世界の医療事情

アンゴラ

平成28年10月

1 国名・都市名(国際電話番号)

 アンゴラ共和国(ルアンダ)(国際電話国番号244)

2 公館の住所・電話番号

在アンゴラ日本国大使館 (毎週土日休館)
住所:Embaixada do Japao, Rua Eng. Armindo de Andrade, 183/185, Bairro Miramar, Luanda, Angola.(Caixa Postal 6592)
電話:(244) -222-442007, 441662 Fax:(244) -222-44988
ホームページ:http://www.angola.emb-japan.go.jp/別ウィンドウで開く

(注)土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので,ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

(1)気候/地誌

 アンゴラはアフリカの南部に位置し,南にナミビア,東にザンビア,北部はコンゴ民主共和国,西は大西洋に囲まれています。気候は,海岸沿いはサバンナ気候,内陸部は熱帯雨林気候,南部海岸沿いは砂漠気候と多様な気候にあります。首都Luanda(ルアンダ)は,近海に寒流が流れているため,低緯度に位置し海沿いの街であるにもかかわらず,気候はサバンナ気候と過ごしやすい気候です。雨期(11月頃~5月頃),乾期(6月頃~10月頃)に別れます。雨期は良く晴れますが,時折激しい雨が降り,気温は20~35度前後,乾期は曇りがちで,雨はほとんど降らず,気温も10~27度前後と比較的涼しいため,朝夕は上着が必要になることもあります。年間降水量は400ミリと日本の約1/4程度の少雨です。

(2)一般情報

 首都Luanda(ルアンダ)の物価は異常に高く,日常生活品は輸入が多いために日本と比較してかなり高めです。貧富の差は大きく不衛生な環境で生活する人たちが半数以上います。地方の人が首都ルアンダに流入し公衆衛生の悪化に拍車をかけています。2015年12月以降,首都ルアンダを中心に黄熱の感染者が続出しました。このアウトブレイクは2016年1月から2月にかけてピークを迎え6月頃から沈静化に向かいました。2016年10月現在で疑い患者4,220人で,このうち373人が死亡しました。検査による確定患者は884人で,このうち121人が死亡しました。流行の開始以来疑い患者は18州あるすべての州から報告され,確定患者は16州80地区から報告されました。患者の多い地区としては2,000余人がルアンダ州から,600人以上がウアンボ州から報告されています。この疾患はワクチン接種することにより予防することができますが,当地ではワクチン,注射器具などの材料不足,地方への輸送手段,医療関係者,国民の知識・理解不足,よいとはいえない公衆衛生状態などの根本的な原因が背景にあることも考えておく必要があります。

(3)医療水準/医療制度

(ア)公立病院では医師などスタッフは英語ができず,医療機器も少ないため,満足な治療を受けることができません。また,医療費はほぼ無料のため,大変混雑をしています。地方では医療サービスが十分に受けられないのが現状で伝統医療に頼る住民が多くいます。

(イ)私立病院の医療レベルは公立病院よりも高く,MRI, CT,血管撮影装置,透析設備,集中治療室を備えた病院や,24時間救急受け入れの病院もあります。但し,医師は公立病院との掛け持ちの場合が多く,また英語が通じる医師は限られています。入院の場合,保証金の前払いが要求され,最低でも数十万円相当の現金が必要となります。

(ウ)支払いは会社等が契約していない限り自費となります。因みに単純な頭部の怪我で入院の場合は,入院時に1,800米ドル,2週間で15,000米ドル(サグラダ エスペランサ病院),頭部MRIが1,100米ドル,血管撮影MRAを加えると3,300米ドル(ジラソール病院),足の単純レントゲン100米ドル,診察代100米ドル(クリメド クリニック)です。言い換えればお金さえ出せば希望の検査,入院延長など要求は受け入れてくれます。

(エ)救急搬送システムは確立していませんが,私立病院で救急車を頼む場合は,実費で事前契約する必要があります。また,脳外科手術,心臓手術,癌治療など高度の医療を必要とする場合は,緊急の場合を除き日本での治療をお勧めします。輸血,外傷など時間的余裕が1~2日あれば南アフリカ共和国あるいはヨーロッパの医療先進国に移送して治療することが良いでしょう。輸血による感染の危険性が報告されています。(Morbidity and Mortality Weekly Report vol.63/no29 July 25,2014)。 緊急移送費を含んだ海外旅行傷害保険に入っておくことが必要です。

(4)病院受診時のアドバイス

 国公私立を問わずパスポート,クレジットカード(VISAが多い),現金の用意とポルトガル語の通訳を連れてくことをお勧めします。私立の場合,前払いが原則ですのでご注意ください。実際に保険金が支払われるのは数週間から月単位で時間がかかる場合があります。病院にかかる前に日本の保険会社に一報しておけば後の処理がスムーズになります。

(5)水質

 水道水は大腸菌などの細菌に汚染されている場合があり,飲料水には適さないので,市販のミネラルウォーターを購入するか,重金属や細菌を除去可能な浄水器を用意してください。河川,湖水は住血吸虫の汚染地域です。泳いだり,体を浸けたりしないようにしてください。

(6)食品衛生

 生野菜は寄生虫がついていることがあります。十分浄水で洗うか火を通してください。卵,魚,肉は十分に火を通してください。食中毒が日常茶飯事で発生しています。日本で届け出でが必要な細菌性赤痢,コレラ,腸チフス,出血性細菌性腸炎などが多く見られます。

(7)医療・健康に関する各種データ(出典:WHO 2010年,UNICEF 2012年)

 2014年の乳幼児死亡率96人/1,000人・年(日本2人),5才未満の死亡率164人(日本3.4人)であり,死亡の原因はマラリアなどの感染症,栄養失調,下痢です。平均寿命は52才(2014年)です。医師1人当たりの人口は約6,000人(日本では約450人)です。医師不足対策として,キューバからの医師800人が医療に従事しています。

 アンゴラでの献血におけるB型,C型肝炎ウイルスの感染率はそれぞれ6.78%,0.57%(2010-2011年:Morbidity and Mortality Weekly Report vol.63/no29 July 25,2014)となっています。

 アンゴラにおける死亡原因は以下の順です:1.インフルエンザ/肺炎(35.8%),2.下痢性疾患(34.4%),3.マラリア(16.1%),4.HIV/AIDS(11.2%) ,5.未熟児(9.4%),6.脳卒中(9.4%),7.栄養失調(9.1%),8.出産時外傷(8.6%),9.虚血性心疾患(7.7%),10.交通事故4.9%。

5 かかり易い病気・怪我

 アンゴラでは統計データが正確では無いことがあります。WHOなど国際機関も政府発表を元に作られており記載された数字は参考値としてください。

(1)交通事故

 ルアンダでは交通事故が多発しています。交通事故による死亡者は4,305人/人口2,500万人(2013年)で日本4,117人/人口1億2千万人(2015年)に比べて約5倍の頻度です。朝晩の渋滞はひどく譲り合うことは殆ど見られません。事故の多い原因として道路が狭い,交差点の信号が壊れている,違法駐車,無謀なミニバスやオートバイの運転などがあげられます。特に危険なのはミニバスです。数が多く,運転は殆ど暴走していると言っても過言ではありません。またオートバイは車間を縫うように走行し逆走も多く見られます。追突や衝突は日常茶飯事です。更に車の整備不良が多く路上でトラックやバス脱輪,エンストしている様はよく見られます。その他,夜間の照明が無い,横断歩道の未整備,警察官の交通整理の未熟さ,法令の不遵守など複合的な問題を抱えています。交通ルール,歩行者を守るといった基本的な姿勢にかけています。アンゴラで運転する場合はなるべく大きな車を使用してください。交通事故による重傷外傷を治療できる病院はありません。第三国に搬送できるよう,十分な保険に加入しておく必要があります。

(2)熱帯マラリア

 マラリア発生件数は年間200万人を超えています。その殆どが熱帯マラリアで2013年には6,518人が死亡しています。感染地域は全土に及び地域的には北部が高流行地域です。首都ルアンダを含む中部,海岸地域は中等度で南部は季節性です。感染の多い都市はKuanza Sul州 500人/1万人,Zaire州400人/1万人,Cabinda州300人/1万人,Malange州230人/1万人,Ulge州200人/1万人です。ルアンダ州100人/1万,Benguela州70人/1万,全国平均147人/1万人口です。(2012年サブサハラにおけるマラリア対策の評価と現状(JICA資料)/WHOマラリアレポートより)

 2013年には在留邦人22名が発症しています。2012年には風邪と自己判断された方がお亡くなりなりました。アンゴラでは最も警戒すべき感染症です。典型的な症状は38度以上の発熱ですが,風邪の症状,下痢や腹痛といった消化器症状を伴ったりすることもあり,体調不良が3日間続く場合はクリニック等を受診してください。早期の診断,治療が肝要で,発熱したら直ぐにクリニック等を受診し,簡易式診断キット等でのマラリア検査を行ってください。但し,簡易式検査は偽陰性があるため解熱するまで複数回検査する必要があります。治療は抗マラリア薬ですがクロロキン(chlorooquine),メフロキン (mefloquine),ファンシダール(fansidar),メファキンなどあります。当地医療機関,医務官室ではコアルテム(Coartem20/120 Novartis社)が主流です。1回4錠,1日2回,3日間合計24錠内服します。重症の場合は入院し点滴治療が必要になりますので,必ず医療機関を受診してください。マラリアの対策は,マラリアを媒介するハマダラカ(蚊)に刺されないようにすることが最も大切になります。ハマダラカは日没から日の出までの夜間に主に活動します。そのため夜間の長袖,長ズボンの着用,虫除けスプレーや蚊取り線香等の使用をお勧めします。また,マラリアの予防内服に関しては,当地での滞在場所や滞在期間によりますが,渡航前に日本の専門の医師と相談していただければと思います。帰国後発熱をした場合には,医師に必ずアフリカに滞在したこと,マラリア,デング熱等の感染症の疑いが無いか訴えてください。日本の医師はマラリアを診療したことがないため,風邪と診断されることがあります。また,日本ではマラリアを診療できる医療機関が限られており,特に地方では診断が遅れ死亡するケースもあり注意が必要です。

(3)デング熱

 2013年には1,241人が罹患し,そのうち11件が死亡しております。発生はルアンダが一番多いようです。原因として生活排水や水たまりに媒介となる蚊が発生するためのようです。マラリアと同じように高熱で発症します。蚊に刺されて3日間から1週間くらいで症状が出てきます。マラリアと違いウイルスによる感染症のために有効な薬はありません。治療は対症療法のみです。特徴的な症状は発疹です。一般的には自然治癒しますが,数パーセントに,デング出血熱といわれ死亡するケースもあるため注意が必要です。予防法は蚊に刺されないようにすることで,38度以上の急激な発熱があればデング熱(もちろんマラリアも)の可能性を考え,直ぐにクリニックを受診することが肝要です。アンゴラに滞在した旅行者の90人以上が帰国後に発症しており注意が必要です。(2013年9月WHO等の報告より)

(4)食中毒

 アンゴラでは日常茶飯事に食中毒が起きています。その実数は把握されていません。原因菌はサルモネラ菌,腸炎ビブリオ,ブドウ球菌,大腸菌のみならずチフス菌,コレラ,赤痢アメーバ,A型肝炎ウイルス,出血性腸炎の原因菌などありとあらゆる細菌,ウイルスが関係しています。ある水道水を検査したところ大腸菌が検出され,糞尿の混入が疑われるため飲料水には適しません。しかし,現地料理人から現地一般人まで公衆衛生に対する知識は乏しく,多くが下痢で亡くなっています。その一番の犠牲者は幼い子供達です。食中毒の一般的な症状は下痢,嘔吐,腹痛,発熱です。食べて直ぐに症状が出るというより,数時間から1日後に出る場合が多いようです。下痢,嘔吐による脱水が起こると尿が少なくなり回数も減るでしょう。水分や塩分の補給が重要です。多くの場合,経口的に補液を補充することで脱水は回避されますが,高度の脱水では点滴が必要です。また,下痢は細菌や毒素を体外に出そうという生理的現象ですから,下痢の早期に下痢を止めるような薬を内服するのは控えた方が無難です。整腸剤の方が良いでしょう。さらに,細菌性赤痢など抗生物質の投与が不可欠な場合もあり,血便を伴っていたり,症状が強い場合は早めに医療機関を受診してください。

(ア)腸管出血性大腸菌感染症

 臨床症状は腹痛,水様性下痢及び血便です。嘔吐や38度台の高熱を伴うこともあります。さらにベロ毒素の作用により溶血性貧血,急性腎不全を来し,溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome;HUS)を引き起こすことがあります。小児や高齢者では痙攣,昏睡,脳症などによって致命症となることがあります。(出典:厚生労働省ホームページ)

(イ)腸チフス

 潜伏期間は7~14日で発熱を伴って発症します。患者,保菌者の便と尿が感染源となります。39度を超える高熱が1週間以上も続き,比較的徐脈,バラ疹,脾腫,下痢などの症状を呈し,腸出血,腸穿孔を起こすこともあります。重症例では意識障害や難聴が起きることもあります。無症状病原体保有者は感染を周囲に拡げる可能性があり,注意が必要です。そのほとんどは胆嚢内保菌者であり,胆石保有者や慢性胆嚢炎に合併することが多いです。(出典:厚生労働省ホームページ)

(ウ)細菌性赤痢

 潜伏期は1~5日(大多数は3日以内)。主要病変は大腸,特にS状結腸の粘膜の出血性化膿性炎症で潰瘍を形成することもあります。発熱,下痢,腹痛を伴うテネスムス(tenesmus(しぶり腹):便意は強いがなかなか排便できないこと),膿・粘血便の排泄などの赤痢特有の症状を呈します。近年,軽症下痢あるいは無症状に経過する例が多いです。症状は一般に成人よりも小児の方が重いです。(出典:厚生労働省ホームページ)

(エ)コレラ

 潜伏期間は数時間から5日,通常1日前後です。近年のエルトールコレラは軽症の水様性下痢や軟便で経過することが多いですが,まれに“米のとぎ汁”様の便臭のない水様便を1日数リットルから数十リットルも排泄し,激しい嘔吐を繰り返します。その結果,著しい脱水と電解質の喪失,チアノーゼ,体重の減少,頻脈,血圧の低下,皮膚の乾燥や弾力性の消失,無尿,虚脱などの症状,及び低カリウム血症による腓腹筋(ときには大腿筋)の痙攣がおこります。胃切除を受けた人や高齢者では重症になることがあり,また死亡例もまれにみられます。(出典:厚生労働省ホームページ)

(オ)A型肝炎

 ウイルスで汚染された食品や水などによる経口感染症です。潜伏期間は平均4週間です。発病の3~4週間前から発症後数か月にわたり,感染者の便にウイルスが排泄され,周囲に感染を拡げます。主な臨床症状は発熱,全身倦怠感,食欲不振で,黄疸,肝腫大などの肝症状も認められます。一般に予後は良く,慢性化することはありませんが,まれに劇症化することがあります。小児では不顕性感染や軽症のことが多いです。特異的な治療法はなく,対症療法が中心となります。(出典:厚生労働省ホームぺージ)

(5)消化管寄生虫症(アメーバ赤痢)

 病型は腸管アメーバ症と腸管外アメーバ症に大別されます。腸管アメーバ症は下痢,粘血便,しぶり腹,鼓腸,排便時の下腹部痛,不快感などの症状を伴う慢性腸管感染症であり,典型的にはイチゴゼリー状の粘血便を排泄しますが,数日から数週間の間隔で増悪と寛解を繰り返すことが多いです。潰瘍の好発部位は盲腸から上行結腸にかけてと,S字結腸から直腸にかけての大腸です。肉芽腫性病変が形成されたり,潰瘍部が壊死し穿孔することもあります。また,まれに腸管外アメーバ症を認め,アメーバ原虫が腸管部より血行性に拡がることによる肝膿瘍が最も高頻度にみられます。成人男性に多いです。高熱(38~40度),季肋部痛,吐き気,嘔吐,体重減少,寝汗,全身倦怠感などを伴います。膿瘍が破裂すると腹膜,胸膜や心外膜にも病変が形成されます。その他,皮膚,脳や肺に膿瘍が形成されることがあります。(出典:厚生労働省ホームページ)

(6)麻疹(はしか)

 2013年の罹患者は13,103人で,死亡が285人です。子供の罹患が多く,麻疹流行の報道を新聞でよく見かけます。アンゴラに滞在する日本人は子供に限らず注意が必要です。(日本では1990年代にゼラチンの副作用が問題になり,同ワクチンは任意接種であったため,この時期麻疹,風疹の予防接種を受けていない人が多い)熱性発疹性の感染症です。症状としては,はじめに38度以上の発熱とともに鼻水や咳,目の充血,目やに,頭痛といった風邪症状が認められます。一旦解熱するかのように見えてから,全身性の発疹が認められ,高熱が4~5日続きます。感染してから回復するまでの1ヶ月間程,免疫力が低下しますので,この間に二次性細菌感染や結核の顕在化,その他の合併症によって亡くなる方がいます。

(7)エイズHIV/AIDS

 UNAIDSによると,アンゴラの2015年の推定HIV感染者数は320,000人で,死亡者数は12,000人と報告されています。エイズに対する知識が乏しいために予防対策が十分に行われていません。HIV感染症は血液や体液を介して感染します。母子間,異性間,夫婦間で感染が拡がり,また,感染者の使用済み注射針の再利用などでも感染が拡がります。病院,歯科医院で検査を受ける場合には新しい注射器具等を使っているか確認が必要です。また,刺青を入れる時にも,不潔な針を介して感染する可能性があるため,針は使い捨てであるかどうか確認が必要です。また,不特定多数との性交渉や売春婦との性行為により,感染の危険性が高くなります。

(8)結核

 結核は,アンゴラにおいて未だに主要な死亡原因の病気のひとつです。2015年のWHOのデータによると年間6万1千人が新たに患者として登録され,240人/人口10万人(日本は14.4人,アメリカは2.8人)が結核に罹患しています。また,罹患者の中には治療を十分に受けていない人も多くいると思われるため(つまり,結核菌を排菌している),人ごみ等では結核に感染する危険性が高くなります。在留邦人の方は年に一度の健康診断を,また,37度台の微熱と咳が3週間以上続く場合は医療機関で診察を受けてください。

(9)チクングニア熱

 チクングニアウイルスを保有するヤブカ属のネッタイシマカ,ヒトスジシマカなどに刺されることで感染します。潜伏期間は3~12日(通常3~7日)で,患者の大多数は急性熱性疾患の症状を呈します。発熱と関節痛は必発であり,発疹は8割程度に認められます。関節痛は左右対称性で四肢(遠位)に強く認められ,その頻度は手首,足首,指趾,膝,肘,肩の順であり,関節の炎症や腫脹を伴う場合もあります。関節痛は急性症状が軽快した後も数週間から数ヶ月にわたって持続する場合もあります。その他の症状としては,全身倦怠感・頭痛・筋肉痛・リンパ節腫脹です。血液所見では,リンパ球減少や血小板減少が認められます。重症例では神経症状(脳症)や劇症肝炎が報告されています。アフリカ,インド洋島嶼国,インド,東南アジアの熱帯・亜熱帯地域を中心として流行がみられています。(出典:厚生労働省ホームページ)

(10)アフリカ・トリパノソーマ症(アフリカ睡眠病)

 Luanda州トリパノソーマ対策センターでは2013年69名,2014年35名,2015年9月までに22名陽性と報告されています。ツェツェバエに刺される事により感染します。アンゴラは,未だにアフリカ・トリパノソーマ症が蔓延している国のひとつです。アンゴラで流行しているアフリカ・トリパノソーマは通常Gambian型です。主な流行地としては,Luanda市郊外,Bengo,Kwanza Norte州,Kwanza Sul州(Calulo,Mussende,Kibala),Malange州(Cacuso,Pungo Andongo,Capanda),Uige州,Zaire州です。全土18州のうち15州にツェツェバエは生息しています。症状としては,刺された所が激痛を伴う炎症性の結節(コブ)となります。また,刺されて1週間~1ヶ月後に発熱,悪寒,頭痛,発疹,リンパ節が腫れたり,貧血がおこると言われています。予防としては,ツェツェバエに刺されないことが一番ですが,虫除けスプレーは効果がないと言われています。また薄手の服であれば,服の上から刺す事があります。濃い色を好みますので,濃い色の服,特に青色の服は避けてください。アフリカ睡眠病を発症するII期になると治療は困難を極め,致死率が非常に高くなります。しかしアフリカ睡眠病発症前のI期であれば,投薬にて治療が可能です。そのためツェツェバエに刺され,アフリカ・トリパノソーマ症の感染が疑われたら,医療機関をできる限り早く受診してください。

(11)オンコセルカ症(河川盲目症)

 アンゴラはオンコセルカ症が未だに残っているアフリカの4ヶ国のひとつです。この病気はフィラリア症のひとつで,急流の川で繁殖するブユ(Blackfly)に刺される事によりオンコセルカ(回旋糸状虫)の幼虫が皮膚に接種されて感染します。症状としては皮膚の痒み,丘疹性皮膚炎,皮下に小結節(オンコセルカコーマ:小さなコブ)やリンパ節の腫れを認めます。しかし最も重要な症状は,進行すると失明することです。世界的にみると失明の原因の第2位がこの病気です。アンゴラではHuila州,Bengo州,Moxico州,Kwanza Norte州,Benguela州,Cuando Cubango州,Lunda Norte州,Lunda Sul州で感染する危険性があります。予防としては,ワクチンはありませんので,ブユに刺されないようにすることが一番です。

(12)住血吸虫症

 ビクトリア湖を始めアフリカの川,湖水はマンソン住血吸虫,ビルハルツ住血吸虫に汚染されており,長期滞在者は滞在期間に比例して陽性率が高くなります。川で泳いだり足をつけたりすると感染の可能性が高まりますので,ご注意ください。皮膚を介して侵入し,感染した部位は,感染後数時間から1週間程で発疹が出現します。その後,発熱や頭痛,筋肉痛,呼吸器症状といった症状が現れます。ビルハルツ住血吸虫は,尿管と膀胱に寄生するため血尿や乏尿,長期間の感染で膀胱癌になることもあります。マンソン住血吸虫は肝臓や腸に寄生するため,下痢や便秘,血便等の症状が特徴的です。検査は血液,便,尿の検査ですが日本ではできません。南アフリカ,フランスなどのヨーロッパで検査できるようです。治療薬は一般名プラジカンテル(praziquantel),商品名ビルトリシド(Biltricide/バイエル)です。アンゴラでの最近の流行として,Zaire州のN'zeto市で症例報告がありました。感染地域は国全体で,Luanda等の都市も含まれます。主に西半分でビルハルツ住血吸虫症,東半分でマンソン住血吸虫症が流行しています。

(13)破傷風

 2013年アンゴラでは269人の破傷風患者が確認されています。破傷風は,破傷風菌(Clostridium tetani)が産生する毒素のひとつである神経毒素(破傷風毒素)により強直性痙攣をひき起こす感染症です。破傷風菌は芽胞の形で土壌中に広く常在し,創傷部位から体内に侵入します。侵入した芽胞は感染部位で発芽・増殖して破傷風毒素を産生します。破傷風の特徴的な症状である強直性痙攣の原因は破傷風毒素であり,潜伏期間(3 ~21 日)の後に局所(痙笑,開口障害,嚥下困難など)から始まり,全身(呼吸困難や後弓反張など)に 移行し,重篤な患者では呼吸筋の麻痺により窒息死することがあります。近年,1 年間に約40 人の患 者(致命率:約30%)が報告されていますが,これらの患者の95%以上が30 才以上の成人でした。(出典:厚生労働省ホームページ)

(14)ハンセン病(ライ病)

 2013年248人のハンセン病患者が記録されています。らい菌によって起こる感染症ですが,感染力は非常に弱く,成人から成人への感染はきわめて稀で,多くは小児期に感染が成立します。当地では新規ハンセン病患者がいまだに多く,地方での発症者の報告が散見されています。

(15)ポリオ(急性灰白髄炎)

 2011年7月7日Uige州で国内最後の感染者を認め,2012年7月7日以降ポリオ感染者は確認されていません。所謂,小児麻痺と呼ばれる病気ですが,成人にも感染します。ポリオウイルスによって主に四肢に非対称性の麻痺を起こします。ポリオウイルスは感染した人の便中に排泄され,そのウイルスが他人に経口的に入り,咽頭(のど)や腸で感染が成立します。症状は軽い発熱,頭痛,眠気,咽頭痛といった風邪症状が認められますが,感染した人の90~95%はまったく無症状で経過します。その後,ウイルスが脊髄まで到達した場合に麻痺が出現します。抗体を持たない方の0.1~2%程度に麻痺が発生すると言われています。

(16)狂犬病

 2013年142人が死亡しています。狂犬病は致死率の極めて高い感染症です。犬からだけでなく,猫や猿,コウモリといったあらゆる哺乳類から感染することがあります。そのため動物との不要な接触は避けてください。首都Luandaにおいて,野良犬が多くおり,これらの野良犬の中には狂犬病に感染している犬もいると考えられています。もし動物に咬まれた場合には,傷が軽症であったとしても狂犬病感染の危険がありますので,直ぐに医療機関を受診し,発症を予防するためのワクチン接種などを受けてください。狂犬病は発症するとほぼ100%亡くなります。特に小さなお子様は,動物に狙われやすいですので注意が必要です。

(17)蝿蛆症(ハエウジ症)

 下着や靴を洗って外に干した時,蝿が卵を洗濯物に産み付け,その洗濯物を人が身につけたときに卵が孵って蛆となり,人の皮膚に浸入して赤く腫れたおできを作ります。予防は洗濯物を屋内に干し,洗濯物には必ずアイロンをかけることです。

6 健康上心がける事

(1)食中毒に注意

 生水は飲まない,生卵は食べない,肉類はよく火の通ったものを食し果物は清潔に取り扱って食べてください。地方などでは少しでも不衛生と感じたものを無理に食べないようにしてください。

(2)マラリア,デング熱

 蚊に刺されないように十分注意してください。長期滞在予定の場合は,マラリア予防内服法やマラリア簡易検査キットの使用法について事前に専門医を受診,相談することが強く勧められます。殺虫薬の浸潤した蚊帳の持参,マラリア罹患時のスタンバイ治療薬の持参なども検討しておくべきです(年齢や体質によって使用すべき量や薬の種類が異なる為,自己判断は禁物です)。

((注)スタンバイ治療:マラリアが疑われる症状(発熱等)が認められた時に,熱帯マラリアであれば危険な状態になりうるため,信頼できる医療機関をすぐに受診することができないのであれば,自らの判断で抗マラリア薬の内服を始めること。)

 マラリア簡易検査キット:Binax Now(フランス製)25テスト(350ユーロ),5テスト(85ユーロ)。1回用としては,MALARIA (P.f/P.v) POCT InTec PRODUCTS,INC。マラリア治療薬「コアルテム」を含め,日本では入手不可。フランス等ヨーロッパ,南アフリカでは入手可能。

(3)咬虫

 皮膚を通して感染する寄生虫,ウイルスなどを抱えた吸血虫(ダニなど)がいる可能性がありますので,むやみに湖や川,茂みなどに入らないでください。

(4)ストレス

 言葉が通じない,環境が劣悪,人が当てにならないなどストレスが高じて精神に変調を来すことがあります。予防のためには休息が重要ですので,休暇は必ず定期的に取ってください。また,気分を切り替える事が重要ですので,趣味を通じて愉しむことです。旅行に出かけたり,スポーツを通じて孤独にならないようにしましょう。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(在庫等の問題がありますので,受診される方は必ず予めお電話等で確認してください。)

 アンゴラ入国時には,イエローカード(黄熱予防接種証明書)の提示を求められます。入国の際には毎回,必ずイエローカードを携帯してください。安全性等を考慮すると可能な限り日本でワクチン接種を受けてください。

(1)赴任者に必要な予防接種

ア 成人

  • 黄熱,A型肝炎,破傷風トキソイド,B型肝炎,狂犬病,腸チフス

(注)余裕があれば髄膜炎菌(4価)接種,麻疹や水痘の追加接種,さらにポリオワクチンを計3~4回接種が望まれる(幼少期に2回していれば追加1~2回となります。特に昭和50年~52年生まれの方は免疫が獲得されていないことがありますのでご注意ください)。

イ 小児

  • ポリオ(計4回の接種が望まれる),黄熱,BCG,DPT,麻疹,B型肝炎,A型肝炎,狂犬病,Hib,おたふく風邪(流行性耳下腺炎)

(注)余裕があれば髄膜炎菌(4価),腸チフス,水痘

(ア)アンゴラ共和国の小児定期予防接種(2014年7月現在)

アンゴラ共和国の小児定期予防接種
  初回 2回 3回
BCG 出生児    
ポリオ(生ワクチン) 3ヶ月 1才  
DPT 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月
MMR 任意接種    
はしか(麻疹) 任意接種    
ムンプス(おたふく風邪) 任意接種    
風疹 任意接種    
B型肝炎 任意接種    
インフルエンザ菌b型 (Hib) 任意接種    

DPT:ジフテリア・百日咳・破傷風,MMR:麻疹・おたふく風邪・風疹

(イ)学校により接種した予防接種の一覧の提出が必要な場合があるので,英文の予防接種証明書を持参することをお勧めします。

ウ 乳児検診

 出生時より2歳になるまで毎月,身長と体重測定の検診が行われています。費用は無料です。検診は最寄りの保健センターで行われています。しかし,多くのアンゴラ人はワクチン接種がある9ヶ月までしか検診を受けていないのが実情です。現実問題としては,邦人の方に保健センターの受診は勧められません。

8 病気になった場合(医療機関等)

Luanda市(ルアンダ)

(1)Clínica Girassol(クリニカ・ジラソール):ジラソール病院
所在地:Rua Comandante Gika no225, Maianga, Luanda, Angola
電話:(244) 222 698 000 / 222 698 416
(注)事前のお問い合わせ(契約等)については,
電話:(+244) 226-698-386 / 388 / 414,Fax:(+244) 226-698-218
E-mail:gabinete.marketing@clinicagirassol.co.ao
外来診療時間:月~金曜日7時~19時。救急は24時間対応,英語対応可能。
支払い:Cash/Angolan debit card
概要:2008年9月に開院したSonangol石油会社系列の総合病院です。ルアンダ空港近くに位置しています。施設は新しく清潔です。在留邦人の方が多く利用しています。診療科は内科,外科,消化器外科,脳神経外科,耳鼻咽喉科,眼科,産婦人科,小児科,腫瘍診断科,救急外来,集中治療室,透析センターなどほぼすべての科目を有します。ベッド数は260床あまりで医療スタッフも潤沢です。検査・診療機器は心電図検査,超音波検査,レントゲン検査,CT,MRI(シーメンス社1.5T,3Tで,3台が稼働) ,血液検査,心臓血管造影設備など日本の県立病院程度の規模,設備を備えています。原則,事前契約の上,事前支払いを行う必要があり,ここから引き落とされます。
(2)International SOS Clinic(インターナショナル・エスオーエス・クリニック)
インターナショナルSOS診療所で,Ilha(ア)とTalatona(イ)の2カ所あり。診察は契約した会社の職員のみです。
概要:緊急移送会社インターナショナルSOSと契約している個人または団体のみ診察。救急の場合は英語を話せる医師が24時間対応します。専門科の受診が必要の際は,サグラダ・エスペランサ病院内の医師へ紹介となります。診察までの時間が短いことや医師が英語を話せることで,諸外国の企業は契約していることが多い診療所です。②のタラトナ診療所は2015年2月に開業した新しい施設です。総合診療医が2名,職場の健康診断医が1名います。夜間や休日は救急対応します。施設内でレントゲン撮影や血液検査が可能で,また薬局があります。
ホームページ:https://www.internationalsos.com/locations/africa/angola別ウィンドウで開く
支払い:Angolan Debit card
(ア)Ilha Medical Centre
所在地:Avenida Mortala Mohamed,Ilha de Luanda , Luanda Angola(サグラダ・エスペランサ病院内)
電話:(244) 927 034220
診察時間:月~金曜日 8時-17時30分,土曜日 9時-12時
E-mail:isos.ilha@ms.internationalsos.com
(イ)Talatona edical Centre
所在地:Rua S10 Sector de Talatona Zona CC-B2(Behind Belas Shopping Center), Luanda
電話:(244)227 200312
診察時間:月~金曜日 9時-17時30分,土曜日 9時-12時
E-mail:Luanda.clinic.reception@internationalsos.com
(3)Clínica Sagrada Esperanca Ilha de Luanda(クリニカ・サグラダ・エスペランサ・イーリャ・デ・ルアンダ):サグラダ・エスペランサ病院
所在地:Avenida Mortala Mohamed,Ilha de Luanda , Luanda Angola
電話:(244) 222 309 360 / 884, 222 006 873 / 222 309 323 (診察は完全予約制)
救急:(244) 222 309 204 / 740, 222 006 878
E-mail:sagradaesp@ebonet.net
ホームページ:http://www.cse-ao.com別ウィンドウで開く
概要:1991年当地で小児科医を開業後,現総合病院の事務局長となったドクター・ルイ氏(Dr. Rui Jose Veiga Pinto)が運営する私立病院です。当地のダイヤモンド会社などの寄付もあり設備は現在も拡充中です。医師不足を認めていますが,他の病院に比べると医師の充足状況は良好です。しかし来院患者は,2時間から5時間待たされることも日常的です。勤務医は数件の病院を掛け持っているため,各専門医が常時在院していないこともあります。診療科目はほぼすべての診療科がありますが,国外移送の中継的な病院として理解しておく必要があります。CTとMRIは稼働しています。多くの医師はアンゴラ人で,ポルトガル語かスペイン語を話し,英語での会話は成り立たないことが多いため,受診時には通訳を同行することが勧められます。Ilha(イーリャ)と呼ばれる半島にあり,駐車場はいつも満杯です。病院の外来は狭く非常に混雑しています。現在のところ諸外国の保険会社の中継病院であることを含め,当地の先進国の外国人が受診・治療に訪れることのできる体制を整えた総合病院です。事前の契約がなければ,現金での前払いが必要です。医療費は非常に高額であり,例えば入院では20万円の前払いが必要です。1週間程度入院すると100万円以上かかります。
支払い:Cash/Visa/Angolan debit card
(4)Luanda medical center(ルアンダ・メディカルセンター)
所在地:Rua Amilcar Cabral, N゜3 Ingombota Luanda Angola
電話番号:(244)923 167 730 / 222 708 000
外来診療時間:月~金曜日 8時-22時, 土曜日 8時-13時
概要:2015年の3月にオープンした外来専門のクリニックです。医師は家庭医を含め19あまりの専門科,50余名が在籍しています。医師はポルトガルやイスラエルなど複数の国と地域から来ていますが,英語での診察が可能です。医療機器はMRI,CT,超音波診断装置など装備されて,外来手術を行える手術室もあります。外国人にも評判がいいですが,駐車場がないためアクセスに注意する必要があります。
ホームページ:https://www.lmc.co.ao/copy-of-home別ウィンドウで開く
支払い:Cash/Visa card
(5)Climed Clinic(クリメド・クリニック):クリメド診療所
所在地:Alameda do Principe Real 65, Miramar, Luanda, Angola
電話番号:(244) 222 443 514 / 222 443 586, 救急:(244) 923 602 425
診療は予約制,但し, 24時間365日対応(休診なし)
概要:ブラジル人である院長ドクター・カルモ氏(Dr. Calenoario do Carmo Filho)が25年前に石油会社のプロジェクトのためアンゴラに赴任し,プロジェクト終了後にこの医院を15年前に開業致しました。当診療所は,入院施設はなく,外来診療および後方支援病院への転院までの待機ベッドが用意されているのみです。医師は,やはり非常勤医師がほとんどで,家庭医,小児科医,産婦人科医,内科医は毎日外来を行っています。通常の外来診療および一時救急に関しては,邦人が受診できるレベルの診療所です。総合診療医が1名24時間待機しており,診療所ですが24時間診察可能であり,マラリアが疑われた時等には迅速な検査施行が可能です。サグラダ・エスペランサ病院等への中継的な診療所といえます。所在地は日本国大使館より歩いて数分の場所です。入院が必要となった場合,救急車で入院設備のある総合病院に搬送してくれます(有償)。
支払い:Cash/Angolan debit card
(6)Hospital Josina Machel(オスピタル・ジョジナ・マシェル):ジョジナ・マシェル病院
所在地:Rua 1゜Congresso do MPLA, Luanda, Angola
電話番号:(244) 923 369 700
外来診療時間:月~金曜日8時30分-16時
概要:1860年代に建設された修道院を1977年より病院として使用しています。アンゴラにおいては由緒ある総合病院であり,救急患者の最終受け入れ病院としての機能を持っています。最近,救急外来の建物の改修が完了致しました。しかし,医療機材は最新式とはいえず,清潔とも言い難い状況です。一方,集中治療室,心臓カテーテル検査室,手術室については,ブラジルのITCという民間企業との共同運営を2008年11月より行っており,心臓外科手術等も行っています。他の部署と比較して同じ病院とは思えない程,集中治療室や心臓カテーテル室などの設備は充実しており,清潔です。この共同運営されている部門の医師の多くはブラジル人です。心臓外科手術は開設以来200例を超え,心臓カテーテル検査は年間300例,経皮的冠動脈インターベンションを年間50例と比較的多くの症例数をこなしています。急性心筋梗塞に対しては24時間対応で行っており,急性心筋梗塞を発症し,南アフリカ等の医療先進国への搬送が困難な状況となった場合は,ここでの治療を考慮する必要があります。
1996年より日本は同病院に対し無償資金協力を行い,病院建物の改修,機材供与,人材育成等を行っています。入り口には日章旗が掲げられています。
医療費は公立病院の基準(極めて安い)です。
(7)Clínica Multiperfil(クリニカ・モゥティペルフィル):モゥティペルフィル病院
所在地:Rua do Futungo de Belas, Luanda, Angola
電話番号:(244) 933 644 549
診療時間:月~金曜日7時-18時
概要:2002年11月に “医学的知識を広め,医療技術を国全体に供給する”目的にて,トレーニングセンターとして機能すべく,本病院はドス・サントス大統領により造られました。医療機器に関しては比較的新しいものが使用されており,CTやMRIもそれぞれ1台ずつ稼働しています。救急部は24時間365日受診可能です。キューバ人の医師が多く働いており,英語が話せる医師は一部のみです。支払いに関しては,現金あるいはアンゴラ国内で発行された銀行のキャッシュカード等での支払いが可能ですが,日本で使用しているクレジットカードでの支払いはできません。現在,Luanda南部の地域では宅地開発が進んでおり,この病院が位置する地域に住む在留邦人が増えてくる事が予想されます。その場合,地理的な観点から,初期治療は同病院で行うということも選択肢のひとつとなると思われます。
支払いはCash/Angolan debit card
(8)Horton Pediatrica(オルトン・ペディアトリカ):ホルトン小児科病院
所在地:Rua Dr. Américo Boavida
電話番号:(222) 394 236
受付時間:月~金曜日 8時-19時
緊急時:365日,24時間対応
概要:ホルトン小児科病院は,小児科専門病院です。院長のDr. Aline Batista以外は非常勤医師ですが,毎日9人の小児科医が勤務しています。比較的清潔な設備を備え,入院施設も6床あります。軽症の呼吸器感染症や下痢といった疾患であれば,受診できる病院です。重症と判断されれば,サグラダ・エスペランサ病院等へ搬送されます。基本的にポルトガル語のみでの対応です。
(9)Hospital Psiquiatrico de Luanda(オスピタル・プシキアトリコ・デ・ルアンダ):ルアンダ精神病院
所在地:Avenida Revolução de Outubro, Luanda
電話番号:222 325 870(現在使用不可)
外来診療時間:月~金曜日 8時-15時
緊急時:365日,24時間対応
概要:1930年,LuandaLuanda市に設立され,当初はジョジナ・マシェル病院の精神科病棟でした。1976年ポルトガルより独立をした際に,ルアンダ精神病院として分離しています。2012年9月現在,アンゴラ国内で唯一の精神病院です。そのためLuanda市からだけでなく,地方からの患者も受け入れています。
病床数は150床ですが,入院患者はその約3倍おり,一つのベッドに複数の患者が寝ているのが現状です。言葉も基本的にポルトガル語のみで,医師によっては簡単な英語や仏語を解する方もいますが,日本語は全く通じません。また設備は古く,清潔とは言いがたい環境であり,邦人が入院することは勧められません。基本的に治療費は無料です。
(10)Dental Center Talatona(デンタル クリニック タラトナ)
所在地:Via AL4 lotes Talatona Luanda
電話 222-912-425262/222-021780
受付時間:月-金曜日 8時-18時30分,土曜日8時-12時
概要:クリニックは清潔で医療機材は使い捨て,又は十分滅菌されています。所在地がわかりにくいため,電話でお尋ねください。また電話で事前予約をお取りください。
支払い:Cash/Visa/Angolan debit card
(11)Pharmedic Clínica Dentária(ファーメディック・クリニカ・デンタリア):ファーメディック歯科医院
所在地:Rua Guilherme Pereia Inglês, 46’Largo das Ingombotas Luanda
電話番号:(222) 394 088,FAX番号:(222) 396 161
緊急電話番号:(934) 017 759(24時間対応)
受付時間:月-金曜日 8時-19時,土曜日 8時-13時
概要:2007年に開設された歯科医院です。勤務する歯科医は計10人で,その内5人がブラジル人,残り5人がアンゴラ人です。設備は清潔であり,レントゲン撮影も可能です。歯内治療,矯正歯科,インプラントや入れ歯作製等,基本的な歯科治療の全ての分野に対応しています。
ブラジル人歯科医師の中には,日系ブラジル人のDr. Ricardo Goshimaがおられ,片言ではありますが,日本語も話せます。現地の方だけでなく,多くの外国人の方が受診されています。支払いは初回診察後に,全ての治療の費用が提示されます。その提示された費用に患者が納得すれば,治療が開始されます。その後,治療終了までに費用を支払うことになります。
(12)Dentaluanda デンタルアンダ歯科診療所
住所:Rua Garcia Neto,7 Bairro de Miramar Luanda
電話番号:244-936-696-244 / 244-931-016-973
受付時間:月-金曜日 8時-19時,土曜日 8時-13時
概要:日本国大使館近くに2015年の9月に開業したばかりの新しい歯科診療所です。区画された診察室が6室ありますが,2016年現在4室稼働しています。歯科医はポルトガル,ブラジル,キューバ,アンゴラ人の医師が5名。一般歯科,小児歯科,矯正歯科,インプラント,歯内治療,口腔外科に対応します。

Malanje市(マランジェ)

(1)Hospital Geral de Malanje(オスピタル・ジェラル・デ・マランジェ):マランジェ総合病院
住所:Rua Comandaute Daugereux, Malanje, Malanje
電話番号:固定電話無し
概要:1947年,Malanje州,Cuanza Norte州,Lunda Norte州,Lunda Sul州の4つの州による州立病院としてMalanje州の州都であるMalanje市に開設されました。内戦中,建物は破壊され,窓も無い状態となっていましたが,中国の援助により2008年に運営が再開されています。必要最小限の設備は兼ね備えておりますが,邦人が受診する場合は応急処置にとどめていただければと思います。基本的に治療費は無料です。

Kuito市(クイト)

(1)Hospital Provincial do Bié(オスピタル・プロビンシアル・ド・ビエ):ビエ州立病院
電話番号:固定電話無し
概要:1940年代にBié州立病院として設立されました。Bié州の中心病院として,周辺の保健センター等からの患者を受け入れており,Bié州では中心的な病院ですが,施設は老朽化しており,医療機器も故障したまま放置されているものが多く,稼働できるものは少ないのが現状です。邦人が受診する場合は応急処置にとどめていただければと思います。基本的に治療費は無料です。

Menongue市(メノンゲ)

(1)Hospital Geral de Menongue(オスピタル・ジェラル・デ・メノンゲ):メノンゲ総合病院
電話番号:固定電話無し
概要:1960年代にCuando Cubango州立病院として設立されました。Cuando Cubango州の中心病院として,周辺の保健センター等からの患者を受け入れています。しかし施設は老朽化しており,検査は血液検査程度しかできない状況です。邦人が受診する場合は応急処置にとどめていただければと思います。基本的に治療費は無料です。

(注)上記病院,クリニックは病院の都合で詳細が変わることがあります。予め電話等で詳細をお確かめください。特に,医師は常勤で無いことが多いため,診察日,診察時間等の確認が必要です。

9 その他の詳細情報入手先

(1)米国疾病管理センター(CDC)ホームページ(アンゴラ)(英語):
http://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/angola.aspx別ウィンドウで開く

(2)世界保健機構(WHO)ホームページ(アンゴラ)(英語):
http://www.who.int/countries/ago/en/別ウィンドウで開く

(3)国際連合児童基金(UNICEF)ホームページ(アンゴラ)(英語):
http://www.unicef.org/infobycountry/angola_latest.html別ウィンドウで開く

10 現地語・一口メモ

(1)緊急を要する傷病発生の際は可能であれば,前もって加入していればその保険会社へ第一報を入れてください。また現在向かっている病院など支援要請が必要と思われる関係筋に速やかに電話を入れることが勧められます。アンゴラに救急車(各病院が保有)はありますが,基本的には到着の如何が不明な為,来ないことの方が多いです。自走にて病院へ向かう必要があります。

(2)当地でもっとも大きな病院でさえ,主治医は数件の病院を掛け持ちしているため,常時病院にいる医師はほとんどいません。また交通渋滞の激しさから,移動中の医師が遅れてくるという事態となり外来で数時間待たされることがしばしば見受けられます。またホームドクター制度や往診の習慣はありません。

(3)病院受診時はシステムダウンや停電などによりクレジットカードが使えないこともあり,ある程度の現金を持参する必要があります。緊急移送など高額な治療費が必要となることもあり(移送費だけで,南アフリカまで約500万円,ロンドン・パリで約2,000万円),海外旅行傷害保険等は事前に十分に保障されるタイプに加入しておくことを強くお勧めします。

(4)入国審査の際,イエローカード(黄熱予防接種証明書)の提示が必要です。当国でも予防接種の有効期間は接種10日後から生涯有効ですが,空港検疫の一部職員には周知されていないなどがあり,トラブルの原因となることがあります。10年以上前に発行されたイエローカードをお持ちの方は,WHOの通知文のコピー(下記)を持参していただく等の対応をご検討ください。
http://www.who.int/ihr/ports_airports/icvp/en/別ウィンドウで開く(東京検疫所ホームページからもリンクあり)

(5)アンゴラにおける公用語はポルトガル語です。医療機関でも英語を解する医師はほとんどいません。また,キューバ人医師も多く,スペイン語を解する医師がいます。

ポルトガル語一口メモ

(注)下記以外に,「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時のポルトガル語)もご参照ください。

  • 医師:Médico(メディコ)
  • 飲み薬:comprimido(コンプリミード)
  • 注射:injeçao(インジェサン)
  • 頭痛:dor de cabeca(ドル・デ・カベーサ)
  • 腹痛:dor de barriga(ドル・デ・バリーガ)
  • 発熱:febre(フェブレ)
  • 吐き気:nausea(ナウジア)
  • 傷:ferida(フェリーダ)
  • 下痢:diarreia(ディアレイア)
  • 具合が悪い。:Estou mal.(エシュトウ・マウ)
  • 病院へ連れて行ってください。:Leve-me ao hospital,por favor.(レーヴェメ・アオ・オスピタル・ポルファボール)
  • マラリア:malária(マラリア)
  • ハマダラカ:anófelino(アノーフェリノ)
  • 消化管寄生虫症:parasitose intestinais(パラジトゼ・インテスディナイス)
  • コレラ:cólera(コレラ)
  • 狂犬病:raiva(ライバ)
  • HIV/AIDS:VIH/Sida(ヴェイーガ/シダ)
  • 結核:tuberculose(トゥベルクローゼ)
  • トリパノソーマ症:trypanosomíase(トリパノゾミアゼ)
  • アフリカ睡眠病:doença do sono(ドェンサ・ド・ソノ)
  • ツェツェバエ:moscas Tsé-tsé(モシュカス・ツェツェ)
  • オンコセルカ症:oncocercose(オンコセルコーゼ)
  • 住血吸虫症:shistosomiase(シストソミアゼ)
  • 腸チフス:tifóide(ティフォイデ)
  • ハンセン病:lepra(レプラ)
  • ポリオ:polio(ポリオ)
  • 麻疹:sarampo(サランポ)
  • ハエウジ症:miíase(ミアゼ)

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