マレーシア
日・マレーシア首脳会談


5月27日、午後6時から約45分間、岸田文雄内閣総理大臣は、イスマイル・サブリ・マレーシア首相(H.E. Dato’ Sri Ismail Sabri bin Yaakob, Prime Minister of Malaysia)と会談を行い、その後、午後6時49分から両国間で署名された文書の交換式が行われたところ、概要は以下のとおりです。会談及び交換式には、古川禎久法務大臣(交換式のみ)、末松信介文部科学大臣(交換式のみ)、萩生田光一経済産業大臣(交換式のみ)、磯﨑仁彦内閣官房副長官他が同席しました。
1 首脳会談
(1)冒頭
岸田総理大臣から、本年は外交関係開設65周年及び東方政策40周年の節目の年であるとしつつ、今般、特定技能、青年・スポーツ交流、航空機産業に関する協力覚書の署名や官民対話設置に向けた検討開始の合意がなされたことを歓迎する旨述べました。また、岸田総理大臣から、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、「インド太平洋に関するASEANアウトルック」の優先分野も含め、協力を強化したい旨述べました。これに対し、イスマイル・サブリ首相から、節目となる年に訪日でき喜ばしいとしつつ、マレーシアの発展にこれまでの日本からの支援が大きく貢献してきたことに謝意が述べられるとともに、二国間の戦略的パートナーシップを一層強化していきたい旨述べました。
(2)二国間関係
岸田総理大臣から、東方政策はマレーシアの発展と良好な二国間関係の基礎であると述べ、両首脳は、時代の要請を踏まえて東方政策の更なる発展を目指し協力していくことで一致しました。また、岸田総理大臣から、筑波大学分校の早期設置を期待する旨述べ、イスマイル・サブリ首相から、同分校開校を重視しており、開校を実現するための指示を出した旨の発言がありました。
岸田総理大臣から、アジア・ゼロエミッション共同体構想にも触れつつ、マレーシアの現実的なエネルギー移行や、デジタル、サイバー・セキュリティ、5G、サプライチェーン強靭化等の分野で協力したい旨、また、海上保安分野の協力を一層強化していく旨述べ、イスマイル・サブリ首相から、アジア・ゼロエミッション共同体構想に賛同する旨述べるとともに、そうした分野で日本との協力を進めたい旨の発言がありました。
岸田総理大臣から、日本の水際措置の更なる緩和の方針を説明し、イスマイル・サブリ首相から、日本の取組を歓迎しつつ、そうした措置により両国間の人的交流が進むことへの期待が述べられました。
(3)地域情勢及び国際場裏における協力
岸田総理大臣から、ロシアによるウクライナ侵略は、国連憲章、ASEAN憲章にもうたわれる主権や領土の一体性の尊重に反し、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがすものである旨述べ、両首脳は、いかなる国に対する侵略も認められないことを確認した上で、世界経済への影響に対する対応や人道状況の改善に向けて連携していくことで一致しました。
岸田総理大臣から、東シナ海や南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試みに対する強い反対を表明した上で、両首脳は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化の重要性を確認しました。
両首脳は、核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応において、引き続き連携していくことを確認しました。
両首脳は、国連改革、ミャンマー情勢といった地域及び国際社会の諸課題についての連携を確認したほか、米国のインド太平洋経済枠組み(IPEF)の立上げを歓迎しつつ、自由貿易についても意見交換を行いました。
両首脳は、来年の日ASEAN友好協力50周年に向けた連携強化を確認しました。
2 文書交換式
会談後、以下の協力覚書が署名されたことを受け、これら3件の文書の交換式が以下の大臣の間で行われました。
(1)特定技能制度に関する覚書

・古川法務大臣
・サラバナン人的資源大臣
(2)青年・スポーツ分野に関する覚書

・末松文部科学大臣
・アーマド・ファイザル青年・スポーツ大臣
(3)航空機産業に関する覚書

・萩生田経済産業大臣
・アズミン国際貿易産業大臣
[参考]
交換文書概要(PDF)