世界の医療事情

スリランカ

2022年10月

1 国名・都市名

 スリランカ民主社会主義共和国(コロンボ)(国際電話国番号94)

2 公館の住所・電話番号

在スリランカ日本国大使館(毎週土日休館)

住所:Embassy of Japan in Sri Lanka
4th Floor M2M Veranda offices, No.34, W.A.D.Ramanayake Mawatha, Colombo 02,Democratic Socialist Republic of Sri Lanka
電話:011-269-3831~3、Fax:011-269-8629
ウェブサイト:http://www.lk.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

※土日以外の休館日は暦年毎に上記ウェブサイトにて案内していますので、ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

(1)全般

 スリランカは北緯5度55分から9度51分、東経79度42分から81度52分のインド洋上に浮かぶセイロン島にあり、面積は九州の1.7倍、北海道の約8割に相当します。島北部は平坦で、中央〜南部には2000m級の山が連なり、1000mを越える高原があります。
年間を通じて大きな寒暖の差はなく、ほぼ全土が熱帯性気候に属します。
 事実上の首都コロンボは北緯6度、西部州に属しスリランカ南西岸の湿潤地帯に位置します。平均気温28度、湿度87%、日中最高気温32度前後、最低気温25度前後で日本の夏が一年中続いていると考えていいでしょう。5〜6月、10〜11月にかけて年2回の雨期、激しい雷雨があり、月間降水量は300〜400mm前後となり、年間降水量は2000mmを越えます。道路の冠水などで生活に支障をきたすことも多いです。

(2)現地の医療水準

ア 概要

 コロンボやキャンディなど都市部の私立病院には専門医が集められ、心血管カテーテル治療や心臓外科、腎臓移植など比較的大きな外科手術も行われていますが、症例は多くありません。緊急・不可避的な急性虫垂炎や骨折・外傷等の緊急手術ならやむを得ないものの、それ以外の待機手術は、後述の理由から日本で行うことをお勧めします。
  診療科によっては一部の私立医療機関で医師を選べば、日本に近い水準の医療を受けられます。ただし、評判の高い専門医の予約は取りづらく、地位・技術・人気によりその診察料金が異なり、ときに高額になることもあり、さらに私立医療機関では、入院時に、傷病名と重症度に応じた保証金(デポジット)を求められます。当地では十分な額の支払い保証のある旅行保険に加入するようにしてください。地方(大都市以外)では私立医療機関であってもその医療レベルは概して高くありません。

イ 医療衛生統計から

主な最近の健康統計は, 以下の通りです。
  スリランカ 日本 日本との比較 統計年
平均寿命 76.9 84.3 7.4 2020
73.8 81.64 7.84 2020
79.8 87.74 7.94 2020
新生児死亡率 6.8 0.8 8.5倍 2021
周産期死亡率 11.3 3.4 3.3倍 2019
早期新生児死亡 4.9 0.7 7倍 2019
妊産婦死亡率 29.2 3.4 8.6倍 2021
帝王切開率 43.1 27.4 1.6倍 2021
5歳児未満死亡率 9.5 2.3 4.1倍 2021
医師数 93.5 269.2 34.7% 2020
産婦人科医数 0.8 10.80 7.4% 2019
歯科医師数 7.2 85.2 8.5% 2020
病床数 397.1 1262.0 31.5% 2021

 新生児死亡率 :年間1000出産数当たりの新生児(生後28日未満)の死亡数

 5歳児未満死亡率:年間1000出産数当たりの5歳児未満の死亡数

 妊産婦死亡率:年間妊産婦死亡数 ÷ 年間出産数(出生数+妊娠満22週以後の死産数) × 100, 000

 医師数、歯科医師数、病床数:人口10万人あたり

 (日本)厚労省統計

 (スリランカ)Anual Health Bulletin, Ministry of Health, Sri Lanka, 2019
   eRHMIS data, Family Health Bureau, Ministry of Health, Sri Lanka, 2021

ウ 当地の医師について

 卒後研修を終えた後、必ず外国(英国、オーストラリア、インド、中東)で1年研修をするため、スリランカ訛りがあるものの英語が通じ、日本の専門医と同様な知識・技術を持っている医師も少なくありません。多くの専門医は、公立病院に籍をおいて、私立病院を含むいくつかの病院を掛け持っています。しかし、医師数は日本の約5%、人口あたりで日本の3分の1のため、医師は常に多忙で過労状態です。人気医師の外来は予約時間に診察を受けられることは稀で、夕方の予約でも22時頃まで待たされることもあります。
また、患者への説明が不十分であったり、十分なインフォームド・コンセントを取らず侵襲的治療が進むことがあったり、生命倫理に対する考え方や、言葉や宗教の問題もあり、診療・治療方針等に関してコミュニケーションが取りづらいことがあります。他には、旧英連邦系各国と同様の基準を採るため、検査値の単位や病気の分類・治療法などが日本と異なることもあります。

エ コメディカルについて

 医師以外のコメディカル職種(看護師、検査技師、レントゲン技師など)は、日本並に高い知識・技術を持つ割合は多くなく、英語の訛り、教育レベル、医学用語等の問題から、英語での相互理解が困難な場合があります。 また、看護師の中には未だ大きなナースキャップ(院内感染の感染源の1つ)をつけたり、コロナ禍でもPPE着脱が不完全な方が多く、感染対策以外でも教条的で前近代的な対応をすることは日常茶飯事です。

オ 歯科

 歯科治療も同様です。歯科医数は人口比で日本の8.5%と少ない上、日本や欧米からの外国人の利用に耐えうる歯科は稀有で、医師同様説明が不十分で治療方針があいまいなことが多いです。緊急時の応急処置程度に留めておき、本格的な治療は日本で行い、赴任・長期滞在前に歯の治療・検診なども済ませておきましょう。

カ 出産・乳児

 帝王切開術はもとより、リスク妊婦管理や硬膜外無痛分娩等の十分な技術を持つ産婦人科病院は少数ですが存在します。個々に応じた様々なバースプランや不妊治療にも対応でき、日本より安価ということで当地で不妊治療・出産を計画する方もいるようです。しかし、前述の言語や説明の問題だけではなく、早期に自然分娩を諦める点(全出産中、約43.1%、私立病院では51.7%が帝王切開)や助産婦のケア、出産の考え方などが、日本の産科・新生児医療とは異なる点があります。また、産婦人科医が非常に少なく(人口あたり日本の7.4%)、予約しても数時間の受診待ちは常態化し、説明も不十分で、医師が間に合わない状態での出産ケースも目立っています。
妊産婦死亡率が日本の8.6倍、乳児死亡率も日本の5.6倍と、日本に比べ出産・乳児ケア自体のリスクもあります。さらに、出産に関連する傷病に対する医療費は、ほとんどの旅行保険等ではカバーされないため、日本等への緊急移送で専用チャーター機を使った場合、高額な自己負担(2000万円を越える場合も)が発生します。

キ 医療はできる限り日本で

 緊急を要しない手術や侵襲的な検査・処置は、日本または他の先進国で行うことを強く推奨します。(「13 経済危機に起因する医療関連情報」参照)
妊娠経過のフォローアップ、切迫流産等のやむを得ない緊急時の帝王切開、未熟児に対する対応などは可能ですが、日本人の赴任・長期滞在者の妊婦さんは、日本での里帰り出産を強くお勧めします。また、デング熱、日本脳炎など熱帯感染症や結核も多い国であることや、衛生面や予防接種等の観点からも、特に6か月未満の乳児をお連れになることもお勧めしません。

5 かかり易い病気・怪我

(1)主な感染症・風土病(蚊が媒介するもの)

 スリランカでは、蚊が媒介する熱帯感染症が多く、これらの予防には防蚊対策がとても重要です。蚊に刺されないよう細心の注意をお払い下さい。

ア デング熱

 デング熱は、日本脳炎や黄熱ウイルスと同じフラビウイルス科デングウイルスによる熱帯感染症で、日中に活動するネッタイシマカやヒトスジシマカなどのヤブカが媒介します。一度ウイルスに感染した蚊は終生ヒトを吸血時に感染させる力があり、数割はその卵を介して幼虫のときからデングウイルスと共生しています。スリランカでは毎年平均6万人が感染し、約100人が死亡しています。毎年、在留邦人や邦人旅行者にも相当数の感染者がでています。
 3~7日程度の潜伏期のあと、突然の発熱(高熱)から始まり、頭痛、悪寒、関節痛や、時に目の奥の痛みなどを起こし、食欲不振、腹痛、便秘などを伴うこともあります。発症3~4日後に発疹が出現、通常は1週間~10日ほどで軽快します。軽症の場合は自宅療養も可能ですが、発症後数日後から血小板数が減少し、血管透過性亢進のため脱水が起こり、重症化するとデング出血熱となり死亡する場合もあるので、採血検査で血小板や白血球など数の減少や尿などを頻回に診る必要があります。デングウイルスに対する抗ウイルス薬などの特異的な治療はなく、対症療法が中心となり、重症化の場合、ICU等で集中的治療を受ける必要があります。2度目にデング熱ウイルスに感染した場合に抗体依存性免疫増強が働き、重症化することがあります。
【ADE/抗体依存性免疫増強】デング熱ウイルスには4つの血清型があり、1つの型に感染するとその型に対する抗体ができ、同じ型に感染しても重症化しません。麻疹や風疹と同じです。しかし、2回目に1回目と違う血清型のウイルスに感染した場合、1回目にできた抗体が、2回目のウイルスを殺そうと結合するものの型が違うため殺すことができず、この抗体が結合した「生きた」ウイルス(免疫複合体)がより効率的に体の中に取り込まれ、増殖子、重症化してしまいます。
2020年からのCovid-19蔓延により、発熱患者受診時、COVID-19検査結果が出るまで治療が始まらず、治療が時に丸一日遅れるケースがあり、問題となりましたが、2022年9月時点では、ほとんど解消されています。
雨期の蚊の発生に応じて、患者数も増え、通常6~8月、11~1月の年2回のピークがあります。数年ごとに大流行し2017年には患者18万6千、死者410名となり、2019年は6月からピークが下がらず11月~2020年1月にかけ再流行の兆しを見せました。2020年2月以降は過去最低の患者数ですが、季節的なピークは変わりません。
2020~2021年に患者数が少なくなった原因として、2つの原因が考えられます。
・機会の減少:当時の外出禁止や移動制限のため、蚊に刺される機会が減ったこと。
・受診数の減少:当時、COVID-19診断を受けた場合必ず専用施設に14日間隔離されました。無料ですが設備はひどいものでした。これを恐れ、高熱でも受診せず自宅療養する患者が相当数いました。この中にデング熱やその他の発熱を伴う感染性疾患が隠れ、統計に反映してないため、患者数が少なくなっていると考えられます。
2年近く断続的に続いた外出禁止令等の影響で、蚊の発生源の根絶や防虫剤の散布等が十分に行われず、2021年マハ期の雨期は長く降雨量が多かったため、蚊の発生も増え、2021年10月以降の患者数は平年より増加しました。
2022年はマスク着用以外の制限が撤廃され、人の移動もCovid-19蔓延以前に近くなり、さらに蚊の発生数の増加も報告されています。2022年の患者数は、7月に2020年、2021年の年間患者数をすでに越え、11月以降第2のピークを迎えることを考えると、過去25年間で年間発生数が最も多い2017年18万5千人、2019年10万6千人に次ぐ、3番めに患者数の多い年になり、重症化し死亡する例も200名に迫ると予想されます。常に蚊よけスプレー等を使用するなどして、防蚊対策には十分気を配ってください。
 以下参照(「デング熱に注意」2020年8月12日付)
https://www.lk.emb-japan.go.jp/files/100084748.pdf別ウィンドウで開く

イ チクングニヤ熱

 デング熱と同じ種類の蚊によって媒介されるチクングニヤ熱は、チクングニアウイルスによる熱帯感染症で、毎年スリランカ全土で発生しています。スリランカでは、2006〜2008年にアウトブレイクがおこっており、この時日本にも数例のスリランカからの輸入症例がありました。2018年でも2,000人ほどの患者が発生し、高齢者などが中心でした。
 潜伏期間は通常3〜7日で、不顕性感染も多いものの、チクングニヤ熱を発症すると39度を越える間欠性の悪寒を伴う高熱と全身の関節痛が見られ、多くに発疹が見られます。その他、全身倦怠、頭痛、筋肉痛、リンパ節腫脹などを呈し、ときに血小板減少などによる出血傾向や悪心・嘔吐などをきたし、脳炎や劇症肝炎をおこすこともあります。ほとんどの症状は3〜10日で消失しますが、関節炎は数週間から数か月持続することがあります。発症3〜6日の患者のウイルス量は多く、デング熱やマラリアと同じく、この患者を吸血した蚊を媒介して家族内などで流行する可能性があります。治療は対症治療しかなく、やはり防蚊対策が重要になります。

ウ 日本脳炎

 豚などの動物の体内で増殖した日本脳炎ウイルスが、その豚を刺したコガタアカイエカなどがヒトを刺すことで感染します。症状が現れない不顕性感染が殆どですが、発症する場合6〜16日間の潜伏期の後、高熱、頭痛、嘔吐などで始まり、光過敏、意識障害、痙攣などの脳炎症状を生じることがあります。発症した場合の致死率は20〜40%、生存者の45〜70%に精神症状などの後遺症が残ってしまうといわれています。当地では毎年200〜300名の発症があり、日本でも未だ年間5〜10人程度の患者が西日本を中心に発生しています。
 日本脳炎ワクチンは、日本では3歳時から接種を開始することが多いですが、当地は日本脳炎流行地域であるため、当地に長期滞在するような場合、予め日本において生後6か月から日本脳炎ワクチン(不活化ワクチン)の繰り上げ接種が可能です。(3歳未満は1回0.25mL、6日以上の間隔をおいて2回(初回接種)、6か月〜1年後に追加1回、9歳時に追加1回)2回目接種完了後数週間で当面の抗体ができますので、少なくとも初回接種後数週間おいて渡航し、追加接種は帰国するなどして必ず受けるようにしましょう。スリランカ国民は1歳時に接種しています(生ワクチン)。
 2009年時点で日本では30〜35歳の成人の6割は抗体がないという報告もあり、当地に長期滞在する成人で抗体価が不十分と考えられる場合にも、ブースターとしてワクチン接種をお勧めします。2005年〜2011年頃のワクチン差し控え時に接種時期(3、4、9歳)を迎えた方や2016年以前に北海道で接種時期を迎えた方もご自身の接種歴を確認しワクチン接種をお考え下さい。

エ マラリア

 2016年9月にWHOがスリランカにおけるマラリア根絶を宣言しました。従ってスリランカ渡航時にマラリア予防薬を服用する必要はありません。しかし、年間100例程度のインド等からの輸入例が発生しており、マラリアを媒介するハマダラカは完全に駆逐されているとは言えません。特に、コロンボなどの国際港で海路での輸入例が多数報告されており、デング熱やチクングニア熱を媒介するネッタイシマカなどのヤブカと同様、発症患者を吸血した蚊を媒介して家族内等で伝染することもあります。夜間も防蚊対策を怠らないようにして下さい。
2021年7月31日より、マラリア根絶国として増加傾向の輸入症例を減らすため、スリランカからマラリア汚染国(88カ国*)を旅行する場合に予防薬の服用を義務付けることになりました。この予防投薬処方を受けないと、スリランカで、黄熱病伝染リスク国を渡航する場合に必要な黄熱ワクチン接種(イエローカードの発行)ができなくなりました。外国人の汚染国からのスリランカ入国時に予防薬服用の証明等の提示の必要性は現時点では、定まっていません。
*Malaria Information and Profhylaxis, by Country (CDC)
https://www.cdc.gov/malaria/travelers/country_table/a.html別ウィンドウで開く

オ ジカ熱

 デング熱や日本脳炎、黄熱などと同じフラビウイルス科に属するジカウイルスによっておこされるジカ熱も、デング熱と同じネッタイシマカなどのヤブカが媒介します。蚊に刺されて2〜7日後に発症し、発熱、頭痛、関節痛、結膜充血、皮疹が3〜12日間程度持続しますが、デング熱より軽症で入院が必要なことは稀です。有効な治療はなく、対症療法のみです。妊婦に感染した場合、胎児に小頭症を起こす可能性があり、性交渉で感染者の体液から、また輸血での感染も報告されています。治癒2ヶ月後でも体液にウイルスが認められた例があり、米国CDCでは性感染症と位置づけています。
https://www.cdc.gov/zika/prevention/sexual-transmission-prevention.html別ウィンドウで開く
 現在スリランカで、アウトブレイクや報告例はありませんが、ジカウイルスを媒介するネッタイシマカが発生している地域であり、注意が必要です。

(2)主な感染症・風土病(その他)

ア レプトスピラ症

 細菌による急性熱性疾患であり、ネズミ等の保菌動物の尿に汚染された水との接触による皮膚から(経皮)と、汚染された水や食物の飲食による口から(経口)の2つの感染経路をとります。感冒様症状のみで軽快する軽症型から、黄疸、出血、腎障害を伴う重症型(ワイル病)まで多彩な症状を示します。5〜14日間の潜伏期を経て、発熱、悪寒、頭痛、筋痛、腹痛、結膜充血などが生じ、第4〜6病日に黄疸が出現したり、出血傾向も増強することがあります。こうした重症時に早期に適切な治療を行わないと、死亡率は20〜30%です。
 スリランカでは過去15年間毎年約5000例の発症があり、死亡率は1.8〜2.0%です。雨季や洪水が発生したときに数週間遅れて流行します。年2回の雨季(5~6月、10~11月)に水田の農作業で感染することが多く、特に2020年は過去10年で最も発生数が多く8365例でした。予防は、不用意に水田や水たまり、池などに入らないことです。

イ 狂犬病

 スリランカ国内での狂犬病患者は、2000年には100名を超えていましたが、2019年26名、2020年31名、2021年25名(コロンボを含む西部州内で9名)と、この10年間は30名前後が発症し死亡しています。
狂犬病を発症した動物に咬まれることで発症しますが、潜伏期が早くて1週間、通常1~2か月程度、中には3か月~数年以上の場合もあり、発症すればほぼ100%死亡します。しかし、それまでにワクチン接種すること(暴露後ワクチン接種)で発症を防ぐことができます。
スリランカでは大多数の患者は犬が原因で、農村部だけでなくコロンボ市内にも相当数の野良犬がみられるため注意が必要です。狂犬病ウイルス持った動物は、犬と猫(犬の半数程度)が圧倒的に多く、他には家畜(牛、ヤギ)、野生動物(リス、ウサギ、猿、マングース、ジャッカル、コウモリなど)などがあり、これらにも気軽に近づかないよう注意すべきです。2019年、入院が必要な犬咬傷だけで96,301名もありました。
万が一これらの動物に噛まれたら暴露後ワクチン(受傷直後より4~5回接種)の必要性について直ちに医師・医療機関に受診し相談してください。創の状態により狂犬病ワクチンと同時にヒト狂犬病免疫グロブリン(HRIG)投与が必要なことも多いですが、入手不能なことがあります。予防的(暴露前)ワクチン接種(現在WHO推奨は1週間おいて2回)を行っておくと、噛まれても、暴露後ワクチンは2回、HRIGも不要です。そのため必須とまでは言えませんが、野犬やコウモリなどに触れる機会が多いと考えられる場合は暴露前ワクチン接種をすすめます。
スリランカでも接種は可能で、インド製、中国製が中心ですが、後述する各私立病院、国立病院内アクシデントサービスで比較的安価に接種が行えます。ただし、2022年以降、経済破綻による医療崩壊のため、ワクチン在庫がない病院が増え、最悪の場合、近隣の先進国に飛び、接種しなければなりません。2022年9月コロンボ北西100kmの町に住む2歳の子供が狂犬病を発症し死亡しました。犬に咬まれたあと、周辺の基幹病院に在庫がなく離れた病院まで家族が運び、3回の暴露後ワクチン接種にもかかわらず、受傷後2週間ほどで狂犬病を発症し2日後に死亡しています。受傷部位、範囲などの詳細が判明せず、HRIGが必要だった可能性もありますが、さらに燃料不足、停電によるワクチン低温保存など管理不足やワクチンそのものの質などに問題があった可能性などが考えられます。

ウ 腸チフス、パラチフス

 腸チフスは、チフス菌(Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhi)による飲水や食物からの経口感染症であり、一般のサルモネラ感染症とは区別されます。潜伏期は7〜14日。腹痛、発熱、関節痛、頭痛、咽頭炎、鼻出血などから始まり、39度を超える高熱(1〜2週間続く稽留熱)が続き、徐脈、バラ疹、脾腫、下痢(水様便)、血便を生じます。重症化し、腸出血、腸穿孔を起こすこともあります。患者や保菌者の便や尿が感染源となります。腸チフスには予防接種があり、1回のワクチン接種で約3年間有効です。
 パラチフスは、パラチフスA菌(Salmonella enterica subsp. enterica serovar Paratyphi A)による感染症で、症状は腸チフスとよく似ています。
スリランカでは、腸チフスとパラチフスで年間1000~1500名の発症があり、数名の死亡者が出ています。

エ 赤痢、赤痢アメーバ

 赤痢は、赤痢菌(Shigella dysenteriaeなど4種類)の経口感染で起こる急性感染性大腸炎。他の患者や保菌者の便、汚染された手指、食品、水、ハエなどを媒介して感染し、性交、不潔な調理や、汚染された水の飲水やプールでの水泳といった行為で感染します。少量の菌量で感染し、家族内、長期療養施設、保育園、軍など共同生活で感染拡大します。
潜伏期は1~5日(大多数は3日以内)。主要病変は大腸、特にS状結腸の粘膜の出血性化膿性炎症、潰瘍を形成することもあり、発熱、下痢、腹痛を伴うテネスムス(しぶり腹-便意は強いがなかなか排便できないこと)、膿・粘血便の排泄などの赤痢特有の症状がでます。近年、軽症下痢あるいは無症状に経過する例が多く、一般に成人よりも小児の方が症状が重くなります。スリランカでは2019年に確認された患者954名中、6割が5歳以下の小児です。毎年数名の死亡者が出ています。現在赤痢に有効なワクチンは開発中ですがまだ利用できるものはありません。
アメーバ赤痢は赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という寄生虫による消化管感染症で赤痢アメ-バシスト(嚢子)に汚染された飲食物などから経口感染し、下痢、テネスムス、排便時の下腹部痛など赤痢アメ-バ性大腸炎を起こします。大腸炎症例のうち5%ほどが肝膿瘍など腸外にも発症し、まれに心嚢、肺、脳、皮膚などの赤痢アメ-バ症も報告されています。
スリランカでは、2019年1484例の入院例があり、12例のアメーバ性肝膿瘍が報告されています。

オ A型肝炎

 糞口感染で伝搬し、都市部でも地方でも、水や食物を介しての集団発生が報告されています。発症すると1ヶ月前後の入院を強いられることが多く、ときに劇症化し死に至ることもあり、1歳以上には効果の高いワクチンがありますので、一定期間滞在を予定している方で抗体のない方は、予防接種を強くお勧めします。スリランカでもHAVRIX(GSK)など1回接種で10年以上抗体が維持される輸入ワクチンが入手可能でしたが、近年これらの輸入ワクチンの入手が困難になっており、極力、入国前の接種をお考えください。

カ B型肝炎

 性行為・輸血等、血液・体液を介して感染します。一般に節度ある日常生活を送っていれば感染リスクは低いですが、スリランカのB型肝炎ウイルスキャリアは相当数に上ると推定されています。
 偶発的な感染機会が否定できず、感染すると稀ながら劇症化することなどを考慮し、抗体のない方は予防接種をお考え下さい。日本では2016年4月生まれ以降の小児は、定期接種にB型肝炎ワクチンが含まれていますので接種済みのはずです。

キ 結核

 スリランカでは年間9000〜10000人の新規患者が発生し、2019年の10万人あたりの発症率は64(日本11.5)、この半数は痰に結核菌が認められる排菌者で、約300人が結核で死亡しています。多剤耐性結核感染者も21名見つかっています。都市部に患者が多く、患者の2割はコロンボで発生しています。
 当国に赴任の機会に、ご自身ご家族のBCG歴の確認をしてみてください。当地の同僚、警備員、運転手、メイドや庭師などの健康状態にも気を配り、倦怠感や微熱、咳などの症状が長く続いている場合は病院受診を勧めてください。

ク リーシュマニア症

 サシチョウバエが媒介するトリパノソーマ(原虫)による寄生虫感染症で、皮膚に潰瘍や結節を生じさせたり(皮膚リーシュマニア症)、感染後数ヶ月から数年で肝臓や脾臓の腫大と貧血、発熱などを起こす(内臓リーシュマニア症)ものがあります。
スリランカでは、新規患者数4066(2019年)で、クルネガラ、ハンバントゥタ、マタラ、アヌラダプラなどの6つの都市で85%の発生があり、増加傾向です。

ケ フィラリア症

 蚊やハエが媒介する寄生虫感染症で、リンパ系に寄生するフィラリア症は象皮症を引き起こします。新規患者数871(2019年)です。

コ ハンセン病

 らい菌による感染症。新規患者数1657(2019年)で、横ばいです。
全島的に発生していますが、特に西部州に多く、感染力は非常に弱いものの、当地では小児新規ケースが10%を越えており、深刻です。

6 健康上心がける事

(1)熱中症
 高温多湿であり、気づかないうちに脱水状態になっていることがあります。スリランカ人も外出時には必ず水を持ち歩いています。とくに昼間外出時は、熱中症予防のため十分な水分補給を欠かさないで下さい。
(2)紫外線・日焼け
 赤道に近く紫外線が強いため、日焼けに十分注意をして下さい。日焼けは、火傷です。甘く見てはいけません。屋外に出かけるときには日焼け止めを塗り、日傘の利用や長袖・長ズボン、アームガードやサングラスを使用し、直射日光を避けましょう。ビーチでも、ラッシュガードの着用をお勧めします。
(3)防蚊対策
ア 蚊に刺されないように、
 ・外出時に、ディート(DEET)含有の虫よけ剤を使いましょう。
 ・外出時に、ディート(DEET)含有の虫よけ剤を使いましょう。ディート30%、イカリジン15%含有の製品をお勧めします。日本でも各社からこの濃度の様々なタイプの虫よけ剤が入手できます。
 ・白など色の薄い色の服装でできる限り肌を隠しましょう。
イ 蚊の発生場所をなくために、
 ・住居の周りを定期的にチェックしてください。
 ・蚊の幼虫(ボウフラ)が発生しそうな水たまりを除去・清掃します。除去できない観賞用植物等の水たまりについては、メダカなどを入れることも一案です。
(4)食中毒
 海岸沿いの都市部は、常に高温多湿のため、少し時間が経てば細菌などが繁殖します。旅行者や短期滞在者のサルモネラ菌などの食中毒の発生は毎日のように発生しています。食料品のコールドチェーンも必ずしも守られておらず、朝調理したカレーが常温で午後まで店先に置かれていることも。たとえ火を通したものでも、チリなどのスパイスが入っていても食中毒になる恐れがあります。食品の管理に気をつけて下さい。
 【シガテラ中毒】バラフエダイ、カマス、ギンガメアジ、イシガキダイ、ヒラマサなどサンゴ礁でとれた魚が生体濃縮した渦鞭毛藻類の毒(シガテラ毒)を持つことがあり、摂食後数時間で発症し、嘔気、下痢、腹痛など消化器症状から、頭痛、関節痛やそう痒感、またクーラーや冷水に触れると電気刺激のような痛みを感じる温度感覚異常(ドライアイス・センセーション)などの症状がでて、数か月続く場合もあります。加熱でも防ぐことができず、煮汁にも溶け出します。危険性の高い魚を認識し、その摂食をできる限り避けるようにしましょう。
(5)交通事故
 日本と同じ左側通行ですが、無理な追い越しや車線を跨ぐ走行が常態化し、自分勝手な運転をする車両がほとんどで、歩行者も信号を守らず無理な横断をするため、交通事故が多発しています。とくに路線バスや一部の車は先を急いで無理な追い越しをすることは有名で、3輪タクシー(tuktuk)や2輪は、指示器なしに蛇行や急な車線変更、左側からUターン等を行い、スペースを見つけては狭くても強引に割り込んでくるため、とても危険です。狭い道路や未舗装路も多く、GPSを信じるととんでもない悪路を走ることもあります。
道路状況が悪く、渋滞も多いため、事故件数に比して高エネルギー外傷などの重症は多くないですが、交通事故死は13.1人(10万人口あたり、日本:3.0)で、死者の4割がバイク(2輪)事故、3割が歩行者となっています。国立病院における外科ICU入院の6~8割は交通事故による多発外傷で、その半数は二輪に絡む事故です。
2輪だけでなく4輪も含めご自身で運転をすることは極力避けてください。
(6)野犬
 農村部だけでなく市街地の路上にも野犬が多く、2020年には1062匹の狂犬病ウイルスをもった動物(犬640、猫317、リス49、ジャッカル29、ウサギ12、など)が見つかっています。これらは氷山の一角です。年間約30名の狂犬病による死者が出ています。猫などでも、引っ掻かれたり咬まれたりして、破傷風、パスツレラ症、猫ひっかき病、カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症などになることがあります。可愛いと思っても近寄ったりなでたりしないようにしましょう。
(7)有毒生物
 スリランカにはインドコブラ、ラッセルクサリヘビ、アマガサヘビ、カーペットバイパーなど猛毒を持つ蛇が22種類知られています。都市部でも毒蛇が身近に存在し、2019年は34239人が蛇咬傷で病院に運ばれており、50人が死亡しています。物陰やむやみに茂みに入るのは細心の注意が必要です。もし、咬まれた場合、すぐに水道水などの流水で傷口をよく洗い、可能なら創部を心臓の位置より低くして、あまり動かずに、必ず付添とともにできるだけ早く最寄りの病院に受診してください。その蛇を殺して病院などで特定できると抗血清の必要性などが早くわかります。
また、アリが屋内(室内)に侵入して 我々の身体を噛むことも稀ではありません。家の中でアリを発見したら速やかに駆除するよう心がけてください。
(8)低温
 紅茶の生産で知られる中部州ヌワラ・エリヤに代表されるスリランカ中央高地は、標高1500〜1800mにあり、降雪はないものの、12月〜3月は最低気温が10度を切ることがあります。長袖、長ズボンだけでなく、セーターが必要になることがあり、とくに降雨時や夜間は身体を冷やさないよう気をつけてください。
(9)ダイビング・サーフィン
 沿岸部ではダイビング等ができるところがあり、ときに潮の流れが速く、離岸流が強いところがあるので、ガイドやインストラクターのブリーフをよく聞いて、無理のないよう心がけ、漂流事故等に注意してください。
 また、スリランカにはサーフィンに適する海岸が多く、サーフィンに伴う外傷・溺水・海洋生物咬傷刺傷などの事故も発生しています。これらの地域は設備の整った医療機関から遠く離れた場所が多く、迅速な医療的対応がおくれることがあります。
 【減圧障害】減圧障害(減圧症(潜水病)、動脈ガス塞栓症)には注意が必要です。ダイビング中に急浮上や減圧停止を行うような潜水を行った後、浮上の数時間以内に手足の関節部の痛み、筋肉痛(1型減圧症ベンズ型)、皮膚のしびれ、かゆみ、痛み(1型減圧症皮膚型)、息が詰まる、体が動かなくなる(2型減圧症)等の症状を引き起こすことがあります。重症では、痙攣や手指の麻痺、下半身麻痺、めまい、嘔気などを起こし、重い後遺症を残したり、死亡することもあります。治療には、再圧チャンバーを使用した高圧酸素療法が唯一の治療となり、全身管理が必要となります。トリンコマリー海軍基地にのみ2種治療施設施設があり再圧チャンバーによる高圧酸素治療が行えますが、毎年ダイビングによる死亡事故が起きており、2016年は2名が減圧障害で命を落としました。ダイビング等に際しては安全に十分に注意してください。

7 予防接種

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種

ア 推奨される予防接種

 成人:A型肝炎、B型肝炎、破傷風、腸チフス、日本脳炎、狂犬病(可能なら以下も考慮して下さい。百日咳、ジフテリア、麻しん、風しん、おたふく風邪、水痘)

 小児:日本の定期予防接種以外は成人に準じます。以下のワクチンは日本で接種を済ませてくることをお勧めします。BCG、DTP(ジフテリア・百日咳・破傷風)+ポリオ(4種混合)、Hib、肺炎球菌、日本脳炎、B型肝炎。
この「ワクチンで予防できる感染症」について、スリランカに来るにあたって十分な抗体を持っていることを強くお勧めします。ご自身、ご家族の接種歴、感染歴からお調べください。

イ 黄熱病ワクチンの必要性

 黄熱病伝染リスク国から入国する場合(空港に12時間以上トランジットした場合も含む)、渡航者(9か月以上の乳幼児、成人すべて)に黄熱予防接種証明書が要求されます。 https://www.forth.go.jp/useful/yellowfever.html別ウィンドウで開く(黄熱病伝染リスク国:アフリカと南米の42か国)

ウ ポリオワクチンの必要性

 同様に、野生ポリオ汚染国(アフガニスタン、パキスタン)、ワクチン由来ポリオ流行国(マレーシア、フィリピン、ミャンマー、インドネシアなど)からの入国者もポリオ予防接種証明が入国時に求められることがあるので、これらの国から入国する場合、母子手帳などの接種歴を証明できる書類を携帯することをお勧めします。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

現地の小児定期予防接種一覧
  初回 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目
BCG 出生時          
MMR 9か月 3歳        
DPT-HepB-Hib 2か月 4か月 6か月  
ポリオOPV(生、経口) 2か月 4か月 6か月 18か月 5歳  
ポリオIPV(不活性、注射) 2か月 4か月        
日本脳炎(生ワクチン) 1歳          
DPT       18か月    
DT         5歳  
aTd           11歳
HPV 10歳 初回より6か月後  

MMR:麻しん、おたふく風邪、風しんの3種混合ワクチン
DPT-HepB-Hib:(5種混合)ジフテリア、百日咳、破傷風、B型肝炎、ヒブ
DPT:ジフテリア、百日咳、破傷風、DT:ジフテリア、破傷風、aTd:成人用DT
HPV:ヒトパピローマウイルス(子宮頸がんワクチン)
女性のみ15歳以降44歳までに風疹ワクチン追加接種としてMMRを接種。
上記ワクチンは外国人もコロンボ市内の私立病院で接種可能です。在庫があれば6価(DPT-HepB-Hib+ポリオ)ワクチンの予防接種も私立病院で可能です。
経済破綻状況の現在、必要なワクチンの入手が難しい場合があります。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 特に必要ありません。

8 乳児検診

日本のような乳児検診は行われていませんが、希望すれば、一部の私立病院で類似の内容の検診受けることができます。(有料)

9 病気になった場合(医療機関等)

(1)医療の受け方

 緊急を要する受診の場合、予約は不要なので各病院の救急外来(ER)へ直接行きます(24時間対応)。緊急でなく、予約なしで医師を指定せずその日に受診したい場合には予約不要一般外来(OPD)を受診します。専門医を受診するには予約が必要です(後述のチャネリング)。交通事故で保険を使用する場合にはNational Hospital内のAccident Serviceを受診し書類を揃える必要があります。

(2)緊急医療体制

【国立病院内アクシデントサービス】
Accident Service, National Hospital of Sri Lanka

 アクシデントサービスは、国立の外傷専門病院。24時間救急対応。交通事故、事件、災害、蛇や動物咬傷等、緊急の場合、私立病院より対応が早く、初期治療に十分な設備や医薬品、血清等があり、国立病院内の狂犬病センターで治療を受けることができます。特に交通事故、災害や爆弾事件などの場合、病院を指定しない限り、ここに運ばれます。外傷、熱傷等の緊急処置に対してはこの施設が最も質が高いです。ただし、施設、病床の清潔度は高くありません。警察もアクシデントサービス内にあります。

◎ コロンボ国立病院内救急医療
Accident Service, Colombo National Hospital
住所:Regent Street, Colombo 10 電話:011-691-111

◯ その他の大きな国立病院:
南コロンボ国立病院 South Colombo National Hospital(デヒワラ)、
北コロンボ国立病院 North Colombo National Hospital(ラーガマ)、
キャンディ国立病院 Kandy Teaching Hospital など

(3)専門医予約 チャネリング

 都市部の私立病院における専門医の診察は予約制です。インターネットのチャネリングシステムで予約と前払いをするか、電話又は病院窓口で予約をして会計窓口で前払いをすることで初めて予約が終了となります。医師を指定せずに当日受診する場合にはOPD(out patient department)を受診します。また、受診や検査は基本的に全て前払い制ですので、カード又は現金と身分証明証を持参してください。

 チャネリングによる予約サイト  https://www.echannelling.com/Echanneling/index別ウィンドウで開く

◎コロンボ

(1)Asiri Central Hospital
所在地:114,Norris Canal Road, Colombo10
電話:(011)466-5500
FAX:(011)466-5544
概要:市内病院地区にあり、多くの外国人患者の診療に実績があります。Ms. Lathikaが日本人の受診のサポートをしてくれます。Stroke Unit(脳卒中センター)があり、脳血管疾患の急性期治療に優れています。外科系では、同系列の(3)の病院と連携して治療が行われます。
(2)Lanka Hospital
所在地:578,Alvitigala Mawatha, Colombo5
電話:(011)543-0000、(011)553-0000
FAX:(011)451-1199
概要:元はインド資本のアポロ病院グループ傘下。外国人が多く利用する総合病院です。心臓外科手術なども行っています。邦人の受診・治療では、総合力では、この病院を最もお勧めします。ただ、少しだけ中心部から外れます。
(3)Asiri Surgical Hospital
所在地:21, Kirimandala Mawatha Narahenpita, Colombo5
電話:(011)452-4400
FAX:(011)452-7311
概要:名前の通り外科系が中心で、検査、健康診断部門で実績のある総合病院です。SARS-CoV-2のPCR検査対応もスムーズです。小児外科系の急病では第一選択です。
(4)Nawaloka Hospital
所在地:23 Deshamanya H.K. Dharmadasa Mawatha, Colombo2
電話:(011) 557-7111、(011) 577-7777
FAX:(011) 243-0393
概要:日本人の診療にも積極的な病院で、コーディネーターのMr. Ariyawansaが日本人の受診をサポートしてくれます。また、2015年には院内に日本人が運営する老人ホームが併設されました。2022年VIP用外来診療部門(Elite Centre)が新棟10階に開設されました。
(5)Durdans Hospital
所在地:3, Alfred Place Colombo3
電話:(011)541-0000
FAX:(011)451-8224
概要:心臓外科で実績のある総合病院です。歯科も含め多くの専門科があり、現在増改築中ですが、街中にあるきれいな病院です。
(6)The National Hospital of Sri Lanka
所在地:Accident Ward Rd, Colombo 10
電話:(011)269-1111
FAX:(011)269-8443
概要:スリランカ最大の公立病院です。上述。

キャンディ

(1)Teaching Hospital Kandy (General Hospital Kandy)
所在地:William Gopallawa Mawatha, Kandy20000
電話:(0812)222-261
FAX:(0812)233-343
概要:公立基幹病院です。ペラデニア大学医学部の教育病院でもあり、専門治療を目的として近隣の公立病院から患者が搬送されてきます。心臓移植も始まりました。
(2)Asiri Hospital Kandy
所在地:907 Peradeniya Road, Kandy 20000
電話:(0814) 52 8800
概要:2016年12月開業。キャンディだけでなく中央高地地域全体で最も整った私立病院です。137床ですが、心臓外科、脳外科、心臓センター、腎移植、透析センター、各種ICUを持ち、この地域での日本や欧米の外国人患者の初療病院として第一選択です。ただし、医師の殆どは上記(1)やTeaching Hospital Peradeniyaからの兼務。
(3)Sirimavo Bandaranayake Specialized Children Hospital Peradeniya
所在地:Peradeniya 20400
電話:(0812) 389 110、hot line:(070) 346 5200
概要:ペラデニア大学医学部附属病院(Teaching Hospital Peradeniya)に併設された332床の小児専門病院。コロンボのLady Ridgeway Hosptalに次ぐ規模。

トリンコマリー

(1)Trincomalee General Hospital
所在地:Hospital Road, Trincomalee
電話:(0262)222-261
概要:公立病院

10 その他の詳細情報入手先

在スリランカ日本国大使館ホームページ:https://www.lk.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

医療情報は左側サイドバー「医療情報」クリック→中段右欄「医療情報」に

スリランカ保健省ホームページ:http://www.health.gov.lk別ウィンドウで開く

スリランカ保健省疫学局ホームページ:http://www.epid.gov.lk/別ウィンドウで開く

11 一口メモ

 医療機関の受診は英語で問題ありません。

12 新型コロナウイルス関連情報

 スリランカのCovid-19感染状況は、2021年5~6月および8~9月の感染爆発があり厳格な外出禁止令等で一旦落ちつき、その後の隔離措置の緩和などから2022年1~2月にも感染拡大があったものの、2022年9月末時点では、非常に落ち着き、1日の発生数が10程度です。
 致死率2.5%(日本:0.35%)、人口あたりの感染率3.0%(日本:6.9%、世界6.8%)、人口あたりの死者数75.3(日本:24.1、世界81.0)。感染後の死亡率は世界平均で日本の3倍とその医療水準を反映していると言えますが、感染率自体は日本や世界平均より低く、これは実際に受診や検査をしていない軽症が多く存在しているとも考えられます。
 厳しかった入国時の水際対策も緩和され、2022年4月からは条件を満たせば到着時検査も隔離も不要となりました。外出の際には、マスクの着用が義務付けられています。
 2022年1月28日以降、感染が疑われる場合、日本人が受診する上記の私立病院に受診可能で、受診前に行われるRATやPCR検査結果が陽性であっても隔離施設に移送されることはなく、入院治療が必要であれば入院でき、そうでない場合も自宅あるいはホテルや宿舎で1週間隔離が求められるのみとなりました。ただ今後も特にポーヤなど冠婚葬祭時に人出がもどり、人々の感染予防に対する緩みがでて感染拡大が再燃する可能性が十分あります。
 以上から、スリランカに在留する方は、日本国内と同様、密を避け、手洗い、マスク着用等の予防策を徹底し、極力感染しないよう心がけましょう。

13 経済危機に起因する医療関連情報

 経済危機による外貨不足のため、殆どを輸入に頼る医薬品や医療資材について、特に公立病院で、糖尿病や高血圧など慢性疾患の治療薬の入手が困難になり、手術室やICUなどで使用する基本的な麻酔薬や昇圧剤、鎮痛剤などの医薬品や治療資材まで不足し、緊急手術以外の延期や制限が行われています。
   例えば、狂犬病ワクチン在庫不足が深刻で、2022年5月末現在私立病院を含むコロンボの殆どの病院で在庫がなく、犬などに咬まれ動物咬傷が発生すると暴露後ワクチンが接種できません。(2.(2)狂犬病参照)
   邦人が主に利用する私立病院では必要な医薬品や資材は独自調達しているものの、不足状況は深刻で、心臓外科などに使用するディスポ手術機材を再滅菌し何回も使用することが常態化しています。急激なインフレ進行から手術料などの患者負担も上昇しています。先進国からの緊急援助によるessential drugなどは、公立病院に流通してきているものの、心臓外科やカテーテル治療などの特殊な資材は手に入らず、降圧剤、糖尿病薬など慢性疾患治療薬は相変わらず入手が困難です。専門医の1500名を超える先進国への移住の影響も計り知れないものがあります。
  公立病院では、スリランカ国民であれば患者負担がありませんが、順番待ちのため、医薬品などの絶対数が足りず、治療開始が大幅に遅れることが問題となっています。燃料不足から毎日計画停電が行われており、燃料不足などもあり、医療従事者が病院に通えず、自家発電が脆弱な地方では停電中治療ができない状況も発生しています。
   今後数年は、COVID-19蔓延状況下以上に、医療に関する質が低下していると考えた方がいいでしょう。
以上から、医療リスクのある方のスリランカ滞在には危険が伴うことを十分理解してください。緊急を要しない手術や侵襲的な検査・処置、出産などは、日本または他の先進国で行うことを強く推奨します。

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