世界の医療事情

令和6年10月1日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 ギニア共和国(国際電話番号224)

2 公館の住所・電話番号

在ギニア日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
住所:Quartier Landréah Port, Corniche Nord, Commune de Dixinn, Conakry, République de Guinée. B.P.895
電話:(+224)628-68-38-38から41
ホームページ:在ギニア日本国大使館別ウィンドウで開く

(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧下さい。

4 衛生・医療事情一般

 「西アフリカの給水塔」と呼ばれるほど水資源豊富な高温多湿地域で、平均最高気温は年間を通して30度から34度、年間雨量は4,000ミリを超えます。雨季(5月中旬から10月下旬)には激しく降り続く雨で至る所が冠水し洪水が発生する他、水を介して感染する胃腸炎にかかる人が増えます。また蚊の発生も増えるためマラリア患者もこの時期特に多くなります。一方、乾季(11月上旬から5月上旬)には雨が全く降らず、ハルマッタンと呼ばれるサハラ砂漠からの季節風により砂が舞い、目や呼吸器系に影響を及ぼします。

 水道は都市の一部にはありますが、水質は劣悪で飲用には適しません。市場や路地の屋台で販売されている飲食物は清潔とは言えず、ホテルのレストランでも食中毒を起こすことがあります。

 こうした劣悪な衛生環境に加え、ギニアの医療水準はアフリカ諸国の中でも一段と低く、国内で対応できる治療は非常に限定的です。重症例はパリや南アフリカ、日本等への緊急移送が必要となりますので、できれば3,000万円から5,000万円程度の治療・救援費用をカバーする海外旅行傷害保険への加入が望ましいでしょう。

 大使館には医務官1名が常駐しており、医療情報の提供が可能ですので、体調の悪いときにはご相談下さい。

5 かかり易い病気・怪我

(1)マラリア

 ハマダラカ(蚊)によって媒介され、1から3週間前後の潜伏期を経て発熱、悪寒、頭痛、関節痛などの症状が出現します。マラリアは対処が遅れると数日以内に死に至ることもあり、早期診断・治療が重要です。国内全域で一年を通じて発症しますが、特に雨季後半にかけて患者数が多くなります。ハマダラカは夕方から明け方にかけて活発に活動しますので、夜間に人が集まる場所へ外出する際には防蚊対策を十分にして下さい。長袖・長ズボン・靴下と白っぽい衣服の着用、虫除け剤の使用を心がけ、屋内ではエアコンや蚊帳の使用、防虫スプレーの噴霧など蚊に刺されないようにして下さい。マラリア予防薬の内服も有効ですが、感染を100%防げるわけではないため蚊に刺されない対策もしっかり行って下さい。予防薬をご希望の方は渡航前にトラベルクリニックでご相談下さい。

 突然の発熱と体の痛み、頭痛、倦怠感などを自覚した場合は、マラリアを念頭に速やかに医療機関を受診して下さい。特に初めてマラリアにかかる方は重症化しやすいため、治療が遅れると国内では対応できず先進国へ搬送となる場合があります。

(2)感染性胃腸炎(下痢・嘔吐・発熱)、寄生虫症

 不衛生な食事・水を摂取することにより様々な細菌、ウイルス、寄生虫が胃腸炎を引き起こします。大腸菌やサルモネラ等の細菌性下痢(旅行者下痢症)、腸チフス、コレラ、細菌性赤痢、ジアルジア症、アメーバ赤痢などがあります。腸チフスには有効なワクチンがあるので予防接種をお勧めします。コレラは中央から東アフリカほど流行していませんが、コレラのワクチンは旅行者下痢症にも一部有効ですので考慮下さい。予防にはこまめな手洗いと十分加熱したものを食べることが重要です。生野菜やカットフルーツはなるべく避けて下さい。一番頻度の高い旅行者下痢症は脱水を防ぐため十分に水分と電解質を摂っていればほとんどは改善しますが、疾患によっては抗菌薬が必要になりますので医療機関で相談して下さい。特に腸チフスは治療をしないと致死的になることもあります。

(3)狂犬病

 狂犬病は狂犬病ウイルスに感染した動物に咬まれたり、傷口を舐められたりすることにより感染し、発症したら100%死亡します。ギニアは野良犬が多く、狂犬病の死者も出ています。渡航前に狂犬病の予防接種を推奨します。乾季に多いコウモリも感染している可能性があるので、むやみに犬や野生動物に触れないで下さい。野犬等に噛まれた場合は、軽症であっても直ちに医療機関を受診して下さい。

(4)髄膜炎菌性髄膜炎

 当地はいわゆる髄膜炎ベルト地帯(髄膜炎感染多発地域26カ国)に当たり、主に乾季のハルマッタンの時期に髄膜炎菌が飛沫感染(咳やくしゃみなど)により流行します。1から14日の潜伏期の後に頭痛、発熱、頸部痛で発症し、治療が遅れると命に関わります。治療には抗生物質投与が必要です。予防接種は効果がありますので推奨します。

(5)黄熱

 蚊が媒介するウイルス性疾患で、入国に際し予防接種が義務づけられています。生後9か月以上の全ての渡航者は黄熱予防接種証明書(イエローカード)を提示しなければなりません。イエローカードは接種10日後から生涯有効です。

(6)ポリオ

 ウイルスの混入した水や食べ物から感染します。発症すると深刻な後遺症(麻痺)が残る重篤な疾患です。ギニアはポリオの発生国であり、小児期の定期接種に加えて渡航前の追加接種を推奨します。

(7)A型肝炎

 不衛生な水、氷、野菜や果物、魚介類等から経口感染するウイルス性の肝炎です。急性肝炎として、発熱、食欲不振、倦怠感、吐き気や嘔吐、黄疸などの症状が出ます。予防接種は有効です。

(8)B型肝炎

 輸血や手術などの医療行為、性交渉から感染します。不特定の人との性交渉は避け、コンドームを正しく使用して下さい。渡航前の予防接種を推奨します。

(9)破傷風

 土壌に生息する破傷風菌が傷から感染し、菌が産出する毒素によって発症します。口が開けにくいなどで始まり、痙攣、その後呼吸困難で死亡することがあります。事前の予防接種を推奨します。屋外で怪我をしないよう気をつけて下さい。

(10)ジフテリア、百日咳、麻疹

 ギニアでは小児期の予防接種体制が十分ではないため、これら感染症の流行が見られます。ジフテリアと百日咳に関しては、小児期に予防接種を済ませている方も最終接種から10年以上経過していればDPT(ジフテリア・百日咳・破傷風の3種混合)の追加接種を推奨します。麻疹(・風疹)は、小児期に接種していない方や、抗体価が低い方は接種をお勧めします。

(11)HIV/AIDS

 HIVウイルス感染により免疫不全となった状態をAIDSエイズといいます。ギニア全体のHIV陽性率は1.4%、性産業従事者では4.9%とされています。血液や体液を介して性交渉等から感染しますので、無防備な性交渉は避けましょう。

(12)結核

 結核菌が咳やくしゃみを介して空気感染します。診断や治療を受けていない患者も多数いると推定されますので、咳をしている人には近づかず、特に人が密集する場所では気をつけて下さい。風邪の症状に似ていますが、2週間以上咳や熱などの症状が続く場合は医療機関で検査を受けて下さい。

(13)皮膚疾患

 洗濯物を屋外に干すとそこにハエが産卵し、ふ化した幼虫が皮膚に侵入して皮膚病を起こすことがあり、室内干しを推奨します。ソファーやベッドなどからダニに刺されることもあります。かゆみ止めクリームがあると便利です。首都周辺の海・川は非常に不潔ですし、地方では寄生虫(住血吸虫)感染の危険がありますので、川や池には入らないで下さい。また、11月初旬頃より通称やけど虫(アオバアリガタハネカクシ)が大量に発生します。虫をたたいて潰し、その体液が皮膚につくと皮膚炎になります。虫を潰さないように注意しましょう。仮に体液がついた場合は流水でしっかり洗い流し、病院を受診して下さい。

(14)エボラウイルス病(エボラ出血熱)及びその他の出血熱

 2014から2015年のエボラウイルス病流行では3,804人が感染し、うち2,536人が死亡しました。その後も少数の発生はしばしば見られています。エボラウイルス病は致死率が極めて高い危険な感染症です。ウイルスを持っているコウモリや野生動物への接触、患者や遺体の血液、分泌物、排泄物などから感染します。潜伏期間(2から21日間)のあと発熱や頭痛などの症状に始まり、嘔吐、下痢、さらに悪化すると全身に出血傾向が出て死に至ります。野生動物の肉(bush meatやジビエと称されるもの)を食さない、疑わしい患者には接触しない、疑わしい病死者の葬儀への参加は見合わせる、など感染予防の注意を覚えておいて下さい。その他、ギニアでは同じような致死率の高いウイルス性出血熱であるマールブルグ病やラッサ熱も発生しています。

(15)エムポックス(Mpox)

 もともと中央アフリカから西アフリカ地域で発生しているウイルス感染症ですが、2022年以降はアフリカ外でも大規模な流行が見られています。エムポックスは感染患者、動物の体液や皮膚病変を介して感染し、1から3日の発熱期(発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感)のあと体に発疹が出るのが特徴です。ギニアでも発生が見られますので、疑わしい患者や動物との接触は避けましょう。

(16)交通事故

 路面の状態が良くない上に交通マナーが悪く、交通事故が多発しています。特にバイクタクシーの利用は危険です。事故に遭った場合適切な医療を受けることが難しく、交通事故死亡率は日本の約8倍です。事故に遭わないよう細心の注意を払って下さい。

6 健康上心がけること

  1. 日差しが強いので帽子・日傘・日焼け止めクリーム等を使って下さい。長袖の着用も有用です。
  2. 熱中症予防のため十分に水分・塩分・糖分を摂取して下さい。
  3. 水道水は飲用には適しません。飲み水はミネラルウオーターにして下さい。レストランでの飲料に入っている氷にも注意して下さい。
  4. 食中毒予防のため外食時は清潔なレストランでよく加熱調理されたものを食べて下さい。生野菜は避け、食器などの汚れにも注意して下さい。
  5. 蚊帳や防虫剤を使用し夕刻以降は長袖・長ズボンを着用して蚊を防いで下さい。
  6. 宿泊先は信頼の置ける清潔なホテルを選んで下さい。
  7. 首都周辺の海・川は非常に不潔です。地方でも寄生虫感染の危険がありますので川や湖・池には入らないで下さい。高級ホテルのプールで泳いでも胃腸炎に感染することもありますのでご注意下さい。

7 予防接種(ワクチン接種機関含む)

(注)ギニアではDPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)やHib単独ワクチンはありませんが、DPTとB型肝炎とHibの5種混合ワクチンがあります。全てのワクチンに共通して流通は非常に不安定であり、接種可能とされるワクチンもすぐに入手できないことがあります。

(1)赴任者に必要な予防接種(成人、小児)

 入国のために必須のワクチン:黄熱

 推奨ワクチン:A型肝炎、B型肝炎、腸チフス、髄膜炎菌、狂犬病、ポリオブースター(=小児期の定期接種に加えて追加接種すること)、DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)ブースター。その他、小児期の麻疹、風疹、流行性耳下腺炎、水痘などの定期接種がお済みでない方は渡航前の接種をお勧めします。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

  出生時 45日 10週 14週 9か月
BCG        
ポリオ(経口)  
ポリオ(不活性化)        
5種混合(注)    
麻疹        
流行性耳下腺炎 実施されていない        
風疹 実施されていない        
黄熱        

(注)5種混合:DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)+B型肝炎+Hib

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 入学時と転入時にcarnet rouge(生後から5歳までに接種したすべての予防接種記録カード)の提出が求められます。

8 病気になった場合(医療機関、薬局)

(首都)コナクリ

(1)Clinique Ambroise Paré(クリニク アンブロワーズ パレ)
所在地:Corniche Nord, Camayenne, Commune de Dixinn, Conakry
電話:625-13-13-24また613-18-96-13
概要:日本大使館から車で10分程の私立の総合病院で内科、外科、産婦人科、小児科、脳外科、整形外科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、皮膚科、眼科などに対応し、邦人の利用実績も多くあります。内科疾患から外傷の治療、マラリアの対応まで幅広く可能ですが、重症時は先進国への移送を考慮すべきです。血液検査、心電図、超音波、レントゲン、CTなどの検査が可能です。専門医を受診する場合は電話予約してからが良いでしょう。基本的には仏語のみです。医師15名が在籍、入院病床は約50床です。建物や設備の一部は古くなっているものの、医療レベルや外国人診療・国外への緊急移送対応に慣れていることから推奨できる病院です。保険会社のキャッシュレスサービスが利用できます。過去の例では3日間の入院治療で約40万円かかりました。
診療日・時間:専門外来は平日7時から16時30分に予約して受診、救急は24時間対応、救急車要請可能
(2)INTERNATIONAL Clinic(インターナショナル クリニック)
所在地:Camayenne, Commune de Dixinn, Conakry
電話:654-09-99-99または654-05-55-55
概要:2021年にモロッコ資本で建てられた比較的新しい病院で外国人医師が多く勤めます。日本大使館から車で10分以内の距離にあり、邦人の利用実績もあります。外来は内科、外科、産婦人科、小児科、脳外科、整形外科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、皮膚科、眼科などがあり入院病床は33床を備えます。血液検査、心電図、超音波、レントゲン、CT、内視鏡検査が受けられます。保険会社のキャッシュレスサービスや国外への緊急移送にも対応しています。
診療日・時間:専門外来は事前に電話で問い合わせてから受診、救急は24時間対応、救急車要請可能
(3)Clinique Pasteur(クリニク パストゥール)
所在地:Quartier Manquépas, Commune de Kaloum, Conakry
電話:621-35-01-01
概要:市街地中心部にある私立クリニックでマラリアを含めた一般的疾患の治療ができ、入院病床17床を有します。血液検査、心電図、超音波、レントゲン、CT、内視鏡検査ができ、各国外国人の利用があります。保険会社のキャッシュレスサービスに対応しています。
診療日・時間:通常外来は平日8時から18時に予約なしで受診可能、救急は24時間対応、救急車要請可能
(4)Hôpital De L’amitié Sino-Guinéenne(オピタル ドゥ ラミチエ シノ ギニエーヌ)
所在地:Commune de Ratoma, Kipé, Conakry
電話:621-08-88-62
概要:中国の支援で建てられた総合病院です。漢字で「中几友好医院」と看板に書いてあります。最近、全面的に増築されました。内科、外科、心臓血管外科、脳外科、整形外科、泌尿器科と診療科はやや限られますが、集中治療室、手術室、血管造影室(心臓カテーテルなど)など最先端の設備があり、病室も非常に清潔感があります。血液検査、心電図、超音波、レントゲン、CT、MRI、内視鏡検査が可能で、ギニアでMRI検査を受けられる数少ない施設です。
診療日・時間:専門外来は月曜日から木曜日8時から16時30分、金曜日8時から13時に予約なしで受診可能、救急は24時間対応、救急車要請可能
(5)Centre Médical Thermos(サントル メディカル テルモス)
所在地:Quartier Manquépas, Commune de Kaloum, Conakry
電話:664-63-15-59または621-08-91-24
概要:市街地中心部にある個人クリニックです。簡単な血液検査しかできませんが、24時間往診してくれるなど融通が利き適切な医療機関への紹介もしてくれます。邦人や外国人の利用があります。
診療日・時間:事前に電話で受診可能かお問い合わせ下さい。
(6)フランス大使館併設の歯科クリニック
所在地:Avenue du Commerce, Commune de Kaloum, Conakry
電話:622-66-26-82
概要:フランス大使館併設の歯科クリニックでフランス人以外も受診でき、邦人や各国外国人の利用実績があります。
診療日・時間:平日8時から12時30分、13時30分から17時(電話で要予約)
(7)Pharmacie Manquepas(ファーマシー マンケパ)
所在地:Avenue de la République, Commune de Karoum, Conakry
電話:657-35-55-55または629-65-40-70
概要:ヨーロッパなどからの輸入品を多く取り扱う薬局で、飲み薬やワクチンなどを購入できます。

10 一口メモ

 「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時のフランス語)を参照願います。

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