亡者数6人)、2022年8,407(死亡者数17人)、2023年72,358(死亡者数118人)と急増し、その傾向は2024年も続いています(2024年上半期感染報告件数35,294)。
チクングニア熱は死に至ることはまれですが、激しい関節痛が特徴です。感染報告件数:2019年約300、2020年45、2021年14、2022年28、2023年57です。
ジカウイルス感染症は、妊婦への感染による胎児の神経系の発達異常(小頭症)が問題となっています。感染報告件数:2019年約300、2020年22、2021年18、2022年8、2023年53です。
(6)マラリア
マラリア原虫を保有する蚊(夜行性のハマダラカ)にさされることによって感染します。感染報告件数:2019年2,071、2020年1,058、2021年1,269、2022年1,854、2023年3,054です。グアテマラ市での感染報告件数は年間10件以下です。重症化しない三日熱マラリアが大部分ですが、県により流行状況が異なるため、流行地域(アルタべラパス、イサバル、エスクイントラ、ペテン)に行く場合は防蚊対策が重要です。近年の傾向として南米から北米へ向かう不法移民が、国内で発症するケースが散見されます。
(7)シャーガス病
サシガメによる寄生虫感染症で風邪症状や瞼のむくみが初期症状として現れます。10年以上経って心不全をおこすことがあります。輸血による感染の危険性もあります。サシガメは泥壁や藁の屋根にいることがあるので、そういった住宅に宿泊するときは注意が必要です。感染報告件数;2019年約460、2020年約270、2021年約330、2022年約350です。
(8)狂犬病
グアテマラにおける人の狂犬病は、2016年に2件、2017年に1件が報告されています(2018から2023年はヒトの発症は0件)。人への主な感染源は犬とされていますが、猫や野生動物(キツネ、アライグマやオポッサム)にも注意が必要です。
(9)レプトスピラ(ワイル病)
ネズミなどの動物の尿に含まれる細菌が原因で感染します。洪水や川での野外活動中に、皮膚の傷などから感染することがあります。多くの場合は軽症に終わりますが、重症化すると黄疸や出血、腎障害など致命的な症状が現れることがあります。感染陽性件数:2019年18、2020年13、2021年17、2022年8、20023年(11月11日まで)0件です。
6 健康上心がけること
- 首都グアテマラ市は比較的高地のため、熱帯病の危険性はほとんどありませんが、最近では交通量の増加に伴い大気汚染が深刻化しています。呼吸器疾患・アレルギー疾患をお持ちの方は注意が必要です。
- 不衛生な屋台での飲食は避け、野菜は、湯通しするか専用殺菌剤を用いてよく洗います。飲料水には市販のボトル入りの飲料水を使用しましょう。
- 低地を訪れる際は、虫が媒体となる病気を防ぐため、虫除けの薬剤や蚊帳などを用いるとともに肌を露出しないようにします。
- 犬以外の哺乳動物(キツネ、ネコ、リス、コウモリ、アライグマその他)にも狂犬病ウイルスが存在する可能性があるため、無用な接触は避けましょう。哺乳動物に噛まれる怪我を負った場合は速やかに病院を受診して適切な治療を受けて下さい。
- 地方にはサソリや毒グモが多いので注意しましょう。
7 予防接種(ワクチン接種機関含む)
(1)赴任者に必要な予防接種
成人・小児ともにA型肝炎、B型肝炎、破傷風、腸チフスの予防接種をおすすめします。「長期滞在を予定している人」、「子供」、「野外活動をする人」、「動物と接触する機会が多い人」、「動物に噛まれた際に狂犬病予防接種が困難な地域に行く人」は狂犬病予防接種が必要です。
(2)現地の小児定期予防接種一覧
年齢 | 妊婦 | 出生時 | 11か月迄 | 12から23か月 | 児童 |
---|---|---|---|---|---|
ワクチン名 | Difteria, Tétanos. Tos ferina, Influenza, COVID-19, Hepatitis B(注) |
Hepatitis B Tuberculosis (BCG) |
Difteria, Tétanos, Tos ferina, Polio (OPV), Enfermedad por Hib, Hepatitis B, Influenza, Enfermedad por, rotavirus, Enfermedad neumococica |
Difteria, Tetanos, Tos ferina, Polio (OPV), Sarampión, Rubeola, Paperas (SRP), Influenza, Enfermedad neumocócica |
Difteria, Tetanos, Tos ferina, Polio (OPV), Sarampión, Rubeola, Paperas (SRP), COVID-19, Influenza, Infeccion por VPH, Enfermedad neumocócica(注) |
対象疾患名・病原菌 | ジフテリア、 破傷風、 百日咳、 インフルエンザ、 COVID-19、 B型肝炎(注) |
B型肝炎、 結核 |
ジフテリア、 破傷風、 百日咳、 ポリオ、 インフルエンザ菌b型(Hib)、 B型肝炎、 インフルエンザ、 ロタウイルズ、 肺炎球菌性疾患 |
ジフテリア、 破傷風、 百日咳、 ポリオ、 麻疹、 風疹、 おたふくかぜ、 インフルエンザ、 肺炎球菌感染症 |
ジフテリア、 破傷風、 百日咳、 ポリオ、 麻疹、 風疹、 おたふくかぜ、 COVID-19、 HPV感染症、 肺炎球菌感染症(注) |
(注)危険性があるとき
- 上記の定期予防接種は保健所や国立病院では無料で接種されます。
- 経口ポリオワクチンのほかに、不活化ポリオワクチンも使用されています(4種混合、5種混合、6種混合ワクチンとして)。
(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明
在留邦人の子供が通う主な幼稚園や、インターナショナルスクールに入学する時は、予防接種歴の提出が必要です。
8 病気になった場合(医療機関等)
(注)グアテマラには市外局番はありません。
(首都)グアテマラ市
【総合病院】以下4つの病院は全て、24時間対応の救急外来があります。
- (1)Hospital Herrera Llerandi(オスピタル エレラ ジェランディ)
- 所在地:6a Av. 8-71, Zona 10
- 電話:2384-5959、救急:2334-5955
- ホームページ:Hospital Herrera Llerandi(スペイン語)
- 概要:ICUや手術室、カテーテル治療室などを備えています。心臓、脳、大動脈などのカテーテル治療も可能です。栄養指導にも力を入れています。
- (2)Hospital Centro Medico(オスピタル セントロ メディコ)
- 所在地:6a Av. 3-47, Zona 10
- 電話:2279-4949、2319-4600
- WhatsApp SNS:3050-9100
- ホームページ:Hospital Centro Medico(スペイン語)
- 概要:グアテマラで最も早く開設された私立総合病院。ICUや手術室の設備もあります。
- (3)Hospital Sanatorio Nuestra Señora del Pilar
(オスピタル サナトリオ ヌエストラ セニョーラ デル ピラール) - 所在地:3a Calle, 10-71, Zona 15, Col. Tecún Umán
- 電話:2279-5000
- WhatsApp SNS:2420-0000
- ホームページ:Hospital Sanatorio Nuestra Señora del Pilar(スペイン語)
- 概要:ICUの設備もあります。
- (4)Grupo Hospitalario La Paz, Zona14
(グルポ オスピタラリオ ラ・パス) - 所在地:10a Calle 2-31, Zona 14、他数か所あり
- 電話:2217-0300、1747(ショートカット)
- WhatsApp SNS:2209-9550
- ホームページ:Grupo Hospitalario La Paz, Zona14(スペイン語)
- 概要:以前はオスピタル ラス・アメリカス病院と呼ばれていた総合病院。日本の病院と同様に、多くの医師を直接雇用しています。ICUや手術室、カテーテル治療室などを備えており、脳及び心臓カテーテル治療も可能です。
9 その他の詳細情報入手先
10 一口メモ(もしもの時のスペイン語)
- 医師:doctor(ドクトール)
- 薬:medicina(メディシーナ)
- 注射:inyección(インジェクシオン)
- 頭痛:dolor de cabeza(ドロール デ カベサ)
- 胸痛:dolor de pecho(ドロール デ ペチョ)
- 腹痛:dolor de estómago(ドロール デ エストマゴ)
- 下痢:diarrea(ディアレア)
- 発熱:fiebre(フィエブレ)
- 吐き気:nausea(ナウセア)
- 具合が悪い。:Estoy mal de salud.(エストイ マル デ サルー)
- 病院に連れて行ってほしい。:¿Me puede llevar al hospital?(メ プエデ ジェバール アル オスピタル)
「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモを参照ください。