世界の医療事情

ナイジェリア

平成29年8月3日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 ナイジェリア連邦共和国(アブジャ)(国際電話国番号234)

2 公館の住所・電話番号

在ナイジェリア日本国大使館(毎週金曜午後,土日休館)
住所:No. 9, Bobo Street (off Gana Street), Maitama, Abuja, Nigeria
電話:(234-9)461-2713~2714,461-3289~90
ホームページ:http://www.ng.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(注)金土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので,ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

 最南部は熱帯モンスーン気候,中央部から北部はサバナ気候に分類されます。

 南部一帯は年間を通じて高温多湿です。北部地域のなかでも,標高の高い(約1,600メートル)プラトー州Jos周辺では比較的涼しく湿度もそれほど高くなりませんが,雨季にはほとんどの地域で湿度が高くなります。雨季には全国各地で大雨による洪水被害が出ることがあり,それに伴い水を介する感染症(コレラなど)が大流行することがあります。乾季となる10月末から3月(南部は12月から2月)にかけて,ハマターンHarmattan(又はハルマッタン)と呼ばれる砂漠からの乾燥した砂塵を含んだ貿易風が吹き,街に砂塵を降らせます。0.5~10マイクロメートルときわめて細かい砂塵であるため,眼・呼吸器系の異状のみならず,肺胞を通じて血流にも移行して心血管系にも影響を与えるとされています。

 人口密集地域(特にLagos)では排気ガス規制を受けない古い車や自動二輪車で道路が渋滞しており,廃棄物の野焼きとともに大気汚染の原因となっています。都市部でも多くは上下水設備が未整備であり,タンクの貯水を使用していることが多く,蛇口から出た水であっても飲用には不適切と考える方が良いでしょう。非都市部,貧困地域では,川の水や水溜まりの水を使用しているところが多く,非加熱の水や食べ物を口にするのは避けるべきです。飲水用には,キャップが一度開けられていたり壊れていたりしないBottled waterを購入してください。Pure waterと呼ばれる袋入りの水が安価で入手可能ですが,大腸菌混入の報告例もあり,保存状態も不確かなことから避けるほうがよいでしょう。ガス入りの水でガスが抜けていなければ未開封であることが確認できるためより安全です。

 一般的に手洗い等,衛生概念に乏しいうえに,各種感染症の保菌者も多いので,外食時には,非加熱食・加熱後放置時間の長い食物・氷冷物等の飲食は避けた方がよいでしょう。

 医療水準は全体的に教育,臨床,設備レベルともに低く,AbujaLagosIbadanといった都市部でも邦人の利用に耐えうる医療機関を探すのは困難です。医療機関受診時は現地通貨で前払い制が原則であり,検査,治療の追加に合わせて支払いを追加する必要があります。緊急医療についても同様の扱いをされます。高価な医療機器が導入されている一方,その運用が適切ではなかったり,検査結果の評価が不適切であったりするなど,アンバランスな面が見られます。医療機関や医師によって,設備や医療のレベルや信頼性に大きな差があります。初診時には受付で何科の医師の診察を受けたいかを明確に告げてください。当国での治療が不可能な怪我や病気の場合には,欧州・中東や南アフリカ共和国等への緊急医療移送と移送先での入院治療が必要になります。その際には高額(数百万~数千万円)な移送費用や自費治療費用が必要となりますので,渡航前に十分な額(治療費・移送費として3,000万円程度)の海外旅行傷害保険に加入しておくべきです。

 日本における119番のようなシステムはありません。タクシーなどを使って医療機関を直接受診するか,医療機関に救急車を依頼するしかありません。

 都市部ではあちこちで薬局pharmacyを見つけることが可能です。薬局で入手可能な薬のほとんどは欧州やインドや中国からの輸入薬ですが,ナイジェリア製の抗マラリア薬も流通しています。日本では医師処方箋が必須である医薬品でも,処方箋なしで買えることが多いのですが,服用に関しては用法,用量,アレルギー,禁忌,偽薬などに十分注意を払う必要があります。

 当国の周産期の妊婦及び胎児・新生児の死亡率,乳児死亡率は,世界の中でも極めて高いため,当地での妊娠・出産はお勧めできません。小児の帯同についても慎重に判断する必要があります。

主な保健関連の統計データ比較(WHO World Health Statistics 2015による)

主な保健関連の統計データ比較
  ナイジェリア 日本 アフリカ全体
平均寿命
(2013年)
全体55歳
男性54歳
女性55歳
全体84歳
男性80歳
女性87歳
全体58歳
男性57歳
女性60歳
死産率(出産1000対)
(2009年)
42 3 26
新生児死亡率(出生1000対)
(2013年)
37.4 1.0 30.5
1歳までの死亡率(出生1000対)(2013年) 74.3 2.1 59.9
5歳までの死亡率(出生1000対)(2013年) 117.4 2.9 90.1
母体死亡率(出生10万対)
(2013年)
560 6 500
HIV/AIDS有病率(人口10万対)(2013年) 1,979 6.4(2009) 2,669
結核有病率(人口10万対)
(2013年)
326 3 300

5 かかり易い病気・怪我

(1)マラリア Malaria

 世界のマラリア死亡の90%を,ナイジェリア,コンゴ民主共和国,エチオピア,ウガンダで占めるとされています。

 クロロキン耐性の熱帯熱マラリア chloroquine-resistant falciparum malariaが一年を通して流行しています。ナイジェリアでは人口の100%がマラリア感染地域で生活しているとされ,AbujaLagosなどの都市部でも例外ではありません。マラリアは雌のハマダラカ anopheles(蚊)を介して感染し,治療が遅れると死に至ることがあります。特に妊婦,乳幼児,小児は進行が速く重症度も高くなりやすいので注意が必要です。感染ハマダラカに刺された後,潜伏期間 incubation period(7~28日ぐらい)を経て,初期には主として急な高熱,頭痛などの症状が出現します。放置すると貧血や脳症や腎障害といった臓器症状を起こし重症化します。38.5度以上の高熱が急に出て,1日続いたらマラリアを疑います。5日以内の治療開始が重要です。

 対策は以下のABCDが強調されています。”A”とは危険を正しく認識すること(Awareness of risk)です。これには,マラリアが危険な発熱性疾患であること,ハマダラカに刺されることで感染すること,症状のみでは診断できないこと,ナイジェリアでは全土で一年を通じて危険があること,妊婦や小児は特に危険であることなどを理解することが含まれます。”B”とは蚊に刺されないよう対策(Bite prevention)することです。夜間(夕方~明け方)の外出時はなるべく避けてください。避けられない場合にはDEET20~50%含有の虫除け(repellent)を使用してください。一般に日本の虫除けはDEET含有量が低いため頻回に塗る必要があります。ハマダラカの吸血活動は夜間に活発になります。昼間のうちに室内に侵入し物陰に隠れている習性もありますので,昼間であっても窓を開放するのは危険です。窓,扉に網戸が完備していないなどの状態で,外部から蚊が進入しやすい場合は,夜間就寝中などには虫除けをしみ込ませた蚊帳(Insecticide treated net)の使用をお勧めします。”C”とは予防薬の内服(Chemoprophylaxis)です。WHO(世界保健機関),CDC(アメリカ疾病予防管理センター),イギリスのガイドライン等はナイジェリアへの渡航者に対し全土で年間を通じて予防薬内服を推奨しています。到着前に開始する必要があり,また持病等によっては服用できない場合がありますので事前にトラベルクリニックなどを受診して相談されることをお勧めします。Dとは早期診断と治療(Prompt Diagnosis and treatment)です。マラリアが疑われる場合は早急に医療機関を受診してください。マラリア対策はこれらの4つを組み合わせて行うことが重要です。
病院へのアクセスの悪い地域(24時間以内に信頼できる医療施設に行くことが出来ない)に滞在中に発症が疑われた場合に自己の判断で開始する方法(スタンバイ治療)も報告されていますが,緊急避難的な対策なのでそのような地域に入る際には事前にトラベルクリニックなどでよく相談してください。スタンバイ治療を開始してもその地に留まって様子を見るのは危険です。すみやかに医療機関のある場所に向かう努力をしてください。

 前述のとおり蚊に刺された後から発症までの潜伏期間が長いので,旅行を終えて日本に戻ってから発症することもあります。マラリア感染地域から日本に帰国した後,38度を超える発熱,頭痛や筋肉痛を伴う発熱などの症状が確認された場合,できるだけ早くマラリア検査可能な医療機関を受診してください。

 日本ではマラリア治療薬を常備している医療機関は限られていますので,下記ホームページを参考にして早期に受診してください。

(注)関西国際空港検疫所マラリアの治療に関する相談場所:http://www.forth.go.jp/keneki/kanku/disease/malaria/malchiryo.html別ウィンドウで開く

(2)鼻咽頭炎 nasopharyngitis 気管支炎 bronchitis 肺炎 pneumonia

 乾季と雨季の変わり目や「ハマターン」と呼ばれるサハラ砂漠からの砂塵の影響で鼻咽頭炎が多く見られます。最初は鼻水やくしゃみ,のどの痛みから始まり,次第に咳が出るようになり痰に膿が混じり(黄色)呼吸器の下部(気管支や肺)の炎症に進展することがあります。多くはアレルギー性,ウイルス性で始まりますが,しばしば細菌による肺炎に発展し,抗生剤による治療が必要となる場合もあります。こうした症状は重症化する前に,ただの風邪として放置せず早めに医療機関に相談されることが重要です。手洗いやうがいを心がけてください。また,気管支喘息の持病のある方は特別な注意が必要です。

(3)アメーバ赤痢 amebic dysentery,ジアルジア症 Giardiasis

 これらは,汚染された水・食事,手により容易に経口感染を起こします。

 アメーバ赤痢は腸管に感染する原虫により発症します。絞られるような腹痛と粘血便(いちごゼリー状)が特徴と言われますが,実際には粘血便を伴わないこともあります。慢性に経過した場合,症状はもっと軽微で気づきにくくなります。しかし腸の壁を侵しますので,そのまま放置しておくと貧血の原因になったり,さらに重篤な病状の原因になる可能性もあります。

 ジアルジア症(ランブル鞭毛虫症 Giardia lamblia)も原虫の一種で,小腸で繁殖し腸壁に張り付き腸の栄養の吸収を妨害します。上腹部痛と血液を伴わない激しい下痢を起こしますが,その後だんだん症状は軽快します。発熱はありません。やはり生水などからの経口感染が多く,川などでの水遊び,プールでの水遊びでも感染します。塩素消毒に抵抗性があるため,プールでも感染がありえますので注意してください。

 いずれも治療はフラジール(metronidazole)という薬を使用する事が一般的です。この薬を処方された場合には禁酒が必要となりますのでご注意ください。

(4)腸チフス typhoid fever

 サルモネラの一種であるチフス細菌 Salmonela Typhiによって汚染された食事などを介して経口感染で起きます。高熱が特徴ですが,日常的な診療では診断がなかなか難しく気づかれずにいる場合がかなりあり,いわゆる「不明熱」の状態で偶然発見されることがあります。「腸」という名前が付いていますが,必ずしも下痢にはならず,むしろ便秘が多いとされます。放っておくと腸からの出血や穿孔(穴が開く),腎不全やショックで重篤な状態になることがあります。自然治癒や不完全治療によって胆嚢へ菌が残り,継続的に便に排菌する感染源となってしまうことがあります。たとえ高級ホテルのレストランの料理人であっても無症状で保菌していることもあり得るため,高級レストランの食事でも,加熱が不十分である食事には注意が必要です。また,バイキング形式の食事では,保管が不十分であればネズミの糞などを通じて感染しやすいので,やはり十分な加熱を確認することが重要です。

 これらの,消化器症状を起こす病気の診断は時に難しく特別な検査を必要とすることもありますので,発熱や腹部症状を起こした場合には自己治療に頼らずに早めに医療機関を受診し異常の原因をはっきりさせて,適切な治療を受けるようにしてください。

 経口感染の予防には不衛生な食堂などでの生水や生野菜,未調理の食物などの食事の摂取をさけることが大切です。下水で汚染された海水域で採れた海産物も要注意です。御自宅で使用人を雇って料理をさせる場合は基本的衛生知識の教育と手洗いの励行,定期的な検査(便検査)を勧めます。

 予防にはワクチンが効果的ですが,日本では認可されていません。輸入ワクチンを扱っているトラベルクリニックあるいは経由地(先進国)の医療機関での接種が必要となります。

(5)コレラ cholera

 コレラはコレラ菌 Vibrio choleraeの経口感染によって起こる急性胃腸炎です。症状はコレラ毒素による激しい下痢と嘔吐,それに伴う脱水です。下痢は米のとぎ汁様 rice water stoolと言われます。潜伏期間は数時間~5日,通常は1~3日です。激しい脱水のために,水分と電解質の補給が必要となり,中等症以上では点滴治療が必要になります。ナイジェリアでは慢性的に感染者がいますが,雨季には飲水へのコレラ菌の混入が増え,特に感染者が増えます。2013年9月頃より発生した大流行はナイジェリア全土に広がり,2014年末にようやく沈静化しましたが2015年と2016年も各地で散発的に発生しています。不衛生な未加熱食品や生ものを避けてください。

 経口予防接種の効果が認められてきていますが,日本では認可されていません。輸入ワクチンを扱っているトラベルクリニックあるいは経由地(先進国)の医療機関での接種が必要です。1週間をあけて2回服用する必要があることと,服用後効果が出るまでに数週間が必要であることから,接種は早めに行う必要があります。なお,高価(100ドル程度)であるため,当国では輸入されておらず,接種不可能です。

(6)エイズ HIV/AIDS

 HIV(human immunodeficiency virus)の感染により慢性進行性の免疫不全症を起こす病気です。血液,体液を介して感染します。ナイジェリアでの感染率は3.2%(2013年)と推測されていますが,セックスワーカー,同性愛者,薬物常用者といったハイリスクグループとの無防備な性交渉が主な感染ルートとされています。売春宿の売春婦のHIV感染率は27%だったという調査もあります。食器や蚊を介して感染することはないといわれています。

(7)ウイルス性肝炎 viral hepatitis

 A型肝炎は糞便―経口の経路で伝わるA型肝炎ウイルスにより,潜伏期15~50日で発症します。38℃前後の発熱,食欲不振,全身倦怠感,尿濃染,黄疸などが症状で,3~4週間で回復します。0.5%程度が重症化・劇症化します。

 成人のB型肝炎は血液感染のみならず性行為による感染が増えています。B型肝炎ウイルスにより潜伏期1~6か月で発症します。75%は症状のでない不顕性感染で,残りはA型肝炎と同様の症状を起こします。2~3%が重症化・劇症化します。

 C型肝炎はC型肝炎ウイルスにより,輸血や不衛生な医療施設での手術などの外科的処置で感染することがよく知られています。潜伏期1~3か月で発症します。症状は軽症ですが,感染のうち70%が持続感染になり慢性肝疾患に進行します。

 特にB型やC型肝炎は感染しても症状がない場合や,症状だけは自然に改善して知らないうちにキャリアとなっている場合もあります。数年~十数年を経てから,肝硬変や肝臓癌に進展し感染していたことに気づくことがあります。

 輸血や不衛生な外科手術により感染する可能性も高いため,輸血が必要となるような大きな外傷や手術といった事態にならないようにすることが重要です。

 A型とB型肝炎に関しては,予防接種により予防が可能です。長期滞在を予定されている方には接種は必須です。基礎免疫をつけるだけでも半年のスケジュールが必要となりますので,長期滞在が決まったら早めに対策を練ってください。

(8)髄膜炎(髄膜炎菌性髄膜炎) meningococcal meningitis

 髄膜炎の中でも髄膜炎菌 Neisseria meningitidisによる髄膜炎を髄膜炎菌性髄膜炎と言います。高熱,出血斑 ecchymosis, blood spot,関節痛などから始まり,痙攣や意識障害といった神経症状に至ります。髄液,血液から髄膜炎菌を検出することにより診断します。流行性に起きるため流行性髄膜炎 epidemic meningitisと呼ばれることもあります。

 当国の北部から西側国境地域は,髄膜炎ベルト meningitis beltと呼ばれる世界でも罹患率の高い地域に属しています。その地域には,症状のない保菌者が多数いる可能性があります。従来は流行のほとんどはA群髄膜炎菌によるものでした近年はC群やW-135群の発生が発生し公衆衛生上の懸念になっています。

 くしゃみなどの飛沫を吸い込むことや,キス・ペットボトルの回し飲みなどの濃厚接触でも感染する可能性があります。1月から3月の乾季に感染者が多いとされますが,それ以外でも感染者は発生しています。

 感染発症すれば隔離入院集中治療が必要となりますので,疑わしいときにはICUのある大きな病院を受診してください。周囲に感染者が発生した場合には,シプロフロキサシン ciprofloxacinという抗菌薬によって発症予防処置が行われることがあります。

 感染予防のためにはワクチン接種が必要です。トラベルクリニックか,経由地(先進国)の医療機関で接種する必要があります。

 長期滞在予定者にはワクチン接種が必須です。

(9)ポリオ(急性灰白髄炎) poliomyelitis

 ポリオウイルスによるいわゆる小児麻痺ですが,成人にも感染します。感染者の糞便や咽頭分泌物から経口感染します。1~2週間の潜伏期のあと,かぜのような胃腸症状が出て,嘔吐とともに発熱し,3~5日間の高熱のあと麻痺(特に足)が出ます。多くは感染しても無症状で終わる不顕性感染ですが,いったん脊髄麻痺が出れば,麻痺症状が永続的に残る可能性が高く注意が必要です。

 小児よりも成人や妊産婦で死亡率が高いとされています。

 便からのウイルスの分離や血清診断により診断を確定しますが,当国での確定診断はかなり限定されます。麻痺が出て初めて発症が疑われ,確定診断に回されます。

 当国は世界でもポリオウイルス野生株が流行している3か国の1つですが,ワクチン由来株も認められています。特に北部の州では感染者が多く,撲滅に向け国際機関と協力して予防接種が行われています。野生型ポリオウイルスによる麻痺は2014年7月以来2年間発生がありませんでしたが,2016年8月に北部ボルノ州で2例の発生が報告され,ワクチン接種が届かない北東部国境での感染伝搬の継続が示唆されます。ワクチン由来ポリオによる麻痺は2015年5月が最後の発生です。CDCはナイジェリアへの渡航者全てに規定回数のワクチン接種を勧めています。さらに規定回数の接種を受けた成人には追加接種を一度すべきとしています。日本でも不活化ワクチンが認可され,一般医療機関でも接種受けやすくなりました。

 特に日本で1975年から1977年に産まれた方は抗体保有率が低いとされていますので,同時期生まれで長期滞在予定の方には強く接種を勧めます。

(10)蠅蛆症(ようそしょう) myasis

 表皮性の蝿蛆病と傷口の蠅蛆病と皮下の蠅蛆病が代表的です。

 表皮性蠅蛆病では,ハエが戸外に干した衣類などに産卵し,孵化後の初期の幼虫が夜間衣服を通して皮膚を刺入し吸血します。重症にはなりません。

 傷口の蠅蛆病では,放置された傷口や軟膏に蠅が産卵し,成長して傷口から入り込み組織に影響を与えます。傷は清潔な流水で洗浄し,清潔な絆創膏などで保護します。傷ができた場合には,破傷風 tetanusにも気をつける必要がありますので,病院を受診してください。

 皮下の蠅蛆病は,地面や湿った衣類やタオルなどに幼虫が寄生して,皮膚から浸入した後,1週間ぐらいで成虫が赤く腫れた皮膚から出てくるものです。

 予防が大切で,戸外に衣類を干さないのが一番効果的です。戸外に干す場合は陽の当たる場所に干してください。地面に置かれた洗濯物はハエの卵で汚染されている可能性があります。同様に地面に寝そべるのも感染のもととなります。雨季などで洗濯物が生乾きの状態であればアイロンをかけることで予防が可能です。

(11)狂犬病 rabies

 狂犬病ウイルスを持った犬がいますので,野犬には近寄らないように注意してください。狂犬病は犬以外にも猫やコウモリなどの哺乳類にも感染しますので,凶暴な哺乳類には気をつけてください。狂犬病は発症すると致死率はほぼ100%です。万が一噛まれた場合は,ただちに流水と石鹸で洗浄し,アルコール消毒してください。そして,医療機関で発病予防のワクチンを接種します。地方に長期滞在予定の方や野生動物との接触が予想される方は,事前の予防接種も勧めます。当地では抗狂犬病ウイルス免疫グロブリン(RIG)の接種はできませんのでこの治療が必要な場合は国外へ出る必要があります。

(12)マンゴーアレルギー mango allergy

 マンゴーはウルシ科の植物であるため,ウルシと同様のアレルギー物質を含んでいます。日本ではなじみが薄いですが,世界的には食物アレルギーの6%を占めるとされています。うるし,銀杏などでアレルギー症状を起こす人は同様にマンゴーでアレルギー症状を起こす可能性があります。ラテックスアレルギーの人には同様のアレルギー反応が起きることがあります。抗原性物質は皮の部分に多いのですが,果肉にも含まれますので,食後に発疹のみならず,口内,咽頭部が腫れることがあります。

(13)蛇毒 venom of fanged snake bite or viper

 多くの毒蛇の存在が報告されています。藪や草むらに不用意に入り込まないことが重要です。咬まれた場合には,速やかに地元の医療機関を受診してください。致死性の毒蛇の場合には,医療機関を受診する余裕もないままに死亡に至ることもあります。当地でも血清はごく限られた医療機関にしか保管されておらず,しかも一部の蛇毒用のみです。

(14)結核 tuberculosis

 結核は依然当国の死亡原因の上位にあります。医療コンプライアンスが悪いことにより未診断,未治療の結核患者も多いと推定されています。BCGも予防法の1つになり得ますが,不十分です。咳をしているなど感染が疑われる人の近くに行かない,あるいは行く必要のあるときには,N95マスクなどの使用を検討してください。結核に感染しても必ずしも咳などの呼吸器症状があるとは限らず,また,肺のみに病巣を作るわけではありません。日本に帰国後に微熱などの不定症状がある場合には,ナイジェリア滞在について医師に告げて結核検査を依頼してください。

(15)住血吸虫 Schistosomiasis, Bilharzioses

 寄生虫疾患です。川遊びや水浴びなどによって,知らぬ間に皮膚や孔から侵入して感染します。

 ナイジェリアは,腸管住血吸虫であるマンソン住血吸虫(Schistosomiasis mansoni)と尿路住血吸虫であるビルハルツ住血吸虫(Schistosomiasis heamatobium)の2種類の住血吸虫の高侵淫地です。ある地域の尿検査で,乳幼児の約70%に感染が確認されたとの学術報告もあります。川遊び後にしばらくして尿症状を発症し診断された方もいます。

 短期滞在では,感染しても滞在中に発症することはないと思いますが,帰国後の健康診断などで肝臓や尿路系の異常を指摘されたときには,この寄生虫感染も考慮する必要がありますので担当医にナイジェリア滞在歴を申告してください。

(16)河川盲目症/河川失明症 River blindness / Onchocerciasis

 ブヨ black-fly, gnatに刺されることによって,フィラリアの一種である回旋糸状虫 Onchocera volvulusの幼虫が人の皮膚に入り込み,皮膚で幼虫が成虫になり,マイクロフィラリアという幼虫を血液内に産出し続けます。このブヨは流れの速い河川で繁殖しますので近くにそのような河川と周辺地域が主な発生地です。イカダ下り white water raftingでの感染も指摘されています。ブヨに刺された後には,かゆみを伴う皮膚炎,皮下結節などを起こします。視力の低下から失明に至ることがあるためこのような病名がついていますが,眼症状が出現するのは,皮膚症状から数か月から数年経ってからとなります。したがって,帰国後しばらくしてから眼症状が出現することがありますので注意が必要です。

 ワクチンや予防薬はありませんので,ブヨの発生地域を避ける,肌を露出しない,昆虫忌避剤を塗るなどの蚊対策と同様の対策で防ぐしかありません。

 当国では2007年の統計では,約9,500人の患者が報告されています。

(17)交通事故

 歩行中のみならず,乗車中の交通事故にも注意が必要です。重症外傷に陥ると,輸血や外傷手術などさらに多くの危険が待ち受けています。マリンスポーツなどにも注意が必要です。

(18)その他

(ア)黄熱 yellow fever

 この数年は感染者が報告されていませんが,当国はWHOによる黄熱危険国にリストアップされています。ナイジェリアのイエローカード(黄熱予防接種証明書)要求は発生地からの黄熱ウイルスの持ち込み防止が目的なので日本などの非危険国からの入国では不要とされていますが,自らの感染防止のために接種してくることを勧めます。WHOは発行後10年経過したイエローカードでも手続きなく生涯有効とする勧告を出しましたが,ナイジェリアはこの勧告受け入れをまだ正式表明していません。当面は10年以内発行の証明書携行をお勧めします。ナイジェリアからの渡航者(旅行者を含む)にイエローカードの提示を求める国もありますのでご注意ください。

(イ)ペスト plague

 ネズミなどからノミを媒介して感染します。2007年に6人の感染者が報告されています。

(ウ)アフリカ眠り病 sleeping sickness

 アフリカトリパノソーマ病 African trypanosomiasisとも呼ばれます。2004年に29人の発症が報告されています。ツェツェバエ tsetse fly, Glossinaに刺されることにより寄生原虫のトリパノソーマが体内に入り発症します。傾眠,錯乱,昼夜逆転の後,昏睡状態になります。治療しなければ死に至ります。農村地帯に行く場合には,ツェツェバエに刺されないようにすることが一番の予防法です。

(エ)百日咳 whooping cough / pertussis

 2007年には約20,000人の発症と約100人の死亡者が報告されています。

(オ)ギニアウォーム Guinea-Worm, Dracunculiasis

 2004年に495例,2008年には38例が報告されていますが,2009年以降報告されていません。ナイジェリアは撲滅宣言をしました。

(カ)麻疹 measles

 2010年以降,毎年のように多数の患者が発生しています。CDCは2016年6月に渡航情報(現時点まで有効)を発出し,注意を呼びかけています。

(キ)バンクロフト糸状虫症 Wuchereria bancrofti

 2007年に3,726人の患者が報告されています。2010年の学術論文において,Cross River州で897人を検査したうちの15.5%に同虫のマイクロフィラリアが検出されたとの報告があります。発症者はそのうち15%程度ですので,不顕性感染者(感染しているが症状がない人)が多いと推測されます。

(ク)破傷風 tetanus

 2004年には4,000人以上の発症と,約200人の死亡者が報告されています。かすり傷でも破傷風になることがありますので,長期滞在者あるいは野外活動予定者は予防接種を勧めます。特に成年以上の方(最終の接種から10年以上経過した方)は若い頃の予防接種の効果が消失している可能性が高いので,追加接種が必要です。

(ケ)ジフテリア diphtheria

 2004年には1,400人の感染者と16人の死亡者が報告されています。

(コ)ラッサ熱 Lassa fever

 ナイジェリアのLassa村で最初の患者が出たことから,この病名がついています。4大ウイルス性出血熱の1つです。自然宿主はマストミス mastomys natalensis, praomys couchaと呼ばれる野ねずみですが,体液や排泄物や血液を介して,人から人へも感染もします。食料を室内に放置しないなどの防鼠対策をして下さい。農村部を中心に全土で一年中発生していますが,2015年11月からの発生は隣国ベナンまで波及する大規模なものとなり死亡率も通常と比べてとても高かったので大きな懸念となり,アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は2016年3月~8月に渡航情報を発出し注意を呼びかけました。

(サ)デング熱 Dengue fever

 4大ウイルス性出血熱の1つです。日中に活動するヤブ蚊 Aedesに刺されて感染します。疫学的な調査がされていないので,データはありませんが,ナイジェリアもリスク国とされ,当国を旅行した人が先進国で発症し診断されているケースが散見されます。

(シ)高病原性トリインフルエンザ Highly pathogenic avian influenza

 2007年にアフリカで最初の高病原性トリインフルエンザ患者の発生,死亡が確認されたのがナイジェリアです。それ以降はヒトへの感染例は報告されていません。しかしナイジェリア各地の養鶏場での大規模感染が発生しており,補償問題などから対策が進んでおらず公衆衛生上の懸念となっています。

(ス)鉛中毒 lead poisoning

 北部Zamfara州では,不適切な金採掘によって鉛中毒が発生し,4,000人以上の小児が中毒症状を発症し,460人以上の死亡者が出ています。神経毒となるため,成長途上の小児に神経症状が出やすくなります。同地区に滞在予定の場合は,水や鶏肉の摂取は避けるようにしてください。

(セ)エボラウイルス疾患 Ebola virus disease(エボラ出血熱 Ebola hemorrhagic fever

 2014年にラゴスとポートハーコートで20名の患者が発生し,うち8名が死亡しました。コウモリが自然宿主と考えられています。サルやヒトへも感染します。ヒトからヒトへの感染は患者や死体の体液との濃厚な接触により起こります。特異的な治療法はなく対症療法を行うことになります。死亡率は最大で90%とされています。患者や野生動物との接触を避けてください。治癒後も精液には長期間ウイルスが排出されるとされていますので回復した患者と性行為を少なくとも3か月は避けてください。西アフリカには葬儀の際に死体に接触する儀式を行っている地域もあり,これにより感染が広まった可能性が指摘されています。現地での葬儀への出席は避けてください。

(ソ)中東呼吸器症候群  MERS-CoVMiddle East respiratory syndrome coronavirus

 患者の入国や発生はまだありませんが,ナイジェリアのラクダからはMERS-CoVの抗体が検出され,患者発生が危惧されています。念のため動物に近づくこと,特にラクダとの濃厚接触は避けてください。

6 健康上心がける事

(1)なまもの,生水は避けてください。切り売りされた果物も各種感染症保菌者の手指から汚染されている可能性があります。火を通した食物でも時間の経過とともに温度が下がると再び病原体の繁殖を許す状態になります。調理して時間のたった食物には生ものと同様,注意が必要です。電気事情の悪い当国では,氷冷物も病原体の繁殖した状態で氷冷されている可能性がありますので避けたほうが無難です。

(2)洗濯物はなるべく戸外に干さないようにしましょう。

(3)地面に寝そべるのもある種の寄生虫などの感染のもとになります。これには鉤虫や糞線虫などのやっかいな寄生虫も含まれます。またサハラ砂漠以南の熱帯・サバンナ地域の地面にはある種のハエの吸血性の幼虫がおり,寝そべるヒトや動物を刺して痛みなく吸血をします。土に触れた後には必ずその部を洗いましょう。

(4)湖沼や河川での水遊びは住血吸虫症の感染原因になりえます。こうした水域では手足を浸す程度でも危険です。

(5)手洗い,うがいを心がけてください。

(6)屋外でスポーツをする場合は水分補給を心がけ,熱中症に注意しましょう。また,紫外線が強いので日焼け止めや帽子が必要です。

(7)草むら(ゴルフ場でも)にはコブラ等の毒蛇がいますので入らないようにしてください。

(8)蚊対策を十分に行ってください。日本の虫除けスプレーはDEETの含有量が少ないため,頻回にぬる必要があります。DEETが20~50%含有の製品を購入してください(当地でも購入可能ですが,DEETの含まれていない製品もありますので有効成分を確認してください)。網戸のないところや屋外で寝る際には,蚊帳を使用してください。出来るだけInsecticide treated netを使用してください。

(9)交通事故などの外傷事故に遭わないように十分気をつけてください。

(10)胃切除後の方,胃潰瘍や逆流性食道炎にて胃酸を下げる薬を服用中の方は,病原体に対する胃酸のバリアが低下している可能性がありますので,特に飲食物の選択には十分注意を払ってください。

(11)持病をお持ちの方は,万が一のために英語での診療状況説明書をかかりつけの医師に書いてもらい携帯してください。

(12)短期旅行でも,万が一のために海外旅行傷害保険への加入を勧めます。特に,緊急医療搬送に対しては3,000万円程度かけておくべきです。カード付帯旅行保険のみでは不十分です。

(13)医薬品を薬局で購入する際には,あらかじめ病院を受診し,医師の診察を受けて処方箋を発行してもらうことをお勧めします。また,インドなどからの偽薬も流通し始めているとの情報もありますので,出来るだけ信頼の置ける薬局で適正な価格で購入してください。有効期限とNAFDAC(ナイジェリア食品薬品管理規制局)の印字も確かめてください。

(14)各種予防接種,マラリアの予防内服については,滞在期間,地域,ミッションの内容,個人のアクティビティのレベル,治療中の病気,既往歴などによって異なります。余裕を持ってかかりつけ医と共にトラベルクリニックなどの旅行外来に相談してください。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種(成人,小児)

 黄熱危険国からの入国に際し黄熱ワクチン接種証明書(いわゆるイエローカード)の提示が求められます。日本は危険国ではないので危険国を経由せずに入国する場合は提示の必要はありませんがが,最近のアンゴラやコンゴ(民)での流行を受けてこの方針は変更される可能性があります。また悪天などのフライトの関係などでやむなく流行国を経由してしまうこともありますので,予防接種を受けてイエローカードを取得,携行することをお勧めします。ナイジェリアはWHOの黄熱危険国リストに載っていますので,ナイジェリアを経由して他のアフリカ各国に入国する際にはイエローカードが必要とされます。WHOは発行後10年経過したイエローカードでも手続きなく生涯有効とする勧告を出しましたが,ナイジェリアはこの勧告受け入れをまだ正式表明していません。

 日本ではいくつかの検疫所とその指定医療機関でのみ接種可能です。生ワクチンであるため,接種後次の別な予防接種まで27日以上あけなければならないため時間的に余裕を持って接種計画をたてる必要があります。また,抗体獲得まで10日かかるため,接種証明書(イエローカード)は接種後10日後から有効となります。出発間際の接種では間に合いません。

 黄熱予防接種の他にA型肝炎,B型肝炎,Tdap(成人用ジフテリア・百日咳・破傷風混合),狂犬病,腸チフス,髄膜炎菌(できれば4種混合のACWY),ポリオの予防接種が必要です。麻疹の予防接種回数が2回未満の方や回数が不確実な方は,麻疹の予防接種を受けることをお勧めします。

 上記のうち,Tdap,腸チフスについては,日本では輸入ワクチンに頼らざるを得ません。トラベルクリニックなどで扱っています。

 ポリオに関しては,日本でも不活化ワクチンが認可されたため一般医療機関でも接種を受けやすくなりました。

 小児期にポリオワクチンの接種を受けていても,抗体が低下していたり,すべてのタイプに対して抗体が出来ていないことがあります。特に1975年(昭和50年)から1977年(昭和52年)に日本で産まれた方は抗体獲得率が低いとされていますので,接種を強く勧めます。

(2)小児定期予防接種一覧

小児定期予防接種一覧
ワクチンの種類 対象疾患 対象年齢 接種量 接種回数 最小接種間隔 接種方法及び接種部位
BCG 結核 出生時 0.05ミリリットル 1回 - 皮内,
左上肢
DPT ジフテリア
百日咳
破傷風
生後6週
生後10週
生後14週
1回あたり
0.5ミリリットル
3回 4週 筋注,
大腿外側
ポリオ
(生ワクチン)
ポリオ
(急性灰白髄炎)
出生時
生後6週
生後10週
生後14週
1回2滴 4回 4週 経口
口内に滴下
麻疹 麻疹 9か月~
11か月
0.5ミリリットル 1回 - 皮下,
左上肢
黄熱 黄熱 9か月~
11か月
0.5ミリリットル 1回
(10年毎)
10年 皮下,
右上肢
B型肝炎 B型肝炎 出生時
生後6週
生後6か月
1回あたり
0.5ミリリットル
3回 - 筋注,
大腿外側
Hib インフルエンザ菌b型(Hib) 生後6週
生後10週
生後14週
1回あたり
0.5ミリリットル
3回 4週 皮下

 予防接種の時期は生後3か月頃から開始される日本に比べて一般に早く開始され,出産のチャンスをとらえて小児の多くの定期接種が開始されます。ポリオは日本では2回の接種のところを4回行います。

 公的医療機関では在留者は無料で受けられることになっていますが,在庫が少なく接種が遅れることが多くなります。一方で,私立医療機関では有料ですが比較的在庫を確保しており,若干早く接種出来るようです。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 AbujaLagosといった主要都市にあるナイジェリアの現地校,一部のインターナショナル・スクールでは入学時に当国政府の定める小児の定期予防接種(上記)の証明以外,特別の予防接種を要しません。しかしインターナショナル・スクールによってはこれとは別に風疹・急性耳下腺炎,髄膜炎菌性髄膜炎の予防接種を必要とするところもあります。これらのワクチンをあらかじめ接種されておくことをおすすめします。

 特に近年麻疹が大流行しておりますので,麻疹の予防接種を求められるかもしれません。

8 乳児検診

 特に行われていません。

9 病気になった場合(医療機関等)

 日本における119番のような救急医療システムはありません。タクシーなどを利用して最寄りの医療機関を早めに受診してください。

 英語での受診が可能です。また,受診時には,可能であれば前もって電話予約を入れてください。クレジットカードはほぼ使用できないと考えてください。少なくとも10万ナイラ(日本円で約4.5万円)程度の現地通貨を持参してください。急病や外傷であっても前払いしない限り,検査や診察を受けることができません。患者登録時に身分証明書の呈示を求められることも多く,パスポートを忘れずに持参してください。衛生的に問題がある医療機関が多く,侵襲的な検査や外科治療については,可能であれば国外の信用のおける医療機関での治療を勧めます。医師はいくつかの病院をかけもちで働いていることが多く,曜日によっては専門医が不在のことがあり,数日後に受診するように求められることもあります。

 ナイジェリア国内で働いている医師の数と,国外で勤務あるいは留学している医師の数が同数と言われています。優秀な人材ほど国外に流出しています。ナイジェリア国内には多くの病院,診療所がありますが,X線を備えて一見西洋医療機関と思っても実際には伝統医療を行っているところも多く,特に地方ではその傾向が強いと言えます。

 以下では,主として外国人が受診したことがある医療機関を記載します。日本語を解するドクターは皆無です。英語の問診票などに記載したうえで受診するほうが(10 その他の医療情報入手先(9)を参照ください),誤解が生じにくいと思われます。記載の電話番号等は最新のものであることを確認していますが,断線や頻繁な番号変更のため通じないことがよくありますので注意が必要です。

Lagos

(注)ラゴス国際空港には旅行客を対象とする空港クリニックはありません。

(1)St. Nicholas Hospital(セントニコラスホスピタル)
住所:57 Campbell Street, Lagos Island.
電話:080-2290-8484,080-3525-7292
ホームページ:http://www.saintnicholashospital.com/別ウィンドウで開く
概要:歴史のある病院です。75床の一般内科,外科,産婦人科,小児科の総合病院ですが,小児科に常勤医はいません。夜間は常時2人の医師が勤務し24時間受診可能。CT,超音波,X線検査が受けられます。
(2)Kamorass Specialist Clinics(カモラススペシャリストクリニック)
住所:238 Muri Okunola Street, Victoria Island
電話:(01)-461-2032
ホームページ:http://www.kamorassclinics別ウィンドウで開く
概要:英国でトレーニングしたドクターとナースが勤務していて,設備も整っています。救急には24時間対応しています。常勤医は家庭医のみですが予約により専門医受診も可能です。
(3)Eko Hospital(エコー病院)
住所:31 Mobolaji Bank-Anthony Way, Ikeja
電話:01-271-6997,080-2308-6991
ホームページ:http://www.ekocorpplc.com/別ウィンドウで開く
概要:空港シェラトンホテルに近接。CTも装備しています。歯科を含む全科を備えています。救急には24時間対応しています。ラゴス国際空港には旅行客を対象とする空港クリニックはありませんので,緊急時には同病院がもっぱら使用されています。
(4)Reddington Hospital(レディントンホスピタル)
住所:12 Idowu Martins Street, Victoria Island, Lagos
電話:01-271-5340~3,081-2800-8188
概要:2006年3月にThe Heritage Hospital & The Cardiac Center(ヘリテージ病院及び心臓センター)から総合病院となりました。外観と内装はきれいで清潔感があります。常勤は40人で,循環器科,外科,産婦人科,小児科,整形外科,耳鼻咽喉科,眼科を標榜しています。救急部門は15名の医師がローテンションで担当し常時2名以上待機,24時間対応しています。院内に外国人家庭医による診察部門を設置しています(Maxy Family Clinic)。病室はほとんどが個室でテレビ,エアコン,バス付きです。病院専有の救急車がありますが1回の使用料は1,000米ドル以上します。MRI,CT,マンモグラフィなどを備えます。
(5)AVE. MARIA HOSPITAL(セント・マリア・ホスピタル),旧St. MARIA HOSPITAL
住所:Plot 52 Adetokunbo Ademola Street, Opposite Tantalizers, Victoria Island, Lagos
電話:(01)-461-7755~6,070-8675-6096
概要:St. Maria Hospitalから名称が変更されました。ロシア人夫婦(夫が内科医,妻が小児科医)による経営で,1995年末に開院し1996年6月に現在の場所に移転しました。24時間体制で救急車もあります(ドライバー2名が交替で待機)。手術室が1室あり,産婦人科や外科の手術も可能ですが,手術に携わる医師は常勤ではありません。入院施設は2人部屋が5部屋あり,各部屋にトイレ・バスが付いています。各種予防接種も行っています。この病院は小規模ですが邦人の利用が多い病院です(基本的に内科系)。超音波等の医療機器は古めです。
(注)AVE. MARIA HOSPITAL(セント・マリア・ホスピタル)分院も開設しました。
分院住所:722A, Adetokunmo Ademora Street, Victoria Island
分院電話:070-8675-6096
(6)IMC(International Medical Clinic) SOS(インターナショナルメディカルクリニック)
住所:23 Temple Olu Holloway Road, Off Kingsway Road, Ikoyi
電話:01-462-5600,緊急用:080-5500-7344,081-7024-0135,080-3535-2383
概要:インターナショナルSOS直営クリニックです。会員制の病院です。受診には事前の契約が必要です。救急には24時間対応しています(救急も会員のみ)。
(7)Schubbs Dental Clinic(スカッブス歯科医院)
住所:Ikoyi office : 22B Milverton Rd Ikoyi (opposite. St. Savior's School)
電話:Ikoyi office : 080-6685-6109,070-4631-0734
Dental Emergency consult:0803-322-8553(携帯)
ホームページ:http://schubbsdental.com/別ウィンドウで開く
概要:清潔感があり,設備も整っています。

Abuja

(注)アブジャ国際空港には空港クリニックはありません。

(注)アブジャの下記4病院(歯科を除く)では全て24時間受診可能です。しかし,夜間には専門医は常駐していません。

(1)Zankli Medical Center(ザンクリ・メディカル・センター)
住所:Plot 1021, B5, Shehu yYar'Adua Way, Opposite Ministry of Works, Utako, Abuja
電話:09-291-1165,291-1166,081-2945-8331
ホームページ:http://www.zankli.com/別ウィンドウで開く
概要:診療科目は一般内科,産婦人科,小児科,皮膚科,耳鼻咽喉科,眼科,歯科など多岐に渡りますが,小児科と歯科が充実しています。X線撮影装置,CT,マンモグラフィー,超音波検査装置を備えます。特別室も備えています。マラリア検査は免疫抗原検査でも可能です。併設の薬局とともに24時間体制で救急患者にも対応しています。
(2)St. Francois Medical Centre(サン・フランソワ・メディカル・センター)
住所:Plot 501, Bangui Street, Wuse II2 , Abuja
電話:081-3883-2650,070-9870-5693
概要:4名の外国人医師が勤務,病院内で生活しています。受付は24時間です。手術室はありません。X線装置を更新し新機種を導入しました。血液検査の機器も新しく,各種ワクチンも揃っています。CTやMRIはありません。入院ベッドは3床あります。
(3)Abuja Clinics(アブジャ・クリニックス)
住所:No22 Amazon Street, Maitama, Abuja
電話:09-291-6589,09-291-6590,080-3665-0436
ホームページ:http://www.abujaclinics.com/別ウィンドウで開く
概要:私立の総合病院で料金は高めです。在籍の常勤医師は41名おり,24時間受付しています。外交団が多く利用する病院です。デジタルX線装置,CT装置や人工透析の設備(4台)あります。ベッドは37床ですが個室は少なくほとんどが2人部屋です。救急車と搬送車を備え,救急車にはAEDも搭載しています。
(4)National Hospital (ナショナル・ホスピタル)
住所:132 Centre Area, Phase2, Garki District, Abuja
電話:(Ambulance)080-7226-1913,080-3492-8531
Information)080-3787-9543
Emergency)080-9759-2212
ホームページ:http://www.nationalhospitalabuja.net/別ウィンドウで開く
概要:国立総合病院。総合病院として歯科も含め一通りの診療科を備え,手術も積極的に行っています。2014年に外傷センターを開設し,同年6月の爆弾テロの際も重症患者を受け入れました。公立病院なのでしばしばストライキが発生しています。
(5)Nyzamiye Hospital(ニザミエ・ホスピタル)
住所:Plot 113 Sector S. Cadastral Zone Life Camp, Abuja
電話:09-291-5173~5
概要:2013年8月に開業しました。清潔感は先進国並みで,邦人が比較的抵抗感なく受診できるアブジャ唯一の病院と言えます。MRI,CT,マンモグラフィーなどの各種医療機器も新しいものを揃えています。24名の常勤医師のうちの多くはトルコ人です。標榜科は救急,脳外科,一般外科,産婦人科,心臓科,小児科,眼科,内科,泌尿器科,神経内科,耳鼻咽喉科,歯科,麻酔科,放射線科,整形外科です。病床は55床でそのうちの3床はICUです。救急には24時間医師が待機しています。装備の整った救急車も備えており,アブジャ市内からの利用料は25,000ナイラです。
(6)Lagrent Dental Clinic(ラグレント・デンタル・クリニック)
住所:Floor 02, Transcorp Hilton Hotel, 1 Aguiyi Ironsi Street, Maitama, Abuja
電話:080-5590-2889,070-3978-4006
緊急時 080-3059-1029
ホームページ:http://smiledentalgrp.com/別ウィンドウで開く
概要:ヒルトンホテル内の歯科医院です。Floor 2ではなく,Floor 02にありますのでご注意しください。小さな施設ですが設備は新しく清潔感があります。比較的高額です。
診療時間:月曜日~金曜日 午前9時~午後5時半,土曜日 午前9時30分~午後4時
(7)Ideal Dental Clinic(アイディーアル・デンタル・クリニック)
住所:Basement shop 1, Ceddi Plaza, Plot 264 Tafawa Balewa Way, Central Area, Abuja
電話:070-8849-5218,070-8515-1651
緊急時 080-2462-5362
ホームページ:http://www.idealdentalservices.com/別ウィンドウで開く
概要:3人の歯科医師で経営しており,清潔感があります。
診療時間:月曜日~金曜日 午前8時~午後6時,土曜日 午前8時~午後4時

10 その他の詳細情報入手先

(1)在ナイジェリア日本国大使館:http://www.ng.emb-japan.go.jp/j/別ウィンドウで開く

(2)厚生労働省検疫所:http://www.forth.go.jp/別ウィンドウで開く

(3)米国大使館 医療情報:https://ng.usembassy.gov/u-s-citizen-services/local-resources-of-u-s-citizens/doctors/別ウィンドウで開く

(4)米国CDCによるナイジェリア渡航医療情:http://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/nigeria.aspx別ウィンドウで開く

(5)英国によるナイジェリア渡航に関する健康情報:http://www.fco.gov.uk/en/travel-and-living-abroad/travel-advice-by-country/sub-saharan-africa/nigeria?ta=health&pg=5別ウィンドウで開く

(6)英国高等弁務官事務所 医療情報:http://ukinnigeria.fco.gov.uk/en/help-for-british-nationals/別ウィンドウで開く

(7)ナイジェリア保健省:http://www.fmh.gov.ng/別ウィンドウで開く

(8)Global Polio Eradication Initiative (ポリオの最新感染状況を知るために):http://polioeradication.org/where-we-work/nigeria/別ウィンドウで開く

(9)英語問診票:http://www.k-i-a.or.jp/medical/pdf/ENG.pdf(PDF)別ウィンドウで開く

11 現地語・一口メモ

 「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療英語)を参照願います。


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