世界の医療事情

ネパール

2022年10月

1. 国名・都市名(国際電話国番号)

 ネパール(国際電話国番号977)

2. 公館の住所・電話番号

○ 在ネパール日本国大使館(毎週土日休館)
住所:Embassy of Japan, 1253, Narayan Gopal Sadak Panipokhari, ward No.3 Kathmandu
電話番号:01-4426680
ホームページ:https://www.np.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

※土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

4. 衛生・医療事情一般

 ネパールの気候は亜熱帯性気候で、雨季(モンスーン:6月から9月)と乾季(10月から5月)に分かれています。地理学的変化に富み、北のヒマラヤ山岳地帯、中部の丘陵地帯、インドとの国境を接するタライ平野地帯に分けられます。首都カトマンズは標高1,300mに位置します。夏の最高気温は30度、冬の最低気温は2度程度です。
 ネパールの上水道は首都のカトマンズでさえ未整備です。山間部では湧水もしくは河川が水源のパイプ給水ですが、浄水場の無い水道も多く、雨季には水が濁ることがあります。塩素消毒も不十分な傾向があります。中流以下の人たちは、日々ポリンタンクで共同水場から運んだ水を利用しています。昨年のカトマンズ盆地における調査では、水道水や市販のペットボトルの水を含む様々な水サンプルの60%が大腸菌で汚染されていたことが判明しています。飲用として使用する際には、煮沸や塩素消毒による滅菌処理、あるいは適切な浄水器を通す必要があります。タライ平野では水源のほとんどを地下水に依存していますが、水道が無い村落部の手押しポンプ井戸は高濃度のヒ素に汚染されている地域があるので注意が必要です。水を介する感染症(コレラ、病原性大腸菌、ジアルジア、腸チフス、赤痢、A型・E型肝炎など)が雨期を中心に流行しやすく、これらによる死亡例が5歳以下の子供を中心にまだ多数報告されています。
 カトマンズ盆地内では、その地形的な特徴から大気汚染が深刻となっています。排気ガス、粉塵、ディーゼル発電機の排気、レンガ工場の排煙などが主な原因とされています。特に乾期にはPM2.5の値が上昇するため、アプリなどでリアルタイム大気汚染指数を確認し、高い時には外出を控えるなどの対策が必要です。
 医師はカトマンズに集中しており、地方では不足しています。カトマンズには大小多数の医療機関が存在しますが、清潔度、サービス面、支払い方法などの点から、外国人の長期滞在者や旅行者は、私立の比較的大規模な医療施設を利用することが多いようです。ネパールの医学教育は英語で行われているため、医師との会話は英語で可能です。
 当国での医療費は、公立・私立を問わず、外国人に対してはネパール人よりも高い額が設定されています。外国人がよく利用する私立病院では、個室1泊300ドル以上、ICU1泊1000ドル以上(治療費別)を請求されることも珍しくありません。
 心臓カテーテル術、開胸手術、開頭手術といった高度な医療を行っている医療機関もありますが、設備面などで先進国と同等レベルにあるとは言いがたく、満足する医療を希望し移送に耐えうる状態である場合には、日本あるいはタイなど第三国で医療を受けるケースも発生します。国外への移送、特に感染症の際や人工呼吸器装着時など医療専用機での移送には、数百万から数千万円単位の経費がかかります。 また、登山やトレッキング中に高山病や重傷を負って緊急医療が必要となった場合には、ヘリコプターによるカトマンズへの移送が必要となることがありますが、その費用は数十万円以上かかります。 したがって、当地で病気・けがを患った際にはクレジットカード付帯海外旅行保険だけではまかなえない可能性が高く、当地を旅行する際には、2千万円以上の治療・緊急移送費をカバーする海外旅行傷害保険への加入が推奨されます。

5. かかり易い病気・けが

(1)感染性胃腸炎:

 ネパールでは、地元の人や長期駐在者でも年に1、2回は罹患することがあり、完全に予防することは困難かもしれません。原因となる原虫・細菌・ウイルスなどによって、水のような下痢・米のとぎ汁のような下痢・便秘・便が赤い・便の悪臭などの特徴的な症状を呈することがあります。発熱や腹痛の有無は原因によって異なります。ジアルジア(ランブル鞭毛虫)、クリプトスポリディウム、コレラ、赤痢、病原性大腸菌、腸チフス、A型・E型肝炎、赤痢アメーバなどが原因となります。特に雨季には、例年、全国的にコレラなど感染性胃腸炎の流行が発生しています。
 多くは水や食べ物など口にしたものから感染します。ペットボトルやウォーターサーバーの水が汚染されている例も報告されています。生ものや屋台は避けて、外食は信頼できる清潔な店を選ぶことが肝要です。もし罹患してしまった場合、原則的には下痢止めを使用せず、整腸剤程度にして、原因となった原虫や細菌を排泄するようにするとともに、脱水による消耗を防ぐため水分を大量に補給します。水分を補う際には電解質(ナトリウムやカリウムやクロールなど)と糖質を含んだ飲み物にします。当地ではWHO推奨成分の経口補水液(ORS : Oral Rehydration Solution)を作成するための粉剤が薬局などで販売されており、これを利用するのが簡便です。薬局でORSと言えば通じます(商品名はElectrobionNAVA JEEVANなど)。
 強い腹痛、血便、倦怠感が強い、高熱が続く、嘔気・嘔吐のため水分すら摂取できない等の症状がある時には、躊躇無く医療機関を受診してください。

(2)ウイルス性肝炎:

 A型、E型肝炎は主に汚染された水や食べ物を介して感染し、B型、C型、D型肝炎は主に血液を介して感染します。一般に数週間の潜伏期を経て、倦怠感、食欲不振、黄疸、腹痛、筋肉痛、発熱などの症状が現れます。原則として、急性期には入院の上、安静臥床が必要です。劇症化すると生命の危険もあります。

 ウイルス性肝炎は性行為によっても感染することがあるので、無防備な性行為は慎んでください。A型肝炎は、汚染された川や湖で泳いだ際に感染する例もあります。

 A型、B型肝炎はワクチンで予防可能ですが、通常基礎免疫がつくまでに数ヶ月を要するため、余裕を持った接種計画を立てることが必要です。

(3)狂犬病:

 ネパールでは、年間100人程度の患者が発生しています。潜伏期間は数日から数ヶ月、数年に及ぶ場合もあり、発症すれば致死率はほぼ100%です。当地での主な感染源は犬ですが、猫や猿、ジャッカルなどの野生動物も要注意です。

 傷の程度によっては事前の予防接種だけでは発症防止には不十分であり、予防接種済みの人でも犬や他の動物に咬まれた際には、傷口を石けんと流水でよく洗った上で、直ちに医療機関を受診してください。カトマンズやポカラ以外の地方都市やトレッキング中に咬まれた場合は、狂犬病ワクチンがみつからない可能性が高く、至急大都市に戻る必要があります。むやみに動物に触らないことが重要です。

(4)デング熱:

 ネパールでは2022年、カトマンズ盆地(カトマンズ市、ラリトプル市)を中心に全国的な大流行があり、10月現在までで既に過去最多の4万人以上の感染者と40人以上の死者が報告されています。
ヒトスジシマカやネッタイシマカという種類の、日中活動する蚊が媒介するウイルス性疾患で、50-80%は感染しても無症状とされており、発症した場合の症状は、発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、下痢、発疹などです。特に初回より再感染した場合に重症化しやすいとされており、注意が必要です。白血球や血小板の低下、肝機能の悪化を伴う場合には、通院または入院で検査、経過観察が必要です。対症療法以外の治療法は無いので、虫よけスプレー(大人であればDEET成分が30%含まれている物がおすすめです)、蚊取り線香や蚊帳の使用、蚊に刺されないような服装など、防蚊対策が重要です。今後、日本でワクチン接種が可能となれば、接種を検討してもよいでしょう。

(5)マラリア:

 最近は年々患者数が減少して、年間患者数は千人前後になっています。そのうち約9割が国外からの輸入症例であり、ネパール国内での感染例は1割程度です。ほとんどが三日熱マラリアで、重症化する熱帯熱マラリアは10%未満です。カトマンズや標高2000m以上の一般的なトレッキングコースでは、マラリアの感染リスクは通常ありません。タライ平野など低地のインド国境地域を旅行する際には防蚊対策が必要ですが、抗マラリア薬の予防内服は推奨されていません。

(6)日本脳炎:

 蚊によって媒介されるウイルス性疾患で、6-16日間の潜伏期を経て、典型的には数日間の高熱、頭痛、悪心、嘔吐、めまいなどが出現します。主としてタライ地域で雨季、8月頃に流行がみられます。死亡率は30%前後と高く、特に治療法はありません。流行地域を旅行する際には防蚊対策が不可欠です。長期滞在される方には事前の予防接種が勧められます。

(7)高山病:

 急性高山病は、高所における低い大気圧の酸素濃度に身体が順応できないことによって発症します。個人差が大きく、体力があれば大丈夫、若ければ大丈夫、というものでもありません。2,000m位から注意が必要です。高山病は山酔い、高地脳浮腫、高地肺水腫の3種に分類され、通常は、まず高所に達した数時間後から頭痛、倦怠感、食欲不振、めまい、手足や顔の浮腫、睡眠障害などの症状が現れます。咳や運動時の息切れがひどくなって、安静時呼吸困難、胸部圧迫感、頻呼吸、頻脈、血痰などが出現すると、高地肺水腫の可能性があります。意識障害(考えがまとまらない、会話がおかしい、昏睡)や運動失調(まっすぐ歩けない)は高地脳浮腫のサインです。対策として、ゆっくり登ること、十分な水分補給(1日3L以上)、高山病の症状が生じたら、それ以上は高度を上げないことが重要です。そして、症状が軽快しない場合は高度を下げる必要があります。経験したことの無い高度へ向かう際は、一人でのトレッキングは避け、経験あるガイドと行動し、ガイドの忠告に従うこと、また、症状が改善しない場合は、ヘリ移送の要請をためらわないことが重要です。高地肺水腫や高地脳浮腫の場合には、「朝まで待って下山」の判断が手遅れ、命取りになることもあります。ヘリは天候が悪ければ飛ぶことはできず、夜間も飛行は不可能です。早めの判断が重要です。

 グループ旅行の際は、「周りに迷惑をかけたくない」と考えがちですが、体調不良時には早めにガイドに伝え、グループと別行動することになっても、高度を上げないこと、場合によっては高度を下げることが大変重要です。我慢や遠慮は絶対に禁物です。高山病の予防・治療薬としてアセタゾラミド(商品名:ダイアモックス)が知られていますが、日本では医師から処方してもらう必要があります。なお、確実に高山病を予防できるわけではありませんし、高所へ行く人全員に必要なわけでもありません。事前に医師に相談して、服用方法、副作用についてよく理解しておきましょう。高地肺水腫や高地脳浮腫の治療薬としては、ニフェジピン、デキサメタゾンなどがあります。超高所への登山を予定している場合には、医師と相談して携行を検討してもよいでしょう。

(8)不慮の事故・交通事故:

 交通事情は日本とは全く異なります。都市部ではバイクの数が多く、交通マナーも劣悪なので、接触事故が非常に多いです。歩行者優先という概念はありませんので、道路横断時(横断歩道であっても)や細い路地を歩行する際など十分にご注意下さい。舗装道路でも陥没穴があったり段差があったり、昼間でも転倒しやすいです。街灯が無く夜は真っ暗な所も多く、野犬のリスクもあるので、夜間の慣れない道は車移動にした方が無難です。都市間を車やバスで長時間移動する際には、無理な追い越しによる交通事故や、土砂崩れ、落石、ガードレールの無い断崖から車ごと転落するリスクがあります。『ハイウェイ』と呼ばれる幹線道路でも決して道路事情がよいとは言えません。シートベルトを着用し、運転手には安全運転を心がけるよう指示して下さい。 登山・トレッキング中には、転倒、滑落、落石、雪崩などのリスクがあります。十分な装備、登山計画、信頼できるガイドを雇う、通信手段の確保等、事前の対策を行うとともに、必ず有効な保険に加入しておいて下さい。

(9) 花粉症:

 春先(2月から5月)はヒマラヤ杉などの花粉が舞います。日本でスギ花粉などの花粉症がある方は、使い慣れた薬剤や専用ティッシュ、マスクなどをご持参ください。

(10) 一酸化炭素中毒:

  ホテル(特に安宿)で、シャワーを浴びる際、ガス給湯器の不完全燃焼が原因で、一酸化炭素中毒になり病院へ搬送される例が時々あります。一酸化炭素は無色無臭で、中毒になると、初期にはめまい、頭痛、顔のほてりが出現し、放置されると意識を失い、昏睡状態に陥ります。異常を感じたら、すぐに機器の使用を中止し、換気を行って新鮮な空気を吸って下さい。治療はまず酸素吸入ですが、重症の場合、ICUでの人工呼吸器などによる治療が必要になります。不十分な治療では、後遺症の恐れもあるので、一酸化炭素中毒と診断された場合は、必ず血液中の一酸化炭素濃度を測ってもらい、改善するまで十分な酸素投与を受けるようにしてください。

6. 健康上心掛ける事

(1)睡眠不足や過労を避ける:

 ネパールへの渡航前に過密スケジュール、多忙のため睡眠不足、過労となっていると、当地への到着後に体調を崩しがちです。体調が悪い時に感染症にかかると重症化しやすいので、渡航前には十分体調を整えておきましょう。

(2)食事に注意:

 飲み水、氷、サラダ、生もの、牛乳、ヨーグルト、古い油で揚げた食品には気を付けてください。野菜や果物には残留農薬が多く検出されています。よく洗ってから食べてください。ただし、水道水は汚染されている場合があるので、浄水で洗うか、信頼できる店以外では生ものは避けた方が無難です。

(3)野犬に注意:

 カトマンズ市内には約2万頭の野犬がいると言われており、狂犬病のリスクもあります。路上で寝ている犬に手を出さないこと、踏みつけないことが重要です。夜間は野犬の活動が活発になるので、徒歩での外出時は特に注意が必要です。

(4)蚊・昆虫に注意:

 2022年はカトマンズ盆地を中心に全国でデング熱が大流行しています。プレモンスーン期からポストモンスーン期まで感染者が発生しており、標高の低い熱帯地方では通年で感染のリスクがあります。チトワンなどタライ平野では、デング熱の他、蚊が媒介する感染症として、マラリアや日本脳炎も発生しています。タライ平野では、ダニに刺されて感染するツツガムシ病も毎年数百例報告されています。流行地の屋外で活動する時には、蚊や昆虫に刺されにくい服装や虫除けスプレーの使用を心がけて下さい。

(5)高山病対策:

 高所登山やトレッキングに出かける方は、十分な高山病の予備知識をつけておいてください。

(6) 大気汚染:

 カトマンズ盆地の各都市やインド国境に接しているタライ平野部は世界的にも大気汚染がひどい地域です。特に、乾期の午前中はPM2.5やAQIの値も悪化します。呼吸器疾患など健康被害の恐れがあるので、特に長期滞在時や小児については、マスク、空気清浄機、外出制限などの対策を検討して下さい。

(7)交通事故:

 道路横断の際、細い道を歩く際は、特に注意してください。タメルの細い道でも平気でバイクや車が突っ込んできます。シートベルトも常に装着してください。

 

7. 予防接種

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種:

 日本からネパールへの入国に際して義務づけられている予防接種はありませんが、健康管理の点から、A型肝炎・B型肝炎・破傷風・日本脳炎・狂犬病・腸チフス・経口コレラの予防接種が薦められます。小児は日本の定期予防接種に加えて、成人同様、上記ワクチンの接種が推奨されます。特に、成人で見落とされやすい、麻疹、風疹、水痘、おたふく風邪のワクチン接種歴を確認してください。感染歴がなくワクチンを一度も打っていない場合は接種をお勧めします。破傷風や日本脳炎など、以前接種したことがあるワクチンでも、年数が経過していると追加接種が必要になるものもあります。成人、小児とも母子手帳をもとに、接種すべきワクチンを医師と事前に相談することが必要です。基礎免疫をつけるために複数回の接種を要するものもあり、長期滞在を予定している場合には、渡航の数ヶ月前から余裕を持って計画的にワクチン接種されることをお勧めします。

(2)当地の小児定期予防接種一覧

・当地公的医療機関で行っている乳幼児予防接種

  1回目 2回目 3回目
BCG 出生時    
DTP、HB、Hib 6週 10週 14週
ポリオ(経口・注射) 6週(経口・注射) 10週(経口) 14週(経口・注射)
ロタ 6週 10週
腸チフス 15ヶ月
肺炎球菌 6週 10週 9ヶ月
麻疹・風疹 9ヶ月 15ヶ月  
日本脳炎 1歳    

 ネパールと日本では、ほとんどのワクチンが回数や接種時期が異なります。

 ネパールでは、DTP+B型肝炎+Hibを合わせた5種混合ワクチンが3回接種されます。日本ではDTP+ポリオを合わせた4種ワクチンを4回接種しているので注意が必要です。日本で6年生の時に接種しているDTワクチンはこちらでは定期接種に含まれていません。日本では4回接種のHib、肺炎球菌がこちらでは3回のみです。近年、ロタや腸チフスがネパールでは定期接種に含まれることになりました。麻疹・風疹ワクチンの接種時期が日本とは異なり、早期に接種されます。また、日本脳炎ワクチンの接種回数は日本と異なりますので注意してください(ワクチンの種類が異なります)。水痘・おたふくは任意接種になります。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 当地では入学に際し、予防接種や結核のスクリーニングに関して詳しい規定を定めている学校もあります。事前に個別にご確認下さい。

(4)乳児検診

 乳児検診は行われていません。下記施設小児科に個別に相談してください。

8. 病気になった場合(主な医療機関等)

  • 公共の救急医療システムは十分機能しているとは言い難く、緊急サービスの電話番号『102』はネパール人でも知らない人が稀ではありません。一方で、各病院や赤十字などが救急搬送を行っています。
  • 救急車での病院搬送を希望する際には、搬送を希望する先の病院に電話をして派遣してもらうのが早く確実です。
  • 医師は初等教育から医学教育に至るまで英語で教育を受けており、英語での診療には問題ありませんので、医療を受ける際には少なくとも医師とは英語でコミュニケーション可能です。医学英単語に対応するネパール語が無い場合が多く、むしろ英語でコミュニケーションをとる方がスムーズにいくと思われます。外国人の利用が多い医療機関では事務員や看護師も英語を話せることが多く、一部の私立医療機関では日本語通訳者を配置しています。

 以下は、外国人旅行者や駐在者が利用することの多い医療機関ですが、診療内容について保証するものではありません。この他にも、多数の公立・私立の医療機関があります。

◎カトマンズ市

(1)Grande International Hospital
所在地:Dhapasi, Kathmandu、リングロードから北側に入ったところ
電話:01-5159266、01-5159267、9801202550 救急車: 9801202545
概要:バンコクのSamitivejと提携して2013年に開設された総合病院。医療設備は一通り備わっています。救急は24時間受付。ヘリコプター搬送にも対応。日本語を話す事務員がおり、勤務中であれば通訳可。
ホームページ:https://grandehospital.com/別ウィンドウで開く
(2)CIWEC Hospital Travel Medicine Center
所在地:British Embassy road Lainchaur, Kathmandu 英国大使館前
電話:01-4424111、01-4424242、01-4435232 歯科 01-4440100
概要:外国人がよく利用し、各種海外旅行傷害保険契約クリニックでもあるため、保険対応は迅速かつ正確。救急は24時間受付。各種ワクチン接種可能。旅行医学、感染症に強い。入院ベッド数は多くないが、感染性胃腸炎、新型コロナ、デング熱などでの経過観察入院は可能。料金は高め。事務員が1名日本語対応可。
ホームページ: https://ciwechospital.com/別ウィンドウで開く
(3)Norvic International Hospital
所在地:Thapathali, Kathmandu
電話:01-5970032 救急:01-5911623
概要:循環器内科を中心にした私立総合病院。救急は24時間受付。
ホームページ: https://www.norvichospital.com/別ウィンドウで開く
(4)HAMS Hospital
所在地:Mandikhatar, Dhumbarahi, Kathmandu
電話:01-4377404、01-4377704、救急車:9801904640、ヘリコプター:9801904643
概要:2019年に新築された総合病院。ヘリ搬送にも対応。
ホームページ:http://hamshospital.com/別ウィンドウで開く
(5)Annapurna Neurological Institute & Allied Sciences
所在地:Maitighar Mandala, Kathmandu
電話:01-4256656、01-4256568 救急外来:9801203351 9801203361 救急車:9801203369
概要:脳卒中、頭部外傷、脳腫瘍、機能外科など脳外科、神経内科を中心にした私立総合病院。集中治療の看護教育にも力を入れる。院長が広島大学で医学博士号を取得した日本語が堪能な脳外科医。
ホームページ:https://www.annapurnahospitals.com/別ウィンドウで開く
(6)Travel And Mountain Medicine Center
所在地:Kaldharamarg 20356, Khusibu, Kathmandu タメル
電話:01-4363614、9851116918
概要:診療時間は日~金曜日9:00-17:00、土曜日はオンコール。診療科は、内科、皮膚科、産婦人科、整形外科。外来診療のみ。旅行医学、高所医学の専門医がいる。各種ワクチン接種も可能。
ホームページ: https://www.tmmcnepal.com/別ウィンドウで開く
(7)Advanced Polyclinic
所在地:Panipokhari, Kathmandu 日本大使館の真正面
電話:01-4431078、01-4443386
概要:外来診療のみ。日本語が堪能なネパール人循環器内科医が不定期で勤務。診療費は比較的安価。診療時間は日曜~金曜7:00~19:00、土曜7:00~13:00。
ホームページ:https://apc.com.np/別ウィンドウで開く
(8)Dantakali Health Foundation Dental Clinic
所在地:Bhupi Sadak, Naxal(Opposite Police HQ Petrol Pump), Kathmandu
電話:予約01-4414290、9860800492、緊急 9860800492、9813173155
概要:九州歯科大学で博士号を取得した日本語が堪能な歯科医師のクリニック。衛生面にも気を遣っており清潔感があります。同医師は平日午前中Grande International Hospitalで診察しているため、診療時間は午後1時から6時(日曜~金曜)。

○ラリトプル市(パタン市)

(1)Nepal Mediciti Hospital
所在地:Sainbu-18, Bhaisepati, Lalitpur
電話:01-4217766、9810136491、救急外来:01-4217755、救急車:9801235698、International desk:9858774111、ヘリコプター:9858777111
概要: 2017年開設。700床となる予定の大型私立病院。救急は24時間受付。ヘリコプター搬送にも対応。医師はネパールでは珍しく常勤です。日本語を話せる医師も循環器内科にいます。
ホームページ:http://www.nepalmediciti.com/別ウィンドウで開く
(2)B&B Hospital
所在地:Gwarko, Lalitpurパタンの南東リングロード沿い。
電話:01-5531930、01-5531933、01-5554435(Fast Track/専門外来)
概要:外科、整形外科、泌尿器外科を専門としています。救急は24時間受付。外国人や富裕層向けに優先外来(Fast Track)を設けており、追加料金がかかるもののスムーズに診療を受けることが可能です。
ホームページ: https://www.bbhospital.com.np/別ウィンドウで開く
(3)Patan Hospital
所在地:Lagankhel Satdobato Rd, Patan 44700, Lalitpur
電話:01-5522295、01-5522278、01-5522266 救急車:9840255888 Private Clinic:01-5548007
設立に日本のキリスト教系の団体も関わった病院で、現在は非営利病院+大学教育総合病院として公共的な役割を果たしています。外国人やネパール人富裕層のために専門外来(Private Clinic 8:00~16:00、時間外16:30~19:30)を設けています。追加料金がかかりますが、あまり待たずに優先的に診療を受けることが可能です。
ホームページ:https://www.pahs.edu.np/別ウィンドウで開く
(4)STAR Hospital
所在地:Sanepa Height Rd., Lalitpur
電話:01-5550297、01-5550198
概要: 100床の総合病院。新型コロナPCR検査の出張サービスあり。
ホームページ:https://www.starhospitallimited.com/別ウィンドウで開く
(5)Family Health Clinic(歯科・口腔外科)
所在地:Natole, Pulchowk, Lalitpur、パタンダルバール広場の近く。
電話:01-5534677、01-5551465
概要:診療時間は、日~金曜まで12:00-17:00、土曜は休診。医師は北大歯学部卒、日本の歯科医師免許をお持ちで、日本語可。

○ポカラ市

以下の病院がありますが、応急処置を受けた後は、カトマンズの病院にて治療を受けられることをお勧めします。
(1) Gandaki Medical College Teaching Hospital
所在地:Birauta, Prithivi Chowk, Pokhara レイクサイドから3km、空港から1km。
電話:061-538595、061-550253
概要:Gandaki Medical Collegeの系列病院。救急やICUも整備されています。入院費は比較的安価。
ホームページ:https://www.gmc.edu.np/別ウィンドウで開く
(2)Manipal Teaching Hospital
所在地:Phulbari, Pokhara空港の北約4km。
電話:061-526417、061-526418、Hotline:061-526416
概要:私立の大学病院。救急は24時間受付。CT、MRIや放射線治療装置等があり、設備が充実。医療費は公立病院とほぼ同額とのこと。
ホームページ:www.manipal.edu.np/mcoms/hospital.別ウィンドウで開く
(3)Fishtail Hospital & Research Center
所在地:Gairapatan-4, Pokhara
電話:061-580999、061-577553、061-544700
概要:私立総合病院。救急は24時間受付。脳外科・術後ICUも併設。
FBページ:https://www.facebook.com/fishtailhospital別ウィンドウで開く
(4)International Medicare & Assistance centre
所在地:lakeside-6, Pokhara レイクサイド。
電話:061-463271、9846054520(院長携帯)
概要:入院は外国人のみ。病室は清潔感あり。料金は高め。
(5)CIWEC Hospital Travel Medicine Center Pokhara
所在地:Mansarovar Path, Lakeside, Pokhara-6
電話:061-463082、061-467053 救急:9856013130
概要:カトマンズにあるCIWECが経営する病院。外国人の利用が多い。ベッドは7床。救急は24時間受付。専門科はオンコール。各種ワクチンも常備。
ホームページ:https://www.ciwec-clinic.com/service-location/pokhara/別ウィンドウで開く

9. その他の詳細情報入手先

 在ネパール日本国大使館ホームページ: https://www.np.emb-japan.go.jp/jp/index.html別ウィンドウで開く

10. 現地語・一口メモ

  • 医師・・・ドクタ
  • 薬・・・オウソディ
  • 注射・・・スイ
  • 下痢・・・パカーラ
  • 傷・・・ガウ
  • 熱がある・・・ゾールチャ
  • 吐き気がする・・・ワックワック ラグネ
  • 頭が痛いです・・・タウコ ドゥクチャ
  • 胸が痛いです・・・チャティ ドゥクチャ
  • お腹が痛いです・・・ペト ドゥクチャ
  • 具合が悪い・・・サンチョ チャイナ
  • 咳が出ます・・・コキ ラゲチャ
  • 病院へ連れて行って下さい・・・オスパタル リエラ ザヌス
  • 高山病(高山でやられた。)・・・レク ラゲコ
  • 蛇に噛まれた・・・サルパレ トケコ
  • 犬に咬まれた・・・ククルレ トケコ
  • 蚊に刺された・・・ラムクテレ トケコ
  • かゆい・・・チラヨ
  • 下痢をしている・・・パカーラ ラゲコチャ
  • 発疹がある・・・ポカ ウテコチャ
  • 注射してください・・・スイ ラガイ ディヌス

11. 新型コロナウイルス情報

 ネパールでは、2020年10月、2021年4月、同8月、2022年1月と主に過去4回新型コロナ感染流行の波があり、特に2回目の2021年4月、デルタ株主体の流行時には死者も多く発生しました。現時点での感染状況は落ち着いており、検査や病院受診、マスクや消毒薬の入手等に関して特に問題はありません。ネパール入国時、ワクチン接種が2回済んでいれば、検査陰性証明は不要となっています。カトマンズ盆地内でPCR検査を受けられる医療機関はGrande International、CIWEC、HAMS、Mediciti、Star Hospital、Norvic(全て病院紹介に掲載あり)などで、このうちStar、HAMS、Medicitiは追加料金を支払えば、出張して検体を取りに来てくれます。ただし、患者数の減少に伴って今後、体制を縮小する可能性があるので、ご利用時には事前にご確認下さい。
 新型コロナ感染した場合、軽症であれば自宅やホテル等での療養が可能です。隔離期間については明確な規定が無く、医師から概ね7日間程度の療養を指示されることが多いようです。また、人工呼吸器があり集中治療が可能な病院の中で、外国人が多く利用するところは、Grande International、HAMS、Medicitiなどですが、残念ながら日本と同レベルの治療は期待できません。治療薬についても日本で使用されているものが必ずしも入手できるわけではありません。流行時にはICUベッドや人工呼吸器が一気に不足し、入院先を探すこと自体が難しくなる可能性があります。十分な補償額の海外旅行保険に加入しておくこと、及び感染予防に努めていくことが大切です。

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