世界の医療事情

コロンビア

2023年6月

1 国名・都市名(国際電話番号)

 コロンビア共和国(ボゴタ首都区)(国際電話国番号 57)

2 公館の住所・電話番号

在コロンビア日本国大使館 (毎週土日休館)
住所:Carrera 7 No.71-21 Torre B Piso 11 Bogotá Colombia
電話:+57(601)317 50 01
http://www.colombia.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

注)土日以外の休館日はホームページにて案内していますのでご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

 コロンビアは北緯12度から赤道を挟んで南緯4度までにわたる熱帯の国です。中央に3本に分かれたアンデス山脈が走り、首都ボゴタ(Bogotá)をはじめ主要な都市は熱帯病の危険の少ない高地にあります。気候は低地の熱帯雨林気候から冷涼で変化の激しい山岳性気候まで変化に富んでいます。主な産業は農業と鉱業で、輸出品目は石油、石炭、コーヒー、切り花などです。経済規模は国内総生産(以下GDP)が3,143億ドル(日本49,370億ドル)で世界第45位、1人あたりのGDPは6,160ドル(日本:39,340ドル)です。(IMF2021年)
主要都市において衛生事情は比較的良好ですが、農村部、特に低地の熱帯雨林地域では衛生事情が悪く、様々な熱帯病や感染症が蔓延しています。

 コロンビアでは、その街の標高によって気をつけなければいけない病気が変わってきます。例えば、ボゴタなど2,000mを越える都市はマラリアなどの感染症に罹る危険性はほとんどありませんが、一方アマゾン、オリノコ川周辺、太平洋側、カリブ海側では後に述べる蚊媒介感染症、食中毒に罹る危険性がより高くなり、十分な注意が必要です。一般的に水道水は直接の飲水や料理に利用することを避け、ペットボトルの水または浄水器を通した水を利用することをお勧めします。食肉、魚、野菜の生食などはなるべく避け、茹でる、焼く、炒める、皮をむくことを原則にしてください。

 2020年の人口あたりの医師数は23.27人/人口1万人(日本25.66人)です。乳児死亡率は11.35人/1,000出生(日本1.8人)、妊産婦死亡率50.73人/10万出産(日本3.3人)です。2020年のWHOによる平均年齢は79.3歳、男性76.7歳、女性81.9歳です(日本男性81.47歳、女性87.57歳 厚労省2021年)。主な死亡原因は心疾患、暴力による他殺、脳卒中、慢性閉塞性肺疾患、アルツハイマー、慢性腎臓病、交通外傷、糖尿病、胃がんの順になっています。
基本的にコロンビアの医療水準は中南米の中では高い方です。しかし、医療サービスにおいて、都市部と地方との格差はあります。また、病院ではスペイン語しか通じないことが多いです。ボゴタ、メデジン、カリにはレベルの高い私立病院が有り、外国人専用の受付もあり、救急は24時間受け入れています。但し高額になるため海外旅行傷害保険への加入は必須です。

参考:IHME
https://www.healthdata.org/colombia別ウィンドウで開く

5 かかり易い病気・怪我

 ボゴタなどの高原都市とそれ以外の地方では罹り易い病気、感染症が異なりますのでご注意ください。

(ア)成人病と生活

 海外生活という開放感から暴飲暴食になりがちです。成人病のある方は症状を悪化させることがあります。脳卒中や心臓病を引き起こすこともありますので健康管理に気を配ってください。また、長期滞在者の中には、人間関係でストレスをためることもあるでしょう。うつ気分に陥ることがあります。休日を確実に取る、スポーツや趣味を楽しむ、旅行に出かける、友人を作るなど気分転換を図りましょう。

(イ)胃腸障害と食中毒

 都市部では重症の食中毒をあまり経験しませんが、加熱が不十分な食肉で嘔吐、下痢、腹痛を起こすことがあります。生卵、生ものは十分加熱した上で食べるようにしてください。刺身、寿司などを食べる場合は信頼のおける飲食店を利用してください。

(ウ)交通事故

 コロンビアの全国安全協会のデータよると、2021年度の交通事故死者数は前年の5,447人から7,238人に急増しています。一方、警察庁発表の2021年の日本での交通事故死者数は2,636人で、人口比で換算するとコロンビアでの交通事故死者数は日本の約7倍弱の高い頻度となります。また、コロンビア国内の2021年の交通事故死の状態別割合は、オートバイ運転者(60%)、歩行者(21%)、自動車の同乗者(12%)、自転車運転者(6%)、その他(1%)となっています。データが示すとおり、二輪車運転者の死者が多くを占め、次に歩行者が犠牲になっています。交通事故死の3大要因として、速度超過、交通標識の無視、飲酒運転が挙げられており、他にも医療機関の交通事故への対応が十分でないこと(多発外傷を治療する病院は地方にはありません)、運転免許の取得が容易であることなどが指摘されています。当地においては、とにかく車優先社会であるということを認識しておく必要があります。例えば、信号が青に変わっても直ぐに渡らず左右を再度確認して渡る(歩行者信号が青でも車は平気で突っ込んできます)、信号無視をする人につられて渡らない、深夜の運転や歩行は事故や犯罪に巻き込まれやすいので可能な限り避ける、運転する際に過剰にスピードを出さない、比較的大きな車に乗る、など交通事故に遭わないよう、また事故に遭っても重傷を負うことのないよう、日頃から十分注意をしてください。
なお、当地ではタクシーを含め、後部座席のシートベルト着用が法律で義務づけられていますので、必ず全席でシートベルトを着用してください。また、ラッピーやウーバーイーツ等の自転車や原付バイクで注文者の元に料理等を届ける配達員が、高速で歩道を走っている姿も見掛けます。エンジン付きの改造自転車を使用している配達員も多いほか、通勤やレジャーで利用する電動キックボードも走っており、歩道を歩く際もこれらと衝突したり接触しないよう常に周囲に気を配る必要があります。

(エ)一般感染症

季節性インフルエンザ(スペイン語、英語 Influenza

 感染のピークは5月から6月、8月から12月にかけて流行します。2021年は新型コロナウイルス対策の影響から大きな流行は発生せず、2021年の年末から2022年の1月にかけてインフルエンザA型が久しぶりに流行しました。65歳以上の高齢者と子供が感染すると重症化することがありますのでワクチンの接種をお勧めします。ワクチン接種できるクリニック施設は、本編7予防接種を参考にしてください。

狂犬病(スペイン語 Rabia、英語 Rabies

 狂犬病は、狂犬病ウイルスに感染している野生動物にかまれたり引っかかれたりすることにより感染する人獣共通感染症です。発症すると100%死に至ります。もし狂犬病ウイルスに感染している可能性のある動物にかまれたり、引っかかれたりした場合は、まず傷口を石鹸と水でよく洗い流し(推奨15分)、すぐに医療機関を受診するようにしてください。事前に狂犬病のワクチンを接種している方でも、発症予防のために暴露後のワクチン接種が必要です。2015 年から 2021 年までの間に、Cundinamarca (El Colegio、Girardot、Tena)Huila (Neiva、La Argentina) の各県で 計5 人の狂犬病患者が発生しました。また、2004年~2022年までの狂犬病に感染していた野生動物が確認された地域は、カリブ海岸低地が75%を占めており、他の地域でも犬、猫、狐、コウモリへのウイルス感染が確認されています。コロンビアでは狂犬病は根絶されていないため、長期滞在する場合には事前のワクチン接種を推奨いたします。くれぐれも、家畜や野生動物への接触は控えてください。

性感染症

HIV・A型肝炎・B型肝炎・C型肝炎・梅毒など、日本と同様性行為にて感染する可能性があります。コロンビアでのHIVの患者数は17万人(日本での2020年までの累計32480人)、年に8600人(2020年日本1095人)が新たに感染すると推定されています(UNAIDS2021)。

麻疹・風疹・おたふく・水疱瘡

今まで感染されたことがない方は、合計二回のワクチン接種をお勧めいたします。

(オ)熱帯感染症(スペイン語 Infección tropical、英語 Tropical infection

 コロンビアで頻度が高い感染症は、蚊がウイルスなどを媒介するマラリアとデング熱ですが、ボゴタなど標高が高いところでは感染しません。標高が低くなるにつれ感染するリスクが高くなってきます。CDC(アメリカ疾病予防管理センター)では、マラリアは標高1,700m以下のほぼ全域、黄熱は標高2,300m以下のほぼ全域で感染する可能性があると警告しています。デング熱、ジカ熱に関しても、1,700m以下では感染する危険性があります。汚染地域に行かれる場合は、肌の露出を少なくする、虫除けスプレー(DEET30%、12歳以下はイカリジン15%を推奨)を必ず使う、宿泊する場合は密封性の高い部屋に泊まる、蚊帳や蚊取り線香を利用する等の対策をとって下さい。また、帰国後発熱があれば、必ず病院を受診して下さい。その際、コロンビアから帰国したことを医師に伝えるようにしてください。

マラリア(英語、スペイン語 Malaria

 在留邦人の多く住むボゴタ、メデジンなど高原都市では発生があまり見られません。殆どが太平洋側チョコ(Choco)県、ナリーニョ(Narino)県、アンティオキア(Antioquia)県、カウカ(Cauca)県とアマソナス(Amazonas)県、カケタ(Caqueta)県、メタ(Meta)県などの山間部僻地で多く発生しています。感染者数は2021年には72,022人で、そのうち重症者は1,184名(1.64%)、10名の死者が報告されています。三日熱マラリア50%、熱帯熱マラリア50%と同じ割合で発生しています。マラリアはハマダラカを媒介とした原虫の感染症です。この蚊は夜間に活発に活動する習性がありますので、就寝時は蚊帳やDEET含有の虫除けスプレーなどの使用をお勧めします。汚染地帯に立ち入って発熱した場合は、直ぐに病院で検査を受けてください。潜伏期間は1週間から1ヶ月程度ですが、それ以上のこともありますので、帰国後発熱した場合、時間が経過していても必ず受診し、コロンビアに渡航したことを医師に伝えてください。陽性であれば直ぐに抗マラリア薬(Riamet、Co-Artemなど)の内服が必要となります。予防的に抗マラリア薬を内服する場合もありますので、ご自分が滞在される場所で予防内服が必要かどうか、あらかじめ医師にご相談ください。
参考:Fit for Travel:Colombia Malaria Map(コロンビアでのマラリアの高リスク地域がよくわかります)
https://www.fitfortravel.nhs.uk/destinations/south-america-antarctica/colombia/colombia-malaria-map別ウィンドウで開く

デング熱(スペイン語 Fiebre del dengue、英語 Dengue fever

 デング熱は、デングウイルスを持つネッタイシマカなどの蚊に刺されることによって感染します。潜伏期間は通常3~7日で、症状は、突然の発熱で始まり、頭痛、特に眼窩痛・筋肉痛・関節痛を伴うことが多いと言われています。発症してから3~4日経過したあと、胸部や体幹から発疹が出現し、四肢や顔面へ広がっていきます。一般的なデング熱の場合、一週間程度で後遺症なく症状が改善します。一部の方は重症化する場合があるため(デング出血熱・デングショック症候群)感染した場合は十分注意が必要です。デングウイルスは、4つの血清型に分かれており、一度感染した人が別の血清型に感染した場合、重症化する可能性が高くなります。コロンビアでは、2021年は53,334人が感染し、43名が亡くなりました。2021年は、特に10月から12月にかけて感染者の増加が認められました。2022年の第38週までのデータでは、すでに47,153名の感染者33名の死者が報告されています。2022年は、アマゾン地方やカリブ海沿岸地域などを中心として多くの感染者が報告されており、カリやバランキージャ、カルタヘナなどの観光地でも多くの感染者が発生しています。1,700m以下の場所では、コロンビア国内どこでも感染する可能性があると考える必要があります。蚊を媒介とするウイルス性感染症のため防蚊対策が非常に重要です。現時点では治療薬はありません。

ジカ熱(スペイン語 Fiebre del Zika、英語 Zika fever

 2015年以降、ブラジル、コロンビアを中心に中南米の多くの国で流行しました。コロンビアでは、標高の高いボゴタを除くほぼ全域(標高1,700m以下)での感染が報告されていました。2015年10月から2016年5月までの間に、コロンビアでは9万人以上の感染者を認めましたが、その後有意に減少しています。2021年は疑い症例を含めて94名が報告されていましたが、2022年は第24週で80名(2021年は57名)とやや増加傾向を認めています。ジカ熱はネッタイシマカ、ヒトスジシマカを媒介とするウイルス性感染症です。蚊に刺されて3日から12日後に発熱、目が赤くなる、発疹、筋肉痛、頭痛、関節痛などデング熱と同じような症状が出てきます。デング熱と比べて軽症で、通常は4~7日間症状が持続します。ただ、よく知られているとおり、妊婦が感染すると先天性奇形、小頭症の発生が危惧されています。また、ギラン・バレー症候群(末梢神経麻痺)との関連も示唆されています。性交渉による感染例も報告されており流行地を離れたあとも注意を要します。治療法はないため、特に妊娠されている方、妊娠の可能性のある女性やそのご家族は、流行地への渡航は避けることが望ましいです。また、それ以外の渡航者は、流行地では防蚊対策をしっかり行うことが必要です。
厚生労働省:ジカウイルス感染症について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000109881.html別ウィンドウで開く

黄熱(スペイン語 Fiebre amarilla、英語 yellow fever

 黄熱も蚊を媒介とする感染症です。発症すると、発熱、頭痛、嘔吐、筋肉痛などの症状が出現し、最悪死に至ることもあります。ただ、黄熱予防のためのワクチンがあります。黄熱の感染する可能性のある地域に行く予定のある方は、ワクチンの接種が推奨されます。コロンビア入国に際して黄熱ワクチン接種の証明書(イエローカード)の提示は必須ではありませんが、ブラジル、アンゴラ、コンゴ民主共和国およびウガンダからの渡航者およびこれらの国を通過した渡航者が入国の場合や、コロンビア国内渡航先が流行地域の場合、渡航時に航空会社からイエローカードの提示を求められることがあり、証明できない場合は搭乗できない可能性もあります。コロンビア国内では、ボゴタでの感染の可能性はありません。サンアンドレス、カルタヘナ、カリ、メデジン、バランキージャでは危険性が少ないようです。しかしながら、米国疾病予防管理センター(CDC)と世界保健機関(WHO)は、標高が2,300m以下の地域では感染の可能性があるとして警告しています。コロンビア政府は国内の感染リスク地域(アマソナス県,マグダレナ県サンタマルタ市等)を訪問する場合に黄熱の予防接種を推奨しています。特にブラジルのアマゾンに接する観光地レティシア等のアマソナス県(Leticia Amazonas)地域では感染の可能性が有ります。コロンビアでは近年、2016年と2018年に各1人が黄熱病により死亡しています(参考:WHOPAHO Epidemiological Update:Yellow Fever7December 2018)。また近隣のアルゼンチン、ボリビア、パナマ、ベネズエラ、ブラジル、スリナム、ギアナ、仏領ギアナ、トリニダ-ド・トバゴ、エクアドル、ペルー、パラグアイでも感染する危険性がありますので、これらの国、地域を訪問される方は黄熱病の予防接種証明書の確認を求められることがあります。

参考:CDC Yellow book: Colombia Yellow Fever Maphttps://wwwnc.cdc.gov/travel/yellowbook/2020/preparing-international-travelers/yellow-fever-vaccine-and-malaria-prophylaxis-information-by-country/colombia#5402別ウィンドウで開く

厚労省検疫所:https://www.forth.go.jp/useful/yellowfever.html別ウィンドウで開く

その他の熱帯感染症

 サシガメという虫によって媒介されるシャーガス病、サシチョウバエが媒介するリーシュマニア病、デングやジカと同じ蚊が媒介するチクングニア熱という病気もあります。何度も繰り返しますが、それぞれ防虫対策をしっかり行うことが大切です。また、齧歯類を通して感染するハンタウイルスやレプトスピラなども注意が必要です。むやみに淡水に入らないことも重要です。

(カ)高地障害

 首都ボゴタの標高は2,600mです。飛行機では、標高約2,000mの高さである0.8気圧に室内が設定されていますので、0.74気圧であるボゴタではさらに気圧が低くなります。それに伴い空気も薄くなりますので、健康な人でもパルスオキシメーターでの血中酸素飽和度の値が90%前半の値となることが普通です。2,600mの高地では、日本から直接飛行機で入る場合、人によっては高山病になる可能性があるので注意が必要です。症状は坂道を歩くと息苦しくなる、お酒の酔いが早い、たばこを吸う人は平地より息苦しい、眠りが浅く熟睡できないなどです。まれですが酸素吸入が必要になることがあります。また、高地では乾燥しており(水蒸気圧が低値)脱水になりやすいので、のどの乾燥、尿の量に注意するとともに、こまめに水分を摂取するようにしてください。到着後数日は、アルコールや激しい運動を控えることをお勧めします。標高が3,000mを越えると、さらに高山病が発生しやすくなります。日本人の旅行者がよく訪れるペルーのクスコ(3,400m)、マチュピチュ(2,400m)、チチカカ湖(3,800m)、ボリビアの首都ラパス(4,000m)、ウユニ塩湖(3,700m)、エクアドルの首都キト(2,850m)に移動する場合には注意が必要です。高地旅行の対応としては、まず標高2,000m~の都市で体を慣らしてから移動する、ダイアモックス(一般名Acetazolamide)を予防内服することがあげられます。高地順応の方法やダイアモックスが必要かどうかは、出国前にトラベルクリニックなどであらかじめ相談されることをお勧めします。高山病は、最悪の場合死に至ることもあります。高山病の根本的な治療は低地に降りることしかありません。

6 健康上心がける事

(ア)大気汚染

 大気汚染は人口の多い大都市(ボゴタ、メデジンなど)で問題になっています。特にボゴタは人口が800万人を越え、車両が年々増えており排気ガスによる汚染が問題となっています。大気汚染の指標となるPM2.5やAQIの値に注意してください。大気汚染による人体への症状は目が痒い、咳、喘鳴(ゼイゼイ)、咽頭違和感、浅い呼吸などがあげられます。長期滞在の場合には肺、心臓循環器系に影響が出る場合があります。

(イ)紫外線

 コロンビアは赤道に近く全土で強い紫外線にさらされます。屋外では皮膚と目を保護する必要があります。長時間屋外で活動する場合は長袖、長ズボン、帽子、紫外線カットのサングラスを着用ください。

(ウ)熱帯雨林地域

 南部のアマソナス県近隣地域はマラリアなど感染症の宝庫です。僻地のため正確な感染状況が得られていません。自己対応が必要です。熱帯雨林では昆虫媒介感染症が多いので、長袖・長ズボンの着用や虫除けの持参、宿泊は密封性の高い部屋に泊まるか蚊帳の利用をお勧めします。

(エ)違法薬物

 世界で消費されるコカインの半分以上がコロンビアで作られていると言われています。UNODC(国連薬物犯罪事務所)によると、コカ葉(コカインの原料)の違法栽培面積は、2021年には16万ヘクタールと推定され、依然として高水準で推移しています。コカイン等の違法薬物の密売が市中で頻繁に行われていますが、コロンビアでもコカインなどの薬物の所持、使用、販売は違法です。また、売買や所持が見つかると、10年以上の禁固刑等、厳罰に処せられることがあります。
日本で市販されている風邪薬の中には咳止め成分(コデイン等)など、国によって薬物取り締まりの規制対象になっているものもありますので、パッケージのまま持参する、常用しているお薬、風邪薬などを持ち込む場合はバラで所持せず、医師の処方箋などを英語で書いて持参してください。

(オ)治安

詳しくは、以下のリンク先を御覧ください(コロンビア安全対策基礎データ:外務省)。

https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_248.html別ウィンドウで開く

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(当地で予防接種を希望する場合は、予め医療機関に問い合わせの上、予約や在庫確認などを行ってください)

(ア) 渡航者に必要な予防接種(成人)

 A型肝炎、B型肝炎、破傷風(追加接種として)及び腸チフス、可能であれば狂犬病(滞在する場所・期間によります)

 成人男性は、年代によっては麻疹・風疹ワクチンを全く受けていない、または1回しか接種されていない場合があります。また、おたふくや水痘に関しても、現在は2回接種がスタンダードですが、無接種、または1回のみの接種しか行われていない場合があります(感染したことがあれば、ワクチンは必要ありません)。

 可能であれば、出発前の早い段階で母子手帳を入手し、ご自身のワクチン接種歴を確認できる状態(携帯で写真を撮っておく)にしておくと、スムーズに必要なワクチン接種を進めることができます。母子手帳で確認できない場合も、医師と相談し必要なワクチンを接種されてください。ちなみに、破傷風ワクチンは、1968年から定期接種が開始されましたので、それ以前に生まれた方は(1968年も含めて)、破傷風ワクチンが一度も接種されていない可能性があります。ワクチンによっては接種完了まで時間がかかります(例えばB型肝炎は半年など)。その場合、ワクチンによっては現地で追加の接種も可能です。

 黄熱病については前記参照。A型肝炎、百日咳、ジフテリア、破傷風、日本脳炎に関しては最終接種日から10年経過を目処に追加接種をお勧めします。

(イ)小児

 定期予防接種:ロタ、Hib(ヒブ)、小児肺炎球菌、B型肝炎、4種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)BCG、MR(麻しん風しん混合)、水痘(みずぼうそう)、日本脳炎、HPV

 任意:おたふく、A型肝炎、腸チフス、狂犬病

 日本の定期接種と任意接種は、年齢的に可能なものを全て接種して渡航されることをお奨めします。入学、入園に際してワクチン接種証明書の提出を求められることがあります。かかりつけ医から英文の証明書を貰っておくことが良いでしょう。

(ウ)現地の小児定期予防接種一覧

現地の小児定期予防接種一覧
初回 2回目 3回目 4回目 5回目
BCG 出生時        
B型肝炎 出生時        
A型肝炎 1歳        
ポリオ(OPV生経口、IPV不活化) 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 18ヶ月 5歳
5種(DTwP+Hib+B型肝炎) 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月    
DPT       18ヶ月 5歳
MMR,水痘 1歳 5歳      
黄熱 18ヶ月        
季節性インフルエンザ 6か月~ 初回から1ヶ月後      
ロタウイルス 2ヶ月 4ヶ月      
肺炎球菌 2ヶ月 4ヶ月 1歳    
HPV(ヒトパピローマ) 9歳 接種後6ヶ月以降      

 ポリオは予防接種を受ける医療機関によって、経口か不活化かが異なります。

参考:https://minsalud.gov.co/sites/rid/Lists/BibliotecaDigital/RIDE/VS/PP/ET/ficha-esquema-vacunacion-vf2.pdf別ウィンドウで開く

8 病気になった場合(医療機関等)

・コロンビアでは、採血の際、日本では使い捨てとなっている採血ホルダーを使い回していることが多いので、ご注意ください。

ボゴタの病院

(1)サンタ・フェ・デ・ボゴタ病院 Fundación Santa Fe de Bogotá
所在地:Carrera 7 No.117-15
電話:601-482-4488/601-603-0303
ウェブサイト:https://www.fundacionsantafedebogota.com/index/別ウィンドウで開く
概要:私立総合病院。総病床数330床。うちICUが40床。救急センターは24時間稼働。ほぼ全ての診療科があります。概ね良好な医療水準。CT、MRI、PET-CTなど最新の設備が整っています。小児救急も受け付けています。医師の多くは英語を話しますが日本語を理解するスタッフはいません。受診時にパスポート(身分証明書)、前金の支払いが必要です。入院に際してはかなりのデポジット(前払金)が必要です。クレジットカードでの支払いも可能です。
国際課(International patient Service Office)があり、外国人の対応にあたっています。
電話601-603-0303 内線5901,320-420-4201
メールアドレスinternacional@fsfb.org.co
(2)カントリー病院 Clinica del Country
所在地:Carrera 16 No.82-57
電話:601-530-0470/601-530-1270
ウェブサイト:https://www.clinicadelcountry.com/別ウィンドウで開く
概要:私立総合病院。病床数255床(病棟162床、ICU93床)ほぼ全ての診療科が揃っています。救急外来は24時間受付可。脳卒中、心臓病などの治療も行っています。注力している分野は、乳腺悪性腫瘍、外傷、産婦人科。腎移植も行っています。がんセンターもあります。医療水準、支払い等、サンタフェ病院と同様です。病院に連絡すると救急車の手配をしてもらえます。
(3)シャイオ病院 Fundación Clinica Shaio
所在地:Diagonal 115A No.70c-75
電話:601-593-8210
ウェブサイト:https://www.shaio.org/contacto-clinica-shaio別ウィンドウで開く
概要:設立65年の私立総合病院。コロンビア初の循環器専門病院。病床数240床(ICU54床、CCU、PICUあり)。歯科、腫瘍以外の診療を行っています。特に循環器、脳血管疾患に注力しており、診療数のうち8割が循環器疾患。また、コロンビア国内で頸動脈疾患治療のパイロット施設とされており、海外からも研修生を受け入れています。心筋梗塞のカテーテル治療に対しても24時間対応可。ECMOも12台備えています(成人用8代、小児用4台)。

メデジンの病院

(1)パブロ・トボン・ウリベ病院 Hospital Pablo Tobón Uribe
住所:Calle 78B NO.69-240
電話:604-445-9000/604-360-4788/604-445-9425/300-391-7582
ウェブサイト:https://www.hptu.org.co/別ウィンドウで開く
概要:52年前に設立された私立大学病院。一般病床(個室、大部屋)、ICUなどあわせて合計526の病床があります。移植、心臓外科、脳神経外科など、産科・美容形成以外の全ての疾患に対応しています。精神科は初期対応のみで入院ベッドはありません。ヘリポートあり。24時間の救急受け入れ可。救急医が常に常駐しており、小児専用救急外来があります。産科はありませんがNICUは設置されています。International sectionがあり、Medical tourismに対応し、多くの外国人(約90ヶ国)の治療をおこなっています。最新医療器機もそろっており、自前の血液銀行もあります。健康診断も行っています。
(2)ラス・ベガス病院 Clinica Las Vegas
住所:Calle2 Sur No.46-55
電話:604-315-9000(内線7009)/316-018-2184/311-375-4372
ウェブサイト:https://www.clinicalasvegas.com/別ウィンドウで開く
概要:30年前に設立された私立総合病院。病院には147病床、22のICU病床、32の救急外来病床があります。24時間救急受け入れ可。必ず一人救急医が常駐しています。高速道路に近い立地なので、交通外傷の患者さんが良く運ばれてきます。整形外科に加え、心臓外科・脳外科も24時間対応可能です。産科以外の主要な診察科はひととおりそろっていますが、小児科は外来のみの対応となります。外国人対応はInternational groupが対応しています。血液透析は入院患のみ行っています。
(3)サン・ビセンテ・フンダシオン病院 Hospital San Vicente Fundación Medellin
所在地:Calle 64 #51D-154
小児病院Hospital Infantil所在地Calle67 #51B-22 Medellín
時間:24 時間営業
電話:予約604-4482626 メデジン604-4441333/304-392-2534 リオネグロ604-4448717
ウェブサイト:https://www.sanvicentefundacion.com/nuestras-entidades/hospital-medellin/別ウィンドウで開く
概要:109年前に設立された私立大学病院。Medellin病院と小児病院、空港近くにあるリオネグロ病院の三カ所に分かれています。Medellin病院は、700床を超えるベッド数ですが、ほとんどが相部屋となります。リハビリ、特に視覚障害者の患者さんに対して力を入れています。精神科の入院病棟もあります。小児病院は、NICU、火傷ユニット、腫瘍ユニット、腎臓病棟など、多くの小児専門病棟を備えており、新生児治療から腫瘍、移植まで様々な小児疾患に対応しています。リオネグロは空港近くの立地で、ヘリポートも備える設立11年と比較的新しい総合病院です。救急外来は24時間受け付けています。

カリの病院

(1)インバナコ病院 Clinica Imbanaco
住所:Carrera 38A No.5A-100
電話:602-382-1000(内線20081/20085)/602-518-6000/602-385-1000/318-444-7372
ウェブサイト:https://www.imbanaco.com/別ウィンドウで開く
概要:46年前に設立された私立総合病院。病院には256入院病床(個室)、38のICU病床、24のNICU病床、23のPICU病床があります。24時間救急受け入れ可。ECMOあり。産科・NICU・小児科含め全ての診療科があります。ECMOも2台あり。最近開設血液銀行が開設されました。医療器機は最新の設備がそろっており、特に放射線療法に力を入れています。また病理医も11名在籍しており、病理診断にも力を入れています。外国人の受け入れにも慣れており、International officeが外国人対応に当たっています。
(2)バジェ・デ・リリ・フンダシオン大学病院 Hospital Universitario Fundación Valle De Lili
住所:Carrera 98 No.18-49 Autopista Simón Bolivar
電話:602-331-9090(内線4123/3028)/312-603-0388
ウェブサイト:https://valledellili.org/別ウィンドウで開く
概要:28年前に設立された私立大学病院。ベッド数は680床。24時間救急受け入れ可。ECMOあり。ICUには理学療法士も治療に当たっています。放射線科をはじめ、最新の医療器機がそろっています。血液透析も外来で可能です。産科、NICUも完備しています。PETもあり、移植、放射線治療にも力を入れています。精神科の入院も可能です。Medical tourismを行っており、各国から様々な外国人が治療に訪れています。International officeが外国人対応に当たっており、夜間でも必ず英語が話せる職員に連絡が付くようにしています。ほとんどの診療科で英語が話せる職員がいます。提携しているホテルでの治療も可能です。

カルタヘナの病院

(1)セレナ・デル・マル病院 Centro Hospitalario Serena del mar
住所:Km 8 Via al Mar
電話:605-642-8484/605-693-1501 International office 319-204-6736(24時間対応可)
ウェブサイト:https://www.chsm.com/別ウィンドウで開く
概要:ボゴタのサンタフェ財団によって運営されている、2年前にできた新しい病院です。カルタへナの中心街から車で20~30分の距離にあるセレナデルマールという計画都市の中にあります。ベッド数は72床(全て個室)ですが、今後増設される予定です。循環器内科、脳外科、心臓外科、整形外科に力を入れており、24時間対応可の救急外来、産科、NICUも備えている総合病院です。ECMOもあります。自前の救急車も1台あり、カルタへナからの搬送も可能です。職員のほとんどは英語が通じます。ボゴタのサンタフェ病院で働いていたスタッフも多く移ってきており、ボゴタのサンタフェ病院と同程度の治療が受けられます。
(2)メディヘルプ病院 Clínica MEDIHELP Service
住所:Cra.6A No.5-101, Bocagrande
電話:(605)693-9877 携帯321-892-2537 International office 310-473-4899(24時間受付可)
ウェブサイト:https://www.clinicamedihelp.com/別ウィンドウで開く
概要:2001年に設立された38床の一般病棟、および16床のICUを備える私立病院です。24時間救急外来受け入れ可。緊急移送可。整形外科、泌尿器、脳神経外科(最新のIVR-CTあり)、循環器、一般内科、小児科、婦人科などほとんどの診療科があります。産科、NICU、心臓血管外科,外来透析はありません。MRIは病院から歩いてすぐの場所での撮影となります。病院所有の救急車が2台あり、搬送の手配もしてもらえます。ほとんどのスタッフは英語が話せます。カルタへナを訪れる外国人旅行者の対応に慣れており、ホテルでの診療も依頼できます。

バランキージャの病院

(1)ポルトアスル・アウナ病院 Clínica Portoazul auna
住所:Cra 30 Corredor Universitario No.1-850
電話:605-385-5500 , International office 313-496-4544(24時間対応可)
ウェブサイト:https://www.clinicaportoazul.com/別ウィンドウで開く
概要:2008年に開設された、178床(130床は個室、48床が相部屋)を備える私立総合病院。眼科以外のほとんどの診療科を備えており、バランキージャで一番大きな私立総合病院です。外科系に力を入れているとのこと。24時間救急受け入れ可。分娩数は月に約100人程度とのことで、ICU、PICU、NICUも設置されています。ECMOあり。緊急移送可能。外国人の患者は月に100人程度診療しており、スタッフも外国人対応に慣れています。
(2)イベロアメリカ病院 Clínica Iberoamérica
住所:Calle 86 # 50-26
電話:605-322-1777/300-554-4392 International office 322-350-8517(24時間受付可)
ウェブサイト:https://www.clinicaiberoamerica.com/別ウィンドウで開く
概要:2014年に開設された、62床(全個室)、ICUを18床備える総合病院。24時間救急受け入れ可能。循環器や心臓血管外科に力を入れているとのこと。小児患者受け入れ可能で、産科、NICUもあります。ECMOは今後購入予定。緊急移送可能。訪問診療も対応可。PICUは2023年度に開設予定です。ほとんどのスタッフは英語が話せます。病院の隣のホテルと連絡通路で移動可能で、ホテルに滞在しながら治療も可能とのことです。
(3) カリベ病院 Clínica del Caribe
住所:Calle 80 No.49 C-65
電話:605-330-5200 救急外来314-569-0318(24時間受付可)
ウェブサイト: https://clinicadelcaribe.com/別ウィンドウで開く
概要:1947年に設立された96床(大人64床、子供6床、ICU26床)を備える総合病院。心疾患・心臓血管外科、泌尿器、耳鼻科、脳外科に力を入れているとのこと。産婦人科はありません。24時間救急受け入れ可。小児患者受け入れ可能。外国人の患者数はそこまで多くはないです。医師は英語を話せることが多いですが、外国人専用スタッフはおらず、スペイン語が話せたほうが受診はしやすいです。

9 その他の詳細情報入手先

(1)在コロンビア日本国大使館 メールアドレス:info@ba.mofa.go.jp

(2)厚生労働省検疫所/国・地域別情報(コロンビア・ベネズエラ・スリナム): http://www.forth.go.jp/destinations/country/colombia.html別ウィンドウで開く

10 現地語・一口メモ

 世界の医療事情の冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療スペイン語)をご参照ください。
(リンク先:https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000237048.pdf別ウィンドウで開く)

11 新型コロナウイルス関連情報

 コロンビアでは、2021年のデルタ株の流行により多くの方が感染し亡くなりました。その後、オミクロン株の流行はある程度抑えられています。2023年4月29日現在の総感染者数は636.6万人、死亡数14.3万人です。コロンビアでのマスクや手指消毒用アルコール等の感染予防対策物品は、スーパーマーケットやドラッグストアで購入可能です。当地で感染が疑われる場合には、8で紹介した病院で相談されてください。また、ボゴタであれば、Alife(https://www.alifehealth.net/別ウィンドウで開く)という検査会社でもPCR検査が可能です。抗原検査キットに関しては、Farmatodoなど購入できるドラッグストアも出てきましたが、常に在庫があるかどうかはわかりません。

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