世界の医療事情

令和6年10月1日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 ガンビア共和国(国際電話番号220)

2 公館の住所・電話番号

在ガンビア日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
住所:Ambassade du Japon au Sénégal, Boulevard Martin Luther King, Dakar, Sénégal(B.P. 3140)
電話:33-849-55-00
Fax:33-849-55-55
ホームページ:在ガンビア日本国大使館別ウィンドウで開く

(注)土曜日、日曜日以外の休館日は上記ウェブサイト「大使館案内」をご覧ください。

3 医務官駐在公館ではありません

 在セネガル日本国大使館医務官が担当

4 衛生・医療事情一般

(1)地誌、気候

 ガンビアは、国土の中心をガンビア川が流れ、西は太平洋に面し、北、東、南をセネガルに囲まれた南北最大48km、東西320kmのアフリカ大陸最小の国土面積(ほぼ秋田県と同じ)を持つ国です。気候は熱帯サバナ気候に分類され、6から10月の雨季に1年分の降雨があり、高温多湿となります。11から5月の乾季には、ハルマッタンと呼ばれるサハラ砂漠の砂塵を含む季節風が吹き、やや過ごしやすい気温となりますが、大気汚染が進みます。標高が最高でも73mに過ぎず川や沼地に接する地域が多いこともあり、雨季には洪水のリスクもあり、雨季の始まりとともに大量の蚊の発生し、主に熱帯熱マラリアが7月から12月に多発します。また、雨季の高温多湿の環境から、消化器感染症も増える傾向にあります。市中であっても、野良犬、野良猫、サルなどの野生動物との接触による、狂犬病、破傷風、猫ひっかき病などの感染症の危険があります。

(2)衛生、水質

 人口は約278万人です。死因の半数は、感染症と周産期、新生児期の障害や低栄養状態によるものです。

 水道水は飲用に適しませんのでミネラルウォーターを利用してください。充分沸騰後(10分以上)の湯冷まし、可能であれば十分な機能を持った浄水器(RO式)の使用をおすすめします。なお、湯冷ましは消毒効果のある塩素がなくなっているため早めに使いましょう。

  ガンビア 日本 日本との比較 統計年
平均寿命 64.2 84.52 20.32 2021
62.2 81.47 19.27 2021
66.3 87.57 21.27 2021
新生児死亡率 24.4 0.8 30.5倍 2022
5歳児未満死亡率 45.6 2.0 22.8倍 2022
妊産婦死亡率 458 2.7 169.6倍 2020
医師数(/1万) 1.0 27.47 3.6% 2022
病床数(/1万) 108 1284.1 8.4% 2023
交通事故死亡率 22 2.7 8.1倍 2021

(3)医療水準

 医療事情は非常に悪く、特に公立病院で医療資源の不足が目立っています。交通事故等による外傷への対応、入院治療や手術は、不可能だと考えておいてください。また、輸血用血液が汚染されている可能性も否定できません。治療費は前払いが原則です。

 傷病時は下記の私立病院へまず受診し、必要時大学病院に送られますが、中程度以上の緊急を要する疾患及び外傷においては、速やかに国外へ搬送すべきです。十分な額の海外旅行傷害保険(特に治療救援費用)に加入しておくことを強くお勧めします。集中治療が必要な重症患者の専用機での日本までの搬送をカバーするには、治療救援費用5000万円以上のものが必要です。

 当地では病院でも現地語が使われることが多いですが、公用語が英語であり、英語での意思疎通はあまり問題ありません。

5 かかり易い病気・怪我

(1)交通事故

 交通渋滞が頻繁で、整備不良車両、交通ルールの無視、飛び出しなど、諸事情の悪さにより交通事故は多く、重症救急外傷への対応は非常に困難です。当地では、信頼できる会社で運転手を雇うなどして、ご自身で運転することは極力避けましょう。

(2)下痢性疾患

 旅行者下痢症と呼ばれる不特定の病原(ウィルス・細菌・寄生虫など)による消化器感染症が中心で、年間を通じてみられます。不衛生な場所での飲食は控えてください。水道水は飲用に適しません。別記しますが、特に生水・生ものは危険ですのでご注意ください。

(3)マラリアなど蚊媒介感染症

 マラリアやデング熱、チクングニア熱など蚊が媒介する感染症は、全国的に年間を通して発生します。雨季の始まりから増加し、10月から11月頃がピークとなります。熱帯熱マラリアがほとんどであり、治療せずに放置すれば死に至るため、早期の診断と治療が必要です。市中の医療機関では発熱性疾患は必ずマラリアの検査をします。雨季に滞在する場合は、予防薬(メフロキン(Mefloquine)、ドキシサイクリン(Doxycycline)またはアトバコンとプログアニルの合剤(Malarone))の使用を考慮してください。

 WHOによると2022年のマラリアによる推定感染者数は251,831から314,000、推定死亡数は642から700、罹患率は1000人口に対して93.1人、年々増加傾向で死亡例の大部分が小児です。

(4)狂犬病

 動物(犬だけでなく、猫、山羊、羊、牛等)と接触する場合、噛まれなくても、唾液により狂犬病ウイルスに感染する危険があります。毎年発症例があり、発病すると致死率はほぼ100%のため発症予防が重要です。動物との接触が予想される場合は、予めワクチンを接種(暴露前接種)することをお勧めします。他のリッサウイルスも存在しているので、コウモリなどにも要注意です。

(5)黄熱

 黄熱の汚染地域であり、ガンビアから第3国へ渡航する際に予防接種証明書(イエローカード)が必須とされる場合があります。また、他の汚染地域を経由してガンビアに入国する際、予防接種証明書(イエローカード)の提示を求められる場合があります。証明書は、接種10日後から有効となります。

(6)皮膚ハエウジ症

 mango flytumbu flyなどと呼ばれるtCordylobia anthropophagaというハエによって、主に犬・猫・家畜・野生動物の皮膚にウジが入り込んでしまうもので、人にも同じようにハエウジ症を起こします。洗濯物などに産卵され、ウジが皮膚内に入って成長しるため、切開してウジを摘出しなければなりません。当地では、洗濯物は必ずアイロンを掛けて処理するか、安全な室内干しにして充分に注意してください。

(7)その他

 NTDs(顧みられない熱帯病)と言われるさまざまな熱帯感染症が流行しています。2022年医療機関を受診したNTDsの患者数は478,578人(人口の18%)でした。

6 健康上心がけること

(1)蚊・ダニ・ハエなどの予防対策

 マラリア、デング熱、黄熱、チクングニア熱、フィラリア症、リフトバレー熱など、ガンビアでは蚊が媒介する熱帯感染症がたくさんあります。蚊だけでなく、ダニやサシチョウバエ、ツェツェバエなどの吸血昆虫媒介感染症の予防を徹底しましょう。

 蚊に刺されないように、外出時はディート30%またはイカリジン15%含有の虫よけ剤(蚊忌避剤)を使いましょう。忌避剤は薬局で購入できますが肌に合わないことも多く、日本からこれらの忌避剤(濃度が低いものは避ける)や殺虫剤(長時間型ワンプッシュタイプ、トランスフルトリンやメトフルトリンなどのピレスロイド系や、ブロフラニリド含有のもの)を持ちこむこともお考えください。

 白など色の薄い色の服装(長袖、長ズボン)でできる限り肌を隠しましょう。就寝時は蚊帳の使用も有効です。

 長期滞在の場合、蚊の発生場所をなくために、住居の周りを定期的にチェックしてください。蚊の幼虫(ボウフラ)が発生しそうな水たまりを除去・清掃。除去できない観賞用植物等の水たまりについては、メダカなどを入れることも一案です。

 都市部でも草木の多い庭やレストランなどで猫などの動物が多いところでは、ダニ、ノミ咬傷となりやすいので、とくに夕方から夜、朝方は、足は肌を出さないよう長ズボンに靴をお勧めします。ダニなどで感染するボレリア症、重症熱性血小板減少症候群、クリミア・コンゴ出血熱など重症感染症も発生しており、注意してください。

(2)熱中症

 高温多湿であり、気づかないうちに脱水状態になっていることがあります。現地の人たちも水を持ち歩いています。とくに昼間外出時やスポーツ時は、熱中症予防のため十分な水分補給を欠かさないで下さい。頭痛、だるさ、発熱は熱中症の症状です。重症例では経口摂取が十分にできなくなるので、病院を受診し、点滴が必要となる場合があります。

(3)紫外線・日焼け

 赤道に近く紫外線が強いため、日焼けに十分注意をして下さい。日焼けは、火傷の一種です。甘く見てはいけません。十数分直射日光を浴ただけで、水ぶくれ(2度熱傷)ができることもあります。屋外に出かけるときには日焼け止めを塗り、日傘の利用や長袖・長ズボンやサングラスを着用し、直射日光を避けましょう。ビーチでも、耐水性の日焼け止めやラッシュガードの着用をお勧めします。

(4)大気汚染

 整備不良車の排気ガスや季節的な粉塵による大気の汚染が見られます。喘息等の呼吸器疾患のある方は、マスク等で予防に努めてください。

(5)有害動植物

 虫刺されによるアレルギー症状が報告されています。

(6)現地の人と生活すること

 現地の人と衣食住を同じにすることは、先方に迷惑がかからなければ、文化や生活習慣を知り相互理解を深める目的として、素晴らしいことです。しかし、育った環境も違えば、肉体的にも宗教的にも違うなかで、とくに公衆衛生や医療分野においては我々日本人には考えの及ばない部分、容認できない部分があります。例えば、免疫力や環境への適性、モラルの違い、病気や医療に対する考え方の違いなど。情報をしっかり頭に入れ自分の限界とリスクを見極め、日本とは異なる当地の医療や交通、犯罪事情を理解し、個々に自信や体力の差はあっても無理をせず、充分な安全域を取って旅行・居住してください。

7 予防接種(ワクチン接種機関含む)

 現地のワクチン接種医療機関等は、現在、保健省の地域住民向けの保健施設のみ確認されており、あまりおすすめできません。次項の私立病院・クリニックでは、ワクチンの入手(購入)ができれば接種は可能ですが、外国人が購入できるワクチンの在庫は不安定であり、当地での予防接種は原則避けて、入国前に接種してください。

(1)赴任者に必要な予防接種

  • 成人:黄熱、A型肝炎、腸チフス、狂犬病、破傷風、髄膜炎菌性髄膜炎、B型肝炎
  • 小児:上記に加え、日本で実施されている定期、任意の予防接種

(2)現地の小児定期予防接種の一覧

ワクチン 初回 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目
BCG 出生時          
ポリオ(経口生)OPV 出生時 2か月 3か月 4か月 9か月 18か月
ポリオ(注射)IPV 4か月 9か月        
B型肝炎 出生時          
5種混合(注1) 2か月 3か月 4か月      
ロタウイルス(1価) 2か月 3か月        
肺炎球菌(13価) 2か月 3か月 4か月      
MR(麻疹+風疹) 9か月 18か月        
黄熱 9か月          
髄膜炎菌性髄膜炎 12か月          

(注1)ジフテリア、破傷風、百日咳(全細胞性)、インフルエンザ桿菌b型、B型肝炎
接種時期、回数が日本と異なり、接種計画を立てる際、注意が必要です。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 予防接種証明が要求される場合には、大使館で接種歴を翻訳し、証明します(有料)。

8 病気になった場合(医療機関等)

(首都)バンジュール

(1)Medicare Clinic
住所:Brusubi, Brufut Highway
ホームページ:Medicare Clinic(英語)別ウィンドウで開く
電話:248-2459、78-80-017
E-mail:info@medicaregambia.com
概要:42床の私立病院。内科、感染症、小児科、婦人科、整形外科、耳鼻科、眼科など。手術室、生化学検査、超音波(婦人科含)、X線。診療時間の設定はなく、24時間の救急対応。救急車を持ち、近隣国への移送も可能。クレジットカード使用可能。英語、スペイン語。
(2)Africmed International Hospital
住所:Brusubi Truntable(Trust Bankの向側)
Googleマップで確認する別ウィンドウで開く
電話:733-2101、441-0686
E-mail:info@africmed-gm.com
ホームページ:Africmed International Hospital(英語)別ウィンドウで開く
概要:内科、外科、産婦人科、小児科、整形外科、歯科を有するインド資本の私立病院。診療時間の設定はなく、24時間の救急対応。医療器材の整った救急車を装備。
(3)Egyptian Medical Center
住所:Bertil Hearding Highwayの近く(Election Houseの裏手)
Googleマップで確認する別ウィンドウで開く
電話:439-5420、740-8729(WhatsApp)
ホームページ:Egyptian Medical Center(英語)別ウィンドウで開く
E-mail:emc.gmb@gmail.com
概要:エジプト資本の新しい私立病院。内科、外科、婦人科、歯科。エジプト人医師6から7、CT(Canon16列)、超音波(婦人科含)、X線。
(4)Sharab Medical Center
住所:Bertil Hearding Highwayの近く(Election Houseの裏手)
Googleマップで確認する別ウィンドウで開く
電話:330-0100、333-3004
ホームページ:Sharab Medical Center(英語)別ウィンドウで開く
E-mail:info@sharabclinic.com
概要:私立病院。泌尿器科、内科(心臓、腎臓)、外科、婦人科、歯科。4時間の救急対応。内視鏡。内視鏡手術。公立病院に近い診療費のため、混雑。
(5)Medical Research Council Unit, The Gambia
住所:Atlantic Boulevard, Fajara(診療部門はBakau StreetのMarina School横より入る)
電話:449-5835、449-5443から6
ホームページ:Medical Research Council Unit, The Gambia(英語)別ウィンドウで開く
E-mail:information@mrc.gm
ホームページ:Fajara clinical services(英語)別ウィンドウで開く
概要:ロンドン大学衛生熱帯医学大学院LSHTMの医学研究所に付属する診療部門。42床。内科、感染症。時間外対応不可。

9 その他の詳細情報入手先

10 一口メモ

 「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療英語)を参照願います。

世界の医療事情へ戻る