世界の医療事情
アルジェリア
1 国名・都市名(国際電話番号)
アルジェリア民主人民共和国(国際電話番号213)
2 公館の住所・電話番号
- 在アルジェリア日本国大使館(毎週金曜日、土曜日休館)
- 住所:Ambassade du Japon, 1,Chemin Al Bakri, Ben-Aknoun, Alger, Algérie
- 電話:023.37.55.11
- ホームページ:在アルジェリア日本国大使館
(注)金曜日、土曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。
3 医務官駐在公館ではありません
在エジプト大使館医務官が担当
4 衛生・医療事情一般
気候は地中海に面した北部の地中海性気候と南部に広がる砂漠の砂漠気候にはっきり分かれます。首都アルジェをはじめとする北部では四季が認められ、冬には雪・雹が降ることがあります。南部は極端に降雨が少なく、冬でも日中は35度を越える高温乾燥地帯です。
当地の医療レベルは、アルジェ市と地方都市、さらに南部砂漠地域とで大きく異なります。アルジェ市内には国立大学病院、公立の総合病院、クリニックと呼ばれる総合私立病院、個人医院が多数ありますが、一般に公立病院は非常に混雑しており、救急外来でも待ち時間が長く、またアラビア語しか理解しない受付もあります。公立病院での診療費は、アルジェリア国民と同様に、外国人についても居住者、旅行者とも無料で、身分証明書がなくても救急外来を受診することができますが、医師が緊急と判断した場合を除き、X線、CT撮影や血液検査を受けるには医師の指示書を持って市中の検査センターへ行き(検査は有料)、結果を持って再度病院外来を受診するシステムとなっているため、診察結果が出るまでに1日、あるいは数日を要することになります。出来る限り外国人がよく利用する私立医療機関で受診されることをおすすめします。
公用語はアラビア語ですが、都市部ではフランス語が広く話されています。英語はほとんど通じません。
概して私立病院は公立病院に比べ、衛生的かつ医療設備も整っていますが、日本や欧米に比較すると、医療技術水準や医療サービスはまだ遅れていると言わざるを得ません。医療従事者の衛生観念にも不安があり、院内感染等への懸念もあります。入院、手術を要する病気にかかった場合は、応急処置以外、可能な限り、フランス等国外で治療を受けられた方がよいでしょう。そのためにも、必ず渡航前に、緊急移送費用がカバーされた海外旅行傷害保険に加入されることをお勧めします。
5 かかり易い病気・怪我
(1)花粉症
アルジェでは2月から5月にかけて花粉によるアレルギー性鼻炎・結膜炎の症例が増えてきます。
(2)感染性腸炎
当地での生活に慣れ、日頃から十分注意を払って生活している長期滞在者でも、時々急性腸炎を発症することがあります。飲料水や食事には十分注意し、不衛生な食料品店、レストランを避けてください。下痢、嘔吐などの症状が出現した場合、症状が遷延すると、脱水による発熱、脱力や意識障害など合併症を伴ってくる恐れもありますので、早めに医療機関を受診してください。
(3)交通事故
当地での交通事故死者の人口比率は日本の約3倍とされています。手術、輸血が必要な救急外傷への対応は、都市部以外では極めて困難です。都心部でも渋滞が日常化しており、救急車による搬送も時間を要する恐れがあります。
(4)動物が媒介する病気
アルジェ市内に滞在する限り、ほとんど感染の危険はありませんが、地方都市訪問予定がある場合は下記にご注意ください。
サシチョウバエの媒介する原虫が、皮膚、粘膜、内臓などに寄生する風土病、リーシュマニア症が、農村、山間部などで発生しています。ワクチンが無いので、刺されないように予防することが第一です。
2019年にWHOはアルジェリアからマラリアが撲滅されたと発表しましたが、その後も南部のタマンラセット県やアドラール県、ガルダイア県などで、感染例が毎年数例報告されています。多くは隣国で感染して国境を越えた輸入例と考えられていますが、南部を旅行する際には、蚊に刺されないよう十分ご注意ください。旅行中または旅行後(潜伏期間2から4週)に発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛などの症状が出現した場合は、医療機関を受診してください。
狂犬病は、毎年900名前後の感染例と約15から20名の死者が報告されており、リスク国であることは続いています。動物に咬まれる事例は年間約12万人確認され、そのうち64%が犬、23%が猫です。野犬はアルジェ市内でも見かけることがあり、猫は市街地に多く生息しています。特に市外を訪問する場合や動物(犬、猫、山羊、羊、牛等)との接触が予想される場合は、渡航前の予防接種をお勧めします。犬猫を含め動物を触らないことが大切です。
6 健康上心がけること
(1)日焼け・熱中症
日差しは年間を通じて強いので、帽子、サングラス、日焼け止めクリームを使用してください。夏の外出時は、常にミネラルウォーターを携行し、水分補給に努めてください。大量に汗をかいた時は、同時に塩分も補給してください。
(2)飲料水、食品
アルジェ市内では基本的に水道水は飲用可能ですが、石灰分が多く、建物の配管が古い場合もあるので、濾過して使用するかミネラルウォーターの使用をお勧めします。地方では不十分な消毒で飲用に適さない場合があります。
食料品店で食品を購入する場合、古いものが置いてあることも稀でないので、製造年月日をチェックし、開栓されていたり包装が破損したりしていないかどうか、よく確認してください。
外国人客の多い、料金が高めのレストランは比較的安全ですが、地元客が多い食堂、ファストフード店、アイスクリーム屋などは、食材の鮮度や料理人の衛生観念に問題があることも少なくないので、十分注意してください。
(3)有害動物
南部を中心に毎年国内で約4万例のサソリ刺傷があり、数十名の死亡例があります。危険な2種類は、共に黄色から黄土色のサソリで、暑くなってくると発生し、7から8月をピークに4月から10月まで、アルジェリア南部にはどこにでも生息しています。靴の中・石の下・物陰に隠れているので十分注意してください。刺されたら直ちに抗血清(Serum antiscorpionique、IPA)の投与を受けてください。また毒蛇としてはSCerastes cerastes(Saharan horned viper)、Vipera lebetinaが挙げられますが、咬傷は少なく、抗血清は通常、軍隊の駐屯地に保管されています。
7 予防接種(ワクチン接種機関含む)
(1)赴任者に必要な予防接種
入国時に義務づけられている予防接種はありません。以下の予防接種を状況によって受けられることをお勧めします。
- 成人:破傷風、A型肝炎、B型肝炎、狂犬病、腸チフス、髄膜炎菌、季節性インフルエンザ、麻疹、風疹、おたふく、水痘
- 小児:上記に加え、日本で実施されている定期の予防接種+おたふくかぜ。必要に応じて他の任意の予防接種。
ただしアルジェリアではA型肝炎、水痘、コレラ、日本脳炎、ダニ媒介性脳炎、ロタウイルス、ヒトパピローマウイルス、腸チフスは現時点では手に入らず接種出来ません。
(2)現地の小児定期予防接種の一覧
初回 | 2回目 | 3回目 | |
---|---|---|---|
BCG | 出生時 | ||
B型肝炎 | 出生時 | ||
経口ポリオ | 2か月 | 4か月 | 12か月 |
DPTVPI-Hib-HTB(注1) | 2か月 | 4か月 | 12か月 |
肺炎球菌 | 2か月 | 4か月 | 12か月 |
MMR(ROR)(注2) | 11か月 | 18か月 | |
DPTVPI(注3) | 6歳 | ||
DT成人(注4) | 11から13歳 | 16から18歳 | 10年毎 |
- (注1)ジフテリア、百日咳、破傷風、の3種混合+不活化ポリオ+Hib(インフルエンザ菌b型)+B型肝炎
- (注2)麻疹、風疹、おたふくの3種混合
- (注3)ジフテリア、百日咳、破傷風の3種混合+不活化ポリオ
- (注4)ジフテリア、破傷風の2種混合
いずれも、接種時期、回数が日本と異なり、接種計画を立てる際、注意が必要です。
(3)小児が現地校に入学・入園する際、予防接種の証明書の提出を求められることがあります。母子手帳をお持ちください。
8 病気になった場合(医療機関等)
(首都)アルジェ
- (1)Clinique Al AZHAR(クリニック・アラザール)
- 所在地:4 Djenane Achabou, Dely Ibrahim
- 電話:(0)23-290288、(0)23-290290、もしくは91、もしくは92、(0)555560701
- Fax:(0)23-290225
- Clinique Al AZHAR(フランス語)
- 概要:私立総合病院。アルジェリアの中では高い水準の医療が受けられます。CT、MRIあり。透析室もあり。外国人もよく利用しています。感染症は国立病院に紹介されます。
- (2)Clinique CHAHRAZED(クリニック・シャラゼッド)
- 所在地:4, Lot.Allioua Fodil, Cheraga
- 電話:023.36.57.47
- 概要:総合私立病院。耳鼻咽喉科以外ほぼ全科あり。24時間対応可能な救急外来あり。夜間は産婦人科、小児科、蘇生科、放射線科の当直医4人体制。
- (3)Chirurgien dentist, Docteur MEDJAOUI(シルルジャンダンティスト、ドクトゥール・メジャウイ)
- 所在地:Cite des Asphodels, Batiment B2, No.12 Ben Aknoun
- 電話:0799010846
- 概要:女性医師の歯科クリニック。英語可。日本人の診療実績あり。小児歯科にも対応。義歯の作成はフランスに発注しているため、数週間を要します。
コンスタンティーヌ
- (1)Clinique NAOUFEL(クリニック・ナウフェル)
- 所在地:Cité Belhadj Ain El Bey, Constantine
- 電話:0559-202690
- 概要:総合私立病院。眼科以外ほぼ全科対応。CTあり。
アンナバ
- (1)Clinique AL FARABI(クリニック・アル・ファラビ)
- 所在地:23, rue Ahcene Chaouch Mohamed Kamel, Annaba
- 電話:038-443638
- 概要:入院病床のある私立病院。放射線科が充実。MRI、血管撮影装置あり。
オラン
- (1)Clinique Cherrak El Ghosli(クリニック・シェラーク・エル・ゴスリ)
- 所在地:22, Rue Tirman - Delmonte, à côté de la mairie de Delmonte, Oran
- 電話:041-844686
- 概要:市街中心地にある私立病院。外科、産婦人科、小児外科、整形外科、泌尿器科、耳鼻咽喉科。一般診療は要予約。救急は24時間対応可能。
ガルダイア
- (1)Clinique des Oasis(クリニック・デ・オアジス)
- 所在地:rue hai Bougdema, Ghardaia
- 電話:029-239999
- 概要:ガルダイアの街を見下ろす丘の上にある総合私立病院。医療設備は整っており、救急外来は24時間対応。診療契約している外国企業、外国人の受診も多数。眼科のみ別棟。敷地内にホテルがあります。
9 その他詳細情報入手先
10 一口メモ
下記以外にも「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時のフランス語(PDF))を参照願います。スマートフォンによる翻訳アプリの使用も便利です。
【フランス語】
受診
- 医師:médecin(メドゥサン)
- 病院:hôpital(オピタル)
- 救急車:ambulance(アンビュランス)
- 病院へ連れて行って欲しい:Amenez-moi à l`hôpital(アムネモアアロピタル)
診療科
- 内科médicine interne(メドゥシンアンテルヌ)
- 外科chirurgie(シルルジー)
- 産婦人科:gynécologie(ジネコロジー)
- 小児科:pédiatrie(ペディアトリー)
- 精神科:psychiatrie(プシキャトリー)
- 整形外科:orthopédie(オートペディー)
- 眼科:ophthalmologie(オフタルモロジー)
- 皮膚科:dermatologie(デルマトロジー)
- 歯科:dentisterie(ダンティストゥリー)
症状
- 発熱:fièvre(フィエーブル)
- 咳:toux(トゥ)
- 鼻汁:écoulement nasal(エクゥルモンナザル)
- ~が痛い:mal~
- 頭痛:mal à la tête(マララテット)
- 腹痛:mal au ventre(マルオヴァントゥル)
- 下痢:diarrhée(ディアレ)
- 吐気:nausée(ノゼ)
- めまい:vertige(ヴェルティージュ)
- 傷:blessure(ブレッシュール)
- 具合が悪い:Je me porte mal(ジュムポルトゥマル)
身体の部位
頭部
- 頭:tête(テット)
- 鼻:nez(ネ)
- 口:bouche(ブッシュ)
- 歯:dents(ドン)
- 耳:oreilles(オレイユ)
- 首:cou(クゥ)
体幹
- 肩:épaule(エポール)
- 胸:poitrine(ポワトリン)
- お腹:ventre(ヴァントル)
- 背中:dos(ド)
- 腰:reins(ラン)
- 尻:fesse(フェス)
四肢
- 肘:bras(ブラ)
- 二の腕:haut du bras(オーデュブラ)
- 肘:coude(クゥッド)
- 前腕:avant-bras(アヴァンブラ)
- 手首:poignet(ポワニエ)
- 手:main(マン)
- 手のひら:paume(ポーム)
- 親指:pouce(プゥッス)
- ひとさし指:index(アンデックス)
- 足:pied(ピエ)
- もも:cuisse(キュイッス)
- 膝:genou(ジュヌー)
- ふくらはぎ:mollet(モレ)
- すね:jambe(ジャーンブ)
- 足首:cheville(シュビーユ)
- つま先:pointe des pieds(ポワントデピエ)
検査
- 血液検査:analyse de sang(アナリーズドゥサン)
- 尿検査:analyse d’urine(アナリーズドュゥリン)
- レントゲン(X線):radiographie(ラディオグラフィー)
- 心電図:électrocardiographie(ECG)(エレクトロカルディオグラフィー)
- 超音波:échographie(エコーグラフィー)
- CT:scanographie(CT)(スキャノグラフィー)
- MRI:résonance magnétique nucléaire(MRI)(レゾナンスマグネティックニュークレー)
- 内視鏡検査:endoscopie(アンドスコピー)
臓器
- 脳:cerveau(セルヴォー)
- 肺:poumon(プーモン)
- 気管:trachée(トラシェー)
- 心臓:coeur(クー)
- 食道:œsophage(ウゾファージュ)
- 胃:estomac(エストマ)
- 肝臓:foie(フォア)
- 腎臓:rein(ラン)
- 子宮:utérus(ユテリュス)
- 膀胱:vessie(ヴェシー)
- 肛門:anus(アニュス)
- 大腸/小腸:gros intestin(グロアンテスタン)/intestin grêle(アンテスタングレール)
- 骨:os(オス)
- 筋肉:muscle(ミュスクル)
- 血管:vaisseau sanguin(ヴェソォーサンギャン)
診断名
- 病気:malade(マラード)
- 風邪:rhume(リュム)
- ぜんそく:asthme(アスム)
- 肺炎:pneumonie(プヌモニー)
- インフルエンザ:Grippe(グリップ)
- 新型コロナウイルス:Nouveau coronavirus(ヌーヴォーコロナヴィルス)
- 骨折:fracture(フラクチュー)
- 糖尿病:diabete(ディアベート)
- 高血圧:hypertention(イーペルトンション)
- 盲腸(虫垂炎):appendicite(アポンディシィット)
治療・会計
- 飲み薬:médicament(メディカマン)
- 注射:piqûre(ピキュール)injection(アンジェクシオン)
- 風邪薬:médicament contre le rhume(メディカマンコントルルリュム)
- 抗生物質:antibiotique(アンティビヨティック)
- 薬局: pharmacie(ファルマシ)
- 手術:opération(オペラシィオン)
- 入院:Hospitalisation(オスピタリザシィオン)
- 保険証:papiers d'assurance(パピエダシュランス)
【アラビア語】
- 医師:タビーブ
- 飲み薬:ダワア
- 注射:ホクナ
- 頭痛:ワジャア・フィル・ラアス
- 胸痛:ワジャア・フィル・サドゥル
- 腹痛:ワジャア・フィル・バタン
- 下痢:イスハール
- 発熱:ホンマ
- 吐気:ガサヤーン
- 傷:ジョルハ
- 具合が悪い。:アナ・マリド
- 病院へ連れて行って欲しい。:アディニ・イラ・アル・ムスタシュファ