世界の医療事情
カンボジア(プノンペン)
1 国名・都市名(国際電話番号)
カンボジア王国(国際電話番号855)
2 公館の住所・電話番号
- (首都)在カンボジア日本国大使館(毎週土曜日・日曜日休館)
- 住所:Embassy of Japan, No.194, Moha Vithei Preah Norodom, Sangkat Tonle
Bassac, Khan Chamkar Mon, Phnom Penh, Cambodia - 電話番号:023-217-161から4、Fax:023-216-162
- ホームページ:在カンボジア日本国大使館
- 在シェムリアップ日本国領事事務所(毎週土曜日、日曜日休館)
- 住所:Consular office, Sokha Palace Siem Reap Hotel, Road 60, Phum Trang, Sangkat Slorkram, Siem Reap, Cambodia
- 電話番号:063-963-801から3、Fax:063-963-804
- ホームページ:在シェムリアップ日本国領事事務所
(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。
4 衛生・医療事情一般
一年は大きく雨季(6から10月)と乾季(11から5月)に分かれており、気温は年間を通じて高く、熱帯性モンスーン気候に属しています。雨季には激しい雨が数時間降り、道路が冠水し、衛生状態も悪化します。乾季は11月から2月にかけて暑さが少し和らぎ、比較的過ごしやすくなりますが、3月から5月は最高気温が40℃近くになる猛暑が続きます。
一般的な衛生事情は日本に比べて劣悪です。医療水準も決して高くはありません。プノンペンには日系の私立病院やクリニックがあり、日本と同等の医療を受けることも可能ですが、高度な医療が必要になった場合や一部の診療科の治療は、バンコクやシンガポールで受けざるを得なくなることもあります。また、私立病院では支払保証の確認が行われますので、あらかじめ十分な額の海外旅行傷害保険に加入しておく必要があります。プノンペンとシェムリアップ以外の地域には、外国人向けの医療機関がほとんどありません。医師は英語を解しますが、看護師や技師など他の職員との意思疎通は通常クメール語になります。
5 かかり易い病気・怪我
(1)急性胃腸炎
細菌やウイルスに汚染された飲食物を口にすることで感染し、腹痛や下痢、発熱、嘔吐などの症状が出ます。原因により発症するまでの時間(数時間から数日)や症状は異なります。下痢がひどい場合は、脱水にならないよう水やお茶、スポーツドリンクなどで水分補給することが大切です。数日で回復することが多いですが、症状が重い場合や血便、発熱が認められる場合は医療機関を受診して下さい。飲食は衛生的な店を選び、生ものは避け、加熱されたものを熱いうちに食べるようにして下さい。
(2)デング熱
デングウイルスを有する蚊(ネッタイシマカ;日中に活動する)に刺されることで感染します。通常3から7日の潜伏期間後に突然の高熱で発症し、頭痛や関節痛、筋肉痛などの症状を伴うこともあります。市街地でも日常的に発生しており、蚊が発生しやすい雨季に患者が増加します。肌の露出を避け、虫除けスプレーや蚊取り線香を使うなど蚊にさされないようにしてください。特別な治療法はなく、症状に合わせた対症療法で経過をみます。時に重症化(デング出血熱)し、生命にかかわることもあります。高熱が認められた場合は迷わず医療機関を受診して下さい。
(3)寄生虫症
アメーバ赤痢やジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)が発生しています。これらの寄生虫が混入している飲食物を口にすることで感染します。発熱することは少なく、血便や下痢、腹痛、腹部不快感を生じますが、下痢や軟便だけが長期間続くこともあります。疑わしい場合は便検査を受けて下さい。治療は必要に応じて駆虫薬を内服します。
(4)マラリア
主として森林地帯や国境周辺部で発生しており、プノンペンやシェムリアップで感染することはまずありません。多発する地域に滞在しない限り、予防薬の服用は不要です。血液検査で診断することができ、治療薬の内服(ときに点滴)が必要です。治療をせずに放置すると命に関わることもあるため、流行地滞在後に高熱が出た場合は必ず医療機関を受診して下さい。
(5)狂犬病
カンボジアは未だに狂犬病発生国とされており、野犬や放し飼いの犬をよく見かけます。狂犬病のウイルスは犬以外にも馬やコウモリなどのほ乳類が保有しており、感染した動物の唾液が何らかの経路で体内に侵入することで感染します。狂犬病はいったん発症すると100%死亡する恐い病気です。予防接種(暴露前接種)はありますが、予防接種を受けたかどうかにかかわらず、犬などのほ乳動物に咬まれたり引っ掻かれたりした場合は、速やかに暴露後の接種を受ける必要があります。
(6)交通事故
交通量の増加に伴い事故件数が増加しています。車、バイク(電動含む)、オート三輪など様々な乗り物があり、交通ルールは日本人の感覚からすると全く守られていません。当地で交通外傷を負った場合には、搬送先の医療機関によっては適切な治療が受けられないこともあり、日頃から事故や怪我に遭遇しないように注意して生活することが重要となります。
6 健康上心がけること
(1)水・飲食について
飲用にはミネラルウオーターを使用して下さい。プノンペンの上水道浄化施設は、日本の支援により、飲用に適した水を供給できるようになりましたが、屋内配管や末端施設の貯水槽の管理が未だ十分とはいえないため、水道水はなるべく飲まないようにして下さい。
外食する際は衛生的な店を選び、火の通ったものを熱いうちに食べるようにして下さい。屋台は概して食材や食器、調理後の管理、調理人の衛生観念に問題があるため、利用は避けて下さい。魚介類は細菌やウイルスのほか寄生虫感染の危険もあるため、生食は避けて下さい。
(2)暑さ・紫外線対策
一年を通して気温と湿度が高く、熱中症や脱水症になりやすいため、暑さが厳しい時は無理をせず、こまめに水分補給をして下さい。日差しも強いため、屋外では帽子を着用し、日焼け止めを使うなど紫外線対策も心掛けて下さい。
(3)蚊対策
デング熱やマラリアなど多くの熱帯病は蚊に刺されることで感染します。長袖長ズボンを着用して肌の露出を減らし、虫除けスプレーや蚊取り線香を使用するなど十分な蚊対策をとって下さい。
(4)医薬品
日本でよく使われている薬でも、当地では入手できないことがあります。常用薬がある場合は、滞在期間に合わせて日本から必要な量を持参して下さい。薬局で購入する際は、保管状態の悪い薬や偽薬を避けるため、病院内あるいは利用客の多い大手の薬局を利用するようにして下さい。
7 予防接種(ワクチン接種機関含む)
(1)赴任者に必要な予防接種
入国に際して必要とされる予防接種はありません。
推奨の度合い:◎:強く、○:できれば、△:長期滞在者・医療過疎地旅行時
成人
◎破傷風、◎A型肝炎、◎B型肝炎、○日本脳炎、○腸チフス、○MR(麻疹・風疹;30から40歳代で免疫の低下した人が多いため)、△狂犬病
小児
日本の定期接種
◎4種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ)、◎MR(麻疹・風疹)、◎日本脳炎、◎BCG、◎B型肝炎、◎肺炎球菌、◎Hib、◎水痘
日本の任意接種
◎A型肝炎、◎おたふくかぜ、◎ロタウイルス、○腸チフス、○季節性インフルエンザ、△狂犬病
(2)現地の小児定期予防接種一覧
初回 | 2回目 | 3回目 | |
---|---|---|---|
BCG | 出生時 | ||
B型肝炎 | 出生時 | ||
ポリオ(経口) | 生後6週 | 生後10週 | 生後14週 |
ポリオ(不活化) | 生後14週 | ||
DPT-Hib-B型肝炎 | 生後6週 | 生後10週 | 生後14週 |
肺炎球菌 | 生後6週 | 生後10週 | 生後14週 |
麻疹・風疹 | 9か月 | 18か月 | |
日本脳炎 | 9か月 | ||
HPV | 9歳 (女児のみ) | ||
COVID-19 | 3歳以上の希望者 |
(注)DPT:ジフテリア・百日咳・破傷風、Hib:インフルエンザ菌b型
(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明
特に必要とされる予防接種はありません。
インターナショナルスクールでは予防接種記録の提出を求められます(親権者が記入したもの)。未実施のものがある場合は接種を求められることがあります。
日本のような乳幼児の健診制度はありませんが、生後6週までに4回の健診を受けるよう指導されています。
8 病気になった場合(医療機関等)
(首都)プノンペン
- (1)Sunrise Japan Hospital
- 所在地:#177E, Kola Loum Street (the Bay Road), Group 2, Phum 2, Sangkat Chroy Changvar, Khan Chroy Changvar
- 電話:023-260-152(予約)、023-260-153(日本語)、023-260-151(救急)
- ホームページ: Sunrise Japan Hospital(日本語を選択可能)
- Email: info@sunrise-hs.com
- 概要:東京・八王子の北原国際病院が開設した50床の総合病院。複数の日本人医師を含む多数の日本人医療スタッフが勤務。24時間救急対応。総合診療内科・救急科・脳神経外科・消化器科・一般外科・小児科・産婦人科・健康診断。海外旅行保険(キャッシュレス)対応。
- (2)Royal Phnom Penh Hospital
- 所在地:#888, Russian Blvd., Sangkat Toeuk Thla, Khan Sen Sok
- 電話:023-991-000、023-991-222(救急)
- ホームページ:Royal Phnom Penh Hospital(日本語を選択可能)
- Email: info@royalphnompenhhospital.com
- 概要:タイのバンコク病院系列の私立総合病院。24時間救急対応。内科・循環器科・消化器科・外科・救急科・整形外科・産婦人科・小児科・耳鼻科・脳神経外科・泌尿器科・歯科。医師の多くはタイ人とカンボジア人。海外旅行保険(キャッシュレス)対応。院内にジャパニーズ・ヘルプ・デスク(月曜日から土曜日、8:30から17:30, 023-990-681)があり、診察の予約や医療通訳サポートなどのサービスを提供。
- (3)Ken Clinic
- 所在地:#14A, Street 370, BKK1
- 電話:023-223-843、023-957-205(日本語専用)012-865-039(時間外相談)
- ホームページ: www.kenclinic-cambodia.com
- 概要:日本人医師が開業したクリニック。外科・内科・小児科・予防接種・健康診断。柔道整復師、鍼灸師による治療も可能。海外旅行保険(キャッシュレス)対応。
- (4)Raffles Medical Cambodia
- 所在地:#161, Street 51, Sangkat Boeung Raing, Khan Daun Penh
- 電話:012-816-911(予約)
- ホームページ:Raffles Medical Cambodia
- Email: enquiries_phnompenh@rafflesmedical.com
- 概要:欧米人医師、日本人小児科医が診療しているクリニック。総合診療科・専門医診療・救急診療・医療搬送・旅行医学・熱帯医学・予防接種・健康診断・VISA取得のための健診などが可能。海外旅行保険(キャッシュレス)対応。
- (5)Sun International Clinic
- 所在地:#18, Street 302, BKK1
- 電話:069-268-060(日本語)、092-116-613(日本語)、023-956-777(英語)
- ホームページ: www.siclinic.com(日本語を選択可能)
- Email: info@siclinic.com
- 概要:不定期ながら日本人専門医の診察を受けることができる総合診療クリニック。総合内科・皮膚科・形成外科・耳鼻科・アレルギー科・整形外科・消化器科・小児科・婦人科・健康診断。海外旅行保険(キャッシュレス)対応。
- (6)Denriche BKK Dental Clinic
- 所在地:#08A St.398, BKK1
- 電話:023-901-200、089-533-511、093-533-511(英語・日本語)
- ホームページ: http://www.facebook.com/denrichevtn/
- Email: denricheasiabkk@gmail.com
- 概要:日本人の歯科医師・歯科衛生士が診療している歯科診療所。
- (7)MALIS Dental Clinic
- 所在地:#445, Monivong Blvd(プノンペンタワー13階)
- 電話:012-513-222(日本語・英語)、023-964-142(英語)
- ホームページ: MALIS Dental Clinic(日本語を選択可能)
- Email: contact@malis-dental.com
- 概要:日本人歯科医師が診療している歯科診療所。日本人学校医。矯正専門医も勤務。
シェムリアップ
- (1)Royal Angkor International Hospital
- 所在地:National Route #6, Phum Kasekam, Khum Sra Ngea
- 電話:063-761-888、012-235-888(救急)
- ホームページ:Royal Angkor International Hospital(日本語を選択可能)
- Email: rahcustomerrelation@bgh.co.th
- 概要:タイにあるバンコク病院系列の私立総合病院。24時間救急対応。総合内科・総合外科・整形外科・小児内科・耳鼻咽喉科・産婦人科・予防接種・健康診断。医師はタイ人とカンボジア人。海外旅行保険(キャッシュレス)対応。院内にジャパニーズ・ヘルプ・デスク(月曜日から土曜日、8:00から17:00,063-766-750,日本語)があり、診察の予約や医療通訳のサポートなどのサービスを提供。
- (2) Angkor-Japan Friendship International Hospital
- 所在地:St. Bun Rany Hun Sen, Phum Chanlong, Sangkat Srange
- 電話:076-677-7879、087-789-150、012-408-314(日本語・24時間)
- ホームページ:Angkor-Japan Friendship International Hospital(日本語表記あり)
- Email: angkorjapanhospital@gmail.com
- 概要:日本の医療法人が設立運営支援する私立総合病院。24時間救急対応。総合内科・外科・救急科・眼科・歯科・健康診断。日本人医師と日本人看護師が常勤。通訳による日本語対応が可能。海外旅行保険(キャッシュレス)対応。
- (3) Hotel Docter Service(Un Sovanthan Clinic)
- 所在地:N;320 Group 1 Stung Tmei Village, Svaydangkhom Commune Siem Reap
- 電話:017-713-690(日本語)
- ホームページ:Hotel Docter Service(日本語)
- Email: info@hotel-doctor-service.com
- 概要:カンボジア人医師と日本人看護師が提供する日本人向けサービス。ホテル等への往診が基本。24時間救急対応。簡単な血液検査、投薬、点滴も可能。海外旅行保険(キャッシュレス)対応。
9 その他の詳細情報入手先
(1)ホームページ: 在カンボジア日本国大使館
(2)ホームページ: 世界保健機関 (WHO)
10 一口メモ
(注)以下の発音のカタカナ標記は便宜上のものであり、実際の発音とは異なることがあります。
- 医師:ロッ・クルー・ペーッ(男性)、ネアッ・クルー・ペーッ(女性)
- 薬:タァナム
- 注射:チャッ・タァナム
- 頭痛:チュー・クバール
- 胸痛:チュー・トゥルン(グ)
- 腹痛:チュー・プオッ
- 下痢:リアッ
- 発熱:クダウ・クルォン
- 吐き気:ミエン・アロム・チョン・ク・ウオッ(ト)
- 傷:ロブオッ
- マラリア:クロン・チャン
- デング熱:クロン・チ-ム
- 具合が悪い。:オッ・スルオル・クルォン
- ここが痛い。:チュー・ニィ(痛む場所を指で指す)
- 病院へ連れて行ってください。:ソーム・チューン・クニョム・タウ・ムンティーペーッ
- 日本大使館に連絡してください。:ソーム・テアットーン・サターントゥ・チャポン