世界の医療事情

コロンビア

平成28年10月

1 国名・都市名(国際電話番号)

 コロンビア共和国(ボゴタ首都区)(国際電話国番号 57)

2 公館の住所・電話番号

在コロンビア日本国大使館 (毎週土日休館)
住所:Carrera 7 No.71-21 Torre B Piso 11 Bogotá Colombia
電話:+57 (1) 317 50 01
ホームページ:http://www.colombia.emb-japan.go.jp/JPN/indexJP.htm別ウィンドウで開く

(注)土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので,ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

 コロンビアは北緯12度から赤道を挟んで南緯4度までにわたる熱帯の国です。中央に3本に分かれたアンデス山脈が走り首都ボゴタをはじめ主要な都市は熱帯病の危険の少ない高地にあります。気候は低地の熱帯雨林気候から冷涼で変化の激しい山岳性気候まで変化に富んでいます。主要都市において衛生事情は比較的良好ですが,農村部,特に低地の熱帯雨林地域では衛生事情が悪く,様々な熱帯病や感染症が蔓延しています。主な産業は農業で輸出品目は石油,石炭,鉱物資源,コーヒー,生花などです。経済規模は国内総生産(以下GDP,単位:10億米ドル)292.1(日本4,596 出典:世界銀行2014年)で世界第38位,中南米ではブラジル(約1,772),メキシコ(1,144),アルゼンチン(約585)に次ぐ規模です(出典:IMF 2016年)。1人あたりのGDPは約6,083米ドル(日本32,485米ドル 出典:IMF 2016年)です。

コロンビアでは,国境付近や山岳地帯を中心に「コロンビア革命軍(FARC)」や「国民解放軍(ELN)」等の左翼ゲリラが存在していました。しかし,2002年のウリベ前政権による対ゲリラ強硬策及び2010年に発足したサントス政権とFARCとの和平交渉の結果,治安には一定の改善がみられ,テロや誘拐事件の発生は減少傾向となっています。

 保健衛生面では,高原にあるボゴタ(Bogota),メデジン(Medellín)などの都市とアマゾンに接する平原や太平洋岸に接する平地では感染症,食中毒に罹る危険度が全く違うことを認識してください。医療サービスにおいても都市部と地方との格差は大きいと言わざるを得ません。コロンビアの医療水準は中南米の中では高い方です。人口あたりの医師数は1.8人/人口1,000人(日本2.4人,2014年)です。病院では主にスペイン語しか通じません。乳児死亡率は14人/1,000出生(日本2人,2015年),妊婦死亡率64人/10万出産(日本5人)です。平均余命(0歳児)は2015年には女性78.4歳、男性71.4歳です。主な死亡原因は心疾患,暴力による他殺,脳卒中,肺疾患,交通外傷,肺炎及びインフルエンザ,糖尿病,高血圧,胃がん,先天性異常(2014年)の順になっています。

 日本人は主に私立病院に通院することが多く,ボゴタの私立病院は日本と同等の医療サービスを受けることが出来ます。但し高額になるため海外旅行傷害保険への加入は必須です。

 大都市では水道水の質の問題は少なく,大きなスーパーマーケットで売られている食品の品質も概ね問題はありません。

出典:WHO country profile,UNICEF,世界銀行,IMF

5 かかり易い病気・怪我

 ボゴタなどの高原都市とアマゾンに近い平地では罹り易い病気,感染症が異なりますのでご注意ください。

(ア)成人病と生活

 海外生活という開放感から暴飲暴食になりがちです。成人病のある方は症状を悪化させることがあります。脳卒中や心臓病を引き起こすこともありますので健康管理に気を配ってください。また人間関係でストレスをためることもあるでしょう。うつ気分に陥ることがあります。休日を確実に取る,スポーツや趣味を楽しむ,旅行に出かける,友人を作るなど気分転換をはかりましょう。

(イ)胃腸障害と食中毒

 ストレスや睡眠不足に陥ると胃腸障害を起こしやすいので気分転換,休日は必ず休むなど日常生活に気を配ってください。ボゴタなど一部の都市では上水道が整備されてきていますが,地方では生水に気をつけてください(上水率(2011年):都市部99.6%,地方72.5%)。ペットボトルの水か煮沸した水をご利用ください。また,生ものを口にしますと嘔吐,下痢,腹痛を引き起こすことがありますので十分加熱した食品を取るようにしてください。刺身,寿司などを食べる場合は信頼のおける飲食店を利用してください。

(ウ)交通事故

 交通事故による死亡者数は7,813人(2014年),頻度は12人/10万人口で日本での死亡者数,頻度(4,373人並びに3.6人/10万人,2015年)に比べ約3倍以上の頻度となります。交通事故死の種類はオートバイ運転者(44%),歩行者(29%),軽自動車の同乗者(5%),自転車運転者(5%),軽自動車の運転者(3%)となっており二輪車の事故が多く,次に歩行者が犠牲になっています。当地においては車優先社会であるということを認識しておく必要があります。たとえば信号が青に変わっても直ぐに渡らず左右を再度確認して渡る,信号無視する人につられて渡らない,夜間の運転や歩行は事故に巻き込まれやすいので注意をする,スピードを出さない,比較的大きな車に乗る,後部座席にすわるなどです。なお,当地では後部座席のシートベルト着用が法律で義務づけられています。さらに,多発外傷を治療する病院は地方にはありませんのでご注意ください。

(エ)一般感染症

季節性インフルエンザ

 6月~7月にかけて流行しています。冬場に一時帰国される場合には,日本での感染にご注意ください。

狂犬病

 国立保健センターの報告では2000年~2012年までに35人が感染し死亡しています。2011年には19歳の女性が猫に噛まれて感染し死亡しています。また Arauca, Chocó, Antioquia, Cesar, Sucre, Cundinamarca , Casanare, Caqueta, Magdalena 及び Norte de Santanderの各県において,狐,牛,馬のウイルス感染が確認されています。コロンビアでは狂犬病は根絶されておらず,長期滞在する場合にはワクチン接種を推奨いたします。犬,猫,牛,馬,狐などの家畜,野生動物への接触は控えた方が良いでしょう。また,熱帯地方ではリスザルやコウモリにも気をつけてください。

出典:Colombia: While rabies exists, no current epidemic, Posted on July 17, 2012 (Latin America News)

(オ)熱帯感染症

 頻度が高いのはマラリアとデング熱です。標高1,700メートル以下のほぼ全域(ボゴタ,メヂチン以外)が汚染地域で,特に太平洋沿岸地方およびアマゾン地方の熱帯雨林地域に多く発生しています。ジカ熱は妊婦が感染すると小頭症の子供を出産する可能性を指摘されています。

マラリア

感染者数は2015年には52,416人,2016年では1月~10月15日までで71,195人となっています。死亡者数は2011年以降20人前後で推移しています。熱帯マラリアと三日熱マラリアが同じ割合で発生しています。マラリアは蚊を媒介とした原虫の感染症です。汚染地帯に立ち入って発熱(38度以上)した場合は,直ぐに検査(簡易式血液検査Binax now等や検鏡)を受けてください。陽性であれば直ぐに抗マラリア薬(RiametCoartemなど)の内服が必要となります。

デング熱

 感染者数は2015年には94,916人,2016年では1月~10月15日までで94,012人(疑い例も含む)となっています。デング熱に罹る者の中に出血性デング熱など重症化して死亡する場合があります。蚊を媒介とするウイルス性感染症のため,防蚊対策が重要で,現時点では治療薬はありません。

ジカ熱

 標高の高いボゴタ市を除くほぼ全域(標高2,000メートル以下)での感染が報告されています。2016年1月から10月15日までに11,712人の感染者が出ています。特にカリブ海に接した地域,ベネズエラに接するノルテ・デ・サンタンデール県(Norte de Santander province)での妊婦における感染率は37%と報告されています。ジカ熱はウイルス性感染症で根本的な治療法はありません。妊婦が感染すると先天性奇形,小頭症の発生が危惧されています。また,ギランバレー症候群(末梢運動神経麻痺)との関連も示唆されており,感染予防に防蚊対策が欠かせません。

黄熱

 コロンビア入国に際して黄熱ワクチン接種の証明書(イエローカード)の提示は求められません。しかしながら,米国疾病予防管理センター(CDC)と世界保健機関(WHO)は,標高が2,300メートル以下の地域では感染の可能性があるとし,同地域を訪問する者に対し接種を推奨しています。特にブラジルのアマゾンに接する地域では感染の可能性が有ります。また近隣諸国のパナマ,ベネズエラ,ブラジル,スリナム,ギアナ,仏領ギアナ,トリニダ-ドトバゴ,エクアドル,ペルー,パラグアイでは感染する危険性がありますので,これらの国を訪問される方は接種をお勧めします。

 詳しくは国立感染症研究所,厚生労働省,WHO,CDCなどのホームページを参照ください。

(カ)高地障害

 ボゴタの気圧は海面気圧の約75%(0.75気圧)で,これは高空を飛行中の航空機々内の気圧とほぼ同等(多くの航空機は機内気圧を高度2,400メートル程度の気圧に調整)なので,飛行機で酸素が不要の場合は基本的に大丈夫と考えられます。睡眠薬の服用やアルコールの摂取は呼吸を浅くして酸素の取り込みを減らし,高山病の誘因となるので,高地へ向かう飛行機の中や高地に到着して数日間は控えるようにしてください。また,高地は乾燥していて体内から失われる水が増えるので十分な水分摂取も必要です。なお,高山病は睡眠時には呼吸数が減るため悪化します。座って安静にすることで高地順応しやすくなります。

6 健康上心がける事

(ア)大気汚染

 ボゴタにおけるPM2.5の年平均値は例年30マイクログラム毎立方メートル前後と高値ですので,屋外での激しい運動などは,汚染状況や天候を見て考慮するようにしてください(例えば,風がないときは避けるなど)。

(イ)紫外線

 紫外線は標高が1,000メートル高くなると約10%強くなり,また赤道に近いほど強くなります。当地では,サングラスの着用や日焼け止めクリームの使用をお奨めします。

(ウ)熱帯雨林地域

 熱帯雨林地域では昆虫媒介感染症が多いので,長袖・長ズボンの着用や虫除け対策などが必要になります。

(エ)自然災害

 この15年くらいは大きな地震は起きていませんが,当地は地震,津波,火山噴火などの可能性がある地域ですので,日頃からの心構えが必要です。

(オ)薬物中毒など

 コロンビアでは,一定量以下であれば大麻やコカインなどの麻薬所持が認められており,薬物中毒には注意が必要です。また,花火による火傷被害も一定数発生しています。

(カ)治安

 爆弾テロや拳銃発砲事件,大規模なデモも毎年発生していますので,治安情報に注意してください。また,スリや強盗などの犯罪も多数発生しているので注意が必要です。暴力による他殺が人口10万人あたり27.92人と世界では12番目の多さです。因みに日本は0.3人です。国内では左翼ゲリラとの内戦が長期間続いていたために銃器などが多く出回っており注意を要します。

参考:国連の犯罪調査統計,ICPO,WHO

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(当地で予防接種を希望する場合は、予め医療機関に問い合わせの上,予約や在庫確認などを行ってください。)

(ア)赴任者に必要な予防接種(成人)

 過去に接種したことがなければ,黄熱,A型肝炎,B型肝炎を接種。破傷風,ジフテリア,百日咳は,10 年ごとに追加接種(ワクチン名:Tdap)をお奨めします。

 なお,当地では毎年水痘,流行性耳下腺炎が流行しているので,これらの通常小児期に感染したり,もしくは予防接種をする病気に罹ったことがない場合や,予防接種を受けたことのない場合,接種を受けて赴任することが望ましいです。また,コロンビア国内での黄熱発症は稀ですが,周辺国へ出張や旅行をする場合,ビザ申請や入管で予防接種証明書(イエローカード)の提示を求められる場合があるため,接種をすすめています。

(イ)小児

 日本の定期接種と任意接種は,年齢的に可能なものを全て接種して赴任することをお奨めします。加えて,黄熱も上記理由で接種することが望ましいです。 入学,入園に際してワクチン接種証明書の提出を求められることがあります。かかりつけ医から英文の証明書を貰っておくことが良いでしょう。

(ウ)現地の小児定期予防接種一覧

現地の小児定期予防接種一覧(WHO調査2014年)
初回 2回目 3回目 4回目 5回目
BCG 出生時
B型肝炎 出生時 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月
A型肝炎 1歳
ポリオ(OPV, IPV) 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 18ヶ月 5歳
DPT 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 18ヶ月 5歳
Hib(インフルエンザ菌b型) 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月
MMR 1歳 5歳
黄熱 1歳
季節性インフルエンザ 6-23ヶ月 初回から1ヶ月後
ロタウイルス 2ヶ月 4ヶ月
肺炎球菌 2ヶ月 4ヶ月 1歳
HPV(ヒトパピローマ) 9-17歳

 ポリオは予防接種を受ける医療機関によって,経口か不活化かが異なります。個人開業医は欧米の不活化ワクチンを使用しています。小児の予防接種は現地での病気の流行状況や住民の接種率によって回数が決まるものです。長期居住にあたっては現地のやり方に従うのが原則です。

8 病気になった場合(医療機関等)

ボゴタ首都区

(1)Fundación Santa Fe de Bogotá
所在地:Calle 119 No.7-75
電話:1-603-0303(代表),FAX:1-657-5714
ホームページ:http://www.fsfb.org.co/別ウィンドウで開く
概要:救急センターは24時間稼働。ほぼ全ての診療科があります。概ね良好な医療水準。CT, MRI, PET-CTなど最新の設備が整っています。小児救急も受け付けています。医師の多くは英語を話しますが日本語を理解するスタッフはいません。受診時にパスポート(身分証明書),前金の支払いが必要です。入院に際してはかなりのデポジット(前払金)が必要です。クレッジトカードでの支払いも可能です。医療費は日本の医療費と同等です。但し,日本では健康保険でカバーされるため3割の支払いです。コロンビアでは全額(10割)になります。
(2)Clinica del Country
所在地:Carrera 16 No.82-57
電話:1-530-0470 / 530-1270
ホームページ:http://www.clinicadelcountry.com/別ウィンドウで開く
概要:ほぼ全ての診療科が揃っています。脳卒中,心臓病などの治療も行っています。医療水準,支払い等サンタフェ病院と同様です。

9 その他の詳細情報入手先

(1)在コロンビア日本国大使館 メールアドレス: info@ba.mofa.go.jp

(2)厚生労働省検疫所/国・地域別情報(コロンビア): http://www.forth.go.jp/destinations/country/colombia.html別ウィンドウで開く

10 現地語・一口メモ

 世界の医療事情の冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療スペイン語)を参照ください。


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