世界の医療事情

中国(瀋陽)

令和2年10月

1 国名・都市名(国際電話番号)

 中華人民共和国(遼寧省瀋陽市)(国際電話国番号 86)

2 公館の住所・電話番号

○ 在瀋陽日本国総領事館 (毎週土日休館)
住所:遼寧省瀋陽市和平区14緯路50号
電話:024-2322-7490(代表)、FAX:024-2322-2394(代表)
ホームページ:https://www.shenyang.cn.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

※土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

 瀋陽市は中国の東北地方に位置する遼寧省の省都であり、緯度は北海道函館市とほぼ同じです。四季は春・秋は短いですが、比較的過ごしやすい時期で、夏は気温が30度を超える日も多く、日本と大きく変わりませんが、冬は-30℃近くまでに下がることもあり、寒さは厳しいです。また冬期は雨が少なく乾燥しており、皮膚トラブルや上気道感染などを起こしやすいです。

 中国では全国的に大気汚染が問題となっていますが、当地でも特に11月から3月頃にかけて大気汚染が悪化します。また、春に柳絮と呼ばれる綿毛のような種子が浮遊しており、それによるアレルギー症状を訴える方もいます。

 上下水道は整備されていますが、当地の水道水については、水道管や貯水設備の老朽化や汚染が進んでいるため、実際に蛇口から出てくる水道水は色・濁りや不快な臭いが見られることがあります。歯磨き、うがい等での使用は可能ですが、飲用や調理用としての使用は避けた方がよく、飲用としてミネラルウォーターの購入が必要です。

 当地では北京市や上海市のように日本人医師が常勤しているような日系クリニックはありませんが、いくつかの大規模な総合病院は存在しており、診断機器などハードウェア面はかなり充実してきているようです。しかし総合病院は患者が集中するため、待ち時間が長く、また中国独特の支払システム(診察、検査、投薬等すべてその都度費用は前払い)のため、負担は大きいと思われます。当地でも中国医科大学付属病院等、一部の病院にて外国人や富裕層向けに特例外来部門が整備されており、通常受診での負担を考えると特例外来部門を受診するのは負担軽減には役立つと思われますが、料金は通常より高額となります。

 軽度の体調不良や緊急治療の場合以外は、日本やその他の医療先進地域での受診、治療をお勧めします。

 急病や怪我の場合、海外旅行傷害保険や海外駐在員保険に加入しているのであれば、各保険会社のサポートラインに電話するのもよい選択です。契約内容にもよりますが、各保険会社提携の医療アシスタンス会社を通じて、適切な医療機関の紹介、救急車の手配、受診・入院の手配、医療通訳の手配、キャッシュレス診療、日本への移送が必要となった場合の手配などのサービスが受けられます。緊急時にいろいろなサポートが得られるため、あらかじめこれらの保険に加入しておくことを推奨します。

5 かかり易い病気・怪我

 当地に特有の風土病はありませんが、一般的に注意が必要な感染症としては以下のようなものがあります。

(1)感染性胃腸炎

 感染性胃腸炎は多くは細菌やウイルスで汚染された食物を摂取することによって起こります。予防策として、生水を飲まない、衛生状態の良いレストランを選ぶ、生の魚介類、肉類、野菜(サラダ)などの摂取は避ける、果物は皮を剥いて食べる、などの点に注意して下さい。日本でも見られるノロウイルスは当地においても冬期に流行します。

 多くは十分な水分補給等の対症療法にて数日程度で徐々に改善しますが、時に重症化する場合もあるため、激しい嘔吐、下痢が続いたり、血便が出現するような場合は医療機関を受診して下さい。

(2)ウイルス性肝炎

 A型肝炎、E型肝炎は不衛生な環境において食物や水を摂取して感染します。一方、B型肝炎、C型肝炎は汚染された血液や体液により感染しますが、中国ではキャリアと呼ばれるウイルス保有者が多く、輸血や性的交渉などを介し感染するリスクがあります。また、場合により劇症肝炎と呼ばれる重症の経過をたどる事例があります。

 A型・B型肝炎にはワクチンが開発されており、予防接種の実施をお勧めします。

(3)HIV・エイズ・性感染症

 エイズは中国の法定伝染病において最も死亡数が多い感染症です。血液や性的交渉を介した感染が多く、治療は進歩していますが、根本的治療は確立されていません。予防策をとることが最も重要であり、無防備な性交渉は避けるなど、節度ある行動が必要です。

(4)結核

 中国では依然患者数が多く、政府の対策もあり漸減傾向を認めているものの、十分な注意が必要です。微熱や咳嗽などの呼吸器症状が慢性的に継続するような場合には医療機関を受診して下さい。

(5)鳥インフルエンザ

 中国ではA型(H5N1)をはじめとする高病原性インフルエンザのヒトへの感染が発生しており、当地(遼寧省)においても過去に感染例が報告されています。ヒトからヒトへの持続的な感染は確認されていませんが、引き続き十分な注意が必要です。野鳥や鶏舎、生きた鳥を扱う市場などには極力近付かず、常に最新の情報を確認してください。

(6)狂犬病

 狂犬病ウイルスに感染した犬や野生動物との接触により感染し、発病するとほぼ100%死亡する病気です。当地での報告はまれですが、中国全土においては依然として発生例が多く報告されています。動物に近づかないようにすることが一番の予防策であり、もし咬まれた場合は、傷口を流水で洗浄し、速やかに医療機関を受診してください。

(7)手足口病

 手足口病は、ウイルス感染によって起こる感染症で、口の中や手足などに水疱性の発疹が出現します。日本と同様、小児を中心として主に夏に流行します。症状は多くは数日~1週間程度で自然に治癒しますが、乳幼児が集団生活をしている保育施設や幼稚園などでは集団感染のリスクが高く注意が必要です。手洗いの慣行や排泄物の処理に注意して、適切な予防を心がけて下さい。

 また、環境面においては以下のような注意点が挙げられます。

(1)食生活・生活習慣の変化による影響

 脂分の多い食事に加え、生活環境の変化によるストレスや運動不足などにより、高血圧症や脂質異常症、糖尿病などのいわゆる生活習慣病が悪化するリスクが高く注意が必要です。また、中国では会食時に度数の高い酒を飲み干す習慣があり、相手方から勧められ、その結果自己の許容量を超える大量のアルコールを摂取して急性アルコール中毒になりかねないため、十分注意して下さい。

 定期的に健康診断を受診するなど、日頃から自身の健康状態の把握に努めてください。

(2)大気汚染による影響

 粒子状物質(PM2.5)を主とした大気汚染は大きな問題になっており、当地でも汚染は深刻です。特に冬期は乾燥した冷たい空気刺激なども加わるため、風邪を引くと発熱は治まっても咳・痰、のどの痛みなどが長く続くことがあります。大気汚染の対策としては、室内環境の改善が重要で、部屋の広さと使用用途に合わせた空気清浄機の適切な設置などが望まれます。大気質指数(AQI)をチェックして、指数が高い場合には、外出、運動を控え、濾過性能の高いマスクを着用する等して外出時には予防策を講じることが重要です。

(3)交通事故

 近年の急速な経済成長に伴う車両数の増加や交通マナーの悪さなどにより、事故が多発しており、死亡事故者も日本と比べ多くなっています。右側通行、赤信号でも右折可能等、日本の交通規則とは大きく違うところがあるため、歩行中、運転中、いずれも十分に注意をしてください。

6 健康上心がける事

(1)外出後、食事前、調理前など、頻繁な手洗いやうがいを心がけ、また外出時はなるべく人混みを避ける。

(2)生水・水道水を直接飲用しない。調理する場合には、食材は信頼できる店で清潔なものを選び、肉・魚介類・卵は十分に加熱し、野菜や果物は十分に洗浄する。不衛生な露天などの食物を摂取しない。

(3)外を出歩く際には油断せず、常に周囲に注意を払う。

(4)滞在中の発熱や腹痛など急な症状に対応できるよう、日頃使い慣れた常備薬(解熱薬、胃腸薬など)を持参する。長期滞在で治療中の慢性疾患がある場合はきちんと治療を継続し、定期的に医療機関を受診し状態を確認する。

(5)緊急移送となるような万が一の場合に備え、海外旅行傷害保険には必ず加入する。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種

 赴任期間や勤務地の状況によっても異なりますが、主なものとして、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病(動物に接触する機会が多い場合)、日本脳炎(非都市部の屋外での活動が多い場合)、季節性インフルエンザ(冬季)などが推奨されます。

 小児については、まず日本における定期予防接種をきちんと実施することが重要であり、その上で上記のような成人に推奨されるものと同様の予防接種の追加を検討します。

(2)現地の小児予防接種一覧

(予防接種種類) 初回 2回目 3回目 4回目 5回目
B型肝炎 出生時 1か月 6か月    
BCG 出生時        
ポリオ 2か月
(IPV)
3か月
(OPV)
4か月
(OPV)
4歳
(OPV)
 
破傷風 3か月
(DTaP)
4か月
(DTaP)
5か月
(DTaP)
18か月
(DTaP)
6歳
(DT)
ジフテリア
百日咳  
麻疹 8か月
(MR)
18か月
(MMR)
     
風疹      
流行性耳下腺炎 18か月
(MMR)
       
日本脳炎 8か月 2歳      
髄膜炎菌 6か月
(A群)
9か月
(A群)
3歳
(AC群)
6歳
(AC群)
 
A型肝炎 18か月
(生ワクチン)
       

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 現地校に入学・入園する際には、規定された予防接種の実施が必要であり、接種記録の提示を求められますので、母子手帳あるいは各種予防接種記録を持参する必要があります。

 インターナショナルスクールの場合は、学校により対応が異なりますので、詳細は各学校にお問合せ下さい。

8 病気になった場合(医療機関等)

○瀋陽市(遼寧省)

(1)中国医科大学付属第一医院(全科)
所在地:瀋陽市和平区南京北街155号
電話:961200(代表)
概要:24時間対応の救急外来あり。日本語可能な医師が在籍しています。
(2)中国医科大学付属盛京医院(全科)
所在地:瀋陽市和平区三好街36号
電話:181-0249-6615(24時間)
概要:24時間対応の救急外来あり。日本語対応可能な看護師が渉外部門に在籍しています。
(3)遼寧省金秋医院(小児科除き全科)
所在地:瀋陽市瀋河区小南街317号
電話:024-6278-4567(予約)、133-2401-6345(日本語可)
概要:日本語対応は一部可能。
(4)東北国際医院(全科)
所在地:瀋陽市渾南区天賜街2号
電話:024-6236-9911(予約)、024-6236-1111(24時間)
概要:24時間対応の救急外来あり。日本語通訳が対応可能で、日本語対応可能な医師も若干在籍しています。
(5)美徳因渉外全科診所(メイドインインターナショナル総合クリニック)(総合診療)
所在地:瀋陽市瀋河区青年大街125号嘉里城2階S201
電話:024-8668-4533、185-4005-2125
概要:日本語対応可能な看護師が在籍しています。
(6)美徳因婦児医院(メイドイン母子病院)(全科、婦人科、小児科)
所在地:瀋陽市皇姑区泰山路15号
電話:024-8668-4543(代表)、139-9838-0324(日本語可)
概要:日本語対応可能な看護師が在籍しています。
(7)田上歯科(歯科)
所在地:瀋陽市和平区十三緯路2号
電話:024-3198-8166(代表)、024-2325-6228(予約)
概要:院長が少し日本語対応可能。
(8)何氏眼科(眼科)
所在地:瀋陽市皇姑区黄河北大街128号
電話:024-8652-0800、400-9090-400
概要:受診は、事前予約・通訳同行が必要。

○長春市(吉林省)

(1)吉林大学第一医院(全科)
所在地:長春市新民大街71号
電話:0431-8878-2222(24時間)、0431-8878-3511(外国人診察窓口)
(2)吉林大学第二医院(全科)
所在地:長春市南関区自強街218号
電話:0431-8879-6555、0431-8879-6888

○ハルビン市(黒龍江省)

(1)ハルビン医科大学付属第一医院(内科、外科、小児科、産婦人科)
所在地:ハルビン市南崗区東大直街199号
電話:0451-6555-6000(代表)、0451-5364-3849(内線2962)
(2)ハルビン医科大学付属第二医院(内科、外科、神経科、耳鼻科)
所在地:ハルビン市南崗区学府路246号
電話:0451-8666-2961(24時間)、0451-8660-5612
(3)黒龍江省医院(全科)
所在地:ハルビン市香坊区中山路82号
電話:0451-8802-5528、139-4513-9958(24時間/日本語可)、136-4458-8616(日本語可)

9 その他の詳細情報入手先

在瀋陽日本国総領事館:https://www.shenyang.cn.emb-japan.go.jp/index.htm別ウィンドウで開く

10 一口メモ(もしもの時の現地語)

 「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療中国語)を参照願います。

11 新型コロナウイルス関連情報

 2019年末頃に中国武漢に端を発し、現在(2020年10月)も全世界で猛威をふるっています。当地では空港等で発見される輸入症例が大多数を占めていますが、中国国内ではこれまでも一部の地域で市中集団感染(6月:北京、7月:大連、10月:青島)が発生しています。最新の情報に留意しつつ、三密を避け、マスク着用、手洗い、換気、対人距離の保持など、基本的な感染対策実施の継続が必要です。
 総領事館ホームページ等で、常に最新の情報をご確認ください。


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