世界の医療事情

令和2年10月1日

1 国名・都市名 (国際電話番号)

 モーリタニア・イスラム共和国(ヌアクショット)(国際電話国番号222)

2 公館の住所・電話番号

 ○ 在モーリタニア日本国大使館(毎週金曜午後、土日休館)
住所:Ambassade du Japon en Republique Islamique de Mauritanie, Lots 861, 862 et 520 Ilot E Nord, Tevragh Zeina, B.P. 7810 Nouakchott, Mauritanie
電話:+222-4525-0977 Fax:+222-4525-0976
ホームページ:http://www.mr.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

※金土日以外の休館日は暦年毎にホームページでご案内しておりますのでご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

(1)気候

 首都ヌアクショットは高温乾燥の砂漠性気候であり、年間を通じ気温が30度を超えることが多く、ほとんど雨が降りません。年間を通して夏服で過ごすことができますが、昼夜の温度差が大きく、特に12月~2月は多少気温が下がるので朝晩は肌寒さを感じることがあるでしょう。8月、9月には月に数日程度の降雨がありますが、排水システムが整っていないヌアクショットでは町中が水浸しになることがあるので注意が必要です。また、砂漠の砂を多く含んだ風が年間を通して吹いているため(特に11月から4月頃の乾季に吹くハルマッタン)、乾燥と埃は気管・呼吸器や眼に影響を与えますので注意してください。首都ヌアクショット付近でも視界200-300m程度となる砂嵐がみられることがあります。

(2)衛生状態

 一般に衛生状態は良くありません。水道水は飲料に適さないためミネラルウォーターもしくは浄水器を通した水を飲用してください。また、外食される際はレストランの衛生状態によく注意してください。路上で売られている食品は不衛生なものが多く、飲食にはかなりの危険を伴います。商店で食材を購入する場合は、その品質や保存状態をよく吟味してください。特に卵や肉類、魚貝類は食中毒・感染の可能性があるためよく火を通したものを食べるように心がけてください。湖、河川、衛生管理されていないプールは、汚水などの混入の可能性があるほか、住血吸虫などの寄生虫に感染する可能性があるため安易に入らないでください。

(3)医療水準

 先進国と比較した場合、首都ヌアクショットを含めモーリタニアの医療水準は一段と低く、また病院の衛生状態も良くありません。当地で販売されている医薬品は流通や保管状態に信頼が置けず、偽薬が流通している可能性(JAMA Network Open. 2018)もあります。在庫不足のため緊急時に必要なものが手に入る保証もありません。また、当地には救急システムが整備されておらず、急病や怪我などの緊急時には医療機関へ自力で行く必要があります(一部の病院では独自に救急車を保有しています)。以上のことより、持参薬など十分な準備をされた上で渡航してください。また、持病をお持ちの場合は、渡航前に長期の治療計画について本邦の主治医と充分に相談されることをお勧めします。後述のワクチン接種に関しても渡航クリニックなどで周到な接種計画を立てることが重要です。また、がんなどの悪性疾患に対する先進医療や集中治療の必要な重症患者に国内では対応できません。国外への搬送が必要な場合を考慮し、高額な医療費や搬送費にも対応した海外旅行傷害保険に加入することをお勧めします(搬送時に数千万円単位の費用も予想されます)。

5 かかり易い病気・怪我

(1)マラリア

 マラリアは、当国では推定で毎年30万人以上が罹患、1千人以上が死亡とされています(World malaria report 2017、WHO(世界保健機関))。モーリタニア北部 (Daklet-Nouadhibou州とTiris-Zemour州) を除く全域で感染の危険がありますが、特にモーリタニア南部からセネガル国境付近にかけて危険性が高くなりますので注意してください。モーリタニアを含む西アフリカでは、4種類あるヒトマラリアのうち最も悪性度の高い熱帯熱マラリアが大多数を占めています。熱帯熱マラリアは放置すると早い経過で死に至ることがあるため、一刻も早く治療を開始する必要があります。マラリア原虫を保有するハマダラカ(蚊)は主に夜間に活動し、刺された後、1週間~1か月以上の潜伏期をおいて発熱、頭痛、寒気、腹痛、倦怠感、吐き気、筋肉痛などの症状が出現します。子供は大人に比べ症状が重く、進行が早い傾向にあります。当地での発熱の場合、まずマラリアを疑う必要があります。

 予防薬としてメフロキン (MEPHAQUIN、LARIAM)、又はプログアニルとアトバコンの合剤(MalaroneⓇ)が推奨されています。特にモーリタニア南部に滞在される方は予防内服を考慮してください。治療は、アルテミシニン又はその誘導体と作用機序の異なる他剤を組み合わせたACT療法が推奨されています。日本ではリアメット(RiametⓇ)が入手可能です。いずれの薬も当国の薬局では手に入らない可能性がありますので注意してください。また、後述6-(4)防蚊対策も有効な予防手段となります。

(2)黄熱

 モーリタニアはWHOによる黄熱リスク国となっています。日中に活動するネッタイシマカ(蚊)に刺され感染するウイルス疾患で、発熱、肝機能障害、黄疸が見られます。

 当国への入国に際し、黄熱が流行している地域から入国する場合は、1歳以上の旅行者には黄熱ワクチン接種証明書(通称イエローカード)の提示が必要です。しかし、それ以外の国から入国する場合も状況は流動的ですので注意してください。特にモーリタニア南部に行くことを予定している方には黄熱ワクチン接種をお勧めします。日本、ヨーロッパ等の黄熱非リスク国居住者であれば、汚染国からの入国でもイエローカードは不要とされます。2016年7月よりイエローカードは終生有効となりましたが、接種10日後から有効になることにご注意ください。

(3)感染性胃腸炎(細菌性赤痢、アメーバ赤痢、ジアルジア症、コレラなどのビブリオ属、サルモネラ、ウイルス性腸炎など)

 原因となる病原体は様々ですが、当国では非常によく見られる病気です。食料品購入時によく吟味する、不衛生なレストランを避ける、などの注意が必要になります。また、不衛生な水や食器、生もの、加熱不十分な食物から感染する以外に、排便後の手洗いが不十分であることなどにより、手に付着した病原体が口から侵入して感染する場合もあります。因みにモーリタニア社会では、トイレットペーパーの使用は一般的ではなく、不浄の手とされる左手で水を使って処理するのが一般的なやり方とされています。下痢、腹痛、嘔吐、腹部膨満、便秘などが主な症状で、発熱などの感冒様症状を伴うこともあります。特に重症の可能性のある症状として、高熱、血便、強い腹痛、頻繁な下痢、長期間続く下痢、立ちくらみ、関節痛や倦怠感などの全身症状が挙げられ、そのような症状を有する場合は直ちに病院で検査、治療を受ける必要があります。多くの場合、水分摂取を心がけるだけで軽快しますが、症状や原因に合わせて整腸剤や抗菌薬などが処方されます。嘔吐・下痢による脱水が重度の場合は点滴による補液治療が必要となります。なお、感染性胃腸炎の場合、下痢止めは病原体の排泄を遅らせ、結果として症状が長引く場合がありますので、自己判断での下痢止め薬服用は一般的にはお勧めできません。

(4)腸チフス、パラチフス

 赤痢やコレラなどの感染性胃腸炎と同じく水、食物から経口的に感染します。感染後約7~21日を経て、38度以上の発熱、頭痛、全身の倦怠感が出現します。上記の胃腸炎と違って、下痢、吐き気、嘔吐といった消化器症状が出現しない可能性があります。高熱のわりに脈が少ない(毎分100回以下)、胸腹部や背中に直径2~5mm程度のピンク~紅色の発疹(バラ疹;熱が高いときに出現し数時間で消えます)、脾臓の腫大などが特徴です。治療を行わず回復しても、2~3週後に腸に穴が開いたり、腸出血を起こし死に至ることがありますので、疑わしい場合は必ず医療機関を受診し検査及び治療(抗菌薬投与など)を受けてください。腸チフスにはワクチン接種が有効とされています。

(5)A型肝炎

 経口感染するウイルス性疾患で慢性化することはありませんが、時に重症化し劇症肝炎となります。生牡蠣など、貝類の生食で感染することが多いですが、それ以外の食物からも感染します。渡航前にワクチン接種を済ませておくことをお勧めします。

(6)消化管寄生虫症

 生野菜・果物(イチゴ等)に付着した寄生虫卵を摂取することで感染します。一般的な消毒薬では寄生虫卵は死にませんが、流水でよく洗うことが効果的です。例えば、イチゴは一粒ずつ、レタスはひだの中まで丹念に洗います。また、肉類に寄生虫の幼虫が含まれている場合がありますので、充分な加熱調理が必要となります。症状は、慢性的な下痢、腹痛、腹部違和感などです。

(7)髄膜炎菌性髄膜炎

 世界中で発生がみられますが、特にセネガルからエチオピア、スーダンにかけて“髄膜炎ベルト”と呼ばれるアフリカサハラ砂漠南方の帯状地帯で流行しており、モーリタニア南部もその地域に含まれます。高熱、関節痛、嘔気、精神症状などを来たし、重症例ではけいれん、意識障害から死に至る場合もあります。有効な抗菌薬がありますが、一旦発症すると早期に重症化しますので、前もってワクチン接種を受けておくことを推奨します。感染経路はくしゃみや咳などで生じる飛沫を介して呼吸器から侵入、人から人へ感染します。髄膜炎菌は数種類が同定されていますが、より多くの菌種に対応した4価髄膜炎菌ワクチンの接種が望まれます(髄膜炎菌ワクチンには2価のものと4価のものがあります)。

(8)狂犬病

 狂犬病ウイルスに感染した動物(犬、猫、コウモリなどの哺乳類)に咬まれたり引っかかれたりすることで、唾液に含まれるウイルスが人に感染します。モーリタニアでは野犬が非常に多く、危険性が高いと言えます。約1~3か月の潜伏期を経ていったん発症すれば治療法がなくほぼ確実に死亡する危険な病気ですので、咬傷前後の対応により発症を予防することが重要です。

 動物に咬まれるなど接触した際は、傷口をすぐに石けんと水でよく洗い流してください。その後、 24時間以内に狂犬病ワクチンの“曝露後接種”を開始する必要がありますので直ぐに医療機関を受診して治療を受けてください。曝露の程度、ワクチン接種の状況によっては、抗狂犬病ウイルス免疫グロブリンを投与する必要があります。モーリタニアの場合はヌアクショットの国立公衆衛生学研究所(Institut National de Recherche en Santé Publique;後述)で曝露後接種が可能です。曝露後接種では、咬傷後1か月以内に計5回の接種が必要となります。

 しかしながら、咬傷後の治療を一通り行っても咬傷の場所や程度によって発症が防止できなかった例が世界では散見されるため、予め狂犬病ワクチンの“曝露前接種”を行っておくことが望ましいでしょう。曝露前接種を行っていても、咬傷後は曝露後接種などの治療が必要となりますので注意してください。いずれにしても、まずは安易に動物に近づかない、触らないことが一番大切です。

(9)結核

 結核菌が原因となる感染症であり全世界で流行していますが、特に発展途上国に多くみられ、モーリタニアにおける人口10万人あたり発生率は年102人(世界平均140人、The World Bank、2016)と日本の16人を大きく上回ります。

 肺に感染する肺結核のほか、10~20%に肺以外の部位への結核感染もみられます。感染患者が咳をすることにより、その分泌物の飛沫核が空気中に長時間(約2~3時間以上)漂い、空気感染します。症状経過は遅く、数週間~数か月の単位で倦怠感、微熱、寝汗、体重減少などの症状から始まり、空咳(痰の伴わない咳)などの呼吸器症状が出現してきます。2週間以上咳が続く場合には結核に罹患している可能性がありますので、医療機関を受診しての精査が必要です。BCGワクチンには一定の効果が期待できますが、有効期間10~15年とされていますのでご留意ください。

(10)デング熱

 マラリアと同様、蚊(主にネッタイシマカ)によって媒介されますが、デング熱はウイルス感染症です。首都ヌアクショットでも2016年の雨季を中心に発症例が見られました。発熱・頭痛・筋肉痛・嘔気・嘔吐などの非特異的な症状が出現し、頻度は高くありませんが重症化すると、血小板減少などによる出血性疾患となります。粘膜出血、肝機能障害から多臓器不全で死に至ることがあります。特別な治療法はなく対症療法しかありませんので、蚊に刺されないように注意することが肝要です。

(11)性感染症(HIV、B型肝炎他)

 HIV感染症は世界中に見られますが、モーリタニアでは15-49歳のHIV陽性は0.3%(The World Bank、2017)で世界平均の0.8%を下回るものの日本の0.1%と比較すると高率です。また、B型肝炎ウイルスのキャリア(ウイルス保有者)は全国民の1割以上と推定されています。

 これらのウイルスは、性行為のほか血液を介しても感染することから輸血、出産時の母子感染、汚染した針の使い回しも問題となります。出血を伴う子供同士のけんかなどによる感染にも注意してください。HIVウイルスは、感染後5年前後をかけて感染者の免疫力を奪っていきます(後天性免疫不全症候群:AIDSの発症)。この間無症状のこともありますので、感染の事実に気づかないケースも多くみられます。B型肝炎ウイルスは、感染早期に劇症肝炎を引き起こすほか、慢性化して慢性肝炎から長期的に肝硬変、肝細胞癌の原因となります。B型肝炎については予めワクチンの接種をお勧めします。

(12)リフトバレー熱

 人畜共通に感染するウイルス性疾患です。感染した牛や羊、ラクダなど哺乳動物の血液、内臓に触れたり、肉や乳を未殺菌・未加熱で摂取した場合や、ウイルスを媒介する蚊に刺された場合にヒトに感染します。2010年、2015年には当国北部で流行し、2020年9月末からの流行では南部を中心に16名の死亡を記録しています。2~6日間の潜伏期間の後、発熱・頭痛・筋肉痛・背部痛等のインフルエンザ様症状が出現し、嘔吐、項部硬直(首を動かしにくい)、光を異常に眩しく感じるなどの症状もあります。通常4~7日間で自然治癒しますが、ごくまれに重症化して髄膜炎、網膜炎から失明、出血熱から死亡することもあります(致死率1%程度)。特別な治療法はありませんので、蚊に刺されないよう対策をとることが必要です。また、感染が疑われる家畜に直接触れない、未殺菌・未加熱の肉・乳製品は摂取しないようご注意下さい。

6 健康上心がける事

(1)日焼け、熱中症

 日差しは年間を通して強いため、帽子、日傘、サングラス、日焼け止めクリームなどを使用してください。

 また、屋外にいると高温、乾燥のため汗で水分が失われ、喉の渇きが出た時点でかなりの脱水症に陥っています。常にミネラルウォーター等の水分を携行し、水分(+塩分)補給に努めてください。頭痛、倦怠感、発熱は熱中症の初期症状ですので、早期に対応してください。

 熱中症の重症例は熱射病と言いますが、意識障害や腎不全などの全身の臓器障害から死に至ることがありますので、早めの休息や医療機関の受診をお勧めします。

(2)大気汚染、砂塵

 粗悪な燃料や整備不良車の排気ガスで大気汚染が見られます。また、砂漠からの砂塵の影響で気道に異常をきたす方も多く、喘息等の呼吸器疾患の持病をお持ちの方は、マスク等で予防に努めてください。

(3)交通事故

 モーリタニアでは自動車の運転が荒く、交通規則もほとんど守られないため交通事故が頻発していますので、十二分に注意してください。また、当地では医療体制が充分ではなく、さらに安全な輸血は行えないことより、重症の交通外傷への対応・治療は難しく、手術が必要な場合などは国外への緊急移送を考慮する必要があります。

(4)防蚊対策

 当地では蚊が媒介するマラリア、黄熱病、デング熱、リフトバレー熱などへの感染リスクがあり、防蚊対策は重要です。電気蚊取り器、蚊取線香、皮膚用防蚊スプレー(有効成分DEET)の使用や、長袖・長ズボンなどの肌を露出しない白系統の服装(マラリアを媒介するハマダラカは黒色を好みます)等を心がけてください。就寝時は蚊帳の使用を考慮してください。防蚊スプレーについては、欧米では成人の場合、有効成分DEETが20-30%の高濃度のものが勧められており、日本でも30%のものが入手可能です。低濃度の製品ほど、繰り返して皮膚にスプレーする必要があります。身体への毒性があるので、眼、鼻、口などの粘膜部分、傷のある部位への使用を避けてください。小児に対する高濃度DEETの使用や頻繁な使用によって脳症の発生が報告されています。また、妊婦の方も過度の使用は避けてください。使用後は皮膚に付着しているDEETが口から体内に入ることがないように、外出から帰ったら洗い流す必要があります。

(5)手指衛生

 手指衛生は感染対策の基本となります。目に見える汚れは流水・石けんでの手洗い、目に見えない汚れはアルコールベース擦式手指(衛生)消毒剤の使用が推奨されます。習慣として、人と握手したり現金(特に紙幣)を触ったりした後、食事の前などは、特に心がけていただきたいと思います。

(6)喫煙

 当国の喫煙者は成人で15.4%(WHO 2016年)と決して高くありませんが、若年者(13-15歳)では21.5%に達しています。喫煙に対する政府の指導・管理はたばこの値段に税金を上乗せするだけで、分煙など喫煙マナーは期待できません。

(7)動物との接触

 当地では野犬、野良猫、ラクダ、コウモリなどある種の病原体を伝搬する、あるいはその疑いのある動物種が数多くいます。詳細が明らかになっていない場合も多いのですが、それらの排泄物を含めて、安易な接触は避けた方が安全です。

(8)妊娠と出産について

 当地で日本人が妊娠・出産をした例は記録にありません。当地の妊婦の周産期死亡率は人口100,000人あたり602人と推定されており、日本(同5人)をはじめとする先進国と比較し非常に高いのが現状です(WHO他、2015年)。医療機関の衛生状態も悪く、当地での妊娠中のケア、出産、出産後管理はお勧めできません。

7 予防接種

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

 日本での渡航前ワクチン接種は、間隔をあけて複数回の接種が必要な場合がありますので、早めに渡航クリニックなどに相談し計画的に接種する必要があります。黄熱病ワクチンは決められた施設でしか接種を受けられず、多くの場合予約制ですのでご注意ください。

(1)赴任に必要な予防接種

  • 成人:黄熱、破傷風、A型肝炎、B型肝炎、狂犬病、髄膜炎菌性髄膜炎、腸チフス、ポリオ
  • 小児:上記に加え、日本で実施されている定期の予防接種【ジフテリア、百日咳、ポリオ、麻疹、風疹、結核(BCG)】、任意の予防接種【おたふく風邪、水痘、肺炎球菌、インフルエンザ桿菌b型(Hib)】

(注)当地で流通するワクチンに自国製は無く、すべて輸入ワクチンであるため在庫は不安定です。また、その保存状態(冷所保存)に問題がある可能性があるため、当地でのワクチン接種は基本的にはお勧めできません。モーリタニア国外の信頼できる医療機関での接種をお勧めします。

(2)小児定期予防接種の一覧

小児定期予防接種の一覧
  初回 2回目 3回目 4回目
BCG 出生時      
B型肝炎 出生時      
ポリオ(経口) 出生時 6週目 10週目 14週目
ポリオ(注射)       14週目
PENTACOQ (注1) 6週目 10週目 14週目  
肺炎球菌 6週目 10週目 14週目  
ロタウイルス 6週目 10週目    
麻疹・風疹 9か月 15か月    
黄熱 9か月      
髄膜炎(Men.A) 9 or 15か月      
  • 注1:ジフテリア、破傷風、百日咳、B型肝炎、インフルエンザ菌b型(Hib)の5種混合ワクチンです。
  • 注2:おたふく風邪、コレラ、腸チフス、水痘のワクチン接種は行っていません。これらのワクチン接種を希望する際は、薬局で購入した上、私立病院で接種をお願いすることになります。

いずれも接種時期、回数が日本と異なり、接種計画を立てる際に注意が必要です。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

・アメリカンスクール(The American International School in Nouakchott

 出願時にポリオ、麻疹、風疹、百日咳、ジフテリア、黄熱、破傷風に関して、最終接種日の申告と接種記録の提出が必要ですが、接種そのものは義務とはされていません。基本的に7-(2)に示すようなワクチン接種を済ませておくことをお勧めします。

・リセフランセ・テオドールモノ(Lycée Francais Theodore Monod

 特別なワクチン接種を必要としないとの回答を得ていますが、アメリカンスクールと同様、7-(2)に示すようなワクチン接種を済ませておくことをお勧めします。

8 病気になった場合(医療機関等)

◎ ヌアクショット

(1)Clinique CHIVA (クリニック・シヴァ)
所在地:Tevragh-Zeina
電話:4525 8080、2234 2429、ファックス:4525 3435
概要:内科、外科、産婦人科、小児科、歯科、脳外科、神経科、整形外科、眼科、耳鼻科、循環器内科、精神科などを有する私立総合病院です。ICU、院内薬局、外傷センター併設。救急車2台所有。循環器や肝疾患などの専門医は公立病院からの非常勤医です。入院病床は約15床あり、虫垂炎程度の手術は可能です(ただし、輸血不可)。レントゲン、CT、MRI、マンモグラフィー、エコー検査が可能です。また、マラリアの検査、治療が可能です。原則的に24時間救急対応を行っていますが、時間帯によって専門医が不在になります。英語は通じません。支払いは基本的には現金(ウギア)のみですが、相談によっては小切手も可能です。
(2)Clinique Kissi (クリニック・キシ)
所在地:Ilot A 743 , Tevragh-Zeina
電話:4529 2727、2260 1135、2263 1400、2266 4020
概要:入院病床数25床の私立病院で、診療科としては内科、外科、産婦人科、小児科、歯科、眼科などがあります。専門医は夕方遅く以降でないと勤務しておらず、事前の確認が必要です。救急車2台所有。一般レントゲン、歯科用レントゲン、CT、エコーなどの画像検査、血液・細菌検査も可能です。ICU・救急病棟、院内薬局あり、輸血可能。
手術は帝王切開も行われており、最近では胆石、虫垂炎、子宮外妊娠及びその他の婦人科疾患に対し腹腔鏡手術を積極的に行っています。また、インターナショナルSOSなどの機関と連携、海外への緊急搬送の経験も多いとされます。英語は通じません。支払いは現金(ウギア)のみ。
(3)Docteur Fabinne Cherif-Bretz (ドクター・シェリフ)
所在地:市内カトリック教会近く
電話:3631 7487、4525 1571(携帯)(2020年10月時点 施設改装のため一時休診中)
概要:個人クリニックで、外国人を多く診察しています。女性の内科医(院長)、呼吸器専門医の2名で診療を行っています。小児科、内科等のプライマリーケアを行っています。心電図、血液検査、レントゲン設備があります。入院施設はありません。支払いは現金のみです。院長はある程度、英語での会話が可能です。
(4)Dr Melhem HANNA (ドクター・ハナ)
所在地:Avenue Kennedy
電話:4525 2398
概要:個人クリニックで、外国人を多く診察しています。フランス大使館相談医。小児科、内科等のプライマリーケアを行っています。心電図や心臓エコー機器はありますが、レントゲン設備や入院設備はありません。英語での受診が可能です。
(5)Dr.BAH Abass (ドクター・バー)
所在地:カトリック教会の隣、レストランLa Medina の向かい
電話番号:3632 1868
概要:歯科の個人クリニックです。クリニック内は清潔です。歯科治療は場合によって
頻回の通院治療が必要となりますので、初回受診時に見込み治療期間と診療費について担当医と相談する必要があります。
(6)Cabinet Dentaire de Kane (ドクター・カーン)
所在地:フランス大使館近く。Ilot K N°68
電話番号:4525 9656、3630 5328(携帯)
概要:歯科の個人クリニックで、クリニック内は新しく清潔です。設備も日本の一般的な歯科クリニックとほぼ同じです。ドクター・カーンはチュニジアやアメリカでトレーニングを受けており、アメリカ式の診療を実施しているとのことです。定期的な口腔クリーニングからインプラントまで対応していますが、使用機器等の事情もあり日本と全く同じ水準とまではいきませんので、ご留意ください。英語での診療が可能。Dr. BAH Abassと同様、治療期間と診療費について担当医と相談する必要があります。
(7)Centre Hospitalier National de Nouakchott
所在地:Tevragh-Zeina
電話番号:3115 0000、4525 7261  ファックス:4529 2954
概要:モーリタニア国内で最大規模の国立病院で、入院病床が約380床あります。内科、 
外科、産婦人科、小児科、脳外科、整形外科など多くの診療科を有し、手術部、救急部、人工透析室、院内薬局等があります。救急車5台有り。また、血液検査機器、レントゲン撮影装置、CT装置を備えており、市内の各病医院から重症患者を受け入れています。リフォーム等の実施で改善しつつありますが、建物は老朽化しており病院内の衛生状態も悪く、現地受診者が多く混雑しているため、緊急時などのやむを得ない場合以外の受診はお勧めしません。英語は通じません。
(8)Institut National de Recherches en Santé Publique
所在地:Avenue Gamel Abdel Nasser(Centre Hospitalier National de Nouakchottの南方)
電話番号:4525 3134
概要:モーリタニア国内の感染症調査、公衆衛生検査、ワクチン管理などを行っている国立研究所です。具体的な仕事内容として、HIV感染症・マラリア・住血吸虫症などの疫学調査、水道水や河川の水質調査などが挙げられます。また、ワクチン接種業務も行っており、以前は動物咬傷を受けた方への狂犬病ワクチン接種や、国外への渡航者に対する黄熱ワクチンの接種も行っています。外国人が接種を希望する場合は、手続きが必要となりますので直接お問い合わせください。英語は通じません。
(9)Pharmacy Kennedy
所在地:Avenue Kennedy
電話番号:4525 3693
概要:ヌアクショット在住の外国人や外国人医師からの信頼の厚い薬局です。主にフラ 
ンスから輸入した薬を販売しています。マラリア治療薬や防蚊スプレー、ワクチンなども購入可能ですが、在庫は払底しやすいため事前確認が必要です。英語は通じません。

○ ヌアディブ

(1)Centre Hospitalier des specialites de Nouadhibou
所在地:ヌアディブ・ハイウェイ沿い、GBM NDB(銀行)近く
電話番号:2858 4554、 2666 9585
概要:2017年キューバ系団体により設立(地元では通称『キューバ病院』)。入院病床数約250床の私立総合病院です。院内薬局、ICU、透析室があり、救急外来は24時間対応しています。日中は20余名の医師が在駐し、内科、外科、小児科、産婦人科、皮膚科、放射線科など14ほどの診療科があります。レントゲン、マンモグラフィー、エコー、CT、MRIを保有。通訳ボランティアにより、アラビア語、フランス語、スペイン語、英語で応対しており、ウェブサイトで病院情報も得られます。事前連絡をお勧めします。
https://www.chsndb.org/別ウィンドウで開く
(2)Centre Hospitalier de Nouadhibou
所在地:Saleh地区
電話番号:2630 1936、 2230 1936、 2274 6095 (緊急時)、 2247 0054(救急)
概要:入院病床が約100床の公立総合病院です。院内薬局、救急車1台有り。内科、外科、小児科、産婦人科、皮膚科、歯科、放射線科など15の診療科があります。レントゲン、マンモグラフィー、エコー、CTを保有しており、外傷、透析にも対応しています。院内は衛生的とは言えず、フランス語のみの診療のため、日本人の受診に適しているとは必ずしも言えません。
(3)Clinique de la SNIM CANSADO
所在地:CANSADO(カンサドー)地区
電話番号:4574 2800、4574 2802、2059 6764、2059 6765(緊急)
概要:入院病床が約40床の診療所で、外国人の診療実績も多いとされています。内科、外科、歯科、救急科、救急車2台あり。日中は数名の医師が担当しています。内科、腹部外科があり、消化器疾患を重点的に簡単な手術も行っています。小児科医はいませんが小児の受診も可能です。婦人科、耳鼻咽喉科、眼科は公立病院からの非常勤医です。耳鼻咽喉科や眼科の専門医は不在のときもありますので事前にご確認ください。重症外傷の際は、応急処置の後に市外への搬送となります。基本的にはSNIM社(国営の鉱山会社)の社員とその家族、あるいは事前契約を結んだ方のみが受診可能です。しかし、それ以外でも診療が可能な場合もありますので、直接お問い合わせください。支払いは基本的に現金ですが、後払いも可能です。
(4)Pharmacie ATAR
所在地:スペイン領事館そば(Robinet 1)
電話番号:4800 0001
概要:主にフランスから輸入した薬を販売しており、多くの外国人が利用しています。薬剤師が常駐し、薬の販売だけではなく医療相談にも応じてくれます。

○ シンゲッティ

(1) El Hospital de la Fraternidad
所在地: シンゲッティ市内旧モスクの南側
電話番号:3387 8531
概要:スペインのNGOによって設立されましたが、現在はシンゲッティ市に運営基盤が委譲され、当国の銀行BNM及び米国からの支援で運営されています。院長のアメリカ人外科医のほか2人の一般家庭医がおり、24時間の診療(医師呼び出し)を可能としています。設備はデジタルレントゲン、超音波画像診断装置及び血液などの検体検査機器があり、入院ベッドは11床で小さな手術も行っています。しかし、重症患者には対応できず90km離れたアタール市あるいは600km離れた首都ヌアクショットまでの搬送が必要になります。院内薬局もあり、処方箋があればこの薬局で薬が入手可能です。貧困層には無料で診療を行うなど良心的な運営をしています。英語での診療が受けられます。

9 その他の詳細情報入手先

(1)モーリタニア保健省(フランス語、アラビア語):
http://www.sante.gov.mr/?lang=fr別ウィンドウで開く 感染症情報有り

(2)世界保健機構(WHO):
http://www.who.int/countries/mrt/en/別ウィンドウで開く

(3)アメリカ疾病予防管理センター(CDC):
http://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/mauritania別ウィンドウで開く

10 現地語・一口メモ

 公用語はアラビア語ですが、実際はハッサニーヤ語というアラビア語方言が主流です。また、首都圏においては、実務言語であるフランス語の方がよく通じます。英語はほとんど通じません。「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療フランス語)をご参照下さい。

11 新型コロナウイルス関連情報

 2020年10月1日時点での累計感染者数は7,000名超、累計死者数161名、1日あたりの新規感染者数は20名前後と感染ピーク時に比べると減少傾向にあります。感染拡大時の水際対策としての国境、空港の封鎖、人の移動禁止といった制限も、同年9月10日に空港再開へと緩和されておりますが、直前の欠航もあるなど不安定な状況が続いています。

 現状では、政府当局の指示にもかかわらず、当国内ではマスク着用、他人との距離間隔の確保、手洗い励行といった予防対策は徹底されておりません。

 特に入国に関しては、現在でも入国72時間以内のPCR検査陰性証明書が必要です。今後、これらの水際対策が緩和あるいは強化されることもありますので、入国の際には、利用予定の各航空会社への問い合わせを含め事前に十分な情報収集を行うようにしてください。

 なお、現在当国で唯一新型コロナウイルス感染症のPCR検査を実施しているのは、本稿8.医療機関等(9)Institut National de Recherches en Santé Publiqueのみです。


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