世界の医療事情

スリランカ

令和3年8月

1 国名・都市名

 スリランカ民主社会主義共和国(コロンボ)(国際電話国番号94)

2 公館の住所・電話番号

在スリランカ日本国大使館(毎週土日休館)

住所:Embassy of Japan in Sri Lanka
3rd & 4th Floor, M2M Veranda Office, No.34, W. A. D. Ramanayake Mawatha, Colombo 2, Sri Lanka
電話:011-269-3831~3、Fax:011-269-8629
ウェブサイト:http://www.lk.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(注)土日以外の休館日は暦年毎にウェブサイトにて案内していますので、ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

(1)全般

 スリランカは北緯5度55分から9度51分、東経79度42分から81度52分のインド洋上に浮かぶセイロン島にあり、面積は九州の1.7倍、北海道の約8割に相当します。島北部は平坦で、中央〜南部には2,000メートル級の山が連なり、1,000メートルを越える高原があります。
年間を通じて大きな寒暖の差はなく、ほぼ全土が熱帯性気候に属します。
 事実上の首都コロンボは北緯6度、西部州に属しスリランカ南西岸の湿潤地帯に位置します。平均気温28度、湿度87%、日中最高気温32度前後、最低気温25度前後で日本の夏が一年中続いていると考えていいでしょう。4〜6月、10〜11月の2回の雨期があり、年間降水量は2,000ミリを越えます。よって消化器系の感染症にはつねに注意する必要があり、飲料水は水道水を煮沸するか市販のボトルドウォーターをお使い下さい。

(2)現地の医療水準

 コロンボやキャンディなど都市部の私立病院には専門医が集められ、インターベンション治療や心臓外科、腎臓移植など比較的大きな外科手術も行われています。しかし、緊急・不可避的な急性虫垂炎や骨折・外傷等の緊急手術ならやむを得ないものの、それ以外の待機手術は、後述の理由で日本で行うことをお勧めします。
 一部の私立医療機関で医師を選べば、日本に近い水準の医療を受けられます。ただし、評判の高い専門医の予約は取りづらく、地位・技術・人気によりその診察料金が異なり、ときに高額になる可能性もあり、さらに私立医療機関では、入院時に、傷病名と重症度に応じた保証金(デポジット)を求められますので、十分な額の支払い保証のある旅行保険への加入するようにしてください。地方(大都市以外)では私立医療機関であってもその医療レベルは概して高くありません。

【当地の医師について】

 卒後研修を終えた後、必ず英国やオーストラリアなど外国で1年研修をするため、スリランカ訛りがある場合が多いものの英語が通じ、日本の専門医と同様な知識・技術を持っている医師も少なくありません。多くの専門医は、公立病院に籍をおいて、私立病院を含むいくつかの病院を掛け持っています。しかし、医師数は日本の約5%、人口あたりでも日本の6分の1ほどで、非常に忙しいため、私立病院の人気医師の外来は22時頃まで待たされることもあります。そのため、当地の医師はつねに多忙・過労な状態です。また生命倫理に対する考え方や、インフォームド・コンセントのとり方が日本と異なり、加えて言葉や宗教の問題もあり診療・治療方針等に関してコミュニケーションが取りづらいことがあり、また旧英連邦系各国と同様の基準を採ることがあり、検査値の単位や病気の分類・治療法など日本と異なることもあります。

【コメディカルについて】

 また、日本並に高い知識・技術を持つ看護師や検査技師などのコメディカルの割合は、多くなく、英語の訛り、教育レベル、医学用語等の問題から、特に医師以外の医療従事者と英語での相互理解が困難な場合があります。特に、看護師等コメディカルスタッフが前近代的な対応をすることは日常茶飯事です。

【歯科】

 歯科治療も同様で、緊急時の応急処置程度に留めておき、本格的な治療は日本で行い、赴任・長期滞在前に歯の治療・検診なども済ませておきましょう。

【できる限り日本で】

 以上から、緊急を要しない手術や侵襲的な検査・処置は、日本または他の先進国で行なうことを強くお勧めします。

【出産・乳児】

 帝王切開術はもとよりリスク妊婦管理や硬膜外無痛分娩等の十分な技術を持つ産婦人科病院は少数ですが存在します。個々に応じた様々なバースプランや不妊治療にも対応できることがあり、そのため日本より安価ということで当地で不妊治療・出産を計画する方もいるようです。一方で、前述の言語や説明の問題だけではなく、早期に自然分娩を諦める点(全出産中、約38%が帝王切開)や助産婦のケア、出産の考え方などが、日本の産科医療とは異なる点があります。また妊産婦死亡率が日本の約8倍、乳児死亡率も日本の約5倍と、日本に比べ出産・乳児ケア自体のリスクもあります。さらに、出産に関連する傷病に対する医療費は、一般に加入する旅行保険等ではカバーされない事が多く、日本等への緊急搬送で医療搬送専用チャーター機を使った場合、高額な自己負担(2,000万円を越える場合も)が発生します。日本人の赴任・長期滞在者に対しては、他の疾患と同じ理由で可能な限り日本での出産を強くお勧めします。妊娠経過のフォローアップ、切迫流産等のやむを得ない緊急時の帝王切開、未熟児に対する対応などは可能です。
 また、上記に加え、デング熱、日本脳炎等熱帯感染症や結核等も多い国である点、衛生面や予防接種等の観点からも、特に6か月未満の乳児をお連れになることもお勧めしません。

5 かかり易い病気・怪我

(1)主な感染症・風土病(蚊が媒介するもの)

 スリランカでは、蚊が媒介する熱帯感染症が多く、これらの予防には防蚊対策がとても重要になります。蚊に刺されないよう注意をして下さい。Covid-19流行による戒厳令で外出が減ったため、2020年2月以降の蚊媒介感染症発生数は過去最低レベルですが、最近は雨期が長く続くなど天候変動の影響もあり、常に蚊よけスプレー等を使用するなどして、防蚊対策には気を配ってください。

ア デング熱

 デング熱は、日中に活動するネッタイシマカなどのヤブカにより媒介されるデングウイルスによる熱帯感染症で、スリランカでは毎年平均6万人が感染し、約100人が死亡し、在留邦人や邦人旅行者の間でも毎年発生があります。雨期に蚊の発生に応じて、患者数も増え、通常6〜8月、11〜1月の年2回のピークがあります。数年ごとに大流行し2017年には患者18万6千、死者410名となり、2019年は6月からピークが下がらず11月〜2020年1月にかけ再流行の兆しを見せましたが、2020年2月以降は過去最低の患者数です。
 一過性熱性疾患の症状から始まり、頭痛、関節痛や、時に目の奥の痛みなどを起こし、発症3~4日後に発疹が出現、通常は1週間~10日ほどで軽快します。重症化するとデング出血熱となり死亡する場合もあるので、血小板数の減少や尿などを頻回に診る必要があります。特に昨今のCovid-19蔓延により、これら熱性疾患との鑑別が難しく、PCR検査結果を見ないと治療が始まらないなど、治療が遅れるケースがあり、問題となっています。
 以下参照(「デング熱に注意」2020年8月12日付)
https://www.lk.emb-japan.go.jp/files/100084748.pdf別ウィンドウで開く

イ チクングニヤ熱

 デング熱と同じ種類の蚊によって媒介されるチクングニヤ熱は、チクングニアウイルスによる熱帯感染症で、毎年スリランカ全土で発生しています。スリランカでは、2006〜2008年にアウトブレイクがおこっており、この時日本にも数例のスリランカからの輸入症例がありました。2018年でも2,000人ほどの患者が発生し、高齢者などが中心でした。
 潜伏期間は通常3〜7日で、不顕性感染も多いものの、チクングニヤ熱を発症すると39度を越える間欠性の悪寒を伴う高熱と全身の関節痛が見られ、多くに発疹が見られます。その他、全身倦怠、頭痛、筋肉痛、リンパ節腫脹などを呈し、ときに血小板減少などによる出血傾向や悪心・嘔吐などをきたし、脳炎や劇症肝炎をおこすこともあります。ほとんどの症状は3〜10日で消失しますが関節炎は数週間から数か月持続することがあります。発症3〜6日の患者のウイルス量は多く、この患者を吸血した蚊を媒介して家族内などで流行する可能性があります。治療は対症治療しかなく、やはり防蚊対策が重要になります。

ウ 日本脳炎

 豚などの動物の体内で増殖した日本脳炎ウイルスが、その豚を刺したコガタアカイエカなどがヒトを刺すことで感染します。症状が現れない不顕性感染が殆どですが、発症する場合6〜16日間の潜伏期の後、高熱、頭痛、嘔吐などで始まり、光過敏、意識障害、痙攣などの脳炎症状を生じることがあります。発症した場合の致死率は20〜40%、生存者の45〜70%に精神症状などの後遺症が残ってしまうといわれています。当地では毎年約200名の発症があり、日本でも未だ年間5〜10人程度の患者が西日本を中心に発生しています。
 日本脳炎ワクチンは、日本では3歳時から接種を開始することが多いですが、当地は日本脳炎流行地域であるため、当地に長期滞在するような場合、予め日本において生後6か月から日本脳炎ワクチン(不活化ワクチン)の繰り上げ接種が可能です。(3歳未満は1回0.25ミリリットル、6日以上の間隔をおいて2回(初回接種)、6か月〜1年後に追加1回、9歳時に追加1回)2回目接種完了後数週間で当面の抗体ができますので、少なくとも初回接種後数週間おいて渡航し、追加接種は帰国するなどして必ず受けるようにしましょう。スリランカ国民は1歳時に接種しています(生ワクチン)。
 2009年時点で日本では30〜35歳の成人の4割しか抗体を持っていないとされてますので、当地に長期滞在する成人で抗体価が不十分と考えられる場合にも、ブースターとしてワクチン接種をお勧めします。2005年〜2011年頃のワクチン差し控え時に接種時期(3、4、9歳)を迎えた方や2016年以前に北海道で接種時期を迎えた方もご自身の接種歴を確認しワクチン接種をお考え下さい。

エ マラリア

 2016年9月にWHOがスリランカにおけるマラリア根絶を宣言した。マラリア予防薬を服用する必要はありません。しかし、年間100例程度のインド等からの輸入例が発生しており、マラリアを媒介するハマダラカは完全に駆逐されているとは言えません。輸入例と言っても、デング熱やチクングニア熱と同様、発症患者を吸血した蚊を媒介して家族内等で伝染することもありますので、夜間も同様に蚊対策を怠らないようにして下さい。

オ ジカ熱

 デング熱や日本脳炎、黄熱などと同じフラビウイルス科に属するジカウイルスによっておこされるジカ熱も、デング熱と同じネッタイシマカなどのヤブカが媒介します。蚊に刺されて2〜7日後に発症し、発熱、頭痛、関節痛、結膜充血、皮疹が3〜12日間程度持続しますが、デング熱より軽症で入院が必要なことは稀です。有効な治療はなく、対症療法のみです。妊婦に感染した場合、胎児に小頭症を起こす可能性があり、性交渉で感染者の体液から、また輸血での感染も報告されています。治癒2か月後でも体液にウイルスが認められた例があり、米国CDCでは性感染症と位置づけています。
https://www.cdc.gov/zika/prevention/sexual-transmission-prevention.html別ウィンドウで開く
 現在スリランカで、アウトブレイクや報告例はありませんが、ジカウイルスを媒介するネッタイシマカが発生している地域であり、注意が必要です。

(2)主な感染症・風土病(その他)

ア レプトスピラ症

 細菌による急性熱性疾患であり、ネズミ等の保菌動物の尿に汚染された水との接触による皮膚から(経皮)と、汚染された水や食物の飲食による口から(経口)の2つの感染経路をとります。感冒様症状のみで軽快する軽症型から、黄疸、出血、腎障害を伴う重症型(ワイル病)まで多彩な症状を示します。5〜14日間の潜伏期を経て、発熱、悪寒、頭痛、筋痛、腹痛、結膜充血などが生じ、第4〜6病日に黄疸が出現したり、出血傾向も増強することがあります。こうした重症時に早期に適切な治療を行わないと、死亡率は20〜30%です。
 スリランカでは毎年約5,000例の発症があり、雨季や洪水が発生したときなどに数週間遅れて流行します。特に2020年は過去10年で最も発生数が多い年でした。予防としては、不用意に水たまりや池などに入らないことにつきます。

イ 狂犬病

 スリランカ国内での狂犬病患者は毎年約30名。発症まで潜伏期が早くて1週間、通常1か月程度、中には3か月以上の場合もあり、発症すればほぼ100%死亡します。しかし、それまでにワクチン接種すること(暴露後ワクチン接種)で発症を防ぐことができます。コロンボ市内にも相当数の野良犬がみられ、犬以外にも猫や家畜(牛、ヤギ)、野生動物(リス、ウサギ、猿、マングース、コウモリなど)にも注意が必要です。特に、犬、猫、リスからの発症が多いようです。
 万が一これらの動物に噛まれたら暴露後ワクチン(受傷直後より4回接種)の必要性について直ちに医師・医療機関に受診し相談してください。創の状態により狂犬病ワクチンと同時にヒト狂犬病免疫グロブリン(HRIG)投与が必要なことも多いですが、入手不能なことがあります。予防的(暴露前)ワクチン接種(現在WHO推奨は1週間おいて2回)を行っておくと、噛まれても、暴露後ワクチンは2回、HRIGも不要です。そのため必須とまでは言えませんが、野犬やコウモリなどに触れる機会が多いと考えられる場合は暴露前ワクチン接種をすすめます。スリランカでも接種は可能ですが、インド製ワクチンしか手に入らない時があります。

ウ 腸チフス

 チフス菌による飲水や食物からの経口感染症であり、潜伏期は7〜14日。腹痛、発熱、関節痛、頭痛、咽頭炎、鼻出血などから始まり、39度を超える高熱(1〜2週間続く稽留熱)が続き、徐脈、バラ疹、脾腫、下痢(水様便)、血便を生じます。重症化し、腸出血、腸穿孔を起こすこともあります。患者や保菌者の便や尿が感染源となります。1回のワクチン接種で約3年間有効です。

エ A型肝炎

 都市部でも地方でも、水や食物を介しての集団発生が報告されています。当国では、寿司・刺身などを食する機会があるので注意を要する病気です。抗体のない方は予防接種をお考え下さい。スリランカでもHAVRIX(GSK)など1回接種で10年以上抗体が維持される輸入ワクチンが入手可能ですので、当地での接種をお考えになってもいいでしょう。

オ B型肝炎

 性行為・輸血等、血液・体液を介して感染します。一般に節度ある日常生活を送っていれば感染リスクは低いですが、当国のB型肝炎ウイルスキャリアは相当数に上ると推定されています。
 偶発的な感染機会が否定できず、感染すると稀ながら劇症化することなどを考慮し、抗体のない方は予防接種をお考え下さい。日本では2016年4月生まれ以降の小児は、定期接種にB型肝炎ワクチンが含まれていますので接種済みのはずです。

カ 結核

 スリランカでは年間9,000〜10,000人の新規患者が発生し、この半数は痰に結核菌が認められる排菌者、約300人が結核で死亡しています。都市部に患者が多く、患者の2割はコロンボで発生しています。
 当国に赴任の機会に、ご自身ご家族のBCG歴の確認をしてみてください。当地の同僚、警備員、運転手、メイドや庭師などの健康状態にも気を配り、倦怠感や微熱、咳などの症状が長く続いている場合は病院受診を勧めてください。

6 健康上心がける事

(1)熱中症

 高温多湿であり、気づかないうちに脱水状態になっていることがあります。スリランカ人も水を持ち歩いています。とくに昼間外出時は、熱中症予防のため十分な水分補給を欠かさないで下さい。

(2)紫外線・日焼け

 赤道に近く紫外線が強いため、日焼けに十分注意をして下さい。日焼けは、火傷です。甘く見てはいけません。屋外に出かけるときには日焼け止めを塗り、日傘の利用や長袖・長ズボンやサングラスを着用し、直射日光を避けましょう。ビーチでも、ラッシュガードの着用をお勧めします。

(3)防蚊対策
  • ア 蚊に刺されないように、
    • 外出時に、DEET含有の虫よけ剤を使いましょう。
    • 白など色の薄い色の服装でできる限り肌を隠しましょう。
  • イ 蚊の発生場所をなくために、
    • 住居の周りを定期的にチェックしてください。
    • 蚊の幼虫(ボウフラ)が発生しそうな水たまりを除去・清掃します。除去できない観賞用植物等の水たまりについては、メダカなどを入れることも一案です。
(4)食中毒

 海岸沿いの都市部は、常に高温多湿のため、少し時間が経てば細菌などが繁殖します。旅行者や短期滞在者のサルモネラ菌などの食中毒の発生は毎日のように発生しています。食料品のコールドチェーンも必ずしも守られておらず、たとえ火を通したものでも、食中毒になる恐れがあります。食品の管理に気をつけて下さい。

 【シガテラ中毒】バラフエダイ、カマス、ギンガメアジ、イシガキダイ、ヒラマサなどサンゴ礁でとれた魚が生体濃縮した渦鞭毛藻類の毒(シガテラ毒)を持つことがあり、摂食後数時間で発症し、嘔気、下痢、腹痛など消化器症状から、頭痛、関節痛やそう痒感、またクーラーや冷水に触れると電気刺激のような痛みを感じる温度感覚異常(ドライアイス・センセーション)などの症状がでて、数か月続く場合もあります。加熱でも防ぐことができず、煮汁にも溶け出します。危険性の高い魚を認識し、その摂食をできる限り避けるようにしましょう。

(5)交通事故

 無理な追い越しや車線を跨ぐ走行が常態化し、運転マナーが悪い車両が多く、交通事故が非常に多いので気をつけて下さい。とくに路線バスや一部の車は先を急いで無理な追い越しをすることは有名で、3輪タクシー(tuktuk)や2輪は自転車感覚でふらふら車線を変更したり、狭いスペースに割り込んでくることも多く、注意が必要です。狭い道路や未舗装路も多く、GPSを信じて未整備な山道を走らされることもあります。

(6)野犬

 農村部だけでなく市街地の路上にも野犬が多く、2019年には1392匹の狂犬病ウイルスをもった動物(犬784、猫487、リス68、ウサギ11、牛7など)が見つかっています。これらは氷山の一角です。年間約30名の狂犬病による死者が出ています。可愛いと思っても近寄ったりなでたりしないようにしましょう。

(7)有毒生物

 都市部でもコブラなどの毒蛇が身近に存在します。2018年は31847人が蛇咬傷で病院に運ばれており、61人が死亡しています。物陰やむやみに茂みに入るのは細心の注意が必要です。また、アリが屋内(室内)に侵入して我々の身体を噛むことも稀ではありません。家の中でアリを発見したら速やかに駆除するよう心がけてください。

(8)低温

 紅茶の生産で知られる中部州ヌワラ・エリヤに代表されるスリランカ中央高地は、標高1500〜1800メートルにあり、降雪はないものの、12月〜3月は最低気温が10度を切ることがあります。長袖、長ズボンだけでなく、セーターが必要になることがあり、とくに降雨時や夜間は身体を冷やさないよう気をつけてください。

(9)ダイビング・サーフィン

 沿岸部ではダイビング等ができるところがあり、ときに潮の流れが速く、離岸流が強いところがあるので、ガイドやインストラクターのブリーフをよく聞いて、無理のないよう心がけ、漂流事故等に注意してください。
 また、スリランカにはサーフィンに適する海岸が多く、サーフィンに伴う外傷・溺水・海洋生物咬傷刺傷などの事故も発生しています。これらの地域は設備の整った医療機関から遠く離れた場所が多く、迅速な医療的対応がおくれることがあります。
 【減圧障害】減圧障害(減圧症(潜水病)、動脈ガス塞栓症)には注意が必要です。ダイビング中に急浮上や減圧停止を行うような潜水を行った後、浮上の数時間以内に手足の関節部の痛み、筋肉痛(1型減圧症ベンズ型)、皮膚のしびれ、かゆみ、痛み(1型減圧症皮膚型)、息が詰まる、体が動かなくなる(2型減圧症)等の症状を引き起こすことがあります。重症では、痙攣や手指の麻痺、下半身麻痺、めまい、吐き気などを起こし、重い後遺症を残したり、死亡することもあります。治療には、再圧チャンバーを使用した高圧酸素療法が唯一の治療となり、全身管理が必要となります。トリンコマリーの海軍基地に2種治療施設施設があり再圧チャンバーによる高圧酸素治療が行えますが、毎年ダイビングによる死亡事故が起きており、2016年は2名が減圧障害で命を落としました。ダイビング等に際しては安全に十分に注意してください。

7 予防接種

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種

ア 推奨される予防接種

 成人:A型肝炎、B型肝炎、破傷風、腸チフス、日本脳炎、(可能なら以下も考慮して下さい。百日咳、ジフテリア、麻しん、風しん、おたふく風邪、水痘)

 小児:日本の定期予防接種以外は成人に準じます。以下のワクチンは日本で接種を済ませてくることをお勧めします。BCG、DTP(ジフテリア・百日咳・破傷風)+ポリオ(4種混合)、Hib、肺炎球菌、日本脳炎、B型肝炎。

イ 黄熱病ワクチンの必要性

 黄熱病伝染リスク国から入国する場合(空港に12時間以上トランジットした場合も含む)、渡航者(9か月以上の乳幼児、成人すべて)に黄熱予防接種証明書が要求されます。 https://www.forth.go.jp/useful/yellowfever.html別ウィンドウで開く(黄熱病伝染リスク国:アフリカと南米の42か国)

ウ ポリオワクチンの必要性

 同様に、野生ポリオ汚染国(アフガニスタン、パキスタン)、ワクチン由来ポリオ流行国(マレーシア、フィリピン、ミャンマー、インドネシアなど)からの入国者もポリオ予防接種証明が入国時に求められることがあるので、これらの国から入国する場合、母子手帳などの接種歴を証明できる書類を携帯することをお勧めします。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

現地の小児定期予防接種一覧
  初回 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目
BCG 出生時          
MMR 9か月 3歳        
DPT-HepB-Hib 2か月 4か月 6か月  
ポリオ(生、経口) 2か月 4か月 6か月 18か月 5歳  
ポリオ(不活性、注射) 2か月 4か月        
日本脳炎(生ワクチン) 1歳          
DTP       18か月    
DT         5歳  
aTd           11歳
HPV 10歳 初回より6か月後  

MMR:麻しん、おたふく風邪、風しんの3種混合ワクチン
DPT-HepB-Hib:(5種混合)ジフテリア、百日咳、破傷風、B型肝炎、ヒブ
DPT:ジフテリア、百日咳、破傷風、DT:ジフテリア、破傷風、aTd:成人用DT
HPV:ヒトパピローマウイルス(子宮頸がんワクチン)
女性のみ15歳以降44歳までに風疹ワクチン追加接種としてMMRを接種。
上記ワクチンは外国人もコロンボ市内の私立病院で接種可能です。在庫があれば6価(DPT-HepB-Hib+ポリオ)ワクチンの予防接種も私立病院で可能です。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 特に必要ありません。

8 乳児検診

日本のような乳児検診は行われていませんが、希望すれば、一部の私立病院で類似の内容の検診受けることができます。(有料)

9 病気になった場合(医療機関等)

(1)医療の受け方

 緊急を要する受診の場合、予約は不要なので各病院の救急外来(ER)へ直接行きます(24時間対応)。緊急でなく、予約なしで医師を指定せずその日に受診したい場合には予約不要一般外来(OPD)を受診します。専門医を受診するには予約が必要です(後述のチャネリング)。交通事故で保険を使用する場合にはNational Hospital内のAccident Serviceを受診し書類を揃える必要があります。

(2)緊急医療体制

【国立病院内アクシデントサービス】
Accident Service, National Hospital of Sri Lanka

 アクシデントサービスは、国立の外傷専門病院。24時間救急対応。交通事故、事件、災害、蛇や動物咬傷等緊急の場合、私立病院より対応が早く、初期治療に十分な設備や医薬品、血清等があり、国立病院内の狂犬病センターで治療を受けることができます。特に交通事故、災害や爆弾事件などの場合、病院を指定しない限り、ここに運ばれます。外傷、熱傷等の緊急処置に対してはこの施設が最も質が高いです。ただし、施設、病床の清潔度は高くありません。警察もアクシデントサービス内にあります。

◎ コロンボ国立病院内救急医療
Accident Service, Colombo National Hospital
住所:Regent Street, Colombo 10 電話:011-691-111

◯ その他の大きな国立病院:
南コロンボ国立病院 South Colombo National Hospital(デヒワラ)、
北コロンボ国立病院 North Colombo National Hospital(ラーガマ)、
キャンディ国立病院 Kandy Teaching Hospital など

(3)専門医予約 チャネリング

 都市部の私立病院における専門医の診察は予約制です。インターネットのチャネリングシステムで予約と前払いをするか、電話又は病院窓口で予約をして会計窓口で前払いをすることで初めて予約が終了となります。医師を指定せずに当日受診する場合にはOPD(out patient department)を受診します。また、受診や検査は基本的に全て前払い制ですので、カード又は現金と身分証明証を持参してください。

 チャネリングによる予約サイト

https://www.echannelling.com/Echanneling/index別ウィンドウで開く

◎コロンボ

(1)Asiri Central Hospital
所在地:114,Norris Canal Road, Colombo10
電話:(011)466-5500
FAX:(011)466-5544
概要:市内病院地区にあり、多くの外国人患者の診療に実績があります。Ms. Lathikaが日本人受診のサポートをしてくれます。Stroke Unit(脳卒中センター)があり、脳血管疾患の急性期治療に優れています。
(2)Nawaloka Hospital
所在地:23 Deshamanya H.K. Dharmadasa Mawatha, Colombo2
電話:(011)557-7111、(011)577-7777
FAX:(011)243-0393
概要:日本人の診療にも積極的な病院で、コーディネーターのMr. Ariyawansaが日本人の受診をサポートしてくれます。また、2015年には院内に日本人が運営する老人ホームが併設されました。中心部にあるため、多くの日本人が利用しています。
(3)Lanka Hospital
所在地:578,Alvitigala Mawatha, Colombo5
電話:(011)543-0000、(011)553-0000
FAX:(011)451-1199
概要:元はインド資本のアポロ病院グループ傘下。外国人が多く利用する総合病院です。心臓外科手術なども行っています。
(4)Asiri Surgical Hospital
所在地:21, Kirimandala Mawatha Narahenpita, Colombo5
電話:(011)452-4400
FAX:(011)452-7311
概要:検査、健康診断部門で実績のある総合病院です。
(5)Durdans Hospital
所在地:3, Alfred Place Colombo3
電話:(011)541-0000
FAX:(011)451-8224
概要:心臓外科で実績のある総合病院です。
(6)The National Hospital of Sri Lanka
所在地:Accident Ward Rd, Colombo 10
電話:(011)269-1111
FAX:(011)269-8443
概要:スリランカ最大の公立病院です。上述。

キャンディ

(1)Teaching Hospital Kandy (General Hospital Kandy)
所在地:William Gopallawa Mawatha, Kandy20000
電話:(0812)222-261
FAX:(0812)233-343
概要:公立基幹病院です。専門治療を目的として近隣の公立病院から患者が搬送されてきます。心臓移植も始まりました。
(2)Suwasevana Hospital
所在地:No. 532, Siebel Place, Kandy 20000
電話:(0812)222-404
概要:比較的設備の整った私立病院で、外国人患者もよく利用しています。
(3)Kandy Private Hospital
所在地:255/8 Katugastota Road, Kandy
電話:(0814)940-859
概要:私立病院

トリンコマリー

(1)Trincomalee General Hospital
所在地:Hospital Road, Trincomalee
電話:(0262)222-261
概要:公立病院

10 その他の詳細情報入手先

在スリランカ日本国大使館ホームページ:https://www.lk.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

医療情報は左側サイドバー「医療情報」クリック→中段右欄「医療情報」に

スリランカ保健省ホームページ:http://www.health.gov.lk別ウィンドウで開く

スリランカ保健省疫学局ホームページ:http://www.epid.gov.lk/別ウィンドウで開く

11 一口メモ

 医療機関の受診は英語で問題ありません。

12 新型コロナウイルス関連情報

 Covid-19に関して、スリランカは、2020年末、日本と比べて、人口あたりの感染率は同程度、人口あたりの死者数は3分の1、致死率も3分の1となっており比較的コントロールされていると言えます。そのため、入国時の水際対策は非常に厳しく、自宅での検疫隔離は許されず、全て隔離ホテル等での14日間の隔離となります。外出の際には、マスクの着用が義務付けられています。
 感染が疑われる場合には、日本人が受診する上記の私立病院ではほとんどが受診可能です。受診前に行われるPCR検査結果が陽性となると、無症状、軽症、重症問わず、最寄りの公立の入院隔離病院(施設)に移送されます。コロンボ市内では、国立感染症病院(NIID)を中心に周辺の病院に中・重症、無症状・軽症例は、遠隔地の収容施設となり、家族や関係者との接触等も大幅に制限されます。隣国インドのような自宅隔離は、一度PCR検査陽性結果がでると無症状でも全く許されません。日本人を含む外国人も全てスリランカ人と同じく、これらの施設に隔離されますが、これらの施設の環境は劣悪で、一般的な外国人には適しません。2020年末現在実現していませんが、無症状・軽症の希望患者に対して有償で、私立病院の管理下に、一部のホテルが隔離施設となる予定です。
いずれにしても、スリランカに在留する日本人は、日本以上に、密を避け、マスク等の着用等の予防策を徹底し、極力感染しないよう心がけましょう。

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