シンガポール共和国
第17回日本・シンガポール・シンポジウム(結果)
3月14日から15日、東京において公益財団法人日本国際問題研究所(JIIA)及びシンガポール国際問題研究所(SIIA)の共催により第17回日本・シンガポール・シンポジウムが開催されたところ、概要は以下のとおり(共同議長:佐々江賢一郎JIIA理事長、アショーク・ミルプリ・テマセク国際政策・ガバナンス部長)。
1 非公開セッション
3月14日の非公開セッションでは、以下3つの議題につき議論された。
(1)「インド太平洋地域と世界における政治及び安全保障の発展」
第1セッションでは、秋田浩之日本経済新聞コメンテーター及びヴィクラム・ナイアー・シンガポール・センバワングループ代表選挙区議員が報告者を務め、昨今のウクライナやイスラエル・ハマス情勢、東シナ海・南シナ海・北朝鮮情勢及び米国大統領選挙などを踏まえ、日本とシンガポールをはじめとするASEANの対応、国際情勢の変化がインド太平洋地域の平和と安定に与える影響等について議論が行われた。
(2)「日・ASEANの関係の新時代」
第2セッションでは、リー・シュエイン・ストレーツタイムス外信部長、大庭三枝神奈川大学教授及び神保謙慶應義塾大学総合政策学部教授兼国際文化会館常務理事が報告者を務め、日・ASEAN関係の今後の展望、安全保障協力、経済協力、及び人的交流における協力関係の強化等について議論が行われた。
(3)「貿易、デジタル、経済強靱性における日・シンガポール協力」
第3セッションでは、三浦秀之杏林大学教授及びコク・ピン・スーン・シンガポール経済連盟CEOが報告者を務め、日本とシンガポールをはじめとするASEANの経済、デジタル等の分野における協力関係の促進の在り方、CPTPPやRCEPをはじめとする経済連携の強化や、デジタル貿易における国際的なルールの構築、サプライチェーンの強靱化等について議論が行われた。
また、非公開セッション終了後、柘植外務副大臣とシム・アン・シンガポール外務兼国家開発担当上級国務大臣との間で会談を行い、両国関係及び地域情勢について意見交換を行った。
2 公開セッション
3月15日には公開セッションが行われた。
(1)冒頭、柘植外務副大臣、シム・シンガポール外務兼国家開発担当上級国務大臣及び日本シンガポール友好促進議員連盟事務局長(衆議院議員)の大塚拓議員がそれぞれ基調講演を行い、2026年に外交関係樹立60年を迎える日本とシンガポールの関係の更なる発展に向けて、IT、スタートアップ等の幅広い分野での両国の協力や、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持と発展に寄与できるとの展望が示された。
(2)その後、「地域枠組みにおける日本・シンガポールのパートナーシップ」をテーマとして議論が行われた。
石井正文JIIA客員研究員・学習院大学法学部特別客員教授、サイモン・テイ・シンガポール国際問題研究所理事長、菊池朋生早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授及びマニュ・バスカラン・センテニアル・アジア・アドバイザーズ創設CEOがそれぞれの視点から日・シンガポール関係の今後の発展について展望し、続いて、聴衆を交えて活発な質疑応答が行われた。
3 総括
2日間にわたる議論を経て、参加者の間で、両国が60年近くにわたり培ってきた強固な関係を確認するとともに、様々な分野で二国間関係を更に発展させていく必要があるとの認識が共有された。