世界の医療事情

ジンバブエ

平成28年10月

1 国名・都市名(国際電話番号)

 ジンバブエ共和国(国際電話国番号263)

2 公館の住所・電話番号

在ジンバブエ日本国大使館 (毎週土日休館)
住所:4th Floor Social Security Centre, Corner Julius Nyerere Way/ Sam Nujoma Street
電話:+263 4 250025/6/7
ホームページ:http://www.zw.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(注)土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので,ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

 ジンバブエはアフリカ南部の内陸国で,国土の約2分の1以上が標高1,100~1,500メートルの高地に位置します。首都ハラレは標高1,500メートルの高地にあり,年間を通じてしのぎやすい気候となっています。季節は大きく5月~10月までの乾季と11月~4月までの雨季に分かれます。6~8月は1日の寒暖の差が激しく,日中は暖かいが朝晩の気温は10度以下にまで下がります。逆に最も暑い時期は雨季入り前の10月で,日中の最高気温は30度以上に達します。

 当国の衛生状態は地域によっても大きく異なってきますが,2000年以降の政治や経済の混乱から非常に悪化しています。首都ハラレ市内においてもインフラの老朽化や整備の遅れ,上下水道や電気などの供給が十分でなく,井戸水を利用し自家発電を必要とする地域が多くみられます。また,近年は,雨季であっても十分な量の雨が降らないために,ダム等における水力発電量が下がり,電力が十分に供給出来なくなる傾向が生じており,とりあえずは隣国の南アフリカやモザンビークからの電力輸入でしのいでいますが,国内の電力供給状況は依然として不安定のままです。

 医療制度に関しては,公的医療機関を利用する場合は地域の診療所(看護師のみ駐在のものが多い)から順に郡病院・州病院,そしてハラレ市の国立パリレニャトワ病院等の総合病院を頂点とするリファラル制度を取っています。必ず地元のクリニックを受診し,必要に応じて上位病院へ紹介されていく仕組みです。総じて公的医療機関は政府の財政難等のために必ずしも衛生的ではなく,医薬品や衛生材料も払底しており,邦人の利用には適していません。他方,都市部には富裕層や外国人を中心に利用されている個人開業の医院や中規模の私立病院があり,邦人の利用実績もあります。ただし私立病院では,外来受診時,諸検査時,入院時などにその都度,保証金や前払いが求められるため,十分な額の現金を持参する必要があります。

 医療レベルは,2000年頃まではアフリカの中でも施設・スタッフ共に比較的整った国でありましたが,特に2008年から2009年のハイパーインフレ以降は医療関係者の頭脳流出が続き,保健・医療レベルは低下の一途です。公立病院ばかりでなく首都ハラレにある有力私立病院でも医師・スタッフ・医療衛生材料が不足する状況です。処置に関しては,例えば全身麻酔を要するような手術や複雑な処置,輸血(分娩時にも大量出血で必要となる可能性あり)は大きなリスクを伴いますので,救急外来で済むような簡単な応急処置を除いて当地での医療機関の利用は最低限に留めて,南アフリカや欧州などで治療を受けた方が賢明です。検査に関しては,一般的な血液検査やX線撮影は概ね可能ですが,血液検査等が自前(院内)で出来る医療機関は限られているため,医師不足と相まって診断に予想外の時間がかかることがあります。CTやMRI検査は,機器の台数が少ない上に,機器が旧式であったり故障して稼働できないことがあります。医療保険制度については,公的なものはなく,プライベートな健康保険が販売されていますが,補償額も低く,カバーされる医療機関も限られているようです。高額な国外への緊急移送費をカバーできる海外旅行傷害保険を掛けておくと安心です。

5 かかり易い病気・怪我

(1)経口感染症

 病原微生物に汚染された食べ物や水から経口的に感染します。当地で罹りやすい感染症として,コレラ,腸チフス,細菌性赤痢,アメーバ赤痢,A型肝炎などがあります。

 コレラは2008年8月にハラレ市で発生したものが,半年で全土に広がり2009年にかけて10万人が感染し,4,000人以上の死者を出す未曾有の大流行となりました。致死率は当初10%を超え,WHOの定める治療目標(死亡率0.1%以下)を大幅に上回りました。この結果は当時の当国保健医療の崩壊を反映したもので,ジンバブエは20世紀以降戦争や紛争国以外でコレラが流行した唯一の国と言われています。その後も散発的にコレラの発生が報告されていましたが,2014年1月以降は感染の報告はありません。

 腸チフスは2011年10月にハラレ市郊外で発生したものが,その周辺で感染が広がり5,000例を超える流行となりました。2014年10月も散発的に発生しています。また2016年1月よりハラレ市内で1,000例余りの腸チフスの再流行が発生し,収束まで約3ヶ月間かかりました。

 過去に邦人が関係したものでは,クリプトスポリジウムによる下痢症が在留邦人に複数発生しています。2008年にはハラレ郊外で日本人旅行者にA型肝炎の集団発生が起きています。

 ジンバブエにおいては,経口感染症の発生リスクは常時存在するものとして,注意してください。

(2)マラリア

 首都ハラレを含めて標高が1,300メートルを超える地域でのマラリア感染リスクは少ないと言われていますが,これより標高の低い地域では感染のリスクが高くなります。ビクトリア瀑布やカリバ湖周辺などのザンベジ川流域の観光地では,年間を通じてマラリアの発生が報告されています。その他の地域では,ここ数年は主に雨季に入ってから蚊の発生後の2月~5月にマラリアの発生が集中しています。マラリア流行地へ出かける場合は,防蚊対策や場合によってはマラリア予防薬の内服が必要になります。日本人では過去に地方で活動していた青年海外協力隊の隊員や自転車旅行者がマラリアを発症したことがあります。マラリアの診断は,血液での簡易診断キットがあります。疑われるときは,初回陰性でも再検査を受ける必要があります(偽陰性の場合があるため)。

(3)HIV感染症,結核,性感染症

 HIV感染率は軽度低下傾向にありますが,2014年の統計ではHIVの成人罹患率は16.7%に達し, 依然大きな社会問題となっています。通常の日常生活で感染することはありませんが,無防備な性交渉は感染リスクが高いことを意識して行動してください。また怪我人を手当てする際等,他人の血液や体液との接触には注意が必要です。輸血による感染も報告されており,ジンバブエ国立血液センター(NBSZ)によると,献血のスクリーニング検査での陽性率は,HIV 0.55%,B型肝炎 0.69%,C型肝炎 0.18%,梅毒 0.35%です。

 またハラレ市は人口200万人に対し,年間6,000人程の結核患者が報告されています。2014年の統計では,結核の罹患率は292人(人口10万人当たり)となっています。運転手やメイドを雇う際には結核に罹患していないことを確認する必要があるかと思います。

(4)花粉症,アレルギー

 当地では、毎年8月頃から春を迎えいろいろな花が咲き始めます。また,乾季のため土埃も一段と多く、風が最も強く吹く季節となるために,咽頭炎・鼻炎などのアレルギー症状が出始めます。その時期を過ごされる方は花粉症の薬を持参するなどの準備が必要です。当地を代表する樹木であるジャカランダに対するアレルギーも日本人の間で珍しくありません。また,南京虫やダニなどのアレルギーも見られます。

(5)交通事故と路上強盗

 道路上は車優先の社会です。歩行者は信号機があっても自分の目で見て安全を確認してから道路を横断してください。一般に車両の走行スピードが速く,整備不良車両も多く見られます。路面の陥没が多く,交通信号機の故障も目立ちます。また,交差点等で信号待ちの車の窓を割って金品を奪う,スマッシュ・アンド・グラブが多数発生しており,特に暗くなってからはそれを避けるために赤信号でも止まらない車両も珍しくありません。日本人の運転する乗用車が目標にされて,事故に巻き込まれる事例もあり,思いがけない「貰い事故」にも注意が必要です。

(6)その他

 ジンバブエ国内の湖沼・河川では住血吸虫症に感染することがあります。住血吸虫の中間宿主は淡水に生息する巻き貝などですので,淡水には「入らない・触れない」のが賢明です。

 近年ジンバブエ国内のゲームサファリでも,トリパノソーマ感染症(アフリカ睡眠病)が報告されていますので,参加者はツェツェバエに刺されないための防虫対策が必要です。

6 健康上心がける事

 当地に長期滞在をされる方は,私立病院の医療費でもカバーできる医療保険に入られることをお勧めします。また繰り返しになりますが,滞在期間の長短にかかわらず国外への緊急移送に備えて当地の緊急移送会社(MARSなど)のサービスも利用できる海外旅行傷害保険(特約の場合もあり)に加入されることをお勧めします。

(1)飲料水,飲食(経口感染症に対する注意)

 飲み水につきましては,ボトル入りの水を購入するか水道水は煮沸したものを飲み,生水を飲まないように注意してください。ハラレの上水道は設備の老朽化・水質処理用試薬の不足から水質悪化が進んでおります。

 市中の比較的高級なレストランでの食品衛生は今のところ比較的良好で,旅行者下痢症や食中毒にかかるリスクは他のアフリカ諸国や東南アジア諸国と比べれば比較的少ないと言えますが,屋台等を利用した後に急性胃腸炎を発症した日本人の例もあり,外食する際は信頼できるレストランを利用するなどの注意は必要です。また自宅で食事する際にも,調理の際には十分熱を通し,調理直後に食べるなど食品衛生の基本をお守りください。また外出後のうがいや食事前の手洗いの励行等,基本的な衛生観念は常に意識しておくことが経口感染症の予防には大切です。

 当地では,停電の頻発によりコールドチェーン(冷蔵運搬,冷蔵保管)は必ずしも維持されておりません。さらに保健衛生当局による食品衛生監視を受けない食材(肉,鶏卵等)がそのまま店頭に出回っていることもありますので,食材を買い求める際に鮮度や生産元を確かめる必要があります。

(2)日射病・日焼け

 当地は標高が高いため,年間を通じて日差しの有無で気温が大きく変わります。湿度が低く汗がすぐ蒸発するために水分補給を怠り,屋外活動中に脱水状態になったケースがあります。日差しが強く,冬季でも屋外に出る場合は,帽子・サングラスや日焼け止めクリームを使うなどして,日射病や日焼けの対策を講じてください。

(3)有害昆虫,蚊・ハエ(ハエ蛆症)・ノミ・クモ・蜂などに対する注意

 当地の住宅には窓にネットが張られていないためハエや蚊が入り込み易いようです。ペットを飼う場合には蚤やダニ対策も必要です。学童では蜂に刺されることも珍しくありませんので,蜂アレルギーのある場合はアナフィラキシーショックに対する備えが必要でしょう。外出時には皮膚露出面を少なくし,虫除け(DEET)を用いると良いでしょう。さらに当地では,ハエが洗濯物に卵を産みつけ,その幼虫が皮膚内に入り込むハエ蛆症がありますから,戸外に干した洗濯物は着用前にアイロンや乾燥機にかけることをお勧めします。

(4)寒さ対策・加湿

 当地では乾季の6月~8月は朝晩の気温が低く最低気温は10℃以下になりますので暖かい衣類や暖房器具があれば快適です。また乾期には湿度が低く,時には20%程度と極端に下がります。また土埃が多くなり,咽頭喉頭炎や,鼻炎の症状が出やすくなります。保湿剤の使用や寝室の加湿などの対策を工夫してください。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者,長期滞在者に必要な予防接種

 成人では A型肝炎,B型肝炎,破傷風,腸チフスの予防注射は必須です。釣りや登山などアウトドアスポーツを予定される方は狂犬病も接種されることをお勧めします。

 小児では,可能な限り日本国内で小児定期予防接種スケジュールに従って接種してください。さらに成人と同様にA型肝炎,B型肝炎,狂犬病も接種していると安心です。

 ハラレ市内には接種を行うクリニックが複数ありますが,停電によりワクチンの温度管理が難しい状況にあり,在庫状況も不安定です。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

 先に述べましたように,小児の定期予防接種につきましては,可能な限り日本国内で受けられることをお勧めします。当地での接種は回数,時期など日本とは違っています。

ジンバブエの小児の定期予防接種
ワクチン初回2回目3回目4回目5回目
BCG出生時
ポリオ(OPV)6週10週14週18ヶ月5歳
DPT(注1)6週10週14週18ヶ月
MMR
麻疹(はしか)9ヶ月
ムンプス(おたふく風邪)
風疹(ふうしん)
B型肝炎(注1)6週10週14週
インフルエンザ菌b型(注1)6週10週14週

(注1)5価ワクチンPentavalent(DPT + B型肝炎+インフルエンザ菌b型)が導入されています。

 2013年度から肺炎球菌とロタウイルスワクチンが導入されています。

ジンバブエの小児の定期予防接種
初回2回目3回目
肺炎球菌6週10週14週
ロタウイルス6週10週

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必用な予防接種・摂取証明

 当地のインターナショナルスクールでは,所定の様式の「Physician’s Report」の中に予防接種記録を記載する項目が含まれています。入学には3種混合(DPT),MMRとポリオは必須とのことです。

8 病気になった場合(医療機関等)

緊急搬送サービス会社

 公的な救急車には期待できないことから,救急時や重症患者発生時には,以下の救急車サービスの利用をお勧めします。

(1)MARS
ほぼ全国に支所があります。24時間対応,救急車搬送,航空機による国内外への救急搬送を行っている。
ホームページ:http://mars.co.zw/index/index.php/emergency-numbers別ウィンドウで開く
  • ハラレ 電話:(04) 771221/706034 / 携帯:0712 600 002
  • ブラワヨ 電話:(09)64082
  • マシンゴ 電話:086 4412 4294
  • ヴィクトリアフォールズ 電話:(013)44646 / 携帯:(0772)235 621
(2)ACE
24時間対応,救急車搬送,航空機による国内外への救急搬送を行っている。
電話:(04)302 141 / 携帯:(0782)999 901~4
ホームページ:http://www.ace-ambulance.com/別ウィンドウで開く
  • ヴィクトリアフォールズ 電話:(013)4771 1 / (013)4722 2

診療所・一般病院

 邦人の利用実績のある私立病院を中心にお知らせいたします。連絡先に関しては通信会社の関係で,頻繁に変わることがありますのでご注意ください。(電話番号は2016年10月現在のものです)

ハラレ (大病院はハラレ中心地にあります)

(1)Avenues Clinic(私立総合病院,救急外来あり)
所在地:Mazowe Street, Harare
電話:(04)-251180~90/99,ファックス:(04)-252497/705872
概要:24時間オープンの救急外来を備えた私立の総合病院です。病床数は176床で集中治療室や新生児高度ケア室も併設されています。外国人患者も多く,日本人の緊急入院例があります。過去には邦人の出産例もありましたが,現在は勧めていません。小児救急の受け入れも可能ですが,専門医が常時待機している体制ではありません。
(2)Trauma Centre Borrowdale (24時間救急外来,ワクチン接種可)
所在地:1 Borrowdale Lane,Borrowdale,Harare
電話:(04)-886921~4,24時間ホットライン:0773 333 691
概要:24時間オープンの救急外来診療所です。内科,外傷,小児科,歯科の診察可能であり,HCUなどの入院施設もあります。2014年10月に開院。きれいな施設と新しい医療機器を備えています。黄熱を含め旅行者ワクチン外来でほとんどの予防接種が可能です。日本人の利用実績があります。
(3)Dr. Nasir Shaguster(一般開業医)
所在地:3F Medical Chambers, 60 Baines Avenue, Harare
電話:(04)-705733
概要:インド人医師による一般診療所。週日の昼間のみ診療しています。事前に予約が必要です。日本人の利用実績があります。
(4)Dr. Farayi S. Moyana(歯科)
所在地:First Floor Medical Chambers, 60 Baines Avenue, Harare
電話:(04)-762338/735213/
概要:日本人の利用実績があります。事前に予約が必要です。

ビクトリアフォールズ市

(1)The Health Bridge Private Hospital(24時間救急外来,ワクチン接種可)
所在地:No.95 West Drive, Victria Falls
電話:(013)-46634-5 携帯:0773 213 217
概要:24時間オープンの救急および一般外来病院です。内科,外傷,産科,歯科の診察が可能です。10床の入院施設があります。超音波診断装置とレントゲンの医療機器を設置しています。マラリア迅速検査キットを置いています。日本人の利用実績があります。黄熱を含め旅行者のほとんどのワクチンが24時間接種可能です。支払いは,現金の他,クレジットカード(VISA,Master)の使用も可能です。
(2)24HR CMC (CHINOTIMBA MEDICAL CENTRE)(24時間救急外来,ワクチン接種可)
所在地:5020 Chinotimba, Victria Falls
電話:(013)-431334-5,携帯:0712 597 513 ,0772 446 450
概要:24時間オープンの救急および一般外来病院です。総合内科,外傷,産科,歯科の診察可能です。6床の入院施設があります。超音波診断装置とレントゲン撮影装置の他,血液検査装置があります。マラリア迅速検査キットを置いています。黄熱を含め旅行者のほとんどのワクチンが24時間接種可能です。支払いは,現金の他,クレジットカード(VISA,Master)の使用も可能です。

9 その他の詳細情報入手先

(1)在ジンバブエ日本国大使館 ホームページ:http://www.zw.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

10 現地語・一口メモ

 当地の医療機関では英語による予約,診察,説明が受けられます。「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療英語)を参照ください。

 治療費については,その都度薬代や検査費用の前払いが求められます。入院時には現金で多額のデポジットを請求されることがあります。

 本稿は2016年10月現在の状況ですが,気候変動や当地の社会情勢の混乱により医療衛生事情が短期間で大きく変化する可能性があります。また従来マラリア発生が無かった地域でも突然にマラリアが流行するとか,狂犬病が急増するといった恐れなどがあります。常に最新の情報に基づいて行動してください。


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