フィリピン共和国
日・フィリピン外相会談
令和2年1月9日



1月9日午前10時30分(現地時間)から約70分間,茂木敏充外務大臣は,訪問中のフィリピン・マニラにおいて,テオドロ・ロクシン・フィリピン共和国外務大臣(Hon. Teodoro Lopez Locsin Jr., Secretary of Foreign Affairs of the Republic of the Philippines)との間で少人数会合及び拡大会合を行い,二国間関係,中東情勢,南シナ海を含む地域情勢について意見交換したところ,概要は以下のとおりです。
- 茂木大臣から,昨年12月在名古屋フィリピン総領事館が開設されたことを歓迎するとともに,日本政府も来年度予算が承認されることを前提に,在セブ領事事務所が総領事館を格上げする予定であることを発表しました。その上で,両国関係が,ドゥテルテ大統領及び安倍総理のリーダーシップの下,経済,安全保障,人的交流など幅広く多層的に発展を続けていく中で,ロクシン外務大臣と協力して一層発展させていきたい旨述べました。
- 茂木大臣から,ドゥテルテ政権の「Build, Build, Build」政策を支え,鉄道等のインフラ整備に引き続き協力していく考え伝達しました。また,両国共通の課題である自然災害への対応にも日本の知見を活かしたい旨表明し,首都マニラの主要橋梁であるガダルペ橋及びランビンガン橋の耐震補強のために追加的な円借款を供与する「マニラ首都圏主要橋梁耐震補強計画(供与限度額44.09億円)」の交換公文に署名しました。
- ミンダナオ和平に関しては,茂木大臣は,昨年末を以て戒厳令が解除されたことを歓迎するとともに,同地域への投資や観光が促進されることへの期待感を示しました。また,昨年9月に正式に開始されたモロ・イスラム解放戦線(MILF)兵士の退役・武装解除活動への支援や,ミンダナオの人々が平和の配当を実感できるような社会基盤支援を強化していく方針に言及しました。
- ロクシン大臣より,1月8日にフィリピン政府が,東京電力福島第一原発事故を受けた日本食品の輸入規制を撤廃したことを伝達したのに対し,茂木大臣はこれを歓迎し,福島県産をはじめとする日本の安全な食品がより多くのフィリピンの方々に届くことを期待する旨述べました。
- 両大臣は,近年,防衛装備品の移転などの安全保障分野での日比協力が拡大していることを踏まえ,安全保障や海上法執行分野での協力をさらに強化していくことに合意しました。
- 両大臣は,昨年12月,スービック湾開発に向けた両国の協力が覚書の形にまとめられたことを歓迎し,スービック湾地域の経済発展の可能性を引き出すようなマスタープラン策定に向け,今後もよく連携していくことで合意しました。
- また,両大臣は,北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な,検証可能な,かつ,不可逆的な廃棄の実現,また,安保理決議の完全な履行が必要との認識を共有しました。また,茂木大臣から,拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を求め,ロクシン大臣の支持を得ました。