世界の医療事情

令和2年10月1日

1 国名・都市名

 エジプト・アラブ共和国(カイロ市、アレキサンドリア市、ルクソール市、アスワン市)(国際電話国番号20)

2 公館の住所・電話番号

○ 在エジプト日本国大使館 (毎週金土休館)
住所:81 Corniche El Nil Street, Maadi, Cairo
電話:(20-2)2528 5910
ウェブサイト:https://www.eg.emb-japan.go.jp/j/index.htm別ウィンドウで開く

※金土以外の休館日は暦年ごとにウェブサイトにて案内していますので、ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

 エジプトは北緯22度から32度と南北に長く位置しており、国土の約94%が砂漠及び土漠に覆われ大部分は乾燥熱帯地域に属しています。平均年間降雨量は地中海沿岸が200ミリ程度であるのに対し、内陸部にあるカイロ周辺はわずか30ミリ足らずです。一般に冬季(11月~3月)と夏季(5月~9月)に分けられ、その間に短い春と秋があります。1月と2月が最も寒く、最低気温が5度以下になることもあります。2月下旬から5月上旬にかけては砂嵐(ハムシーン)がしばしば発生し、この時期にはアレルギー疾患(鼻炎・皮膚炎・喘息)や呼吸器疾患にかかる人が増加します。4月から10月にかけて気温は上昇し、胃腸炎や脱水症が急増します。

 医療水準は十分とは言えません。比較的設備の整った私立病院において、基礎疾患のない方に限り、急性虫垂炎などの小手術、骨折や外傷に対する処置ならびに経産婦の正常分娩なら任せても良いと思われます。しかし、看護師等パラメディカル・スタッフの技能レベルは基本的な衛生概念が欠如していること、投薬ミスや検体の取り違え等のヒューマンエラーも多く発生していること等を考慮すると、快適或いは安心して医療を受けられる水準には達していません。また、輸血の安全性にも問題があります。診察費や検査費用は前払いで、クレジットカードはほとんど利用できません。総合病院の多くは、救急患者を24時間体制で受け入れています。

5 かかり易い病気・怪我

(1)食中毒

 当地で最も頻繁に見られる疾患です。主に細菌やウイルスに汚染された飲食物を経口摂取することにより発症します。主な症状は腹痛、嘔吐、下痢ですが、発熱や倦怠感、血便等を伴うこともあります。潜伏期間は病原体によりまちまちです。人から人へ直接うつることはありませんが、吐物や排泄物を介して感染することがあります。

(2)B型及びC型肝炎

 無症状の方を含む感染者から血液を介して感染し、慢性の肝炎から肝硬変や肝臓癌に移行する感染症です。エジプトは対人口あたりの世界比較で、C型が世界1番、B型が世界2番目に感染者が多いとのデータがあります。性行為、ピアス穴あけ、注射器やカミソリの使い回し、刺青、刺入を伴う民間療法などが感染の機会となります。これらを避けて、感染を予防してください。また、B型肝炎の予防接種を受けておくこともお勧めします。

(3)A型肝炎

 感染者から排泄される糞便で汚染された飲食物(野菜、果物、水、貝類、ミルク等)を経口摂取することによって感染します。発熱、全身倦怠感、食欲不振が主な症状です。2016年9月にアメリカにおいて、エジプトから輸入された冷凍イチゴを使用したスムージーが原因で100名以上がA型肝炎に罹患したと、アメリカ疾患予防センターが発表しました。国内の農産物も同様に注意が必要です。感染予防には手洗い、食品の洗浄もしくは加熱、予防接種が有効です。

(4)寄生虫症

ビルハルツ住血吸虫症、条虫症、異型吸虫症、アメーバ赤痢、ランブル鞭毛虫症などが挙げられます。この中でも、ビルハルツ住血吸虫はナイル川等の淡水に生息し、人がナイル川に入ることによりその幼虫が経皮的に侵入して感染します。初発症状は血尿で長期に放置すると癌に移行します。いまなおエジプト人の死因の上位を占める寄生虫症です。川に入ることは避けることをお勧めいたします。

(5)流行性脳脊髄膜炎

 主な症状は発熱と頭痛です。通常、髄膜炎菌を鼻咽腔から吸い込むことにより感染します。エジプトでは健常者の約10%近くに保菌者がいるため、体調が悪いときには人ごみや公共交通機関の利用を避けるのが賢明です。カイロにある予防接種センターでワクチンを接種することが可能です。

(6)交通事故

6 健康上心がける事

(1)生水や水道水は飲用に適していません。屋台や路地で販売されているジュース等の飲食物も衛生上問題があります。飲用にはペットボトル入りミネラルウオーターを使い、食中毒予防のため、食事はホテルあるいは清潔なレストランで、よく加熱調理されたものを食べるようにしてください。

(2)夏季は日差しが非常に強く、上エジプト(ルクソール、アスワン、アブ・シンベル)では日中の気温が50℃近くになることもあります。観光は朝夕の比較的涼しい時間帯に予定して、水分摂取を積極的に行ってください。特に日頃日光を浴びていない旅行者は、エジプトの強い日差しで酷い日焼けを起こす恐れがありますので、日中に外出する際は、皮膚を露出しないようにするか、日焼け止めを使用し、帽子着用を心掛けてください。

(3)医療費は日本に比べて高額になりますし、日本に緊急搬送する場合は1,000万円以上の金額を要することがありますので、海外旅行傷害保険へ加入されることを強くお勧めします。

(4)当地はMERS(中近東呼吸切迫症候群)、エボラ・ウイルス病の流行地ではありませんが、地理的に感染地からの人の移動の可能性があります。鳥インフルエンザは流行国であり、これまでにヒトへの感染例が359例(世界一位)、死亡症例が120例(世界二位)出ています。2018年以降、感染例は報告されていませんが、各種メディアの情報や大使館のホームページ等で流行状況の確認してください。

(5)当地では、処方箋なしに抗生剤など多くの薬剤を薬局で購入することが可能ですが、日本の医薬品と比べると商標名や用量が異なるものが殆どです。飲みなれた常備薬を持参してください。

(6)ナイル川では、ビルハルツ住血吸虫に感染する危険性があるため、遊泳はもちろんのこと手足を水につけたりしないよう注意してください。

(7)地域によっては、野犬や野良猫に遭遇することがあります。これまでに狂犬病の発症も報告されていますので、できるだけ動物に触れないよう注意してください。

(8)カイロ市内では、交通マナーが悪い上、慢性的な渋滞による大気汚染が深刻化しています。住宅を選ぶ際には、なるべく交通量の少ない地域を選択することをお勧めします。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

(1)赴任者に必要な予防接種

赴任者に必要な予防接種
  成人 小児
是非接種しておくべきワクチン A型肝炎
B型肝炎
破傷風
BCG、ポリオ、DPT
麻疹、流行性耳下腺炎
風疹、B型肝炎
できれば接種しておくワクチン 腸チフス 水痘、A型肝炎
ポリオ(3回目)
考慮すべきワクチン   髄膜炎菌性髄膜炎A&C
(現地で接種可能)

(2)エジプトの小児定期予防接種一覧

エジプトの小児定期予防接種一覧
  1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目 7回目
BCG 1週 4-6歳          
DPT*1 2か月 4か月 6か月 18か月      
DT*2 7歳 9歳          
ポリオ*3 1週 2か月 4か月 6か月 9か月 12か月 18か月
B型肝炎*1 2か月 4か月 6か月        
麻疹・ムンプス・風疹 (*4)            
MMR 12か月 18か月          
Hib*5 2か月 4か月 6か月 18か月      
髄膜炎*6 3歳 6歳 12歳 15歳      
  • *1:DPTとB型肝炎は4種混合として同時接種、18か月時はDPTのみ。
  • *2:リスクグループのみの追加。
  • *3:経口の生ワクチン。
  • *4:MMRとして接種、個々の単独接種なし。
  • *5:接種する場合は、DPTと同時に接種。
  • *6:A+Cのみの2価。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

例:Cairo American College (Primary school)

小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明
  1回目 2回目 3回目 4回目 5回目
ポリオ  
DPT/DT
MMR      
A型肝炎      
B型肝炎    

8 病気になった場合(医療機関等)

◎カイロ市

(1)Anglo American Hospital(アングロ・アメリカン・ホスピタル)
所在地: Near Cairo Tower, Gezira, Cairo,カイロタワーの隣
電話: (02)-2735-6162~-6135(代表)
FAX: (02)-2735-4304
概要:1903年創立のカイロでも老舗の私立総合病院。ゲジーラ島に位置し、在留邦人の多いザマーレク等、市中心部から近い。設備や建物はやや古いが、救急患者は24時間体制で受け入れており、対応も比較的早い。
(2)As Salam International Hospital(アッサラーム・インターナショナル・ホスピタル)
所在地: Corniche El Nil, Maadi, Cairo
電話: 19885(Hotline), (02)-2524-0250(代表)
FAX: (02)-2524-0066
概要: カイロ市南部に位置する私立総合病院。外国人の利用も多く、英語が通じ、医療設備も充実しています。休日や夜間は救急外来で診療を行っています。マーディー在住の方には近くて便利。
(3)Dal Al Fouad Hospital(ダル・アル・フォード・ホスピタル)
所在地: 26 July St., The Touristic Zone, 6th October City
電話: 16370(Hotline), (02)-3835-6040(代表)
FAX: (02)-3835-6050
概要: 郊外のOctober Cityにある私立総合病院。近代的な設備やシステムが導入されている大規模病院で英語が通じます。市内からは、渋滞がない場合でも車で30分はかかるため通院には不便です。夜間は救急部で診察を受けることが可能ですが、混雑していることがあります。
(4)Saudi German Hospital Cairo(サウジ・ジャーマン・ホスピタル・カイロ)
所在地: Joseph Teto street, Nozha, Heliopolis, Cairo
電話: 16259( Hotline
FAX: (02)-2620-5149
概要: カイロ国際空港近くにある私立総合病院。設備は新しく、検査機器も揃っています。英語で受診が可能です。邦人居住地区から遠いため通院には不便です。救急患者は24時間体制で受け入れています。

○アレキサンドリア市

(1)Al Salam Hospital(アルサラム・ホスピタル)
所在地: 7 Mohamed Motawea St., Shalalat, Alexandria,アレキサンドリア図書館の近く
電話: (03)-487-9999(代表)
FAX: (03)-485-6764
概要: 2004年開業。最新の医療機器を備えた私立総合病院。英語が通じ、救急治療部は24時間対応。主要クレジットカードが使用可能です。
(2) German Hospital(ジャーマン・ホスピタル)
所在地: 56 Abd El Salam Aref St., Saba Basha, Alexandria
電話: (03)-684-1806(代表)
FAX: (03)-684-0757
概要: 1993年開業の私立総合病院。規模は小さいものの、医療水準は比較的高く特に心疾患の治療に実績があります。主要クレジットカードが使用可能。

○ルクソール

(1)Luxor International Hospital(ルクソール・インターナショナル・ホスピタル)
所在地: El Television St., Luxor
電話: (095)-228-0192~0193(代表)
FAX: (095)-227-7195
概要: 2000年に創立された公立総合病院。外国人に対しては割高な外国人料金が適応されるものの、英語で対応するほか、迅速なサービスを提供してくれます。外国人専用の病室もあり、24時間体制で診療しています。
(2)Luxor General Hospital(ルクソール・ジェネラル・ホスピタル)
所在地: El Bahar St., Luxor
電話: (095)-237-2809, 237-2025, 237-7114~7115(代表)
概要: 歴史ある公立総合病院。診療実績は十分ですが、施設や医療機器は老朽化が進んでいます。

○アスワン

(1)Evangelical Misson Hospital (エバンゲリカル・ミッション・ホスピタル)
所在地: 23 Corniche El Nil St., Aswan
電話: (097)-231-7176(代表)
FAX: (097)-230-4991
概要: 1913年にドイツのキリスト教団体により設立されたミッション系病院で通称はジャーマン・ホスピタル。規模は大きくないものの24時間体制で迅速な対応が可能。緊急移送の実績もあります。
(2)Aswan Teaching Hospital(アスワン・ティーチング・ホスピタル)
所在地: Elshik Haron, Kassar El Hagr St., Aswan
電話: (097)-230-5311(代表)
概要: 最新の医療機器を備えたアスワン随一の総合病院。医師や看護師の研修病院でもあります。ただし、公立病院であるため常に混雑しており、迅速な対応は期待できません。

9 その他の詳細情報入手先

大使館ホームページ(日本語):https://www.eg.emb-japan.go.jp/j/index.htm別ウィンドウで開く
大使館問い合わせ先:ryoji@japanembassy.com.eg別ウィンドウで開く

10 現地語・一口メモ

(1)語彙

  • 医師:ドクトール
  • 飲み薬:ダワッショルブ
  • 注射:ホックナ
  • 頭痛:スダー
  • 腹痛:マガス
  • 下痢:イスヘール
  • 発熱:ハラーラ
  • 吐気:ケーエ
  • 咳:コーハー
  • 鼻水:ズカーム
  • めまい:ドーハ
  • 胸痛:アラム・フィー・アルサドル
  • 傷:ガルフ
  • 薬局:アグゼハーナ
  • 痒み:ハッカー
  • 歯科医:タビーブ・アスナーン

(2)短文

  • 具合が悪い:アナ・ターバーン
  • 病院へ連れて行って欲しい:アーウィザック・タホドニ・イラ・ムスタシファー
  • 救急車を呼んで欲しい:アーウィザック・ティトルブ・アルイセーアーフ

11 新型コロナウイルス関連情報

(1)当地の感染蔓延状況は、エジプト保健・人口省のFacebookページ( http://www.facebook.com/Egypt.mohp/別ウィンドウで開く)、大使館ホームページから入手できます。

(2)マスクやグローブ、消毒液といった感染防止対策衛生材料は、町中で購入できることもありますが、流通は安定していません。渡航される場合は、必要なものを入手の上で持参されることをおすすめします。なお、2020年5月30日から、屋内施設への入場及び公共交通機関の利用時にはマスクの着用が義務化されており、違反した場合には罰金が科されます。

(3)感染が疑われる場合には、保健当局のホットライン「105」もしくは「15335」に電話して指示を仰ぎます。カイロの一部私立病院では新型コロナウイルス感染の治療を行っており、それらの医療機関に直接連絡を取り検査を受けることも可能ですが、私立病院の新型コロナウイルス検査や治療費は非常に高額です。前述のAs Salam International Hospital(アッサラーム・インターナショナル・ホスピタル)やDal Al Fouad Hospital(ダル・アル・フォード・ホスピタル)、Saudi German Hospital Cairo(サウジ・ジャーマン・ホスピタル・カイロ)では検査を受けることが出来ます(2020年10月時点)。

(4)新型コロナウイルス感染と診断された場合、症状が軽症であったり感染疑いで症状が軽微であれば自宅隔離で治療が行われますが、中等症以上であれば入院・加療が行われます。


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