世界の医療事情

ジブチ

平成30年10月

1 国名・都市名(国際電話番号)

 ジブチ共和国(ジブチ)(国際電話国番号253)

2 公館の住所・電話番号

Rue de l’Iman Hassan Abudallah Mohamed, Hélon, Djibouti, République de Djibouti B.P.2051(毎週金土休館)
電話21354981

4 衛生・医療事情一般

 ジブチ共和国は,アフリカ北東部に位置し,東は紅海,アデン湾に面し,北はエリトリア,西はエチオピア,南はソマリアに接しています。総面積は23,200平方キロメートルで四国の約1.3倍の大きさです。気候は大部分が砂漠(BWh)気候で,地球上で最も暑い土地の一つと言われ,7~8月には最高気温が摂氏50度を超えることもあります。

 衛生事情は概して不良で,公衆衛生知識の浸透が不十分であるため,食品等の衛生管理が極めて低いレベルです。市民はゴミをポイ捨てするため,街路,路肩,空き地にはゴミが散乱しており不衛生です。また,放し飼いにされた山羊,羊や荷物運搬用の驢馬等の糞尿が道路脇に散乱している光景も認められます。

 大気は汚く,埃が多いため,眼の痒み,鼻炎やのどの痛み等の症状を訴えられる方がおり,目薬やマスクを持参する等の対策をお勧めします。水道水は雑菌,鉄錆,微細ゴミ及び多量の塩分混入を認めるため,飲用には適しません。邦人家庭では,浄水フィルターを通した水を台所での洗浄用として使用している家もありますが,飲用,調理用としては市販のミネラルウォーターの使用をお勧めします。この際,必ずキャップが未開封で漏れがないことを確認して下さい。

 社会インフラ整備の遅れ,気候変動により繰り返される干ばつ被害,失業・貧困による社会不安要素が,様々な社会システムの混乱を引き起こしており,その影響は医療面にも及び,医療事情は劣悪になっています。

 国公立病院においても職員不足,技量の低下,医療機器の故障や老朽化,医薬品払底等により,健全な病院機能を果たしているとはいえません。かろうじて私立クリニックがある程度の疾病,外傷に対応していますが,全幅の信頼をおけるまでには至りません。特に輸血を含めた観血的治療を受けることは避けるべきで,そのような場合は可能な限り先進国に移送することをお勧めします。私立クリニック受診に際しては,受付時に医療費支払い保証を求められ,確認が取れないと医療行為が受けられない可能性がありますので,多目の現金を持参して下さい。医療費自体は日本と比較して高額ということはありませんが,保証金や医療費全額支払い等で窓口支払額が多くなります。疾病によっては先進国へ移送しての治療が望ましいことを踏まえ,高額保障の海外旅行傷害保険等に加入されることをお勧めします。

5 かかり易い病気・怪我

(1)感染性腸炎

 下痢を主症状とし,嘔気,嘔吐,発熱,腹痛等の症状を起こす感染性の病気で,原因となる微生物は細菌,ウイルス,原虫を含む寄生虫等様々です。時に出血性腸炎の病態を呈し,重篤化することがあります。食品衛生の知識不足,清潔概念の欠如による食料品の管理の問題が多く,外食の際には,十分に加熱された食品を食すること,飲料水はミネラルウォーターを飲み,氷は避けるなどの一般的注意を怠らないようにしてください。スーパーで購入したものを家庭で調理する場合にも細心の注意が必要です。家庭で調理を行う際には,葉物野菜等は十分に洗浄し,虫体や虫卵の付着がないか,確認を怠らないようにして下さい。また,生卵,半熟卵,肉や魚の生食は避けるようにして下さい。調理前,調理済みにかかわらず食品を保存する際の温度管理にも注意が必要です。整腸剤や胃腸薬などを持参されることをお勧めします。

(2)急性呼吸器疾患

 いわゆる「かぜ」,「気管支炎」に代表される疾患です。原因は微生物の他,自動車の排気ガス,砂塵等様々です。成人では感冒後に咳嗽が遷延する方が散見されます。原因は特定されないことが殆どですが,発熱や膿性痰があれば,医師の処方による抗菌薬の使用が必要になることもあります。日頃から十分な休息や睡眠をとり,疲労を溜めないようにすることや,手洗い,うがい,咳エチケットの遵守等が予防の基本となります。

(3)マラリア

 蚊が媒介する感染症です。原因微生物は寄生虫に属するマラリア原虫であり,これを媒介するのは夜間活動性のハマダラカです。蚊に刺されて7~21日の潜伏期後,突然の高熱で発症します。その他の症状は悪寒,戦慄,頭痛,全身倦怠感等です。ジブチでは,年間(特に11月~5月に多い)を通じて感染する危険性があり,その多くが熱帯熱マラリアで,迅速な治療が必要です。蚊に刺された後の発熱には,十分注意する必要があります。ワクチンは存在しないため,予防には,皮膚の露出を避ける,虫除けスプレー(DEETやイカリジンを主成分とするものが勧められます),蚊帳,蚊取り線香,網戸設置等の防蚊対策が基本となります。

(4)デング熱

 マラリア同様に蚊が媒介する感染症です。原因微生物はデングウイルスで,これを媒介するのは,主にネッタイシマカです。蚊に刺されて2~7日後に高熱で発症し,前頭部痛,筋肉痛,関節痛,皮疹等の症状を呈し,およそ発症後1週間程度で回復に向かい,通常は後遺症なく回復します。一部の患者で皮膚・粘膜からの出血,肝腫脹,血圧低下等を伴う,重篤なデング出血熱やデングショック症候群となります。

 デング熱に対する特異的治療薬は存在しないため,対症療法にて治療します。またワクチンも存在しないため,マラリア対策と同様に,皮膚の露出を避ける,虫よけスプレー,蚊帳,蚊取り線香,防虫剤の使用,網戸設置等の防蚊対策が予防の基本です。

(5)外傷(交通事故等)

 自動車の運転マナーが悪く,更に道路や信号機の整備不良,自動車整備不良等による交通事故が多いため,運転者・歩行者共に細心の注意が必要です。道端に瓦礫等が放置されており,素足にサンダルなどを履いて出かけた際に,足に怪我をする事がありますので注意して下さい。怪我の程度によっては緊急輸血が必要になることもありますので,ジブチでは最大限の注意を払って避けなければならない疾患です。

6 健康上心がける事

(1)感染性腸炎,急性呼吸器疾患が高頻度の病気となっているので,手洗い・うがいを心がけて下さい。使用人(メイド等)を雇う場合には,食品衛生などに関する教育が大切です。

(2)蚊を代表とする各種昆虫が媒介する感染症に対し,長袖・長ズボンの着用にて肌の露出避ける,虫よけスプレー,蚊帳,蚊取り線香,防虫剤の使用,網戸設置等の防蚊対策を徹底して下さい。

(3)年間を通し紫外線量が多く,日焼け止めの使用,帽子の着用,サングラスの着用,肌の露出を避けるなどの対策をして下さい。

(4)気温が高いこともあり長時間の外出やスポーツを行う場合,予想以上に体力を消耗するといえます。また,脱水になりやすいのでスポーツドリンク等の水分補給を忘れないようにして下さい。慢性的に疲労が蓄積するので,こまめに休息をとるように心がけて下さい。

(5)当地では暑さのため外出の頻度が減り,屋内に閉じこもりがちになり,また娯楽らしい娯楽が殆どなく,運動不足やストレスの原因となります。機会を見つけて体を動かすように心がけて下さい。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種

成人:赴任に際し法的に要求される予防接種はありません。接種をお勧めする予防接種は,優先度の高い順に,A型肝炎,破傷風,B型肝炎,狂犬病,腸チフスです。

小児:赴任に際し法的に要求される予防接種はありません。接種をお勧めする予防接種は,優先度の高い順に,BCG,ポリオ,破傷風,ジフテリア,百日咳,麻疹,風疹,流行性耳下腺炎,インフルエンザ桿菌(Hib)等です。

 2018年8月現在,ジブチ共和国は,黄熱予防接種(証明書)要求国ではありませんが,近隣諸国は,同予防接種要求国が多いですので,可能であれば接種を済ませておくことをお勧めします。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

ジブチ共和国の小児定期予防接種スケジュール(2018年10月現在)
  初回 2回目 3回目 4回~
BCG 出生時      
DTwP+HepB+Hib
(ジフテリア,破傷風,百日咳,B型肝炎,インフルエンザ菌b型)
6週 10週 14週  
B型肝炎 出生時 6週 10週 14週
麻疹(はしか) 9か月 15か月    
ポリオ(OPV) 出生時 6週 10週 14週(IPV)
インフルエンザ菌b型 6週 10週 14週  
PCV13(肺炎球菌) 6週 10週 14週  
ロタ 6週 10週  

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 例えば,インターナショナルスクールである QSI International School of Djiboutiではジフテリア,破傷風,百日咳,ポリオ,麻疹,流行性耳下腺炎,風疹の予防接種が必須となります(2018年10月現在)。しかし,統一された規則は存在せず,同一校であっても要求されたり,必要なかったりとその都度対応が異なりますので,学校側に確認することが必要になります。

8 病気になった場合(医療機関等)

ジブチ市

(1)Centre médico-chirurgical interarmées 仏軍統合外科系医療センター(CMCIA)
所在地:ジブチ駐留フランス軍基地内。
電話:代表 21450302,救急受付(24時間対応) 21 450115
概要:基本的にはフランス軍関係者のみの診療で,民間人は初診医の予約・紹介状が必須です。一般外科,整形外科,一般内科,歯科が設置されています(スタッフは4ヶ月毎の交代制)。単純X線撮影装置,CT,超音波診断装置,各種臨床検査機器の他,外来救急部,手術室,術後回復室等の施設が備わっています。医療スタッフは主にフランス人で,殆どの職員は,英語での会話も可能です。
(2)Centre Medical (通称)ポールメディカル
所在地:ジブチ市内中心部,メネリック広場近くに位置し,同じ建物内の歯科,小児科とともにPole Medicalと呼ばれています。午前8時-12時,午後16時-19時。金曜,土曜休。
電話:21352724
概要:2名のフランス人医師が診療に従事しており,一般内科,眼科,耳鼻科,泌尿器科,皮膚科などのプライマリー・ケアに対応しています。入院施設はありません。 単純X線検査,超音波検査,眼底検査,心電図検査,血液,尿検査などが可能です。
(3)SOVEREIGN DJIBOUTI MEDICAL SERVICE(SDMS)
所在地:ジブチ市内フランス大使館近くです。午前7時-午後7時(毎日)
電話:21352585
概要:歯科医,総合内科医,家庭医,心臓病医などによるプライマリー・ケアに対応しています(産婦人科は2018年10月時点では準備中)。入院施設はありません。時間外診療(午後7時-午前7時)も行っています。単純X線検査,超音波検査,心電図検査,血液検査などが可能です。

9 その他の詳細情報入手先

(1)在ジブチ日本国大使館 https://www.dj.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(2)WHO世界保健機構 http://www.who.int/countries/dji/en/別ウィンドウで開く

(3)厚生労働省検疫所 感染症情報 http://www.forth.go.jp/別ウィンドウで開く

(4)国立感染症研究所 疾患別情報 http://idsc.nih.go.jp/disease.html別ウィンドウで開く

(5)ジブチ保健省 http://www.facebook.com/pages/Ministere-de-la-Sant%C3%A9-de-Djibouti/302621533110121別ウィンドウで開く

(6)CDC Travelers' Health http://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/djibouti.aspx#vaccines別ウィンドウで開く

(7)CIA The World Factbook https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/dj.html別ウィンドウで開く

10 現地語・一口メモ

 主要言語版については,「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(仏語)を参照願います。


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