インドネシア共和国

平成27年12月18日
12月17日(木曜日),東京において,午後2時30分から4時10分頃までの約100分間,岸田文雄外務大臣及び中谷元防衛大臣は,訪日中のルトノ・マルスディ・インドネシア外務大臣(H.E. Ms. Retno Marsudi, Minister for Foreign Affairs of the Republic of Indonesia)及びリャミザルド・リャクドゥ国防大臣(H.E.Gen.(ret.) Ryamizard Ryacudu, Minister of Defense of the Republic of Indonesia)との間で,初となる日・インドネシア外務・防衛閣僚会合を行ったところ,概要は以下のとおり。

1 冒頭

双方は,日本とインドネシア及び日本とASEAN加盟国との初となる外務・防衛閣僚会合を開催できたことを歓迎し,共に海洋国家であり,基本的価値を共有する戦略的パートナーとして,今次会合では,海洋安全保障分野における協力やテロ対策等について議論し,両国の安全保障・防衛協力の強化及び地域の平和と安全への貢献につなげたい旨述べた。

2 安全保障政策

日本側から,積極的平和主義の下,ASEAN諸国をはじめとするパートナー諸国との連携を強化しており,本年9月に成立した平和安全法制によって,我が国が世界の平和と繁栄のための責務を,より一層果たすことが可能となることを説明した上で,戦後70年間一貫した日本の平和国家としての歩みは変わらないことを強調した。これに対し,インドネシア側からは,日本の新たな平和安全法制整備は,価値観を共有する日本とインドネシアの安全保障協力関係をより強固にするものである旨の発言があった。

3 安全保障・防衛協力

日本側から,ASEAN諸国の海洋安全保障能力をシームレスに支援する考えを述べた上で,今般,防衛装備品及び技術の移転に関する協定の交渉開始で一致したことを歓迎し,今後,防衛装備分野を含む,安全保障・防衛協力の進展を図っていく旨述べた。さらに,日本側から,多国間共同訓練「KOMODO(コモド)2016」への積極的な参加や能力構築支援を通じ,インドネシアの海と空の安全を守る能力や災害対応能力の向上などの取組みを一層強化させたい旨述べたのに対し,インドネシア側は日本の提案を歓迎した。双方は,2016年に外務・防衛当局間(PM)及び防衛当局間(MM)協議を開催することで一致した。

4 地域情勢・テロ対策

(1)地域枠組み

日本側からは,「東アジア首脳会議(EAS)10周年記念クアラルンプール宣言」で合意した内容を着実に実施していく中で,海洋協力をEASの優先協力分野に加えるとのインドネシアの提案を支持し,緊密に連携したい旨述べた。
また,双方は,「拡大ASEAN防衛大臣会合(ADMMプラス)」を重視し日本とASEANが緊密に連携していく考えを確認した。日本側から,日本とASEANの防衛協力の強化のため,第2回日・ASEAN防衛担当大臣非公式会合の開催を2016年に開催することを提案し,インドネシア側はこれを評価し,協力したい旨応じた。

(2)地域情勢

日本側は,南シナ海における大規模かつ急速な埋立て,拠点構築,軍事目的での利用等,現状を変更し緊張を高める一方的行動は,紛争当事者のみならず,国際社会共通の懸念事項であり,また,航行・上空飛行の自由といった国際法の基本原則を確保するため,ASEANの中核であるインドネシアの積極的関与により,ASEANがワンボイスでメッセージを発信することが重要である旨述べた。インドネシア側からは,南シナ海の問題については,緊張を高める行為を行わないこと及び国際法を尊重することを求めていく立場である旨言及があり,対話に基づく平和的な紛争解決が重要である旨の指摘があるとともに,ナツナ諸島を巡る状況について説明があった。
さらに日本側から,日中関係は全体として改善の方向であり,中国に主張すべきは主張しつつ対話は深めていく考えであるものの,東シナ海の状況は引き続き厳しく,度重なる領海侵入や境界未画定海域での一方的な資源開発等,一方的なエスカレーションを懸念しており,冷静かつ毅然と対応する旨述べた。
また,日本側から,北朝鮮の明白な安保理決議違反である核・ミサイル開発継続を指摘し,北朝鮮に対し,挑発行動の自制や安保理決議等の遵守を求めるためにインドネシアと協力したい旨述べた。また,日本側から拉致問題は,日本の主権及び国民の生命と安全に関わる安倍政権の最重要課題であり,早期解決に向けた理解と協力を期待する旨述べた。

(3)テロ対策

日本側から,先般のパリでのテロ事件は,我々が共有する価値に対する挑戦であり,国際社会が一致団結し断固非難すべきであること,また,日本もISILなどのテロ組織の脅威に対して,関係国と緊密に連携し,国際社会で責任を果たす考えであること,先般国際テロ情報収集ユニットを新設したことを説明し,世界最大のイスラム教徒を擁するインドネシアの役割が重要である旨指摘した。双方は,テロ対策で協力を強化していくことで一致した。

5 結語

双方は,今回の会合が,戦略的パートナーシップに基づき,両国が共に協力していく意思を世界に示す機会となったことを確認し,地域及び世界の平和と安定,そして繁栄のための牽引力となるために連携を密にしていくことで一致した。
インドネシア側から,本会合を2年毎に定期開催したいとの発言があり,日本側は,提案を歓迎した。

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