世界の医療事情
ボリビア
1 国名・都市名(国際電話番号)
ボリビア多民族国(国際電話番号591)
2 公館の住所・電話番号
- 在ボリビア日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
- 住所:Calle Rosendo Gutiérrez No.497, esq. Av. Sánchez Lima, Sopocachi, La Paz, Bolivia, P.O. Box 2725
- 電話:(2)241-9110から9113
- Fax:(2)241-1919
- 在サンタクルス領事事務所(毎週土曜日、日曜日休館)
- 住所:Calle Saavedra No.314, esq. Calle Cochabamba, Santa Cruz, Bolivia, P.O. Box 543
- 電話:(3)335-1268もしくは(3)335-1329
- Fax:(3)335-1022
4 衛生・医療事情一般
ボリビアは、ラパス・オルロ・ポトシなどのアンデス高地、コチャバンバなどの渓谷地帯(アンデス低地)、サンタクルス・ベニなどのアマゾン河流域の東部低地に分けられ、衛生事情や流行疾患も異なります。アンデス高地では標高が約3,500m以上のため高山病にかかる可能性があります。ラパスにおいては、最高気温14から18℃、最低気温マイナス5から4℃と一日の寒暖の差が大きくて非常に乾燥しているので、日々の体調管理が重要です。一方、東部低地は熱帯・亜熱帯気候で、胃腸炎などの消化器感染症に加え、デング熱など各種熱帯病の流行がみられます。また狂犬病はボリビア全土で発生しており、注意が必要です。
ラパスやサンタクルスなどの大きな都市には清潔で比較的設備の整った私立医療機関がありますが、小さな地方都市や農村部では医療資源が極端に貧弱です。病気やケガで重症となった場合には大きな都市や先進国への移送が必要となることもあり、その費用は非常に高額となりますので、補償額が十分な海外旅行保険に加入しておくことを強く推奨します。
5 かかりやすい病気・怪我
(1)急性高山病
急性高山病は、高地に身体が順応できずに頭痛など一連の症状を呈した状態で、標高2,500m以上で発症する危険性があります。重症化して命にかかわることもあり、予防や早期の適切な処置がとても重要です。
観光等で訪れることが多く標高の高い都市は、ラパス(3,650m)、チチカカ湖(3,890m)、ウユニ(3,660m)、ポトシ(4,070m)、オルロ(3,700m)、スクレ(2,790m)およびコチャバンバ(2,560m)です。また、ボリビアの窓口であるラパス国際空港(El Alto空港)の標高は4,070mであり、到着時に多くの方が息切れや動悸などを感じます。持病(高血圧、心疾患や呼吸器疾患など)のある方は悪化する可能性もあるため、主治医にあらかじめ当地への旅行の可否や予防薬内服について相談してください。
ア 症状
主な症状は、高地到着の約6から12時間後から出現する頭痛、食欲不振、吐き気、疲労感、めまい、睡眠障害などです。多くの場合数日で徐々に軽快しますが、重症化すると肺水腫、脳浮腫により呼吸困難、麻痺、意識障害などが出現し、死亡することもあります。
イ 予防
高山病予防薬としてダイアモックス®(Acetazolamide)を到着24時間前から合計4日間内服する方法が有効とされています。日本では医師の処方箋が必要な医薬品ですので、医療機関を受診の上相談してください。飛行機内でのアルコール摂取は控えてください。また、睡眠薬を使用している方は、高地に慣れるまで使用を控えたほうが無難です。到着当日は休養を十分にとり、アルコール、熱いシャワーや入浴、運動を避けて慎重に行動してください。
ウ 治療
主に軽い頭痛だけであれば、安静にして頭痛薬を服用するなどして様子を見てください。頭痛やその他の症状が強いようであれば、1分間3リットル程度の流量で10から30分酸素を吸入してください。中級以上のホテルであれば酸素ボンベが用意されています。それでも症状がなかなか改善しない場合は、早めに最寄りの医療機関を受診してください。重症化する前に治療を開始することが大切です。
(2)経口感染症
衛生環境が必ずしも十分ではなく、病原体に汚染された食べ物や飲み物を摂取してしまうことにより、病原性大腸菌食中毒、サルモネラ症、腸チフス、ジアルジア症、アメーバ赤痢、A型肝炎など、多種多様な経口感染症が発生しています。生水や屋台の飲食物には十分注意する必要があります。
(3)蚊媒介感染症
東部低地の広い範囲で雨季(12から4月頃)を中心にデング熱が流行するほか、チクングニア熱、ジカウイルス感染症、黄熱も発生しています。これらはいずれも、ネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊に刺されることにより感染する発熱性疾患です。また近年、ヌカカなどが媒介するオロプーシェ熱の報告も増えています。
ベニ県北部及びパンド県を中心にマラリアが発生しています。大半は三日熱マラリアですが、一部熱帯熱マラリアも発生しており、いずれもハマダラカに刺されることにより感染します。
(4)狂犬病
国内各地で散発的に発生しています。狂犬病ウイルスに感染したイヌに咬まれて感染することが多いですが、ネコやコウモリを含むすべての哺乳類が感染源となる可能性があります。いったん発症するとほぼ確実に死に至るので、ワクチンによる発症予防が非常に重要です。暴露後予防接種は速やかに開始する必要がありますので、万が一動物に咬まれた場合は直ちに水と石けんで傷を洗い、日にちを置かずに最寄りの医療機関を受診してください。事前に暴露前予防接種を済ませていても暴露後予防接種が必要となる場合が多いことに注意してください。
(5)その他
野ネズミの排泄物やだ液を介して感染する南米出血熱(アレナウイルス感染症)やハンタウイルス肺症候群が散発的に発生しています。これらは致死率が高い疾患であり注意が必要です。
主に農村部において、サシガメが媒介するシャーガス病や、サシチョウバエが媒介するリーシュマニア症が蔓延しています。
6 健康上心がけること
ラパスなどの高地を訪問された方は、多かれ少なかれ何らかの体調不良を訴えます。高地の影響による呼吸困難感、消化不良が最もよくみられる症状です。到着してしばらくは無理をせず、余裕を持った計画を立てるように心がけてください。また高地は紫外線が非常に強いため、サングラス、日焼け止めクリームなどの紫外線対策が必要です。
経口感染症予防のため、食事前や調理前などにまめに手洗いを行ってください。また、生水の飲用は避け、十分に加熱された食べ物を摂取するようにしてください。食材の購入や外食の際には、衛生管理の行き届いた清潔な店を選ぶようにしてください。
熱帯・亜熱帯気候の地域では、蚊やその他の昆虫が媒介する疾患が多発しています。肌の露出が少ない服装を心がけ、必要に応じて蚊取り線香や防虫剤を使用して防虫対策を行ってください。
狂犬病のほか、野ネズミなどの野生動物が媒介する疾患も全国で発生しています。不用意に動物に近寄ったり接触したりすることがないよう、十分に気を付けてください。
7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)
(1)赴任者に推奨される予防接種
A型肝炎・B型肝炎・破傷風・腸チフス・狂犬病の予防接種を推奨します。黄熱に関しては、ラパス市やウユニ塩湖だけの滞在であれば必要ありませんが、ベニ県・パンド県の全域、コチャバンバ県・サンタクルス県・チュキサカ県・ラパス県・タリハ県の一部地域は感染危険地域に指定されており、イエローカード(黄熱予防接種証明書)の所持が必要です。詳しくは、当館ホームページ安全情報内の黄熱情報をご覧ください。
当地でもこれらのワクチンの接種は可能ですが、免疫を獲得するにはある程度の期間が必要です。渡航前に信頼のおける医療機関で計画的に予防接種を受けることをお勧めします。また、小児は上記ワクチンのほか、日本の定期予防接種の内容も済ませるようにしてください。
(2)現地の小児定期予防接種一覧
初回 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | |
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BCG | 出生時 | ||||
5種混合(注1) | 2か月 | 4か月 | 6か月 | 18から23か月 | 4歳 |
ポリオ(注2) | 2か月 | 4か月 | 6か月 | 18から23か月 | 4歳 |
肺炎球菌 | 2か月 | 4か月 | 6か月 | ||
ロタウイルス | 2か月 | 4か月 | |||
MMR(注3) | 12か月 | 18から23か月 | |||
黄熱 | 12から23か月 | ||||
HPV | 10歳 |
- (注1)ジフテリア・破傷風・百日咳・B型肝炎・Hib
- (注2)経口ワクチン
- (注3)麻疹・流行性耳下腺炎・風疹
(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明
上記(2)の予防接種及び接種証明書が必要です。なお、ラパス市内のアメリカンスクールに入学する際は、DTaP(ジフテリア・破傷風・百日咳)、MMR(麻疹・流行性耳下腺炎・風疹)、ポリオ、B型肝炎の予防接種及び接種証明書が必要です。
8 病気になった場合(医療機関等)
(首都)ラパス
- (1)Diagnóstico Médico Gastroenterológico(ディアグノスティコ メディコ ガストロエンテロロヒコ)
- 所在地:Calle Loayza No. 250, Edificio Castilla Of. 501, Zona Central, La Paz
- 電話:(2)220-1016(スペイン語)、7256-1562(スペイン語)、7019-9228(日本語可)
- 概要:西カルロス義人医師(消化内科専門医:長崎大学医学部博士課程修了)は日本語で一般内科・消化器内科の診察が可能です。上部消化管内視鏡、腹部超音波検査あり。診療時間は要電話確認。
- Eメール:yoshito_nishi@hotmail.com
- (2)Clínica Alemana(クリニカ アレマナ)
- 所在地:Av. 6 de Agosto 2821, Esq. Cordero, La Paz
- 電話:(2)243-2521、(2)243-3676、救急車:7899-1100
- 概要:24時間救急対応の私立総合病院。小児救急も対応可能。X線検査、CT、消化管内視鏡、超音波検査、手術室、入院施設あり。キャッシュレス対応可。
- (3)Clínica Los Andes(クリニカ ロス アンデス)
- 所在地:Av. José Aguirre Achá No.200, Barrio Los Pinos, La Paz
- 電話:(2)279-3928、(2)212-6006、救急車:6928-2119
- 概要:24時間緊急対応の私立総合病院。小児救急、産科も対応可能。建物は新しく清潔。X線検査、CT、MRI、消化管内視鏡、超音波検査、手術室、入院施設あり。キャッシュレス対応可。
- (4)Clínica Odontologica Wilde(歯科医院)(クリニカ オドントロヒア ビルデ)
- 所在地:Calle 14, Achumani esq. Av Alexander No7, Calacoto, La Paz
- 電話:(2)279-9601、(2)279-6429、(2)279-0041
- 概要:日本語を話す歯科医師(日本への留学歴あり)がいます。受付は英語可能。緊急対応も可能。邦人診療実績多数。
サンタクルス
- (1)Clínica Foianini(クリニカ フォイアニーニ)
- 所在地:Calle Chuquisaca #737, Santa Cruz
- 電話:(3)336-2211
- 概要:24時間救急対応の私立総合病院。小児救急も対応可能。X線検査、CT、MRI、血管造影、超音波検査、手術室、入院施設あり。保険会社や航空会社との連携はよく、緊急移送体制が整っている。邦人診療実績あり。医療内容はアメリカ式で診療レベルは高い。英語可能。キャッシュレス対応可。
- (2)Centro Médico Integral SIRANI(セントロ メディコ インテグラル シラーニ)
- 所在地:Calle Independencia #654, Santa Cruz
- 電話:(3)337-5800 Int.110(西澤医師)、(3)335-6226、(3)335-6227
- 概要:24時間救急対応の私立総合病院。小児救急も対応可能。X線検査、消化管内視鏡、超音波検査、手術室、入院施設あり。西澤医師は日系の消化器外科専門医で、日本語可能です。邦人診療実績多数。
ウユニ
- (1)Clínica Las Carmelitas(クリニカ ラス カルメリタス)
- 所在地:Calle Santa Cruz No. 073, entre Av. Potosi y Av. Ferroviaria, Uyuni
- 電話:(2)693-3539、7236-6949
- 概要:24時間救急対応の私立総合病院。X線検査、超音波検査、手術室、入院施設あり。
- (2)Clínica San Pablo(クリニカ サン パブロ)
- 所在地:Calle Perú entre Avenida 7ma, Uyuni
- 電話:(2)693-2645、6506-0244
- 概要:24時間救急対応の私立総合病院。X線検査、超音波検査、手術室、入院施設あり。
9 その他の詳細情報入手先
10 一口メモ
当地ではスペイン語が通じます。「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時のスペイン語)を参照ください。