アジア

第8回日・SAARCエネルギーシンポジウム

「SAARC地域エネルギー連結性のための中期ビジョン」

平成27年4月8日

3月10日及び11日,パキスタンの首都イスラマバードにおいて,第8回日本SAARCエネルギー・シンポジウムが,パキスタン国立科学技術大学(NUST)を実施機関として,SAARCエネルギー・センター(SEC)の協力を得て,実施されたところ,概要以下のとおり。シンポジウムには,SAARC加盟国8カ国の代表者に加え,日本の外務省から中根一幸外務大臣政務官が参加した。

経緯

SAARC(加盟国:アフガニスタン,バングラデシュ,ブータン,インド,モルディブ,ネパール,パキスタン,スリランカ)は1985年に発足。日本は2007年からオブザーバー国として参加し,SAARC諸国共通の課題である電力供給不足の解消を目的に,2006年から「日・SAARCエネルギー・シンポジウム」を開催。これまでエネルギー協力,地域連結性,再生可能エネルギー,省エネ等のテーマについて議論。

シンポジウムの内容

1 開会セッション
(1)冒頭片江在パキスタン臨時代理大使より,イスラマバードにおける今次シンポジウム開催を歓迎し,実施に当たってのNUST,SEC等による協力への謝意を表し,シンポジウムで有意義な議論がなされ,有益な提言がなされることを希望する旨の挨拶を行った。
(2)中根政務官は基調講演を行った。
(3)ムハンマド・シャヒドNUST副学長,ナフィーズ・ザカリア・パキスタン外務省SAARC局長,ナイーム・マリクSEC所長及びアリ水利電力担当国務大臣より挨拶を行った。 

2.セッション1:日・SAARCエネルギー協力
 須藤帝京平成大学教授の議長の下,松本JICA南アジア部次長より日本のSAARC各国への経済協力案件や地域連結性向上への協力等について,また,サリス・ウスマンSEC研究員より,SECの役割・計画プログラム等について報告。
 
3.セッション2:SAARC地域におけるエネルギー連結性と協力の概観
 議長のイスマイルSAARC事務局課長が,SAARC協力における事務局の役割,エネルギー・電力分野におけるADBによる調査協力,SAARCエネルギー枠組協定等に触れつつ,エネルギー分野におけるSAARC協力の現状等につき報告。続いて,SAARC加盟各国出席者より,各国の取組や現状と課題等について報告。
 
4.セッション3:SAARC地域におけるエネルギー連結性に対するドナーの見方
 ラシード・アジズ元世銀職員の議長の下,アンジュン・アーメド当地世銀事務所上席エネルギー専門家が中央アジア・南アジア送電・通商プロジェクト(CASA)を中心とする世銀の協力につき報告。
 
5.セッション4:SAARC地域におけるエネルギー連結の中期的戦略
 マリクSEC所長の議長の下,ズハイル・カーンNUST先進エネルギー研究所長より,CASAによるエネルギー連結性からの教訓をくみ取るべきであり,SAARC大学の研究分野にエネルギー・電力分野を入れるべきと述べた。その後,イクバル・メディ・パキスタン国家送電公社(NTDC)主任技術者より,CASAの例を挙げて,エネルギー連結性について報告。
 
6.セッション5:SAARC地域におけるエネルギー連結性のための日・SAARC協力ロードマップのための提言
 須藤帝京平成大学教授より,これまでの日・SAARCエネルギー・シンポジウムでの議論や提言並びに今次シンポジウムでの報告や議論を集約し,エネルギー分野における日本とSAARCの協力の方向性やその進め方について説明。
 
7.閉会セッション
(1)夛賀亜西地域調整官より,「SAARC地域エネルギー連結性のための中期ビジョン」を提示し,シンポジウム参加者からの賛同を得たところ,ポイントは以下のとおり。また,今次シンポジウムを実施するにあたってのNUST,SEC関係者の尽力と協力,各国からの参加者等による有益なインプット,NUST学生等のシンポジウム参加に深甚なる謝意を表した。
SAARC地域エネルギー連結性のための中期ビジョン要点
  • SAARC加盟国は,SAARCエネルギー協力枠組協定に従って必要なメカニズム整備を加速。
  • SAARC加盟国は,エネルギー効率性及び再生可能エネルギーに関する地域協力の重要性を認識し,関連する技術,経験,ベストプラクティスを共有。日本は,SAARC加盟国間の協力を支援。
  • SAARC加盟国は,電力輸出及び取引に関する国内法等の整備に努め,国境を越えた電力取引に関する情報や経験を共有。
  • 日本は,SAARC域内協力及び地域連結性の強化が地域全体の発展と安定に資するとの認識の下,日・SAARCエネルギー協力を促進。
  • 日本は,南アジアの電力分野の20年にわたる計画整備のための研究に協力し,SAARC事務局及びSECと連携強化を図る。
  • 日本は,現在協議中の対SAARC加盟国エネルギー協力案件の実施に向けて取り組む。
  • SECは,日本との協力に関するSAARC側の意思決定が迅速に行われるよう,加盟国の調整を図る。
  • SAARC加盟国は,SAARC域内に関連する法令,規則,基準等の統一化,整合性の向上により,域内エネルギー協力・連結性を強化。
  • SAARC加盟国は,地域のエネルギー連結強化に資する案件形成において日本と協力。
(2)続いて,ムハンマド・アスガルNUST学長より,南西アジア地域においてパキスタンは「陸の橋」として重要な役割を果たせること,SAARC加盟国間では,物理的な案件のみではなく,知識や技術も共有可能であり,NUSTとしても,そういった面で貢献をしていきたい旨の挨拶を行った上,今次シンポジウムの参加者に対し,記念の楯,参加証明書を渡した。

(3)最後に,第1回シンポジウムより継続的に参加してきたD.N.ライナ氏(インド)より,参加者を代表して,8回にわたりシンポジウムを実施してきた日本政府,今次シンポジウム開催に尽力したNUST,パキスタン政府及びSEC,これまでのシンポジウムの現地実施機関等への深甚なる謝意が述べられた。


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