フィリピン共和国

令和5年11月3日

 フィリピン訪問中の岸田文雄内閣総理大臣の11月3日の主な行事の概要は以下のとおりです。

1 リサール公園における献花

リサール公園に到着し、儀仗隊と共に献花前に敬礼する岸田総理大臣 リサール公園で献花を行う岸田総理 (写真提供:内閣広報室)
リサール公園で献花を終えた岸田総理大臣の様子 リサール公園で献花を行う岸田総理 (写真提供:内閣広報室)

 岸田総理大臣は、現地時間3日午後4時(日本時間同日午後5時)から約15分間、フィリピンの独立運動を主導した国民的英雄ホセ・リサールの像が設置されているリサール公園において献花を行いました。

2 日系企業関係者との懇談

 岸田総理大臣は、現地時間午後4時40分(日本時間午後5時40分)から約30分間、フィリピン日本商工会議所関係者との間で、フィリピンでのビジネスの現状や日・フィリピン経済関係の今後の展望等について意見交換を行いました。

3 日・フィリピン首脳会談

首脳会談を前に、マルコス大統領と握手する岸田総理大臣 日・フィリピン首脳会談 (写真提供:内閣広報室)
日・フィリピン首脳会談が行われている様子 日・フィリピン首脳会談 (写真提供:内閣広報室)

 岸田総理大臣は、現地時間午後6時25分(日本時間午後7時25分)から約85分間、フェルディナンド・マルコス・フィリピン共和国大統領(H.E. Ferdinand R. Marcos, Jr., President of the Republic of the Philippines)と、フィリピン大統領府において、日・フィリピン首脳会談を実施したところ、概要は以下のとおりです。会談には、日本側から森屋宏内閣官房副長官、森昌文内閣総理大臣補佐官他が、また、フィリピン側からは、マナロ外務大臣、テオドロ国防大臣、フラスコ観光大臣他が同席しました。なお、会談の冒頭に、約25分間、少人数会合を行いました。また、会談の事後に共同プレスステートメント(日本語(仮訳)(PDF)別ウィンドウで開く英語(原文)(PDF)別ウィンドウで開く)を発出しました。

(1)冒頭

 マルコス大統領から、岸田総理大臣のフィリピン訪問を歓迎するとともに、今後の二国間関係を更に発展させていきたい旨発言がありました。これに対し、岸田総理大臣から、首脳間の相互訪問は強固な二国間関係の証左である旨述べた上で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化し、人間の尊厳が守られる世界を確保するため、協力を強化していきたい旨述べました。また、岸田総理から、ハマスを含むパレスチナ武装勢力のテロ攻撃によるフィリピン人犠牲者に対し哀悼の意を述べました。

(2)二国間関係

ア 安全保障・防衛協力

 マルコス大統領から、2月の日・フィリピン共同声明の着実なフォローアップを通じて二国間関係を更に深化させるとともに、両国の協力案件を着実に進展させたい旨述べました。岸田総理大臣から、政府安全保障能力強化支援(OSA)による最初の協力案件である沿岸監視レーダーシステム供与に係る交換公文の署名に至ったことを歓迎するとともに、警戒管制レーダーの移転を含む防衛装備・技術協力や巡視船供与を含む海洋安全保障能力向上に係る協力を引き続き強化したい旨述べました。
 両首脳は、部隊間協力円滑化協定(RAA)の交渉開始で一致したことを歓迎しました。また、外交・防衛閣僚会合(「2+2」)の実施を含む安全保障・防衛分野での二国間協議を着実に実施すべく、調整を進めることで一致しました。さらに、日米比協力を推進し、サイバーセキュリティ、経済安全保障等の分野における協力も一層進めていくことで一致しました。

イ 経済・人的交流

 岸田総理大臣から、ダルトンパスやマニラ地下鉄といったインフラ整備を始め、マルコス大統領の「ビルド・ベター・モア」政策を引き続き官民挙げて支援していきたい旨述べました。これに対し、マルコス大統領から、日本による支援に謝意が示されました。
 また、岸田総理大臣から、バンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域の社会経済開発に向け災害対策用重機供与に係る交換公文への署名を歓迎した上で、和平プロセスの進捗に応じた支援を進めていく旨述べました。マルコス大統領から、ミンダナオ和平におけるこれまでの日本の支援を高く評価するとともに、貢献に謝意が示されました。
 両首脳は、経済協力インフラ合同委員会を通じて、ODAと共に官民連携のインフラ整備の可能性を追求すること、経済関係の強化に向けて、産業協力対話等を通じた企業の協働によるイノベーション創出の促進を図ることを確認しました。
 また、両首脳は、投資環境整備、オープンRANを含む情報通信、 スマート農業、「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想に係る連携を含む脱炭素・エネルギー等の分野において協力を進めることで一致するとともに、今般の観光分野における両国間の協力強化を目的とする観光協力覚書及び持続可能な社会の発展に資する鉱業分野における協力覚書の署名を歓迎しました。

(3)地域・国際情勢

 地域情勢に関しては、力による一方的な現状変更の試みは容認できず、東シナ海及び南シナ海の状況に対する深刻な懸念を共有しました。
 岸田総理大臣は、イスラエル・パレスチナ情勢につき、ハマス等によるテロ攻撃を断固として非難するとともに、人質の即時解放・一般市民の安全確保、全ての当事者が国際法に従って行動すべきこと、周辺国への波及防止と事態の早期沈静化、ガザの人道状況の改善が重要であるとの日本の立場を説明しました。
 また、両首脳は、北朝鮮等の地域及び国際社会の諸課題についても引き続き連携して対応することで一致しました。

4 文書交換式・共同記者発表

岸田総理大臣とマルコス大統領の立ち会いの下、文書交換式が行われている様子 文書交換式 (写真提供:内閣広報室)
マルコス大統領とともに、共同記者発表を行っている岸田総理大臣 共同記者発表 (写真提供:内閣広報室)

 両首脳の立ち会いの下、以下の二国間協力関連文書の交換を行いました。

  1. 政府安全保障能力強化支援(OSA) による沿岸監視レーダーシステム供与に係る交換公文
  2. バンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域における災害対策用重機供与に係る交換公文
  3. 国土交通省とフィリピン観光省との間の観光協力覚書
  4. 経済産業省とフィリピン環境天然資源省との間の鉱物資源分野における協力覚書

 文書交換式に続いて、両首脳は共同記者発表を行いました。


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