世界の医療事情

ジブチ

令和2年10月

1 国名・都市名(国際電話番号)

 ジブチ共和国(ジブチ)(国際電話国番号253)

2 公館の住所・電話番号

9ème étage au 11ème étage, MEZZ Tower, Rue de Venise, Djibouti, B.P. 2051 (毎週金土休館)
電話:2135-4981
ウェブサイト:https://www.dj.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

*金土以外の休館日は暦年ごとにホームページにてご案内しています。

4 衛生・医療事情一般

 ジブチ共和国は、アフリカ北東部に位置し、1977年に独立した比較的新しい国家です。総面積は23,200平方キロメートル、四国の約1.3倍の大きさで、人口は約100万人です。気候は大部分が砂漠気候で、地球上で最も暑い土地の一つと言われ、7~8月には最高気温が摂氏50度を超えることもあります。

 医療環境は脆弱で、医師などの医療従事者数も不足しており、邦人が満足のいく医療サービスを提供できる環境にはありません。国民の平均寿命は66.6歳で、医療統計的には、新生児死亡率や妊産婦死亡率が高い値を示しています。脳血管疾患や心疾患のような高度の医療行為や輸血を必要とする治療が必要な場合は、国外移送が必要になることが大部分です。また、眼科や耳鼻科、歯科などの特殊な診療科においても、専門医は極めて少なく国外治療を要することが多いです。海外旅行保険などに加入の際には、十分な補償額の契約が推奨されます。

 国民皆保険に該当する保険制度がありますが、外国人には適応されません。医療費自体は、高額な支払いを求められることはありませんが、クレジットカードが利用できるクリニックは限られています。また、入院治療が必要な場合は、一定額のデポジットが必要となります。

 当地の衛生事情は概して不良で、公衆衛生知識の浸透が不十分であるため、食品等の衛生管理も不十分です。上水道は、首都の一部で完備されていますが、塩分濃度が高く、貯水槽の汚染もあるため飲水には適しません。飲食店においても、なるべく火の通ったものを食するように心がけるとともに、冷たい飲みのも(氷を含む)は控えるようにした方が無難です。邦人が当地で罹患する大部分の疾患が、経口的感染症であることを考えると、日頃から飲食物に留意して生活することが病気の予防の基本となります。毎年6月~8月にかけては、ハムシンと呼ばれる砂嵐が吹き荒れ、砂塵や埃で大気は汚染されます。この期間は、目や上気道の症状が出やすくなりますのでご注意ください。

5 かかり易い病気・怪我

(1)腸管感染症:急性腸炎・食中毒・腸チフス・赤痢アメーバ症など

 下痢は当地ではきわめて日常的な症状です。下痢を引き起こす病原菌には、色々な細菌・ウイルス・寄生虫などがあり、原因微生物を確定できないことが大部分です。ほとんどの場合は軽症ですが、体重減少を伴う下痢、発熱を伴う下痢、血便を伴う下痢、などの場合は重症化することもありますので、早めに医療機関受診を考慮してください。

(2)蚊媒介疾患:デング熱、チクングニア熱、ジカ熱、マラリア

 いずれも蚊によって媒介される疾患で、潜伏期間は4日~2週間程度です。デング熱、チクングニア熱、ジカ熱は、ウイルス性の熱性疾患で症状が似通っています。デング熱の典型的な症状としては、倦怠感、発熱、関節痛、頭痛、目の奥の痛みなどで、38度を超える熱が数日続き、その後発疹が出現します。重症度は様々で、風邪程度で済むケースもあります。在留邦人からも毎年数名感染者が出ていますので注意が必要です。チクングニア熱やジカ熱に関しては、症状が軽微ですむことが多いこともあり、当地のほとんどの病院では診断技術を有しておりません。そのために患者実数も報告されていないと推定されます。これらの3疾患はいずれもウイルス性の疾患であり、治療は対症療法のみとなります。

 マラリアは、マラリア原虫による感染症で、2週間程度の潜伏期間後に高熱で発症します。マラリアは前述のウイルス性の疾患と異なり有効な治療薬があるため、早期に確定診断して投薬を開始する必要があります。2013年以前は、ジブチ国内のマラリア患者は一部の地域に限局して発生していましたが、現在ジブチ市内のほとんどの地域で患者が発生し、ここ数年患者数が倍増しています。2019年度は、人口1,000人あたりの罹患率が31.9と2018年の3倍以上の発生率でした。マラリア原虫の種類によりマラリアには四つの病形がありますが、当地では70%が重症型である熱帯熱マラリア、30%が三日熱マラリアとなっています。

 ジブチ国内においては、高温期である5月~10月の期間は、蚊も生存できず上記疾患はほとんど発生しません。11月以降、降雨後の蚊の発生に伴い蚊媒介疾患が蔓延し始め、例年1月から3月に感染者が急増します。風邪症状がないにも関わらず高熱がある場合は、これらの蚊が媒介する疾患を考慮する必要がありますので、早めに医療機関を受診してください。

(3)呼吸器系疾患:かぜ、気管支炎など

 高温で乾燥している当地では、頻繁に風邪をひく、風邪の後の咳が長引く、副鼻腔炎が悪化した、ずっと喉が痛い、喘息が悪化したなど、呼吸器関係の不調を訴える方が目立ちます。エアコンによる居室の乾燥、砂塵、閉め切った室内のハウスダストやダニ(アレルギー)、などが複合的に関与していると思われます。気管支系の弱い方は、マスクなどで保湿に努めるとともに、ご自宅に空気清浄機や加湿器、場合によっては吸入器を用意すると良いでしょう。

(4)外傷・交通事故等

 自動車の運転マナーが悪く、更に道路や信号機の整備不良、自動車整備不良等による交通事故が多いため、運転者・歩行者共に細心の注意が必要です。道端に瓦礫等が放置されており、素足にサンダルなどを履いて出かけた際に、足に怪我をする事がありますので注意して下さい。

(5)その他の疾患

 結核:ジブチは、WHOが指定する結核高蔓延国の一つであり、人口10万人あたりの罹患率が269と世界平均の倍の患者が存在しています。市内の検査体制や衛生状況も十分ではありません。市内人混みには、排菌者(結核菌を咳とともに出している人)が存在することを前提にマスクなどの自己防衛を行うとともに、微熱や長く続く咳がある場合は、医療機関を受診してください。

 HIV・エイズ:2019年のデーターでは、人口千人あたりの新規感染者は、0.61であり、世界平均0.25を上回る数字となっています。

 狂犬病:独立以降、当地での狂犬病の発生は確認されていませんが、ソマリアなどの周辺諸国では狂犬病が依然散発的に発生している事もあり、注意は必要です。動物を扱う業務の方、地方都市へ行かれる方に関しては、前もって狂犬病の予防接種が推奨されます。

6 健康上心がける事

(1)経口的に摂取するものに気を配る

 当地で発生する大部分の疾患が、経口的に感染する感染症です。食事は、十分加熱されたものを食べるように心がけ、飲用水には飲用のペットボトル水(濾過水)をご利用ください。外食時は衛生管理の行き届いた飲食店を選び、衛生管理の悪い店舗などは避けます。生野菜、カットフルーツなどは、加熱処理が出来ないだけに、より厳しい食品衛生管理が求められます。飲食店で提供される氷に関しても、信頼置ける飲食店以外では「氷なし」で注文された方が無難です。

(2)蚊に刺されないように注意する

 蚊が発生する時期(11月~4月)の外出時には、長袖・長ズボンを着用するなど皮膚の露出を最低限に抑えるとともに、忌避剤(DEETやイカリジン含有のスプレー、ローション)を使用してください。忌避剤を選択される際は、成分濃度の高い製品(DEET30など)を選択して下さい。独立家屋や集合住宅の低層階では、網戸や窓ネット、蚊取線香など屋内の防蚊対策も必要です。蚊は、植木鉢や空き缶、古タイヤなど小さな水溜まりでも繁殖しますから、繁殖場所を作らないように家屋の周囲にも気を配ります。敷地内で定期的に殺虫剤を噴霧するのも有用です。

 ジブチでは、(1)の「飲み物・食べ物に注意する事」と(2)の「防蚊対策」の2点をご留意いただけたら、大部分の疾患は予防が可能となります。

(3)脱水・日焼け対策

 ジブチの気温は、5月から9月にかけては日中40℃を越え、夜間も35℃以上となります。紫外線は強く屋外では紫外線対策が必要です。日除けローション、つばの広い帽子など、日差し対策を工夫して下さい。屋外活動時には発汗で多量の水分が失われますので、のどの渇きを自覚する前から水分をこまめに補給して下さい。

(4)帰国後の症状発現

 前述したデング熱やマラリアなどは、一定期間の潜伏期間を有しますので、帰国後に症状が出現することもあり得ます。当国から帰国後に発熱や発疹などの症状が出た場合は、トラベルクリニックなどの専門医療機関に受診することをお勧めします。

7 予防接種

 現地のワクチン接種医療機関などについてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種

成人:入国に際し法的に要求される予防接種はありません。接種が推奨される予防接種としては、優先度の高い順に、A型肝炎、破傷風、B型肝炎、腸チフス、狂犬病です。

小児:入国に際し法的に要求される予防接種はありません。接種が推奨される予防接種は、BCG、ポリオ、破傷風、ジフテリア、百日咳、麻疹、風疹、流行性耳下腺炎、インフルエンザ桿菌(Hib)等です。

 2020年10月現在、ジブチ共和国は黄熱予防接種(証明書)要求国ではありませんが、近隣諸国は同予防接種要求国が多いですので、可能であれば接種を済ませておくことをお勧めします。当地の病院やクリニックでは、各種予防接種の在庫が不安定であり、停電も多くその保管状況が悪い事もあり、当地での予防接種の購入接種はなるべく避け、本邦で接種を済ませるようにして下さい。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

ジブチ共和国の小児定期予防接種スケジュール(2020年10月現在)
予防接種の種類 初回 2回目 3回目 4回~
BCG 出生時      
DTwP+HepB+Hib
(ジフテリア、破傷風、百日咳、B型肝炎、インフルエンザ菌b型)
6週 10週 14週  
B型肝炎 出生時 6週 10週 14週
麻疹(はしか) 9か月 15か月    
ポリオ(OPV) 出生時 6週 10週 14週(IPV)
インフルエンザ菌b型 6週 10週 14週  
PCV13(肺炎球菌) 6週 10週 14週  
ロタ 6週 10週  

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 インターナショナルスクールである QSI International School of Djiboutiではジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹の予防接種が必須となっています(2020年10月現在)。

8 病気になった場合(医療機関等)

◎ジブチ市

(1)Centre Medical ポールメディカル
所在地:Immeuble Moulk Center, Djibouti B. P. 1819
空港から市内に向かうホテル・病院の複合施設(ムルクセンター)のビル2階
電話:2135-2724
概要:2019年1月に新築移転した医療ビルで歯科など5つの個人経営クリニックが入居。同医院は、ジブチ在留歴の長いフランス人医師が診療に従事しており、一般内科、眼科、に対応しています。入院施設はありません。単純X線検査、超音波検査、眼底検査、心電図検査、血液、尿検査などが可能です。英語、仏語での診療対応可能、救急時間外対応は不可、支払いは現金のみです。長期休暇で不在になる事があり、診療の際には事前に予約を入れた方が確実です。複数の邦人の診療実績があります。
診療時間は、午前8時-12時、午後16時-19時 金曜、 土曜休
(2)FK Medical
所在地:Av. Cheik Osaman, Djibouti B. P. 682
ヘロン地区、フランス大使館の隣の一軒家
電話:2135-2585
概要:2016年に開院した私立クリニック、外国人医師3名、歯科医1名が常勤。
婦人科と耳鼻科以外の診療科に対応、救急は毎日24時間受付。診療は英語対応可能で、マラリアの診断および治療も可能です。自施設内に検査室と専門職員を有しており、外注せずに主たる検査が可能。各種レントゲン装置、エコーなども装備しています。入院施設はありませんが、経過観察室があり数日の経過観察が可能です。複数の邦人の診療実績があります。
通常の診療時間は、午前7時 –午後7時。金曜、土曜休(救急は対応)
(3)Centre médico-chirurgical interarmées 仏軍統合外科系医療センター(CMCIA)
所在地:ジブチ駐留フランス軍基地内
電話:代表 2145-0302 救急受付(24時間対応) 2145-0115
ウェブサイト:https://dj.ambafrance.org/Le-centre-medico-chirurgical-interarmees-CMCIA別ウィンドウで開く

概要:当地で邦人が入院治療可能な唯一の施設です。基本的にはフランス軍関係者のみの診療で、邦人の場合は初診医の予約・紹介状が必要です。一般外科、整形外科、一般内科、歯科が設置されています。単純X線撮影装置、CT、超音波診断装置、各種臨床検査機器の他、外来救急部、手術室、術後回復室等の施設が備わっており、医療スタッフは主にフランス軍人で、殆どの職員は英語での会話も可能です。高度医療や長期間の医療行為には対応しておらず、数日の入院治療のみ可能となっています。

9 その他の詳細情報入手先

(1)WHOジブチ支所 http://www.emro.who.int/fr/countries/dji/index.html別ウィンドウで開く

(2)国連開発計画HDR2019 ジブチ http://www.hdr.undp.org/en/countries/profiles/DJI別ウィンドウで開く

(3)厚生労働省検疫所 感染症情報 http://www.forth.go.jp/別ウィンドウで開く

(4)国立感染症研究所 疾患別情報 http://idsc.nih.go.jp/disease.html別ウィンドウで開く

(5)ジブチ保健省 https://www.facebook.com/minister.sante.dj/別ウィンドウで開く

(6)CDC Travelers' Health http://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/djibouti.aspx#vaccines別ウィンドウで開く

10 一口メモ

 主要言語版については、「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(仏語)を参照願います。

11 新型コロナウイルス関連情報

(1) ジブチにおける感染経過

 世界的新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、ジブチでは2020年3月末に国内初の陽性患者が確認されました。人口あたりの検査件数が、他のアフリカ諸国と比較して極めて高いことも影響して、 人口対の感染者数は高い値で推移しました。その後、国境の閉鎖などの防疫処置がとられ、2020年10月現在、感染は終息の方向に向かいつつあります。

(2) ジブチでの検査と診断

 国内では検査機関を1カ所の公的病院に集約しており、検査が必要な状況になった場合は、同施設を受診せざるを得ません。一方、検査時間の限定、検査場の混雑、衛生状況を考えますと、邦人が安全に検査を受けることができる状況とは言えません。また、有症状者の場合は、通常のPCR検査に加えて肺のCT検査も必要となりますが、CT検査器機を有する施設は限られており、コロナウイルス感染症の診断の為のCT検査は行われていないのが実情です。

(3) ジブチでの治療

 ジブチ国内では、医師および医療関係者の絶対数が不足しており、今般の新型コロナウイルス感染症においても、対応する医師は少なく、専門医師は数名というのが現状です。邦人が感染し中等症以上になった場合は、当地での十分な医療行為は望めません。そのため、基本的には国外搬送を前提としつつ治療を行う事になります(2020年10月時点で、邦人の新型コロナウイルス感染症患者の緊急国外移送は困難な状況)。当地を訪れる際には、その時点の世界的な感染状況を入手し、当地での感染リスクを十分ご検討下さい。また、海外旅行保険に関しては、国外移送を考慮して高額の保証内容をご検討下さい。

(4) 感染の予防

 現在ジブチ国内は感染が下火になっていることもあり、各種衛生材料などの入手は可能な状況ですが、流行時はマスクやアルコール消毒液の入手は困難になります。当地訪問に当たっては、最低限度個人で使用される衛生材料は持ち込まれて下さい。空港やホテルなど不特定多数の人が出入りする施設では、多くの利用者が感染防御に無関心ですので、各個人が感染予防のための行動規制を取る事が重要となります。


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