世界の医療事情

チュニジア

平成29年8月3日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 チュニジア共和国(チュニス)(国際電話国番号216)

2 公館の住所・電話番号

在チュニジア日本国大使館(毎週土日休館)
住所:Ambassade du Japon, 9 Rue Apollo XI, Cite Mahrajene 1082 - Tunis, Tunisie
電話:71-791-251,71-792-363,71-793-417
ホームページ:http://www.tn.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(注)土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので,ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

(1)気候・地誌など

 地中海に面した北アフリカの小さな国で,南北にのびる16万平方キロメートル(日本の約5分の2)の国土に,約1,000万人が住んでいます(10,670,000人;2011年)。起伏に乏しい土地ながら,北部~中部には山岳地帯もあり,地中海性気候で,雨期には緑の大地が拡がります。南部には砂漠地帯も含まれ,乾燥した大地には広大なオリーブ畑を臨むことができます。夏季(6~8月)は,乾期で雨が降らず,首都チュニスでも気温が40℃を超えることがあります。冬季(12~2月)は,天候が変わりやすく平均気温は10℃前後ですが,防寒対策も必要になります。

(2)食品衛生・水質など

 基幹産業は,観光業と農業ですが,最近では製造業を中心に開発が進み「中所得国」と位置づけられています。そのため,都市部への人口集中と,工業地域における環境汚染が問題視されています。

 都市の水道水は,細菌学的には飲用可能ですが,塩素殺菌が強く味が悪く,老朽化した建物ではにごりの多い水が散見されるため,浄水あるいはミネラルウオーターが推奨されます。食品の流通は近年改善した印象もありますが,ラマダン月(断食月)にはとくに物流が停滞しがちです。近年ではストライキが頻発して,ミネラルウオーターや牛乳,小麦が店先から消える事態もあります。

 夏は特に,外食ファストフードによる食中毒も多いので,十分に加熱されたメニューを選び,衛生意識の高いレストランを見極めることが重要です。

(3)医療水準・医療制度など

 当国の医療機関は,公立と私立に分けられますが,両者の医療格差は顕著です。我々外国人でも公立病院を利用することは出来ますが,ここは実質的に低所得層現地人の医療の受け皿であり,医薬品の不足,医療者のストライキ,医療設備・機器の不備など,提供される医療サービスの質は低いため,受診をお勧めできません。

 一方,私立病院(クリニック)では,医療ツーリズムを推進する国の意向もあり,先進医療も受けられます。都市部には多数のクリニックがあり,ほとんどは24時間体制で救急患者を受け入れています。クリニックの医療費は高額ですので,十分な保険に加入しておく必要があります。

 また,都市と辺境地の医療格差も顕著です。辺境地では,病院はあっても医師や看護師がいない施設もあり,緊急に高度医療を必要とする場合,海外旅行傷害保険に付随する緊急移送サービスを利用して国外へ移送されるケースもあります。

 医療機関利用に際しても,日本とはさまざまな違いがあります。例えば,院内で全ての検査を済ませることが出来ず,血液検査は院外の検査所(ラボ)へ,レントゲンは画像検査所へ,と移動する必要があります。クリニックには,救急医と院長以外の医師は常駐しておらず院外のキャビネにいて,検査・手術など必要時にのみクリニックを利用します。一方,看護師はクリニックに所属しています。支払いも,医師への診療代金は,クリニックへの支払いとは,別に直接医師に払う場合が大半です。

 医療者のレベルは,医師も,看護婦も,個人差が大きいと思われます。

 公用語はアラビア語ですが,医療者はフランス語を話し,英語は通じない場合が多いです。むろん,日本語が通じる医療機関はありません。

 医薬品は,国が規制しニセ薬の氾濫や医薬品の不足が話題になることはありません。国内の至る所に薬局があり,医師の処方箋を持参すれば薬が購入できます。日本の薬は手に入りません。重要な医薬品は日本から十分に携行する必要があります。

5 かかり易い病気・怪我

(ア)交通事故

 交通事故死亡率は日本の4倍と推定されます。ドライバーの運転技術が未熟で,マナーが悪い上,整備不良車が多いこと,飲酒運転に対する規制が甘いこともあり,特に夜間の交通事故死は絶えません。また,交通事故に対応する救急車(ダイアル「190」)は,例外なく患者を公立病院に搬送するため,その後の対応が問題になることもあります。

(イ)熱中症および脱水症

 夏期は高温で乾燥します。脱水に注意し,水分及び電解質の摂取を心がけましょう。太陽光線も強いので,サングラス・日焼け止めなども必要です。

(ウ)西ナイル熱・季節性インフルエンザ

 9月~12月にかけては,蚊によって媒介される西ナイル熱が流行する時期です。チュニジアの海岸線地域は古くから西ナイル熱の流行地域として知られ,3~4年の周期で流行します。12月~3月までは季節性インフルエンザが流行します。ワクチンのある季節性インフルエンザに関しては,薬局に行けば,薬剤師が注射します。日頃からの「うがいと手洗いの励行」をお勧めします。

(エ)花粉症などのアレルギー

 2月下旬から5月を中心に,花粉(スギ・ミモザなど)が飛散するため,花粉症に悩まされる方は少なくありません。既往のある方は,個人に合ったお薬を持参されることをお勧めします。

(オ)消化管感染症

 大きな流行は報じられませんが,A型肝炎,汚染乳製品によるブルセラ症,サルモネラなどの食中毒,腸チフス,赤痢アメーバやジアルジアなどの原虫疾患は,首都でも感染する機会があります。地方の牧畜地域において家畜に接触して罹患するエキノコッカス症(寄生虫)や,生乳を飲んで感染する腎結核・消化管結核などの感染症があります。

(カ)その他 昆虫が媒介する病気

 ダニ(マダニ)による地中海紅斑熱,チュニジア内陸部・南部を中心に生息する小さなブユのようなハエ(サシチョウバエ)に刺されて媒介される皮膚リーシュマニア症などがあります。

(キ)狂犬病

 2011年の当国革命以後,政府による統制が弱まった結果,野犬数が増えた事と,飼い主のモラル低下により,予防接種を受けない犬も増えています。2013年には数十年ぶりに2名の現地人が狂犬病に罹患し死亡しています。不用意に見知らぬペットに触れないようにしてください。

(ク)異文化不適応症

 海外生活では,誰しも一定のストレスが生じます。時には,自分でも無意識のうちに,体調を崩したり,考えがまとまらなくなったりすることがあります。悩みすぎないうちに,誰かに相談しましょう。日頃からストレスを発散させ,溜めすぎないように自己管理する事も重要です。

6 健康上心がける事

(1)入国時の日本との時差(8時間)をはじめ,当地の気候・自然・人的環境への順応に数か月を要すると考えましょう。過剰に適応しようとせず,マイペースを保って少しずつ情報を蓄積し,人的ネットワークの形成を図ることをお勧めします。日本人同士でつながり,ときに日本語で十分に話すことも大事です。

(2)食生活では,小麦・パスタの主食も,味付け・香辛料も日本とは大きく異なります。日本食やアジア食材を入手することは困難ですから,各自で工夫する必要があります。野菜の種類も少なく,とくに夏期など緑黄色野菜を入手することが困難になります。日々の食生活をおろそかにしないように努めてバランスの良い食事を心がけましょう。

(3)最近では,首都を中心にジムやスポーツクラブも散見されますが,日本の生活に比べ歩く機会と時間が明らかに減ります。運動機会を設け,体を動かすことも,当地では大切な健康維持のひとつと言えます。体を動かすことは心の平穏にもつながります。

(4)前項の「当地でかかりやすい病気」等があるものの,アフリカ大陸にあってマラリアなど感染症がないかわりに,日々の脅威となるのは「交通事故」です。毎日,街のあちこちで事故に遭遇します。日本よりも明らかに人の命が軽く扱われます。夜間は不必要な外出や運転を避け,歩行者としても,運転者としても,乱暴な車に対して腹を立てず,安全第一を心がけます。

(5)事故や病気にかかったときには,適切な治療を求めて速やかに医療機関に受診しましょう。このとき,可能な限り,私立クリニックを選択するようお勧めします。最寄りのクリニックや民間救急車の電話を登録しておくことも一助になります。むろん,重篤な病気や事故で,高度治療が必要な場合に備え,国外搬送にも対応する海外旅行傷害保険への加入もお勧めします。

(6)当国の輸血は,国内の献血により確保されています。チュニスの輸血センターを中心に,拠点都市には血液センターがあり,血液製剤の管理と供給が行われます。以前は,輸血後肝炎やHIV感染の問題があったようですが,現在では,新しい検査法を導入して安全が確保されているようです。他方,医療従事者の針刺し事故によるC型肝炎の集団発生など,血液の取り扱いのずさんさを垣間見るエピソードもありますので,輸血を受けるような事態にならないことが大切です。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(ア)赴任者に必要な予防接種(成人・小児)

 当国に入国するために,接種が義務づけられたワクチンはありません。

推奨される予防接種

(1)成人
A型肝炎,B型肝炎,破傷風,(生活環境により腸チフスおよび狂犬病)。
(2)小児
DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風の3種混合),MMR(麻疹=はしか・流行性耳下腺炎=おたふく風邪・風疹),ポリオ,BCG,A型肝炎,B型肝炎,Hib(インフルエンザ菌b型),肺炎球菌。

(イ)現地の小児定期予防接種一覧 (外国人の接種はすべて自費負担です)

接種時期ワクチン
出生時
  • BCG
  • B型肝炎(1)
2か月
  • 5種ワクチン(注1);DTCPH(Diphterie, Tetanos, Coqueluche, Poliomyelite, Hemophilus (Hib)
  • B型肝炎(2)
  • 肺炎球菌(1)
3か月
  • 5種ワクチン(2)
  • 肺炎球菌(2)
6か月
  • 5種ワクチン(3)
  • B型肝炎(3)
  • 肺炎球菌(3)
15か月
  • MMR(注2)(=ROR(Rougeole, Oreillons et Rubeole
18か月
  • 5種ワクチン;追加接種
  • 肺炎球菌(4)
2歳までに
  • MMR(=ROR)(2)
2歳
  • A型肝炎(1)
2歳6か月
  • A型肝炎(2)

(注1)5種ワクチン;DTCPHとは,D=ジフテリア,T=破傷風,C=百日咳,P=ポリオ,H=インフルエンザ菌b型(ヒブ)の混合。

(注2)MMR;RORとは,R=麻疹(はしか),O=流行性耳下腺炎(おたふく風邪),R=風疹の3種混合のことでMMRのことです。

  • 上記一覧は,チュニスの小児科医の指示に基づいて作成しております。
    チュニジア保健省が発表したワクチンカレンダーとは一部異なります。
  • おたふく風邪,肺炎球菌,ロタウイルスのワクチンは任意。
  • 水痘(みずぼうそう)ワクチンは,当国では入手できません。

(ウ)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 入学に際しワクチン接種証明の提出を求められます。

 (定型フォームは学校のホームページ内に掲載されています。)

 接種履歴の分かる記録をご持参ください。

8 病気になった場合(医療機関等)

  • 以下に掲載します医療機関には24時間救急外来があります。
    一部を除き,治療費のクレジットカード払いが可能です。
  • 「救急車」には公・私の別があります。
    公共「救急車」はダイアル「190」で,ドクター同乗救急車(白地の車体に青で「SAMU」と書かれた)救急車が到着します。(これとは別に,ダイアル「198」で,警察の赤い救急車もあります。交通事故などでは,赤い救急車が,事故に駆けつけた警察ともに,機動する場合が多いです。)
    公共救急車は原則的に患者を「公立病院」に搬送し,搬送後に受ける医療レベルに問題を生じる場合もありますので,私立救急車を指定するのが無難です。ただし,現実には,自力で自動車移動が出来る状態ならば,個人で行かれた方が早く着く場合が多いです。
    【私立救急車】Allo Ambulance:71-780-000 ほか

チュニス

(1)Les Cliniques El Manars
所在地:rue Habib Chatti CP - 2092 - El Manar-1, Tunis
エル・マナールの丘の上にあります。
電話:71-885-000
ホームページ:http://www.clinique-elmanar.com別ウィンドウで開く
概要:チュニスNo.1の手術数を誇る心臓センターをはじめ,最新医療をすべて集めるクリニック。歴史も実績もあり,評判高いクリニック。
(2)Clinique AMEN Mutuelleville
所在地:20 Rue Aziza Othmana-Mutuelleville-1082 Belvedere, Tunis
邦人を含む外国人が多く居住するマルサ・シディブサイドから最寄り。
電話:71-79-1533
ホームページ:http://www.amensante.com別ウィンドウで開く
概要:アーメングループの総本山,心臓手術可。
(3)Clinique AMEN La Marsa
所在地:15 Avenue de la Republique - 2078 - La Marsa, Tunis
邦人を含む外国人が多く居住するマルサ・シディブサイドから最寄り。
電話:71-749-000
ホームページ:http://www.amensante.com別ウィンドウで開く
概要:外人居住区にあることから,邦人の利用率も高い総合クリニック。
(4)Clinique de la Soukra
所在地:36 rue Cheikh Mohamed Ennaifer - 2036 - La Soukra
大使館員の子女も通うアメリカンスクール近くにある指定クリニック。
電話:36-406-300
概要:脳神経外科,整形外科,リハビリに強みあり。人材教育を感じられる数少ないクリニック。
(5)Internationale Clinique Hannibal
所在地:Cite Les Pins Luc 2, 1053 - Tunis
新興開発地域 Luc 2にある最も新しい大規模クリニック。
電話:71-137-500
ホームページ:http://www.cliniquehannibal.com/別ウィンドウで開く
概要:新生児センターや放射線治療センターも備えた総合クリニック。
(6)Polyclinique Les Berges du Lac
所在地:rue du Lac de Constance, 2045 - Les Berges du Lac
Luc 1地区にある。
電話:71-960-000
概要:2000年開業の総合クリニック。最近,心臓血管センターを別棟に新設。チュニスで1,2位を誇る心臓手術件数をもつ。
(7)Institut Pasteur de Tunis (パスツール研究所・チュニス)
所在地:13 Place Pasteur B.P. 74, Belvedere - 1002 - Tunis
地名でもある「プラス・パスツール」は,日本大使館から徒歩5分。
電話:71-844-780
ホームページ:http://www.pasteur.tn/別ウィンドウで開く
概要:入院施設は持たない。犬に噛まれたときの狂犬病ワクチン接種所がある。その他,旅行者相談外来があり,ワクチン接種の相談にも応じている。ポリオ,髄膜炎菌,A・B型肝炎,破傷風,ジフテリア,腸チフス,麻疹,BCG可。イエローカードの発行が必要な黄熱ワクチンの接種は要予約で月・木曜日の8:00~に限定されている。

ハマメット(チュニスに近いリゾート地)

(1)Polyclinique Hammamet
所在地:Avenue des Nations Unies, 8050 - Hammamet
電話:72-266-000
ホームページ:http://www.polycliniquehammamet.com別ウィンドウで開く
概要:一般的な診療なら問題なく受けられる総合クリニック。

スース(チュニジア第3の都市)

(1)Clinique Les Oliviers
所在地:Boulevard du 7 Novembre Route Touristique, 4051 - Sousse
電話:73-242-711
ホームページ:http://www.cliniquelesoliviers.net別ウィンドウで開く
概要:総合クリニックで,MRIをはじめ最新機器も有する。

スファックス(チュニジア第2の都市)

(1)Polyclinique EL ALYA
所在地:Route de l' Ain km 2, Sfax, 3051 - Tunisie
電話:74-462-000
ホームページ:http://www.cliniqueelalya.com/別ウィンドウで開く
概要:100床程度の総合クリニック。清潔感のある施設で,高度医療も提供する。
岡山大学に10年勤務した産婦人科医Dr. CHEKIRの存在は特筆に値する。

ジェルバ島(チュニジアのリゾート島)

(1)Hopital Regional Sadok Makaden (公立病院)
所在地:Houmt Essouk - Jerba
電話:75-650-160
概要:島一番の公立総合病院。ツーリスティックゾーンには,私立のクリニックが複数あるが,この島ではここ以上に高度医療を提供するクリニックがない。(カード払いは不可)

9 その他の詳細情報入手先

(1)チュニジア保健省ホームページ:http://www.santetunisie.rns.tn/別ウィンドウで開く

(2)在チュニジア日本国大使館領事部E-mail:eoj.consul@en.mofa.go.jp

10 現地語・一口メモ

 若い医師の中には英語を話す者もいますが,看護師には英語を話す者はまれです。基本的にはフランス語による会話ですが,公立病院では利用者が現地人であることより,アラビア語(チュニジア方言)での会話が中心となります。フランス語,英語に関しては,「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療フランス語,英語)を参照願います。


Get Adobe Reader(別ウィンドウで開く) Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAdobe Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータに対応したソフトウェアを入手してください。

このページのトップへ戻る
世界の医療事情へ戻る