世界の医療事情

平成30年10月1日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 ボツワナ共和国(国際電話国番号 267)

2 公館の住所・電話番号

在ボツワナ日本国大使館(毎週土日休館)
住所:Embassy of Japan in Botswana, 4th floor Barclays House, Plot 8842, Khama Crescent, Gaborone, Botswana
電話:391-4456
ホームページ:https://www.botswana.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(注)土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので,ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

(1)地誌・気候

 当国はアフリカ大陸南部に位置し,南を南アフリカ,東をジンバブエ,北と西をナミビアに囲まれた内陸国です。平均高度は海抜1,100メートル程度です。国土のおよそ70%がカラハリ砂漠で覆われており,気候は内陸砂漠気候です。季節は冬季(6月~8月)と夏季(11月~3月)の2季に大別され,この間に短い春と秋があります。夏季には比較的雨が多く(雨期),時に雷を伴った豪雨となることもありますが,一日中降り続くことはあまりありません。その他の時期にはあまり雨は降りません。特に冬季は降雨量が極端に少なくなり,湿度10-20%と非常に乾燥しています。ただし,ボツワナ北部には熱帯気候が広がり,年間降雨量は500~700ミリといわれています。南部に位置する首都ハボロネにおいても,夏の気温は日中の最高気温が40℃ほどまで上昇し,非常に暑くなります。冬季の気温については「1日のうちに四季がある」ともいわれ,朝晩は0℃以下まで低下する一方で,日中は30℃くらいまで上昇することもあるなど日内変動が大きく,着衣の調整にも注意が必要です。

(2)衛生・医療事情

 ボツワナは1966年にイギリスから独立した当時は,世界の最貧国の一つといわれており,インフラの整備はほとんどなされていませんでした。独立直後の1967年に世界最大規模のダイヤモンド鉱山が発見され,この収益が教育・医療・インフラの整備に使われました。現在,ボツワナは中進国に位置づけられ,都市部では上水道や水洗トイレが普及しています。しかし国土面積が日本の約1.5倍もあるにもかかわらず,人口はわずか229万人(2017年世界銀行推計)で,その人口も限られた都市部に69%が居住しており,地方の教育や医療,インフラの整備は都市部と比較して進んでいません。

 当国の医療機関は主として,公立病院,私立病院,公立診療所,私立診療所,ヘルスポストに分けられます。公立の医療施設は受診料が極めて廉価(1傷病当たり5プラ(約50円))ですが,長い診察待ち時間を要し,設備も十分でないのが実情です。ヘルスポストは主に地方の村々に所在し,定期的に医師が訪問して診療を行う施設のことです。そのため,日本人が受診する施設は主として私立病院又は私立診療所になると思われます。地方では選択肢が公立医療施設に限定される場合もあります。CTやMRIなどの画像検査や機器は,首都ハボロネであれば複数施設で検査可能ですが,地方ではボツワナ第二の都市フランシスタウンの公立病院にあるだけです。腎臓が悪い人のための血液透析に関しても同様で,ハボロネ(複数カ所),フランシスタウン(2カ所)とパラペにのみ透析可能施設が存在します。

 医療設備のほか,医療従事者(特に専門医)も不足しており,人口1万人当たりの医師数は日本が23人のところ,当地ではわずか4人となっています。先進医療を受けるには隣国の南アフリカ共和国の病院を受診する(首都ハボロネからヨハネスブルグまでは陸路約400キロメートル),又は帰国して日本の病院を受診する,などが必要です。当地の病院を受診した際の支払いは全て現地通貨(Pula:プラ)です。私立病院の場合,救急外来受診時でも診察の前に保証金を求められることがあります。クレジットカードが使えることもありますが,その場合はVISA又はMaster Cardに限られます。病院内にATMがあっても故障のため利用できないことも少なくありません。また,ほとんどの病院でパーソナルチェック(個人用小切手)は使えません。そのため,現金を持参することをお勧めします。なお,診察料だけでなく,検査室や院内薬局の窓口で,別途検査料や薬剤料を支払う必要があります。医師より渡された薬剤の処方箋により,院内や市中の薬局で処方薬剤を購入することになります。

5 かかり易い病気・怪我

(1)下痢症

 重篤な症状ではないものの,軽度の下痢を経験する人はしばしば見受けられます。脱水状態に陥らないように,少量の水分を頻繁に摂取することが一般的な対処法です。当地の医療機関では下痢の原因を特定することはなく,食事指導のみとなることがほとんどです。食事指導の内容としては,A(Apple,リンゴ)・B(Banana,バナナ)・C(Cereal,シリアル)の順に腹部症状に合わせて徐々に食事形態を変えていくというものです。

 ボツワナの在留邦人に比較的よくみられる食中毒は,黄色ブドウ球菌による食中毒です。黄色ブドウ球菌が増殖した後,加熱などによりブドウ球菌は死滅しても,残った毒素成分(耐熱)を食物と一緒に摂取することで発症します。原因となる食物は様々で,摂取して数時間で症状が出現します。症状は強い吐き気と嘔吐,腹痛,下痢です。毒素が便として体外に出てしまえば症状は治まるため,発症から半日ほどで症状は改善します。

 ボツワナの水道水は比較的水質がよいとされていますが,水不足の時などに,一時的に水質が悪くなることがあります。そのような水を直接飲むことで下痢症を発症します。飲料水から感染する病原体には,細菌以外に原虫という種類の微生物があります。原虫にはジアルジア,クリプトスポリジウムなどがあります。これらの病原体による下痢症は治りにくい場合があり,特殊な薬剤(抗原虫薬)の内服が必要になることがあります。水道水を食材や食器の洗浄,歯磨き等に直接使用することに問題はないと考えられますが,飲料用や製氷用には水道水を煮沸した湯冷まし,又は市販のミネラルウォーターの使用をお勧めします。ミネラルウォーターはスーパーマーケットやドラッグストアなどで容易に入手できます。

 食べ物や飲み物から病気がうつることを経口感染といい,病原菌が付いた手指を介し,飲食物に汚染が拡がることが原因であることが多いです。このような感染症(上記下痢症に加え,A型肝炎,コレラ,ウイルス性胃腸炎など)にかからないために,食事前には手指を洗う,生水や生水で作った氷は避ける,衛生状態の良い飲食物を選択することを心がけてください。

(2)呼吸器疾患

 朝晩の気温差及び強い乾燥のために,感冒(いわゆる「かぜ」)などの呼吸器疾患にかかりやすいため注意が必要です。気温に合わせてこまめに着衣を調節し,のどの乾燥を避けるよう心がけてください。

(3)HIV感染症 / AIDS

 HIV(ヒト免疫不全ウイルス:Human Immunodeficiency Virus)に感染し,感染症に対して抵抗する力(免疫力)が働かなくなった状態をAIDS(後天性免疫不全症候群:Acquired Immune Deficiency Syndrome)と呼びます。当地はHIVの蔓延が国家的問題となっています。国連合同エイズ計画(UNAIDS)の2017年発表の推計では,15歳から49歳までの国民の22.8%がHIVに感染しているとされています。一方で,ボツワナ政府のHIV対策は成果を上げてきており,WHOの目標「90-90-90(HIV陽性者の90%の人が自らのHIV感染の状態を知り,さらにその90%の人がHIV治療を行い,さらにその90%の人が体内のHIVの量を十分に抑制することができている状態)」達成にもっとも近い国といわれています。HIVは日常生活で感染することはほとんどなく,また当地の医療機関では適切な感染予防対策が施されており,通常の医療行為を介してHIVに感染する心配はないと考えられます(輸血に関しては(9)参照)。他方,性行為等を介してのHIV感染には十分な注意が必要です。UNAIDSの2012年の調査では,ボツワナにいる女性のコマーシャルセックスワーカーの61.9%がHIVに感染していると報告されています。

(4)結核

 HIV感染及びAIDSの蔓延による影響(免疫力が低下している方が多い)と考えられますが,当地では結核の発症者数が非常に多くなっています。WHOの統計では,2017年の時点で,ボツワナの人口10万人当たり300人が結核に感染しているとされています(日本は人口10万人当たり15人)。結核は,空気中を漂っている結核菌を呼吸と共に吸い込んで感染します。ただし結核菌を吸い込んだら必ず結核を発症するわけではありません。 抵抗力(免疫力)の弱った人(高齢者,子供,栄養不良,過労,他の病気を持つ人など)の方が結核を発症する危険性が高いといわれています。ボツワナでは結核菌に触れる危険性が高いため,咳が長く続くときは病院を受診し,結核を発症していないかどうか,検査(胸部レントゲン或いは喀痰検査など)を受けることをお勧めします。また免疫力を上げるために,規則正しい生活をする,食事をきちんととる,休養を十分取るなどが重要です。

(5)マラリア

 ボツワナではマラリア対策が順調に進行しており,今後,マラリア根絶を達成する可能性がある国の一つとされています。WHOのWorld Malaria Report 2017によると,2010年以降のボツワナにおけるマラリアによる年間死亡者数は,多い年で約20名,2015及び2016年は一桁まで減少しています。

 マラリアを引き起こす病原体であるマラリア原虫は,蚊の一種のハマダラカ(雌)が人を刺して吸血するときに人の体内に入り,マラリアを引き起こします。このことからハマダラカが繁殖するのに必要なたまり水が存在しにくい乾燥地帯では,マラリア患者はほとんどみられません。ボツワナ中央部・西部から首都ハボロネのあるボツワナ南部にかけては乾燥した気候であるため,マラリアはほとんどみられません。一方,北部の観光地(オカバンゴデルタ,チョベ国立公園)や東部の南アフリカやジンバブエとの国境地帯では,夏季(特に12月から2月)にマラリア患者の発生がみられます。当国のマラリアのほとんどは,重症化しやすい熱帯熱マラリアです。

 マラリア予防で最も重要なことは,ハマダラカに刺されないようにすることです。マラリアの流行地でなくても,肌の露出を極力避け,防虫剤を使用し,宿については窓を開けないですむようにエアコン付きの部屋を選び,ハマダラカの活動時間である夜間の行動を控えるなどの対策が必要です。防虫剤は,都市部ではスーパーやドラッグストアで購入可能です。有効成分のディート(DEET)の濃度が20~30%以上の防虫剤が推奨されますが,当地で入手できる防虫剤はDEET濃度が15%程度のものです。DEET濃度は防虫効果の持続時間と関係していますので,DEET濃度が低い場合は防虫剤を塗布する間隔を短くすることで対処してください。熱帯熱マラリアの流行地域に1週間以上滞在するときや,マラリアを発症したら適切な医療対応を受けることが期待できない地域に滞在する場合は,抗マラリア薬の予防内服をお勧めします。マラリア感染から発症するまでの期間(潜伏期間)は1~4週間と幅があるため,感染地を離れてから発症する可能性もあります。日本に帰国して,マラリアを疑う症状(高熱・強い頭痛など)があるときは,マラリア検査が可能な医療機関を受診し,マラリア感染の可能性があることを伝え,診察を受けてください。

(6)リケッチア症

 当地では,リケッチア症は一般的によくみられる病気の一つとされています。リケッチアとはダニの中に潜んでいる微生物です。日本ではツツガムシ病が有名です。草や木の茂み(ブッシュ)に付着したダニに刺されることにより,リケッチアが人の体内に侵入し引き起こす病気です。リケッチアを含むダニに刺されると,高熱,リンパ節の腫脹,発疹,頭痛,倦怠感などの症状が出現します。また,ダニが刺した場所に,「刺し口」と呼ばれる黒いかさぶたがみられることが特徴の一つです。アフリカにはネズミや犬のダニに潜む地中海紅斑熱リケッチアと,牛をはじめとした反芻動物のダニに潜むアフリカ紅斑熱リケッチアが存在します。ボツワナのリケッチア症に関する報告では,アフリカ紅斑熱が原因とする報告の方が多くみられます。感染したリケッチアの種類によっては,治療開始が遅れると死亡する場合もありますが,アフリカ紅斑熱は比較的死亡率が低い種類と考えられています。治療はリケッチアに効果のある抗生物質を使用します。郊外だけでなく,首都ハボロネ市内でも牛や犬が自由に動き回っており,ダニがブッシュに潜んでいるリスクは国中どこにでもあると考えてください。ブッシュに近づく際には,肌の露出を抑えた服装を心がけ,DEETを含む防虫剤を使用し,ダニに刺されないように十分注意してください。

(7)狂犬病

 動物にかまれたり引っ掻かれたりして人が感染する病気で,特に犬に注意してください。2014年にWHOが報告したRabies Country Profileによると,ボツワナにおける確定診断ができた狂犬病による死亡者数は,20年間で3名でした。狂犬病の疑いのある動物と接触した人の数は,2011年は1794名と報告されています。しかし動物にかまれても病院に行かなかった人が存在するため,接触者数はこれを上回る可能性があります。ボツワナでの動物の狂犬病の発生は年間200例ほどで,多くがボツワナ東部で報告されています。当地農業大臣の2015年World Rabies Dayでの談話では,動物種別での狂犬病発生数は,50%が犬,40%は反芻動物(牛・山羊・羊など)の家畜,10%が野生動物だと発表されました。

 ボツワナで狂犬病に感染するリスクは高いものではありませんが,感染し発症した場合,死亡率がほぼ100%と恐ろしい病気であるため,気をつける必要があります(狂犬病の予防接種を受けたほうがいい人の条件については7(1)参照)。狂犬病の可能性のある動物に咬まれたりなどした場合,狂犬病ワクチン未接種者は狂犬病ワクチン及び狂犬病に対する免疫グロブリン製剤を使用することが推奨されています。しかし,免疫グロブリン製剤はボツワナでは入手困難です。あらかじめ(旅行前など)狂犬病ワクチンを接種して免疫を獲得していると,動物に咬まれた際に,当地でも入手可能な狂犬病ワクチンの追加接種のみで済むため,当地でも適切な対処が可能です。

(8)寄生虫症

(1)ビルハルツ住血吸虫症

 よどんだ水に生息する小さな淡水産巻き貝の中で育ったビルハルツ住血吸虫の幼虫(セルカリアといいます)が,水仕事・水遊びなどで水中に入った人の皮膚を貫通して人の体内に侵入して感染します。侵入した幼虫は血液中に入り,1~2センチメートルの成虫になり,膀胱周囲の静脈に定着します。成虫が産んだ卵は膀胱の壁の中に集まり,その後,尿を通じて外界に排泄され,新たな感染源となります。症状は,幼虫が皮膚から進入したことで起こる皮膚炎(発赤・かゆみ)と,寄生虫が進入したことに対する免疫反応で生じた発熱や体の痛みがあります。成虫が寄生していること自体は無症状のことが多いですが,虫卵が原因で頻尿や血尿がみられることがあります。長く成虫が寄生していると,膀胱の壁が変化し,膀胱癌ができる危険性が上がるといわれています。また,神経組織の脊髄に影響が出て,足の筋力の低下,痛み,排尿や排便の障害が出ることがあります。治療は抗寄生虫薬を内服します。旅行者は一度駆虫すると再発はありません。しかし,ビルハルツ住血吸虫の汚染地帯に住む人は,治療しても再度環境から感染し,慢性的に体内にビルハルツ住血吸虫が寄生することが問題になります。

 マラリア同様,乾燥気候のおかげでボツワナ中央部・西部・首都のある南部では,この病気はほとんどみられません。しかし,それ以外の地域の池や流れの緩やかな川などに入ることは,ビルハルツ住血吸虫症感染の危険があるのでお勧めできません。2016年にボツワナ第二の都市フランシスタウンに住む小中学生が近くの川で遊び,約40名がビルハルツ住血吸虫症と診断され問題になりました。

(2)無鈎(こう)条虫症

 いわゆる「サナダムシ」です。人の腸管に寄生する無鈎条虫が産んだ卵が環境に出て,それを牛が摂取し,牛の筋肉内で5~8ミリメートル程の大きさのシストとよばれる幼虫になります。そのシストを人が食べることで感染します。当地の食肉処理場で牛肉を検査しているときにシストがみつかります。食肉になった牛の10%にみられたという報告もあります。屠畜された牛に数個のシストが限局した部位にみられた場合は,シストを取り除いた後,マイナス20℃で2週間凍結処理したあと,ボツワナ国内向けの食肉とされています。シストが全体に分布している場合は,廃棄処分されています。ボツワナ国民の無鈎条虫寄生率は資料がなく不明ですが,当地に常在していることが推測されます。シストは牛肉を加熱することで殺すことができますので(肉の中心温度が60℃以上),ボツワナで牛肉を食べるときは,肉の中心まで十分火が通り,色が変わった状態のものを食べることをお勧めします。

(9)血液製剤の安全性

 ボツワナでは年間40,000単位の血液が必要とされています(1単位とは200ミリリットルの血液から得られる輸血用製剤の量のことをいいます)。ボツワナでは売血ではなく,献血のみで血液製剤が確保されていますが,必要量は確保できていません。また,血液製剤の安全性に関し,日本と同様に,血液製剤中の病原体の有無の確認は行われていますが,2004年にHIVに汚染された血液が患者に使用されたことがありました。さらに2016年に血液を介して感染する病気の一つである梅毒に汚染された血液製剤が病院に供給され,患者に使用されたことがありました。本件に関しては導入されたばかりの管理システム上のエラーが原因とされていますが,様々なエラーにより安全でない血液製剤が供給される可能性は高いと思われます。アフリカ諸国の中ではボツワナは血液製剤の管理を比較的しっかり行っている方ですが,緊急事態ですぐに輸血をしないと命に関わる状態でない限り,当地において輸血療法を受けることはお勧めできません。

6 健康上心がける事

(1)紫外線対策

 夏季はもちろん,冬季も晴れていれば日差しが強いので,日焼け止めを使用し,肌の露出を抑え,帽子や傘を用いるなどの対策を心がけてください。

(2)乾燥対策

 極端に降雨量の少なくなる冬季をはじめ,一年を通じて空気の乾燥には注意が必要です。保湿クリームなどにて対策を心がけてください。

(3)気温の変動対策

 「一日のうちに四季がある」といわれる冬季には気温の日内変動が大きく,特に朝晩の冷え込みには注意が必要です。気温に合わせて着衣を調節することを心がけてください。

(4)食事・水

 一般的な注意として,生水や生ものの摂取はお勧めできません。ペットボトルに入った牛乳がスーパーで販売されていますが,冷蔵庫に入れておいても開封後すぐに品質が劣化しますので,注意してください。 また,先に述べた「5.かかり易い病気・怪我(1)下痢症,及び(8)寄生虫症」の項も参照してください。

(5)熱中症対策

 当地の夏は高温になるため,現地の人でも熱中症で亡くなる方が多数みられます。無理な行動を避け,食事や睡眠,休養をとり,疲れをためないようにしてください。またエアコンを使用するなどの暑さ対策と,水分摂取を心がけてください。

(6)心の健康

 当地は在留邦人数が少なく,また余暇を過ごす娯楽施設なども限られています。特に当地の様々な環境に慣れるまでは,ストレスを強く感じることが多々あります。一般的に,異なる環境に適応するには半年ほどかかるとされています。定期的に休養を取るなど心のリフレッシュを行い,心の健康を保つことをお勧めします。

(7)海外旅行傷害保険等の加入

 当地で医療を受ける場合,日本と比較して高額の請求をされる可能性が高いため,あらかじめ海外旅行傷害保険等に加入することをお勧めします。また,当地で治療ができない場合,南アフリカや先進国,日本への緊急移送が必要になり,高額な移送費用(数千万円の時もあります)が必要になります。これらの費用を十分カバーする保険に加入し,緊急時に備えることをお勧めします。

(8)日本でのメディカルチェックと持病の管理

 病気になった時,今まで記述してきたように,当地で対応できない場合があります。日本に滞在中に健康診断・人間ドック・歯科検診などを受け,治療が必要な方は,日本で実施してきてください。また持病がある方は,日本で治療を受け持病を良好に管理したうえで,かかりつけ医と相談して定期内服薬などを持参してください。持病のない方も,普段使っている薬(風邪薬,胃腸薬,漢方薬など)があれば,持参してください。眼鏡やコンタクトレンズは当地でも入手可能ですが,念のため予備を持って来られることをお勧めします。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種

 赴任時には,A型肝炎,B型肝炎,および破傷風の接種をお勧めします。子供については日本で行われている定期接種,任意接種及びA型肝炎を受けておくことをお勧めします。長期滞在をする方,子供,野外活動を予定している方,その他動物と接触する機会が多い方は,念のため,狂犬病の予防接種もお勧めします。

 2018年10月現在,当地は黄熱に感染する危険性がある国ではありませんが,危険のある国からの1才以上の入国者,またはそれらの国で乗り継ぎをした場合は,黄熱予防接種証明書(イエローカード)の提示を求められる可能性があります。9.その他の詳細情報入手先(2)もご参照ください。

(2)当地の小児定期予防接種一覧

ワクチンの種類 出生時 2か月 3か月 4か月 9か月 18か月
BCG          
B型肝炎 ○(注1) ○(注1) ○(注1)    
DPT   ○(注1) ○(注1) ○(注1)  
Hib   ○(注1) ○(注1) ○(注1)    
肺炎球菌13価      
不活化ポリオ(注2)    
ロタウイルス        
麻疹        
風疹        
ムンプス     任意接種      

注1:Pentavalent(B型肝炎-DPT-Hibの混合ワクチン)を使用しています。

注2:経口生ワクチンも並行して使用されています。

(3)現地校入学・入園児に必要な予防接種・接種証明

 公的な接種証明書を提出する必要はありませんが,学校によっては保護者の作成した記録の提出を求められる場合もあります。母子手帳の予防接種記録などの英訳メモ(英文の母子手帳当該ページのコピー)を用意しておかれることをお勧めします。

8 病気になった場合(医療機関等)

(1)救急隊

 緊急車両の配車を依頼する際の連絡先は以下のとおりです。ただし「997」は,13歳以上の患者は公立病院に搬送することが規則で定められているため,邦人の方にはお勧めできません。私立救急隊の場合は救急搬送料を支払う必要があります。

 Emergency Assist(私立):991(道路上の自動車トラブルにも対応)

 MRI Botswana Limited(私立):992 / 390-1601

 Ambulance call(公立): 997(必ず公立病院に搬送される)

(2)医療機関

 主な都市の代表的な医療機関を以下に記載します。24時間対応の救急外来(Accident and Emergency)以外の診療所を受診する時や,予防接種を希望する時は受診前に診療予約をして下さい。いずれの医療機関も英語が通じますが,日本語が通じる医療機関はありません。身分証明書としてパスポートの提示を求められることが多く,受診時に持参してください。

ハボロネ(Gaborone

(ア)Bokamoso Private Hospital(私立病院)
所在地:Plot 4769, Mmopane, Block 1, Gaborone(市中心部より北西約13キロメートル)
電話:369-4000,Fax:369-4140
ホームページ:http://lenmedhealth.com/en/hospitals/337-bokamoso-private-hospital-botswana別ウィンドウで開く
概要:2010年設立です。ボツワナでトップクラスの設備と医師数を有しています。24時間救急外来対応です。手術室,集中治療室(一般・心臓・小児・新生児),血液透析施設,リハビリテーション施設,CT,MRIがあります. 内科・外科・消化器内科・循環器科・心臓血管外科・整形外科・産婦人科・小児科・新生児科・小児外科・内分泌内科・血液内科・神経内科・脳神経外科・腎臓内科・泌尿器科・皮膚科・頭頸部外科・形成外科・腫瘍科・眼科・麻酔科等があります。
(イ)Gaborone Private Hospital(私立病院)
所在地:Plot 8448, Segoditshane Road, Mica Way, Gaborone(市中心部より北東約3キロメートル)
電話:368-5600/ 368-5765
Fax:390-2804/ 390-1998
ホームページ:http://www.lifehealthcare.co.za/hospitals/別ウィンドウで開く
概要:在留邦人の出産を取り扱った経験があります。24時間救急外来対応です。手術室,集中治療室(一般・新生児),CT,MRI,血液透析施設があります。内科・外科・胸部外科・整形外科・産婦人科・小児科・新生児科・脳神経外科・泌尿器科・頭頸部外科・形成外科・腫瘍科・眼科・麻酔科等があります。
(ウ)Botswana Adventist Medical Services(私立診療所)
所在地:Plot 3132, Kgalagadi Way, Extension 11
電話:395-1515
Fax:391-2403
概要:内科・小児科外来,予防接種も可能です。
診療時間は月~木曜日7時30分-17時30分,金曜日7時30分-13時30分。
(エ)Karong Clinics(私立診療所)
所在地:Plot 334, Marina Park, Extension 5, GaboroneMotheo Apartment近傍)
電話:391-1529(クリニック代表電話) /391-1726(一般内科Zhang医師受付)
Fax:397-1965/ 391-1726
ホームページ:http://www.karongclinics.com/別ウィンドウで開く
概要:診療科は一般内科・婦人科・小児科・外科・泌尿器科・歯科。黄熱や狂犬病の予防接種も可能です。診療時間は平日8時30分-18時30分,土曜日9時30分-13時30分。
(オ)Medlane Clinic(私立診療所)
所在地:Plot2775, Extention 9, Manong Close,GaboroneAvaniホテル向かい)
電話:318-4970
概要:クリニックのKgamane医師は当地米国大使館の顧問医を務め,渡航者医療,一般内科を専門とされます。黄熱予防接種や小児定期予防接種も可能です。
(カ)Prodent Dental Clinic(私立歯科診療所)
所在地:Plot 50360, Machel Drive, Show Grounds, GaboroneShell石油の隣)
電話:390-4219
概要:4名の歯科医が常勤しています。一般的な歯科処置(虫歯の治療や軽症の歯周病)や歯科検診が可能です。診療時間は平日8時30分-17時30分,土曜日8時30分-13時30分。

フランシスタウン(Francistown

(ア)Riverside Hospital(私立病院)
所在地:Plot 424, Baines Avenue, Francistown
電話:241-2518
概要:診療科:24時間救急外来・内科・外科・産婦人科病床数は約30床です。診療時間は平日8時30分-17時30分。
(イ)Keji Health Centre(私立診療所)
所在地:Shop D3, Village Mall, FrancistownDiggers InnのあるShopping Mall内)
電話:241-9434/ 7214-1027
概要:眼科.手術には対応していません。診療時間は平日8時30分-17時30分。
(ウ)MenoDent Dental Clinic(私立歯科診療所)
所在地:Shop 1&2, Village Mall, FrancistownDiggers InnのあるShopping Mall内)
電話:241-6575/ 7170-6367
概要:Dr.Sandra歯科医。一般的な歯科処置や歯科検診が可能です。
診療時間は平日8時30分-16時30分土曜日8時30分-12時30分。
(エ)Dr Omotoye Dental Surgery(私立歯科診療所)
所在地:Plot 14011, CBD, Extension 22, FrancistownNzano Shopping Centre近傍)
電話:241-6466
概要:一般的な歯科処置や歯科検診が可能です。診療時間は平日8時30分-17時30分,土曜8時30分-13時30分

マウン(Maun

(ア)Prime Health Medical Centre Maun(私立診療所)
所在地:Plot 720/721, Tsheko-Tsheko Road, Maun(バスターミナル近傍)
電話:686-4564
概要:総合診療外来。診療時間は平日8時30分-20時30分土曜11時30分-15時30分日曜14時30分-20時30分。

9 その他の詳細情報入手先

(1)在ボツワナ日本国大使館ホームページ:
https://www.botswana.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(2)厚生労働省検疫所ホームページ:
https://www.forth.go.jp/useful/yellowfever.html#world_list別ウィンドウで開く

(3)世界保健機関(WHO)国別情報ホームページ:
http://www.who.int/countries/bwa/en/別ウィンドウで開く

(4)ボツワナに関する米国疾病予防管理センター(CDC)旅行医学 ホームページ:
https://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/botswana別ウィンドウで開く

10 現地語・一口メモ

 当地の医療機関では一般的に英語が通じます。「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしものときの医療英語)を参照願います。


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