世界の医療事情

令和6年10月1日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 中華人民共和国(青島市)(国際電話番号86)

2 公館の住所・電話番号

在青島日本国総領事館 (毎週土曜日、日曜日休館)
住所:青島市香港中路59号青島国際金融中心45階
電話番号:(0532)-8090-0001、FAX:(0532)-8090-0009
在青島日本国総領事館別ウィンドウで開く

(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

3 医務官駐在公館ではありません

 在中国日本国大使館医務官が担当

4 衛生・医療事情一般

 青島市は、日本の東京と同じ緯度にあり気候が似ており北温帯モンスーン区域に属し、海洋性気候の特徴があります。空気が湿潤で温度がちょうど良く、四季が明瞭であり、気温の変化が緩やかです。7月の平均気温は23℃です。冬は気温が低くなり1月の平均日最低気温は-3℃です。1月から4月の青島は風が強く、気温が低く遅くに上昇します。2、5、6、7月の青島は霧がたちこめ、空気の湿度が高く、大気汚染が悪くなる傾向があります。11月は気温の変化が激しいため、3月末から11月初めまでが過ごしやすい時期です。

 衛生概念の普及はまだ十分とは言えない面もありますが、一般的な住宅や商業施設の衛生状態はおおむね良好です。水道水は一定の安全基準を満たしていますが、泥臭いようなにおいが感じられることがあるほか、浴槽に水をためた時などに濁りが見られることもあります。これは水道管や貯水設備などが老朽化しているためだと思われます。食器・食材の洗浄や入浴・歯磨きなどには差し支えありませんが、生水の飲用は避け、市販の飲用水を購入したほうがよいでしょう。

 青島には、比較的規模の大きな総合病院がいくつかあります。現在は、「外国人専用受付窓口」を設けている病院もあります。しかし、日本人医師はおらず、日本語を話せる中国人医師も少ないため、日常医療機関にかかる際には保険会社を通した通訳サービスや通訳がいる医療機関を確認してから受診することが必要です。

 青島市の医療機関を受診する際、紹介状や予約は必ずしも必要ではありませんが、多くの医療機関が予約制も導入しています。受診前には医療通訳サービス会社などを利用し、あらかじめ電話で問い合わせ、予約したほうがよいでしょう。また、緊急時に利用する救急車は有料で、料金は搬送距離や車内での処置内容によって変わってきます。

 急な病気やケガの場合、海外旅行傷害保険や海外駐在員保険に加入しているのであれば、各保険会社のサポートラインに電話するのが一番よい選択です。契約内容にもよりますが、各保険会社提携の医療アシスタンス会社を通じて、医療機関の紹介、救急車の手配、受診・入院の手配、医療通訳の手配、キャッシュレス診療、日本への移送が必要となった場合の手配などのサービスが受けられます。上述の日系・外資系クリニックや中国系病院の特別部門での診療料金は思いのほか高額となることがありますが、ほとんどの場合これらの保険が利用可能です。緊急時に手持ちの現金が足りなくて診療が受けられないなどの事態を防ぐためにも、あらかじめこれらの保険に加入しておくことを強く推奨します。また、加入者は、サポートラインの電話番号や契約内容を日ごろから確認しておく必要があります。

5 かかり易い病気・怪我

 青島では特別に注意が必要な風土病はなく、邦人死亡の原因の多くは、心臓発作や脳卒中など生活習慣病に関連したものや、飲酒による事故などです。なお、青島において死亡者が比較的多く念のため注意すべき感染症はHIV / AIDS、結核、ウイルス性肝炎などです。青島市での狂犬病の発症はほとんどなく、中国全土でも減少傾向が続いていますが、発症するとほぼ全例亡くなるため、野生動物とふれあう機会がある方には予防接種をお勧め致します。

(1)各種生活習慣病

 生活環境の変化に伴うストレスの増加や食生活の乱れにより、高血圧症・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病が急速に悪化したり顕在化したりする可能性があります。生活習慣病は、それ自体がはっきりとした自覚症状を示すことはあまりありませんが、本人が気付かないうちに進行して突然心臓発作や脳卒中などの致命的な状態を引き起こすことがあります。

(2)交通事故

 歩行者優先という意識はなく、歩行者が横断歩道を渡っていてもどんどん車が通って行きます。また車の右折が常に可能な交差点が多いため、青で横断歩道を渡っていても注意が必要です。最近は、スクーター・電動自転車の利用者が多く、これらの車両は専用レーンがない道路では歩道をかなりスピードで走行していることが多く、特に電動自転車はモーター駆動のためエンジンと違い静かに近づいてくるため、歩行者にとって非常に危険な存在です。

(3)飲酒による病気・事故

 中国、特に当地では会食時にアルコール度数の非常に高いお酒(特に白酒)を何度も飲み干す習慣があるため、雰囲気に流されて大量飲酒となってしまわないように注意が必要です。急激に血中アルコール濃度が上昇して意識がなくなってしまったり、泥酔状態で嘔吐して窒息したりするなど、死亡事故につながるケースも発生しています。

(4)結核

 患者の咳やくしゃみで飛び散った菌を吸い込むことにより感染します。多くの場合は適切な治療により治癒しますが、薬剤への耐性により治療に難渋する場合もあります。幼小児ではBCG接種を確実に受けることが発症予防に有効です。定期的に胸部レントゲン写真を含んだ健康診断を受けるよう心掛け、咳や微熱が2週間以上続く場合には医療機関を受診したほうがよいでしょう。
参考:厚生労働省 検疫所 FORTH 結核別ウィンドウで開く

(5)ウイルス性肝炎

 B型肝炎やC型肝炎は、注射針等の使い回し、輸血、性交渉、母子感染などで感染します。中国におけるB・C型肝炎ウイルスの保有率は日本の数倍高いので、それだけ感染リスクも高いと言えます。また、A型肝炎やE型肝炎は、主に不衛生な環境において、食べ物や水を介して感染します。ウイルス性肝炎の一部は劇症肝炎と呼ばれる重症の経過をたどることがあるほか、慢性肝炎として経過した場合には肝硬変や肝臓がんの原因となることもあります。A型肝炎とB型肝炎の予防にはワクチンが有効です。
参考:厚生労働省 検疫所 FORTH
A型肝炎別ウィンドウで開く B型肝炎別ウィンドウで開く C型肝炎別ウィンドウで開く E型肝炎別ウィンドウで開く

(6)HIV/AIDS

 性交渉、注射針等の使い回し、母子感染などで感染します。AIDSの治療は年々進歩してきてはいますが、根本的治療法はまだ開発されていません。青島でもAIDS患者が年々増加傾向にあります。無防備で安易な性交渉は絶対に避けるべきです。
参考:厚生労働省 検疫所 FORTH  HIV/AIDSについて別ウィンドウで開く

(7)狂犬病

 狂犬病ウイルスに感染した犬や野生動物との接触により感染します。市街地で犬や野生動物を見かけることは多くはありませんが、青島市内でも狂犬病による死者が発生する場合があります。発症した場合の治療法はなくほぼ確実に死に至りますが、動物に噛まれたあと速やかにワクチンを接種すれば、発症を防ぐことができます。万が一犬などの哺乳動物に咬まれた場合には早急に狂犬病外来のある医療機関を受診してください。
参考:厚生労働省 検疫所 FORTH 狂犬病別ウィンドウで開く

6 健康上心がけること

(1)各種経口感染症やインフルエンザなど、手指を介して感染する疾患は数多くあります。外出後、調理前、食事前などに、きちんと石鹸を使ってこまめに手を洗う習慣を身につけましょう。

(2)食材は清潔で信頼できる店から購入し、肉・魚介類・卵は十分に加熱調理しましょう。野菜や果物は、生食する場合に限らず十分に洗浄しましょう。また、生食するものや調理済みの料理は、未調理の食材を扱った手で触れないように気をつけましょう。

(3)治療中の病気がある場合には、確実に治療を継続するとともに、定期的に医療機関を受診して病状をチェックしましょう。また、現在健康であっても定期的に健康診断を受け、生活習慣を見直すきっかけにしましょう。

(4)日本とは交通規制が異なり、外を歩く時には、青信号も歩道も全く油断はできません。常に四方八方に注意を配りながら歩きましょう。

参考:米国疾病予防管理センター(CDC)旅行者の健康 中国編(英語)別ウィンドウで開く

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種

  • 成人:A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病(動物に接触する機会が多い場合)、日本脳炎(非都市部の屋外での活動が多い場合)、季節性インフルエンザ(冬季)。麻疹・風疹の罹患歴が不明である場合や、1回しか接種していない場合は抗体価の確認や追加接種をご検討ください。50歳以上の方には帯状疱疹ワクチンもお勧め致します。
  • 小児:日本の定期予防接種のほか、上記の成人と同様のもの

(2)現地の小児定期予防接種一覧

  初回 2回目 3回目 4回目
DPT(3種混合) 3か月 4か月 5か月 18か月
DT 6歳      
ポリオ(注射) 2か月 3か月    
ポリオ(経口) 4か月 4歳    
MMR 8か月 18か月    
BCG 出生直後      
A型肝炎(HepA-I) 18か月 2歳    
A型肝炎(HepA-L) 18か月      
B型肝炎 出生直後 1か月 6か月  
日本脳炎(JE-I) 8か月 8か月(1回目の7から10日後) 2歳 6歳
日本脳炎(JE-L) 8か月 2歳    
髄膜炎菌 6か月 9か月    
A+C髄膜炎菌 3歳 6歳    
ロタウイルス 任意接種      
Hib 任意接種      
小児用肺炎球菌 任意接種      
水痘 任意接種      
エンテロウイルス71 任意接種      

DPT:ジフテリア・百日咳・破傷風

MMR:麻疹(はしか)・流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)・風疹

(注)ポリオは注射と経口ワクチンを合計4回使用

(注)A型肝炎と日本脳炎は生ワクチン (HepA-L, JE-L) または不活化ワクチン (HepA-I, JE-I) から選択して接種。

(注)日本脳炎はJE-L(生ワクチン)の場合は2回、JE-I(不活化ワクチン)では4回の接種が必要。どちらかを選択して接種。

(注)Hib、肺炎球菌、ロタウイルス、水痘は定期接種に組み入れられていません。

出典)中国CDCの小児定期接種スケジュール別ウィンドウで開く
参考)日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール2024年版別ウィンドウで開く

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 現地校に入学・入園する際には予防接種記録の提示を求められますので、母子手帳あるいは各種予防接種記録を持参してくる必要があります。不足分の予防接種は、各居住地域の社区衛生服務中心やクリニックなどで接種可能なものもあります。

8 病気になった場合(医療機関等)

(1)青島市立医院国際外来(東院区)
所在地:青島市東海中路5号
電話:(0532)-8593-7690(月曜日から土曜日 8時から12時、13時から17時)
(2)ベリアー医療センター(贝利爾医疗中心
所在地:青島市南区彰化路1号銀都花園49号
電話:(0532)-8111-7118
(3)青岛普惠诊所(フジクリニック)
所在地:青島市南区彰化路1号銀都花園10号楼1F
電話:(0532)-8588-6365
緊急外来あり
(4)維特尓国際医療中心(ウェーターメディック)
所在地:青島市香港中路63号3棟109戸
電話:(0532)-8577-1199
(5)青島大学医学院付属病院
所在地:青島市南区江蘇路16号
電話:(0532)-8279-1235 (8時30分から17時)
概要:3級甲の総合病院。緊急外来あり
 ホームページ:青島大学医学院付属病院(中国語)別ウィンドウで開く
(6)韓美歯科
所在地:ロウ山区沙子口街道ロウ山路71号
電話:(0532)-8575-8275
(7)華傑歯科
所在地:澳門路86号百麗広場西区112号
電話:(0532)-8576-0116
(8)戴衛歯科
所在地:青島市市南区東海西路33号濱海花園F3-1A
電話:(0532)-8572-1822
(9)卓凡口腔门诊部
所在地:青島市黄島区庐山路6号繁花星19号网点
電話:(0532)-8579-6262

9 その他の詳細情報入手先

10 一口メモ

 下記以外にも「世界の医療事情」冒頭ページの「一口メモ もしもの時の中国語」別ウィンドウで開くを参照願います。

  • 医師=医生(イーション)
  • 飲み薬=口服薬(コウフーヤオ)
  • 注射=打針(ダージェン)
  • 頭痛=頭疼(トウトン)
  • 腹痛=胃疼(ウェイトン)
  • 下痢=腹瀉(フーシェ)
  • 発熱=発焼(ファーシャオ)
  • 吐気=悪心(オーシン)
  • 傷=(シャン)
  • 具合が悪い。=不舒服(ブーシューフ)
  • 病院に連れて行ってください。=請帯我去医院(チンダイウォーチューイーユアン)
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